(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記処理トレイに搬送されたシートが前記掻き込み手段の前記掻き込み処理により前記規制ストッパに到達した後に、前記第1の整合手段の前記一対の整合部材同士の間隔を前記シートの前記幅方向の寸法と略等しい間隔とする整合動作をさせるべく、前記第1の整合手段及び前記第2の整合手段を制御する請求項1記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記第2の整合手段に前記予備整合動作をさせ、更に前記第1の整合手段に前記整合動作をさせた後に、前記第2の整合手段の前記一対の整合部材を前記受け入れ位置に移動する請求項3に記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記シート掻き込み手段が前記掻き込み処理を開始した後に、前記第2の整合手段の前記一対の整合部材を前記受け入れ位置に移動する請求項3に記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記第1の整合手段による前記整合動作に合わせて、前記第2の整合手段の前記一対の整合部材を前記受け入れ位置に移動する請求項3に記載のシート後処理装置。
前記シート支持面は、前記第1の高さ位置ではシートを前記処理トレイの紙載面とほぼ同一の高さ姿勢で支持し、前記第2の高さ位置ではシートを前記処理トレイの紙載面から下方に湾曲させる姿勢で支持する請求項14に記載のシート後処理装置。
前記第2の整合手段の前記一対の整合部材の少なくとも一方は、前記第1の高さ位置で前記スタックトレイ上の最上シート面を押圧するようにスタックトレイ上の最上シートの積載量に応じて上下動可能に構成されている請求項14乃至16の何れかに記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記高さ方向シフト手段を制御して、前記整合部材を前記排紙口から前記処理トレイに搬送されるシート又は前記処理トレイから前記スタックトレイに搬送されるシートの何れの移動軌跡からも退避している第3の高さ位置に移動可能にする請求項14乃至17の何れかに記載のシート後処理装置。
シート上に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から搬送されてきたシートに後処理を施してスタックトレイに収納するシート後処理装置とから構成され、前記シート後処理装置は請求項1乃至19の何れかに記載のシート後処理装置である画像形成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2で示されているような、処理トレイとスタックトレイのそれぞれに整合手段を備えるシート後処理装置は、処理トレイ上に搬送されたシートを処理トレイに設けた整合手段によってシートの幅方向から整合し、その後、スイッチバックさせたシートの
後端が基準フェンスに突き当てることでシートの搬送方向での位置を整合している。このとき、シートの幅方向での整合は、長尺シートの場合にはシートがスタックトレイにも架かるため、処理トレイに設けた整合手段による整合動作と共に、スタックトレイの整合手段によってもシートの整合を行っている。
【0008】
しかしながら、長尺シートはシートの搬送方向の寸法が長いため、排紙口から排出されて搬送するときに搬送方向に対してずれた状態、いわゆるスキューした状態で搬送されたり、或いは排出口から排出された状態で既にスキューしていることもある。このようにスキューした状態で処理トレイに導入されてくると、その位置ずれの度合いが大きい場合には、
図21で示すように、シートの搬送方向での
後端の角部が処理トレイの整合手段と当接して座屈するとジャム等の不具合を生じる。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み為されたもので、処理トレイとスタックトレイのそれぞれに整合手段を備えたシート後処理装置において、各整合手段が協働して整合動作を行う際、スキューした状態で搬送されてくるシートを効果的に矯正し得るシート後処理装置及びこれを用いた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため
、本発明は、排紙口を有する排紙経路と、前記排紙経路に沿ってシートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記排紙口から搬送されたシートを後処理するための処理トレイと、前記処理トレイに搬送されたシートの前記搬送方向での後端部に当接する規制ストッパと、前記処理トレイ上に搬送されたシートを前記規制ストッパに向けて掻き込
んで移動する掻き込み処理を施すシート掻き込み手段と、前記
処理トレイ上に搬送されたシートを、
前記搬送方向と直交する
幅方向に整合する
一対の整合部材を有する第1の整合手段と、前記第1の整合手段に対して
前記搬送方向下流側に配置され、前記排紙口から前記処理トレイ上に搬送されたシートを
前記幅方向に整合する
一対の整合部材を有する第2の整合手段と、前記処理トレイ上のシートに所定の後処理を施すシート後処理手段と、
前記シート後処理手段により前記後処理を施されたシートを前記処理トレイから排出する排出手段と、前記排出手段によって排出される
前記後処理
を施されたシートを集積するスタックトレイと、
前記排紙口から前記処理トレイに搬送されたシートのサイズを認識する認識手段と、前記認識手段により認識される前記シートのサイズに応じて、前記シート掻き込み手段が
前記掻き込み処理を開始する前に、前記第1の整合手段
の前記一対の整合部材同士の間隔又は前記第2の整合手段
の前記一対の整合部材同士の間隔の何れかを
前記シートの
前記幅方向の寸法より長い間隔
とする予備整合動作を
させるべく、前記第1の整合手段及び前記第2の整合手段を制御する制御手段と、を
備える。ここで、前記後処理手段は、例えば、前記処理トレイに積載されたシートを綴じ処理するステープルユニットである。
【0011】
そして、前記制御手段は、前記処理トレイに搬送されたシートが前記規制ストッパに到達した後に、前記第1の整合手段をシートの幅方向の寸法と略等しい間隔での整合である整合動作を行わせる。
【0012】
このとき、前記搬送手段による搬送速度は高速搬送モードに切換可能であって、前記高速搬送モードにおいて、前記制御手段は、前記第2の整合手段を前記予備整合位置に移動させたときは、前記処理トレイにシートを搬入する際、前記第2の整合手段を前記シートが受け入れ可能な受け入れ状態にする。
【0013】
このように、前記第2の整合手段を前記シート受け入れ状態にするタイミングとしては、前記第1の整合手段によるシートの前記整合動作が終了した後、又は前記シート掻き込み手段により前記規制ストッパに向けてのシートの搬送動作を開始した後、又は前記第1の整合手段によるシートの前記整合動作に合わせて、又は前記後処理手段による後処理動作が終了した後、の何れかで行うとよい。
【0014】
前記制御手段は、前記第1の整合手段を前記整合動作させた後に、前記第2の整合手段を前記整合動作させる。
【0015】
このとき、前記制御手段は、前記処理トレイに搬送されたシートが前記規制ストッパに到達した後に、前記第1の整合手段に合わせて前記第2の整合手段を前記整合動作させてもよい。
【0016】
また、前記制御手段は、前記第2の整合手段を前記整合動作させた後に、前記第1の整合手段を前記整合動作させてもよい。
【0017】
前記制御手段は、前記スタックトレイにシートを排出する際には、前記第2の整合手段を前記受け入れ状態にする。
【0018】
そして、前記制御手段は、前記第2の整合手段を前記受け入れ状態とした後に、前記第1の整合手段を前記受け入れ状態にする。
【0019】
また、前記制御手段は、前記第2の整合手段を前記予備整合動作させた後に、前記第1の整合手段を前記予備整合動作させる。
【0020】
前記第1の整合手段は、少なくとも一方がシートの搬送方向と直交するシート幅方向に位置移動させる左右一対の整合板を備えている。
【0021】
また、前記第2の整合手段は、少なくとも一方がシートの搬送方向と直交するシート幅方向に位置移動させる左右一対の整合部材を備えて、前記整合部材は、前記排紙口から前記処理トレイに搬送されるシートの下面を支持するシート支持面と、前記処理トレイ上に搬入したシートの側端面を所定の処理位置に整合するサイド規制面とを有する。
【0022】
そして、前記整合部材の少なくとも一方を高さ方向に上下動させる高さ方向シフト手段を備え、前記制御手段は、前記排紙口から前記処理トレイにシートを搬入する際には前記シート支持面が第1の高さ位置となり、前記処理トレイから前記スタックトレイにシートを移送する際には前記シート支持面が第2高さ位置となるよう前記高さ方向シフト手段を制御する。
【0023】
このとき、前記シート支持面は、前記第1の高さ位置ではシートを処理トレイの紙載面とほぼ同一の高さ姿勢で支持し、前記第2の高さ位置ではシートを処理トレイの紙載面から下方に湾曲させる姿勢で支持する。
【0024】
一方、前記整合部材は、前記第1及び第2の高さ位置間を揺動可能に軸支持されている。そして、前記整合部材は、前記第1の高さ位置の状態で前記スタックトレイ上の最上シート面を押圧するようにスタックトレイ上の最上シートの積載量に応じて上下動可能に構成されている。
【0025】
また、前記制御手段は、前記高さ方向シフト手段を制御して、前記整合部材を前記排紙口から前記処理トレイ又は前記処理トレイから前記スタックトレイに搬送されるシートの何れの移動軌跡からも退避している第3の高さ位置に移動可能にしている。
【0026】
本発明に係わる画像形成システムは、シート上に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から搬送されたシートに後処理を施してスタックトレイに収納する上記したシート後処理装置とから構成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1及び第2の整合手段が整合位置に移動する前に予備整合位置Ap1を設定して予め幅寄せすることで、スキューした状態で搬送されてくるシートを矯正しながら規制ストッパ搬送するために、安定した動作の後処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[画像形成システム]
図1に本発明にかかわる画像形成システムの全体構成を示す。同図の画像形成システムは画像形成装置Aと後処理装置Bで構成され、画像形成装置Aで画像形成したシートを後処理装置Bで一時的に部揃え収納してステープル綴じした後にスタックトレイに収納する。そして、画像形成装置Aにおいて画像形成条件と共に後処理(仕上げ処理)モードを設定することで、後処理装置Bは、設定された後処理モードに応じて仕上げ処理した後にシートをスタックトレイに収納するよう構成されている。以下、画像形成装置A及び後処理装置Bについて説明する。
【0030】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、シート上に静電印刷機構で画像を形成する場合を示し、給紙部2と画像形成部3と排紙部4とで構成されている。装置ハウジング1には画像形成するシートを収納した給紙部2が内蔵され、この給紙部2は、ハウジング1に着脱自在で給紙カセット2a、2b、2cによって構成されており、給紙カセット2a、2b、2cは各シートサイズに対応している。
【0031】
画像形成部3は、給紙部2から搬送されてくるシートへデータ処理部9から転送された画像データに従って画像形成する。図示の画像形成部3は静電印刷機構を示し、感光ドラム8に静電潜像を形成するビーム投光器と、静電潜像にトナーインクを付着する現像器10と、転写チャージャ11とクリーナとで構成されている。これらの具体的な構成と動作については広く知られているために、詳細な説明については省略する
そして、給紙部2からレジストローラ7に搬送されたシートに感光ドラム8に形成した画像インクを転写チャージャ11で転写する。転写チャージャ11の下流側には定着ローラ12が配置されシート上の画像を加熱定着して排紙部4に搬送する。排紙部4は装置ハウジング1に配置された排紙口13と、排紙ローラ15とで構成される。
【0032】
データ処理部9は、画像読取ユニット5が読み取った画像データ、或いは外部のネットワーク、コンピュータ入力装置などから送られた画像データを設定された画像形成条件に応じて前述のビーム投光器に電気信号として送信する。
【0033】
図示の装置は、画像形成装置Aと一体な画像読取ユニット5と、このユニットに原稿シートを給送する原稿自動給送装置19とを備えている。画像読取ユニット5は、原稿シートを載置するプラテン16と、このプラテンに沿って移動する読取キャリッジ17とで構成されて、プラテン16上の原稿をキャリッジでスキャニングして画像データに変換するスキャナ装置で構成されている。また原稿自動給送装置19は、給紙トレイ20にセットした原稿をプラテン16に自動的に給送するユニットとして画像読取ユニット5に一体に取り付けられている。デュープレックスパス14は、画像形成部3から画像形成されるシートを表裏反転してレジストローラ7に循環搬送し、シートの裏面側に画像形成部3で画像形成し排紙部4から本体排紙口13に搬出する。
【0034】
画像形成装置Aは上記の静電印刷機構以外にも、インクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式などの種々の画像形成機構が採用可能である。
【0035】
[後処理装置]
本発明に係わる後処理装置Bは、
図1に示すように画像形成装置Aから搬送されてくる画像形成済のシートが搬入されると、シートを処理トレイ25に部揃えして収納した後、仕上げの後処理(ステープル綴じ処理、ジョグ区分け処理、折り処理等)を施し、処理したシート(束)をスタックトレイ30に収納する。
【0036】
図2は、後処理装置Bの詳細を示しており、装置ハウジング21と、このハウジングに配置された排紙経路22と、排紙経路22から搬送されたシートを一時的に収納する処理トレイ25と、後処理されたシートを積載収納するスタックトレイ30とで構成されている。
【0037】
以下、本発明に係わる後処理装置Bについて説明していく。
【0038】
[排紙経路]
排紙経路22は、装置ハウジング21を横断する略水平方向に直線状に形成されており、入口側には画像形成装置Aの本体排紙口13に連結する搬入口23が設けられて、画像形成装置Aから搬送されてくるシートを処理トレイ25に案内するよう構成されている。
【0039】
排紙経路22には、搬入ローラ26と搬送ローラ27と排紙ローラ28とを順次配置して構成される搬送手段が設けられ、
図2では示されていないがローラ駆動モータ53(
図13参照)に連結されて、シートを搬入口23から排紙口24に向けて搬送する。また、排紙経路22には、搬入口側に搬入センサSe1が、排紙口側に排紙センサSe2が配置され、これらのセンサは、シートの先端と後端をそれぞれ検出すると、後述する制御CPU50(
図13参照)に検出信号を出力する。
【0040】
[処理トレイ]
排紙口24の下流側には段差Dxを置いた下方に処理トレイ25が配置されている。処理トレイ25は、シートの排紙方向での後端部を支持する紙載台25aを備えて、スタックトレイ30との間で排紙口24から搬送されたシートを略水平方向にブリッジ支持するように配置されている。
【0041】
処理トレイ25には、シートの排紙方向(
図2では右から左の方向)での後端部を位置規制する規制ストッパ29と後処理手段31とが配置されている。よって、排紙経路22から排出されるシートは、排紙された方向とは反対の方向(
図2で右方向)に反転搬送されて、排紙口24の下方に配置されている処理トレイ25に収納される。後処理手段31は、ステープルユニットで構成され、反転搬送により紙載台25a上に積載され部揃えされたシート束をステープル針で綴じ処理する。ステープルユニットは、従来から採用されている周知のものである。
【0042】
[第1の整合手段]
処理トレイ25には、
図20で示すように、排紙口24から搬送されてくるシートの搬送方向と直交する方向に進退して位置決めする第1の整合手段である整合機構35が配置されている。
図3は、整合機構35を平面図で示しており、整合機構35は、排紙口24から処理トレイ25に搬入されたシートのセンターを基準に位置合わせを行うために、処理トレイ25上のシートの左側縁と係合する左整合板35Lと、シートの右側縁と係合する右整合板35Rとを備える。
【0043】
この左右の整合板35L及び35Rはそれぞれ処理トレイ25のシート支持面25aに形成されているガイド溝(図示せず)に嵌合支持され、シートの搬送方向と直交する方向(以下、シート幅方向という)にスライドして移動可能となっている。そして、処理トレイ25の底部には前記ガイド溝に沿って一組のプーリ対55を配置して、それぞれのプーリ対55にはベルト56が架け渡されている。そして、各ベルト56には、左右の整合板35L及び35Rがそれぞれ固定されている。また、各プーリ対55の一方のプーリにはシフトモータMZ1及びMZ2が連結されている。
【0044】
このような構成で左右一対形成されている左整合板35Lと右整合板35Rとは、それぞれのシフトモータMZ1及びMZ2の駆動でシート幅方向に往復移動する。このとき、左右のシフトモータMZ1及びMZ2を同期させて反対方向に同一量回転駆動させることで、処理トレイ25上に搬入されたシートをセンター基準で整合することが可能となる。
【0045】
整合板35L及び35Rは、装置の起動時には、
図4で示す予め設定されたホームポジションHpに位置しており、この位置にはポジションセンサが配置されている。そして、後に
図13で説明する制御CPU160が画像形成装置Aから画像形成されるシートのサイズ情報を受信すると、制御CPU160は、この情報に基づいてシフトモータMZ1及びMZ2を駆動を制御して、左右の整合板35L及び35Rを所定のシートが受け入れ可能な受け入れ位置に移動させて、シートの受け入れ状態とする。
図4では、シートの搬送方向に対してA4シートは横、A3シートは縦にそれぞれ扱う例を示しており、ホームポジションHpがそのまま排紙口24から送出されるA3又はA4シートの受け入れ位置となっており、整合機構35は受け入れ状態にある。
【0046】
そして、整合機構35が整合板35L及び35Rによってシートの整合を行う際、制御CPU160は、シフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御して、予備整合位置Ap1と整合位置Ap2の2通りに移動させる。整合位置Ap2は、シートの幅方向の寸法(A4シートでは横寸法、A3シートでは縦寸法)と略等しく、予備整合位置Ap1はこの寸法より長い寸法である。
【0047】
よって、制御CPU160は、整合機構35を予備整合動作させるときには、整合板35L及び35Rを予備整合位置Ap1に移動させる。整合板35L及び35Rが予備整合位置Ap1にあるとき、その搬送方向での中心線Cが搬送方向と平行して搬送されるシートは整合板35L及び35Rと当接することはないが、中心線Cが搬送方向とずれを生じてスキューしているシートの場合には整合板35L及び35Rと当接するため整合される。
【0048】
一方、制御CPU160は、整合機構35を整合動作させるときには、整合板35L及び35Rを整合位置Ap2に移動させる。整合板35L及び35Rが整合位置Ap2にあるときは、整合板35L及び35Rはシートと当接してシートを幅寸法に統一して整合する。
【0049】
[シート搬送機構]
図1及び
図2の説明に戻って、処理トレイ25には、排紙口24からシートを紙載台25a上に搬送する反転ローラ32と、紙載台25a上のシートを規制ストッパ29に送るシート掻き込み手段である掻き込みローラ33とが配置されている。反転ローラ32は、排紙口24から搬送されてくるシートを排紙方向に搬送した後、次に逆方向にスイッチバックして送る正逆転ローラで構成されている。
【0050】
このような反転ローラ32は、互いに圧接離間する上部ローラ32aと下部ローラ32bとで構成されており、下部ローラ32bは紙載台25aに埋設されて固定されているのに対して、上部ローラ32aは昇降アームによって昇降可能なよう装置フレーム21に取り付けられている。この昇降アームは、
図2には示されていないが昇降モータ54(
図13参照)が連結されている。そして、上部ローラ32aは、やはり
図2には示されていないが反転ローラ駆動モータ57(
図13参照)に連結されて、反転ローラ駆動モータ57の正逆転に応じて排紙方向又は逆方向(反排紙方向)に回動する。
【0051】
そして、後述する制御CPU50は、排紙センサSe2からのシート先端検知信号の発生からシート先端がローラニップ間に進入するまでの間は上部ローラ32aを離間した上昇位置に位置させ、シート先端がローラニップ間に進入した後は、上部ローラ32aを下部ローラ32bと圧接する作動位置に下降させる。これと共に、上部ローラ32aをシート後端が排紙口24から搬送するまでは排紙方向に回転し、その後には反排紙方向に回転する。これにより、排紙経路22から搬送されたシートはスタックトレイ30に向けた排紙方向に進み、シート後端が排紙口24から処理トレイ25上に進入した後は規制ストッパ29に向けた反排紙方向に進む。
【0052】
よって、制御CPU50は、排紙センサSe2でシート先端を検出した後、シート先端がローラニップ間に進入したタイミングで上方に待機している上部ローラ32aを下方のニップ位置に降下させ、下部ローラ32bと圧接した状態で排紙方向に所定量回転し、その後に反排紙方向に回転する。この制御は排紙センサSe2でシート先端を検出した信号とシート後端を検出した信号を基準に遅延回路が構成されている。
【0053】
掻き込みローラ33は、排紙口24の排紙ローラ28と一体に回転するベルト部材で構成され、排紙ローラ28から紙載台25a上の最上シートの上に垂れ下がるように配置されている。そして排紙ローラ28と同一方向に回転し紙載台上のシートに規制ストッパ29に向かう搬送力を付与する。これ以外の掻き込みローラ33としては、エンドレスベルトに限らず上下に揺動するローラ構造、パドル構造など種々の機構が採用可能である。
【0054】
また、処理トレイ25で後処理されたシート(束)は、反転ローラ駆動モータ57の排紙方向への回転による反転ローラ32の動作によりスタックトレイ30に送出される。
【0055】
[スタックトレイ]
スタックトレイ30は、排紙方向の下流側が高く上流側が低くなるように傾斜させた紙載面30aを備えて、紙載面30a上にシートを積載収納する。本実施形態では、スタックトレイ30には、排紙口24から処理トレイ25に搬送されて後処理されたシートが導入されているが、排紙口24から排出されたシートが直接導入される場合もある。
【0056】
スタックトレイ30は、装置フレーム21に垂直方向に取り付けられるガイドレール34に昇降可能に支持されるトレイ載台30cに固定されており、トレイ載台30cを駆動装置(図示しない)によって上下に移動させることで昇降する。このとき、スタックトレイ30の高さ位置は、紙載面30a又は紙載面30a上に積載収納されたシート面の位置が下部ローラ32bの高さ位置より一定の段差Dだけ低い位置となるように、図示しないセンサの検出信号に基づいて前記駆動装置は制御される。
【0057】
[第2の整合手段]
スタックトレイ30の上方には、反転ローラ32から繰り出されたシートをその幅方向に整合する第2の整合手段である整合機構38が設けられている。整合機構38は、処理トレイ25へ導入されるシートの幅方向に移動可能な整合部材38R及び38Lを有する点では整合機構35と同様であるが、整合機構38の整合部材38R及び38Lは、これ以外にも、処理トレイ25で後処理されたシート(束)のスタックトレイ30へのガイド及びスタックトレイ30に集積したシートの抑えや幅寄せを行う。そのため、整合部材38R及び38Lは、
図5及び
図6で示すように、羽根形状のプレートを折曲げ加工して、サイド規制面38xとシート支持面38yとを有する構造となっている。そして、サイド規制面38xは、シート支持面38yを境にして上方と下方との2通りのサイド規制面38x1及び38x2(
図6参照)とに分けられ、第1サイド規制面38x1によって処理トレイ25上のシートを幅規制し、第2サイド規制面38x2によってスタックトレイ30上のシートを幅規制する。この整合部材38R及び38Lは、互いに左右対称で同一構造なため、
図5及び
図6(a)では、整合部材38Rのみを側面図と搬送方向から見た正断面図とでそれぞれ示している。
【0058】
[幅方向シフト手段]
整合機構38の整合部材38R及び38Lをシート幅方向に移動させる幅方向シフト手段について説明する。
図6及び
図7において、ガイドレール36は、第1ガイドロッド36aと第2ガイドロッド36bとで構成され、装置フレーム21の左右側板にシート幅方向に装架され支持されている。ロッド36a及び36bには、左ブラッケト37Lと右ブラケット37R(
図7参照)がシート幅方向にそれぞれスライドして移動可能なように嵌合されて、この左右のブラケット37R及び37Lには整合部材38R及び38Lがそれぞれ取り付けられている。そして、第1ガイドロッド36aは断面が矩形又は凸形状等の非円形の軸で構成されて、装置フレーム21に回転可能に軸支されている。また、第2ガイドロッド36bは断面が円形の軸で構成されて、装置フレーム21に固定で支持されている。
【0059】
そして、右ブラケット37Rは右駆動ベルト39rに連結され、同様に左ブラケット37Lは左駆動ベルト39lに連結されている。この左右の駆動ベルト39r及び39lは装置フレーム21に軸支されたプーリに巻回され、プーリの一方にはシフトモータ(ステッピングモータ)SM1及びSM2が連結されている。従って、左右のブラケット37R及び37Lは、左右のシフトモータSM1及びSM2の正逆転でシート幅方向に任意の位置に移動可能となっている。
【0060】
このように、左右一対のブラケット37R及び37LにはシフトモータSM1及びSM2と伝動機構(駆動ベルトとプーリ)が連結され、互いに接近及び離間する方向に移動する幅方向シフト手段が構成されている。幅方向シフト手段としては、
図7の構造に限らず互いに反対方向に同一量ずつ移動するラック−ピニオンなどの連動機構で構成することも可能である。
【0061】
このような構成の幅方向シフト手段によって、整合部材38R及び38Lは、
図4で説明したホームポジションHpと予備整合位置Ap1と整合位置Ap2を移動する。よって、整合部材38R及び38Lは、装置の起動時には整合板35L及び35Rと同様にホームポジションHpに位置してシートの受け入れ状態にあって、制御CPU160(
図13を参照)に制御されてシフトモータSM1及びSM2が駆動することで、受け入れ位置であるホームポジションHpと予備整合位置Ap1と整合位置Ap2との間を移動する。そして、整合部材38R及び38Lは、予備整合位置Ap1と整合位置Ap2に移動したとき、それぞれのサイド規制面38x1で処理トレイ25に導入されるシートを規制する。尚、前述したように、本実施形態では、装置の起動時に整合部材38R及び38Lが位置しているホームポジションHpをそのまま受け入れ位置としているが、受け入れ位置を異なる位置に設定してもよい。その場合、整合部材38R及び38Lの受け入れ位置での両者の間隔は、ホームポジションHpでの間隔よりは狭く、予備整合位置Ap1の間隔よりは広くなるように設定される。
【0062】
[高さ方向シフト手段]
整合部材38R及び38Lは、シート幅方向にシフト可能な一方で、
図5で示す「第1の高さ位置h1」と「第2の高さ位置h2」と「第3の高さ位置h3」の異なる高さ位置に上下動可能となっている。この高さ方向シフト手段について説明する。
【0063】
前述したように、第1ガイドロッド36aは断面が非円形の軸にて構成されて、装置フレーム21に回転可能に軸支されているが、第1ガイドロッド36aにはカラー部材43が嵌合している。このカラー部材43の内径孔43aは、ガイドロッド36aに軸方向(
図6(a)で左右方向)に摺動可能(遊嵌)で、周方向には一体となって回転するように嵌合されている。
【0064】
よって、第1ガイドロッド36aを角度制御モータMd(
図5参照)によって正逆回転させると、カラー部材43も同一方向に一体となって回転するがロッド軸方向(シート幅方向)には拘束されることなく自由に摺動する。そして、
図6(a)及び(b)で示すように、カラー部材43には揺動アーム44が一体に形成され、さらに揺動アーム44には連結ピン44pで整合部材38R(38L)が嵌合して連結されている。
【0065】
よって、角度制御モータMdの回転によりガイドロッド36aを回転させると、その回転力がカラー部材43を介してこれと一体の揺動アーム44に伝えられ、整合部材38R及び38Lが回転する。このとき、カラー部材43には、角度検出用のポジションセンサSp1とフラグ43f(
図6(b)参照)が配置されており、このフラグ43fをポジションセンサSp1で検出し、その検出信号を基準に角度制御モータMdの回転角度を制御することによって、整合部材38R及び38Lは第1高さ位置h1、第2高さ位置h2、第3高さ位置h3にそれぞれ移動する。整合部材38R及び38Lの高さ位置を調整するには、ポジションセンサSp1によってフラグ43fを検出する以外にも、整合部材38R及び38Lの角度位置を直接検出する方法や、角度制御モータMdの回転数を検出する等の方法がある。
【0066】
整合部材38R及び38Lが第1の高さ位置h1にあるときは、整合部材38R及び38Lの最下端がスタックトレイ30上の最大積載高さより高い位置[Hmax>最大積載高さ](
図5参照)に設定されている。これは排紙口24から処理トレイ25に搬入したシートを整合する整合部材38R及び38Lの整合動作が、下方に位置するスタックトレイ30に積載されているシートに阻害されて移動できないのを防ぐためである。これにより、整合部材38R及び38Lは、スタックトレイ30に積載されているシートのサイズ姿勢と無関係に処理トレイ25上のシートを正確な規制位置に位置決めすることができる。特に、スタックトレイ30に積載されているシートの積載基準に対し、処理トレイ25上で後処理するために整合するシートを所定量オフセットさせてシート幅方向を位置決めすることが可能となり、ステープラ装置などの後処理手段31を装置ハウジング内部の窪んだ位置に配置することが可能となる。このことは、従来のように処理トレイ25上の処理位置に装置内部から後処理手段を出没させて後処理するユニット移動機構を備える必要がないことを意味する。
【0067】
そして、第1の高さ位置h1では、整合部材38R及び38Lのシート支持面38yは実質的に処理トレイ25の高さ位置と同一平面を形成する高さ位置に設定されるために、このとき整合部材38R及び38Lは、
図8(b)に示すように、排紙口24から処理トレイ25に矢印方向に移動するシートをその下面を支持することによってガイドする。このガイド動作では、左右の整合部材38R及び38Lはシート幅より広いホームポジションHp(シート受け入れ位置)にある。
【0068】
さらに、高さ位置h1では、整合部材38R及び38Lは、その自重により紙圧面38zでスタックトレイ30上の最上紙を押圧している。この自重による押圧作用は整合機構38と、連結ピン44pとの間に形成されているスリット(カム溝)38sにより達成される。すなわち、
図8(b)に示すように、連結ピン44pが整合機構38に形成されたスリット38s(カム機構)に嵌合しているため、整合部材38R及び38Lはスタックトレイ30上の最上シートの上にその自重で係合する。従って、整合部材38R及び38Lは、スタックトレイ30上の最上シートの積載量に応じて上下動可能に構成され、図示のγで示す範囲で上下動可能となる。
【0069】
図9は、整合部材38R及び38Lが第1の高さ位置h1にあって、シートが処理トレイ25上に搬入される状態を正面から示しており、排紙口24から搬送されたシートは処理トレイ25とシート支持面38yとに載置されて支持されている。尚、
図9及び
図10おいては説明の便宜上、予備整合位置Ap1と整合位置Ap2とを区別せずに整合ポジションApで表記している。
【0070】
そして、処理トレイ25上にシートが1枚づつ搬入されると、その都度、
図10で示すように、整合部材38R及び38LはホームポジションHpから整合ポジションApに移動して整合する。
図10において、整合部材38R及び38Lを所定量Δdだけ上昇させるのは、整合部材38R及び38LをホームポジションHpから整合ポジションApに移動したとき、スタックトレイ30の積載シートに位置ズレを引き起こすのを防止するためである。すなわち、整合部材38R及び38Lは、紙圧面38zでスタックトレイ30に積載されているシートを押圧する位置に設定されているために、整合部材38R及び38Lが整合ポジションApへ移動すると、その摩擦力でスタックトレイ30の積載シートも移動する。これを防止するために、整合部材38R及び38Lを所定量Δd上昇させて、紙圧面38zとシート面との間に隙間Δhを形成することで積載シートの移動を阻止している。
【0071】
図8(c)は、整合部材38R及び38Lが第2の高さ位置h2にあるときを示しており、整合部材38R及び38Lの下端位置は紙載面30aより低い位置に設定されている。紙載面30aには凹陥部30zが形成されており、実質的に整合部材38R及び38Lは紙載面30aより低い位置に位置している。
【0072】
図11は、整合部材38R及び38Lが第2の高さ位置h2にあるときに、シートが処理トレイ25からスタックトレイ30へ移動する状態を正面から示している。この状態では、整合部材38R及び38Lは、ホームポジションHpや整合ポジションApとは異なるスタックポジションWp1に位置している。そして、処理済のシート(束)は、処理トレイ25だけで支持されて、整合部材38R及び38Lのシート支持面38yの上方を移動する。
【0073】
そして、
図12で示すように、第2の高さ位置h2にある整合部材38R及び38Lは、スタックポジションWp1からスタックシート整合ポジションWp2に位置移動させると、スタックトレイ30上のシートはシート幅方向の位置が基準位置に一致するように整合され、この動作の後、整合機構38を
図9のホームポジションHpによるシート受け入れ位置に復帰させる。
【0074】
そして、整合部材38R及び38Lが第3の高さ位置h3にあるときには、
図8(a)で示すように、整合部材38R及び38Lは、排紙口24から処理トレイ25に移動するシートの移動軌跡(シート搬入パス)Pa及び排紙口24からスタックトレイ30に移動するシートの移動軌跡(シート搬送パス)Pbの両方の外方に退避した位置にあり、処理トレイ25上に搬入するシート及びスタックトレイ30に搬入するシートの何れとも当接することがない。よって、シートジャム等が発生した際、整合部材38R及び38Lを第3の高さ位置h3に移動させて装置を停止させれば、排紙経路にジャムしたシートを取り除くときに整合機構38が邪魔になることがない。
【0075】
[制御構成]
次に、本発明に係わる後処理装置Bの制御構成を
図13のブロック図に従って説明する。制御CPU50は、ROM51に記憶されているプログラムを実行して、画像形成されたシートを部揃えして後処理(ステープル綴じ)を施し、綴じ処理したシート(束)をスタックトレイ30に搬出する後処理装置Bの動作全体を制御する制御手段である。このとき、制御CPU50は、画像形成装置Aの本体制御部45からシートサイズ(搬送方向と直交する方向の長さも含む)情報と、シート性状(紙厚さ、材質、カール度合い)情報と、給紙経路情報、搬送経路情報とジョブ終了信号を受信すると、RAM52に記憶されている制御データに基づき後処理動作を制御する。
【0076】
よって、制御CPU50は、ROM51に記憶されているプログラムを実行することで、上流の画像形成装置Aから搬送されたシートを排紙経路22に受け入れる排紙制御部50a、シート整合制御部50b、後処理制御部50c及びシート束搬出制御部50dとして機能する。以下、制御CPU50の制御動作を、これら制御部50a乃至50d毎に説明する。
【0077】
排紙制御部50aは、排紙経路22に搬入されたシートを排紙ローラ28で排紙口24に向けて搬送するようにローラ駆動モータ53を制御する。排紙制御部50aは、これと共に、シートが排紙口24から搬送されたときには上部ローラ32aを待機位置に待機させ、シート先端が通過した後に上部ローラ32aを下部ローラ32bに圧接させて、この反転ローラ32を排紙方向へ回転させた後、シート後端が排紙センサSe2を通過したタイミングで反転ローラ32の搬送方向を反転する。この動作は、反転ローラ32の昇降モータ54と反転ローラ駆動モータ57の正逆回転を制御することで達成される。この場合、排紙制御部50aは、本体制御部45からの指令に応じて、排紙ローラ28で排紙口24に向けての搬送スピード及び反転ローラ32による搬送スピードが高速となるよう、ローラ駆動モータ53と反転ローラ駆動モータ57の回転を高速に切り替えて高速搬送モードとすることができる。
【0078】
シート整合制御部50bは、シフトモータSM1及びSM2の駆動を制御することで、左右の整合部材38R及び38Lをシート幅方向へ移動位置を制御する。また、シート整合制御部50bは、シフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御して、整合機構35の左整合板35L及び右整合板35Rをシート幅方向へ移動位置を制御する。
【0079】
また、シート整合制御部50bは、本体制御部45からの指示に応じて、排紙経路22からのシートをスタックトレイ30に直接導入するか、又は処理トレイ25に搬送されて後処理されたシートをスタックトレイ30に導入するよう、反転ローラ32の昇降動作と回転動作を制御すると共に、シフトモータSM1及びSM2と角度制御モータMdの動作を制御する。
【0080】
後処理制御部50cは、ステープル綴じ、パンチ穿孔、スタンプ捺印などの後処理手段31を制御する。この場合、後処理制御部50cは、本体制御部45からのジョブ終了信号によって最後のシートが処理トレイ25に搬入されたことを認識すると、そのシートを幅方向で整合した後、後処理手段31のドライブモータに起動信号を送信する。この信号を受けて、後処理手段31は綴じ動作を実行し、その動作終了後にエンド信号を制御CPU50に送る。
【0081】
シート束搬出制御部50dは、後処理手段31からのエンド信号を受けて反転ローラ32で処理トレイ25上のシート束を圧接し、スタックトレイ30の方向に反転ローラ駆動モータ57を駆動する。この動作により、処理トレイ25上のシート束は下流側のスタックトレイ30に収納される。
【0082】
[整合動作の制御]
上記構成による後処理装置Bにおいて、本発明は排紙口24から送出されるシートの中心線C(
図4参照)が搬送方向と平行となるように整合機構35及び38による整合動作を制御するものである。以下、制御CPU50による整合機構35及び38の制御をフローチャートに基づいて説明する。
【0083】
図14のフローチャートにおいて、シート整合制御部50bは、ステップS1ではシートのサイズが大サイズ(A3縦)であるかを、本体制御部45から送信されてくる信号に応じて判別する。そして、大サイズである場合には、シートの重心G1は
図19で示すように整合部材38R及び38Lに近いため、ステップS2で整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1となるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する(ステップS2)。
【0084】
そして、排紙制御部50aは、反転ローラ32の昇降モータ54と、反転ローラ駆動モータ57の正逆回転及びローラ駆動モータ53を制御して、シートを規制ストッパ29に向けて掻き込むよう反転ローラ32及び掻き込みローラ33を駆動する(ステップS3)。続いて、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御(ステップS4)した後、ステップS7の処理となる。
【0085】
一方、シート整合制御部50bは、ステップS1でシートのサイズが大サイズでない(A4横)ことを判別すると、ステップS5に進み、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御する。そして、排紙制御部50aは、反転ローラ32の昇降モータ54と反転ローラ駆動モータ57の正逆回転とローラ駆動モータ53とを制御して、シートを規制ストッパ29に向けて掻き込むよう反転ローラ32と掻き込みローラ33とを駆動(ステップS6)させて、ステップS7の処理となる。よって、シートのサイズが大サイズでない場合には、シートの重心は処理トレイ25側にあるために、整合部材38R及び38Lを予備整合位置Ap1とする制御は行わない。
【0086】
ステップS7で、シート整合制御部50bがセンサからの検出信号又は掻き込み開始からシートが規制ストッパ29に達するまでに要する所定時間が経過したことを検知すると、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御する(ステップS8)。
【0087】
次のステップS9では、シート整合制御部50bは、本体制御部45から高速搬送モードが指示されているかを判別し、高速搬送モードでないときは、ステップS10でシートのサイズが大サイズであるかを確認し、大サイズであるとステップS11で整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。この場合、シートのサイズが大サイズでない場合は直接、次のステップS13に進む。
【0088】
しかし、シート整合制御部50bは、ステップS9で高速搬送モードであることを判別すると、ステップS12で整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置HpとなるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御してステップS13の処理となる。尚、ステップS12での処理において、このときシートが大サイズでない場合には、ステップS12までに至る処理過程においてステップS4を経過しておらずその処理が実行されていないために、整合部材38R及び38Lは最初からシート受け入れ位置Hpに維持されていることになる。
【0089】
ステップS13では、シート整合制御部50bは、本体制御部45からの信号により排紙口24から送出されてきたシートが最終シートであるかを判別する。最終シートではない場合、ステップS1からの処理が繰り返される。
【0090】
ステップS13で最終シートであることを判別すると、ステップS14の処理となり、後処理制御部50cによって後処理手段31の綴じ動作が制御される。そして、シート整合制御部50bは、整合部材38R及び38Lをシート受け入れ位置Hpに復帰するようシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する(ステップS15)。このステップS15の処理では、通常搬送モード且つシートが大サイズの場合には、整合部材38R及び38Lが整合位置Ap2からシート受け入れ位置Hpに移動することになるが、これ以外の場合には、整合部材38R及び38Lは最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。続いて、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lを整合位置Ap2からシート受け入れ位置Hpに復帰するようシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御(ステップS16)して、後処理動作を終了する。
【0091】
このように、本発明に係わる後処理装置Bは、整合機構35及び38を整合位置Ap2に移動する前に予備整合位置Ap1を設定し、規制ストッパ29に到達する前のシートに対して予め幅寄せするものである。この場合、処理トレイ25とスタックトレイ30の両方に跨りその重心がスタックトレイ30に近いA3縦のような長尺なシートに対しては、スタックトレイ30側の整合機構38によって予備整合位置Ap1で幅寄せし、その重心が処理トレイ25に近いA4横のような搬送方向の辺が短尺なシートに対しては、処理トレイ25側の整合機構35によって予備整合位置Ap1で幅寄せしている。そして、予備整合位置Ap1での幅寄せ後、シートが規制ストッパ29に到達すると、処理トレイ25側の整合機構35を整合位置Ap2に移動させて、シートをその幅寸法で整合する。
【0092】
これにより、
図21に示すように、整合機構35及び38をシート受け入れ位置(ホームポジション位置)Hpから整合位置Ap2へと急に整合動作を行ったとき、スキューした状態で規制ストッパ29に導入されてくるシートについてはその先端が整合板35Lへ突き当たり途中で座屈してしまい、シートが整合されない状態で規制ストッパ29に到達するとジャムする原因となる。しかし、シートの重心位置に応じて、整合機構35又は整合機構38により予備整合位置Ap1でいったん幅寄せすることで、シートは、スキューした状態が解消されながら搬送され、そして、規制ストッパ29まで搬送された後、シートは、整合機構35によって整合位置Ap2で整合される。
【0093】
次に、制御CPU50による整合機構35及び38に対する上記制御の変形例を説明する。
【0094】
(変形例1)
図14のフローチャートによると、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lが整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御(ステップS8)した後、高速搬送モードの場合には、整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置Hpへと移動するように、シフトモータSM1及びSM2の駆動を制御(ステップS12)しているが、反転ローラ駆動モータ57によりシートを規制ストッパ29に向けて搬送した後、すなわち、整合板35R及び35Lが整合位置Ap2となる前に、整合部材38R及び38Lがシート受け入れ位置Hpとなるようにしてもよい。
【0095】
図15はこの変形例1でのフローチャートを示している。このフローチャートは、
図14のフローチャートでのステップS4又はステップS6に続くもので、このとき、反転ローラ32と掻込みローラ33は、シートを規制ストッパ29に向けて掻き込む動作を開始している。
【0096】
ステップS20では、シート整合制御部50bは、高速搬送モードであるかを判別し、高速搬送モードの場合にはステップS21の処理となり、整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置HpとなるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。前述したように、このとき、シートが大サイズでない場合には、ステップS4での処理が実行されておらず、整合部材38R及び38Lは最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。一方、高速搬送モードでないときは、直接ステップS22の処理となる。
【0097】
ステップS22では、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御する。よって、高速搬送モードの場合には、整合板35R及び35Lが整合位置Ap2となる前に、整合部材38R及び38Lはシート受け入れ位置Hpに維持されている。
【0098】
そして、シート整合制御部50bは、シートのサイズが大サイズであるかを確認し(ステップS23)、大サイズの場合は高速搬送モードであるかを判別し(ステップS24)、高速搬送モードではないときは
図14で示すステップS11からの処理となる。一方、ステップS23でシートが大サイズでないことが確認された場合、又はステップS23シートが大サイズであってもステップS24で高速搬送モードであることが確認された場合には、
図14で示すステップS13からの処理となる。
【0099】
(変形例2)
図14のフローチャートで整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となる動作(ステップS8)に併せて、整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置Hpとなる動作(ステップS12)を行ってもよい。
【0100】
図16はこの変形例2のフローチャートを示している。このフローチャートは、
図14のフローチャートでのステップS7に続いている。
【0101】
ステップS30では、シート整合制御部50bは、高速搬送モードであるかを判別し、高速搬送モードのときはステップS31の処理となり、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御すると共に、整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置Hpとなるように、シフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。このとき、整合部材38R及び38Lについては、シートが大サイズでない場合には、最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。そして、
図14で示すステップS13からの処理となる。
【0102】
一方、高速搬送モードではないときは、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御し(ステップS32)、次にシートのサイズが大サイズであるかを確認して(ステップS33)、大サイズの場合には、整合部材38R及び38Lは予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置HpとなるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御し(ステップS34)、そして
図14で示すステップS13からの処理となる。
【0103】
(変形例3)
図14のフローチャートで後処理動作(ステップS14)の実行後に整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1からシート受け入れ位置Hpとなる動作(ステップS12)を行ってもよい。
【0104】
図17は変形例3でのフローチャートを示している。このフローチャートは、
図14のフローチャートでのステップS8の後に続いている。すなわち、シート整合制御部50bは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動した後、高速搬送モードであるかを判別し(ステップS40)、高速搬送モードではないときは、シートのサイズが大サイズであるかを確認し(ステップS41)、大サイズの場合には、整合部材38R及び38Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御(ステップS42)して、
図14のフローチャートでのステップS13での処理となる。よって、ステップS14での後処理動作後のステップS15での処理においては、シート整合制御部50bは、整合部材38R及び38Lがシート受け入れ位置Hpとなるように、シフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。このとき、整合部材38R及び38Lについては、シートが大サイズでない場合は、最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。
【0105】
一方、高速搬送モードと判別(ステップS40)したとき、又は高速搬送モードではなくシートのサイズが大サイズでないことが確認(ステップS41)された場合は、整合部材38R及び38Lを整合位置Ap2とせずにステップS13での処理となる。さらに、ステップS14からステップS15の処理となっても、整合部材38R及び38Lを最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。
【0106】
(変形例4)
図14のフローチャートにおいて処理される整合板35R及び35Lの整合動作(ステップS8)と、整合部材38R及び38Lの整合動作(ステップS11)とを同時に行ってもよい。
【0107】
図18は、この変形例4でのフローチャートを示している。このフローチャートは、
図14のフローチャートでのステップS7の後に続いている。ステップS50では、シート整合制御部50bは、高速搬送モードであるかを判別して高速搬送モードでないときは、ステップS51でシートのサイズが大サイズであるかを確認する。そして、大サイズであるときは、シート整合制御部50bは、ステップS52にて、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御すると共に、整合部材38R及び38Lの整合位置Ap2となるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。尚、このとき、シートが大サイズである場合には、整合部材38R及び38Lは、既にステップS2の処理によって予備整合位置Ap1に移動しているため予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となる。そして、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる。
【0108】
しかし、シート整合制御部50bは、ステップS50にて高速搬送モードであることを判別したときは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御し(ステップS53)、整合部材38R及び38Lがシート受け入れ位置HpとなるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する(ステップS54)。このとき、整合部材38R及び38Lについては、シートが大サイズでない場合は、最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。そして、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる。
【0109】
また、シート整合制御部50bは、ステップS51にてシートが大サイズでないことを判別したときは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御して(ステップS55)、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる。
【0110】
よって、変形例4では、通常搬送モードで且つシートが大サイズの場合には、整合板35R及び35Lの整合動作と、整合部材38R及び38Lの整合動作とを同時に行う。
【0111】
(変形例5)
図14のフローチャートで、整合部材38R及び38Lが整合動作(ステップS11)を行った後に、整合板35R及び35Lが整合動作(ステップS8)を行ってもよい。
【0112】
図19は、この変形例5でのフローチャートを示している。このフローチャートは、
図14のフローチャートでのステップS7の後に続いている。ステップS60では、シート整合制御部50bは、高速搬送モードであるかを判別して高速搬送モードでないときは、ステップS61でシートのサイズが大サイズであるかを確認する。そして、大サイズであるときは、シート整合制御部50bは、ステップS62にて、整合部材38R及び38Lの整合位置Ap2となるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する。尚、このとき、シートが大サイズである場合には、整合部材38R及び38Lは、既にステップS2の処理によって予備整合位置Ap1に移動しているため予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となる。
【0113】
そして、シート整合制御部50bは、ステップS63にて、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御し、その後、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる。
【0114】
しかし、シート整合制御部50bは、ステップS60にて高速搬送モードであることを判別したときは、整合部材38R及び38Lがシート受け入れ位置HpとなるようにシフトモータSM1及びSM2の駆動を制御する(ステップS64)。このとき、整合部材38R及び38Lについては、シートが大サイズでない場合は、最初からシート受け入れ位置Hpに維持されている。そして、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる。
【0115】
また、シート整合制御部50bは、ステップS61にてシートが大サイズでないことを判別したときは、整合板35R及び35Lが予備整合位置Ap1から整合位置Ap2となるようにシフトモータMZ1及びMZ2の駆動を制御して(ステップS65)、
図14のフローチャートでのステップS13からの処理となる
【0116】
よって、変形例5では、通常搬送モードで且つシートが大サイズの場合には、整合部材38R及び38Lの整合動作を行った後、整合板35R及び35Lの整合動作を行う。