(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
代表的な実施形態につき、
図1〜
図10を参照して説明する。本実施形態は、往復動式作業工具の一例として電動式のハンマドリルを用いて説明する。
図1に示すように、ハンマドリル101は、本体部103と、ハンドル109と、ハンマビット119を主体として構成されている。
図2および
図3に示すように、本体部103の先端領域(
図2の左側)にツールホルダ137が設けられており、ハンマビット119はツールホルダ137に着脱可能に取付けられる。ハンドル109のグリップ部151は、本体部103の先端領域とは反対側の後方領域に設けられている。
【0033】
[駆動機構]
図2〜
図4に示すように、本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、打撃要素115及び動力伝達機構117を収容したギアハウジング107を主体として構成されている。ギアハウジング107は、先端領域にツールホルダ137を保持するベアリング137aを支持するためのベアリング支持部107aと、ギアハウジング107の内部と外部を連通する開口部107bを有している。駆動モータ111は、本発明における「モータ」に対応する実施構成例である。また、運動変換機構113、打撃要素115及び動力伝達機構117が、本発明における「駆動機構」に対応する実施構成例である。また、本体部103が、本発明における「本体部」に対応する実施構成例である。
【0034】
駆動モータ111は、回転軸線がハンマビット119の長軸方向と平行になるように配置されている。駆動モータ111の前方には、冷却ファン112が駆動モータ111の回転軸に取り付けられている。すなわち、冷却ファン112は、ハンマビット119の長軸方向に関して、駆動機構と駆動モータ111の間に設けられている。したがって、駆動モータ111の駆動によって、冷却ファン112が回転し、冷却風が発生する。この冷却ファン112は、遠心ファンとして形成されている。そのため、ギアハウジング107内部を流通した冷却風が、冷却ファン112に対応した位置であるギアハウジング107の側面に設けられたギアハウジング107の開口部107bから排出される。駆動モータ111の回転出力は、駆動モータ111の前方に配置された運動変換機構113によって直線動作に変換されて打撃要素115に伝達され、ハンマビット119の長軸方向(
図1における左右方向)の衝撃力を発生させる。また、駆動モータ111の回転出力は、駆動モータ111の前方に配置された動力伝達機構117によって減速されてハンマビット119に伝達され、ハンマビット119を周方向に回転させる。駆動モータ111は、ハンドル109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。なお説明の便宜上、ハンマビット119側を前、ハンドル109側を後という。
【0035】
運動変換機構113は、中間軸125と、揺動リング129と、筒状ピストン131を主体として構成されている。中間軸125は、駆動モータ111によって回転される。揺動リング129は、中間軸125の回転に伴い、回転体127を介してハンマビット119の長軸方向に搖動される。筒状ピストン131は、揺動リング129の揺動に伴い、ハンマビット119の長軸方向に直線状に往復移動される。
【0036】
動力伝達機構117は、複数のギアからなるギア減速機構を主体として構成されている。このギア減速機構は、中間軸125と一体に回転する小径ギア133、小径ギア133と噛み合い係合する大径ギア135を有する。動力伝達機構117は、駆動モータ111の回転をツールホルダ137に伝達する。ツールホルダ137は、ベアリング保持部107aに支持されたベアリング137aによって回転可能に保持されている。これにより、ツールホルダ137が回転され、ツールホルダ137に保持されたハンマビット119が回転される。なお、ベアリング保持部107aは、アルミなどの金属製の円筒状部材として形成されている。
【0037】
打撃要素115は、ストライカ143と、インパクトボルト145を主体として構成されている。ストライカ143は、筒状ピストン131内に摺動可能に配置された打撃子として構成されている。インパクトボルト145は、ツールホルダ137内に摺動可能に配置された中間子として構成されている。ストライカ143は、筒状ピストン131の摺動に伴う空気室131aの空気バネ(圧力変動)を介して駆動され、インパクトボルト145に衝突する。これにより、ハンマビット119が打撃力を発生する。このインパクトボルト145が、本発明における「可動部材」に対応する実施構成例である。
【0038】
上記のハンマドリル101においては、駆動モータ111が通電駆動されると、駆動モータ111の回転が運動変換機構113を介して直線運動に変換された後、打撃要素115を介してハンマビット119に伝達される。これにより、ハンマビット119が打撃動作する。また、駆動モータ111の回転は、動力伝達機構117を介してハンマビット119に伝達される。これにより、ハンマビット119は、長軸方向の打撃動作と周方向の回転動作を行い、被加工材にハンマドリル作業を遂行する。
【0039】
なお、
図1に示すように、ハンマドリル101は、作業モードを切替えるためのモード切替スイッチ110を備えている。そして、作業者がモード切替スイッチ110を操作することにより、作業モードとしてのハンマドリルモードとドリルモードが切り替えられる。ハンマドリルモードにおいては、ハンマビット119が打撃動作と回転動作を行う。ドリルモードにおいては、ハンマビット119が回転動作のみを行う。
【0040】
[ハンドル]
図4に示すように、ハンドル109は、作業者がハンマドリル101を保持するための樹脂製のメインハンドルとして形成されており、ハンドル後側部分150とハンドル前側部分155を主体として構成されている。ハンドル後側部分150は、作業者が把持するグリップ部151と、グリップ部151の前方に配置された円筒状のハウジング部152を主体として構成されている。グリップ部151は、ハウジング部152の後端部からハンマビット119の長軸方向に交差する下方に向かって延在するように設けられている。グリップ部151の先端部は、自由端として構成され、駆動モータ111に電気を供給するための電源ケーブルが設けられている。なお、ハウジング部152には、前方に突出する係合凸部153が設けられている。このグリップ部151が、本発明における「把持部」に対応する実施構成例である。
【0041】
ハンドル前側部分155は、補助ハンドル190が取り付けられる補助ハンドル装着部156と、補助ハンドル装着部156の後方に配置された延在部157を主体として構成されている。補助ハンドル装着部156は、ギアハウジング107のベアリング保持部107aを囲む環状部材として構成されている。すなわち、
図7に示すように、ギアハウジング107の先端領域(ハンマビット119側領域)には、ベアリング保持部107aが設けられており、ベアリング保持部107aの外側には、周方向に所定間隔で複数の凸部107bが形成されている。そして、補助ハンドル装着部156には、凸部107bの外側表面と当接するように補強リング156aが設けられている。また、
図4に示すように、延在部157には、係合凸部152と係合可能な係合凹部158が設けられている。この補助ハンドル装着部156が、本発明における「補助ハンドル装着部」に対応する実施構成例である。また、補強リング156aが、本発明における「環状部」に対応する実施構成例である。また、延在部157が、本発明における「連結部」に対応する実施構成例である。
【0042】
また、
図4に示すように、モータハウジング105には、複数の摺動ガイド106が設けられている。複数の摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、モータハウジング105(駆動モータ111)の外周の複数の位置に配置されている。また、摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向に関して、前方と後方の2箇所に配置されている。すなわち、前方の摺動ガイド106と後方の摺動ガイド106は、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、モータハウジング105(駆動モータ111)の外周の複数の位置にそれぞれ配置されている。この摺動ガイド106は、モータハウジング105の表面に形成された樹脂製の凸部を覆う金属製のカバーで形成されている。この金属製のカバーは、炭素鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタンなどの金属で形成されている。さらに、モータハウジング105の外周には、複数のコイルスプリング160が配置されている。この摺動ガイド106が、本発明における「金属製ガイド」に対応する実施構成例である。
【0043】
図5および
図6に示すように、ハウジング部152の内周面には、それぞれの摺動ガイド106に対応して複数の凹部154aと、それぞれのコイルスプリング160に対応して複数の押圧部154bが形成されている。この凹部154aは、ハウジング部152の一部として、樹脂によって形成されている。この凹部154a(ハウジング部152)は、PA6ナイロン等の樹脂材料で形成されている。また、
図2に示すように、凹部154aの後端部には、摺動ガイド106と当接可能な当接部154cが形成されている。さらに、補助ハンドル装着部156の前端部には、ギアハウジング107の前端部と当接可能な当接部159aが形成されている。また、
図4に示すように、補助ハンドル装着部156には、貫通孔159bが形成されている。この凹部154aが、本発明における「樹脂製ガイド」に対応する実施構成例である。
【0044】
以上のハンドル109は、
図1〜
図3に示すように、ハンドル後側部分150が本体部103に対して後方から移動され、ハンドル前側部分155が本体部130に対して前方から移動されて、係合凸部153と係合凹部158によって連結されることで、ハンドル109が、本体部103の外側に組み付けられる。すなわち、ハンドル109は、ハウジング部152が、モータハウジング105を覆うように配置され、延在部157が、ギアハウジング107に沿うように配置される。この延在部157は、ギアハウジング107との間に、開口部107bから補助ハンドル装着部156の貫通孔159bまでの冷却風流路157Aを形成している。すなわち、延在部157は、ハンマドリル119の長軸方向に直交する断面に関して、略U字状の断面形状を有している。これにより、ギアハウジング107の側面に形成された開口部107bから、ハンマビット119が装着されるギアハウジング107の先端領域に至る冷却風流路157Aが形成されている。また、凹部154aが摺動ガイド106に係合し、押圧部154bがコイルスプリング160を押圧するように、ハウジング部152がモータハウジング105の外側に配置される。すなわち、コイルスプリング160は、一端がモータハウジング105に当接し、他端がハウジング部152の押圧部154bに当接して、ハンドル後側部分150を付勢した状態で支持される。ハンドル後側部分150はコイルスプリング160によって後方に向かって押圧されており、このときハンドル前側部分155の当接部159aがギアハウジング107の前端部に当接する。これにより、ハンドル109の後方への移動が規制される。このコイルスプリング160が、本発明における「付勢部材」に対応する実施構成例である。また、ハンドル109が、本発明における「メインハンドル」に対応する実施構成例である。
【0045】
ギアハウジング107とハンドル後側部分150の間には、蛇腹部材108が配置されている。この蛇腹部材108は、ギアハウジング107を囲むように配置された環状部材であり、ハンマビット119の長軸方向に伸縮可能に形成されている。これにより、ハンマビット119の長軸方向に関して、ギアハウジング107に対するハンドル109の相対移動が許容される。また、蛇腹部材108は、本体部103とハンドル109の間の隙間を塞ぐシール部材として機能する。この蛇腹部材108が、本発明における「シール部材」に対応する実施構成例である。
【0046】
[補助ハンドル]
図7に示すように、補助ハンドル190は、ハンドル109の補助ハンドル装着部156に取り付けられるように構成されている。 補助ハンドル190は、把持部191と装着部195を主体として構成されている。把持部191は、グリップ部192、フランジ部193およびボルト194を備えている。グリップ部192は、樹脂製の略円筒状部材であり、作業者に把持されるように構成されている。フランジ部193は、グリップ部192の一端側に設けられおり、ボルト194が当該フランジ部193から突出するように設けられている。装着部195は、係合バンド196、ナット197およびバンド保持部198を備えている。係合バンド196は、環状に形成されたバンド状部材であり、バンド状部材の端部は、ナット197に連結されている。係合バンド196の外側には、バンド保持部198が形成されている。このバンド保持部198の中央領域には、ボルト194が貫通する貫通孔が形成されている。
【0047】
以上の補助ハンドル190は、グリップ部191をグリップ部191の軸方向周りの周方向に回転させることで、ボルト194とナット197が係合する。これにより、ナット197とフランジ部193の距離が変化する。したがって、係合バンド196をハンドル109の補助ハンドル装着部156の外側に配置した状態で、グリップ部191を周方向における一方向に回転させることで、係合バンド196が補助ハンドル装着部156を外側から締め付ける。このとき、バンド保持部198が係合バンド196とフランジ部193の間に介在して、補助ハンドル190が補助ハンドル装着部156に装着される。すなわち、補助ハンドル190は、ハンドル109の補助ハンドル装着部156の外周を囲むように取り付けられる。一方、グリップ部191を他方向に回転させることで、係合バンド196が補助ハンドル装着部156に対して緩められる。これにより、補助ハンドル190が補助ハンドル装着部156から取り外される。
【0048】
[ハンマドリルの動作]
以上のハンマドリル110においては、作業者がトリガ109aを引くことで、駆動モータ111が通電されて駆動される。これにより、モード切替スイッチ110で選択された駆動モードに基づいて、ハンマ作業あるいはハンマドリル作業が行われる。ハンマドリル101の作業時には、本体部103に、主としてハンマビット119の長軸方向の振動が発生する。一方、ハンドル109は、本体部103に対してハンマビット119の長軸方向に相対可能であるため、作業時に生じる振動に応じてハンドル109は、ハンマビット119の長軸方向に移動する。
【0049】
具体的には、
図1〜
図3および
図8〜
図10に示すように、本体部103とハンドル109は、ハンマビット119の長軸方向に関して互いに相対移動する。
図1〜
図3には、本体部103に対してハンドル109が相対的に後方に位置したハンマドリル101が示される。また、
図8〜
図10には、本体部103に対してハンドル109が相対的に前方に位置したハンマドリル101が示される。
【0050】
図1〜
図3に示すように、ハンドル109は、コイルスプリング160(
図4、
図5参照)の後方への付勢力と、当接部159aとギアハウジング107の前端部の当接によって、本体部103とハウジング部152が距離D離れた後方位置に配置される。すなわち、蛇腹部材108が長さDで本体部103とハウジング部152の間に保持される。このとき、ハンドル109の一部である補助ハンドル装着部156に補助ハンドル190が取り付けられているため、補助ハンドル190はハンドル109と共に後方位置に位置する。この当接部159aが、本発明における「当接部」に対応する実施構成例である。また、モータハウジング105およびギアハウジング107が、本発明における「ハウジング部材」に対応する実施構成例である。
【0051】
一方、
図8〜
図10に示すように、ハンドル109は、コイルスプリング160に付勢された状態で、当該コイルスプリング160の付勢力に抗して前方位置に配置される。この前方位置においては、当接部154cと摺動ガイド106の後端部の当接によって、本体部103とハウジング部152は、距離Dよりも短い距離D1で保持される。すなわち、蛇腹部材108が長さD1で本体部103とハウジング部152の間に保持される。このとき、補助ハンドル190はハンドル109と共に前方位置に位置する。この摺動ガイド106の後端部が、本発明における「規定部」に対応する実施構成例である。
【0052】
摺動ガイド106および凹部154aは、ハンマビット119の長軸方向と平行に延在するように形成されている。これにより、モータハウジング105の摺動ガイド106とハンドル後側部分150の凹部154aの係合によって、ハンドル109の前方位置と後方位置の間の移動方向が、ハンマビット119の長軸方向と平行に設定されている。また、補助ハンドル装着部156の補強リング156aがギアハウジング107の凸部107bに対して摺動することで、補助ハンドル装着部156の移動方向が、ハンマビット119の長軸方向と平行に設定されている。この摺動ガイド106および凹部154aが、本発明における「ガイド要素」に対応する実施構成例である。すなわち、摺動ガイド106と凹部154aが、本発明における「一対のガイド要素構成部材」に対応する実施構成例である。また、補強リング156aと凸部107bが本発明における「ガイド部」に対応する実施構成例である。
【0053】
以上の通り、作業時に生じるハンマビット119の長軸方向の振動によって、ハンドル109は、コイルスプリング160に付勢された状態で、前方位置と後方位置を移動する。これにより、コイルスプリング160の伸縮によって、振動による運動エネルギが吸収され、本体部103からハンドル109への振動の伝達が低減される。
【0054】
また、冷却ファン112の回転によって発生した冷却風は、開口部107bを通過して、ギアハウジング107の内側から外側に排出される。さらに、冷却風は、ギアハウジング107と延在部157の間の冷却風流路157Aを通り、金属製のベアリング保持部107aの外側を通過した後に、補助ハンドル装着部156の貫通孔159bから外部へ排出される。このとき、金属製のベアリング保持部107aの外側を冷却風が通過することで、ベアリング保持部107aに保持されたベアリング137aが冷却される。このとき、
図3および
図10に示すように、ハンドル109が前方位置および後方位置のいずれの位置に位置した場合であっても、ハンドル109が開口部107bを塞がない。すなわち、開口部107bの開口面積は、ハンドル109の移動によって変動しない。したがって、冷却風が通過する流路に関して、流動抵抗の変動が抑制される。
【0055】
以上の本実施形態によれば、摺動ガイド106がハンドル109をハンマビット119の長軸方向にガイドする。したがって、主として長軸方向に振動が生じるハンマドリル101において、振動の方向とハンドル109の移動方向が一致するため、ハンドル109への振動伝達が効果的に抑制される。また、本体部103のモータハウジング105に駆動モータ111が収容されているため、ハンドル109が軽量化される。したがって、コイルスプリング160による振動エネルギの吸収量を大きくすることなく、ハンドル109の振動が効果的に低減される。また、駆動モータ111が運動変換機構113や動力伝達機構117に対して相対移動しないように配置されている。したがって、駆動モータ111の動力を運動変換機構113や動力伝達機構117に伝達するための特殊な伝達部材を設ける必要がない。
【0056】
また、本実施形態によれば、ハンマビット119の長軸周りの周方向に関して、摺動ガイド106が複数の位置に配置されている。そのため、ハンマビット119の長軸方向以外の方向へのハンドル109の移動が抑制される。その結果、ハンドル109が本体部103に対して移動するハンマドリル101の操作性が向上する。
【0057】
また、本実施形態によれば、金属製の摺動ガイド106と樹脂製の凹部154aによってハンドル109の移動が案内される。すなわち、異種材料間の摺動によってハンドル109が移動される。したがって、摺動ガイド106と凹部154aの間の摺動抵抗が低減され、ハンドル109がスムーズに移動する。これにより、ハンドル109への振動伝達が効果的に低減される。
【0058】
また、本実施形態によれば、ハンドル後側部分150とハンドル前側部分155が一体に同じ方向に移動する。そのため、ハンドル後側部分150のグリップ部151と、ハンドル前側部分155の補助ハンドル装着部156に装着された補助ハンドル190の距離が一定に保持される。したがって、グリップ部151と補助ハンドル190を把持した作業者の操作性が向上する。
【0059】
また、本実施形態によれば、延在部157が補助ハンドル装着部156とハウジング部152を連結するだけでなく、冷却風流路157Aを形成する。したがって、ツールホルダ137を保持するベアリング137aを冷却するための冷却風流路を形成するための別の部材を設ける必要がない。したがって、ハンマドリル101の部品点数が少なくなる。
【0060】
また、本実施形態によれば、複数のコイルスプリング160が、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、複数の位置に配置されている。したがって、ハンドル109が複数のコイルスプリング160によって安定的に付勢される。その結果、複数のコイルスプリング160によって、ハンドル109への振動伝達が効果的に低減される。
【0061】
また、本実施形態によれば、複数のコイルスプリング160と複数の摺動ガイド106は、駆動モータ111の外側において、ハンマビット119の長軸方向に関して、同じ位置に配置されているとともに、ハンマビット119の長軸方向周りの周方向に関して、異なる位置に配置されている。したがって、駆動モータ111の外側のスペースが有効に利用される。
【0062】
また、本実施形態によれば、冷却風は、補助ハンドル装着部156とギアハウジング107の間を通過する。したがって、補助ハンドル装着部156とギアハウジング107の相対的な摺動によって生じる熱が放熱される。
【0063】
以上の本実施形態においては、付勢部材としてコイルスプリング160を設けたが、他の種類のバネやゴム等を設けてもよい。また、摺動ガイド160を樹脂で形成し、凹部154aを金属で形成してもよい。また、往復動式作業工具としては、ハンマドリル101に限られず、主として先端工具の長軸方向の振動が発生する作業工具であれば、ハンマやレシプロソーに本発明を適用してもよい。すなわち、先端工具を駆動する可動部材としては、先端工具と離間可能なインパクトボルトやストライカだけでなく、先端工具を直接保持して先端工具を往復移動させる部材であってもよい。
【0064】
上記発明の趣旨に鑑み、本発明に係る往復動式作業工具に関しては、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
可動部材が所定の長軸方向に往復移動して先端工具を駆動して所定の作業を行うとともに、補助ハンドルが装着可能な往復動式作業工具であって、
前記長軸方向と平行に出力軸が配置されたモータと、
前記可動部材を有し、前記出力軸に連接されて前記モータに駆動される駆動機構と、
前記モータと前記駆動機構を収容する本体部と、
前記本体部に対して相対移動可能なメインハンドルと、
前記本体部に対して前記メインハンドルが前記長軸方向にのみ移動するように前記メインハンドルを案内するガイド要素と、
前記本体部と前記メインハンドルの間に介在状に配置され、前記本体部から前記メインハンドルに対して前記長軸方向の付勢力を作用させる付勢部材と、を有し、
前記メインハンドルは、前記付勢部材に付勢された状態で、前記本体部に対して移動することで、前記本体部から前記メインハンドルへの前記所定の作業時に生じる振動の伝達が低減されるように構成されていることを特徴とする往復動式作業工具。
(態様2)
請求項1〜3のいずれか1項に記載の往復動式作業工具であって、
前記ガイド要素は、一対のガイド要素構成部材で構成されており、
複数の前記ガイド要素は、前記長軸方向に関して、複数の位置に配置されていることを特徴とする往復動式作業工具。
(態様3)
請求項9に記載の往復動式作業工具であって、
前記環状部は、補助ハンドルから当該環状部の径方向に力が作用されて、当該補助ハンドルが取り付けられるように構成されていることを特徴とする往復動式作業工具。
(態様4)
請求項10に記載の往復動式作業工具であって、
前記メインハンドルは、
前記長軸方向に関して、前記先端工具側から前記先端工具とは反対側に向かって前記補助ハンドル装着部が移動されて、前記本体部の前方領域に配置され、
前記長軸方向に関して、前記先端工具とは反対側から前記先端工具側に向かって前記把持部が移動されて、前記本体部の後方領域に配置され、
前記前方領域に配置された前記補助ハンドル装着部と、前記後方領域に配置された前記把持部が、前記連結部を介して連結されて組み付けられることを特徴とする往復動式作業工具。
(態様5)
請求項12に記載の往復動式作業工具であって、
前記付勢部材は、少なくとも3つの前記付勢要素で構成されていることを特徴とする往復動式作業工具。
【0065】
(本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下の通り示す。なお、本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものであり、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
ハンマドリル101が、本発明の「往復動式作業工具」に対応する構成の一例である。
駆動モータ111が、本発明の「モータ」に対応する構成の一例である。
運動変換機構113が、本発明の「駆動機構」に対応する構成の一例である。
中間軸125、揺動リング129、筒状ピストン131が、夫々、本発明の「中間軸」、「揺動部材」、「往復動部材」に対応する構成の例である。
打撃要素115が、本発明の「駆動機構」に対応する構成の一例である。
動力伝達機構117が、本発明の「駆動機構」に対応する構成の一例である。
インパクトボルト145が、本発明の「可動部材」に対応する構成の一例である。
ストライカ143が、本発明の「可動部材」に対応する構成の一例である。
本体部103が、本発明の「本体部」に対応する構成の一例である。
モータハウジング105が、本発明の「モータ収容部」に対応する構成の一例である。
ギアハウジング107が、本発明の「本体部」に対応する構成の一例である。
ハンドル109が、本発明の「メインハンドル」に対応する構成の一例である。
ハウジング部152が、本発明の「ハウジング部」に対応する構成の一例である。
摺動ガイド106が、本発明の「ガイド要素」に対応する構成の一例である。
摺動ガイド106が、本発明の「金属製ガイド」に対応する構成の一例である。
摺動ガイド106が、本発明の「第一ガイド部材」に対応する構成の一例である。
凹部154aが、本発明の「ガイド要素」に対応する構成の一例である。
凹部154aが、本発明の「樹脂製ガイド」に対応する構成の一例である。
凹部154aが、本発明の「第二ガイド部材」に対応する構成の一例である。
コイルスプリング160が、本発明の「付勢部材」に対応する構成の一例である。
当接部154cが、本発明の「規定部」に対応する構成の一例である。
グリップ部151が、本発明の「把持部」に対応する構成の一例である。
補助ハンドル装着部156が、本発明の「補助ハンドル装着部」に対応する構成の一例である。
延在部157が、本発明の「連結部」に対応する構成の一例である。
補強リング156aが、本発明の「環状部」に対応する構成の一例である。
蛇腹部材108が、本発明の「シール部材」に対応する構成の一例である。