【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の聴力検査装置の一実施例であり、外観図である。
図2は、本発明の聴力検査装置のブロック図の一実施例である。
図3は、本発明の聴力検査装置の一実施例であり、請求項1及び2にかかるの操作パネル6の説明図である。
図4は、本発明の聴力検査装置の一実施例であり、請求項1及び2にかかる保持部及び操作ボタンの説明図である。
図4(a)は保持部及び操作ボタンを説明するための斜視図であり、
図4(b)はその側面図である。
図5は、特許文献1に記載の従来の聴力検査装置の外観図である。ここで、
図5(a)は一般的な聴力検査の一実施例であり、外観図であり、
図5(b)は一般的な聴力検査であり被検者が防音室に入った場合の一実施例である。
図6は、従来の聴力検査装置の一実施例である。ここで、
図6(a)は従来の聴力検査装置の外観図であり、
図6(b)は従来の聴力検査装置の操作パネルの説明図である。
【0026】
本発明の請求項1に係る聴力検査装置について、その一実施例の構成を
図1に示す。
聴力検査装置は、
図1の外観図において、本体1、ヘッドフォン2、ケーブル3、応答スイッチ4からなる。このうち本体1には、操作パネル6が含まれ、操作パネル6には、操作部及び表示部を設ける。また、本体には周囲環境が聴力検査に適した環境か否かを確認できるよう騒音モニタ7を設ける。ヘッドフォン2はケーブル3を用いて本体1と接続して使用する。応答スイッチ4も同様に本体1と接続して使用する。
被検者はヘッドフォン2を装着し、応答スイッチ4を手で持つ。
操作者は操作パネル6を操作し、被検者に検査音を聞かせ、被検者は聞こえたか否かを応答スイッチ4を押すことによって反応し、操作者に聞こえたか否かの応答をする。
【0027】
図1にかかる聴力検査装置の動作を
図2のブロック図と併せて説明する。
本体1には制御部が内蔵されており、制御部は、CPU、正弦波発振器、聴力レベル切替器、断続器、左右切替器からなる。また、操作パネル6に設けられた操作部と表示部は制御部のCPUから電気信号の送受によって動作する。騒音モニタ7は、小型マイクロフォンが使用され本体1の
図1の指示位置に開口部を設け面させて本体1の内部に内蔵させる。なお、小型マイクロフォンは汎用のマイクロフォンでも使用可能であるが、より性能を必要とする場合は、無指向性で感度の良いマイクロフォンを使用することも可能である。
一方、ヘッドフォン2に用いるイヤフォン5a、5bは一定の規格に適合した精度の良いイヤフォンを使用する。聴力レベルはイヤフォンの性能に左右される場合があり、イヤフォンが異なる性能を有する場合、特別に調整をしなければならず、イヤフォンの性能がバラついたままであったり、本体とイヤフォンの整合が上手く合っておらず、調整が不備であったりすると、決められた範囲内に聴力レベルが入らないため、適正な聴力検査を実施することができない。
【0028】
操作者は、本体1の操作パネル6の操作部から本体の設定を行い、操作部により入力された設定情報が電気信号として本体1に内蔵するCPUに送られ、それら設定情報に応じた検査音の周波数、聴力レベル、被検者の耳の左右切替にかかる設定情報が、CPUにより正弦波発信器、聴力レベル切替器、左右切替器に送られ各々が設定情報に基づき設定される。
その後、検査音を発信させるための電気信号を操作部からCPUに送ることで、断続器により検査音を発生させるための電気信号がケーブル3に送られ、ヘッドフォン2の右イヤフォン5a又は左イヤフォン5bへ送られる。
被検者は、検査音が右イヤフォン5a又は左イヤフォン5bの何れかから聞こえると応答スイッチ4を押して反応する。応答スイッチ4を押すことで電気信号が応答スイッチ4から本体のCPUへ送られ、操作パネル6の表示部にその応答が表示される。
ここで、近年の電気電子機器の技術進歩により基板の薄厚化、実装部品の小型化、及び実装密度の高密度化により、聴力検査装置を構成する部品において必要とする基板の薄厚化、小型化及び軽量化を図ることができ、同様に周辺部材も薄膜化、小型化及び軽量化が図ることができる。
【0029】
したがって、本体1の形状は、内蔵する部品の制約なく自由なデザインができるようになった。
しかし、本体形状はその使用形態においては、極端に小型にしたり軽量にしたりする必然性はなく、拡販にかかるコスト面の観点から、経済的に適当な大きさとすべきであり、また操作者の取り扱いにかかる、使い易さ、破損、紛失、落下等の観点からも、適当な大きさとすべきである。
ここで、適当な大きさ、重量とは、両手で同時使用をする装置である場合は、用紙サイズに例えるとおよそA4乃至A7の大きさの範囲であって、およそ50g乃至400gの重量の範囲と想定できる。この範囲の中で、必要とする機能とデザインに合わせた大きさ重量を決めて本体の設計をする。
【0030】
図4に必要とする機能とデザインを有する形状の一実施例を示す。
ここでは、必要とする機能として、両手で保持及び操作することができ、且つ携帯可能な機能・デザインを選択した。
図4(b)に示すとおり、本体底部の空間は削ぎ落とし、手に保持し易いように41のグリップ構造Aの膨らみを
図4(b)の左側部分(本体使用時の前面部分)の底部に設け、且つ
図4(b)の右側部分(本体使用時の後面部分)に行くほど本体の厚みが薄くなるように本体形状を設ける。操作者が保持する場合は、手のひらを上に向けるように本体1を保持し、本体1の底面を親指以外の4本の指で支えるように保持する。なお、この部分は
図4(b)の右側に設けた脚部と共に卓上型として使用する際の対となる脚部も兼用している。
【0031】
図4(a)に示す43の位置に凸型のR形状を有するグリップ構造Cを設け、この部分を手で被うようにして本体を保持すると程よい保持具合が発生する。また、
図4(a)に示す42の部分に操作パネル6に対し一段上げた段差を設け、且つ凹型のR形状のグリップ構造Bを設けることで、手のひらの親指の付け根部分がこの部分に自然に引っ掛かり、親指によってつかまなくても、本体1を容易に支えることが可能となる。
【0032】
したがって、片手であっても安定して本体1を保持することが可能となるため、安定して本体を保持することができ、その状態を長時間維持することもできることから、静かな場所であればどこでも持ち込んで聴力検査を実施することが可能になる。ここで、静かな場所であるかどうかは、環境騒音モニタ7から得られた情報が環境騒音表示部24に表示されることで確認する。
【0033】
次に、本発明の操作部及び操作パネル6について説明する。
従来は、
図6(b)に示すように設定項目毎に操作ボタンをグループ分けしていたため、選別聴力検査をする際、選別選択ボタン51、左右切替ボタン52を押した後、左右検査音発信ボタン53を押してようやく被検者に検査音が聞こえる手順であった。操作者は有識者を対象としているため、また、特に難解な操作を必要としない簡便な検査であったこともあり、これまで聴力検査装置における操作者に対する配慮は特段払われていなかったからである。
しかし、選別検査など有識者ではない者が使用する場合もあり、さらなる簡便な操作パネル6が求められていた。
そこで、聴力検査中の一の検査にかかる一連の複数の設定項目を一の操作ボタンの操作に集約させた操作ボタンを設け、一の検査が複数ある場合は、その検査項目毎に一の操作ボタンを設けることとした。
【0034】
図3に本発明の操作部及び操作パネル6の一実施例を示す。
従来の
図6(b)に示した操作パネル6と比較すると、記載している項目は同じであり、特に新たな検査項目は追加していない。検査項目自体は、従来と全く同じであるからである。なお、本体の主電源21は
図6(b)の場合は本体の後面に設けているところ、
図3では、操作パネル6に設けている。
また、
図3に記載する環境騒音表示部24については、従来の機器にも存在しており、
図6(b)は単にその機能を内蔵していないタイプの操作パネル6であるため、当該表示部は設けられていない。
また、聴力検査装置は、二人以上の複数の被検者に対し同時に聴力検査を行うこともできる。
図3に示す操作パネル6は一人用の一例であり、
図6(b)に示す操作パネル6は二人用の一例である。かかる場合は、操作パネル6に応答表示部23を人数分設け、ヘッドフォン2及びヘッドフォン2を接続する部分も人数分設ける。
聴力検査においては、被検者と対面しながら検査することが多いことを考慮し、被検者の検査する右左の耳と同じ側になるよう、操作パネル6の右半分に被検者の左イヤフォン5bに対する操作ボタンを配し、操作パネル6の左半分に被検者の右イヤフォン5aに対する操作ボタンを配した。また、誤操作防止のために視覚的に右イヤフォン5aの色と操作パネル6の右操作ボタンを同色とし、左イヤフォン5bの色と操作パネル6の左操作ボタンを同色とし右とは異なる色を用いて、左右の区別をする。
【0035】
選別聴力検査において頻度の高い「1000Hz」、「4000Hz」と記載した検査音発信ボタン35a、35bの配置は、操作者が押し易いよう手前に設ける。ここで検査発信ボタンは3種類存在する。「1000Hz」と記載した検査音発信ボタンは、検査音の周波数1000Hz、聴力レベル30dBが既に設定されている。「4000Hz」と記載した検査音発信ボタンは、検査音の周波数4000Hz、聴力レベル25dB、30dB、40dBのうち何れかが既に設定されている。これらの初期設定は操作パネル6の操作によって設定する。4000Hzについて聴力レベルが複数種類存在するのは、聴力検査において、学校保健法に基づく健康診断時に使用する25dB、一般健康診断において雇い入れ検査時に使用する30dB、一般健康診断においてその他の定期検査時に使用する40dBとする規定に合わせたためである。「検査音」と記載した検査音発信ボタンは、操作パネル6上部に位置する周波数設定ボタン33、聴力レベル設定ボタン34を操作し、周波数表示部31、聴力レベル表示部32に表示された検査音を発信させる時に使用する。選別聴力検査以外の健康診断において様々な周波数と聴力レベルを使った聴力検査に対応させたものである。周波数及び聴力レベルは、JISにて規定されており、周波数は125乃至8000Hz、0乃至120dBまでの範囲で聴力検査装置の各タイプに応じて自由に設定できるようにする。また、検査音を発信する前に確認のため、確認音を発信し装置動作の確認及び被検者の事前確認を実施するために確認音発信ボタン22a、22bを設けた。
【0036】
検査音発信ボタン35a、35bを押せば、既に設定されている検査音がヘッドフォン2に発信され、事前の本体設定をすることなく操作ボタン35a、35bを一度押すだけで被検者のヘッドフォン2に既に設定された検査音が発信される。発信された際には、検査音設定表示部36a、36bが表示され、適正にヘッドフォン2に検査音が発生したことが目視で確認できる。その後、被検者が応答スイッチ4を押しその応答した結果が応答表示部23に表示されることで、操作者は、被検者が聞こえたか否かの判断をする。
【0037】
したがって、従来より本体を設定する手順が2つ省略され、操作ボタンを選ぶ行為自体が本体設定する行為になるため、手順の省略化、操作の簡便化、誤操作の防止、操作性の向上につながり、簡単な説明で聴力検査装置を操作することが可能になり、いつでも誰でも聴力検査を実施することが可能になる。