(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334120
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】薬物注入のための角度付き挿入器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
A61M5/158 500T
A61M5/158 500Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-201686(P2013-201686)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-69084(P2014-69084A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2016年8月15日
(31)【優先権主張番号】13/629,479
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル コール
(72)【発明者】
【氏名】アーサー クロッツ
【審査官】
芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/108809(WO,A1)
【文献】
特表平09−507779(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0077599(US,A1)
【文献】
特表2010−501211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セットであって、
前記皮膚表面に連結可能な固定式ベース部材と、
針またはカニューレが連結され、前記固定式ベース部材に対して移動可能である可動式摺動部材であって、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能であり、前記第2の位置において前記固定式ベース部材にロックされる、可動式摺動部材と
を備え、
前記針またはカニューレは、前記可動式摺動部材の移動方向からずれることを特徴とする注入セット。
【請求項2】
前記可動式摺動部材は、前記皮膚表面に対して平行ではない方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の注入セット。
【請求項3】
前記可動式摺動部材内の開口部は、前記可動式摺動部材が前記第2の位置にあるときに前記固定式ベース部材のタブを受け入れ、それによって前記可動式摺動部材を前記固定式ベース部材にロックすることを特徴とする請求項1に記載の注入セット。
【請求項4】
注入セットの針またはカニューレを挿入するための挿入器であって、
固定式挿入器部材と、
前記固定式挿入器部材に可動式に連結され、前記注入セットを受け入れるように適合された可動式挿入器部材であって、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それによって前記針またはカニューレを露出させ、前記第1の位置において前記固定式挿入器部材にロックされて前記針またはカニューレが偶発的に露出することを防止する、可動式挿入器部材と
を備え、
前記固定式挿入器部材の可撓性ビームは、前記可動式挿入器部材と係合して前記可動式挿入器部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを防止し、
前記可動式挿入器部材の可撓性部材は、移動されて前記固定式挿入器部材の前記可撓性ビームを偏向させ、それによって前記可撓性ビームを前記可動式挿入器部材から係合解除して前記可動式挿入器部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを可能にすることを特徴とする挿入器。
【請求項5】
注入セットの針またはカニューレを挿入するための挿入器であって、
固定式挿入器部材と、
前記固定式挿入器部材に可動式に連結され、前記注入セットを受け入れるように適合された可動式挿入器部材であって、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それによって前記針またはカニューレを露出させ、前記第1の位置において前記固定式挿入器部材にロックされて前記針またはカニューレが偶発的に露出することを防止する、可動式挿入器部材と
を備え、
前記可動式挿入器部材の掛止用アームは、前記固定式挿入器部材に連結されて前記可動式挿入器部材が前記固定式挿入器部材から分離することを防止することを特徴とする挿入器。
【請求項6】
前記可動式挿入器部材は、前記第2の位置にあるときにのみ前記受け入れられた注入セットから分離可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の挿入器。
【請求項7】
皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セット組立体であって、
注入セットであって、
前記皮膚表面に連結可能な固定式ベース部材と、
針またはカニューレが連結され、前記固定式ベース部材に対して移動可能である可動式摺動部材であって、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能である、可動式摺動部材と
を含む、注入セットと、
前記注入セットに着脱可能に連結されて、前記可動式摺動部材を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるための挿入器と
を備え、
前記挿入器は、可動式挿入器部材および固定式挿入器部材を含み、
前記可動式挿入器部材は、前記固定式ベース部材に着脱可能に連結されること特徴とする注入セット組立体。
【請求項8】
前記挿入器は、前記可動式摺動部材が前記第2の位置になるまで前記注入セットから取り外されることが防止されることを特徴とする請求項7に記載の注入セット組立体。
【請求項9】
前記可動式挿入器部材は、前記第1の位置から前記第2の位置に移動可能であり、これが前記可動式摺動部材を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記可動式挿入器部材は、前記第1の位置から前記第2の位置に偶発的に移動することが実質的に防止されることを特徴とする請求項7に記載の注入セット組立体。
【請求項10】
前記固定式挿入器部材の可撓性ビームは、前記可動式挿入器部材のリブと係合して前記可動式挿入器部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを防止することを特徴とする請求項9に記載の注入セット組立体。
【請求項11】
前記可動式挿入器部材の可撓性部材は、移動して前記固定式挿入器部材の前記可撓性ビームを偏向させ、それによって前記可撓性ビームを前記可動式挿入器部材の前記リブから係合解除し、前記可動式挿入器部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを可能にすることを特徴とする請求項10に記載の注入セット組立体。
【請求項12】
前記針またはカニューレは、前記皮膚表面に対して20度の角度で配設されることを特徴とする請求項11に記載の注入セット組立体。
【請求項13】
前記針またはカニューレは、前記皮膚表面に対して、10度および45度を含む10度から45度の間の角度で配設されることを特徴とする請求項11に記載の注入セット組立体。
【請求項14】
皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セット組立体であって、
注入セットであって、
前記皮膚表面に連結可能な固定式ベース部材と、
針またはカニューレが連結され、前記固定式ベース部材に対して移動可能である可動式摺動部材であって、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能である、可動式摺動部材と
を含む、注入セットと、
前記注入セットに着脱可能に連結されて、前記可動式摺動部材を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるための挿入器と
を備え、
前記挿入器は、可動式挿入器部材および固定式挿入器部材を含み、
前記可動式挿入器部材の掛止用アームは、前記固定式挿入器部材と係合して前記可動式挿入器部材が前記固定式挿入器部材から分離することを防止することを特徴とする注入セット組立体。
【請求項15】
皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セット組立体であって、
注入セットであって、
前記皮膚表面に連結可能な固定式ベース部材と、
針またはカニューレが連結され、前記固定式ベース部材に対して移動可能である可動式摺動部材であって、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、前記針またはカニューレが前記固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能である、可動式摺動部材と
を含む、注入セットと、
前記注入セットに着脱可能に連結されて、前記可動式摺動部材を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるための挿入器と
を備え、
前記挿入器は、可動式挿入器部材および固定式挿入器部材を含み、
前記可動式摺動部材は、前記第1の位置から前記第2の位置に第1の方向に移動し、前記可動式挿入器部材は、前記第1の位置から前記第2の位置に、前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動することを特徴とする注入セット組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、角度付き注入セット、詳細には、角度付き皮内注入セットに関する。より詳細には、本発明は、部分的な針の挿入を防止する着脱式挿入器を有する角度付き皮内注入セットに関する。より詳細には、本発明は、使用者の動作の方向が針挿入の方向とは異なる角度付き皮内注入セットに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病などの疾患を患う人を含む数多くの人々が、自身の血糖値を綿密に維持するために、日常的なインスリン注入など、何らかの形態の注入療法を使用している。これらには2つの主要な方式が存在する。第1の方式は、シリンジおよびインスリンペンを含む。これらのデバイスは、使用が簡単であり、比較的低コストであるが、通常1日3回から4回の注射のたびに針で突き刺す必要がある。第2の方式は、注入ポンプ療法を含み、これには約3年間は使えるインスリンポンプの購入が必要である。ポンプの初期コストはかなりのものになり得るが、使用者の観点からすれば、ポンプを使用した患者の圧倒的多数は、残りの生涯においてポンプを使用し続けることを好んでいる。その理由は、注入ポンプは、シリンジおよびペンより複雑であるが、インスリンを連続的に注入できる、正確に投与できる、かつ送達スケジュールをプログラムできるといった利点を提供するためである。その結果、血糖がより綿密に制御され、健康であるという感覚が向上する。
【0003】
注入ポンプを使用するには、インスリンをポンプ内のリザーバから使用者の皮膚内に運ぶ、通常、注入セットまたはポンプセットと称される使い捨て式構成要素を使用する必要がある。注入セットは通常、ポンプ連結器と、1本のチュービングと、ハブまたはベースとからなり、このハブまたはベースから中空の注入針またはカニューレが延びる。ハブまたはベースは、使用中、皮膚表面上にベースを保持する粘着剤を有し、この粘着剤は、手で、または手動式もしくは自動式の挿入デバイスの助けを借りて皮膚に付けることができる。
【0004】
現在、ほとんどのインスリン注入セットは、固定式金属針または可撓性のプラスチックカニューレを使用してインスリンを皮膚の皮下層に送達する。そのような注入セットは通常、皮膚表面下4〜10mmにインスリンを送達する。しかし、上側3mmの皮膚表面、すなわち皮下腔は、より良好に薬物の吸収を容易にする。残念なことに、皮下層は相対的に薄いため、針をそのような深さに挿入し、注入部位を長期間にわたってこのような狭い帯域内に維持することは困難である。
【0005】
皮内注射を提供する1つの技術は、マントゥー技術(Mantoux technique)である。当業者に知られているように、マントゥー技術は通常、結核検査を施す際に使用される。熟練の施術者は、最初、選択された領域の皮膚を親指と人指し指の間でピンと伸張させ、次いで針をゆっくりと、面取り部を上方向にして皮膚表面に対して5度から15度の角度で挿入する。施術者は、次いで、針を上皮内で約3mm前進させ、伸張された皮膚を解放し、薬剤を注射する。しかし、皮内送達を標準的なマントゥー技術によって達成できる場合であっても、この方法は、極めて変動性のものであり、使用者の誤りを受けやすい。
【0006】
ほとんどのインスリン注入セットは通常、挿入された針を衝撃または他の外部力から隔離する機能を備えていない。これらの注入セットは通常、インスリンを皮膚表面下4〜10mmに送達するため、セットに対する衝撃または他の外部力は、より深く挿入される針にはそれほど影響を与えない。しかし、上側3mmの皮膚表面を狙おうとする試みがなされる場合、セットのどんな衝撃もまたはどんな移動も、針の挿入および注入パフォーマンスに悪影響を与える恐れがある。
【0007】
さらに、ほとんどのインスリンセットは挿入器を有しており、この挿入器は、針挿入中、皮膚表面の「テンティング」を生じさせる恐れがあり、この場合皮膚表面は、針の挿入前または挿入中にいくらか歪められ、それによって上側3mmの皮膚表面を正確に狙うことを困難にしている。
【0008】
したがって、内容物を上側3mmの皮膚表面、すなわち皮内腔に送達して、使用者に対してある程度の快適性を保ちつつ、より良好に薬物吸収を容易にすることができる注入セットに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、使用者の動作、すなわち挿入される針またはカニューレの角度とは異なる角度の使用者の動作によって、皮膚表面に対してある角度を付けて針またはカニューレを挿入して、インスリンまたは他の薬剤を上側3mmの皮膚表面を狙って送達することができる注入セットを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、ある角度を付けて針またはカニューレを挿入してマントゥー挿入技術を模倣し、インスリンまたは他の薬剤を上側3mmの皮膚表面に送達することができる注入セットを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、挿入部位に皮膚表面を固定する皮膚固定粘着性層を有する注入セットを提供することであり、それにより、セットは皮膚表面のテンティングのリスクを低減しながら針またはカニューレを挿入し、かつ/または正確に皮内深さを狙うことができるようになる。
【0012】
本発明の例示的な実施形態によれば、皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セットは、固定式ベース部材および可動式摺動部材を含む。固定式ベース部材は、皮膚表面に連結可能である。可動式摺動部材は、これに連結された針またはカニューレを有し、固定式ベース部材に対して移動可能である。可動式摺動部材は、針またはカニューレが固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、針またはカニューレが固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能である。可動式摺動部材は、第2の位置において固定式ベース部材にロックされる。
【0013】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、注入セットの針またはカニューレを挿入するための挿入器は、固定式挿入器部材と、固定式挿入器部材に可動式に連結され注入セットを受け入れるように適合された可動式挿入器部材とを含む。可動式挿入器部材は、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それによって針またはカニューレを露出させる。可動式挿入器部材は、第1の位置において固定式挿入器部材にロックされて針またはカニューレが偶発的に露出することを防止する。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によれば、注入セット組立体は、皮膚表面に据え付けられるように適合された注入セット組立体と、注入セットに着脱可能に連結されて、可動式摺動部材を第1の位置から第2の位置に移動させるための挿入器とを含む。注入セットは、皮膚表面に連結可能な固定式ベース部材と、針またはカニューレが連結され固定式ベース部材に対して移動可能である可動式摺動部材とを含む。可動式摺動部材は、針またはカニューレが固定式ベース部材の外部に露出されない第1の位置から、針またはカニューレが固定式ベース部材の外部に露出される第2の位置に移動可能である。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、注入セットの針またはカニューレを皮内に挿入する方法は、針またはカニューレを有する注入セットを注入部位上に置くステップを含む。注入セットに連結された挿入器は、第1の方向に移動されて注入セットの摺動部材を第1の位置から第2の位置に移動させ、この第2の位置では、針またはカニューレは注入部位内に非垂直の角度で挿入され、針は第1の方向とは異なる第2の方向に移動される。
【0016】
本発明の例示的な実施形態のさらなる目的、利点および顕著な特徴は、付属の図を併用して本発明の例示的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の例示的な実施形態のさまざまな目的、利点および新規の特徴は、添付の図を併用して読むことにより以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による注入セットおよび挿入器の斜視図である。
【
図2】
図1の注入セットおよび挿入器の立面断面図である。
【
図3】挿入器取外し後の
図1の注入セットの斜視図である。
【
図4】
図1の粘着性パッチおよび挿入器を有さない注入セットの下側斜視図である。
【
図5】作動前の
図1の注入セットおよび挿入器の断面斜視図である。
【
図6】作動前の
図1の注入セットおよび挿入器の断面斜視図である。
【
図7】作動中の注入セットおよび挿入器の斜視図である。
【
図8】作動中の
図1の注入セットおよび挿入器の断面斜視図である。
【
図9】作動中の
図1の注入セットおよび挿入器の底部平面図である。
【
図10】カニューレ挿入後の注入セットおよび挿入器の断面斜視図である。
【
図11】カニューレ挿入後の
図10の注入セットおよび挿入器の底部平面図である。
【
図12】挿入器取外し後の
図10の注入セットの斜視図である。
【
図13】粘着性パッドの露出前の注入セットの斜視図である。
【
図29】
図1の挿入器の可動式部材の斜視図である。
【
図49】
図1の挿入器の可動式部材の後部斜視図である。
【
図52】注入セットの摺動部材と係合する可動式部材の連結器タブの上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
全図を通じて、同じ参照番号は、同じ部分、構成要素および構造を示すと理解される。
【0019】
以下で説明し、
図1〜
図52に示す本発明の例示的な実施形態は、使用者の動作、すなわち針の挿入角度とは異なる角度の使用者の動作によって、皮膚表面に対して角度を付けて皮内針挿入を実施する手段を提供する。挿入部は、上側3mmの皮膚表面を正確に狙い、標準的なインスリンポンプ(図示せず)によってインスリンを皮膚の皮内層に送達する。
【0020】
たとえば、
図6および
図10は、注入セット組立体1および皮膚表面に対して第1の方向(
図6および
図7では矢印94によって示す)の使用者の動作によって針6を挿入する動作を示しており、この第1の方向は、本発明の例示的な実施形態によれば、挿入される針の第2の方向(
図6および
図7では角度αによって示す)とは異なる。
図4〜
図6は、使用前の自由状態にある注入セット組立体1を示している。
図10は、使用者の動作によって皮膚表面に対して角度を付けて皮膚表面内に挿入しているときの注入セット組立体1を示しており、この使用者の動作は、本発明の例示的な実施形態によれば、皮膚表面に対して、針挿入角度とは異なる角度で起こる。
【0021】
注入セット組立体1は、
図1に示すように、挿入器2および注入セット3を含む。挿入器2は、固定式挿入器部材4と、固定式挿入器部材4に可動式に連結された可動式挿入器部材5とを含む。可動式挿入器部材5は、
図5に示す第1の位置から
図10に示す第2の位置に移動可能である。注入セット3は、
図14に示すように、剛性針6、ハブ7、可動式摺動部材8、および固定式ベース部材9を含む。粘着性パッドまたはパッチ10が、ベース部材9を皮膚表面に固定する。剛性針6は、ハブ7に固定式に連結され、ハブ7は摺動部材8に固定式に連結される。摺動部材8は、固定式ベース部材9に対して、針6が注入セット3から外部に露出されない第1の位置から、針6が注入セット3から外部に露出される第2の位置に移動する。粘着性パッド10内の開口部11は、針6がそこを通過することを可能にする。連結器12は、チュービングを、注入ポンプ(図示せず)から注入セット3まで連結する。
【0022】
剛性針6は、好ましくは中空であり、それによってその中に薬剤を通して送達することを容易にしており、好ましくは、鋭敏に面取りされた先端部を有する31ゲージステンレス鋼から作製される。針6の患者端部内の端部ポートは、薬剤を注入部位内へと送達することを可能にする。端部ポートに加えてまたはこれの代わりに側部ポートを使用することができる。針6の非患者端部内の開口部は、インスリンポンプからチュービング13を通して送達された薬剤を受け入れる。
【0023】
ハブ7は、
図26〜
図30に示すように、針6を固定式に受け入れ、針6は、粘着剤を用いるなどの任意の適切な方法でハブに固定することができる。ハブ7内の孔19は針6を受け入れ、この針は、粘着剤を用いて孔内に固定することができる。針6の患者端部14は、ハブ7の第1の端部15を超えて延びる。隔壁16がハブ7の第2の端部17内に配設されてハブをシールし、針6の非患者端部18内の開口部へのアクセスを防止する。隔壁16は、好ましくはイソプレーンから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。ハブ7は、好ましくは、射出成形されたプラスチックから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。
【0024】
摺動部材8は、
図18〜
図23に示すように、前端部23および後端部24を有する。上側表面26の傾斜部分25は、前端部23から後端部24に向かって上方向に傾く。好ましくは、傾斜部分25は、10度および45度を含む約10度から45度の間の角度を有する。より好ましくは、傾斜部分は、約20度の角度を有する。開口部27が、上側表面26の傾斜部分25内に形成される。空洞28が、摺動部材8の下側表面29内に形成されてハブ7を受け入れる。柔軟なアーム30および31は、下側表面29から空洞28の近位に外方向に延びて、ハブ7を空洞28内に固定することを容易にする。好ましくは、ハブ7は、傾斜部分25の角度に実質的に類似する角度で配設される。外側レール32および33は、摺動部材8の両側から外方向に延びる。好ましくは、外側レール32および33は、傾斜部分25の角度に実質的に類似する角度で配設される。スナップアーム34および35は、外側レール32および33の内部に配設される。フック36および37は、スナップアーム34および35の端部から上方向に延びる。停止アーム38および39は、外側レール32および33と、スナップアーム34および35の間にそれぞれ配設される。後端部24内の開口部80および81は、連結器アーム78および79(
図14)を受け入れて、連結器12をそこに固定する。摺動部材8は、好ましくは、PETGなどの射出成型されたプラスチックから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。
【0025】
ベース部材9は、
図41〜
図46に示すように、前端部40および後端部41を有する。下側表面42は、前端部40から後端部41に向かって延びる。下側表面42内の開口部43は、針6がそこを通過することを可能にする。好ましくは、開口部43は、実質的に楕円の形状を有する。上側表面44は、前端部40から後方向に延び、上側表面44と下側表面42の間に、摺動部材8を受け入れるための空洞45を画定する。外側チャネル46および47が、下側表面42と上側表面44の間を延びる側壁48および49内に形成される。下側タブ50は、
図44に示すように、下側表面42から上方向に延びる。上側タブ51および52は、
図42および
図44に示すように、上側表面44から下方向に延びる。内部チャネル53および54が、上側タブ51および52と、チャネル46および47との間に配設される。ベース部材9は、好ましくは、PETGなどの射出成型プラスチックから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。
【0026】
感圧粘着性パッド10が、
図1、
図3、および
図14に示すようにベース部材9の下側表面42に連結される。粘着性裏張り55が、使用前に粘着性パッドを覆うために粘着性パッド10に連結される。粘着性裏張り55は、タブ要素56を有して、粘着性パッドが注入部位に固定されようとするとき、粘着性パッドを露出させるためにカバーを粘着性パッド10から分離することを容易にする。感圧粘着性パッド10は、粘着性繊維などの任意の適切な材料を含むことができる。
【0027】
固定式挿入器部材4は、
図35〜
図40に示すように、壁58が下方向にそこから延びる上側表面57を有する。上側表面57および壁58は、空洞59を画定する。好ましくは、壁58は、前壁60と、空洞59へのアクセスをもたらすために開放している後部部分を有する対向する側壁61および62とを有する。空洞59内に配設された棚部63は、横方向に側壁61と62の間を延びる。可撓性ビーム64は、空洞59内の前壁60から後方向に延びる。固定式挿入器部材4は、好ましくは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの射出成型されたプラスチックから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。
【0028】
可動式挿入器部材5は、
図29〜
図34に示すように、後壁65と、後壁65から前方向に延びる対向する側壁66および67とを有する。掛止用アーム68は、後壁65から前方向に延び、この掛止用アームの自由端部から下方向に延びるタブ69を有する。細穴70および71は、掛止用アーム68の両側に対して平行に延びる。可撓性部材72は、好ましくは、一体丁番73によって可動式挿入器部材5に連結されるが、可撓性部材の偏向を可能にする、可撓性部材を連結するための任意の適切な手段を使用することができる。ロック用足部74および75は、側壁66および67から前方向に延びる。可動式挿入器部材5は、好ましくはPETGなどの射出成型されたプラスチックから作製されるが、任意の適切な材料を使用することができる。
【0029】
連結器12は、
図14に示すように、これに連結されて、インスリンポンプ(図示せず)から注入セット3に薬剤を送達するための可撓性のプラスチックチュービング13を有する。ポンプ連結器76が、インスリンポンプと連結するためにチュービング13の一方に配設される。連結器12は、注入セット3の摺動部材8と連結するためにチュービング13の他方の端部に配設される。チュービング13は、連結器12の後表面89を貫通して連結する。針77は、連結器12から前方向に延びて、連結器12が摺動部材8に連結されたときにハブ7内に配設された隔壁16を穿孔する。ハブ隔壁16を穿孔することにより、ハブ針6は、インスリンポンプと流体連結される。スナップアーム78および79は、摺動部材8によって受け入れられて連結器12をそこに固定する。スナップアーム78および79を内方向に移動させることにより、連結器12を必要に応じて注入セット3から連結解除することが可能になる。
【0030】
図17および
図48〜
図51に示すように、連結器タブ82は、ベース83と、ベース83から下方向に延びる脚部84および85とを有する。連結器タブ82の脚部84および85は、可動式挿入器部材5の細穴70および71によって受け入れられ、それにより、ベース83は、掛止用アーム68の上方に配設される。あるいは、連結器タブ82は、可動式挿入器部材5と共に単一品として一体的に形成することができる。
【0031】
作動および組み立て
例示的な実施形態は、粘着剤で固定された注入セット3と、上側3mmの皮膚表面を正確に狙った皮内針挿入を実施するための使い捨て式挿入器2とを備える。注入セット3は、皮膚表面に粘着式に取り付けることができ、挿入器2を使用して針6を傾斜させて所望の挿入位置に挿入することができる。針6の挿入位置は、摺動部材8をベース部材9に固定することによって維持されて、挿入された針6を適所に保持し、摺動部材8および挿入された針6が挿入位置になった後で後退することを防止する。
【0032】
注入セット組立体1は、
図1および
図2に示すように、使い捨て式挿入器2を含むことができる。挿入器2はまた、所望であれば再利用することができる。好ましくは、注入セット組立体1は、注入セット3が挿入器2によって保持されるようにパッケージ化される。あるいは、注入セット3は、挿入器2を有さずにパケージ化することができる。針6は最初、偶発的な針の突き刺しを実質的に防止するために注入セット6内のわずかに奥まったところにあるが、
図4に示すように、注入セット2の底部から見ることができ、そのため使用者は、注入セット3を注入部位に粘着する前に注入セット3のプライミングを視覚的に確定することができる。
【0033】
例示的な実施形態は、効率的であり使用者に優しくなるように形状構成される。使用者は最初、粘着性裏張り55を剥がし、注入セット3のベース部材9の下側表面42上の粘着性パッド10を暴露する。注入セット組立体1は、次いで、使用者による下方向の圧力または加力によって注入部位に粘着され得る。摺動ベース部材5の摺動動作により、以下でより詳細に説明するように、針6が傾斜して上側3mmの皮膚表面、すなわち皮内腔に挿入されて、より良好な薬物の吸収が容易になる。針6が挿入された後、挿入器2を取り外して適正に廃棄することができる。使用者は、所望に応じて連結器12を連結解除および再連結することができる。
【0034】
作動前、注入セットの摺動部材8および可動式挿入器部材5は、
図4〜
図6に示すように、その第1の位置にロックされる。上記で指摘したように、針6は、
図4に示すように、奥まったところにあり、粘着性パッド10およびベース部材9内の開口部11および43それぞれから見ることができ、それによって偶発的な針の突き刺しを防止し、注入セット3のプライミングを見ることが可能になる。可動式挿入器部材5の掛止用アーム68のタブ69は、
図5、
図47、および
図48に示すように、固定式挿入器部材4の棚部63と係合し、それによって可動式挿入器部材が固定式挿入器部材4から分離することを防止する。加えて、作動前、固定式挿入器部材4の可撓性ビーム64は、
図47に示すように、可動式挿入器部材5の可撓性部材72から下方向に延びるリブ86と係合し、それによって注入セット3の偶発的な作動を防止する。したがって、可動式挿入器部材5は、固定式挿入器部材4から引き抜かれことが防止され、これに加えて、固定式挿入器部材内へと移動することが防止される。
【0035】
加えて、注入セット3は、
図4に示すように、作動前に挿入器2から取り外されることが防止される。可動式挿入器部材4のロック用足部74および75は、長手方向に延びるベース部材87および88(
図42)と係合し、それによって針6を完全に挿入する前に挿入器2が注入セット3から取り外されることを防止する。内方向に延びる保持リブ90および91は、連結器12の後表面89と係合して作動前に注入セット3が挿入器2から引き抜かれることを防止する。したがって、注入セット3は、作動前かつ針6が完全に挿入されるまでは挿入器2によって保持される。
【0036】
注入セット3は、
図6および
図7に示すように、可撓性部材72を移動させ、挿入器2を一緒に圧迫することによって作動される。可撓性部材72を内方向に、矢印92によって示す方向に加圧することにより、可撓性部材72が一体丁番73の周りで回転され、それによって挿入器2をロック解除する。可撓性部材72は、固定式挿入器部材4の可撓性ビーム64と係合し、これを(
図6の矢印93によって示す)下方向に移動させ、それによって可動式挿入器部材5の可撓性部材72が固定式挿入器部材4内へと摺動することを可能にする(
図7の矢印94によって示す)。
【0037】
可動式挿入器部材5は、
図8に示すように、固定式挿入器部材5内へと摺動するとき、連結器12の後表面を押し出す。
図9に示すように、可動式挿入器部材5の内方向に延びる保持リブ90および91は、連結器12と係合して、これを前方向に押し出す。連結器12は、注入セットの摺動部材8に連結され、それにより、摺動部材8は、連結器12の前方向の移動と共に前方向に移動する。摺動部材9は、注入セットのベース部材9内へと移動し、それによって針6を表皮層内に挿入する。
図8に示すように、可動式挿入器部材5は、固定式挿入器部材4内に部分的に挿入され、それにより、針が部分的に挿入される。可動式挿入器部材5のロック用足部74および75は、
図9に示すように、依然として固定式挿入器部材9の長手方向に延びるベース部材87および88と係合しており、それにより、挿入器2を注入セット3から取り外すことはまだできない。したがって、挿入器2は、針6が完全に挿入されるまでは注入セット3から取り外されることが防止され、それによって使用者が不注意で針6を部分的にしか挿入しないことを防止する。
【0038】
加えて、
図17および
図48〜
図52に示すように、連結器タブ82の脚部84および85は、摺動部材8の後端部24と係合し、それによって連結器タブ82が連結された可動式挿入器部材5の前方向の移動と共に摺動部材8を前方向に移動させることをさらに容易にする。
【0039】
図8および
図9に示すように、可動式挿入器部材5が前方向に移動することにより、連結器12が前方向に移動され、それによって完全に挿入される第2の位置に向かって注入セットの摺動部材8が移動される。外側レール32および33(
図18〜
図23)は、注入セットの固定式部材9内で外側チャネル46および47(
図41、
図42、および
図44)によって誘導される。外側チャネル46および47は、皮膚表面に対して角度α(
図6および
図44)で摺動部材8を前方向に誘導する。好ましくは、この角度αは、10度および45度を含む約10度から45度の間である。より好ましくは、角度αは約20度である。針6は、好ましくは、摺動部材8の傾斜した挿入方向と位置合わせされ、それにより、針は、ハブ7の実質的に軸方向に挿入される。あるいは、針6は、挿入角度αからずれることができ、それにより、針6の挿入方向は、ハブ7に対して軸方向および径方向の両方の成分を含む。そのような形状構成では、針6の配向角度は、摺動部材8およびハブ7の挿入摺動角度からずれている。
【0040】
注入セットの摺動部材8の前方向の移動は、停止アーム38および39が注入セットのベース部材9の内部チャネル53および54の端部と当接したときに停止される。連結器12および可動式挿入器部材5の前方向の移動もまた、摺動部材8の前方向の移動を停止させることによって停止される。注入セット3は、
図10〜
図12に示すように、このとき完全に作動され、針6は角度αで注入部位内に完全に挿入される。摺動部材8および可動式挿入器部材5は、このとき第2の位置にある。摺動部材8内の開口部27は、
図10に示すように、摺動部材8が第2の位置に移動したときにベース部材9の下側タブ50を受け入れ、それによって摺動部材8をベース部材9にロックして挿入された針6の偶発的な取外しを防止する。加えて、摺動部材8のスナップアーム34および35のフック36および37は、ベース部材9の上側表面44から下方向に延びる上側タブ51および52と係合して、摺動部材8をベース部材9にさらに固定する。
【0041】
可動式挿入器部材5は、
図11に示すように、第2の位置に到達しているため、可動式挿入器部材4のロック用足部74および75は、長手方向に延びるベース部材87および88を通り過ぎている。加えて、ロック用足部74および75の後部分95および96は、長手方向に延びるベース部材87および88の後部分97および98と係合して、針6が完全に挿入されるまでは挿入器2の取外しを防止することをさらに容易にすることができる。ロック用足部74および75の後部分95および96は、ロック用足部74および75が長手方向に延びるベース部材87および88から自由になったとき、長手方向に延びるベース部材87および88の後部分97および98から自由になる。したがって、挿入器2は、このとき、挿入器を注入セット3に対して上方向に持ち上げることによって注入セット3から取り外すことができ、適正に破棄することができる。連結器12は、取り外すことができ、また所望に応じて摺動部材8に連結することができる。摺動部材8は、上記で説明したようにベース部材9に永久的にロックされ、それによってセット3が使用者によって取り外されるまでは針6をその皮内注射された位置に維持する。
【0042】
針6の傾斜挿入は、注入部位を維持する堅固な固定をもたらす。通常、短い(すなわち1〜3mm)針の位置を皮膚内に維持することは非常に困難である。しかし、針6を傾斜させて挿入することにより、皮膚自体が垂直の保持力をもたらす。したがって、挿入された針6は、垂直方向および水平方向の両方で据え付けられる。さらには、傾斜挿入は、カニューレ開口部の垂直高さを低減することによって注入に対する針またはカニューレの選択をより柔軟にすることを可能にする。また、針6は角度を付けて挿入されるため、傾斜されない挿入に提供されるものよりもより長い針および/または針開口部を使用して、同じ皮内深さを狙うことができる。
【0043】
最初に注入セット組立体1を皮膚表面に粘着することにより、針角度、皮膚の張り、伸張および/または平坦化、ならびに挿入深さが一貫していることを確実にする精密な機械的基礎が設けられる。さらに、そのようにする際、テンティングもまた低減または解消される。さらに、針部位をポンプ連結部から隔離することにより、振動および移動が低減される。加えて、針6をいかなる外部力からもさらに隔離する薄い形状がもたらされる。
【0044】
皮膚の皮内層内に注入することにより、本発明の例示的な実施形態は、皮下送達システムと比較したときにインスリンをより良好に吸収する可能性を提供する。そのようにする際、一般的な使用者がインスリンの消費をより少なくし、かつ薬剤の体系的計画をより良好に維持することが可能になり得る。所望の場合、単一の針またはマイクロ針の代わりに、複数の針またはマイクロ針を使用できることが理解されよう。
【0045】
適切な位置合わせは、使用者に対して、可動式挿入器部材5を摺動させて針6を傾斜させて挿入するための堅固な固定された基礎を提供することによって達成される。そのような堅固な固定された基礎は、粘着性層10によって提供される。皮膚粘着性層は、注入セット3を所望の配向きで固定し、それにより、針ハブ7および針6は、使用の所望の配向にあり、使用者は、注入セット3を挿入部位に対してさまざまな角度で保持することが実質的に防止される。したがって、正確で反復可能な挿入が達成される。
【0046】
さらには、針ハブの角度を、本発明のこのまたは他の例示的な実施形態において変更して、針の挿入角度および最終配置に影響を与えることができる。
図6に示すように、針6は、ハブ7の進行の方向に位置合わせされる。あるいは、針6は、ハブ7の進行の方向からずれることができる。
【0047】
さらに、本発明の別の例示的な実施形態によれば、注入セット3は、挿入器2無しで作動させることができる。挿入部は、注入セット3内に完全に一体化され、それにより、使用者は、挿入器を持ち運ぶ、または注入セットを挿入器に装填する必要はなくなる。一体化されたシステムにより、使用者は、挿入器2を持ち運ぶことからより自由になることが可能になる。そのようなシステムおよび方法は、経済的であり、簡単であり、コンパクトなものであり、デバイスと一体化された挿入のシステムを提供する。したがって、使用者は、挿入器2がなくてもデバイスを正しく挿入することができる。
【0048】
先に説明した実施形態は皮内注入セットに関するものであるが、本発明の原理はまた、他のタイプの注入セット、たとえば患者カニューレが、剛性の金属導入針の助けを借りて挿入される軟質のプラスチックカテーテルからなる皮下注入セットにも適用可能である。
【0049】
本発明のほんのわずかな例示的な実施形態が上記で詳細に説明されてきたが、数多くの改変形態が、本発明の新規の教示および利点から大きく逸脱することなく例示的な実施形態において可能であることを当業者は容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような改変形態は、付属の特許請求の範囲およびその等価物において定義された本発明の範囲内に含まれることが意図される。