(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カム部は、該カム部の周方向の一方側から他方側に向かって半径が大きくなるように形成されたカム面を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にあっては、第1の溝形状が直線的であり、アームのピンにより所定の周期で針が径方向に沿って移動しつつ、針が回転する構成となっている。したがって、針の指示部の移動軌跡は、ガイドアームの回転中心に対して対称な形状に限定されるため、意匠性に優れた複雑な移動軌跡を描くという点で課題が残されている。また、一般に、針の指示部の移動軌跡を複雑なものとする場合には、表示機構も複雑になる傾向にある。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができ、意匠性を向上できる表示機構、この表示機構を備えた時計用ムーブメントおよび時計の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の表示機構は、時間経過を示すために用いられる指示部と、前記時間経過に応じて、前記指示部の移動速度を異ならせかつ、前記指示部を、表示部の中心に対して、接近または離間する方向へ移動させる制御機構と、を備え、前記制御機構は、前記指示部が前記表示部の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、前記指示部が前記表示部の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように前記指示部を移動させることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、指示部の移動速度を異ならせかつ、指示部を表示部の中心に対して接近または離間する方向へ移動させる制御機構を備えているので、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができる。また、制御機構は、指示部が表示部の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部が表示部の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように指示部を移動させるので、屈曲した指示部の移動軌跡を描くことができる。これにより、指示部のさらに複雑な移動軌跡を描くことができるので、表示機構の意匠性を向上できる。
【0010】
また、前記制御機構は、第1軸周りに回転するカム部と、前記カム部の回転方向とは反対方向に回転するカム従節ユニットと、を備え、前記カム従節ユニットは、一端部に前記カム部に接する従節部が形成され、前記カム従節ユニットの回転にともなって回動しながら前記カム部の周りを回転するレバーと、一端部に前記指示部が形成され、他端部が前記カム部の径方向の外側に位置する第2軸周りに回動可能に支持され、前記カム従節ユニットの回転にともなって前記カム部の周りを回転するポインタと、を備え、前記レバーの他端部と前記ポインタの他端部とは、動力伝達部を介して連結されていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、制御機構は、第1軸周りに回転するカム部と、カム部の回転方向とは反対方向に回転するカム従節ユニットと、により形成されているので、部品点数の少ない簡単な構造とすることができる。また、カム従節ユニットは、一端部にカム部に接する従節部が形成され、カム従節ユニットの回転にともなって回動しながらカム部の周りを周方向に回転するレバーを備えているので、カム部の外周面の形状を変更することで、レバーの回動量を任意に設定することができる。また、従節部のカム部に対する相対移動速度を変更することで、レバーの回動速度を任意に設定することができる。また、ポインタは、第2軸周りに回動可能に支持されるとともに、レバーの他端部とポインタの他端部とが動力伝達部を介して連結されているので、設定されたレバーの回動量および回動速度に対応して、ポインタが第2軸周りに回動しながら、カム部の周りを周方向に回転することができる。このように、カム部の外周面の形状および従節部のカム部に対する相対移動速度により、ポインタの指示部の移動軌跡を所望に決定できるので、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構の意匠性を向上できる。
【0012】
また、前記動力伝達部は、前記ポインタの他端部に形成されたポインタ歯車と、前記レバーの他端部に形成されたレバー歯車と、により形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、動力伝達部は、ポインタ歯車とレバー歯車と、により形成されているので、互いに噛合するポインタ歯車の歯数とレバー歯車の歯数との比を変更することにより、さらに指示部の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構の意匠性を向上できる。とりわけ、レバー歯車の歯数の比率をポインタ歯車の歯数の比率よりも大きくすることで、ポインタの回動量を大きくして指示部の回動量を大きくすることができ、レバー歯車の歯数の比率をポインタ歯車の歯数の比率よりも小さくすることで、ポインタの回動量を小さくして指示部の回動量を小さくすることができる。このように、カム部の外周面の形状および従節部のカム部に対する相対移動速度に加えて、ポインタ歯車の歯数とレバー歯車の歯数との比を変更することにより、ポインタの指示部の移動軌跡を所望に決定できるので、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構の意匠性を向上できる。
【0014】
また、前記カム部は、該カム部の周方向の一方側から他方側に向かって半径が大きくなるように形成されたカム面を備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、カム部は、周方向の一方側から他方側に向かって半径が大きくなるように形成されたカム面を備えているので、カム面の形状を変更することで、レバーの従節部がカム面に接した状態でカム部の周りを回転するときに、レバーの回動量を調整することができる。したがって、例えばカム面の曲率を変更することにより、曲線状に描かれる指示部の移動軌跡の曲率を容易に変更できるので、所望の移動軌跡を容易に描くことができる。
【0016】
また、前記カム部は、該カム部の周方向の一方側から他方側に向かって前記第1軸からの前記径方向に沿う距離が大きくなるように形成された溝部を備え、前記レバーの前記従節部は、前記溝部に沿って移動可能な凸部により形成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、簡単かつ低コストにカム部を形成することができる。また、レバーの従節部は、溝部に沿って移動可能な凸部により形成されているので、溝部内にレバーの凸部を配置するだけで、溝部に沿って従節部が移動できる。したがって、例えば、カム部に従節部が接するように、従節部をカム部に向かって付勢するための付勢部材が不要となるので、表示機構をさらに簡単な構造とし、かつ低コスト化することができる。
【0018】
また、前記カム部と前記カム従節ユニットとは、前記第1軸周りに互いに反対方向に回転し、前記カム部は、前記カム従節ユニットよりも高速回転することを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、カム部とカム従節ユニットとは、第1軸周りに互いに反対方向に回転し、カム部は、カム従節ユニットよりも高速回転するので、カム従節ユニットが1回転する間に、カム部が複数回転することができる。これにより、レバーの従節部は、カム面と、カム面における第1軸からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面とを複数回通過できるとともに、カム面および段差面の通過に対応して、第1軸に対して接近または離間する方向に複数回往復移動できる。このとき、レバーは、従節部の往復移動に対応して回動するとともに、動力伝達部を介してポインタが回動する。したがって、指示部は、レバーの従節部がカム面および段差面を通過する回数に対応して、第1軸に対して接近または離間する方向に複数回往復移動するこができる。このように、カム部とカム従節ユニットとの回転速度比に対応して、指示部が第1軸に対して接近または離間する方向に往復移動する回数を変更できるので、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構の意匠性を向上できる。
【0020】
また、前記カム部の回転速度は、前記カム従節ユニットの回転速度の3倍であることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、カム部が3回転する間にカム従節ユニットが反対方向に1回転するので、レバーの従節部は、カム従節ユニットが時計回り方向に1回転する際に、カム面における第1軸からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面を4回通過することができる。したがって、指示部は、第1軸に対して接近または離間する方向に4往復移動しながら回転することができるので、例えば第1軸を中心とする花弁状の複雑な移動軌跡を描くことができる。
【0022】
また、本発明の時計用ムーブメントは、上述の表示機構を備えたことを特徴としている。
また、本発明の時計は、上述の時計用ムーブメントを備えていることを特徴としている。
本発明によれば、上述した表示機構を備えることにより、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができる、意匠性に優れた時計用ムーブメントおよび時計を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、指示部の移動速度を異ならせかつ、指示部を表示部の中心に対して接近または離間する方向へ移動させる制御機構を備えているので、簡単な構造で指示部の複雑な移動軌跡を描くことができる。また、制御機構は、指示部が表示部の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部が表示部の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように指示部を移動させるので、屈曲した指示部の移動軌跡を描くことができる。これにより、指示部のさらに複雑な移動軌跡を描くことができるので、表示機構の意匠性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、表示機構の詳細について説明する。
【0026】
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
【0027】
図1は、実施形態に係る時計1の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す文字板11と、時を示す時針5と、秒を示す秒針6と、分針の機能を有し分を示す指示部42を備えたポインタ41と、を備えている。本実施形態の時計1は、とりわけ分の情報の表示について、意匠性を向上させるための特殊な表示機構40を備えた機械式の時計1である。なお、
図1においては、指示部42の移動軌跡を二点鎖線で図示している。
【0028】
地板20の図示しない巻真案内穴には、巻真8が回転可能に組み込まれている。この巻真8は、例えば、日付の修正や、時刻表示(時および分の表示)を修正する際に用いられる時計部品である。巻真8の一端部には、時計ケース3の側方に位置するりゅうず9が取付けられている。
巻真8は、巻真案内穴によって回転可能に支持されているとともに、巻真8の延在方向に例えば2段階に引き出し操作可能とされている。この際、巻真8は、地板20の裏側に配置された、おしどり、かんぬきやかんぬきばね等の図示しない切替装置により、延在方向の位置が決められている。
なお、以下の説明では、時針5および秒針6の回転中心を第1軸C1とし、第1軸C1の軸方向と直交する方向を径方向といい、第1軸C1周りに周回する方向を周方向という。また、時計回り方向の上流側を周方向の一方側とし、下流側を周方向の他方側という。また、軸方向から見て、第1軸C1を通るとともに巻真8に沿う軸をX軸とし、
図1における右側を+X側とし、左側を−X側とする。また、第1軸C1を通るとともにX方向と直交する軸をY軸とし、
図1における上側を+Y側とし、下側を−Y側とする。以下、必要に応じてX−Y直交座標系を用いて説明する。
【0029】
文字板11は、例えば全体として6角形状に形成されており、文字板11の主面の各角部には、時および秒の情報を表す目盛12が設けられている。
文字板11の主面における目盛12よりも径方向の内側は、分に関する情報を示す「15」「30」「45」「60」の数字からなるインデックス13が表示された表示領域15(請求項の「表示部」に相当。)となっている。表示領域15には、インデックス13に対応して、0分から60分までの分の情報が表示される。
【0030】
表示領域15には、「15」「30」「45」「60」のインデックス13が、周方向に沿って時計回りに順に並んでいる。本実施形態においては、軸方向から見たとき、第1軸C1から所定距離離間した位置において、+X軸上に「15」のインデックス13が配置されており、以降、「30」「45」「60」の順に、それぞれ第1軸C1から所定距離離間した位置において、第1軸C1周りに90度ピッチとなるように配置されている。
【0031】
表示領域15には、時間経過を示すために用いられる指示部42と、時間経過に応じて、指示部42の移動速度を異ならせる制御機構50と、を備えた表示機構40が設けられている。指示部42は、制御機構50により表示領域15を移動させられて、分に関する情報を示す「15」「30」「45」「60」の各インデックス13を指し示すように構成されている。指示部42および制御機構50を備えた表示機構40については、後に詳述する。
文字板11の表示領域15には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
【0032】
図2は、
図1に示すムーブメント10を裏側(文字板11側)から見たときの説明図である。なお、
図2では、分かりやすくするために文字板11を透過して図示している。また、文字板11に表示された数字、指示部42の移動軌跡、文字板11に形成された日窓11a、および日車押さえ29を二点鎖線にて図示している。また、時針5および秒針6(いずれも
図1参照)の図示を省略している。
図3は、
図2に示すムーブメント10の断面図である。なお、
図3において、文字板11の地板20側の内面を境界として、文字板11の内面よりも地板20側は、
図2におけるA−A1線に沿った断面図となっており、文字板11の内面よりも地板20とは反対側は、
図2におけるA−A2線に沿った断面図となっている。
【0033】
図2に示すように、ムーブメント10は、ムーブメント10の基板を構成する地板20を有している。この地板20の表側の面には、てんぷ、がんぎ車、アンクル等を含む図示しない脱進・調速機構と、四番車、三番車、二番車および香箱車を含む図示しない表輪列と、が少なくとも配置されている。
【0034】
図3に示すように、地板20の文字板11側には、分車17、日の裏車18および筒車21を含む裏輪列と、日の裏車18に噛合する日の裏中間車19と、日車30と、第1日回し中間車24と、第2日回し中間車25と、日回し車26と、日送り爪27と、日ジャンパ28(
図2参照)と、が少なくとも配置されている。また、地板20の裏側には、日車30、第1日回し中間車24、第2日回し中間車25、日回し車26、日送り爪27および日ジャンパ28(
図2参照)を押さえる日車押さえ29が取付けられている。また、日車押さえ29の裏側には、文字板11がガラス2(
図1参照)を通じて視認可能に配置されている。
【0035】
四番車、分車17および筒車21は、それぞれ第1軸C1に対して同軸上に配置されている。このうち分車17は、香箱車の回転により、二番車および三番車の回転を介して1時間に1回転するように構成されている。この分車17の筒部17aには、制御機構50を構成するアーム部58が外嵌固定されている。また、分車17の筒部17aには、ムーブメント10の裏側から止め座22が外嵌されている。これにより、アーム部58の軸方向の抜けを防止している。
【0036】
また、四番車は、二番車および三番車の回転を介して1分間に1回転するように構成されている。そして、この四番車から第1軸C1に沿って延設された四番真16に、秒針6が取り付けられている。
筒車21は、分車17および日の裏車18の回転を介して、12時間に1回転するように構成されている。筒車21には、時針5が取り付けられている。
【0037】
図2に示すように、日車30は、地板20に対して回転自在に取付けられており、全体としてリング状をした部材である。日車30は、開口部の内周縁に沿って複数の内歯30aが形成されている。日車30におけるムーブメント10の裏側(すなわち文字板11側)の主面には、1日から31日までの日付を表す日文字が表示されている。なお、
図2においては、日車30に表示される日文字のうち一部のみを図示している。
【0038】
図3に示すように、筒車21の駆動力は、地板20に対して回転自在に取付けられた第1日回し中間車24および第2日回し中間車25の回転を介して、日回し車26に伝達される。
日回し車26は、日車30を1日に1回(午前0時に達した時点で)、日付1日分だけ回転させて日送りする時計部品であり、筒車21、第1日回し中間車24および第2日回し中間車25の回転に基づいて、24時間で反時計回り方向に1回転するように構成されている。日回し車26の裏側(文字板11側)には、日車30の内歯30aに係合可能な日送り爪27が形成されている。日回し車26が反時計回り方向に回転運動すると、日送り爪27が日車30の内歯30aと係合する。これにより、日回し車26の回転力は、日送り爪27を介して日車30の内歯30aに伝達される。そして、日回し車26は、1回転につき日車30を日付1日分だけ反時計回り方向に回転させる。
【0039】
日の裏中間車19には、日車押さえ29よりも裏側(文字板11側)に、カム駆動用歯部19aが形成されている。カム駆動用歯部19aは、カム歯車56の地板20側の端部に形成されたカム歯部56aと噛合している。これにより、カム歯車56は、日の裏車18の駆動力がカム駆動用歯部19aを介して伝達されるとともに、回転速度が増速される。本実施形態において、カム歯車56は、1時間に3回転するように構成される。
【0040】
図2に示すように、日ジャンパ28は、日車30の回転方向の位置を規正する時計部品であって、基端部が地板20の裏側に固定され、先端部が自由端とされた弾性変形可能な日ジャンパばね部28aと、日ジャンパばね部の先端部に設けられた係合部28bと、を備えている。日ジャンパ28の係合部28bは、日ジャンパばね部28aによって日車30の内歯30a側に向かって付勢されるとともに、日車30の内歯30aに係合可能に形成されている。日ジャンパ28は、係合部28bが日車30の内歯30aに係合することにより、日車30の回転を規正している。
【0041】
(表示機構)
続いて、表示機構40について詳細に説明する。
表示機構40は、分に関する情報を示して時間経過を示すために用いられる指示部42と、時間経過に応じて指示部42の移動速度を異ならせる制御機構50とを備えている。また、制御機構50は、第1軸C1を中心軸とするカム部51と、カム部51の周方向に回転するカム従節ユニット55と、を備えている。
【0042】
図3に示すように、カム部51は、カム歯車56の筒状部56bに外嵌固定されている。また、カム歯車56は、パイプ部材57に外挿されている。そして、カム部51は、筒車21の筒部21aに対して、カム歯車56およびパイプ部材57を介して、筒車21に対して回転可能に外挿されている。カム部51は、カム歯車56とともに、カム歯車56と同一の1時間に3回転の回転速度で、第1軸C1を回転中心として反時計回り方向に回転する。
【0043】
図2に示すように、カム部51の外周面は、時計回り方向(周方向の一方側から他方側)に向かって、渦巻き状に半径が大きくなるように形成されたカム面52と、カム面52における第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54とにより形成されている。
【0044】
(カム従節ユニット)
カム従節ユニット55は、アーム部58と、レバー60と、ポインタ41と、により構成されている。
図3に示すように、アーム部58は、アーム部本体58aが径方向に沿って延在しており、径方向の内側端部が分車17の筒部17aに外嵌固定されている。アーム部58は、分車17と同一の1時間に1回転の回転速度で、第1軸C1を回転中心として時計回り方向に回転する。
【0045】
アーム部58の径方向における中間部分よりも外側には、アーム部58に取り付けられたレバー用軸部材59を介して、レバー60が軸支されている。
図2に示すように、レバー60は、レバー用軸部材59による軸支部分からカム部51に向かって、湾曲しながら延出するように形成されている。レバー60における径方向の内側の一端部には、カム面52に摺接する鉤状の従節部61が形成されている。
【0046】
レバー60における径方向の外側の他端部には、レバー歯車62が形成されている。レバー歯車62は、レバー用軸部材59を中心とする扇形状に形成されており、外周面には複数の歯部が形成されている。
レバー60は、ポインタ41に設けられた戻しばね46により、ポインタ歯車43を介して従節部61が常にカム部51に向かって所定の付勢力で付勢されている。戻しばね46は、例えば、ねじりコイルバネが採用される。
【0047】
アーム部58の径方向における外側端部には、アーム部58に取り付けられたポインタ用軸部材44を介して、ポインタ41が第2軸C2周りに回動可能に軸支されている。
ポインタ41は、ポインタ歯車43の筒部43aから延出するように形成されている。
ポインタ41の軸支部分とは反対側の一端部には、指示部42が形成されている。指示部42は、例えば星形状に形成されている。
ポインタ41における指示部42とは反対側であって、ポインタ41の軸支部分に対応する他端部には、レバー歯車62と噛合するポインタ歯車43が形成されている。すなわち、レバー60とポインタ41とは、レバー歯車62とポインタ歯車43とにより形成された動力伝達部35により連結されている。
【0048】
上述のように形成されたカム部51およびカム従節ユニット55は、以下のように回転する。すなわち、カム部51は、1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転するとともに、カム従節ユニット55が1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転する。そして、カム従節ユニット55のレバー60は、従節部61がカム部51に付勢された状態で、カム面52に摺接しながら、アーム部58とともにカム部51の周りを時計回り方向に移動する。
【0049】
このとき、カム部51は、カム面52と段差面54とを備えていることから、レバー60の従節部61は、カム面52を移動するとき第1軸C1に対して離間する方向へ移動し、段差面54を通過したとき第1軸C1に対して接近する方向へ移動する。そして、レバー60は、カム従節ユニット55の回転にともなうレバー60の従節部61の移動により、回動しながらカム部51の周りを回転移動する。
【0050】
また、レバー60の回動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に回動しながらカム部51の周りを時計回り方向に回転しつつ、指示部42により、分に関する情報を示す「15」「30」「45」「60」の数字からなるインデックス13を表示している。
【0051】
ここで、本実施形態におけるレバー60の回動量および回動速度の変化量は、カム面52の大きさに依存する。具体的には、カム面52の径方向の変位量が大きいほど、レバー60の回動量および速度の変化量を大きくすることができる。
また、ポインタ41の回動量は、レバー60の回動量に加えて、ポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比に依存する。具体的には、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも大きくすることで、ポインタ41の回動量を大きくして指示部42の回動量を大きくすることができ、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも小さくすることで、ポインタ41の回動量を小さくして指示部42の回動量を小さくすることができる。
【0052】
(作用)
図4から
図10は、それぞれ表示機構40の説明図であって、所定時刻を表示しているときの説明図である。なお、
図4から
図10において、時針5および秒針6(いずれも
図1参照)の図示を省略している。
続いて、本実施形態の表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻0分から動作を開始し、時刻15分を表示した後に動作を終了するまでの作用について、
図4から
図10を用いて順を追って説明する。
【0053】
図4に示すように、指示部42が0分を表示する初期状態において、カム部51の段差面54は、(−X,−Y)領域の初期位置に配置される。また、カム従節ユニット55のアーム部58は、(−X,+Y)領域の初期位置に配置される。また、カム従節ユニット55におけるレバー60の従節部61は、(−X,−Y)領域であって段差面54に隣接する初期位置において、カム面52に当接している。
【0054】
次いで、時間の経過にともなって、カム部51が第1軸C1周りに反時計回り方向に回転するとともに、カム従節ユニット55が第1軸C1周りに時計回り方向に回転する。このとき、カム部51は、1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転し、カム従節ユニット55は、1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転するように構成されている。したがって、カム従節ユニット55の従節部61は、カム部51の周りを時計回り方向に回転し、カム面52に摺接しながら移動する。
【0055】
このとき、カム面52は、時計回り方向(周方向の一方側から他方側)に向かって、漸次半径が大きくなるように形成されている。したがって、従節部61は、カム面52に沿って、第1軸C1に対して離間する方向へ移動しながらカム部51の周りを移動する。これにより、レバー60は、カム従節ユニット55の回転にともなうレバー60の従節部61の移動により、レバー用軸部材59を中心に時計回り方向に回動しながらカム部51の周りを回転移動する。
また、レバー60の回動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に反時計回り方向に回動しながらカム部51の周りを時計回り方向に回転する。したがって、指示部42は、カム部51の周りを時計回り方向に回転しつつ、第1軸C1に対して離間する方向に移動する。
【0056】
カム部51およびカム従節ユニット55は、時の経過にともない上記と同様に動作を継続する。このとき、レバー60の従節部61は、カム面52に摺接しながら移動する。したがって、レバー60の従節部61は、時の経過にともない、初期位置よりも径方向の外側に配置される。これにより、レバー60は、時の経過にともない、レバー用軸部材59を中心に初期位置よりも時計回り方向に回転移動した状態となる。
また、ポインタ41の指示部42は、レバー60の初期位置からの回転移動にともなって、初期位置よりも径方向の外側に移動される。これにより、ポインタ41の指示部42は、移動速度を異ならせつつ、時計回り方向に回転しながら第1軸C1から離間する方向に移動するので、+Y方向に湾曲しつつ径方向の外側に移動するように移動軌跡を描くことができる。なお、
図5では動作開始から3分経過したときの指示部42を、
図6では動作開始から6分経過したときの指示部42を、
図7では動作開始から9分経過したときの指示部42を、
図8では動作開始から12分経過したときの指示部42をそれぞれ表示している。
【0057】
そして、
図9に示すように、動作開始からの経過時間が15分となったとき、カム部51は、初期位置から反時計回り方向に270°回転して、段差面54が(−X,+Y)領域に移動する。また、カム従節ユニット55のアーム部58は、初期位置から時計回り方向に90°回転し、(+X,+Y)領域に移動する。また、カム従節ユニット55におけるレバー60の従節部61は、カム面52と段差面54との境界部分であって、第1軸C1から径方向の外側に最も離間した位置に配置される。このとき、レバー60は、レバー用軸部材59を中心に初期位置よりも時計回り方向に、最大角度で回転移動した状態となっている。そして、ポインタ41の指示部42は、レバー60の回転移動にともなって、第1軸C1に対して離間する方向に移動されて最も径方向の外側に配置されるので、「15」のインデックス13を表示することができる。
【0058】
次いで、
図10に示すように、動作開始から15分が経過した時点で、レバー60の従節部61は、段差面54に沿って第1軸C1に対して接近する方向(すなわち径方向の内側)に向かって移動し、カム面52最小径部分に配置される。
また、レバー60は、従節部61の移動にともない、レバー用軸部材59を中心に反時計回り方向に回動する。そして、ポインタ41の指示部42は、レバー60の回動にともなって、第1軸C1に対して接近する方向に移動されて径方向の内側に配置される。このとき、指示部42が第1軸C1に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が第1軸C1に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡との間であって、「15」のインデックス13に対応した位置には、変曲点P1が形成される。
本実施形態においては、この様にして、指示部42が表示領域15の中心に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が表示領域15の中心に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、が連続するように指示部42が移動されるようになっている。
ここで、本実施形態における変曲点(例えば変曲点P1〜P8等)とは、指示部42の動きの向きが変わる点を意味する。
【0059】
そして、カム従節ユニット55の従節部61は、再度カム部51の周りを時計回り方向に回転し、カム面52に摺接しながら移動する。そして、指示部42は、カム部51の周りを時計回り方向に回転しつつ、第1軸C1に対して離間する方向に再度移動する。これにより、指示部42が第1軸C1に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が第1軸C1に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡との間であって、「15」のインデックス13と「30」のインデックス13との間に対応した位置には、変曲点P2が形成される。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、接近又は離間する方向へ移動を繰り返しながら、各インデックス13に対応した位置および各インデックスの間に対応した位置に変曲点P1〜P8を形成するように複雑な移動軌跡を描きつつ、「15」から「60」のインデックス13を繰り返し表示することができる。
【0060】
本実施形態によれば、指示部42の移動速度を異ならせかつ、指示部42を第1軸C1に対して接近または離間する方向へ移動させる制御機構50を備えているので、簡単な構造で指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができる。また、制御機構50は、指示部42が第1軸C1に対して接近する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡と、指示部42が第1軸C1に対して離間する方向へ移動したときに描かれる移動軌跡との間に、変曲点P1〜P8が形成されるように指示部42を移動させるので、屈曲した指示部42の移動軌跡を描くことができる。これにより、指示部42のさらに複雑な移動軌跡を描くことができるので、表示機構40の意匠性を向上できる。
【0061】
また、制御機構50は、第1軸C1周りに回転するカム部51と、カム部51の回転方向とは反対方向に回転するカム従節ユニット55と、により形成されているので、部品点数の少ない簡単な構造とすることができる。また、カム従節ユニット55は、一端部にカム部51に接する従節部61が形成され、カム従節ユニット55の回転にともなって回動しながらカム部51の周りを周方向に回転するレバー60を備えているので、カム部51の外周面の形状を変更することで、レバー60の回動量を任意に設定することができる。また、従節部61のカム部51に対する相対移動速度を変更することで、レバー60の回動速度を任意に設定することができる。また、ポインタ41は、第2軸C2周りに回動可能に支持されるとともに、レバー60の他端部とポインタ41の他端部とが動力伝達部35を介して連結されているので、設定されたレバー60の回動量および回動速度に対応して、ポインタ41が第2軸C2周りに回動しながら、カム部51の周りを周方向に回転することができる。このように、カム部51の外周面の形状および従節部61のカム部51に対する相対移動速度により、ポインタ41の指示部42の移動軌跡を所望に決定できるので、簡単な構造で指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構40の意匠性を向上できる。
【0062】
また、動力伝達部35は、ポインタ歯車43とレバー歯車62とにより形成されているので、互いに噛合するポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比を変更することにより、さらに指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構40の意匠性を向上できる。とりわけ、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも大きくすることで、ポインタ41の回動量を大きくして指示部42の回動量を大きくすることができ、レバー歯車62の歯数の比率をポインタ歯車43の歯数の比率よりも小さくすることで、ポインタ41の回動量を小さくして指示部42の回動量を小さくすることができる。このように、カム部51の外周面の形状および従節部61のカム部51に対する相対移動速度に加えて、ポインタ歯車43の歯数とレバー歯車62の歯数との比を変更することにより、ポインタ41の指示部42の移動軌跡を所望に決定できるので、簡単な構造で指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構40の意匠性を向上できる。
【0063】
また、カム部51は、時計回り方向に向かって半径が大きくなるように形成されたカム面52を備えているので、カム面52の形状を変更することで、レバー60の従節部61がカム面52に接した状態でカム部51の周りを回転するときに、レバー60の回動量を調整することができる。したがって、例えばカム面52の曲率を変更することにより、曲線状に描かれる指示部42の移動軌跡の曲率を容易に変更できるので、所望の移動軌跡を容易に描くことができる。
【0064】
また、カム部51とカム従節ユニット55とは、第1軸C1周りに互いに反対方向に回転し、カム部51は、カム従節ユニット55よりも高速回転するので、カム従節ユニット55が1回転する間に、カム部51が複数回転することができる。これにより、レバー60の従節部61は、カム面52と、カム面52における第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54とを複数回通過できるとともに、カム面52および段差面54の通過に対応して、第1軸C1に対して接近または離間する方向に複数回往復移動できる。このとき、レバー60は、従節部61の往復移動に対応して回動するとともに、動力伝達部35を介してポインタ41が回動する。したがって、指示部42は、レバー60の従節部61がカム面52および段差面54を通過する回数に対応して、第1軸C1に対して接近または離間する方向に複数回往復移動するこができる。このように、カム部51とカム従節ユニット55との回転速度比に対応して、指示部42が第1軸C1に対して接近または離間する方向に往復移動する回数を変更できるので、簡単な構造で指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができ、表示機構40の意匠性を向上できる。
【0065】
また、カム部51が反時計回り方向に3回転する間にカム従節ユニット55が時計回り方向に1回転する(換言すれば、カム部51の回転速度がカム従節ユニット55の回転速度の3倍である)ので、レバー60の従節部61は、カム従節ユニット55が時計回り方向に1回転する際に、カム面52における第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54を4回通過することができる。したがって、指示部42は、第1軸C1に対して接近または離間する方向に4往復移動しながら回転することができるので、例えば第1軸C1を中心とする花弁状の複雑な移動軌跡を描くことができる。
【0066】
また、上述した表示機構40を備えることにより、簡単な構造で指示部42の複雑な移動軌跡を描くことができる、意匠性に優れたムーブメント10および時計1を得ることができる。
【0067】
(実施形態の第1変形例)
続いて、実施形態の第1変形例に係る表示機構40について説明する。
図11は、実施形態の第1変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51が、カム面52と段差面54とを備えており、従節部61がカム面52に摺接しながら移動していた(
図1参照)。
これに対して、
図11に示すように、実施形態の第1変形例に係る表示機構40は、カム部151がカム溝部152と段差溝部154とを備えており、従節部161がカム溝部152および段差溝部154に沿って移動する点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
カム溝部152は、例えば円盤状のディスク部材の主面に、時計回り方向(周方向の一方側から他方側)に向かって、第1軸C1からの径方向に沿う距離が大きくなるように渦巻き状に形成されている。
また、レバー60の従節部161は、カム溝部152に沿って移動可能な凸部161aにより形成されている。凸部161aは、例えばレバー60における径方向の内側の一端部から、軸方向に沿うようにカム部151に向かって突出形成されている。凸部161aをカム溝部152内に配置することにより、カム部151が1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転し、カム従節ユニット55が1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転したとき、従節部161がカム溝部152に沿って移動できる。これにより、ポインタ41の指示部42は、実施形態と同様に動作して、インデックス13を表示することができる。
【0069】
実施形態の第1変形例によれば、簡単かつ低コストにカム部151を形成することができる。また、レバー60の従節部61は、カム溝部152および段差溝部154に沿って移動可能な凸部161aにより形成されているので、カム溝部152および段差溝部154のいずれかにレバー60の凸部161aを配置するだけで、カム溝部152および段差溝部154に沿って従節部161が移動できる。したがって、例えば、カム部151に従節部161が接するように、従節部161をカム部151に向かって付勢するための付勢部材が不要となるので、表示機構40をさらに簡単な構造とし、かつ低コスト化することができる。
【0070】
(実施形態の第2変形例)
続いて、実施形態の第2変形例に係る表示機構40について説明する。
図12は、実施形態の第2変形例に係る表示機構40の説明図である。
実施形態の表示機構40は、カム部51の外周面が、渦巻き状に半径が大きくなるように形成されたカム面52と、第1軸C1からの半径が最小となる位置と最大となる位置とを結ぶ段差面54とにより形成されていた(
図1参照)。
これに対して、実施形態の第2変形例に係る表示機構40は、
図12に示すように、カム部251の外周面が、凸曲面状の2つの副カム面253a,253bを備えたカム面252により形成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0071】
カム部251のカム面252は、凸曲面状の2つの副カム面253a,253bにより、軸方向から見てハート形状に形成されている。2つの副カム面253a,253bの境界部分のうち、一方の境界部分は、第1軸C1からの離間距離が最も小さい最内部254aとなっており、他方の境界部分は、第1軸C1からの離間距離が最も大きい最外部254bとなっている。
図12においては、(−X,+Y)領域に最内部254aが配置され、(+X,−Y)領域に最外部254bが配置された状態となっている。また、レバー60の従節部61は、カム面252の最内部254a上に位置しており、第1軸C1から径方向の外側に最も接近した位置に配置される。このとき、ポインタ41の指示部42は、「60」と「15」とのインデックス13間の位置であって変曲点P8に対応した位置に配置されている。なお、変曲点P8は、時刻7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が7分30秒)に対応する位置となっている。
【0072】
表示領域15には、「5」から「60」まで5分毎に表示されたインデックス13が、ポインタ41の指示部42の移動軌跡近傍において、時計回り方向に順に並んでいる。本実施形態においては、実施形態と同様に「15」「30」「45」「60」のインデックス13が90°ピッチで配置されるとともに、「60」と「15」とのインデックス13の間であって(+X,+Y)領域に「5」および「10」のインデックス13が表示され、「15」と「30」とのインデックス13の間であって(+X,−Y)領域に「20」および「25」のインデックス13が表示され、「30」と「45」とのインデックス13の間であって(−X,−Y)領域に「35」および「40」のインデックス13が表示され、「45」と「60」とのインデックス13の間であって(−X,+Y)領域に「50」および「55」のインデックス13が表示されている。
【0073】
(実施形態の第2変形例に係る表示機構の作用)
続いて、本実施形態の第2変形例に係る表示機構40の作用について説明する。以下では、表示機構40を構成する指示部42が、時刻7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が7分30秒)を示す変曲点P8の位置から動作を開始し、時刻15分を示す変曲点P1を経由して時刻22分30秒を示す変曲点P2の位置に到達するまでの、15分間における指示部42の動作について順を追って説明する。なお、以下では、変曲点P8の位置を「初期位置」ということがある。
【0074】
指示部42が時刻7分30秒を示す初期状態において、カム部251の最内部254aは、(−X,+Y)領域の初期位置に配置される。また、カム従節ユニット55のアーム部58は、ほぼX軸線上の初期位置に配置される。また、カム従節ユニット55におけるレバー60の従節部61は、(−X,+Y)領域であって、カム面252の最内部254aに当接している。
【0075】
時間の経過にともなって、カム部251およびカム従節ユニット55が第1軸C1周りに回転する。このとき、カム部251は、1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転し、カム従節ユニット55は、1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転するように構成されている。したがって、カム従節ユニット55の従節部61は、第1の副カム面253aに摺接しつつ最外部254bに向かって移動する。
【0076】
ここで、第1の副カム面253aは、最内部254aから最外部254bに向かって、第1軸C1との離間距離が漸次大きくなるように形成されている。したがって、従節部61は、第1の副カム面253aに沿って、第1軸C1に対して漸次離間する方向に移動しながらカム部251の周りを回転する。これにより、レバー60は、カム従節ユニット55の回転にともなうレバー60の従節部61の移動により、回動しながらカム部251の周りを回転移動する。このとき、指示部42は、第1軸C1から漸次離間する方向(すなわち径方向の外側)に移動する。
また、レバー60の回動による動力は、レバー歯車62およびポインタ歯車43により形成された動力伝達部35を介して、ポインタ41に伝達される。これにより、ポインタ41は、第2軸C2を中心に回動しながらカム部251の周りを時計回り方向に回転する。そして、ポインタ41の指示部42は、「10」のインデックス13を通過し、「15」のインデックス13に向かって曲線状の軌跡を描くように移動する。
【0077】
そして、動作開始からの経過時間が7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が15分)となったとき、カム部251は、
図12に示す初期位置から反時計回り方向に135°回転して、最外部254bが(−X,+Y)領域に移動する。また、カム従節ユニット55のアーム部58は、初期位置から時計回り方向に45°回転し、(+X,+Y)領域に移動する。また、カム従節ユニット55におけるレバー60の従節部61は、最外部254bに当接する。このとき、カム部251とカム従節ユニット55とは、初期位置から相対的に180°回転する。したがって、レバー60の従節部61は、初期位置である最内部254aから相対的に180°回転移動し、第1軸C1から径方向の外側に最も離間した最外部254bに配置される。これにより、指示部42は、レバー60の回転移動にともなって、第1軸C1に対して離間する方向(すなわち径方向の外側)に移動されて、最も径方向の外側に位置したときに「15」のインデックス13を表示する。
【0078】
動作開始からの時間が7分30秒(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の時間が15分)経過すると、カム面252の最外部254bを通過して、第1の副カム面253aから第2の副カム面253bに移動する。これにより、「15」のインデックス13に対応した位置には、変曲点P1が形成される。
さらに、時間の経過にともなって、カム従節ユニット55の従節部61は、カム部251の周方向に相対的に回転し、第2の副カム面253bに摺接しつつ最内部254aに向かって移動する。このとき、指示部42は、時の経過にともない、時計回り方向に回転しながら第1軸C1に接近する方向(すなわち径方向の内側)に移動しつつ、「20」のインデックス13を表示する。
【0079】
そして、初期位置である変曲点P8から動作を開始し、経過時間が15分(すなわち、「60」のインデックス13の位置から、指示部42が移動し始めた後の経過時間が22分30秒)となったとき、カム部251が初期位置から反時計回り方向に270°回転するとともに、カム従節ユニット55が初期位置から時計回り方向に90°回転して、レバー60の従節部61が、再度カム面252の最内部254aに当接する。なお、このとき、カム部251とカム従節ユニット55とは、初期位置から相対的に360°回転している。これにより、ポインタ41の指示部42は、レバー60の回転移動にともなって、第1軸C1に対して接近する方向(すなわち径方向の内側)に移動されて、最も径方向の内側の変曲点P2に対応する位置に配置される。
以降、上記動作が繰り返されることにより、指示部42は、花弁状の複雑な移動軌跡を描いて変曲点P1〜P8を形成しつつ、第1軸C1周りを時計回り方向に回転して各インデックス13を表示することができる。
【0080】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0081】
実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、カム部51,151,251が1時間に3回転の回転速度で反時計回り方向に回転するとともに、カム従節ユニット55が1時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転するように構成されていたが、カム部51およびカム従節ユニット55の回転速度は、これに限定されない。例えば、カム部51,151,251が12時間に5回転の回転速度で時計回り方向に回転するとともに、カム従節ユニット55が12時間に1回転の回転速度で時計回り方向に回転するように構成されていてもよい。この場合、指示部42は、第1軸C1周りに一回転する間に、第1軸C1に対して接近又は離間する方向へ6往復移動することができるので、例えば指示部42を時針として採用するのに好適である。このように、カム部51,151,251およびカム従節ユニット55の回転速度を種々変更することにより、指示部42の移動軌跡を所望の形状とすることができる。
【0082】
実施形態の表示機構40は、時計回り方向に漸次直径が大きくなるカム面52としていたが、凹曲面状または凸曲面状に形成された複数の副カム面を周方向に連設し、凹凸が形成されたカム面52としてもよい。この場合、指示部42は、各変曲点P1〜P8間において、揺動するように軌跡を描きながら移動することができる。このように、カム面52の形状を種々変更することにより、指示部42の移動軌跡を所望の形状とすることができる。
【0083】
実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、レバー歯車62とポインタ歯車43とにより、レバー60の動力をポインタ41に伝達する動力伝達部35が形成されていたが、動力伝達部35の形態は、実施形態および実施形態の各変形例に限定されない。例えば、ベルトとプーリーとによりレバー60とポインタ41とを連結することにより、動力伝達部35が形成されていてもよい。
【0084】
実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、指示部42が星形状に形成されてインデックス13の各数字を表示していたが、指示部42の形状は実施形態および実施形態の各変形例に限定されることはなく、種々の形状に変更が可能である。したがって、例えば、指示部42の形状を針状としてもよいし、指示部42の形状をリング状としてもよい。
【0085】
実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、第1軸C1を共通の回転中心軸として、カム部51,151,251およびカム従節ユニット55が回転していたが、カム部51,151,251の回転中心軸とカム従節ユニット55の回転中心軸とが同軸でなくてもよい。
【0086】
文字板11上のインデックス13の表示の形態は、実施形態および実施形態の各変形例に限定されることは無く、種々変更が可能である。
また、実施形態および実施形態の各変形例の表示機構40は、ポインタ41が分針の機能を有しており、指示部42が分を示していた。これに対して、ポインタ41が秒針の機能を有しており、指示部42が秒を示してもよいし、ポインタ41が時針の機能を有しており、指示部42が時を示してもよいし、ポインタ41が曜針の機能を有しており、指示部42が曜を示してもよい。すなわち、表示機構40は、分の情報を表示する態様に限定されない。
【0087】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。