【0015】
(11)表示装置は、表示パネル(PLN)と、制御回路(CTR)と、を備え、
表示パネル(PLN)は、ソースドライバ(SD)と、ゲートドライバ(GD−L、GD−R)と、を備え、
制御回路(CTR)は、
動画を表示するときは、第1のフレーム周波数に基づいてゲートドライバ(GD−L、GD−R)およびソースドライバ(SD)を制御し、
静止画を表示するときは、第1のフレーム周波数よりも低い第2のフレーム周波数に基づいてゲートドライバ(GD−L、GD−R)およびソースドライバ(SD)を制御し、
動画・静止画判定信号に基づいて、第1のフレーム周波数に基づいた駆動を少なくとも1フレーム行ってから、第2のフレーム周波数に基づいた駆動に切り替える。
(12)上記(11)の表示装置において、
表示パネル(PLN)は、マトリクス状に配置された複数の画素(PX)を備え、
複数の画素(PX)のそれぞれは、TFTで構成される画素スイッチ(SW)と、画素スイッチ(SW)に接続される画素電極(PE)と、共通電極(COM)と、液晶層(LQ)と、を有する。
(13)上記(11)の表示装置において、
第1のフレーム周波数は60Hzであり、第2のフレーム周波数は1Hzである。
(14)上記(11)の表示装置において、
制御回路(CTR)は、フレーム周波数判定回路(50)を備え、
フレーム周波数判定回路(50)は、動画・静止画判定信号に基づいて、フレーム周波数判定信号を生成し、
フレーム周波数判定信号が第1の状態のとき、第1のフレーム周波数に基づいた駆動を行い、
フレーム周波数判定信号が第2の状態のとき、第2のフレーム周波数に基づいた駆動を行う。
(15)上記(14)の表示装置において、
フレーム周波数判定回路(50)は、遅延素子(53)と、論理素子(51)と、フレームスタート信号発生回路(52)と、を備え、
フレームスタート信号発生回路(52)は、フレーム周波数判定信号に基づいて、フレームスタート信号を生成し、
遅延素子(53)は、フレームスタート信号が1回入力されると入力側の値が出力側に伝達される機能を有している。
【実施例】
【0017】
図1は実施例に係る液晶表示装置の構成を示す図である。本実施例に係る液晶表示装置11は、マトリクス状に配置された表示画素PXを含む表示部を有する液晶表示パネルPNLと、液晶表示パネルPNLを背面側から照明する照明手段としてのバックライトBLTと、を備えている。
【0018】
表示パネルPNLは、表示部において、複数の表示画素PXが配列する行に沿って延びる走査線GL(GL1、GL2、GL3、GL4、…、GLm−1、GLm)と、複数の表示画素PXが配列する列に沿って延びる信号線SL(SL1、SL2、SL3、…、SLn)と、走査線GLと信号線SLが交差する位置近傍に配置された画素スイッチSWとを備えている。画素PXは画素スイッチSWと画素容量Csを備えている。
【0019】
画素スイッチSWは薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えている。画素スイッチSWのゲート電極は対応する走査線GLと電気的に接続されている。画素スイッチSWのソース電極は対応する信号線SLと電気的に接続されている。画素スイッチSWのドレイン電極は対応する画素電極PEと電気的に接続されている。
【0020】
パネルPNLは、複数の表示画素PXを駆動する駆動手段として、ゲートドライバGD(左側のゲートドライバGD−Lおよび右側のゲートドライバGD−R)とソースドライバSDとを備えている。複数の走査線GLはゲートドライバGDの出力端子と電気的に接続されている。複数の信号線SLはソースドライバSDの出力端子と電気的に接続されている。
【0021】
ゲートドライバGDとソースドライバSDとは、表示部の周囲の領域に配置されている。ゲートドライバGDは複数の走査線GLにオン電圧を順次印加して、選択された走査線GLに電気的に接続された画素スイッチSWのゲート電極にオン電圧を供給する。ゲート電極にオン電圧が供給された画素スイッチSWの、ソース電極−ドレイン電極間が導通する。ソースドライバSDは、複数の信号線SLのそれぞれに対応する出力信号を供給する。信号線SLに供給された信号は、ソース電極−ドレイン電極間が導通した画素スイッチSWを介して対応する画素電極PEに印加される。
【0022】
ゲートドライバGDとソースドライバSDとは、液晶表示パネルPNLの外部に配置された制御回路CTRにより動作を制御される。制御回路CTRは、共通電極(対向電極)COMに対向電圧(Vcom)を供給している。
【0023】
制御回路CTRは、駆動電力低減のために間欠駆動の機能を持っている。いま、一例として液晶表示装置の標準のフレーム周波数が60Hzであるとする。すなわち、(1/60)secごとに画素への映像信号の書き換えが行われるとする。動画表示の場合には標準の60Hzでの動作とするが、動画視認性がそれほど重視されない静止画像などを表示する場合には(1/60)secをかけて書き込み(画面の上から下までの走査)を行った後に、例えば(1/60)sec、(3/60)sec、(7/60)sec、あるいは(59/60)secの休止期間を設ける。休止期間に制御回路CTRの動作を停止すればその間の回路消費電力は実質0になり、書き込み時も含めた時間平均としての回路消費電力はそれぞれ、1/2、1/4、1/8、あるいは1/60に低減される。
【0024】
上述のような駆動では各画素への書き込み後に長時間の保持を行う必要があることから、TFTとしてオフリーク電流の小さいものを用いることが望ましい。例えばIGZO(In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)から構成される酸化物)を用いたTFTは一般にオフリーク電流が小さく、上記の低周波駆動に適したTFTであるといわれている。
【0025】
本実施例に係る液晶表示装置11は、対向電極COMと画素電極PEとに印加される電圧の電位差により、液晶層LQに電界を生じさせ、液晶層LQに含まれる液晶分子の配向方向を制御するFFS(Fringe-Field Switching)モードの液晶表示装置である。液晶分子の配向方向により、バックライトBLTから出射される光の透過光量が制御される。
【0026】
図4は比較例に係る液晶表示装置の動作タイミングチャートである。比較例の液晶表示装置においては、動画表示の場合に通常駆動(例えばフレーム周波数が60Hz)を行い、静止画表示の場合に間欠駆動(例えばフレーム周波数が1Hz)を行う。比較例の液晶表示装置に供給される映像信号が動画から静止画に切り替わるとき、以下のような動作を行う。
【0027】
動画表示が行われている期間は、制御回路CTRはフレーム周波数60HzでゲートドライバGDを制御し、各行の選択(TFTがON状態になる)は(1/60)sec毎に行われる。この各行の選択に合わせてソースドライバSDから映像信号を供給することで(
図4(a))、その映像信号に対応した電圧が各行の画素に書き込まれ(
図4(b))、1フレームの間保持される。なお一般に、液晶に長時間DC電圧が印加されてチャージアップするのを防ぐため、液晶に書き込まれる電圧は、1フレームごとに正負の極性が反転されたものとなっている(交流化駆動)。液晶の輝度は、画素に書き込まれた電圧(液晶に印加された電圧)に対応して応答するが、液晶の粘性のため応答に若干の遅れが生じ、波形は若干なまったものになる(
図4(c))。
【0028】
静止画に切り替わると、制御回路CTRはフレーム周波数を1Hzに切り替える。例えば、上述したように(1/60)secでゲートドライバGD走査を行った後に(59/60)secの休止期間を設けるといった動作を行う。このときにもソースドライバSDからは1フレーム毎に映像信号が供給されるが、静止画であるため、各画素の映像信号は時間的に一定である(
図4(a))。液晶には、絶対値が概略等しい正負の電圧が、1フレーム毎に交互に印加される。液晶に印加される電圧の絶対値は各フレームでほぼ一定なので、定常状態においては液晶の輝度応答は一定となる(
図4(c))。しかし、動画から静止画に移行した直後の過渡期の数フレームのみは、応答遅れにより輝度の不連続な変化E1、E2が生じる(
図4(c))。
【0029】
図3A、
図3Bは動画から静止画に移行した直後の過渡期の液晶の動作を説明する図である。一例として、動画の最後のフレームで画素PXに0Vの映像信号(黒)が書き込まれ、その後の静止画で5Vの映像信号(白)が書き込まれる場合を考える。
【0030】
液晶分子は分子長軸方向と短軸方向で誘電率が異なるいわゆる誘電異方性を持っているのに加え、印加電圧に応じて配向方向を変化させるため、液晶層LQの誘電率(画素容量)は印加電圧に応じて変化するという性質を持っている。一般に、印加電圧が小さいと画素容量が小さく、印加電圧が大きくなるにしたがって画素容量が大きくなる。
図3Bに、印加電圧(VLC)と画素容量(Ctot)の関係(C−V特性)の一例を示す。ここで、印加電圧とは液晶にかかる電圧である。画素容量とは、画素容量Csの容量である。
(a)初期状態
まず、動画の最後のフレームで画素PXに0V(黒)の映像信号が書き込まれ(VLC=0V)、
図3A(a)に示すようにTFT(画素スイッチSW)がオフ(OFF)すると、画素容量は0Vに対応した容量の小さい状態となる(
図3B中の(a))。
(b)画素への書き込み
次に、静止画に移行して、TFTがオン(ON)の状態(TFT=ONと表す。)になって画素PXが選択されると、
図3A(b1)に示すように、画素PXにはTFTを介して5Vの充電(白の映像信号の書き込み)が行われる(VLC=5V)。ただし、TFTがONする期間は液晶の応答時間に比べて非常に短いため、
図3A(b)に示すようにTFTがONする期間中は、液晶層LQは0Vのときの配向状態を保ったままであり、画素容量も0Vのときの容量(誘電率)のままである(この状態は
図3B中の(b)に相当)。また、
図3A(b2)に示すように、TFTがOFFになった直後も、液晶層LQは0Vのときの配向状態を保ったままであり、画素容量も0Vのときの容量のままである。
(c)保持期間 その後、TFTがOFFになって保持期間(ホールド期間)に移行すると、
図3A(c)に示すように液晶が応答して配向方向が変化し、誘電率が増加するために画素容量が増加する。しかし、保持期間中は画素への電荷の供給が行われず、電荷が再配分されるため、液晶に印加されている電圧(VLC)が低下する。より詳しく述べると、画素電荷をQとすると、式(1)の関係により、Ctotが増加するとそれに反比例してVLCが低下する。
【0031】
Q=Ctot・VLC=一定 ・・・・・・(1)
画素の状態は
図3B中の(b)から、Ctot・VLC=const.の曲線31に沿って移動し、C−V特性曲線32と交差する(c)にて平衡状態となる。これにより、画素には実際に印加した5Vよりも低い電圧(図で読み取ると約4.2V)が保持されることになる。すなわち、液晶の誘電異方性のため、1回の書き込みでは目標の保持電圧に達しない。
【0032】
その後、静止画の2回目、3回目、・・・の画素書き込みが順次行われ毎回絶対値5Vの映像信号が書き込まれるが、何回かの書き込みを経ることによって初めて、目標の保持電圧である5Vに収束する。目標電圧に収束するまでは液晶の保持電圧は段階的に増加し、従って輝度(透過率)応答も段階的に変化する。間欠駆動においては1フレーム期間が1secと長いため、輝度の変化が1sec毎に発生し、人間の目にはフリッカとして視認される。
【0033】
図2は実施例に係る液晶表示装置の動作タイミングチャートである。
図2に示す本実施例の方式は、動画から静止画に移行後2フレーム期間のみ、フレーム周期を1sec(間欠駆動)ではなく(1/60)sec(通常駆動)としている点に特徴がある。その他の期間は、
図2の比較例に係る液晶表示装置の動作タイミングチャートと同じである。2フレーム期間に静止画の画素書き込みが3回行われる。こうすると
図3A、
図3Bで説明した輝度応答の段階的な変化を2フレームに相当する(2/60)secでほぼ収束させることができ、人間の目にはフリッカは殆ど視認されなくなる。
【0034】
TFT書き込みを行うホールド駆動型の液晶表示装置においては、画素書き込み(TFT ON)後の保持期間中に画素電極への電荷の供給が行われないため、液晶応答に伴う誘電率の変化に応じて保持電圧が変化し(Q=CV=一定の条件)、保持される電圧が書き込み電圧と異なったものになる。したがって、画素の液晶透過率(輝度)を目標とするレベルに到達させるためには、画素書き込みから保持のステップを複数回(一般には2、3回)繰り返すことが必要となる。
【0035】
比較例のように動画から静止画への切り替えと同時に間欠駆動(1Hz)にすると1secおきに段階的に液晶が応答するため、フリッカとして視認される。しかし、本実施例のように動画から静止画への切り替え直後2、3フレームはフレーム周波数を60Hzとすることで、この過渡的な応答を(2/60)sec、あるいは(3/60)secで完了させることができ、フリッカが視認されなくなる。
【0036】
図5Aは実施例に係るフレーム周波数判定回路のブロック図である。
図5Bはフレーム周波数判定回路のタイミング波形図である。
【0037】
液晶表示装置11は、入力信号が動画か静止画かに応じてフレーム周波数を規定するための、フレーム周波数判定回路50を有している。この機能は、
図1の制御回路CTRに含まれるものである。フレーム周波数判定回路50には、映像信号が静止画か動画かに応じて、動画・静止画判定信号(P)が供給される。2値論理として、動画をハイレベル(H)、静止画をロウレベル(L)に対応させる。フレーム周波数判定回路50は、動画・静止画判定信号(P)をもとに処理を行い、フレーム周波数を決定するためのフレーム周波数判定信号(F)を出力するものである。2値論理として通常駆動のフレーム周波数(60Hz)をH、間欠駆動のフレーム周波数(1Hz)をLに対応させる。
【0038】
フレーム周波数判定信号(F)を生成する過程について、
図5Bの波形図と共に説明する。
【0039】
まず(i)の期間は動画表示状態であって、P=Hの状態である。動画・静止画判定信号(P)はOR(論理和)素子51に入力されるが、P=Hの場合、OR素子51の他方の入力(図中のQ)の如何にかかわらずF=Hとして出力され、フレーム周波数は60Hzと判定される。フレーム周波数判定信号(F)はフレームスタート信号発生回路(FSGC)52にも入力され、フレームスタート信号発生回路52は(1/60)sec周期でフレームスタート信号(ゲートドライバの走査開始を指示する信号(G))を発生させる。
【0040】
次に、(ii)の期間は動画から静止画に移行し、P=Lに移行した期間である。OR素子の一つの入力として動画・静止画判定信号(P)が直接入力されるが、他方の入力には、3個の遅延素子を経由した信号(Q)が入力される。遅延素子53は、フレームスタート信号が1回入力されると入力側の値が出力側に伝達される機能を持っており、動画・静止画判定信号(P)がH→Lに変化した後、フレームスタート信号が3回入力されて初めて、Q=Lに変化する。フレーム周波数判定信号(F)はPとQの論理和であるから、フレーム周波数判定信号(F)もフレームスタート信号が3回入力された後にF=Lに変化する。すなわち、動画から静止画に移行した後、2フレームはF=Hのままでフレーム周波数は60Hzと判定され、フレームスタート信号発生回路52は(1/60)sec周期でフレームスタート信号を発生する。そして、3フレーム目にF=Lとなりフレーム周波数は1Hzと判定され、フレームスタート信号発生回路は1sec周期でフレームスタート信号(G)を発生するようになる。
【0041】
次に、(iii)の期間は静止画表示の3フレーム目以降であるが、ここではP=Q=Lであるため、F=Lとなる。従って、フレーム周波数は1Hzと判定されフレームスタート信号発生回路52は1sec周期でフレームスタート信号を発生し続ける。
【0042】
次に、(iv)の期間は再び動画に移行した期間である。ここではP=Hであるため、Qの状態にかかわらずF=Hとなる。従って、フレーム周波数は60Hzと判定されフレームスタート信号発生回路52は(1/60)sec周期でフレームスタート信号(G)を発生するようになる。
【0043】
以上により、
図2にあるように、動画から静止画に移行後2フレーム期間のみ、フレーム周期を1sec(間欠駆動)ではなく(1/60)sec(通常駆動)として動作させることが可能となる。なお、遅延素子53の数を変更することによって、動画から静止画への切り替え直後にフレーム周波数が60Hzで動作するフレーム数(移行フレーム数)を容易に変更することができる。例えば、フレーム周波数判定回路50内に、移行フレーム数を設定するレジスタを設けるようにしてもよい。
【0044】
本実施例に係る液晶表示装置は、スマートフォン、タブレット端末、モバイルPCなどの携帯機器の他、PCモニタ、車載用ディスプレイ、液晶TVなど液晶表示装置一般に使用される。
【0045】
なお、本実施例では動画から静止画への切り替え直後の通常駆動のフレーム数を2としたが、必ずしも2フレームである必要はなく、1フレームのみ、あるいは3フレーム以上であってもよい。このフレーム数を増やすにしたがって誘電異方性に起因する段階的な輝度応答をより速く収束させることができフリッカ抑制効果が高まるが、あまりフレーム数が多すぎると間欠駆動による回路電力低減の効果が薄まるため、フリッカと消費電力の関係を見据えて適当なフレーム数に設定すればよい。
【0046】
本実施例では動画から静止画への切り替え直後は通常駆動のフレーム周波数での駆動としたが、間欠駆動のフレーム周波数よりも高いフレーム周波数または通常駆動のフレーム周波数よりも低いフレーム周波数であって、フリッカが視認されないフレーム周波数であればよい。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。