特許第6334119号(P6334119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334119
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】タービン駆動式の往復圧縮機および方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 35/00 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   F04B35/00 Z
   F04B35/00 B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-200722(P2013-200722)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-70637(P2014-70637A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】FI2012A000194
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513243790
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】NUOVO PIGNONE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・リ・トグナレリ
(72)【発明者】
【氏名】グイド・プラテリ
(72)【発明者】
【氏名】ジウリアノ・ミラニ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンゾ・ファイラ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・タマッロ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ソノリ
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−293706(JP,A)
【文献】 特開昭61−255224(JP,A)
【文献】 特開昭59−090723(JP,A)
【文献】 特開2002−317791(JP,A)
【文献】 特開2010−133284(JP,A)
【文献】 特表2011−522163(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102383866(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 35/00
F01D 25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンと、
前記タービンによって駆動される往復圧縮機と、
前記タービンと前記往復圧縮機との間に配置されるギアボックスと、
ターニング段階中に前記タービンを低速で旋回させるように構成されるターニングデバイスと、
を備える、往復圧縮機システムであって、
クラッチが、前記システムの運転の移行段階中に前記往復圧縮機から前記タービンの接続を機械的に解除するために前記タービンと前記往復圧縮機との間に配置される、
往復圧縮機システム。
【請求項2】
前記移行段階が前記タービンの停止後のターニング段階を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記移行段階が前記タービンのウォームアップ段階を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記クラッチが自己同期クラッチである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ターニングデバイスが、前記往復圧縮機を駆動させるときに前記タービンの運転回転方向と反対の方向に前記タービンを駆動させるように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ターニングデバイスがターニングアクチュエータおよび好適にはギアボックスを備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記クラッチの係合が解除されるときに前記往復圧縮機を駆動させるように構成および配置される二次発動機を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記二次発動機がモータジェネレータを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記モータジェネレータが、前記タービンと前記往復圧縮機とに接続可能であるシャフトラインに永続的に接続される第1の端部および第2の端部を備えるスルーシャフトを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記モータジェネレータが前記ギアボックスと前記往復圧縮機との間に配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記タービンが蒸気タービンである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
タービン駆動式の往復圧縮機システムを運転する方法であって、
往復圧縮機と、前記往復圧縮を駆動させるタービンと、前記往復圧縮機と前記タービンとの間に配置されるギアボックスと、前記タービンを前記往復圧縮機に係合させることおよび前記往復圧縮機から前記タービンの係合を解除することを選択的に行うように構成されるクラッチと、ターニングデバイスとを備え、
前記方法が、非定常状態の間、前記往復圧縮機から前記タービンの係合を機械的に解除して定格回転速度とは異なる回転速度で前記タービンを回転させるステップを含む、方法。
【請求項13】
前記移行段階が停止時における前記タービンの低速の旋回段階であり、前記移行段階中、前記タービンが、前記ターニングデバイスにより一定のターニング速度で回転し、前記ターニング速度が定格速度範囲とは異なる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タービンを用いて前記クラッチおよび前記ギアボックスを介して定格速度で前記往復圧縮機を駆動させるステップと、
前記タービンを停止させ、前記クラッチの係合を解除し、停止後に前記ターニングデバイスを用いて前記定格速度未満の前記ターニング速度で前記タービンを回転させるステップであって、前記往復圧縮機および前記ギアボックスが静止状態で維持される、ステップと
を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ギアボックスおよび前記往復圧縮機から前記タービンの係合が解除されている間に前記タービンを始動させるステップと、
少なくとも1つのねじり固有振動数を超えるように前記タービンの速度を増大させるステップと、
前記タービンを前記ギアボックスおよび前記往復圧縮機に係合させ、前記往復圧縮機の動作を開始させるステップと
を含む、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記往復圧縮機を選択的に駆動させるように配置および構成される二次発動機を提供するステップと、
前記二次発動機が前記クラッチとの係合を解除されて維持されるかまたは前記タービンが前駆クラッチと係合されて維持される状態で、前記往復圧縮機を選択的に駆動させるステップと
を含む、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記二次発動機がモータジェネレータであり、前記往復圧縮機が前記タービンによって駆動されるときに、前記モータジェネレータが前記タービンにより回転するように駆動されてジェネレータモードへと切り替えられ、前記モータジェネレータが、前記タービンによって生成される過度の機械的パワーを電力に変換する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記二次発動機を始動させるステップと、
前記二次発動機により前記往復圧縮機を駆動させるステップと、
前記タービンを始動させるステップと、
定格速度未満の速度で前記タービンをウォームアップさせるステップと、
前記定格速度における前記タービンの速度を増大させるステップと、
前記クラッチを係合させ、前記タービンにより前記往復圧縮機を駆動することを開始するステップと、
前記二次発動機を停止させるかまたは前記二次発動機をジェネレータモードに切り替えるステップと
を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記往復圧縮機が前記タービンによって駆動される間に、前記二次発動機を始動させるステップと、
前記タービンを停止することを開始するステップと、
前記クラッチの係合を解除し、前記二次発動機により前記往復圧縮機を駆動させるステップと、
前記往復圧縮機が前記二次発動機によって駆動される間に、前記タービンを一定のターニング速度で回転させるステップと、
前記タービンを止めるステップと、
を含む、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記タービンが蒸気タービンである、請求項12乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概して往復圧縮機システムに関し、より具体的には、蒸気タービンなどのタービンよって駆動される往復圧縮機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
往復圧縮機システムは、一般に、広い範囲の用途においてガスを圧縮するための産業(industry for compressing gases)で使用される。往復圧縮機は、通常、一次発動機(prime mover)によって駆動され、一次発動機は、電気モータ、往復内燃エンジン、あるいは、ガスタービンまたは蒸気タービンであってよい。
【0003】
図1は、圧縮機3を備える往復圧縮機システムと、往復圧縮機3を駆動させるのに使用される蒸気タービン5とを備える構成1を示す。図1では、往復圧縮機3は、複数の圧縮機シリンダ3A、3B、3Cおよび3Dを備える。共通のクランクシャフト7が4つの往復圧縮機シリンダ3A〜3Dを駆動させ、また、フライホイール(図示せず)を支持する。クランクシャフト7はケーシング9内に回転可能に支持され、インレットシャフト13およびアウトレットシャフト15を有するギアボックス11を介して蒸気タービン5によって回転するように駆動される。インレットシャフト13(高速カップリング(high speed coupling))は蒸気タービン5の回転速度で回転し、出力用の被駆動シャフト(output driven shaft)15(低速カップリング(low speed coupling))は、ギアボックス11をクランクシャフト7に接続させ、有意に低い回転速度で回転する。
【0004】
クランクシャフト7は、通常、流体軸受17によって支持される。流体軸受が適正に作動することは、例えば、固定された軸受筒(fixed bushing)、および、ピンまたはシャフトなどの回転部材といったような、相互に運動する部品間の速度に依存する。十分な速度に達した場合には運動する構成要素の間に潤滑油膜が形成される。例えば、クロスヘッドおよびランナの潤滑やピストンロッドなどの潤滑といったような、往復圧縮機の別の構成要素および部品の潤滑も、圧縮機の運転速度に依存する。
【0005】
また、ギアボックス11内のシャフトも流体軸受によって支持され得、このギアボックス11内のシャフトは、軸受が損傷するのを防止するために潤滑油膜を形成するのに十分な速度で回転する必要がある。
【0006】
蒸気タービン5が停止される場合、蒸気タービン5は、タービン内部の熱勾配によりタービンロータが湾曲(bowing)変形および屈曲するのを防止するために低い旋回速度で回転するのを維持しなければならない。停止時、タービンの下側部分がタービンの上側部分より速く冷却されることから、タービン内部の温度場が非一様になる。タービンロータは、湾曲するのを防止するために低速の旋回状態を維持する。タービン運転のこの段階は通常「ターニング(barring)」と称される。
【0007】
したがって、システム1は、「ターニングモータ(barring motor)」または「ターニングデバイス(barring device)」とも称される低速旋回モータ(slow turning motor)19をさらに備える。ターニングモータ19は通常は電気モータであり、これは、必要に応じて選択的に蒸気タービン5のロータに接続されたりその接続を解除されたりされ得る。蒸気タービン5がターニングする間、シャフトライン全体、すなわち、蒸気タービンロータと、ギアボックス11と、クランクシャフト7と、フライホイールと、1つまたは複数の圧縮機シリンダ3A〜3Dのクロスヘッドおよび往復動ピストンなどの、クランクシャフト7によって駆動される往復動する構成要素と、を備えるトレイン。したがって、ターニングモータ19は、トレインの高い慣性および高い静摩擦トルクに打ち勝つのに十分な定格出力を有さなければならない。したがって、タービンモータ19の定格出力は、蒸気タービンのロータのみを旋回させるのに必要となる出力より大幅に高い。
【0008】
また、ターニング速度は流体軸受内に潤滑油膜を形成するのには不十分であり、したがって、タービンが低速で旋回する間、軸受は高い摩耗率を伴う境界潤滑条件で動作する。
【0009】
さらに、往復圧縮機3が急に故障した場合、例えばクランクシャフト7がロックするなどしてターニングデバイス19が動作することができなくなると、蒸気タービンのシャフトおよびシールが損傷する危険性がある。
【0010】
起動時、タービンの回転速度は徐々に増大して定格速度に達する。加速時、回転の振動数とシステムのねじり固有振動数(natural torsional frequency)が等しくなる。これにより共振現象が誘発される可能性があり、これはギアボックスを含めてシステムの構成要素を損傷させる可能性がある。
【0011】
タービンの起動時、ターボ機械内の熱勾配を排除するための時間が必要となる。この移行段階では、タービンは、負荷下で往復圧縮機を駆動させるための十分なパワーを発生させることができない。一方で、往復圧縮機は長時間の無負荷条件下で動作することもできない。
【発明の概要】
【0012】
本明細書で開示される実施形態は、タービンにより駆動される従来技術の往復圧縮機システムの上で言及した問題のうちの1つまたは複数を緩和または解消する。
【0013】
例示の一実施形態によると、タービンと、タービンによって駆動される少なくとも1つの往復圧縮機とを備える往復圧縮機システムが提供される。一部の実施形態では、タービンは蒸気タービンである。ギアボックスがこのシステム内に設けられてよく、このギアボックスはタービンと往復圧縮機との間に配置される。例えば、ターニング段階中またはタービンのウォームアップ(warm−up)段階中などの、システムの運転の移動段階中に往復圧縮機からタービンの接続を機械的に解除するためにタービンと往復圧縮機との間にクラッチが設けられる。ターニング段階中にタービンを低速で旋回させるためにさらにターニングデバイスが設けられる。
【0014】
このシステムは、1つまたは複数の圧縮機シリンダと、圧縮機シリンダのピストンを駆動させる共通のクランクシャフトとを装備する少なくとも1つの往復圧縮機を備える往復圧縮機区間を備えることができる。クランクシャフトは通常は流体軸受によって支持される。
【0015】
クラッチは例えばタービンの停止中に係合を解除され得る。その後、往復圧縮機は、冷却中にタービンロータが湾曲するのを防止するためにタービンが一定のターニングの回転速度(barring rotary speed)で低速で旋回する間に、静止した状態を維持する。往復圧縮機の不動作時に流体軸受の回転速度が不十分であると往復圧縮機の軸受が故障するため、ターニング速度は非常に低い値で設定されてよい。したがって、ターニングデバイスは、制限されたパワーを提供することによりターニングデバイスのコストを低減しかつ寸法を縮小するように設計され得る。
【0016】
一部の例示の実施形態では、クラッチは、タービンのウォームアップを含めた移行段階を実施するように構成および制御され得る。その後、タービンは安定して回転して1つまたは複数のウォームアップ速度を維持することができ、これらはシャフトラインの1つまたは複数の限界速度と等しくてよいかまたはその近くであってよい。タービンが残りのシャフトラインから係合を解除されると、システムの共振現象が発生することが防止される。したがって、タービンは、トレイン、すなわちタービンによって駆動される種々の構成要素から構成されるシステムの1つまたは複数のねじり固有振動数に近い回転速度またはそれらに一致する回転速度を維持することができる。
【0017】
クラッチは、ギアボックスの出力シャフト(低速カップリング)と往復圧縮機のクランクシャフトとの間に配置され得る。しかし、現在好適な実施形態では、クラッチはタービンとギアボックスの入力シャフト(高速カップリング)との間に配置される。クラッチの係合が解除されると、ギアボックスさらには往復圧縮機が静止状態を維持することができ、一方で、タービンは例えばターニング中またはウォームアップ中などの移行状態で動作する。
【0018】
一部の実施形態では、クラッチは例えば適切なアクチュエータにより外部から動作され得る。別の例示の実施形態では、クラッチは自己同期クラッチ(self−synchronizing clutch)である。
【0019】
ターニングデバイスは、例えば電気モータまたは液圧デバイスなどのアクチュエータから構成され得る。ターニングギア(barring gear)またはギアボックスがアクチュエータとタービンロータとの間に設けられ得る。タービンの運転中にタービンロータからターニングデバイスを分離するためのクラッチが設けられてよい。
【0020】
一部の実施形態では、システムは二重駆動システムであってよい。この場合、低速旋回移行段階中またはタービンのウォームアップ段階中、往復圧縮機は一定の運転速度で駆動され得、この運転速度は、例として電気モータまたは可逆電気機械(reversible electric machine)などの例えば二次発動機を用いて、低速で旋回するタービンによって達成される速度と異なる速度(例えば、高い速度)となる。可逆電気機械は、モータモードまたはジェネレータモードで動作することができる機械である。可逆電気機械が使用される場合、これはタービンが定常状態で動作しているときはタービンによって駆動され得、ジェネレータモードで動作することができる。往復圧縮機(複数可)を駆動させるのに必要となるパワーを基準としてタービンにより機械的パワーが過度に生成される場合、この過度の機械的パワーは電力に変換され得、往復圧縮機システムに組み合わされる施設に電力供給するのに使用され得、および/または、送電網(electric distribution grid)に移送され得る。
【0021】
電気機械は、メインシャフトラインに係合されたりメインシャフトラインとの係合を解除されたりされ得るサイドシャフト上に配置され得る。さらに別の実施形態では、電気機械は、例えばギアボックスを介してメインシャフトラインに永続的に係合されるサイドシャフト上に配置され得る。別の実施形態では、電気機械は第1の端部および第2の端部を備えるスルーシャフトを備え、これは、タービンおよび往復圧縮機を接続させるメインシャフトラインに永続的に係合される。例えば、電気機械は、ギアボックスと往復圧縮機のクランクシャフトとの間に配置され得る。
【0022】
別の実施形態によると、タービン駆動式の往復圧縮機システムを運転する方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの往復圧縮機との係合からタービンを機械的に解除してシステムを少なくとも1つの移行状態で運転するステップを含み、ここでは、タービンは、定常状態の回転速度または回転速度範囲とは異なる速度で回転する。一部の例示の実施形態では、この方法は、上記タービンが停止した後で、運転速度範囲未満のターニング速度で、および/または、タービンの通常の回転方向とは反対の方向に、ターニングデバイスによりタービンを回転させるステップを含む。
【0023】
別の実施形態では、この方法は、システムがターニング段階などの移行段階を実施しているときに、タービンと往復圧縮機との間に配置されるギアボックスとの係合からタービンを機械的に解除するステップを含む。
【0024】
さらに別の実施形態では、この方法は:
タービンとギアボックスとの間にクラッチを配置するステップと;
上記クラッチおよび上記ギアボックスを介してタービンを用いて一定の運転速度で往復圧縮機を駆動させるステップと;
タービンを停止させてクラッチとの係合から解除して、停止後にターニングデバイスを用いて運転速度(すなわち、定常状態の速度または速度範囲)未満のターニング速度で、および/または、タービンの通常の回転速度の反対の方向に、タービンを回転させるステップであって、ここでは往復圧縮機およびギアボックスが静止した状態を維持する、ステップと
を含むことができる。
【0025】
別の実施形態では、タービンの停止時に、往復圧縮機は、二次発動機を用いて駆動されることにより運転状態を維持することができる。
【0026】
別の例示の実施形態によると、一方法が提供され、この方法は:
タービンがギアボックスおよび往復圧縮機との係合から解除されているときにタービンを始動させるステップと;
シャフトラインの少なくとも1つの限界回転速度を超えるようにタービンの速度を増大させるステップと;
タービンをギアボックスおよび往復圧縮機に係合させて往復圧縮機の運転を開始するステップと
を含む。
【0027】
さらに別の実施形態によると、一方法が提供され、この方法は:
二次発動機を用いて定格速度で往復圧縮機を始動させるステップと;
タービンがギアボックスおよび往復圧縮機との係合から解除されているときにタービンを始動させるステップと;
タービンをウォームアップさせて最低定格速度未満の速度でタービンを回転させるステップと;
タービンの速度を増大させるステップと;
タービンをギアボックスおよび往復圧縮機に係合させるステップと;
二次発動機の動作を停止するステップと
を含む。
【0028】
特徴および実施形態が、本明細書の以下で開示され、さらに、本記述と一体の一部分を形成する添付の特許請求の範囲に記載される。上記の簡単な説明は本発明の種々の実施形態の特徴を記述しており、これは、以下の詳細な説明がより良く理解されるようにすること、および、当技術分野に対するその貢献がより良く認識され得るようにすることを目的とする。もちろん、本明細書の以下で説明される本発明の別の特徴および添付の特許請求の範囲に記載される別の特徴も存在する。この点に関して、本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の実施形態が、その用途において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示される構造の詳細および構成要素の構成のみに限定されないことを理解されたい。本発明は別の実施形態も可能であり、種々の方式で実施および実行され得る。また、本明細書で採用される用語および専門用語が説明を目的としており、限定するものとしてみなされるべきではないことを理解されたい。
【0029】
したがって、本開示の基本となる概念が、本発明の複数の目的を実行するために別の構造、方法および/またはシステムを設計する際の基本として容易に利用され得ることを当業者であれば認識するであろう。したがって、特許請求の範囲が、本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいてこのような等価の構造を含むものとしてみなされることが重要である。
【0030】
本発明の開示される実施形態およびその付随する利点の多くは、添付図面と併せて考察しながら以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解される際に、容易により完全に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】関連技術による、蒸気タービンによって駆動される往復圧縮機構成を示す図である。
図2】本開示の一実施形態による、蒸気タービンによって駆動される往復圧縮機システムを含む一構成を示す図である。
図3】本開示による別の一実施形態を示す図である。
図4】本開示の一部の実施形態による往復圧縮機−蒸気タービンシステムの移行段階を示す図である。
図5】本開示の一部の実施形態による往復圧縮機−蒸気タービンシステムの移行段階を示す図である。
図6】本開示の一部の実施形態による往復圧縮機−蒸気タービンシステムの移行段階を示す図である。
図7】本開示の一部の実施形態による往復圧縮機−蒸気タービンシステムの移行段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例示の実施形態の以下の詳細な説明は添付図面を参照する。異なる図面での等しい参照符号は等しい要素または同様の要素を示す。また、これらの図面は必ずしも正確な縮尺で描かれていない。さらに、以下の詳細な説明は本発明を限定しない。代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0033】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」あるいは「一部の実施形態」を参照することは、一実施形態に関連させて説明される特定の特徴、構造または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して種々の箇所で「一実施形態(one embodiment)では」または「一実施形態(an embodiment)では」あるいは「一部の実施形態では」というフレーズが現れることは、必ずしも同じ実施形態(複数可)を参照しているわけではない。さらに、これらの特定の特徴、構造または特性は任意適切な方式で1つまたは複数の実施形態で組み合わされ得る。
【0034】
本明細書で開示される主題の以下の例示の実施形態は蒸気タービンを含む。本開示の利点の少なくとも一部は、例えばガスタービンなどの異なるタービンを使用するシステムを用いても達成され得る。
【0035】
ここで図2を参照すると、例示の一実施形態において、往復圧縮機103を備えるシステム101が提供されている。往復圧縮機103は、本明細書において後で開示されるように、共通の一次発動機によって駆動される、1つまたは複数の圧縮機シリンダおよび関連するピストンを含む往復圧縮機構成を備えることができる。図2の例示の実施形態では、往復圧縮機103は、103A、103B、103C、103Dが付される4つの圧縮機シリンダを備える。別の数の往復圧縮機または別の数の圧縮機シリンダが提供されてもよい。クランクシャフト105が、往復圧縮機103の圧縮機シリンダ103A〜103D内に配置される圧縮機ピストンを駆動させる。クランクシャフト105は、図2では概略的に示される軸受107、109、111によって支持され得る。軸受107、109および111は流体軸受であってよく、ここでは、クランクシャフト105が十分に高い回転速度で回転するときに、潤滑油の流体力学的膜が形成される。
【0036】
システム101は、例えば蒸気タービンなどのタービン115をさらに備える。蒸気タービン115は一次発動機であり、これは、クランクシャフト105を旋回させ、往復圧縮機103内の、ピストンの往復運動および圧縮機シリンダ103A〜103Dのクロスヘッド(図示せず)の往復運動を起動させる。
【0037】
蒸気タービン115は、全体として117が付される機械的リンクを介してクランクシャフト105に接続される。一部の例示の実施形態では、機械的リンクまたは機械的接続117は、入力シャフトすなわち高速カップリング121と、出力シャフトすなわち低速カップリング123とを備えるギアボックス119を備える。ギアボックス119は、蒸気タービン115の回転速度をクランクシャフト105の相対的に低い回転速度まで低減するための遊星ギアボックス(epicyclical gearbox)であってよい。ギアボックス119の出力シャフト123とクランクシャフト105との間には、図示されない、1つまたは複数のジョイント、クランチ、カップリングまたはフライホイールなどが設けられてよい。
【0038】
蒸気タービン115とギアボックス119の入力シャフト121との間にはクラッチ125が配置される。クラッチ125は自己同期クラッチであってよい。別の実施形態では、クラッチ125は、図示されない例えば適切なアクチュエータにより外部から動作され得る。
【0039】
自己同期クラッチは、その入力シャフトが所与の速度値を達成したときにクラッチが自動的に係合されるように構成される。逆に、入力シャフトの速度が所与の速度値未満まで低下するかまたは反転すると、クラッチは自動的に係合が解除される。自己同期クラッチは当業者には既知であり、詳細に説明する必要はない。自己同期クラッチ125を用いる場合、蒸気タービン出力シャフト115Aは、蒸気タービンが特定の回転速度に達したときのみ、ギアボックス119の入力シャフト121に結合される。その速度未満の場合、および、蒸気タービンロータが逆回転する場合、クラッチ125が、ギアボックス119の入力シャフト121からタービン115の出力シャフト115Aの係合を解除する。
【0040】
図2では、参照符号126が蒸気タービン115のロータシャフトを概略的に示す。ロータシャフト126はターニングギア129に駆動可能に接続され得る。ターニングギア129は、ターニングデバイスまたは低速旋回デバイス131に選択的に接続されたりその接続を解除されたりされ得る。一部の実施形態では、低速旋回デバイスまたはターニングデバイス131は電気モータから構成される。選択的に係合可能および係合解除可能であるクラッチ133がターニングデバイス131とターニングギア129との間に設けられてよい。蒸気タービン115がターニングまたは低速で旋回することが必要となるとき、ターニングデバイス131が、ターニングギア129を介して蒸気タービン115のロータを回転させるように付勢される。
【0041】
蒸気タービン115が停止され、タービンロータがターニングデバイス131により低速で回転させられると、有利にはクラッチ125の係合が解除される。したがって、クラッチ125の下流側のシャフトラインは静止した状態を維持し、一方で、蒸気タービンロータは低速で旋回するターニング状態を維持する。一部の実施形態では、低速旋回中の回転方向は通常運転の回転速度を基準として反転されてよい。
【0042】
したがって、ターニングデバイス131は、シャフトラインの残りの部分を回転させるように駆動させることなく、蒸気タービン115のロータのみを回転させるように駆動させるのに十分なトルクを発生させるように、設計されてよい。ギアボックス119さらには往復圧縮機103が共に蒸気タービン115の出力シャフト115Aとの係合から解除されることから、ギアボックス119の軸受およびクランクシャフト105の軸受により流体力学的に支持されることが必要なくなる。また、往復圧縮機の残りの構成要素を潤滑することも必要なくなる。蒸気タービン115が低速で旋回しても、クラッチ125の下流側に配置されるシステムの軸受および機械的構成要素が損傷することはない。
【0043】
蒸気タービン115とギアボックス119との間に挿置されるクラッチ125はまた、所望される場合にシステムの運転回転速度と反対の方向にターニングする間に蒸気タービン115が回転するのを可能にする。
【0044】
往復圧縮機103が急に故障してそれに伴い例えばクランクシャフト105がロックしても、蒸気タービンのシャフトおよびシールが損傷することはない。というのは、クラッチ125の係合を解除してターニングデバイス131を稼働させることにより、蒸気タービンロータをターニング状態にすることができるからである。
【0045】
図3は、本開示の別の例示の実施形態を概略的に示す。図2と等しい構成要素または同様の構成要素を示すのに等しい参照符号が使用される。これらの構成要素を再び説明することはしない。
【0046】
図3の実施形態は二重駆動の往復圧縮機構成を備え、ここでは、圧縮機シリンダ103A〜103Dを含めた往復圧縮機103が、蒸気タービン115を含む一次発動機または電気機械128を含む二次発動機により選択的に、駆動され得る。一部の実施形態では、電気機械128は可逆電気機械である。可逆電気機械128は、電力を機械的パワーに変換すること(モータモード)または機械的パワーを電力に変換すること(ジェネレータモード)を二者択一的に行うように動作することができる。可逆電気機械128は、Gとして概略的に示される送電網に電気接続される。電気機械と送電網との間に、図示されない電力調整デバイスおよび回路が設けられてよい。
【0047】
一部の実施形態では、可逆電気機械128はスルーシャフト130を有し、スルーシャフト130は両端部が、例えばジョイント130Aおよび130Bを介して、それぞれギアボックス119の出力シャフト123、および、往復圧縮機103のクランクシャフト105に接続される。
【0048】
この実施形態では、往復圧縮機103は、二者択一的に可逆電気機械128または蒸気タービン115により、駆動され得る。可逆電気機械128が往復圧縮機103を駆動させるための電気モータモードへと切り替えられると、クラッチ125の係合が解除され得、さらにここでは、蒸気タービン115が不動作状態を維持することができるかあるいは低速のターニング速度または低速のウォームアップ速度で回転することができる。
【0049】
例えば、蒸気タービンサイクルが故障した場合、蒸気タービン115は停止されてターニング状態に移行され得、一方、往復圧縮機103は可逆電気機械128により動作を継続することができる。
【0050】
ウォームアップ移行段階では、蒸気タービンは、必要となる温度状態に達するまで定格速度未満で回転することができ、一方、往復圧縮機103は電気機械によって駆動される。
【0051】
蒸気タービン115が動いており、クラッチ125およびギアボックス119を介して往復圧縮機103が駆動される場合、可逆電気機械128がジェネレータモードに切り替えられる。蒸気タービン115によって生成される過度の機械的パワーは可逆電気機械128により電力に変換され得、さらに、送電網Gに送られ得る。
【0052】
したがって、蒸気タービン115のこの運転状態は、往復圧縮機103の運転状態からある程度独立してなされ得る。蒸気タービン115は、往復圧縮機103の運転状態の変動とは無関係に熱力学的サイクルの効率を最大にする設計条件(design condition)で動作することができる。蒸気タービン115によって生成される過度の機械的パワーは有用な電力に変換される。
【0053】
有用度の低い実施形態では、電気機械128は電気モータとしてのみ動作することができ、電気機械128は、往復圧縮機103が蒸気タービン115によって駆動されるときに、無益に回転する。
【0054】
図4は、蒸気タービン115を停止させることを伴う、移行段階でシステム101を運転する方法を概略的に示す。停止プロセスは150で開始される。往復圧縮機103およびギアボックス119が止められ(ステップ151)、クラッチ125の係合が解除され(ステップ153)、それにより、ギアボックス119および往復圧縮機103から蒸気タービン115が機械的に分離される。
【0055】
クラッチ125の係合が解除されると、ターニングモータ131およびターニングギア121により蒸気タービン115が低速で旋回(ターニング)することが開始され得(ステップ154)、これは、蒸気タービンロータが湾曲または熱的変形するのを回避するのに十分な温度まで蒸気タービン115が冷却されるまで、継続される。これらの条件が達成されると、蒸気タービンは止められてよい(ステップ155)。
【0056】
蒸気タービンの運転を始動させるかまたは再始動させる際、残りのシャフトラインに対して蒸気タービン115を係合したりその係合を解除したりするのにクラッチ125を使用することにより、追加の利点が得られる。図5は、蒸気タービン115を起動させることを伴う、移行段階中にシステム101を運転する方法を示す。
【0057】
蒸気タービン115が始動されるとき、通常はウォームアップ段階が必要となる。蒸気タービン115のウォームアップ中、システムの定格回転速度未満、すなわちシステムの定常状態における速度未満の移行回転速度で蒸気タービンを回転させることが所望されるかまたはそうすることが必要となる可能性がある。
【0058】
蒸気タービン115は、ゼロから定格回転速度まで徐々に増大する回転速度で駆動され得る。蒸気タービン115の速度を上げることは段階的であってもよくまたは連続的であってもよい。一部の実施形態では、中間の移行回転速度は、この蒸気サイクルが最終的な定常運転状態を円滑に達成するのを可能にするように一定時間継続され得る。
【0059】
蒸気タービン115と、ギアボックス119と、クランクシャフト105および関連するクロスヘッドおよびピストンを備える往復圧縮機103と、可逆電気機械(図3のように提供される場合)とによって形成されるシャフトラインまたはトレインは、システムの定格回転速度における振動数より通常は低い1つまたは複数のねじり固有振動数(限界速度)を有することを特徴とする。これは、蒸気タービン115のウォームアップ中に、タービンシャフトが、システムのねじり固有振動数を通過する徐々に増大する速度で回転することを意味する。
【0060】
既知のシステムでは、回転機械のトレインすなわち一連の回転機械が損傷するのを防止するために、蒸気タービン115が、トレイン全体のねじり固有振動数に近いかまたはそれに等しい回転速度で回転し続けることができない。しかし、クラッチ125を使用することによりこの制限が排除される。クラッチ125の係合が解除されると、蒸気タービン115は、ウォームアップ中に、トレインのねじり固有振動数に近いかまたはそれに等しい速度で回転することができ、これは、クラッチ125の下流側のシャフトラインが静止した状態を維持するかまたは二次発動機によって蒸気タービンから独立して回転することを理由とする。共振現象が回避される。蒸気タービン115がシステムのねじり固有振動数を超える速度で回転すると、クラッチ125が係合され得る。
【0061】
図5は、蒸気タービン115の起動から定常状態までの移行プロセス中にシステム101を運転する方法を概説する。161で蒸気タービン115が始動される。次にウォームアップステップ162が続き、ここでは、蒸気タービン115がトレインのねじり固有振動数付近で回転することができる。クラッチ125の係合が解除される。ギアボックス119、可逆電気機械128(存在する場合)および往復圧縮機103は静止状態である。
【0062】
ステップ163で、蒸気タービンの速度がトレインのねじり固有振動数を超えるまで増大し、最終的に、ステップ164でクラッチ125が係合され、往復圧縮機103が動作し始める。
【0063】
図6は、例えば、図3による二重駆動システムを使用する、本開示の別の実施形態によるタービンを起動させる方法を示す。起動プロセスの第1のステップ(ステップ165)は、電気機械128をモータモードで始動させて往復圧縮機103を駆動させることを含む。クラッチ125が係合解除状態を維持する間、蒸気タービン115がウォームアップ段階を開始することができる。ウォームアップ段階は、電気機械128の始動および往復圧縮機103の起動の前、その間、またはその後で開始されてよい。図6のフローチャートでは、例示の一実施形態が示され、ここでは、二次発動機の起動後にウォームアップが開始される(ステップ166)。しかし、これは必須ではない。
【0064】
次いで、蒸気タービンの回転速度が、定格速度に達するまで徐々に増大され得(ステップ167)、定格速度に達した時点でクラッチ125が係合され得るようになる。電気機械(二次発動機)128が停止され得るかまたはジェネレータモードに切り替えられ得る(ステップ168)。
【0065】
この時点で、往復圧縮機103が始動されて定格速度まで徐々に加速され得るようになり、ここでは、機械の故障に繋がる可能性がある状況である、過度に長時間にわたって無負荷状態で往復圧縮機103が動くような状況が回避される。蒸気タービン115は移行ウォームアップ状態において動くことができ、その速度は、往復圧縮機103の動作に影響することなく最適な速度順序に従って増大され得る。蒸気タービン115は、蒸気タービン115が定格回転速度に達した後でのみ、往復圧縮機103を駆動させる仕事を行う。
【0066】
図7は、移行段階中にシステム101を運転する別の方法の一実施形態を示すフローチャートを示している。より具体的には、図7は、例えば図3に示されるような二重駆動システムにおける蒸気タービンの停止手順を示す。図7の停止方法は、往復圧縮機103を運転状態で維持しながら蒸気タービン115を停止することを目的とする。蒸気タービン115を停止させることが必要となるとき、電気機械128を備える二次発動機が始動されて定格速度で回転される(ステップ171)。次いで、蒸気タービン115を停止させることが開始され(ステップ172)、クラッチ125の係合が解除される(ステップ173)。次いで、蒸気タービン115を低速で旋回させるかまたはターニングさせるステップ(ステップ174)が実施され、最終的に、蒸気タービン115が止められる(ステップ175)。ステップ174および175の間、往復圧縮機103は、二次発動機128によって駆動されて動作し続ける。
【0067】
本明細書で説明される主題の開示される実施形態を図面に示して、複数の例示の実施形態と併せて上で特別に詳細に完全に説明してきたが、本明細書に記載される新規の教示、原理および概念から実質的に逸脱することなく、さらには、添付の特許請求の範囲で引用される主題の利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正、変更および省略が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、開示される革新の適切な範囲は、このようなすべての修正、変更および省略を包含するものとして添付の特許請求の範囲を最も広く解釈することによってのみ決定されるべきである。さらに、任意のプロセスまたは方法ステップの順番または順序は、代替の実施形態に従って変更され得るか再順序付けされ得る。
【符号の説明】
【0068】
1 構成、システム
3 往復圧縮機
3A、3B、3C、3D 圧縮機シリンダ
5 蒸気タービン
7 クランクシャフト
9 ケーシング
11 ギアボックス
13 インレットシャフト
15 アウトレットシャフト
17 流体軸受
19 低速旋回モータ
101 システム
103 往復圧縮機
103A、103B、103C、103D 圧縮機シリンダ
105 クランクシャフト
107 軸受
109 軸受
111 軸受
115 タービン
115A 蒸気タービン出力シャフト
117 機械的リンク
119 ギアボックス
121 入力シャフト、高速カップリング
123 出力シャフト、低速カップリング
125 クラッチ
126 ロータシャフト
128 可逆電気機械
129 ターニングギア
130 スルーシャフト
130A、130B ジョイント
131 低速旋回デバイス、ターニングデバイス
133 クラッチ
150 蒸気タービンを停止することを開始するステップ
151 往復圧縮機およびギアボックスを止めるステップ
153 クラッチ125の係合を解除するステップ
154 低速の旋回速度または逆の速度で蒸気タービンをターニングさせるステップ
155 蒸気タービンを止めるステップ
161 蒸気タービンを始動するステップ
162 トレインのねじり固有振動数付近で蒸気タービンをウォームアップさせるステップ
163 トレインのねじり固有振動数を超えるように蒸気タービンの速度を増大させるステップと
164 クラッチを係合させて往復圧縮機を始動させるステップ
165 二次発動機により往復圧縮機を始動させるステップ
166 定格速度未満の速度で蒸気タービンをウォームアップさせるステップ
167 蒸気タービンの速度を増大させてクラッチを係合させるステップ
168 二次発動機を停止させるステップ
171 定格速度で二次発動機を始動させるステップ
172 蒸気タービンを停止させることを開始するステップ
173 クラッチの係合を解除するステップ
174 低速の旋回速度で蒸気タービンをターニングさせるステップ
175 蒸気タービンを止めるステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7