(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
火力発電所などで用いられる蒸気タービンの熱効率の向上は、エネルギ資源の有効利用や、二酸化炭素(CO
2)排出量の削減につながる重要な課題となっている。蒸気タービンの熱効率の向上は、与えられたエネルギを有効に機械仕事に変換することで達成することができ、そのためには様々な内部損失を低減することが必要である。
【0003】
蒸気タービンの内部損失には、翼の形状に起因するプロファイル損失、蒸気の二次流れ損失、蒸気の漏洩損失、蒸気の湿り損失などに基づくタービン翼列損失、蒸気弁やクロスオーバー管に代表される翼列以外の通路における通路部損失、タービン排気室によるタービン排気損失などがある。
【0004】
これら損失の中で、タービン排気損失は、全内部損失の10〜20%を占める大きな損失である。タービン排気損失は、タービン段落の最終段出口から復水器入口までの間で発生する損失である。タービン排気損失は、リービング損失、フード損失、環状面積制限損失、ターンナップ損失などにさらに分類される。このうち、フード損失は、排気室から復水器までの圧力損失である。フード損失は、ディフューザを含めた排気室の形式、形状、サイズに依存する。
【0005】
一般に、圧力損失は、蒸気の流速の二乗に比例して大きくなる。そのため、許容される範囲で排気室のサイズを大きくして蒸気の流速を低減することが効果的である。しかしながら、排気室のサイズを大きくする際、製造コストや建屋の配置スペースなどからの制約を受ける。フード損失を低減させるために排気室のサイズを大きくする際にも、このような制約を受ける。また、フード損失は、タービンロータ軸方向の速度である軸流速度、換言すると排気室を通過する体積流量に依存する。
【0006】
フード損失は、ディフューザを含めた排気室の設計に依存する。低圧タービンの排気室は、蒸気タービン全体の中でも大きな容量を占める。そのため、フード損失を低減させるために排気室のサイズの拡大することは、蒸気タービン全体のサイズや製造コストに大きな影響を与える。そこで、限られた排気室のサイズで、圧力損失の小さい形状とすることが重要となる。
【0007】
従来の下方排気型の排気室を備えた複流排気型(ダブルフロー型)の低圧タービンでは、最終のタービン段落の動翼を通過した蒸気は、スチームガイドとベアリングコーンとで構成される環状のディフューザに導かれる。ディフューザに導かれた蒸気は、半径方向外側に向かって、放射状に流出する。放射状に流出した蒸気は、ケーシングなどによって流れが転向され、蒸気タービンの下方に設置された復水器に導かれる。
【0008】
このような低圧タービンにおいて、排気室内での圧力損失(静圧損失)を低減するためには、環状のディフューザで流れを減速させ、十分に静圧を回復させることが重要である。しかしながら、このような低圧タービンにおいて、例えば、スチームガイドの入口における内面のタービンロータ軸方向に対する傾斜角度が大きい場合、蒸気は、ディフューザ内の入口に近い位置で剥離する。このような剥離は、ディフューザ内において蒸気の流れを緩やかに転向することができない場合、具体的には、ベアリングコーンのタービンロータ軸方向の距離が短い場合に顕著に発生する。
【0009】
従来においては、最終のタービン段落における動翼の先端部(シュラウド)を半径方向外側に急拡大する形状とすることで、スチームガイドにおける流れの剥離を抑制する試みがなされている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。ここでは、蒸気タービン10として、下方排気型の排気室を備えた複流排気型の低圧タービンを例示して説明する。
【0018】
図1に示すように、蒸気タービン10において、外部ケーシング20内には、内部ケーシング21が備えられている。内部ケーシング21内には、タービンロータ22が貫設されている。このタービンロータ22には、周方向に亘って半径方向外側に突出するロータディスク23が形成されている。このロータディスク23は、タービンロータ軸方向に複数段形成されている。
【0019】
タービンロータ22のロータディスク23には、周方向に複数の動翼24が植設され、動翼翼列を構成している。この動翼翼列は、タービンロータ軸方向に複数段備えられている。タービンロータ22は、ロータ軸受25によって回転可能に支持されている。
【0020】
内部ケーシング21の内側には、ダイアフラム外輪26とダイアフラム内輪27とが設けられている。ダイアフラム外輪26とダイアフラム内輪27との間には、周方向に複数の静翼28が配設され、静翼翼列を構成している。この静翼翼列は、タービンロータ軸方向に動翼翼列と交互になるように配置されている。静翼翼列と、この静翼翼列の直下流の動翼翼列とで一つのタービン段落を構成する。
【0021】
蒸気タービン10の中央には、クロスオーバー管29からの蒸気が導入される吸気室30を備えている。この吸気室30から左右のタービン段落に蒸気を分配して導入する。
【0022】
最終のタービン段落の下流側には、外周側のスチームガイド40と、その内周側のベアリングコーン50とによって形成された、蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザ60が形成されている。なお、ベアリングコーン50の内部には、例えば、ロータ軸受25などが備えられている。
【0023】
環状ディフューザ60を備えた下方排気型の排気室の下方には、例えば、復水器(図示しない)が備えられる。
【0024】
なお、上記した、外部ケーシング20、内部ケーシング21、スチームガイド40、ベアリングコーン50などは、上下に2つ割り構造で構成されている。例えば、上半側および下半側のスチームガイド40によって筒状のスチームガイド40が構成される。同様に、上半側および下半側のベアリングコーン50よって筒状のベアリングコーン50が構成される。そして、筒状のスチームガイド40と、その内側に設けられた筒状のベアリングコーン50とによって、環状ディフューザ60が構成される。なお、スチームガイド40およびベアリングコーン50における上半側および下半側の構成は同じである。
【0025】
次に、最終のタービン段落および環状ディフューザ60の構成について詳しく説明する。
【0026】
図2は、実施の形態の蒸気タービン10における最終のタービン段落および環状ディフューザ60の鉛直方向の子午断面を拡大した図である。なお、
図2において、説明の便宜上、最終段のタービン段落の構成部には、
図1で示した構成部の符号に「a」を加えて示している。
【0027】
図2に示すように、最終のタービン段落の静翼28aは、ダイアフラム外輪26aとダイアフラム内輪27aとの間に取り付けられている。静翼28aの外周が取り付けられたダイアフラム外輪26aの内面70は、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に、例えば、直線的に拡大する。この内面70は、タービンロータ軸方向の下流側(
図2では右方向)に行くに伴って半径方向外側に、タービンロータ軸方向に対して拡大傾斜角度θ1で傾斜している。
【0028】
静翼28aの下流の動翼24aの先端部は、例えば、シュラウド75が備えられている。動翼24aの先端部にシュラウド75を備えることで、先端の振動による流れの不安定性を抑制することができる。動翼24aの周囲の、ダイアフラム外輪26aの内面110は、
図2に示すように、タービンロータ軸方向に、例えば、ほぼ水平となっている。
【0029】
なお、動翼24aの先端部、すなわちシュラウド75は、ダイアフラム外輪26aの内面110との距離を一定に維持するため、
図2に示す断面において、例えば、ほぼ水平に構成されている。動翼24aの先端部を、内面110に沿ってタービンロータ軸方向にほぼ水平とすることで、例えば、タービンロータ22のタービンロータ軸方向への熱伸びした場合においても、動翼24aの先端部と内面110との間からの漏洩蒸気量の増加を抑制することができる。これによって、動翼24aから流出する蒸気の流れを安定させて、環状ディフューザ60に導入することができる。
【0030】
ここでは、動翼24aの先端部にシュラウド75を備えた一例を示したが、動翼24aの先端部にシュラウド75を備えない構成であってもよい。先端部にシュラウド75を備えない場合には、動翼24aの先端が、
図2に示す断面において、例えば、ほぼ水平に構成されている。
【0031】
最終のタービン段落の下流側には、スチームガイド40と、ベアリングコーン50とによって形成された環状ディフューザ60が形成されている。
【0032】
ベアリングコーン50は、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い、半径方向外側に拡開する拡大筒状に構成されている。ベアリングコーン50の上流端は、
図2に示すように、回動するロータディスク23aに接しない程度に、ロータディスク23aの下流側端面のうちの半径方向外側部分に隣接している。ベアリングコーン50の下流端は、外部ケーシング20の、タービンロータ軸方向の下流側の側壁90の内壁面91に接している。
【0033】
ここでは、ベアリングコーン50は、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い湾曲しながら拡大する一例を示している。なお、ベアリングコーン50は、例えば、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に、直線的に拡大する部分および湾曲しながら拡大する部分を備えた構成としてもよい。また、ベアリングコーン50は、例えば、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に、直線的に拡大する部分を複数備えた構成としてもよい。
【0034】
スチームガイド40は、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い、半径方向外側に拡開する拡大筒状に構成されている。スチームガイド40の上流端は、
図2に示すように、ダイアフラム外輪26aの下流側端面のうちの半径方向内側部分に接している。スチームガイド40の上流部は、例えば、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に直線的に拡大し、下流部は、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に湾曲しながら拡大する。なお、スチームガイド40の形状は、これに限られない。スチームガイド40は、例えば、上流端から下流端において、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に湾曲しながら拡大するラッパ状に構成されてもよい。
【0035】
スチームガイド40の入口における内面80は、
図2に示すように、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴って半径方向外側に、タービンロータ軸方向に対して拡大傾斜角度θ2で傾斜している。なお、スチームガイド40が、上流端から下流端において、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に湾曲しながら拡大する場合には、拡大傾斜角度θ2は、
図2に示した断面において、スチームガイド40の内面80の上流端における接線とタービンロータ軸方向とのなす角で定義される。
【0036】
ここで、拡大傾斜角度θ1は、拡大傾斜角度θ2以上とすることが好ましい。このように拡大傾斜角度θ1、θ2を設定することで、最終のタービン段落を流出した蒸気は、スチームガイド40の入口における内面80に沿って流れる。これによって、スチームガイド40の内面80に生じる流れの剥離を防止できる。そして、環状ディフューザ60におけるディフューザ性能の低減を抑制できる。
【0037】
動翼24aの根元の最下流端100からベアリングコーン50の下流端が接する側壁90の内壁面91までの距離をLとし、動翼24aの外径をDとする。ここで、外径Dは、動翼24aが回転する際、動翼24aの翼先端が描く円の直径に等しい。なお、動翼24aがシュラウド75を備える場合には、外径Dは、
図1および
図2に示すように、シュラウド75を含んだ外径である。ディフューザ性能を確保するために、例えば、距離Lと外径Dとの比(L/D)に応じて、拡大傾斜角度θ1、θ2を設定することが好ましい。
【0038】
ここで、L/Dは、0.2以上0.6以下に設定することが好ましい。L/Dが0.2を下回る場合には、「拡大傾斜角度θ1−拡大傾斜角度θ2」が0度以上において、スチームガイド40の内面80に生じる流れの剥離による圧力損失(以下、剥離損失という。)が発生する。一方、L/Dが0.6を超える場合には、排気室のサイズが増大する。
【0039】
(L/D)が0.2以上0.6以下の範囲において次の関係式(1)を満たすことが好ましい。
0≦拡大傾斜角度θ1−拡大傾斜角度θ2≦40(L/D)−4 …式(1)
なお、上記関係式の単位は、度である。
【0040】
「拡大傾斜角度θ1−拡大傾斜角度θ2」が0度を下回ると、剥離損失が発生する。一方、「拡大傾斜角度θ1−拡大傾斜角度θ2」が「40(L/D)−4」を超えると、環状ディフューザ60の半径方向外側への曲がりによる圧力損失(以下、曲がり損失という。)が発生する。
【0041】
上記したように、(L/D)に応じて、拡大傾斜角度θ1、θ2を上記の式(1)を満たすように設定することで、剥離損失および曲がり損失を防止することができる。これによって、環状ディフューザ60におけるディフューザ性能の低減を抑制することができる。
【0042】
ここで、蒸気タービン10の動作について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0043】
クロスオーバー管29を経て蒸気タービン10内の吸気室30に流入した蒸気は、左右のタービン段落に分岐して流れる。そして、各タービン段落の静翼28、動翼24を備える蒸気流路を膨張仕事をしながら通過し、タービンロータ22を回転させる。最終のタービン段落を通過した蒸気は、環状ディフューザ60内に流入する。
【0044】
ここで、ダイアフラム外輪26aの内面70に沿って流れてきた蒸気は、環状ディフューザ60の入口においても、内面70の拡大傾斜角度θ1を有して流れている。そのため、最終のタービン段落を通過した蒸気が環状ディフューザ60内に流入する際、蒸気は、剥離することなく、スチームガイド40の内面80に沿って流れる。そして、その流れは、環状ディフューザ60によって減速される。
【0045】
また、環状ディフューザ60内の曲がり流路を蒸気が流れるときも、蒸気は、曲がり損失を生じることなく流れる。そのため、環状ディフューザ60において、静圧が十分に回復される。
【0046】
環状ディフューザ60の出口において、蒸気は、半径方向外側に流出する。半径方向外側に流出した蒸気は、流れが下方に転向される。そして、転向された蒸気は、例えば、タービンロータ22の下方に設置された復水器(図示しない)に導かれる。
【0047】
なお、ここでは、タービンロータ22の下方に復水器(図示しない)が設置された一例を示したが、復水器は、例えば、タービンロータ軸方向に垂直でかつ水平な方向の、蒸気タービン10の側部側に備えられてもよい。換言すれば、蒸気タービン10は、下方排気型に限らず、側方排気型であってもよい。
【0048】
上記したように、実施の形態の蒸気タービン10によれば、距離Lと動翼24aの外径Dとの比(L/D)に応じて、拡大傾斜角度θ1、θ2を設定することで、排気室の環状ディフューザ60における剥離損失および曲げ損失を抑制することができる。これによって、排気室における圧力損失を低減することができる。
【0049】
なお、実施の形態の蒸気タービン10は、上記した構成に限られるものではない。
図3は、実施の形態の蒸気タービン10における、他の構成を備える最終のタービン段落、および環状ディフューザ60の鉛直方向の子午断面を拡大した図である。なお、
図3において、説明の便宜上、最終段のタービン段落の構成部には、
図1で示した構成部の符号に「a」を加えて示している。
【0050】
図3に示すように、最終段のタービン段落における動翼24aの周囲の、ダイアフラム外輪26aの内面110を、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴い半径方向外側に、例えば、直線的に拡大するように構成してもよい。この内面110は、タービンロータ軸方向の下流側(
図3では右方向)に行くに伴って半径方向外側に、タービンロータ軸方向に対して拡大傾斜角度θ3で傾斜している。
【0051】
この場合、動翼24aの先端部のシュラウド75は、ダイアフラム外輪26aの内面110との距離を一定に維持するため、
図3に示すように、例えば、タービンロータ軸方向の下流側に行くに伴って半径方向外側に、タービンロータ軸方向に対して拡大傾斜角度θ3で傾斜するように設けられる。このようなシュラウド75を備える場合、動翼24aの外径Dは、
図3に示すように、動翼24aが回転する際、シュラウド75の半径方向の最先端75aが描く円の直径に等しい。なお、シュラウド75の半径方向の最先端75aとは、
図3に示すように、シュラウド75の最も下流側における半径方向外側の端部である。
【0052】
ここで、拡大傾斜角度θ3は、距離Lと動翼24aの外径Dとの比(L/D)によらず、次の式(2)の関係を満たすことが好ましい。
0<拡大傾斜角度θ3≦拡大傾斜角度θ1+5 …式(2)
なお、上記関係式の単位は、度である。
【0053】
拡大傾斜角度θ3をこの範囲内に設定することで、ダイアフラム外輪26aの内面70に沿って流れてきた蒸気は、内面110通過後、内面70の拡大傾斜角度θ1を有して流れる。すなわち、ダイアフラム外輪26aの内面70に沿って流れてきた蒸気は、環状ディフューザ60の入口においても、内面70の拡大傾斜角度θ1を有して流れる。そのため、最終のタービン段落を通過した蒸気が環状ディフューザ60内に流入する際、蒸気は、剥離することなく、スチームガイド40の内面80に沿って流れる。そして、その流れは、環状ディフューザ60によって減速される。これによって、
図2に示した構成における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、上記した実施の形態では、蒸気タービン10として、下方排気型の排気室を備えた複流排気型の低圧タービンを例示して説明したが、本実施の形態は、例えば、単流形の低圧タービンに適用することもできる。
【0055】
(ディフューザ性能の評価)
ここでは、「距離Lと動翼24aの外径Dとの比(L/D)」と「拡大傾斜角度θ1−拡大傾斜角度θ2」との関係から、剥離損失、曲がり損失が発生する条件を検討した。
【0056】
ここで、評価する蒸気タービンのモデルとして、
図2に示した構成を採用した。すなわち、動翼24aの周囲の、ダイアフラム外輪26aの内面110を、
図2に示すように、タービンロータ軸方向に水平とした。
【0057】
図4は、(L/D)と「θ1−θ2」との関係から、剥離損失、曲がり損失が発生する領域を求めた結果示す図である。なお、
図4は、数値解析によって求められた結果である。
【0058】
図4において、直線Lは、複数の異なる(L/D)の条件において、「θ1−θ2」を変化させたときに、曲がり損失がなくなる境界の「θ1−θ2」の角度をプロットして、近似した直線である。この直線よりも上方、すなわち「θ1−θ2」が大きい条件で曲がり損失が発生する。換言すれば、この直線上および直線よりも下方では、曲がり損失は発生しない。この直線Lは、「θ1−θ2=40(L/D)−4」の関係式で示される。
【0059】
直線Mは、複数の異なる(L/D)の条件において、「θ1−θ2」を変化させたときに、剥離損失がなくなる境界の「θ1−θ2」の角度をプロットして、近似した直線である。この直線よりも下方、すなわち「θ1−θ2」が小さい条件で剥離損失が発生する。換言すれば、この直線上および直線よりも上方では、剥離損失は発生しない。この直線Mは、「θ1−θ2=0」で示される。
【0060】
なお、(L/D)の範囲は、前述したように0.2以上0.6以下とし、その範囲で、剥離損失、曲がり損失が発生する条件を評価した。
図4において、剥離損失および曲がり損失の双方が発生しない領域は、斜線で示されている。
【0061】
図4に示すように、(L/D)が0.2以上0.6以下の範囲において、直線Lと直線Mとによって囲まれる範囲では、剥離損失および曲がり損失の双方が発生しないことがわかる。この範囲は、式(1)の関係を満たす範囲である。
【0062】
このように、直線Lと直線Mとによって囲まれる範囲では、剥離損失および曲げ損失が発生しないため、優れたディフューザ性能を有する環状ディフューザ60を構成することができる。
【0063】
以上説明した実施形態によれば、排気室における流れの剥離を抑制し、圧力損失を低減することが可能となる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。