(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乗換所要時間推定手段は、前記移動ログ情報に加え、前記第1の交通手段および/または前記第2の交通手段の時刻表情報も考慮して、前記乗換所要時間を推定する、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム100の概略構成を示すブロック図である。情報処理システム100は、ネットワーク3を介して通信可能な端末装置1およびサーバ(情報処理装置)2を備えている。
【0012】
端末装置1はユーザが使用するものであり、例えば携帯電話、スマートフォンもしくはタブレット端末装置等のモバイル電子機器である。端末装置1およびサーバ2の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。また、端末装置1はネットワーク3を介してサーバ2と通信するが、ネットワーク3の回線の種類や形態は問わない。
【0013】
端末装置1は、通信部11と、位置測位部12と、加速度センサ13と、ジャイロセンサ14と、制御部15とを有する。
【0014】
通信部11はネットワーク3を介して制御部15とサーバ2との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0015】
位置測位部12は端末装置1の位置を測位する。位置測位部12は、例えばGPS(Global Positioning System)受信装置(不図示)を有し、受信したGPS衛星信号に基づいて位置を測位してもよい。また、位置測位部12は、GPS測位のほか、通信中の基地局からの受信電波強度に基づく基地局測位、Wi−Fi(登録商標)アクセスポイントに基づくWi−Fi測位などで、端末装置1の位置を測位してもよい。あるいは、複数の手法で測位し、そのうち最も精度が高いものを選択的に使用してもよい。
【0016】
端末装置1の位置は緯度および経度で表現され得る。ユーザが端末装置1を使用している間、端末装置1の位置はユーザの位置とほぼ一致する。ただし、位置測位部12は正確に端末装置1の位置を測位できないこともあり、測位された現在位置が多少の誤差を含んでいてもよい。以下、端末装置1の位置を示す情報を端末位置情報という。この端末位置情報は、端末装置1の位置を測位した時刻の情報が含まれているのが望ましい。
【0017】
加速度センサ13は端末装置1が移動する際の加速度を測定する。端末装置1の加速度は、端末装置1のユーザの加速度とほぼ一致する。以下、端末装置1の加速度を示す情報を加速度情報という。
【0018】
ジャイロセンサ14は端末装置1が移動する際の角速度を測定する。端末装置1の角速度は、端末装置1のユーザの角速度とほぼ一致する。以下、端末装置1の角加速度を示す情報を角加速度情報という。
【0019】
なお、端末装置1は加速度センサ13およびジャイロセンサ14を有するのが望ましいが、これらは必須ではない。
【0020】
制御部15は、情報取得部151と、情報送信部152とを有する。これらは、例えば端末装置1のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することにより得られる機能である。
【0021】
情報取得部151は、位置測位部12から端末位置情報を、加速度センサ13から加速度情報を、ジャイロセンサ14から角速度情報をそれぞれ取得する。
【0022】
情報送信部152は、上記各情報を通信部11からネットワーク3を介して、サーバ2に送信する。
【0023】
一方、サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
【0024】
通信部21はネットワーク3を介して制御部23と端末装置1との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0025】
記憶部22は、交通ネットワーク情報が記憶された交通ネットワーク情報データベース221と、時刻表情報が記憶された時刻表情報データベース222とを有する。また、記憶部22は、乗換所要時間(後述)の推定後に、推定された乗換所要時間を記憶してもよい。
【0026】
交通ネットワーク情報データベース221における交通ネットワーク情報は、路線図ネットワーク情報や、道路ネットワーク情報などを含んでいる。
【0027】
路線図ネットワーク情報とは路線や駅の情報などである。より具体的には、路線図ネットワーク情報は、各路線に含まれる駅の位置(緯度および経度)、駅どうしの接続関係(P駅において、X線からY線に乗り換え可能である、など)といった情報である。なお、路線図ネットワーク情報は、電車についての情報のみならず、バスなど他の交通機関についての情報であってもよい。
【0028】
道路ネットワーク情報は道路網を規定する情報である。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。ノードは例えば緯度および経度で特定される。また、バス停やタクシー乗り場など、交通機関の乗車あるいは降車位置にもノードが設定されているのが望ましい。地図情報および道路ネットワーク情報は、経路探索に用いられ得る。
【0029】
時刻表情報データベース222における時刻表情報は、路線図ネットワーク情報に含まれる少なくとも一部の駅における、列車の出発時刻および/または出発時刻の情報である。
【0030】
上記の交通ネットワーク情報および時刻表情報は、所定のタイミングでアップデートしてもよい。また、必ずしも記憶部22をサーバ2内に設けなくてもよく、ネットワーク3を介して接続される別個の装置内に設けてもよい。
【0031】
制御部23は、情報取得部231と、経路推定部232と、移動検出部233と、乗換所要時間推定部234とを有する。これらは、例えばサーバ2のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することにより得られる機能である。
【0032】
情報取得部231は、ネットワーク3および通信部21を介して、端末装置1から端末位置情報、加速度情報および角速度情報を取得する。また、情報取得部231は記憶部22に記憶された交通ネットワーク情報および時刻表情報を取得する。
【0033】
経路推定部232は、情報取得部231が取得した情報、より具体的には、端末位置情報や交通ネットワーク情報を用いて、端末装置1の移動経路を推定する。
【0034】
移動検出部233は、推定された移動経路から、端末装置1のユーザがある交通手段(第1の交通手段)から他の交通手段(第2の交通手段)に乗り換えたこと、言い換えると、端末装置1がある交通手段から他の交通手段に移動したことを検出する。端末装置1をユーザが保持している場合には、ユーザが他の交通手段へ乗り換えたことと、端末装置1が他の交通手段を移動したこととは、ほぼ同義である。なお、ここでの交通手段とは主に公共交通機関であることを想定しているが、電車、バス、タクシーなど、特に制限はない。
【0035】
乗換所要時間推定部234は、端末装置1の移動(ユーザの乗換)が検出された場合、情報取得部231が取得した情報を用いて、端末装置1のユーザが乗換に要したと推定される時間(以下、乗換所要時間という)を推定する。すなわち、乗換所要時間推定部234は、駅の構造や距離だけでなく、実際の移動から乗換所要時間を推定する。推定された乗換所要時間は、記憶部22あるいは外部の記憶装置に記憶され得る。
【0036】
図2は、第1の実施形態におけるサーバ2の処理動作の一例を示すフローチャートである。情報取得部231は、端末装置1から端末位置情報、加速度情報および角速度情報(センサ情報)を取得する(ステップS1)。情報取得部231はこれらの情報をリアルタイムで(例えば1秒間隔で)取得するのが望ましい。端末位置情報が示す位置の履歴は、端末装置1の移動ログとなる。すなわち、移動ログは、端末装置1の位置情報と、その位置情報を取得した時刻情報とが含まれる。また、これらの情報とともに、ユーザを特定する情報(ユーザID)あるいは端末装置1を特定する情報を情報取得部231が取得してもよい。
【0037】
続いて、経路推定部232は、移動ログおよび交通ネットワーク情報から、端末装置1の移動経路を推定する(ステップS2)。より具体的には、経路推定部232は、交通ネットワーク情報を用いて、移動ログを道路や線路上にマッチングすることにより、移動経路を推定する。マッチングの際、経路推定部232は、加速度情報に基づいて、ユーザが徒歩で移動しているのか、電車で移動しているのか、車やバスで移動しているのかを判別してもよい。徒歩で移動している場合には歩道にマッチングし、電車で移動している場合には路線上にマッチングし、車やバスで移動している場合には道路上にマッチングすることで、マッチング精度が向上する。
【0038】
図3は、移動経路推定の一例を説明する図である。
図3では、初めは移動ログがX線上にマッチングされ、その後、A駅上にマッチングされ、その後、Y線上にマッチングされている。すなわち、端末装置1の移動経路は、X線の電車でA駅まで移動し、A駅以降はY線の電車で移動したと推定される。なお、各路線や駅の位置(緯度および経度)は交通ネットワーク情報に含まれている。
【0039】
図4は、移動経路推定の別の例を説明する図である。経路推定部232は電車以外の移動経路を推定してもよい。
図4では、初めは移動ログがX線上にマッチングされ、その後、A駅から外れたタクシー乗り場にマッチングされ、その後、道路上にマッチングされている。すなわち、端末装置1の移動経路は、X線の電車でA駅まで移動し、A駅で降車し、タクシー乗り場でタクシーに乗って道路を移動したと推定される。なお、タクシー乗り場の位置(緯度および経度)は交通ネットワーク情報に含まれている。
【0040】
図2に戻り、移動検出部233は、推定された移動経路を用いて、端末装置1のユーザがある交通手段から他の交通手段に乗り換えたことを検出する(ステップS3)。
図3の例では、移動検出部233は、ユーザがA駅でX線の電車からY線の電車に乗り換えたこと、言い換えると、端末装置1がA駅でX線の電車からY線の電車に移動したことを検出する。
図4の例では、移動検出部233は、端末装置1がA駅でX線の電車からタクシーに移動したことを検出する。
【0041】
図5は、検出結果の一例を示す図であり、
図3と対応している。移動検出部233は、どの路線の(乗換前の路線)、どの駅で(乗換駅)、いつ降車したか(降車時刻)を検出する。さらに移動検出部233は、降車後の移動時間(移動時間)、移動後の待ち時間(待ち時間)を検出する。さらに移動検出部233は、どの路線の電車に乗車したか(乗換後の路線)、その電車に乗車した時刻(乗車時刻)を検出する。また、移動検出部233は、これらの情報が検出された日付および曜日や、ユーザ(または端末装置1)の識別情報などを関連づけてもよい。
【0042】
乗換前の路線、乗換駅、乗換後の路線は、経路推定部232により推定された経路から検出される。
【0043】
降車時刻は、例えば端末装置1の位置が停止した時刻T1から検出される、電車から降車した時刻あるいは電車が停止した時刻である。このとき、移動検出部233は時刻表情報を参照することで電車が停止した時刻T1を補正してもよい。例えば、端末装置1の移動情報が5分間隔でしか取得できないような場合であっても、時刻表情報におけるA駅の到着時刻を参照することで、移動検出部233は5分より短い精度で降車時刻を検出できる。
【0044】
移動時間は、例えば端末装置1が停止した後、移動を再開した時刻T2から、再び移動が停止した時刻T3までの時間とすることができる。このとき、移動検出部233は、加速度情報や角速度情報を用いて、徒歩で移動したのか、エスカレータやエレベータを利用したのか、といった駅構内での移動手段も合わせて検出してもよい。
【0045】
待ち時間は、上記再び移動が停止した時刻T3から、さらに移動を再開した時刻T4までの時間とすることができる。時刻T4は、端末装置1のユーザが電車に乗車した時刻であってもよいし、電車が発車した時刻でもよい。移動検出部233は時刻表情報を参照して電車が発車した時刻を補正してもよい。
【0046】
あるいは、移動検出部233は、全移動時間から、X線の電車に乗っていた時間およびY線の電車に乗っていた時間の合計値を減じることで、移動時間および待ち時間の和を検出してもよい。
図6は、検出結果の別の例を示す図であり、
図4と対応している。移動検出部233が検出する項目は
図5とほぼ同様である。ただし、乗換後の路線として「タクシー」が検出される。
【0047】
図2に戻り、乗換が検出された場合、すなわち、端末装置1の移動経路に交通手段間の移動が含まれていた場合、乗換所要時間推定部234は乗換所要時間を推定する(ステップS4)。
【0048】
例えば
図5の場合、移動時間は7分であるから、乗換所要時間推定部234は、A駅においてX線の電車からY線の電車への乗換所要時間は7分であると推定することができる。あるいは、待ち時間が2分であることを考慮して、乗換所要時間推定部234は余裕を持って乗り換えるための乗換所要時間が9分であると推定してもよい。
【0049】
なお、X線の電車のホームからY線の電車のホームへの移動時間のみを乗換所要時間としてもよいし、この移動時間に待ち時間を加えた時間を乗換所要時間としてもよい。特に、端末位置検出の精度が高い場合、ホームからホームへ移動し終わった後に、ホームで電車を待っている状態も移動ログから検出できるため、有効である。
【0050】
図6の場合、乗換所要時間推定部234は、A駅で電車から降車してタクシー乗り場でタクシーに乗るまでの乗換所要時間は7分であると推定することができる。加えて、乗換所要時間推定部234は、A駅のタクシー乗り場では、10分の待ち時間が発生することを推定してもよい。 乗換所要時間推定部234は種々の単位で乗換所要時間を推定することができる。以下、いくつかの例を示す。
【0051】
図7は、ユーザごとに推定された乗換所要時間の一例を示す図である。徒歩などの移動速度はユーザによって異なるので、乗換所要時間もユーザごとに異なる。よって、図示のようにユーザごとに、各駅での乗換所要時間を推定してもよい。サーバ2の情報取得部231が端末装置1からユーザを特定する情報を取得することで、乗換所要時間推定部234はユーザごとの乗換所要時間を推定できる。また、通常は端末装置1のユーザは固定であることから、乗換所要時間推定部234は端末装置1ごとに乗換所要時間を推定してもよい。
【0052】
図8は、複数のユーザについて推定された乗換所要時間の分布の一例を示す図である。図示のように、乗換所要時間推定部234は複数のユーザ(端末装置)について乗換所要時間を推定し、その結果に対して統計処理をしてもよい。例えば、乗換所要時間推定部234は乗換所要時間の平均値を算出してもよい。その際、極端に長い乗換所要時間がある場合、乗換途中で食事や買い物などをした可能性があるので、乗換所要時間推定部234はこのような乗換所要時間を除外して平均値を算出してもよい。また、乗換所要時間推定部234は乗換所要時間の最頻値など他の統計値を算出してもよい。
【0053】
図9は、端末移動情報が取得された条件ごとに推定された乗換所要時間の一例を示す図である。例えばオフィス街の駅では、平日は混雑により乗換所要時間が長くなる一方、休日はそれほど混雑しないために乗換所要時間が短くなることが考えられる。よって、乗換所要時間推定部234は平日と休日とに分けて乗換所要時間を推定してもよい。
【0054】
また、晴れの日は電車を使わずに通勤・通学する人が、雨の日は電車を使うこともある。そのため、雨の日の方が混雑して乗換所要時間が長くなるということも考えられる。よって、乗換所要時間推定部234は天気ごとに乗換所要時間を推定してもよい。
【0055】
その他、乗換所要時間推定部234は、時間帯ごと、お盆・年末年始・大型連休などの特異日ごとにといった、端末装置1の移動ログ情報が取得された条件(項目)ごとに乗換所要時間を推定してもよい。
【0056】
また、
図5などにおいて、駅構内での移動手段が分かる場合、乗換所要時間推定部234は移動手段ごとに乗換所要時間を推定してもよい。例えば、乗換所要時間推定部234は、徒歩で移動した場合の乗換所要時間、エスカレータで移動した場合の乗換所要時間、エレベータで移動した場合の乗換所要時間に分けて推定してもよい。また、乗換所要時間推定部234はユーザの属性(年齢、性別など)ごとに乗換所要時間を推定してもよい。
【0057】
なお、乗換所要時間推定部234は、端末装置1から取得された移動ログ情報における時刻情報から乗換所要時間を推定してもよいし、移動ログ情報から推定された端末装置1の移動経路情報に時刻情報を含ませておいて、移動経路情報における時刻情報から乗換所要時間を推定してもよい。いずれにしても、乗換所要時間推定部234は、移動ログ情報を直接または間接的に用いて、乗換所要時間を推定する。
【0058】
以上のようにして推定された乗換所要時間は、サーバ2の記憶部22あるいは外部の記憶装置(不図示)にデータベースとして記憶される。
【0059】
このように、第1の実施形態では、端末装置1の実際の移動ログから乗換所要時間を推定する。そのため、実際の乗換所要時間を高精度に推定できる。
【0060】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、推定された乗換所要時間を考慮して経路探索を行うものである。
【0061】
図10は本発明の第2の実施形態に係る情報処理システム100aの概略構成を示すブロック図である。
図10では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0062】
情報処理システム100aにおける端末装置1aは、さらに、操作入力部16および出力部17を有する。
【0063】
操作入力部16はユーザが端末装置1aに操作を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるタッチパネルやマイクなどである。
【0064】
出力部17は端末装置1aからユーザへ各種情報を出力するインターフェースであり、例えば映像を表示する液晶ディスプレイである。具体的には、出力部17は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、後述する経路情報などを表示する。あるいは、出力部17は経路情報などを音声で出力するスピーカであってもよい。
【0065】
また、出力部17は経路情報などをユーザへ直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部17は、外部に接続される表示手段および/または音声再生手段に映像信号および/または音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、端末装置1a内あるいは外部の記憶装置へ出力して記憶させるものでもよい。
【0066】
また、制御部15aはさらに探索条件設定部153を有する。探索条件設定部153は、操作入力部16を介して、出発地、目的地、時刻に関する情報などの探索条件をユーザから受け付けることにより、探索条件を設定できる。あるいは、探索条件設定部153は探索条件の少なくとも一部をユーザ入力以外から設定してもよく、例えば端末装置1aの位置を出発地としたり、現在時刻を出発時刻としたりしてもよい。設定された探索条件は情報送信部152によりサーバ2aに送信される。
【0067】
また、サーバ2aの記憶部22aは乗換所要時間情報データベース223を有する。乗換所要時間情報は、第1の実施形態で説明したようにして推定された、駅などでの乗換所要時間を示す乗換所要時間情報を含んでいる。上述したように、乗換所要時間は、複数のユーザ(端末装置)についての平均値でもよいし、ユーザ(端末装置)ごとの値でもよいし、端末位置情報が取得された条件ごとの値でもよいし、ユーザ属性ごとの値でもよい。
【0068】
なお、乗換所要時間情報データベース223をサーバ2aの外部の記憶装置に保持し、ネットワーク3を介して情報取得部231が乗換所要時間情報を取得するようにしてもよい。
【0069】
本実施形態においてサーバ2aの制御部23aにおける情報取得部231は、端末装置1aから、さらに探索条件を含む探索要求を取得する。
【0070】
また、制御部23aは、さらに、経路探索部235および情報送信部236を有する。
【0071】
経路探索部235は、交通ネットワーク情報を用い、探索条件に基づいて経路探索を行って、経路情報を生成する。経路情報は、例えば出発地から目的地までの交通手段や移動距離、移動に要する時間および料金、出発時刻および到着時刻等の情報を含む。ここで、経路に乗換が含まれる場合、記憶部22aに記憶された乗換所要時間情報が参照される。
【0072】
情報送信部236は、通信部21からネットワーク3を介して、端末装置1aに経路情報を送信する。
【0073】
図11は、第2の実施形態における端末装置1aおよびサーバ2aの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0074】
端末装置1aの探索条件設定部153は探索条件を設定する(ステップS11)。そして、情報送信部152は探索条件をサーバ2aに送信し(ステップS12)、経路探索を要求する。
【0075】
これに応じて、サーバ2aの情報取得部231は探索条件を取得する。そして、経路探索部235は探索条件に基づいて経路探索を行う(ステップS21)。経路に乗換が含まれる場合、経路探索部235は記憶部22aに記憶された乗換所要時間情報を用いる。そのため、より正確な経路情報が生成される。すなわち、記憶部22aに記憶された乗換所要時間は実際の乗換に基づいて推定された値であるため、乗換駅において、乗換に間に合わなかったり必要以上に待ち時間が生じたりすることを抑制できる。
【0076】
続いて、情報送信部236は生成された経路情報を端末装置1aに送信する(ステップS22)。
【0077】
これに応じて、端末装置1aの情報取得部151は経路情報を取得する。そして、経路情報が出力部17から出力される(ステップS13)。
【0078】
上述したように、ステップS21において、経路探索部235は記憶部22aに記憶された乗換所要時間情報を用いる。ここで乗換所要時間がユーザごとに推定されて(
図7)記憶されている場合、経路探索部235はユーザに特化した経路情報を生成できる。ユーザに特化した経路情報を生成するためには、例えば端末装置1aから探索条件およびユーザを特定する情報をサーバ2aの情報取得部231が取得すればよい。
【0079】
図12は、経路情報の例を示す図である。
【0080】
図12(a)は
図7におけるユーザU01用の経路情報である。
図7によると、ユーザU01の、A駅におけるX線の電車からY線の電車への乗換所要時間は7分である。よって、X線の電車でA駅に10時15分に到着した後、7分後の10時22分以降に発車する電車に乗ることができる。よって、10時23分にA駅を発車するY線の電車がある場合、
図12(a)に示すような経路情報が生成される。
【0081】
図12(b)は
図7におけるユーザU02用の経路情報である。
図7によると、ユーザU02の、A駅におけるX線の電車からY線の電車への乗換所要時間は10分である。よって、X線の電車でA駅に10時15分に到着した後、10分後の10時25分以降に発車する電車に乗ることができる。よって、10時23分にA駅を発車するY線の電車がある場合であっても、この電車を利用する経路情報は生成されない。代わりに、実際に乗ることができる10時28分発の電車を利用する
図12(b)に示す経路情報が生成される。
【0082】
また、乗換所要時間がユーザの属性ごと推定されて記憶されていることもある。この場合、経路探索部235は経路探索を要求するユーザの属性に応じた乗換所要時間を考慮してもよい。このようにするためには、例えば端末装置1aから探索条件およびユーザの属性情報をサーバ2aの情報取得部231が取得すればよい。あるいは、ユーザを特定する情報と、ユーザの属性情報とを関連付けて予めサーバ2a内の記憶部22aに記憶しておき、ユーザを特定する情報を情報取得部231が取得し、当該ユーザの属性を記憶部22aから取得してもよい。
【0083】
また、乗換所要時間が、端末移動情報が取得された条件ごとに推定されて(
図9、平日か休日かなど)記憶されていることもある。この場合、経路探索部235は探索条件で設定された出発時刻あるいは到着時刻における条件で推定された乗換所要時間を考慮してもよい。
【0084】
また、乗換所要時間が移動手段ごとに推定されて記憶されていることもある。この場合、経路探索部235は移動手段を考慮して経路探索を行ってもよい。例えば、徒歩での移動では乗換に間に合わないが、エスカレータの移動では間に合う場合、経路探索部235はエスカレータでの移動を促す情報を含む経路情報を生成してもよい。また、一部の移動手段についての乗換所要時間しか記憶されていない場合、経路探索部235は当該移動手段での乗換所要時間から別の移動手段での乗換所要時間を推定してもよい。例えば、徒歩での乗換所要時間に所定の係数を乗じてエスカレータでの乗換所要時間としてもよい。
【0085】
このように、第2の実施形態では、推定された乗換所要時間を反映させて経路探索を行う。そのため、より正確な経路情報を生成できる。
【0086】
なお、第2の実施形態では、第1の実施形態でのサーバ2に対して必要な機能部を付加する例を示した。しかしながら、単に第1の実施形態で得られた乗換所要時間を用いて経路探索をするだけであれば、サーバ2aは乗換所要時間情報データベースにアクセスして経路探索できればよく、経路推定部232、移動検出部233および乗換所要時間推定部234を省略してもよい。
【0087】
また、上述した第1および第2の実施形態では、サーバ内に経路推定部232を設ける例を示したが、これをサーバ外に設けてもよい。この場合、移動検出部233は、端末装置の移動ログ情報および交通ネットワーク情報から(外部の経路推定部232により)推定された移動経路を用いて、端末装置の移動(ユーザの乗り換え)を検出すればよい。
【0088】
また、第2の実施形態で、推定された乗換所要時間を経路探索に用いる例を示したが、その用途は経路探索に限られるものではない。例えば、乗換所要時間に基づいて駅での混雑状況を推定してもよい。あるいは、乗換所要時間に基づいて駅構内の導線の最適化に利用してもよい。
【0089】
なお、上述した各実施形態は、サーバ2,2aが、端末装置1,1aから直接リアルタイムに、移動ログ情報を取得するものであった。しかしながら、移動ログ情報は、サーバ2,2aとは別個に設けられたデータベースに一旦蓄積されたものであってもよい。この場合、サーバ2,2aの情報取得部231が通信部2およびネットワーク3を介して蓄積された移動ログ情報を取得すればよい。
【0090】
また、上述した各実施形態では、端末装置1,1aと移動ログ情報とが対応しているものであった。しかしながら、端末装置1,1aではなく、ユーザと移動ログ情報とが対応していてもよい。例えば、1つのIDで複数の端末装置1,1aにログインするような場合には、ユーザと移動ログ情報とが対応している。すなわち、移動ログ情報は、端末装置1,1aの移動ログ情報でもよいし、ユーザの移動ログ情報でもよく、広く「移動体の移動ログ情報」ということができる。
【0091】
また、
図1や
図10の構成は一例であり、サーバ内の構成要件の少なくとも一部がそれぞれ端末装置内にあってもよい。例えば、サーバ内の記憶部および制御部を端末装置それぞれ端末装置内に設けて、通信をすることなく端末装置のみで処理可能な情報処理装置(いわゆるスタンドアローン)を構成してもよい。また、サーバ内の各部を複数の装置に分散して設けてもよい。
【0092】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0093】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0094】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。