(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
また、通常発行とは、ラベル連続体として、複数枚のラベルが長尺帯状の台紙に仮着された連続状のラベル(台紙有りラベル)を用いた場合に、ラベルを台紙から剥がさないで台紙に貼り付けたままプリンタから発行する方式をいい、剥離発行とは、ラベルを1枚毎に台紙から剥がしてプリンタから発行する方式をいう。ラベル連続体として、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)や粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)等のようなラベルが仮着されないものを使用する場合は、通常発行が適用される。
【0013】
図1(a)は本実施の形態に係るプリンタの通常発行状態の全体斜視図、
図1(b)は
図1(a)のプリンタの剥離発行状態の全体斜視図、
図2は開閉カバー部の開放状態における
図1のプリンタおよびラベル連続体の外観を示す全体斜視図、
図3は
図1のプリンタの開閉カバー部の要部斜視図、
図4は
図2のプリンタの剥離ユニットとその周囲の要部拡大斜視図、
図5は
図4の剥離ユニットの要部側面図である。
【0014】
本実施の形態のプリンタ1は、
図1に示すように、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタであり、本体ケース(筐体)2と、開閉カバー部3と、剥離ユニット4と、フロントカバー部5とを備え、1台で通常発行と剥離発行との切り換えが可能な兼用型の構成を備えている。なお、プリンタ1は、発行口側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面に設けられたベルトフック(図示せず)を作業者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して作業者の肩に掛けたりすることにより発行口側を横に向けた状態(縦置き)で使用することも可能である。
【0015】
本体ケース2は、プリンタ1の外形の一部を形成する筐体であり、その一面には、
図2に示すように、開口部2aが形成されている。この開口部2a内には、用紙収容部(印字媒体収容部)6が設けられている。用紙収容部6は、ロール状のラベル連続体Pを収容する領域であり、その内部には用紙ガイド機構部7の一対のガイド板(ガイド部材)7aが設置されている。用紙ガイド機構部7は、ラベル連続体Pをその幅に合わせて支持しガイドする機構部である。なお、用紙ガイド機構部7については後述する。また、
図2においては一対のガイド板7aの一方のみが示されている。
【0016】
ラベル連続体Pは、
図2に示すように、例えば、長尺帯状の台紙PMと、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有しており、ロール状に巻回された状態で用紙収容部6内に収容される。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。ラベルPLの表面(印字面)には、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
【0017】
開閉カバー部3は、用紙収容部6の開閉カバーであり、開閉カバー部3の長手方向一端部(本体ケース2の長手方向中央側)が本体ケース2に対して離間および接近する方向に移動可能なように、開閉カバー部3の長手方向他端部が本体ケース2の長手方向一端部にヒンジ等により軸支されている。また、開閉カバー部3は、その長手方向他端部側に配置されたトーションバネ(
図1〜
図3には図示せず)により開方向(開閉カバー部3の長手方向一端部が本体ケース2から離間する方向)に付勢されている。
【0018】
この開閉カバー部3の長手方向一端部には、
図2および
図3に示すように、一対のユニット押さえ部3a,3aが形成されている。この一対のユニット押さえ部3a,3aは、剥離発行時において開閉カバー部3を閉止した場合に剥離ユニット4を剥離発行位置に固定するように押さえる部分であり、開閉カバー部3の幅方向(開閉カバー部3の長手方向に直交する方向)の両端部側に形成されている。
【0019】
また、開閉カバー部3の長手方向一端部には、
図2および
図3に示すように、プラテンローラ(搬送ローラ)10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。このプラテンローラ10は、ラベル連続体Pを搬送する搬送手段であり、ラベル連続体Pの幅方向に沿って延在した状態で設置されている。
【0020】
このプラテンローラ10のプラテン軸10aの一端部には、ギア10bが接続されている。このギア10bは、開閉カバー部3の閉止時に開口部2a内に設置された図示しないギア等に係合され、そのギア等を介してローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
【0021】
また、
図2および
図3に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部においてプラテンローラ10の近傍には剥離ピン11がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離ピン11は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その長手方向両端部側は開閉カバー部3に軸支されている。
【0022】
また、
図2および
図3に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部において開閉カバー部3の閉止時に通紙ルートに対向する面部分には、センサ12(12a,12b)が設置されている。センサ12aは、例えば、ラベルPLの位置(上記台紙PMの位置検出マークや隣り合うラベルPL間の台紙PM部分等)を検出するセンサであり、反射型の光センサ等により構成されている。一方、センサ12bは、例えば、ラベル連続体Pの有無を検出するセンサであり、透過型の光センサ等により構成されている。
【0023】
剥離ユニット4は、剥離発行時に台紙PMからラベルPLを剥がして台紙PMとラベルPLとの搬送経路を分ける機能を備えており、その長手方向一端部を、プリンタ1の内部の通常発行位置と、プリンタ1の外部の剥離発行位置とに移動させることが可能な状態で設置されている。
【0024】
剥離ユニット4は、
図4および
図5に示すように、ニップローラ4aと、軸部4bと、一対の支持部4c,4cと、一対の板バネ4daと、ネジ4eとを備えている。
【0025】
ニップローラ4aは、剥離発行時にプラテンローラ10に対向するように配置され、ニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挿入される台紙PMをニップローラ4aとプラテンローラ10とで挟み込み搬送する部材である。
【0026】
このニップローラ4aは、例えば、ゴムのような弾性部材により形成されており、一対の支持部4c,4cの長手方向一端部側の間に挟持された軸部4bに回動自在の状態で軸支されている。また、ニップローラ4aは、その軸方向長さが軸部4bの全長よりも短く形成されており、軸部4bの軸方向中央に部分的に配置されている。このようなニップローラ4aは、剥離発行時にラベル連続体Pを介してプラテンローラ10側に押されることで、プラテンローラ10の回転に追従して回転するようになっている。
【0027】
一対の支持部4c,4cは、ニップローラ4aおよび軸部4bを支持する部材である。各支持部4c,4cの長手方向一端部側の上部には、各支持部4c,4cの側面から外側に向かって延びる庇部4cpが形成されている。また、各支持部4c,4cの長手方向他端部側には、ガイドレール孔4chが形成されている。このガイドレール孔4chは、剥離ユニット4の移動をガイドするとともに、その移動を規制する孔であり、支持部4cの長手方向に沿って長孔状に形成されている。
【0028】
一対の板バネ4da,4daは、剥離発行時に開閉カバー部3が閉じると開閉カバー部3の押さえ部3aが当接されることによりニップローラ4aをプラテンローラ10側に付勢する弾性構造体である。各板バネ4daは、各支持部4c,4cの外側側面において、支持部4cの長手方向一端部側(ニップローラ4aのある側)に固定され、そこから長手方向他端部側(ガイドレール孔4chのある側)に向かって湾曲状に延在し、終端部で浮遊状態になっている。
【0029】
フロントカバー部5は、
図1および
図2に示すように、本体ケース2の開口部2aにおいて開閉カバー部3の向かい側および本体ケース2の両側面近傍部分を覆うように本体ケース2に固定されている。このフロントカバー部5には、表示部15と、操作ボタン16a,16bと、電源ボタン17と、カバーオープンボタン18と、一対の解除レバー部19,19と、カッタ20とが備えられている。
【0030】
表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16a,16bは、プリンタ1の動作や設定を操作するボタンであり、電源ボタン17は、プリンタ1の電源をオンオフするボタンである。
【0031】
カバーオープンボタン18は、開閉カバー部3を開くためのボタンである。解除レバー部19,19は、剥離ユニット4を通常発行位置に保持する部材であり、これらを互いに接近する方向に移動させることにより剥離ユニット4の保持状態を解除することが可能になっている。
【0032】
カッタ20は、通常発行後のラベル連続体Pの台紙PMを切断する部材であり、フロントカバー部5において開閉カバー部3の向かい側の先端部に、プリンタ1の短方向(プラテンローラ10の軸方向)の端から端に向かって延在形成された状態で設置されている。なお、開閉カバー部3とフロントカバー部5との間に発行口が形成されている。
【0033】
次に、プリンタ1の内部構造について
図6を参照して説明する。
図6(a)は
図1(a)の通常発行時のプリンタの概略構成図、
図6(b)は
図1(b)の剥離発行時のプリンタの概略構成図である。
【0034】
図6に示すように、本体ケース2の開口部2a内には、印字本体部26が用紙収容部6に隣接した状態で設置されている。印字本体部26は、ラベル連続体PのラベルPLに印字を施すための機能部であり、ヘッドブラケット27と、サーマルヘッド(印字部)28と、コイルバネ29と、剥離ユニット4と、バッテリー収容部33とを備えている。
【0035】
ヘッドブラケット27は、閉止状態の開閉カバー部3を保持する部材であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10の向かい側に揺動自在の状態で設置されている。このヘッドブラケット27に形成された溝内に、プラテンローラ10のプラテン軸10aが嵌め込まれることにより、開閉カバー部3は、ヘッドブラケット27に保持されるようになっている。
【0036】
また、ヘッドブラケット27には、押圧部27aが一体形成されている。この押圧部27aは、カバーオープンボタン18に対向する位置(直下)に配置されており、カバーオープンボタン18を押すと押圧部27aも押され、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が解除されるようになっている。そして、この開閉カバー部3の保持状態が解除されると、開閉カバー部3は、その長手方向他端部側に配置されたトーションバネ35の付勢力により自動的に開くようになっている。
【0037】
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をラベルPLに印字する印字手段であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド28の印字面を通紙ルートに向けた状態で回路基板36を介してヘッドブラケット27に実装されている。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)がラベル連続体Pの幅方向(台紙PMの短方向)に沿って並んで設置されている。なお、回路基板36は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する配線基板である。
【0038】
コイルバネ29は、開閉カバー部3の閉止時にヘッドブラケット27およびサーマルヘッド28をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の背面側(回路基板36の実装面の裏面)に設置されている。このコイルバネ29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押されるので、ヘッドブラケット27の溝内に嵌り込んだプラテン軸10aも押さえられ、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が維持されている。
【0039】
剥離ユニット4は、通常発行時には、
図6(a)に示すように、プリンタ1の内部(カッタ20の下側)に収容されているが、剥離発行時には、
図6(b)に示すように、剥離ユニット4のニップローラ4aがプラテンローラ10に対向するように、プラテンローラ10の上方の剥離発行位置まで引き出される。
【0040】
ここでは、
図3、
図4および
図5に示したように、開閉カバー部3のユニット押さえ部3aが、剥離ユニット4の庇部4cpと板バネ4daとの隙間に配置され、板バネ4daに接触した状態で剥離ユニット4を押さえるようになっている。これにより、剥離ユニット4が剥離発行位置に固定されるとともに、剥離ユニット4のニップローラ4aがプラテンローラ10側に付勢されるようになっている。したがって、剥離発行時に剥離ユニット4のニップローラ4aをプラテンローラ10にしっかりと安定した状態で付勢することができる。
【0041】
次に、プリンタ1の通常発行および剥離発行について
図7(a),(b)を参照して説明する。
図7(a)は
図6(a)の通常発行時のプリンタにおいてラベル連続体を用紙収容部6にセットした状態の概略構成図、
図7(b)は
図6(b)の剥離発行時のプリンタにおいてラベル連続体を用紙収容部6にセットした状態の概略構成図である。
【0042】
通常発行および剥離発行のいずれの場合も印字工程においては、用紙収容部6から繰り出されたラベル連続体Pをサーマルヘッド28とプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させることによりラベル連続体Pを搬送するようになっている。この搬送の際、センサ12により検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド28に送信された印字信号によりサーマルヘッド28の発熱抵抗体を選択的に発熱させてラベル連続体PのラベルPLに所望の情報を印字するようになっている。
【0043】
ここで、通常発行の場合、
図7(a)に示すように、剥離ユニット4はプリンタ1の内部(カッタ20の下側)の通常発行位置に配置される。印字後のラベルPLは、台紙PMから剥がされることなく排出される。通常発行の場合、必要枚数のラベルPLが貼られた台紙PMを作成しておき、現場でラベルPLを台紙PMから剥がして貼り付けることができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。
【0044】
一方、剥離発行の場合、
図7(b)に示すように、剥離ユニット4は剥離発行位置に配置されるとともに、剥離ピン11を介して台紙PMを剥離ユニット4のニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態に設定される。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させラベル連続体Pを搬送すると、台紙PMはニップローラ4aとプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルPLは1枚毎に台紙PMから剥がされて機外に排出されるようになっている。剥離発行の場合、ラベルPLが1枚ずつ排出されるので、ラベルPLを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。
【0045】
本実施の形態のプリンタ1においては、通常発行と剥離発行との切り換えができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1に近い場合と遠い場合との2つの状況に1台で対応でき、使い勝手が良く経済的である。
【0046】
次に、上記した用紙ガイド機構部7について
図8〜
図13を参照して説明する。
図8は
図1のプリンタを構成する用紙ガイド機構部の斜視図、
図9は
図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板のロック解除状態における側面の拡大斜視図、
図10は
図9のガイド板の側面に設置されたロック・ロック解除機構部の分解斜視図、
図11は
図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板のロック状態における拡大側面図、
図12は
図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板のロック解除状態における拡大側面図、
図13(a)はガイド板がロック状態の場合の操作部と本体ケースの底面との係合部の要部拡大斜視図、
図13(b)はガイド板がロック解除状態の場合の操作部と本体ケースの底面との係合部の要部拡大斜視図である。
【0047】
図8に示すように、用紙ガイド機構部7は、一対のガイド板7a,7aと、一対の脚部7b,7bと、スライド機構部7cと、ロック・ロック解除機構部7dとを備えている。なお、
図8には一方の脚部7bのみが示されている。
【0048】
一対のガイド板7a,7aは、ロール状のラベル連続体Pの幅方向(ラベル連続体Pの短方向)両端面に接触した状態でロール状のラベル連続体Pを回転自在の状態で支持してラベル連続体Pをガイドする部材であり、ラベル連続体Pの幅方向の両端面に接触する面を対向させ、互いに接近離間する方向に移動可能な状態で設置されている。各ガイド板7a,7aは、例えば、平面略円形状に形成されており、その下部(各ガイド板7a,7aにおいて用紙収容部6の底面側)には、それぞれ脚部7b,7bが一体成形されている。
【0049】
スライド機構部7cは、一対のガイド板7a,7aを互いに接近離間する方向に移動させるための機構部であり、一対のラック部7crと、ピニオン部7cpと、スライドバー7cbとを備えている。
【0050】
一対のラック部7crは、各脚部7b,7bから互いに対向するガイド板7a,7aに向かって延び、それらの対向間にピニオン部7cpを挟み込んだ状態で設置されている。各ラック部7cr,7crの対向辺には、その辺に沿って複数の歯が形成されている。各脚部7b,7bおよび各ラック部7cr,7crの下部(用紙収容部6の底面側の部分)は、本体ケース2の底面においてラベル連続体Pの幅方向に延びるように形成された溝(図示せず)に摺動可能な状態で嵌合されている。
【0051】
ピニオン部7cpは、本体ケース2の底面に回動自在の状態で軸支されており、その外周には複数の歯が形成されている。このピニオン部7cpは、その外周の歯に、各ラック部7cr,7crの複数の歯が噛合されることで2つのラック部7cr,7crと係合されている。これにより、一方のガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させるとそれに接続された一方のラック部7crも同方向に移動するので、そのラック部7crに係合されたピニオン部7cpが回転する結果、ピニオン部7cpに係合された他方のラック部7crが移動して、その他方のラック部7crに接続された他方のガイド板7aを、一方のガイド板7aの移動方向に対して反対方向に移動させることが可能になっている。
【0052】
このようなラック部7crおよびピニオン部7cpの構成により、一対のガイド板7a,7aは、ラベル連続体Pの幅(ラベル連続体Pの短方向の長さ)に応じて位置を変えられるように、ラベル連続体Pの幅方向に沿って互いに接近離間する方向に移動することが可能になっている。その結果、ラベル連続体Pを、そのサイズに応じて適切な位置で保持することができ、正しい姿勢に規制した状態で搬送することが可能になっている。
【0053】
スライドバー7cbは、一対のガイド板7a,7aの接近離間方向への移動をガイドする部材であり、本体ケース2の底面側においてガイド板7aの移動方向(ラベル連続体Pの幅方向)に沿って延び、各ガイド板7a,7aの各脚部7b,7bを貫通して本体ケース2に固定されている。これにより、一対のガイド板7a,7aを安定した状態で移動させることが可能になっている。
【0054】
ロック・ロック解除機構部7dは、
図8〜
図12に示すように、ガイド板7aのロック(固定)およびロック解除を行う機構部である。このロック・ロック解除機構部7dは、一方のガイド板7aの外側の側面に設置されており、操作部7dmと、それとは別体の補助操作部7dsとを備えている。
【0055】
操作部7dmは、ロック方向A1(
図11参照)およびロック解除方向B1(
図12参照)に移動することでガイド板7aをロック状態およびロック解除状態に設定する主操作部である。ここで、ロック方向A1は、操作部7dmの底面(本体ケース2の底面に対向する面)を本体ケース2の底面に接近させる方向(
図8〜
図12の下方向)であり、ロック解除方向B1は、操作部7dmの底面を本体ケース2の底面から離間させる方向(
図8〜
図12の上方向)である。
【0056】
この操作部7dmは、例えば、略直方体の箱状に形成されており、その2つの外側長辺には、それぞれ2つの突出部41a〜41d(
図10参照)が操作部7dmの長辺に交差する方向に突出した状態で形成されている。操作部7dmは、その2辺の突出部41a〜41dが、ガイド板7aの側面に形成された支持部42a〜42dの凹内に嵌合されることにより、ロック方向A1およびロック解除方向B1に移動することが可能な状態で支持されている。
【0057】
この操作部7dmの内部には、
図10〜
図12に示すように、固定突部43が設置されている。この固定突部43は、ガイド板7aのロック状態とロック解除状態とを分ける突部であり、ロック方向A1およびロック解除方向B1に交差する方向であって補助操作部7dsから離間する方向に突出した状態で、ガイド板7aの外側側面
の面内に固定されている。
【0058】
また、操作部7dmの内部において、固定突部43に対向する位置には、枠状の弾性部材で構成された板バネ部44と、可動突部45とが設置されている。可動突部45は、板バネ部44の長手方向中央から固定突部43に向かって突出しており、固定突部43と噛み合うように設置されている。この可動突部45の位置が固定突部43に対して本体ケース2の底面側に位置する場合はガイド板7aがロック状態となり、可動突部45の位置が固定突部43に対して
開閉カバー部3側に位置する場合はガイド板7aがロック解除状態となる。このような固定突部43と可動突部45との位置関係により、ガイド板7aのロック状態およびロック解除状態が分けられている。
【0059】
このような操作部7dm、板バネ部44および可動突部45は、例えば可撓性を有するプラスチックにより一体成形されており、ロック方向A1およびロック解除方向B1における操作部7dmの移動と一緒に移動するようになっている。操作部7dmの移動により可動突部45が固定突部43を越える場合は、板バネ部44が固定突部43に押されて固定突部43から離間する方向に撓むが、可動突部45が固定突部43を越えきると、板バネ部44は元の状態に戻るようになっている。これにより、操作部7dmに対して、ある程度の力を加えなければ、ガイド板7aのロック状態およびロック解除状態の相互間の切り換えができないようになっている。
【0060】
操作部7dmの長手方向上面は、
図11に示すように、ガイド板7aのロック時に補助操作部7dsにより押圧される部分になっている。また、操作部7dmの外周において補助操作部7ds側の長辺には、その長辺から補助操作部7ds側に向かって突出する突出部46が一体成形されている。この突出部46は、
図12に示すように、ガイド板7aのロック解除時に補助操作部7dsにより押圧される部分になっている。
【0061】
さらに、操作部7dmの長手方向底面には、係合部47が形成されている。この係合部47には、
図13に示すように、ラベル連続体Pの搬送方向(
図13の紙面に交差する方向)に沿って延在する凹凸が、ガイド板7aの移動方向(ラベル連続体Pの幅方向、
図13の左右横方向)に沿って交互に並設されている。この係合部47の凹凸は断面で見ると、例えば、鋸形状に形成されている。
【0062】
また、本体ケース2の底面において操作部7dmの長手方向底面に対応する位置には、本体ケース2側の係合部48が形成されている。この係合部48において、操作部7dmの係合部47の凹凸面に対向する面には、操作部7dmの係合部47の凹凸に対応するように、ラベル連続体Pの搬送方向に沿って延在する凹凸が、ガイド板7aの移動方向に沿って交互に並設されている。この係合部48の凹凸も断面で見ると、例えば、鋸形状に形成されている。
【0063】
ガイド板7aのロックに際して、操作部7dmがロック方向A1に移動することにより可動突部45が固定突部43の下で止められると、
図13(a)に示すように、操作部7dmの係合部47の凹凸が本体ケース2の係合部48の凹凸に嵌まることによりガイド板7aがロックされるようになっている。一方、ガイド板7aのロック解除に際して、操作部7dmがロック解除方向B1に移動することにより可動突部45が固定突部43の上に位置すると、
図13(b)に示すように、操作部7dmの係合部47の凹凸が本体ケース2の係合部48の凹凸から離間することによりガイド板7aのロック状態が解除されるようになっている。
【0064】
次に、補助操作部7dsは、
図8〜
図12に示すように、操作部7dmをロック方向A1およびロック解除方向B1に移動させるための操作部であり、ガイド板7aにおいてラベル連続体Pが接する面の裏面であって、本体ケース2の内壁面に対向する外側側面の面内に沿って揺動自在の状態で支持されている。なお、補助操作部7dをガイド板7aにおいてラベル連続体Pが接する内側側面に設置しても良い。
【0065】
補助操作部7dsは、揺動軸50を中心にして、ほぼ逆方向に延在する2つの翼部51,52を一体的に備えている。一方の翼部51は、操作部7dmをロック方向A1に移動させる部分であり、揺動軸50からガイド板7aの外縁(開閉カバー部3側の外縁)に向かって延在している。この翼部51の先端部には、ガイド板7aの外縁よりも外側に突出された突出部51aが形成されている。また、翼部51の先端部側には突出部51aから枝分かれてして操作部7dm側に向かって延在する押圧部51bが形成されている。
【0066】
他方の翼部52は、ガイド板7aの側面内に位置し、操作部7dmをロック解除方向B1に移動させる部分であり、その先端部は、例えば、J字状に形成されている。なお、ガイド板7aには、補助操作部7dsによるガイド板7aのロック解除操作時に補助操作部7dsが第2揺動方向B2に行き過ぎないように抑止する抑止部53が設けられている。
【0067】
このような構成において、
図11に示すように、補助操作部7dsを構成する翼部51の突出部51aを摘み、補助操作部7dsを第1揺動方向A2に揺動させると、翼部51の押圧部51bが操作部7dmの上面に当接し、操作部7dmを押し下げる(ロック方向A1に移動させる)ようになっている。そして、操作部7dmの可動突部45が固定突部43を越えて固定突部43の下で止まると、操作部7dmの底面の係合部47が本体ケース2の底面の係合部48(
図13参照)と係合してガイド板7aがロックされるようになっている。
【0068】
一方、
図12に示すように、ガイド板7aが固定状態の場合に、翼部51の突出部51aを摘み、補助操作部7dsを第1揺動方向A2とは反対の第2揺動方向B2に揺動させると、翼部52の先端部のJ字状部分が操作部7dmの突出部46に当接して操作部7dmを引き上げる(ロック解除方向B1に移動させる)ようになっている。そして、操作部7dmの可動突部45が固定突部43を越えて固定突部43の上に位置すると、操作部7dmの底面の係合部47が本体ケース2の底面の係合部48(
図13参照)から離間してガイド板7aがロック解除されるようになっている。
【0069】
上記した特許文献1の場合、ラベル連続体Pの下方にガイド板のロックおよびロック解除を行う操作部が配置されるので、ラベル連続体Pをセットした後からはガイド板7aのロックおよびロック解除ができず、ラベル連続体の幅に合わせて用紙ガイドの位置を調整する操作が難しい。
【0070】
これに対して本実施の形態においては、補助操作部7dsを操作することで、ガイド板7aをロックおよびロック解除することができるので、ガイド板7aを容易にロックおよびロック解除することができる。したがって、ラベル連続体Pの幅に合わせてガイド板7aの位置を容易に調整することができる。
【0071】
また、操作部を摘み、上下に移動させることでガイド板のロックおよびロック解除を行う場合も考えられるが、その場合、例えば、プリンタが小型であったり、ガイド板が本体ケースの内壁面に接した状態で配置されていたりすると、操作部と本体ケースの内壁面との間に指を入れる隙間を確保し難いので操作部を摘まむことができず操作が難しい場合がある。また、操作部と本体ケースとの間に、ある程度の隙間を確保するため大きなスペースが必要になる場合がある。
【0072】
これに対して本実施の形態においては、補助操作部7dsをガイド板7aの側面に沿って揺動させることによりガイド板7aをロックおよびロック解除するので、ガイド板7aを容易にロックおよびロック解除することができる。また、補助操作部7dsと本体ケース2との間に指を入れる隙間を確保する必要もないので、小さなスペースでガイド板7aをロックおよびロック解除することができる。
【0073】
また、補助操作部7dsの揺動動作による、てこの原理を利用して操作部7dmを操作することによりガイド板7aをロックおよびロック解除することができるので、比較的小さな力でガイド板7aをロックおよびロック解除することができる。
【0074】
また、本実施の形態においては、補助操作部7dsの揺動軸50が操作部7dmから離間する方向に向かってガイド板7aの面内中心位置から外れて配置されている。このため、補助操作部7dsを操作部7dmから遠い位置に配置することができるので、より小さな力でガイド板7aをロックおよびロック解除することができる。
【0075】
また、補助操作部7dsの揺動軸50がガイド板7aの面内中心位置から外れて配置されていることにより、ガイド板7aのロック時の補助操作部7dsの突出部51aの突出長(
図11参照)に比べて、ガイド板7aのロック解除時の補助操作部7dsの突出部51aの突出長(
図12参照)を長くすることができる。これにより、突出部51aを摘み易くすることができるので、ガイド板7aをラベル連続体Pの幅に合わせて移動させる場合の操作性を向上させることができる。
【0076】
また、補助操作部7dsの突出部51aの突出長は、ガイド板7aのロック解除状態において開閉カバー部3を閉めると、その開閉カバー部3の内壁部が突出部51aに当接されてガイド板7aを第1揺動方向A2に移動する長さに設定されている。これにより、開閉カバー部3を閉めるとガイド板7aを自動的にロックすることができる。したがって、プリンタ1の操作性を向上させることができる。
【0077】
また、補助操作部7dsの翼部51、ガイド板7aまたはその両方において視認可能な表面に、翼部51とガイド板7aとの相対位置関係から、ガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのかを示す、文字、記号、図形またはこれらの組み合わせ等のような状態表示部を形成しても良い。これにより、ガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのかを容易に判断することができる。
【0078】
次に、開閉カバー部3の閉止によりガイド板7aを自動的にロックする方法について
図14および
図15を参照して説明する。なお、
図14および
図15はプリンタの開閉カバー部の閉止時における開閉カバー部およびガイド板の概略側面図である。
【0079】
まず、
図14(a)は、プリンタ1の開閉カバー部3を閉止する直前の状態を示している。この段階においては、開閉カバー部3は補助操作部7dsを構成する翼部51の突出部51aに当接されていない。また、補助操作部7dsの翼部52が操作部7dmを押し上げており、ガイド板7aはロック解除状態に設定されている。
【0080】
ここで、
図14(b)に示すように、開閉カバー部3を閉めていくと、開閉カバー部3の内壁面が補助操作部7dsの突出部51aに当接することにより、突出部51aが開閉カバー部3により第1揺動方向A2に押される。
【0081】
その後、
図15に示すように、開閉カバー部3を完全に閉めると、補助操作部7dsの翼部52の先端部が操作部7dmの突出部46から離れる一方、補助操作部7dsの翼部51の押圧部51bが操作部7dmの上面に当たり操作部7dmを押し下げ、可動突部45が固定突部43を越えて固定突部43の下で止まる。これにより、操作部7dmの底面の係合部47が本体ケース2の底面の係合部48(
図13参照)と係合してガイド板7aを自動的にロックする。
【0082】
このように本実施の形態においては、開閉カバー部3を閉めると、ガイド板7aを自動的にロックすることができるので、プリンタ1の操作性を向上させることができる。また、開閉カバー部3を閉めると、ガイド板7aを自動的にロックすることができるので、ガイド板7aをロックしないまま開閉カバー部3を閉止した場合にプリンタ1の動作中にガイド板7aがずれてしまう、というような不具合をも防止することができる。
【0083】
また、操作部7dmと補助操作部7dsとが分離されているので、開閉カバー部3の衝突による衝撃が操作部7dmに直接加わらない。したがって、操作部7dmの耐久性を向上させることができる。
【0084】
次に、プリンタ1の用紙収容部6にラベル連続体Pをセットする方法について
図16および
図17を参照して説明する。なお、
図16および
図17はプリンタの用紙収容部にラベル連続体をセットする際の本体ケースおよび一対のガイド板の概略正面図である。
【0085】
まず、
図16(a)は、プリンタ1の用紙収容部6にラベル連続体Pをセットする前の状態を示している。この段階においては、開閉カバー部3(
図16および
図17では省略)は開いた状態となっている。また、一対のガイド板7aは、ロック解除状態に設定されている。
【0086】
ここで、一方のガイド板7aの補助操作部7dsの突出部51aを指で摘み、その一方のガイド板7aを外側に向かって移動する。すると、一方のガイド板7aに接続された一方のラック部7crも同方向に移動するので、一方のラック部7crに係合されたピニオン部7cpが回転する。その結果、ピニオン部7cpに係合された他方のラック部7crが移動するので、他方のラック部7crに接続された他方のガイド板7aが一方のガイド板7aから離間する方向に移動する。本実施の形態においては、ガイド板7aのロック解除時における突出部51aの突出長が長く摘み易くなっているので、ラベル連続体Pの幅に合わせてガイド板7aの位置を容易に調整することができる。
【0087】
続いて、
図16(b)に示すように、一対のガイド板7aの間にラベル連続体Pを配置した後、
図17(a)に示すように、一方のガイド板7aの補助操作部7dsの突出部51aを指で摘み、一方のガイド板7aをラベル連続体Pに向かって移動すると、上記と同様に一対のラック部7cとピニオン部7cpとの動作により他方のガイド板7aもラベル連続体Pに向かって移動する。これにより、ラベル連続体Pの幅方向両端面に一対のガイド板7aの各々を接触させた状態でラベル連続体Pを保持する。
【0088】
その後、
図17(b)に示すように、補助操作部7dsの突出部51aを指で摘まんで、第1揺動方向A2(
図11参照)に揺動させることにより、ガイド板7aをロック状態にしてプリンタ1の用紙収容部6内にラベル連続体Pをセットする。本実施の形態においては、補助操作部7dsの揺動動作によりガイド板7aをロックおよびロック解除することができるので、小さなスペースで、しかも小さな力で、ガイド板7aをロックおよびロック解除することができる。
【0089】
このように本実施の形態のプリンタ1においては、ガイド板7aをロックおよびロック解除する場合の操作性およびガイド板7aをラベル連続体Pの幅に合わせて調整する場合の操作性等のようなガイド板7aの操作性を向上させることができる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0091】
例えば、前記実施の形態においては、通常発行と剥離発行との両方に使用可能な兼用型のプリンタに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、通常発行のみに使用可能なプリンタや剥離発行のみに使用可能なプリンタに適用することもできる。
【0092】
また、前記実施の形態においては、一対のガイド板を互いに連動して接近離間する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のガイド板の一方を用紙収容部に固定し、他方のガイド板のみを移動可能に設けて、この他方のガイド板を一方のガイド板に対して接近離間させる構成にしても良い。この場合、ガイド板のロック・ロック解除機構部等は、可動側のガイド板に設ける。
【0093】
また、前記実施の形態においては、印字媒体として複数枚のラベルを台紙に仮着したラベル連続体を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。台紙無しラベル、連続シートまたはフィルムは位置検出マークを設けることができる。また、粘着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非粘着剤で被覆するとともにシリコーンを含有したローラを設けることができる。