(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
動力源から動力が伝達され、互いに噛み合って回転する歯車間には、回転方向に意図して設けられた隙間である、いわゆる「バックラッシュ」が設定されている。そして、バックラッシュによって、噛み合う歯車の歯面間の摩擦が適度に抑えられるため、歯車が回転するようになっている。
【0003】
このようにバックラッシュは、歯車同士を回転させるために必要不可欠なものであるが、バックラッシュとして設定された隙間に起因して、歯車同士が隙間の範囲を意図せずに回転してしまう、いわゆる「がたつき」を生じさせてしまうことがある。
この「がたつき」によって、例えば、秒針が取り付けられた四番車等では、秒針が、意図せずに時計方向又は反時計方向に回転してしまういわゆる「ふらつき」という現象が生じてしまう。
【0004】
具体的に説明すると、秒針が取り付けられた四番車等では、秒針と四番車が一体化することにより、歯車全体の慣性モーメントが増加する。この増加した慣性モーメントによって、四番車は、動力源からの動力の伝達が停止(例えば、アナログクォーツ式時計におけるロータの回転の停止)された後でも、バックラッシュとして設定された隙間を時計方向又は反時計方向へ回転させられてしまう。この現象が「ふらつき」である。
このふらつきは、四番車の慣性モーメントが小さい場合(例えば、比較的小さく、軽い秒針が取り付けられた場合等)には発生しないこともあるが、例えば、大きく、重い秒針が四番車に取り付けられる等して、慣性モーメントが大きくなると、発生する頻度も増加することが知られている。
【0005】
近年、市場要求等からデザインの多様性が求められており、これを実現するために、ムーブメントに、より大きく、重い指針を搭載することが求められている。
より大きく、重い指針を搭載することによって、四番車に作用する慣性モーメントがさらに増加すると、四番車は、バックラッシュとして設定された隙間の分だけ回転した後もさらに回転を続ける。さらに、四番車は、後続する輪列(例えば、五番車等)の歯先に衝突して、この輪列を回転させた後に、衝突によって輪列から受ける反力(反作用)により、反対方向へ回転して、停止することもある。このようにバックラッシュとして設定された隙間と輪列に衝突して反対方向に回転する範囲を、四番車が時計方向又は反時計方向へ回転させられることによって「ふらつき」が大きくなってしまう。
【0006】
さらに、より大きく、重い指針を搭載することによって回転する四番車に大きな慣性モーメントが作用すると、バックラッシュとして設定された隙間の範囲で、この四番車が不作為に停止するため、四番車の停止位置が安定せず、秒針の指示のムラが大きくなり、運針ムラにつながってしまう。
【0007】
そこで、指針のふらつきや運針ムラ等を抑制するための運針ムラ抑制機構が提案されている。運針ムラ抑制機構としては、例えば下記特許文献1に示されるように、指針歯車を軸方向における輪列受側に押さえ付ける指針抑制ばねを備える構成が開示されている。具体的に、指針抑制ばねは、一端部において輪列受と地板との間に挟持された屈曲部と、他端部において軸方向における地板側から輪列受側に向けて指針歯車を押圧する押圧部と、を有している。
【0008】
この構成によれば、地板に対して輪列受を組み付ける際に、輪列受が指針抑制ばねの屈曲部を押圧しながら地板に組み付けられることで、指針抑制ばねに付勢力が付与される。これにより、指針抑制ばねの押圧部により、指針歯車が輪列受に向けて押さえ付けられることで、指針歯車に対して指針抑制ばねの付勢力に応じた摺動抵抗が付与される。その結果、運針停止時において、指針歯車が慣性によってバックラッシュを詰める方向に回転するのを抑制でき、上述した指針のふらつきや運針ムラ等を抑制することができると考えられる。なお、下記特許文献1では、指針歯車が伝達歯車に噛合し、かつ指針歯車の軸部(ほぞ)が輪列受の軸支孔内に挿入された状態で、輪列受が屈曲部に接触するように、軸部の長さが設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近時では、軸部の軸長を短くする等して、時計(ムーブメント)の更なる薄型化を図ることが検討されている。
しかしながら、上述した特許文献1の構成では、軸部が短くなると、地板に輪列受が組み付けられる前(輪列受の軸支孔内に軸部が挿入される前)に、輪列受が指針抑制ばねの屈曲部に接触することで、指針歯車が輪列受側に押さえ付けられるおそれがある。その結果、指針歯車と伝達歯車との噛み合いが外れたり、指針歯車の軸部が輪列受の軸支孔内に挿入されなかったりする等、組付性が低下するおそれがある。
特に、特許文献1の構成では、輪列受を組み付ける際、指針歯車と伝達歯車とが輪列受に覆われてしまうので、指針歯車に対する伝達歯車や軸支孔の位置を目視することができない。この点についても、組付性低下の要因となる。
【0011】
本発明は、歯車の慣性に起因するふらつきや運針ムラ等を抑制した上で、薄型化及び組付性の向上を実現できる輪列機構、ムーブメント及び時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明の輪列機構は、取付部に対して、車軸の両端部が回転可能に支持された歯車と、前記歯車の平面部を押圧可能に前記取付部に保持された押圧部材と、前記歯車が、前記取付部に組み付けられた状態で、前記押圧部材を前記歯車の前記平面部に向けて押し付け、前記押圧部材に押圧力を付与する押圧力付与部と、を備えることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、押圧部材によって歯車を押圧することで、歯車の平面部に対して押圧部材の押圧力に応じた摺動抵抗が付与される。これにより、運針停止時において、歯車が、慣性によって歯車と伝達歯車との間に設定されたバックラッシュ間で回転するのを抑制できる。その結果、ふらつきや運針ムラ等を抑制することが可能となる。
特に、歯車が取付部に組み付けられた状態で、押圧部材を歯車の平面部に向けて押し付け、押圧部材に押圧力を付与する押圧力付与部を備えているため、車軸が取付部に組み付けられる前に、押圧部材によって歯車が押圧されるのを抑制できる。これにより、取付部の組付時に、歯車ががたつくのを抑えることができるので、車軸の軸長を短くする等、薄型化を図った上で、組付性の向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明の輪列機構は、前記押圧部材は、弾性変形可能とされ、前記押圧力付与部は、前記押圧部材を前記歯車に向けて付勢させてもよい。
この構成によれば、押圧部材を歯車に向けて付勢させることで、歯車に対して安定した押圧力を付与することができる。
【0015】
また、本発明の輪列機構は、前記押圧部材は、前記歯車を軸心に沿う方向に向けて押圧してもよい。
この構成によれば、歯車を軸心に沿う方向に向けて押圧することで、車軸の軸ぶれ等を抑制して、歯車を安定して回転させることができる。
【0016】
また、本発明の輪列機構は、前記押圧力付与部は、前記取付部の外側に配置される電池プラス端子に設けられ、前記取付部を通して前記押圧部材を押し付けてもよい。
この構成によれば、既存の電池プラス端子に押圧力付与部を設けたので、部品点数の増加を抑制できる。
【0017】
また、本発明の輪列機構は、前記押圧力付与部は、前記取付部の外側に配置される裏物押さえに設けられ、前記取付部を通して前記押圧部材を押し付けてもよい。
この構成によれば、押圧力付与部が既存の裏物押さえに設けられているので、部品点数の増加を抑制できる。
【0018】
また、本発明の輪列機構は、前記押圧力付与部は、前記取付部に形成されるとともに、前記押圧部材が係止可能とされ、前記押圧部材は、前記歯車が前記取付部に組み付けられた状態で、前記押圧力付与部に係止される係止位置に向けて移動可能に構成されていてもよい。
この構成によれば、取付部に押圧力付与部を設けることで、部品点数の増加を抑制できる。
【0019】
本発明のムーブメントは、上記本発明の輪列機構と、前記輪列機構に回転力を付与する動力源と、を備えることを特徴とする。
本発明の時計は、上記本発明のムーブメントを備えることを特徴とする。
この構成によれば、運針ムラ等が抑制された高品質で、かつ薄型のムーブメント及び時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、歯車の慣性に起因するふらつきや運針ムラ等を抑制した上で、薄型化及び組付性の向上を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、アナログクォーツ式の時計を一例として説明する。
【0023】
<第1実施形態>〔時計〕
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、指針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
時計の基盤を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る時計1を示す外観図である。
図1に示すように、時計1のコンプリートは、ケース裏蓋(不図示)及びガラス2からなる時計ケース3の内部に、ムーブメント10、文字板11及び指針12〜14を備える。
文字板11は、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する。指針12〜14は、時を示す時針12、分を示す分針13及び秒を示す秒針14を含む。
【0025】
〔時計用ムーブメント、輪列機構〕
図2は、本発明の第1実施形態に係るムーブメント10を表側から見た平面図である。
図3は、ムーブメント10の断面図である。
図2、
図3に示すように、ムーブメント10は、地板20及び輪列受29(
図3参照、本発明の「取付部」の一例)を備える。
図3に示すように、輪列受29の表側には、輪列受29を表側から覆う電池プラス端子28が配置されている。なお、電池プラス端子28は、止めねじ30によって地板20及び輪列受29に共締めされる。
【0026】
地板20は、ムーブメント10の基盤を構成する。
地板20の裏側には、上述した文字板11がガラス2を通じて視認可能に配置される。また、地板20には、図示しない水晶ユニットや、回路基板、ステップモータ(動力源)、電池、輪列機構23等が配設される。
【0027】
水晶ユニットは、内部に所定の周波数で発振する水晶振動子を有し、上述した回路基板に接続される。
電池は、そのプラス極と回路基板のプラスパターンとが上述した電池プラス端子28を介して導通し、マイナス極と回路基板のマイナスパターンとが電池マイナス端子(不図示)を介して導通する。
回路基板は、例えばC−MOS、またはPLAで構成されており、水晶振動子の振動に基づいて基準信号を出力する発振部(オシレータ)と、この発振部の出力信号を分周する分周部(デバイダ)と、分周部の出力信号に基づいてステップモータを駆動するモータ駆動信号を出力する駆動部(ドライバ)と、を内部に有する。
ステップモータは、後述する五番車40に回転力を付与するものであって、図示しないコイルブロック、ステータ及びロータを備える。
【0028】
図2、
図3に示すように、輪列機構23は、五番車40、四番車41、三番車42(
図2参照)、二番車43、日の裏車55(
図2参照)、筒車44(
図3参照)、及び運針ムラ抑制機構31を備える。
五番車40は、上述したステップモータ(ロータ)の回転に基づいて回転する。四番車41は、五番車40の回転に基づいて回転する。三番車42は、四番車41の回転に基づいて回転する。二番車43は、三番車42の回転に基づいて回転する。日の裏車55は、二番車43の回転に基づいて回転する。筒車44は、日の裏車55の回転に基づいて回転する。
【0029】
五番車(伝達歯車)40は、五番歯車40a及び五番上かな40bを有し、地板20及び輪列受29に対して回転可能に支持される。すなわち、五番車40は、上軸部が輪列受29の軸受部に軸支され、下軸部が地板20の軸受部に軸支される。五番歯車40aは、ステップモータのロータに噛合している。これにより、五番車40はロータの回転に伴って回転する。
【0030】
図3に示すように、四番車41は、五番車40と三番車42(
図2参照)との間に配置され、車軸60、四番下かな61及び四番歯車62を有している。
車軸60は、地板20及び輪列受29に対して軸心O回りに回転可能に支持される。四番下かな61は、車軸60に形成され、四番歯車62は、車軸60に固定される。なお、以下の説明では、四番車41(車軸60)の軸心Oに沿う方向を軸方向とし、軸方向のうち、輪列受29側(表側)を上方、地板20側(裏側)を下方という場合がある。
【0031】
車軸60は、四番下かな61が二番車43の上方開口端よりも上方に位置した状態で、この二番車43の内部に回転可能に挿通される。車軸60の上軸部60aは、輪列受29のほぞ枠63に軸支される。
ほぞ枠63は、輪列受29(例えば、樹脂材料)よりも硬質な材料(例えば、金属材料)からなる円板状とされ、輪列受29に設けられた軸受孔64に嵌合される。ほぞ枠63の中央部には、軸方向に貫通する貫通孔63aが形成され、この貫通孔63a内に車軸60の上軸部60aが回転可能に挿通される。
【0032】
車軸60の下軸部60bは、二番車43よりも下方に突出し、この突出した部分に秒針(指針)14が取り付けられる。四番下かな61は、三番車42の三番歯車42a(
図2参照)に噛み合う。
【0033】
四番歯車(歯車)62は、四番下かな61の上方に位置し、車軸60に対して例えば打ち込み固定によって固定される。この四番歯車62は、五番車40の五番上かな40bに噛合している。これにより、四番車41は、五番車40の回転に伴って回転する。
【0034】
図2に示すように、三番車42は、三番歯車42a及び三番下かな(不図示)を有し、地板20及び輪列受29に回転可能に支持される。
三番歯車42aは、四番車41の四番下かな61(
図3参照)に噛み合う。これにより、三番車42は四番車41の回転に伴って回転する。
【0035】
図2、
図3に示すように、二番車43は、四番車41の軸心Oと同軸に配置され、地板20に配設された円筒部52に対して回転可能に取り付けられる。二番車43は、三番車42の三番下かなに噛み合う二番歯車43aを有する。これにより、二番車43は、三番車42の回転に伴って回転する。
二番車43は、下端部に分針13が取り付けられるとともに、1時間に1回転するように構成される。なお、分針13は、四番車41に取り付けられる秒針14よりも文字板11側に位置する。
【0036】
筒車44は、四番車41の軸心Oと同軸に配置されて、円筒部52に回転可能に外挿される。筒車44は、日の裏車55(
図2参照)等を介して二番車43に噛み合う筒歯車44aを有する。これにより、筒車44は、日の裏車55に基づいて回転する。
筒車44は、時針12が取付けられるとともに、12時間に1回転するように構成される。なお、時針12は、分針13よりも文字板11側に位置する。
【0037】
図1、
図2に示すように、地板20に形成された巻真案内穴25(
図2参照)には、巻真24が回転可能に組み込まれる。巻真24は、分針13及び時針12を回転させて、時刻表示(時及び分の表示)を修正する時刻合わせに用いられる。巻真24の先端には、時計ケース3の側方に位置する竜頭53(
図1参照)が取付けられる。
図2に示すように、巻真24は、その延在方向に段階的に引出操作可能とされ、地板20の表側に配置された、おしどり56や、かんぬき57、かんぬきばね(不図示)等の切替装置54により、延在方向の位置が決められる。
【0038】
日の裏車55は、巻真24を引き出した状態で回転させたときに、つづみ車58や小鉄車59等を介して回転する。日の裏車55が回転することにより、二番車43及び筒車44が回転するように構成される。これにより、時刻合わせが可能である。
【0039】
〔運針ムラ抑制機構〕
ここで、
図2、
図3に示すように、本実施形態の運針ムラ抑制機構31は、四番車41を押圧可能な押圧部材70と、押圧部材70を支持する支持部80と、押圧部材70を四番歯車62に向けて押し付け、押圧部材70に押圧力を付与する押圧力付与部90と、を備える。
【0040】
まず、支持部80は、地板20の上面に形成された支持台81と、支持台81から立設された一対のガイドピン82a,82bと、を有する。
支持台81は、軸心Oに直交する面内方向のうち、地板20の外周側から内周側(四番車41側)に向かう一方向Cに沿って延在する。具体的に、支持台81の上面は、一方向Cに沿う外周側から内周側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜面とされている。なお、支持台81は、傾斜面に限らず、外周側が内周側に比べて上方に位置していれば構わない。なお、
図2に示すように、上述した一方向Cは、軸心Oに対してオフセットした状態で、四番車41と重なっている。
【0041】
図2、
図3に示すように、ガイドピン82a,82bは、支持台81上における外周側及び内周側に各別に配置されている。ガイドピン82a,82bの上端部は、輪列受29に形成された収容孔85a,85b内に各別に収容される。
【0042】
押圧部材70は、一方向Cに沿って延在する細長い金属製の部材であって、その厚さ方向に沿って弾性変形可能とされている。具体的に、押圧部材70は、先端側(一方向Cにおける内周側)から基端側(一方向Cにおける外周側)にかけて連設された押圧部71、可撓部72、被固定部73を有する。
【0043】
押圧部71は、上方に向けて突の湾曲形状とされ、四番歯車62の下方側の端面(下端面(平面部)62b)を下方から摺動可能に押圧する。
可撓部72は、押圧部材70において、押圧部71に対して基端側に接続されるとともに、押圧部材70のうち最も細長く形成された部位である。可撓部72は、その中央部が上方に向けて膨出した状態で撓んでおり、押圧部71を四番歯車62に向けて付勢する。
【0044】
被固定部73は、押圧部材70において、可撓部72に対して基端側に接続されるとともに、そのほぼ全面が地板20の支持台81上に支持される。したがって、被固定部73は、一方向Cに沿う外周側から内周側(四番車41側)に向かうに従い上方に向けて傾斜した状態で、支持台81上に支持される。また、一方向Cにおいて、被固定部73の両端部には、押圧部材70を厚さ方向に貫通する支持孔73a,73bが形成される。これら支持孔73a,73b内には、上述したガイドピン82a,82bが各別に挿通される。これにより、地板20に対する押圧部材70の、軸方向に直交する面内方向の位置決めが行われる。
【0045】
押圧力付与部90は、電池プラス端子28のうち、被固定部73の基端部に軸方向で重なる部分に、電池プラス端子28と一体で形成されるとともに、下方に向けて延びる棒状とされている。押圧力付与部90は、輪列受29に形成された切欠き部29a内に挿通されている。そして、押圧力付与部90は、その下端部が地板20の支持台81に近接する位置まで延設され、地板20の支持台81との間で被固定部73の基端部(支持孔73bよりも基端側)を挟持する。
【0046】
このように、押圧部材70は、被固定部73の基端部が押圧力付与部90により地板20側(下方)に向けて押し付けられる一方、押圧部71が上方に向けて付勢された状態で四番歯車62の下端面62bに押し付けられる。すなわち、押圧部材70は、被固定部73の先端部(支持孔73a付近)を支点、被固定部73の基端部を力点、押圧部71を作用点として、地板20及び輪列受29間で梃子のように保持される。
【0047】
なお、図示の例において、一方向Cに沿う支点と力点との間の距離、及び支点と作用点との距離は、同等になっている。これにより、押圧部71を介して四番歯車62に安定した押圧力を確実に付与することができる。なお、四番歯車62に対してより押圧力を確保する場合には、支点と力点との距離を短くすることが好ましく、四番歯車62に付与する押圧力のばらつきを抑制するためには、支点と作用点との距離を短くすることが好ましい。
【0048】
[ムーブメントの組立工程]
次に、上述したムーブメント10の組立工程について説明する。なお、以下の説明では、組立工程のうち、地板20に対して輪列機構23が組み込まれた後、地板20に輪列受29を組み付ける輪列受組付工程から説明する。
図4は、ムーブメント10の組立工程を示す断面図である。
図5は、ムーブメント10の組立工程を示す斜視図である。
【0049】
まず、
図4、
図5に示すように、輪列受組付工程前において、押圧部材70は、四番歯車62の下方に自然長の状態で保持される。具体的に、押圧部材70のうち、押圧部71は四番歯車62の下端面62bに下方から近接または当接している。一方、被固定部73は、支持孔73a,73b内にガイドピン82a,82bが各別に挿通されるとともに、基端部が支持台81から浮き上がった状態となっている。したがって、被固定部73と支持台81との間には、被固定部73の下方への移動を許容する隙間Kが形成される。また、輪列機構23の各番車は、それぞれ噛合した状態で地板20に組み付けられている。
【0050】
図6は、
図4に続くムーブメント10の組立工程を示す断面図である。
図6に示すように、輪列受組付工程では、各番車の上軸部(例えば、四番車41の上軸部60a)と、輪列受29の軸受部分(例えば、貫通孔63a)と、を位置合わせした状態で、地板20に対して輪列受29を下降させる。すると、各番車の上軸部が輪列受29の軸受部分に軸支されるとともに、輪列受29の下面が地板20の上面に突き当たる。これにより、輪列受組付工程が終了する。
【0051】
ここで、輪列受組付工程時においては、図示の例のように輪列受29が押圧部材70の被固定部73に対して当接または近接する位置まで下降するものの、輪列受29が被固定部73を下方に向けて押圧することはなく、押圧部材70には押圧力が付与されないようになっている。したがって、輪列受組付工程後においても、押圧部材70は自然長に保持される。
【0052】
図7は、
図5に続くムーブメント10組立工程を示す斜視図である。なお、
図7では、上述した輪列受29を省略している。
図3、
図7に示すように、押圧力付与工程では、地板20及び輪列受29が組み付けられた状態で、輪列受29の上方から電池プラス端子28を組み付ける。このとき、電池プラス端子28のうち、押圧力付与部90が輪列受29の切欠き部29a内に進入するように、輪列受29と電池プラス端子28とを位置合わせした状態で、電池プラス端子28を下降させる。すると、電池プラス端子28の押圧力付与部90は、切欠き部29a内を通って地板20及び輪列受29間に進入した後、被固定部73の基端部に上方から当接する。この状態で、電池プラス端子28をさらに下方に向けて押し込むと、被固定部73の基端部が下方に向けて押し込まれる。
【0053】
一方、被固定部73が押圧力付与部90により下方に向けて押し込まれると、押圧部材70が被固定部73の先端部(支持孔73a付近)を支点にして、梃子のように回動する。すると、押圧部材70の押圧部71は、四番歯車62の下端面62bに下方から当接するとともに、四番車41を上方に向けて押し上げる。その後、四番車41(車軸60)の上方移動が輪列受29(ほぞ枠63)等によって規制されることで、押圧部71の上方移動が規制される。
【0054】
さらに、電池プラス端子28をさらに下方に向けて押し込むと、被固定部73の基端部が地板20の支持台81に当接する位置まで押し込まれる。これにより、被固定部73が、押圧力付与部90と地板20の支持台81との間に挟持される。なお、この状態で、被固定部73は、ほぼ全面が支持台81に当接する。これにより、押圧力付与工程における押圧部材70の移動量(回動量)のばらつきを抑制して、組付精度を向上させることができる。さらに、被固定部73に局所的に応力が作用するのを抑制して、被固定部73の変形を抑制できる。
一方、押圧部71の上方移動が規制された状態で、押圧部材70が被固定部73の先端部(支持孔73a付近)を支点にして回動すると、主に可撓部72が弾性変形し始める。これにより、押圧部材70の押圧部71を四番歯車62に向けて付勢させることができる。
【0055】
その後、電池プラス端子28を止めねじ30によって地板20及び輪列受29に共締めすることで、押圧力付与工程が終了する。すなわち、押圧部材70のうち、被固定部73の基端部が押圧力付与部90により地板20側(下方)に向けて押し付けられる一方、押圧部71が上方に向けて付勢された状態で四番歯車62の下端面62bに押し付けられる。
【0056】
このように、本実施形態では、押圧部材70の押圧部71が四番歯車62を押圧することで、四番歯車62に対して押圧部材70の押圧力に応じた摺動抵抗が付与される。これにより、運針停止時において、四番車41が、慣性によって四番歯車62と五番上かな40bとの間に設定されたバックラッシュ間で回転するのを抑制できる。その結果、ふらつきや運針ムラ等を抑制することが可能となる。
【0057】
特に、本実施形態では、車軸60が地板20及び輪列受29に組み付けられた状態で、押圧部材70を四番歯車62に向けて押し付け、押圧部材70に押圧力を付与する押圧力付与部90を備える構成とした。
この構成によれば、車軸60が地板20及び輪列受29に組み付けられる前に、押圧部材70によって四番車41が押圧されるのを抑制できるので、地板20及び輪列受29を組み付ける際に四番車41ががたつくのを抑えることができる。これにより、車軸60の軸長を短くする等、薄型化を図った上で、組付性の向上を図ることができる。
しかも、本実施形態では、押圧力付与部90が既存の電池プラス端子28に設けられているので、部品点数の増加を抑制できる。
【0058】
また、本実施形態の押圧部材70は、四番歯車62を軸方向に向けて押圧しているため、車軸60の軸ぶれ等を抑制して、四番車41を安定して回転させることができる。しかも、本実施形態では、押圧部材70によって四番車41を上方に向けて押し上げているため、四番車41(車軸60)を輪列受29(ほぞ枠63)に接触させることができる。この場合、例えば四番車41を下方に向けて押し下げる構成(例えば、四番下かな61と二番車43を接触させる構成)に比べて摩耗や削れを抑制できる。
さらに、押圧力付与部90は、押圧部材70の押圧部71を四番歯車62に向けて付勢させることで、四番歯車62に対して安定した押圧力を付与することができる。
【0059】
そして、本実施形態の輪列機構23を具備する時計1及びムーブメント10によれば、運針ムラ等が抑制された高品質で、かつ薄型の時計1及びムーブメント10を提供することができる。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るムーブメント110を示す部分断面図である。本実施形態の運針ムラ抑制機構131では、裏物押さえ130に押圧力付与部190を形成する点で、上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態のムーブメント110において、運針ムラ抑制機構131は、押圧部材170、支持部180、及び押圧力付与部190を備える。
【0061】
支持部180は、地板20の上面に形成された支持台181と、支持台181から立設されたガイドピン182と、を有する。
支持台181は、平坦面とされ、輪列受29が上方から近接する。
ガイドピン182は、支持台181上における内周側に配置され、その上端部が輪列受29に形成された収容孔101内に収容される。
【0062】
押圧部材170は、上述した第1実施形態の押圧部材70と同等の外形をなしており、押圧部71、可撓部72、及び被固定部173を有する。
被固定部173は、その先端部に厚さ方向に貫通する支持孔173aが形成される。被固定部173は、支持孔173a内にガイドピン182が挿通された状態で、支持台181と輪列受29との間に挟持される。
【0063】
押圧力付与部190は、地板20と文字板11との間に配置された平板状の裏物押さえ130に一体で形成されている。具体的に、押圧力付与部190は、裏物押さえ130のうち、可撓部72に軸方向で重なる部分から上方に向けて延びる棒状とされ、地板20に形成された挿入孔102内に挿入されている。そして、押圧力付与部190は、その上端部が輪列受29の下面に近接する位置まで延設され、可撓部72を上方に向けて押し上げている。これにより、押圧部材70は、被固定部173(基端部)が地板20及び輪列受29間に挟持されるとともに、押圧部71(先端部)が上方に向けて付勢された状態で四番歯車62の下端面62bを摺動可能に押圧している。すなわち、本実施形態の押圧部材170は、被固定部173が支点、可撓部72が力点として機能している。なお、裏物押さえ130は、止めねじ132によって地板20に固定される。
【0064】
[ムーブメントの組立工程]
次に、上述したムーブメント110の組立工程について説明する。
図9は、ムーブメント110の組立工程を示す部分断面図である。なお、以下の説明では、裏物押さえ130を組み付ける押圧力付与工程について主に説明する。
【0065】
本実施形態の押圧力付与工程は、
図9に示すように、上述した第1実施形態と同様の輪列受組付工程を行った後、電池プラス端子28を、止めねじ30によって地板20及び輪列受29に共締めしてから行われる。したがって、押圧力付与工程前において、押圧部材170は、地板20及び輪列受29間で自然長の状態で保持される。具体的に、押圧部材170のうち、押圧部71は四番歯車62の下端面62bに下方から近接または当接している。一方、被固定部173は、支持孔173a内にガイドピン182が挿通されるとともに、地板20及び輪列受29間に挟持され、軸方向への移動が規制されている。
【0066】
そして、
図8に示すように、押圧力付与工程では、地板20の下方から裏物押さえ130を組み付ける。このとき、裏物押さえ130のうち、押圧力付与部190が地板20の挿入孔102内に進入するように、地板20と裏物押さえ130とを位置合わせした状態で、裏物押さえ130を上昇させる。すると、裏物押さえ130の押圧力付与部190は、挿入孔102内を通って地板20及び輪列受29間に進入した後、可撓部72に下方から当接する。この状態で、裏物押さえ130をさらに上昇させると、可撓部72が上方に向けて押し込まれる。
【0067】
一方、可撓部72が上方に向けて押し込まれると、押圧部材170が被固定部173を支点にして回動する。すると、押圧部材170の押圧部71は、四番歯車62の下端面62bに下方から当接するとともに、四番車41を上方に向けて押し上げる。その後、四番車41の上方移動が規制されることで、押圧部71の上方移動が規制される。
【0068】
さらに、押圧部71の上方移動が規制された状態で、裏物押さえ130をさらに上昇させると、主に可撓部72が弾性変形し始める。これにより、押圧部材70の押圧部71を四番歯車62に向けて付勢させることができる。そして、裏物押さえ130が地板20に当接した時点で、裏物押さえ130を止めねじ132によって地板20に固定する。以上により、押圧力付与工程が終了する。すなわち、押圧部材170のうち、可撓部72が押圧力付与部190により輪列受29側(上方)に向けて押し付けられる一方、押圧部71が上方に向けて付勢された状態で四番歯車62の下端面62bに押し付けられる。
【0069】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、押圧力付与部190が既存の裏物押さえ130に設けられているので、部品点数の増加を抑制できる。
さらに、地板20及び輪列受29を止めねじ30によって固定した後に、押圧力付与工程を行うことができるので、押圧力付与工程において四番車41ががたつくのを確実に抑えることができる。その結果、組付性の更なる向上を図ることができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の運針ムラ抑制機構231では、押圧力付与部290を地板20に形成した点で、上述した実施形態と相違している。なお、以下の説明では、第1,2実施形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図10は、第3実施形態に係るムーブメント210を示す断面図である。
図11は、ムーブメント210を表側から見た斜視図である。
【0071】
図10、
図11に示すように、本実施形態のムーブメント210において、運針ムラ抑制機構231の支持部280は、支持台81と、支持台81から立設されたガイドピン282と、支持台81の外周側に形成された押圧力付与部290と、を有している。
押圧力付与部290は、支持台81の外周端部から連設された段差状とされる。具体的に、押圧力付与部290は、上方に向けて立ち上がる立ち上がり部290aと、立ち上がり部290aの上端縁から一方向Cにおける外周側に向けて延びる上段部290bと、を有している。
【0072】
押圧部材270は、押圧部71、可撓部72、及び被固定部273を有し、地板20及び輪列受29の間に、一方向Cに沿ってスライド移動可能に組み付けられる。
被固定部273の基端部には、一方向Cに沿う外周側に向けて突出する係止爪273aが形成される。この係止爪273aは、上述した立ち上がり部290aに係止される。これにより、被固定部273は、一方向Cに沿う外周側から内周側(四番車41側)に向かうに従い上方に向けて傾斜した状態で、支持台81上に支持される。なお、本実施形態の輪列受29には、被固定部273の基端部を上方に向けて露出させる切欠き部201(
図10参照)が形成される。
【0073】
また、被固定部273の先端部には、ガイドピン282が挿通される支持孔273bが形成される。支持孔273bは、一方向Cを長軸方向とする長孔とされ、ガイドピン282に対する押圧部材270の一方向Cに沿うスライド移動を許容する。なお、係止爪273aが立ち上がり部290aに係止された状態において、ガイドピン282は支持孔273bの外周側に位置しており、押圧部材270の一方向Cに沿う内周側への移動が規制される(係止位置)。
【0074】
[ムーブメントの組立工程]
次に、上述したムーブメント210の組立工程について説明する。
図12は、ムーブメント210の組立工程を示す断面図である。
図13は、ムーブメント210の組立工程を示す斜視図である。なお、以下の説明では、押圧部材270に付勢力を付与する押圧力付与工程について主に説明する。
【0075】
本実施形態の押圧力付与工程は、上述した第2実施形態と同様に、電池プラス端子28を、止めねじ30によって地板20及び輪列受29に共締めしてから行われる。したがって、押圧力付与工程前において、押圧部材270は、
図12、
図13に示すように、地板20及び輪列受29間で自然長の状態で保持される。具体的に、四番歯車押圧ばね270のうち、押圧部71は四番歯車62の外周側で下端面62bに下方から近接または当接している。一方、被固定部273は、先端部が支持台281と輪列受29との間に挟持されるとともに、基端部が押圧力付与部290の上段部290b上に支持され、係止爪273aと立ち上がり部290aとの係止が解除されている(係止解除位置)。なお、係止爪273aと立ち上がり部290aとの係止が解除された状態において、ガイドピン282は支持孔273bの内周側に位置しており、押圧部材270の一方向Cに沿う外周側への移動が規制される。
【0076】
押圧力付与工程では、押圧部材270を係止解除位置から係止位置に向けてスライド移動させる(
図13における矢印P)。具体的には、輪列受29の切欠き部201を通して、被固定部273の基端部を一方向Cに沿う内周側に向けて押し込んだ後、さらに被固定部273の基端部を下方に向けて押し込む。被固定部273が下方に向けて押し込まれると、押圧部材270が被固定部273の先端部(支持孔273b付近)を支点にして、梃子のように回動する。これにより、上述した第1実施形態と同様に、押圧部材70の押圧部71を四番歯車62に向けて付勢させることができる。
【0077】
この状態で、被固定部273の係止爪273aを立ち上がり部290aに係止することで、押圧部材270が係止位置に保持される。以上により、押圧力付与工程が終了する。
【0078】
このように、本実施形態では、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、地板20に押圧力付与部290を設けることで、部品点数の増加を抑制できる。
さらに、地板20及び輪列受29を止めねじ30によって固定した後に、押圧力付与工程を行うことができるので、押圧力付与工程において四番車41ががたつくのを確実に抑えることができる。その結果、組付性の更なる向上を図ることができる。
【0079】
なお、係止爪273aと立ち上がり部290aとを確実に係止させるために、立ち上がり部290aに係止爪273aを上方から覆う庇部を形成したり、立ち上がり部290aを支持台81とのなす角度が鋭角に形成したりすることも可能である。
また、一方向Cにおいて、支持孔273bの長さは、被固定部273のうち係止解除位置で上段部290b上に支持される部分の長さに比べて短くなっていることが好ましい。これによっても、押圧力付与工程において、係止爪273aと立ち上がり部290aとを確実に係止させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。 例えば、上述した実施形態では、秒針14が取り付けられる四番車41に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らない。例えば四番車41に噛み合う三番車42や五番車40に適用しても構わない。
なお、五番車40に適用した場合、一つはロータからの回転トルクが抑制されることで、四番車41の回転速度も抑制されるため、慣性による回転角も小さくなる。二つ目は運針後の四番車41の慣性で五番車40とのバックラッシュが詰まり、五番車40を回転させる力が働くが、押圧部材の付勢力により回転が抑制されるため四番車41のオーバランも抑制される。
また、三番車42に適用した場合には、運針後の四番車41の慣性で三番車42が回転するが、この回転が押圧部材の付勢力により抑制されるため、四番車41のオーバランを抑制する。その結果、運針ムラ等を抑制することが可能である。その他、クロノグラフ秒が取り付けられる歯車等、各種歯車に本発明を適用することが可能である。
さらに、上述した各実施形態では、アナログクォーツ式の時計に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、機械式時計に本発明を適用しても構わない。
【0081】
また、上述した実施形態では、四番車41の下端面62bを平面部とし、この平面部を軸方向に押圧する構成について説明したが、これに限らず、軸方向に直交する径方向に向けて四番車41の平面部を押圧する構成であっても構わない。
さらに、上述した第3実施形態では、押圧部材270を一方向Cに沿ってスライドさせる構成について説明したが、軸方向に直交する面内方向に回動させる構成にしても構わない。
【0082】
また、例えば、上述した実施形態では、押圧部材に可撓部を形成し、押圧部材を積極的に弾性変形させる構成について説明したが、これに限らず、四番歯車62が押圧可能な構成であれば、押圧部材の形状については、適宜設計変更が可能である。
【0083】
さらに、上述した実施形態では、電池プラス端子28や、裏物押さえ130、地板20等の既存部材に押圧力付与部を設けた場合について説明したが、これに限らず、その他の既存部材に押圧力付与部を設けてもよく、また既存部材とは別部品として押圧力付与部を設けても構わない。
【0084】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。