(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334141
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】マーカによってCTスキャンをナビゲートするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
A61B6/03 F
A61B6/03 331
A61B6/03 360J
【請求項の数】26
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-239476(P2013-239476)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-104354(P2014-104354A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】201210489836.3
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ピン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーチン・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ハイ・フェン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】メン・ツァン
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−254933(JP,A)
【文献】
特開2012−139509(JP,A)
【文献】
特開2002−165780(JP,A)
【文献】
特開2005−198975(JP,A)
【文献】
特表2003−513376(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/098214(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/094833(WO,A1)
【文献】
特開2010−099389(JP,A)
【文献】
特表2010−503500(JP,A)
【文献】
特開平07−124151(JP,A)
【文献】
特開平05−237082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTデータを得るための身体部分のCTスキャンのための方法において、マーカが前記身体部分上に位置決めされる、方法であって、
スカウト画像を取得するために前記身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施すること、
前記マーカの位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出すること、および、
前記CTスキャンをナビゲートするために前記位置情報を使用することを含み、
前記マーカは、ワイヤに似たマーカであり、前記ワイヤに似たマーカは、CTスキャンシステム内のZ軸に平行になるように前記身体部分上に位置決めされる、方法。
【請求項2】
前記CTスキャンをナビゲートするために前記位置情報を使用することは、
前記CTスキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用すること、および/または、前記CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用すること、ならびに、
前記CTスキャンを実施するために、前記Z軸スキャン範囲および/または前記Y軸スキャン範囲を使用することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
D4D−CTスキャンにおいて、前記位置情報は、前記CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために使用される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記CTスキャンのZ軸スキャン範囲は、前記ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置および前記スカウトスキャンの開始位置に基づいて設定される請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記マーカの前記位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出することは、強調画像を取得するために、前記スカウト画像に線形微分演算子を少なくとも1回適用することを含み、前記線形微分演算子は、前記マーカの形状および配向に基づいて決定される請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記マーカの前記位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出することは、前記強調画像を前処理することを含み、前記前処理することは、
前記強調画像から冗長情報を除去すること、および、
前記冗長情報を除去されている前記画像を区分化することを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記強調画像から前記冗長情報を除去することは、ピクセル点であって、ピクセル点のピクセル値がバックグラウンドとしてのプリセット閾値未満である、ピクセル点を識別することを含み、かつ/または、前記冗長情報を除去されている前記画像を区分化することは、前記冗長情報を除去されている前記画像の平均値を前記画像の標準偏差に付加することを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記区分化された画像は、以下のステップ、すなわち、
前記マーカの前記形状および前記配向に基づいて、前記画像内のマーカイメージングの候補グラフィックのノイズを除去するステップ、前記候補グラフィックのギャップを充填するステップ、および前記候補グラフィックを細径化するステップにおいて処理される請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記マーカの前記位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出することは、前記スカウト画像の画像空間内で前記マーカの前記位置情報を取得するために、前記前処理された画像に関してパターン認識を実施することを含む請求項6または7記載の方法。
【請求項10】
前記パターン認識は、前記マーカの物理的長さ、前記画像内の前記候補グラフィックの形状、前記候補グラフィックの延長線上に他のグラフィックが存在するかどうかのうちの1つに少なくとも基づく請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記マーカの前記位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出することは、
前記スカウト画像の前記画像空間内の前記マーカの画像位置情報を、前記CTスキャンシステム内の前記マーカの物理的位置情報に変換することをさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
CTデータを得るための身体部分のCTスキャンのための装置において、マーカが前記身体部分上に位置決めされる、装置であって、
スカウト画像を取得するために前記身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施するためのスカウトスキャン構成要素と、
前記マーカの位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出するための位置取得構成要素と、
前記CTスキャンをナビゲートするために前記位置情報を使用するためのナビゲーション構成要素とを備え、
前記マーカは、ワイヤに似たマーカであり、前記ワイヤに似たマーカは、CTスキャンシステム内のZ軸に平行になるように前記身体部分上に位置決めされる、装置。
【請求項13】
前記ナビゲーション構成要素は、前記CTスキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用する、かつ/または、前記CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用するように構成され、
前記Z軸スキャン範囲および/または前記Y軸スキャン範囲は、前記CTスキャンを実施するために使用される請求項12記載の装置。
【請求項14】
D4D−CTスキャンにおいて、前記位置情報は、前記CTスキャンの前記Y軸スキャン範囲を設定するために使用される請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記CTスキャンの前記Z軸スキャン範囲は、前記ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置および前記スカウトスキャンの開始位置に基づいて設定される請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記位置取得構成要素は、強調画像を取得するために、前記スカウト画像に線形微分演算子を少なくとも1回適用するように構成され、前記線形微分演算子は、前記マーカの形状および配向に基づいて取得される請求項12乃至15記載の装置。
【請求項17】
前記位置取得構成要素は、前記強調画像に関して前処理を実施するように構成され、前記前処理は、
前記強調画像から冗長情報を除去すること、および、
前記冗長情報を除去されている前記画像を区分化することを含む請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記強調画像から前記冗長情報を除去することは、ピクセル点であって、ピクセル点のピクセル値がバックグラウンドとしてのプリセット閾値未満である、ピクセル点を識別することを含み、かつ/または、前記冗長情報を除去されている前記画像を区分化することは、前記冗長情報を除去されている前記画像の平均値を前記画像の標準偏差に付加することを含む請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記区分化された画像は、以下のステップ、すなわち、
前記マーカの前記形状および前記配向に基づいて、前記画像内のマーカイメージングの候補グラフィックのノイズを除去するステップ、前記候補グラフィックのギャップを充填するステップ、および前記候補グラフィックを細径化するステップにおいて処理される請求項17記載の装置。
【請求項20】
前記位置取得構成要素は、前記スカウト画像内の前記マーカの位置情報を取得するために、前記前処理された画像に関してパターン認識を実施するように構成される請求項17または18記載の装置。
【請求項21】
前記パターン認識は、前記マーカの物理的長さ、前記画像内の前記候補グラフィックの形状、前記候補グラフィックの延長線上に他のグラフィックが存在するかどうかのうちの1つに少なくとも基づく請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記位置取得構成要素は、
前記スカウト画像の画像空間内の前記マーカの画像位置情報を、前記CTスキャンシステム内の前記マーカの物理的位置情報に変換するようにさらに構成される請求項20記載の装置。
【請求項23】
医療スキャンデータを得るための身体部分の医療スキャンのための方法において、マーカが前記身体部分上に位置決めされる、方法であって、
スカウト画像を取得するために前記身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施すること、
前記マーカの位置情報を取得するために前記スカウト画像内の前記マーカを検出すること、および、
前記医療スキャンをナビゲートするために前記位置情報を使用することを含み、
前記マーカは、ワイヤに似たマーカであり、前記ワイヤに似たマーカは、医療スキャンシステム内のZ軸に平行になるように前記身体部分上に位置決めされる、方法。
【請求項24】
前記医療スキャンをナビゲートするために前記位置情報を使用することは、
前記医療スキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用すること、および/または、前記医療スキャンのY軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用すること、ならびに、
前記医療スキャンを実施するために、前記Z軸スキャン範囲および/または前記Y軸スキャン範囲を使用することを含む請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記医療スキャンの前記Z軸スキャン範囲は、前記ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置および前記スカウトスキャンの開始位置に基づいて設定される請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記医療スキャンは、CTスキャンおよびMRスキャンを含む請求項23乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療スキャンに関し、特に、マーカによってCTスキャンをナビゲートするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の開発によって、医療スキャンが、多くの医療用途における診断および処置について益々重要なツールになる。たとえば、コンピュータ断層撮影(CT)は、患者についての診断検査および放射線治療のために広く使用されてきた。CTスキャンでは、一般に、マーカが患者の身体上にセットされることになる。マーカは、CT画像とMRI画像との間の位置合わせ、画像アライメントの較正、または画像用の動き補正などのような異なる目的で使用されうる。
【0003】
米国特許第8,055,049号は、マーカによって、CTスキャン中の患者の動きを補正するための方法を述べる。その方法では、マーカは、患者の身体上に固定してセットされ、その後、CTスキャンが始まり、動きデータセットが、マーカの投影位置に基づいて得られる。最後に、CT画像が、動きデータセットによって再構成される。
【0004】
米国特許第5,662,111号は、マーカを使用するための別の方法を述べる。その方法では、マーカは、患者の身体の組織および構造に関して比較的固定された位置を有する場所にセットされ、次に、マーカの既知の座標が、定位的座標系内の全ての他の識別可能な点の座標を決定するために使用される。
【0005】
医療スキャンにおけるマーカの使用のさらなる説明について、米国特許第6,419,680号、第7,697,738号、第6,052,477号、第4,945,914号、第4,991,579号などを参照されたい。
【0006】
これらの特許の内容は、引用を通して本出願に組込まれる。
【0007】
しかし、上記従来技術では、マーカは、通常、単に基準点として使用され、マーカの形状、サイズ、または配向の検出または適用は、考慮されない。
【0008】
一方、CTスキャンを実施するときに、スカウトスキャンは、スカウトスキャンに基づいてパラメータを手動で設定し、フォローアップスキャンを実施する前に実施される必要がある。しかし、手動設定は非効率的であり、手動因子は、不正確さをもたらすことが多い。
【0009】
従来技術のCTスキャンはまた、他の態様における欠点を含む。したがって、従来技術の1つまたは複数の態様を増加させる、たとえば、マーカの使用を改善させる、または、パラメータ設定の効率および精確さを上げるための改善された解決策が存在することが所望される。
【0010】
本発明は、従来技術に存在する1つまたは複数の問題を解決すること、特に、マーカの使用を改善し、CTスキャンの自動ナビゲーションを実現し、かつ/または、スキャンパラメータ設定の効率および精確さを増すことを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,419,680号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、身体部分のCTスキャンのための方法が提供され、その方法において、マーカが身体部分上に位置決めされる。方法は、スカウト画像を取得するために身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施すること、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出すること、および、CTスキャンをナビゲートするために位置情報を使用することを含む。
【0013】
一態様によれば、マーカは、ワイヤに似たマーカであり、ワイヤに似たマーカは、CTスキャンシステム内のZ軸に平行になるように身体部分上に位置決めされる。
【0014】
一態様によれば、CTスキャンをナビゲートするために位置情報を使用することは、CTスキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために位置情報を使用すること、および/または、CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために位置情報を使用すること、ならびに、CTスキャンを実施するために、Z軸スキャン範囲および/またはY軸スキャン範囲を使用することを含む。
【0015】
一態様によれば、D4D−CTスキャンにおいて、位置情報は、CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために使用される。
【0016】
一態様によれば、CTスキャンのZ軸スキャン範囲は、ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置およびスカウトスキャンの開始位置に基づいて設定される。
【0017】
一態様によれば、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出することは、強調画像を取得するために、スカウト画像に線形微分演算子を少なくとも1回適用することを含み、線形微分演算子は、マーカの形状および配向に基づいて決定される。
【0018】
一態様によれば、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出することは、強調画像を前処理することを含み、前処理することは、強調画像から冗長情報を除去すること、および、冗長情報を除去されている画像を区分化することを含む。
【0019】
一態様によれば、強調画像から冗長情報を除去することは、ピクセル点であって、ピクセル点のピクセル値がバックグラウンドとしてのプリセット閾値未満である、ピクセル点を識別することを含み、かつ/または、冗長情報を除去されている画像を区分化することは、冗長情報を除去されている画像の平均値を画像の標準偏差に付加することを含む。
【0020】
一態様によれば、区分化画像は、以下のステップ、すなわち、マーカの形状および配向に基づいて、画像内の候補グラフィックのノイズを除去するステップ、候補グラフィックのギャップを充填するステップ、および候補グラフィックを細径化するステップにおいて処理される。
【0021】
一態様によれば、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出することは、スカウト画像の画像空間内でマーカの位置情報を取得するために、前処理された画像に関してパターン認識を実施することを含む。
【0022】
一態様によれば、パターン認識は、マーカの物理的長さ、画像内の候補グラフィックの形状、候補グラフィックの延長線上に他のグラフィックが存在するかどうかのうちの1つに少なくとも基づく。
【0023】
一態様によれば、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出することは、スカウト画像の画像空間内のマーカの画像位置情報を、CTスキャンシステム内のマーカの物理的位置情報に変換することをさらに含む。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、身体部分のCTスキャンのための装置が提供され、その装置において、マーカが身体部分上に位置決めされる。装置は、スカウト画像を取得するために身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施するためのスカウトスキャン構成要素と、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出するための位置取得構成要素と、CTスキャンをナビゲートするために位置情報を使用するためのナビゲーション構成要素とを備える。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、身体部分の医療スキャンのための方法が提供され、その方法において、マーカが身体部分上に位置決めされる。方法は、スカウト画像を取得するために身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施すること、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出すること、および、医療スキャンをナビゲートするために位置情報を使用することを含む。
【0026】
本発明の改善された解決策は、従来技術に存在する1つまたは複数の問題を解決しうる。本発明によって、スカウトスキャン内のマーカの形状および配向などの情報が、CTスキャンの自動ナビゲーションを実現し、かつ/または、パラメータ設定の効率および精確さを増すために完全に利用されうる。
【0027】
本発明の利点、特性、および特徴は、図と組合せて本発明を実行するモードの以下の説明を通してさらに理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるCTスキャンシステムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるマーカによってCTスキャンを自動的にナビゲートする方法を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による0°スカウト画像および90°スカウト画像を示す図である。
【
図4a】本発明の一実施形態によるマーカの形状および配向に基づく微分演算子を示す図である。
【
図4b】本発明の一実施形態によるスカウト画像に微分演算子を適用した後に得られた画像を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による細径化の前と後の候補グラフィックを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるノイズの存在下でのパターン認識アルゴリズムの結果を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるCTスキャンのための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、図を参照して完全に述べられるであろう。図は、本発明の例証的な実施形態を示す。しかし、本発明は、他の異なる形態で達成可能であり、これらの具体的に述べた実施形態に単に限定されると理解されないものとする。逆に、これらの実施形態は、当業者に本発明の概念を完全に伝えるために、本発明の開示を徹底的かつ完全にするために設けられる。全体のテキストにおいて、同じまたは同様の数字は同じデバイスまたはユニットを示す。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるCTスキャンシステム100を例証的に示す。CTスキャン装置システム100は、CT装置101および患者106を設置するためのCT検査テーブル102を備える。CT装置101は、患者106のCTデータを得るために使用される。
図1はまた、マーカ107を示す。
図1に示すように、CTスキャンシステム100で使用される3次元座標系で、X軸は、検査テーブルの表面に平行であり、かつ、検査テーブルの表面の長い辺に垂直であり、Y軸は、検査テーブルの表面に垂直であり、Z軸は、検査テーブルの表面の長い辺に平行である。座標系のこうした設定は、当技術分野で使用されることが多く、本明細書で詳述する必要性は存在しない。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態による、マーカによってCTスキャンを自動的にナビゲートする方法を示し、その方法において、マーカは、スキャンされる患者の身体部分上に位置決めされる。その方法では、スキャンされる身体部分を含むエリアのスカウトスキャンは、最初にスカウト画像を取得するために実施される必要があり、次に、スカウト画像内のマーカが、マーカの位置情報を取得するために検出され、最後に、取得された位置情報が、CTスキャンをナビゲートするために使用される。
【0032】
通常、マーカは、金属または比較的高いCT値を有する他の材料で作られ、したがって、マーカのイメージングは、CTスキャンによって実施され、明らかなアーチファクトもまた回避されうる。
図1に示すように、マーカ107は、ワイヤに似た形状で形成され、特定の用途に応じて変化しうる長さおよび幅を有する。しかし、本発明のマーカは、ワイヤに似たマーカに限定されない。他の実施形態によれば、マーカは、菱形、円形、卵形、または、スカウト画像で検出されるのに適した他の形状でありうる。さらに、
図1に示すマーカはCTスキャンシステムのZ軸に平行であるが、マーカの他の配向も実行可能である、たとえば、マーカはZ軸に関して斜めになるように設定されることが理解される。
【0033】
一実施形態によれば、スカウト画像内のマーカを検出することは、全体としてマーカを検出すること、たとえば、マーカの全体の形状および配向が考慮されるときに、マーカ上の個々の点の位置を単に検出するのではなく、マーカ上の全ての関心点の位置を検出することを意味する。
【0034】
スカウトスキャンのプロセスにおいて、スカウト画像を取得するために、低線量のX線が、スキャンされるターゲット部分を含む身体エリアをスキャンするために使用される。0°スカウト画像および90°スカウト画像がスカウトスキャンを通して得られうる。
図3の左図は、0°スカウト画像を示し、X−Z平面に平行なビューを示し、X軸およびZ軸上のマーカの関連する位置情報17が反映される。
図3の右図は、90°スカウト画像を示し、Y−Z平面に平行なビューを示し、Y軸およびZ軸上の同じマーカの関連する位置情報17’が反映される。スカウトスキャンおよびスカウト画像の取得は当技術分野で広く知られているため、本明細書で詳述する必要性は存在しない。本発明において、0°スカウト画像および90°スカウト画像が実際の用途に応じて同時に得られうるか、あるいは両画像のいずれか一方のみが得られることが理解可能である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、CTスキャンをナビゲートするためにマーカの位置情報を使用することは、CTスキャンにおいてZ軸スキャン範囲およびY軸スキャン範囲を設定するために位置情報を使用することを含む。マーカは、スキャンされる身体部分に固定され、マーカと、スキャンされる身体部分との間の対応する位置関係が存在する。たとえば、ワイヤに似たマーカの2つの端点が、Z軸上で、スキャンされる身体部分(またはエリア)の開始点および端点にそれぞれ対応しうる。代替的に、90°スカウト画像は、Z軸上の各位置において、スキャンされる身体部分のY軸位置情報を反映しうる。マーカの全体の検出を通して、マーカ上の全ての関心点(またはCTスキャンをナビゲートするのに必要とされる点)の位置信号が得られうる。したがって、マーカの全体的な位置情報は、Z軸および/またはY軸のスキャン範囲を設定するために使用されうる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、D4D−CTスキャンにおいて、マーカの位置情報は、呼吸サイクル測定が正確に実施されるように、CTスキャンにおいてY軸スキャン範囲を設定するために使用される。Y軸スキャン範囲の設定は、実際の状況に応じて他のタイプのスキャンに同様に適用されうることが理解される。D4D−CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために、スキャンされる部分のY軸位置情報を使用することは、当技術分野で非常に多く、本明細書で詳述する必要性は存在しない。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、ワイヤに似たマーカの2つの端点は、スキャンされる身体部分の開始点および端点にそれぞれ対応する。たとえば、
図1に示すように、スキャンされる部分は、ワイヤに似たマーカの2つの端点を通る2つの平行な平面間にあり、かつ、Z軸に垂直である。したがって、ワイヤに似たマーカの2つの端点のZ軸座標を、スカウトスキャンが始まる物理的位置のZ軸座標に付加することは、次のCTスキャンのZ軸スキャン範囲に達しうる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、マーカがワイヤに似たマーカでない(たとえば、菱形マーカである)とき、ワイヤに似ていないマーカの特定の位置(たとえば、菱形の2つの鋭角頂点)は、上述した方法と同様な方法で、次のCTスキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために、スキャンされる身体部分の開始点および端点に対応するようにさせられうる。
【0039】
CTスキャンをナビゲートするためにマーカの位置情報を使用することは、Z軸およびY軸のCTスキャン範囲を設定することだけでなく、マーカに関連する他のいくつかのスキャニングパラメータを設定することを含む。
【0040】
本発明では、位置情報を取得するために、スカウト画像内のマーカを検出するための種々の方法が存在する。これらの検出方法は、特定の実装態様において異なるが、画像内のグラフィックスまたはオブジェクトが検出され、それらの位置がこれらの方法で決定されうる限り、これらの方法は、本発明の範囲に含まれるべきであることが理解可能である。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出することは、強調画像を取得するためにスカウト画像に異なる演算子を適用することを含み、その強調画像は、スカウト画像について導関数を計算するために微分演算子を使用することによって実現されうる。微分演算子は、マーカの形状および配向に基づいて選択されうる。ワイヤに似たマーカの場合、微分演算子を決定するとき、スカウト画像内のマーカのイメージングのワイヤ幅を推定することによって形状情報が使用されうる。たとえば、1.5mm幅のワイヤに似たマーカが、D4D−CTスキャンで使用される場合、その投影の幅は、約2ピクセルでありうる。こうした設定は、マーカ検出に良好な性能をもたらす。さらに、マーカの配向もまた考慮されうる。通常、人の身体上のワイヤに似たマーカの配向は、Z軸に平行である。
【0042】
図4aは、本発明の一実施形態による、マーカの形状および配向に基づいて決定された微分演算子を示す。ワイヤに似た微分演算子は、Z軸に平行かまたはほぼ平行になり、1.5mmの幅を有するよう設定されるワイヤに似たマーカに対応しうる。
図4bは、スカウト画像に微分演算子を適用することによって得られた強調画像を示す。見てわかるように、スカウト画像内のワイヤに似たマーカの候補グラフィックが強調されるが、他の部分は抑制される。
【0043】
明らかに、
図4a〜4bは、非常に特定の微分演算子を示すだけであるが、本発明は、それに限定されない。マーカの実際の形状および配向に応じて、異なる数字の値またはパターンを有する演算子が、スカウト画像の1次導関数、2次導関数、または(必要である場合)さらに高次導関数を計算するために使用されて、強調画像が得られる。画像の導関数を計算するために微分演算子を使用することは、当技術分野で広く知られており、本明細書で詳述する必要性は存在しない。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、強調画像を取得するためにスカウト画像に微分演算子を適用した後に、さらなる前処理が、強調画像に関して実施されうる。前処理は、強調画像から冗長情報を除去すること、および、冗長情報が除去されている画像を区分化することを含むが、それに限定されない。
【0045】
一実施形態によれば、冗長情報を除去することは、画像の平滑なエリア(すなわち、エッジがないエリアまたは候補グラフィック)から冗長かつ微妙な情報を除去することを意味し、除去することは、ピクセル点であって、ピクセル点のピクセル値が、バックグラウンドとしてのプリセット閾値未満である、ピクセル点を識別することによって実現されうる。安全なプリセット閾値を設定することによって、冗長かつ微妙な情報のほとんどが除去されることができ、したがって、後続のステップにおけるデータ量が劇的に低減されうる。プリセット閾値を選択するとき、異なるまたは同じプリセット閾値が、0°スカウト画像または90°スカウト画像について使用されうる。さらに、残りの情報が、必要とされる候補グラフィックまたはエッジを完全に含みうることを保証するために、比較的低い(たとえば、50の)閾値が選択されうる。
【0046】
一実施形態によれば、冗長情報が除去されている画像を区分化するために、自動閾値がさらに使用されうる。すなわち、冗長情報が除去されている画像の平均値が、その画像の標準偏差に付加される。特定の公式は次の通りである。
【0047】
T=AVE(image)+STD(image) (1)
ここで、AVE(image)は、冗長情報が除去されている画像の平均値を示し、STD(image)は、冗長情報が除去されている画像の標準偏差を示し、Tは、区分化画像を示す。たとえば、ワイヤに似たマーカについて、画像が区分化された後、ワイヤに似た形状または同様の形状内のエッジを主に示すデータ情報が得られうる。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前処理はまた、区分化画像をさらに処理することを含むことができ、その処理において、マーカの形状および配向に基づいて、画像内のマーカのイメージングの候補グラフィックのノイズを除去するために画像モルフォロジアルゴリズムが使用される、候補グラフィックのギャップが充填される、かつ/またはマーカの候補グラフィックが細径化される。
【0049】
一実施形態では、グラフィックス近似アルゴリズムが使用されて、ノイズが除去され、候補グラフィックのギャップが充填される。グラフィックス近似アルゴリズムの近似演算子を設計するときに、マーカの形状および配向もまた考慮されうる。たとえば、ワイヤに似たマーカの場合、そのワイヤの幅および方向が考慮されうる。グラフィックス近似アルゴリズムは、画像モルフォロジで使用されることが多く、本明細書で詳述する必要性は存在しない。
【0050】
一実施形態では、水平細径化アルゴリズムが使用されて、画像内のワイヤに似たマーカの候補グラフィックが細径化される。ワイヤに似たマーカの場合、細径化は、画像内の全てのグラフィックスを垂直またはほぼ垂直になるようにさせる。水平細径化アルゴリズムは、グラフィックモルフォロジでも使用されることが多く、本明細書で詳述する必要性は存在しない。
【0051】
図5は、細径化の前と後でのマーカの候補グラフィックの変化を示し、
図5の左図は、画像区分化およびグラフィクス近似アルゴリズムが実施された後の状況を示し、一方、右図は、さらなる細径化処理が遂行された後の状況を示す。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、パターン認識が、前処理された画像に関して実施されて、スカウト画像の画像空間内のマーカの画像位置情報が取得される。最初に、前処理された画像内の全ての候補グラフィクスが計数され、次に、マーカパターン認識アルゴリズムが使用されて、最高のパターンスコアを有する候補画像が選択される、たとえば、パターン認識は、マーカの物理的長さ、画像内の候補画像の形状、および候補グラフィックの延長線上に他のグラフィックが存在するかどうかのうちの1つに少なくとも基づきうる。他のパラメータが、同様にパターン認識で使用されうることが理解可能である。
図6は、ノイズの存在下で、パターン認識アルゴリズムを通して正しい結果が同様に保証されうることを示す。
【0053】
一実施形態によれば、ワイヤに似たマーカの場合、パターンスコア値を計算するための公式は、次の通りである。
【0054】
Sn=a
*LEN(Ln)+b
*EXT(Ln)+c
*LIN(Ln)+… (2)
ここで、Snは、n番目の候補線形グラフィックのパターンスコア値であり、LEN(Ln)は、ワイヤ長の類似性を示し、候補線形グラフィックの長さが実際のワイヤパターンをより近似するほど、スコア値が高くなり、EXT(Ln)は、候補グラフィックの両側の延長線上に、線分が存在すべきでないことを示し、LIN(Ln)は、実際のワイヤに似たマーカの線形性を示す。ワイヤに似たマーカは、患者の軟質かつ柔軟な身体に固定されるため、90°スカウト画像内の候補グラフィックは、標準的な直線であるべきでなく、さらに、a、b、cは、種々の因子の重み係数を示す。各候補グラフィックの対応するパターンスコアは、前記公式(2)によって得られうる。
【0055】
公式(2)が例証であるに過ぎないことが理解可能である。特定のマーカの場合、マーカの他の因子が使用されて、同様にパターンスコア値が計算されることができ、因子のいくつかは、重み係数をゼロになるよう設定することによって考慮されない。
【0056】
各候補グラフィックの対応するパターンスコア値を得た後に、一般に、最高パターンスコア値を有する候補グラフィックが、マーカのイメージングとして識別され、スカウト画像内のマーカのイメージングの画像位置情報が決定される。しかし、本発明の一実施形態によれば、任意選択で、識別された結果は、マーカの実際の形状に従って判断されうる。たとえば、ワイヤに似たマーカの場合、識別されたワイヤ長が、そのワイヤ長についての最大要件また最小要件を満たさない場合、識別された結果が無視され、マーカが検出されないことがシステムに報告される。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、画像空間内のマーカの画像位置情報は、CTスキャンシステム内のマーカの物理的位置情報に変換されうる。画像空間と実際の物理的空間との関係(たとえば、2ピクセルが1.5mmの物理的距離を表す)によって、画像位置と物理的位置との間の変換は種々の方法で実現されうる。たとえば、全体としての画像空間が物理的空間に変換され、次に、CTスキャンシステム内のマーカの位置情報が決定される。代替的に、画像空間内の識別されたマーカの全体の位置だけが、実際の物理的位置に変換される。さらに、マーカのイメージング上の関心点の画像位置だけが物理的位置に変換される。たとえば、識別されたワイヤに似たマーカの2つの端点の画像位置だけが物理的位置に変換される。
【0058】
位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出するための他の方法と比較して、本発明の先に導入された検出方法は、より頑健でかつより正確である。
【0059】
マーカの物理的位置情報を得た後に、その位置情報が使用されて、CTスキャンがナビゲートされうる。たとえば、後続のCTスキャンのZ軸スキャン範囲は、ワイヤに似たマーカの2つの端点の物理的位置に応じて設定されうる。さらに、マーカのZ軸上の各位置に対応するY軸座標は、90°スカウト画像において得られうる。その情報が使用されて、D4D−CTスキャンを精密にナビゲートしうる。
【0060】
図7は、マーカが身体部分上に位置決めされる本発明の一実施形態によるCTスキャン用の装置700を示す。装置は、スカウト画像を取得するために身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施するためのスカウトスキャン構成要素と、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出するための位置取得構成要素と、CTスキャンをナビゲートするために位置情報を使用するためのナビゲーション構成要素とを備える。
【0061】
一実施形態による装置では、ナビゲーション構成要素は、CTスキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用する、かつ/または、CTスキャンのY軸スキャン範囲を設定するために前記位置情報を使用するように構成され、Z軸スキャン範囲および/またはY軸スキャン範囲はCTスキャンのために使用される。
【0062】
一実施形態による装置では、位置情報が使用されて、D4D−CTスキャンにおいて、CTスキャンのY軸スキャン範囲が設定される。
【0063】
一実施形態による装置では、CTスキャンのZ軸スキャン範囲は、ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置ならびにスカウトスキャンの開始点に基づいて設定される。
【0064】
一実施形態による装置では、位置取得構成要素は、強調画像を取得するためにスカウト画像に少なくとも1つの線形微分演算子を適用するように構成され、少なくとも1つの線形微分演算子は、マーカの形状および配向に基づいて取得される。
【0065】
一実施形態による装置では、位置取得構成要素は、強調画像を前処理するように構成され、前処理することは、強調画像から冗長情報を除去すること、および、冗長情報を除去されている画像を区分化することを含む。
【0066】
一実施形態による装置では、強調画像から冗長情報を除去することは、ピクセル点であって、ピクセル点のピクセル値がバックグラウンドとしてのプリセット閾値未満である、ピクセル点を識別することを含み、かつ/または、冗長情報を除去されている画像を区分化することは、冗長情報を除去されている画像の平均値を画像の標準偏差に付加することを含む。
【0067】
一実施形態による装置では、区分化画像は、以下のステップ、すなわち、マーカの形状および配向に基づいて、画像内のマーカイメージングの候補グラフィックのノイズを除去するために画像モルフォロジアルゴリズムを使用するステップ、候補グラフィックのギャップを充填するステップ、および/または候補グラフィックを細径化するステップにおいて処理される。
【0068】
一実施形態による装置では、位置取得構成要素は、スカウト画像の画像空間内でマーカの位置情報を取得するために、前処理された画像に関してパターン認識を実施するように構成される。
【0069】
一実施形態による装置では、パターン認識は、マーカの長さ、候補グラフィックの形状、候補グラフィックの延長線上に他のグラフィックが存在するかどうかのうちの1つに少なくとも基づく。
【0070】
一実施形態による装置では、位置取得構成要素は、スカウト画像の画像空間内のマーカの画像位置情報を、CTスキャンシステム内のマーカの物理的位置情報に変換するようにさらに構成される。
【0071】
本発明が、限定することなく、磁気共鳴イメージングスキャンなどを含むCTスキャン以外の他のタイプの医療スキャンに同様に適用可能であることが同様に当業者にとって理解可能である。CTのスカウト画像は「「スカウト(scout)」」と呼ばれ、一方、MRIのスカウト画像は「「平面フィルム(plain film)」」と呼ばれる。相応して、本出願はまた、医療スキャンのための方法を開示し、方法は、スカウト画像を取得するために身体部分を含むエリアのスカウトスキャンを実施すること、マーカの位置情報を取得するためにスカウト画像内のマーカを検出すること、および、医療スキャンをナビゲートするために位置情報を使用することを含む。
【0072】
一実施形態による医療スキャン方法では、医療スキャンをナビゲートするために位置情報を使用することは、医療スキャンのZ軸スキャン範囲を設定するために位置情報を使用すること、および/または、医療スキャンのY軸スキャン範囲を設定するために位置情報を使用すること、ならびに、医療スキャンのために、Z軸スキャン範囲および/またはY軸スキャン範囲を使用することを含む。
【0073】
一実施形態による医療スキャン方法では、医療スキャンのZ軸スキャン範囲は、ワイヤに似たマーカの2つの端点の位置ならびにスカウトスキャンの開始点に基づいて設定される。
【0074】
本発明が、限定することなく、ハードウェア、ファームウェア、コンピュータプログラム、およびロジックデバイスなどを含む当技術分野で知られている種々の方法で実施されうることが当業者にとって理解可能である。
【0075】
上記説明および対応する図によって、本発明の最適な実施形態が詳細に開示された。さらに、いくつかの特定の用語は、説明において使用されるが、例証的であるに過ぎない。当業者は、種々の変更、等価な置換、および変形を理解することになり、また、それらを本発明に適用しうる。たとえば、実施形態内の1つのステップまたはモジュールは、2つ以上のステップまたはモジュールに分割される、または逆に、実施形態内の2つ以上のステップ、モジュール、または装置の機能は、1つのステップまたはモジュールに組込まれる。変換は、本発明の趣旨から離れない限り、本出願によって請求される保護範囲内に入るものとする。本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に依存する。
【符号の説明】
【0076】
100 CTスキャン装置システム
101 CT装置
102 CT検査テーブル
106 患者
107 マーカ