(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力変換装置はインバータを有しており、前記電流検出器は前記インバータの直流側に接続されるコンデンサと接地の配線上に設けられている請求項1記載の車両用制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の制御装置を図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の車両用制御装置の全体構成を示す図である。
図2は、第1の実施形態の車両用制御装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【0010】
(構成)
図1には、架線1、高速遮断器2、メイントランス3、電力変換装置4(コンバータ5、インバータ6、コンデンサ7、電流検出器8を含む)、接地10、モータ9、制御部100(電流検出部101、初期電流記憶部102、インバータ駆動制御部103、実電流演算部104、異常判断部105を含む)、車両用制御装置200が示されている。このとき、車両用制御装置200は電力変換装置4及び制御部100を有している。
【0011】
架線1から高速遮断器2、メイントランス3を介して、電力変換装置4へ架線電力を供給する。供給された架線電力は電力変換装置4においてモータ9の駆動電力に変換され、モータ9に供給される。モータ9に駆動電力が供給されると、モータ9が駆動電力を駆動力として回転し、モータ9を搭載している車両が走行する。
【0012】
電流検出器8は、コンデンサ7と接地10を接続する配線上に設けられている。電力変換装置4にて過大電流が流れた場合は、電流検出器8に通常よりも大きい電流が流れるため、電力変換装置4の異常を発見できる。
【0013】
(作用)
上記のような車両制御装置200において、モータ9を駆動するためインバータ6を制御する制御部100の電源が投入される(Step10)。制御部100の電源が投入されると、制御部100の各機能及び、制御部100を電源としている電流検出器8が動作可能な状態となる。
【0014】
また、制御部100と電気的に接続されている電流検出器8は、制御部100の電源投入に伴い計測を開始する。このとき、電流検出器8は、真の電流を検出する場合はゼロを検出し、読込誤差が発生する場合は、この読込誤差分を微小電流として電流検出部101に出力する。電流検出部101は入力されたゼロから数mA〜数十mAの微小電流を初期電流値とし(Step11)、初期電流記憶部102へ出力する。初期電流値は、初期電流記憶部102で記憶される。
【0015】
またインバータ駆動制御部103からゲート指令がインバータ6へ出力されるとインバータ6が駆動を開始する(Step12)。このインバータ6へのゲート指令の出力に伴い、電流検出部101へインバータ駆動開始信号が出力される。
【0016】
電流検出部101は、インバータ6の駆動開始に伴って電流検出器8側に流れる数十mAの電流を検出する。このとき、インバータ駆動制御部103よりインバータ駆動開始信号を受け取っていると、この数十mAの電流を接地電流とする(Step14)。接地電流は実電流演算部104に出力される。
【0017】
接地電流を受け取った実電流演算部104は、初期電流値を初期電流値記憶部102へ読込みに行く。このとき、実電流演算部104が初期電流値を認識する方法は、実電流演算部104が初期電流値記憶部102へ初期電流値を読込む、初期電流値記憶部102が実電流演算部104へ初期電流を出力するなどの対応が可能である。取得した接地電流値と初期電流値に基づいて接地電流値−初期電流値=実電流値を算出する(Step15)。また、算出した実電流を予め設定しているセット値αと比較する(Step15)。
【0018】
このとき、実電流値>セット値αであれば、電流検出器8には、接地電流から初期電流値を差し引いてもインバータ駆動開始に伴う正常な電流検出が確保できているとして電流検出器8は正常に機能していると判断する(Step16)。また、実電流値<セット値αであれば、電流検出器8には接地電流から初期電流値を差し引いた場合、インバータ駆動開始に伴う正常な電流が検出されない。そのため、電流検出器8が制御部100との電気的接続に問題があるか、電流検出器8が検出した電流値を制御部100が正常に読み込むことができていない、電流検出器8そのものの破損など電流検出器8に異常が発生していると判断される(Step17)。
【0019】
電流検出器の異常と判断された場合、運転室等の外部へ電流検出器異常の信号を出力し、モニタ等の表示器で表示する、ランプを点灯するなどが可能である。
【0020】
(効果)
以上述べた実施形態の制御装置によれば、接地電流検出器に異常があった場合に、異常を検出できる車両用制御装置を提供することが可能となる。
【0021】
そのため、電流検出器の異常を発見することにより、車両の健全性を保つことが可能となる。
【0022】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。
図3は、第2の実施形態の車両用制御装置の制御部の動作を示すフローチャートである。尚、
図1乃至2と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0023】
本実施形態は、第1の実施形態とは、初期電流値の設定が異なっている。以下、その点について詳細に説明する。
【0024】
(作用)
本実施形態の車両制御装置200において、モータ9を駆動するためインバータ6を制御する制御部100の電源が投入される(Step20)。制御部100の電源が投入されると、制御部100と各機能及び、制御部100を電源としている電流検出器8が動作可能な状態となる。
【0025】
また、制御部100と電気的に接続されている電流検出器8は、制御部100の電源投入に伴い計測を開始する。このとき、電流検出器8は、真の電流を検出する場合はゼロを検出し、読込誤差が発生する場合は、この読込誤差分を微小電流として電流検出部101に出力する。電流検出部101は入力されたゼロから数mA〜数十mAの微小電流を初期電流と認識する(Step21)。検出された初期電流値は、初期電流記憶部102に入力され、初期電流記憶部102で記憶される。
【0026】
またインバータ駆動制御部103からゲート指令がインバータ6へ出力されるとインバータ6が駆動を開始する(Step22)。このインバータ6より出力されるインバータ駆動開始信号が電流検出部101に入力されなければ、電流検出部101は初期電流記憶部102へ検出電流値を出力する。初期電流値記憶部102は入力された新たなら検出電流値を初期電流値として更新する。
【0027】
インバータ駆動開始信号を電流検出部101が受け取った場合、電流検出部101は、その後、検出した電流値を初期電流値記憶部102への出力を停止する。初期電流値記憶部102では、電流検出部101の最後の出力となった電流値を初期電流値として決定する(Step23)。決定した初期電流値を初期電流値記憶部102に出力する。このとき、初期電流値の決定方法は、インバータ駆動開始信号を初期電流値記憶部102へ直接入力し、インバータ駆動開始信号の入力直前の電流値を初期電流値記憶部102で初期電流値として決定する方法も可能である。
【0028】
また、電流検出部101は、インバータ6のインバータ駆動開始信号に直後に検出された電流値を接地電流とする(Step24)。この接地電流は実電流演算部104に出力される。
【0029】
以下の動作は第1の実施形態と同様のため省略する。
【0030】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態の制御装置によれば、接地電流検出器に異常があった場合に、異常を検出できる車両用制御装置を提供することが可能となる。
【0031】
また本実施形態では、インバータの駆動開始が制御部の電源投入後、しばらく経過した後であってもインバータ駆動開始前と直後で実電流を演算することが可能なため、温度の変化等で初期電流値が変化した場合も制御精度を向上することが可能となる。
【0032】
(変形例)
変形例について図を参照し、詳細に説明する。
図4は、変形例の車両用制御装置の制御部の動作を示すフローチャートである。尚、
図1乃至3と同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0033】
本変形例は、第1の実施形態と第2の実施形態と組み合わせることが可能である。以下、その点について詳細に説明する。
【0034】
(作用)
電流検出部101が初期電流値を検出後、初期電流値は予め設定されたセット値γと比較される(Step30)。比較され、初期電流値がセット値γよりも小さければ、初期電流値は正常に検出できているとして、次のインバータ駆動開始の動作に移動する。
【0035】
また、初期電流値がセット値γよりも大きい場合、すでに地絡状態であるか、検出器の異常、もしくは制御読込不良と考えられるため車両用制御装置200が異常状態であると判断される。その場合、車両用制御装置200の異常を運転室等の外部へ表示することができる。
【0036】
(効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態の制御装置によれば、接地電流検出器に異常があった場合に、異常を検出できる車両用制御装置を提供することが可能となる。
【0037】
さらに、制御部100の読込み不良と異常個所を特定できるため、メンテナンスが簡易的になる。そのため省保守化が可能である。
【0038】
上記で説明された全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。そのため、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。