特許第6334294号(P6334294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334294既設トンネル用プロテクタの設置方法及びその撤去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334294
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】既設トンネル用プロテクタの設置方法及びその撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E21F 11/00 20060101AFI20180521BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20180521BHJP
   E21D 19/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   E21F11/00
   E21D11/00 Z
   E21D19/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-137122(P2014-137122)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-14275(P2016-14275A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154565
【氏名又は名称】株式会社福田組
(74)【代理人】
【識別番号】100140394
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 康次
(72)【発明者】
【氏名】浅妻 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】椎谷 成孝
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−295198(JP,A)
【文献】 特開平11−324599(JP,A)
【文献】 特開2011−256583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 11/00
E21D 11/00
E21D 19/00
E21D 23/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設トンネルから一般道路を介して離れた製造工場にて、プロテクタを組み立てる組立ステップと、
前記工場内又は近郊に汎用大型車両を搬入する搬入ステップと、
前記プロテクタを積載可能な専用架台を前記車両に搭載する搭載ステップと、
前記プロテクタを前記専用架台上に積載する積載ステップと、
前記汎用大型車両を用いて前記工場から前記既設トンネルへ前記プロテクタを運搬する運搬ステップと、
前記トンネルの所望位置にて前記プロテクタを設置する設置ステップと、
を備えた既設トンネル用プロテクタの設置方法であって、かつ、
前記組立ステップでは、前記プロテクタの寸法が前記車両の積載許容範囲に収まるように該プロテクタを組み立て
前記組立ステップでは、変形自在又は着脱自在に構成されかつ前記プロテクタの高さを調節可能な寸法調節部を前記プロテクタの側部に設け、
前記積載ステップでは、前記プロテクタを前記車両の積載許容範囲内に積載可能な第1状態に置くよう前記寸法調節部を操作し、
前記設置ステップでは、前記プロテクタを前記トンネルに施工される第2状態に置くよう、前記寸法調節部を操作しかつ前記専用架台上で前記プロテクタの姿勢を変更し、
前記組立ステップでは、前記プロテクタの奥行きを幅よりも小さくし、かつ、該奥行き、該幅、前記寸法調節部によって縮小された状態の前記高さ、及び重量がそれぞれ、前記汎用大型車両が許容する積載幅、積載長さ、積載高さ、及び積載重量以下になるよう前記プロテクタを製造し、
前記搭載ステップでは、前記プロテクタを保持しながら回動可能な回動機構が設けられた専用架台を搭載し、
前記積載ステップでは、前記寸法調節部の操作により前記側部の高さを縮小しかつ前記側部を前記車両の進行方向前後に配置することで第1状態を形成し、
前記設置ステップでは、前記専用架台の前記回動機構を用いて第1状態の前記プロテクタを水平方向に回転させて前記側部を前記車両の左右に配置し、かつ、前記寸法調節部の操作により前記側部の高さを伸展することで第2状態を形成することを特徴とする設置方法。
【請求項2】
前記搭載ステップでは、前記回動機構が複数設けられるとともに、前記回動機構の離間距離を調節可能なスライド機構がさらに設けられた専用架台を搭載し、
前記積載ステップでは前記専用架台に前記プロテクタを複数積載し、かつ、
前記設置ステップでは前記スライド機構を操作して前記回動機構に積載された前記プロテクタ同士が近づくように離間距離を縮めることを特徴とする請求項に記載の設置方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の設置方法で既設トンネルに設置されたプロテクタを、汎用大型車両を用いて前記トンネル外へ運搬する運搬ステップを備えることを特徴とした既設トンネル用プロテクタの撤去方法。
【請求項4】
既設トンネルに設置された請求項に記載のプロテクタを、請求項又は請求項に記載の専用架台を用いて、設置された状態から汎用大型車両に積載可能な第1状態に置き、該車両を用いて前記トンネル外へ運搬する運搬ステップを備えることを特徴とした既設トンネル用プロテクタの撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設トンネル用プロテクタの設置方法及びその撤去方法に関し、特に、設置するプロテクタの品質・安全性を高めるとともに、プロテクタを運搬・設置する為の全面通行止めの時間を最短とすることができる既設トンネル用プロテクタの設置方法及びその撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設トンネルを拡幅して新設のトンネルを施工する工事において、迂回路が確保できない場合に、既設トンネル内にプロテクタを設置して一般車両の通行を確保する措置が通常取られる。プロテクタは、一般に、天板部と、この天板部の両端から下方に延びた側部と、を備え、車両通行方向の断面が「コの字(コの開口部が下向き)」の形状を成す。また、従来のプロテクタの寸法として、開口部を画定する縦×横(幅)の寸法が約4m×約3.5m、長さ(奥行き)が6m程度のものが多い。一方、トンネル内の工事区間は、プロテクタの長さ(奥行き)より通常長いため、同寸法のプロテクタを車両通行方向に何個か連結して施工されることが多い(例えば、特許文献1〜3)。なお、プロテクタは、このプロテクタに要求される剛性や強度を確保するため、通常、鋼板等の金属製板材で作られる。
【0003】
従来のプロテクタの施工では、特許文献1の段落〔0007〕に記載のように、一般に、既設トンネル近くの組立ヤードにてクレーン等を用いてプロテクタを組立て・仮置きし、その後、順次、工事区間の所定位置まで運搬して本設置する。
【0004】
なお、組立ヤードから設置場所までの運搬においては、プロテクタの上記寸法や重量の点から、道路交通法に適合した汎用大型車両(例えば、10トン用トラック)を利用することは出来ない。具体的には、従来のプロテクタでは、その重量が該車両の積載許容重量を超えてしまうだけでなく、その寸法が積載許容寸法よりも遥かに大きくなる。つまり、従来のプロテクタは、汎用大型車両に対して重量超過及び寸法超過となるため、トレーラ、フォークリフト等の大型特殊車両を利用しなければならない。
【0005】
(交通規制期間の長期化の問題)
そうすると、従来の設置方法では、一つ一つのプロテクタを運搬・設置する期間は一般車両を全面通行止めにしておかなければならず、結局、交通規制期間を大幅に短縮することが難しい。
【0006】
(組立ヤード確保の問題)
また、従来の設置方法では、工事現場の近隣にプロテクタを組立て・仮置きするために十分な広さの組立ヤードを確保する必要があるが、現場近くの地形等の制約によっては、その確保が困難な場合もある。
【0007】
(プロテクタの品質・安全性への危惧)
さらに、トンネル現場近くの組立ヤードは、往々にして、正確・精密な製造に適した環境下に置かれていないため、そこで組み立てられるプロテクタは品質や安全性が低いとの懸念が拭いきれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−324599号公報
【特許文献2】特開2003−269073号公報
【特許文献3】特開2007−217927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、プロテクタ施工に係る全面通行止めの時間を最短とすることができる既設トンネル用プロテクタの設置方法及びその撤去方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明のもう一つの目的は、プロテクタ施工の為に広大な組立ヤードを確保する必要がない既設トンネル用プロテクタの設置方法を提供することである。
【0011】
さらに、本発明のもう一つの目的は、プロテクタの品質や安全性の向上に寄与する既設トンネル用プロテクタの設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の末、従来の組立ヤードでの組立て・仮置きの工程を排除し、専ら製造工場でプロテクタを製造して製造工場から直接、トンネル工事区間の設置場所へ運搬することに着眼し、この運搬方法に適合可能なプロテクタや専用架台の構造に想到し、この方法によれば、交通規制期間の短縮、組立ヤード確保、プロテクタの品質・安全性への要請など、従来の方法での問題を一気に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明では、例えば、次の構成・特徴を採用する。
(態様1)
既設トンネルから一般道路を介して離れた製造工場にて、プロテクタを組み立てる組立ステップと、
前記工場内又は近郊に汎用大型車両を搬入する搬入ステップと、
前記プロテクタを積載可能な専用架台を前記車両に搭載する搭載ステップと、
前記プロテクタを前記専用架台上に積載する積載ステップと、
前記汎用大型車両を用いて前記工場から前記既設トンネルへ前記プロテクタを運搬する運搬ステップと、
前記トンネルの所望位置にて前記プロテクタを設置する設置ステップと、
を備えた既設トンネル用プロテクタの設置方法であって、かつ、
前記組立ステップでは、前記プロテクタの寸法が前記車両の積載許容範囲に収まるように該プロテクタを組み立て
前記組立ステップでは、変形自在又は着脱自在に構成されかつ前記プロテクタの高さを調節可能な寸法調節部を前記プロテクタの側部に設け、
前記積載ステップでは、前記プロテクタを前記車両の積載許容範囲内に積載可能な第1状態に置くよう前記寸法調節部を操作し、
前記設置ステップでは、前記プロテクタを前記トンネルに施工される第2状態に置くよう、前記寸法調節部を操作しかつ前記専用架台上で前記プロテクタの姿勢を変更し、
前記組立ステップでは、前記プロテクタの奥行きを幅よりも小さくし、かつ、該奥行き、該幅、前記寸法調節部によって縮小された状態の前記高さ、及び重量がそれぞれ、前記汎用大型車両が許容する積載幅、積載長さ、積載高さ、及び積載重量以下になるよう前記プロテクタを製造し、
前記搭載ステップでは、前記プロテクタを保持しながら回動可能な回動機構が設けられた専用架台を搭載し、
前記積載ステップでは、前記寸法調節部の操作により前記側部の高さを縮小しかつ前記側部を前記車両の進行方向前後に配置することで第1状態を形成し、
前記設置ステップでは、前記専用架台の前記回動機構を用いて第1状態の前記プロテクタを水平方向に回転させて前記側部を前記車両の左右に配置し、かつ、前記寸法調節部の操作により前記側部の高さを伸展することで第2状態を形成することを特徴とする設置方法。
(態様2)
前記搭載ステップでは、前記回動機構が複数設けられるとともに、前記回動機構の離間距離を調節可能なスライド機構がさらに設けられた専用架台を搭載し、
前記積載ステップでは前記専用架台に前記プロテクタを複数積載し、かつ、
前記設置ステップでは前記スライド機構を操作して前記回動機構に積載された前記プロテクタ同士が近づくように離間距離を縮めることを特徴とする態様に記載の設置方法。
(態様3)
態様1又は態様2に記載の設置方法で既設トンネルに設置されたプロテクタを、汎用大型車両を用いて前記トンネル外へ運搬する運搬ステップを備えることを特徴とした既設トンネル用プロテクタの撤去方法。
(態様4)
既設トンネルに設置された態様に記載のプロテクタを、態様又は態様に記載の専用架台を用いて、設置された状態から汎用大型車両に積載可能な第1状態に置き、該車両を用いて前記トンネル外へ運搬する運搬ステップを備えることを特徴とした既設トンネル用プロテクタの撤去方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の設置方法によれば、工場にてプロテクタを製造し、これを直接、既設トンネルの現場まで運搬させることができるため、従来の方法で必要であった組立ヤードを現場近くに確保する必要がなく、該ヤードでの組立作業の為のクレーン等の重機も不要となる。
【0015】
また、本発明の方法で運搬・施工されるプロテクタは製造条件や製造環境が管理・徹底され易い工場にて製造されるため、従来の方法で製造されるものよりも品質・精度の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明の方法によれば、プロテクタの運搬に、通行許可申請を行わずに一般道路を走行できる汎用大型車両を利用でき、従来の方法で利用しなければならなかったトレーラ、フォークリフト等の大型特殊車両を利用する必要が無いため、プロテクタの運搬期間は一般車両を全面通行止めにする必要が無く、交通規制期間を大幅に短縮することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の設置方法の各ステップを示すフローチャートである。
図2】本発明の設置方法の各ステップの概要及び流れを三次元的に示した図である。
図3】本発明の設置方法の各ステップの概要及び流れを二次元的に示した図である。
図4】本発明の設置方法の各ステップの概要及び流れを二次元的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
(本発明の方法に係るフローチャート)
先ず、図1のフローチャートを参照しながら本発明の設置方法の各ステップS1〜S6を詳細に説明する。また、図2は本発明の設置方法の各ステップの概要及び流れを三次元的に示した図である。図3及び4は本発明の設置方法の各ステップの概要及び流れを二次元的に示した図である。なお、これらの図では、一回の方法の処理で、2台のプロテクタ1,1を積載・運搬・設置した例を示しているが、その台数は1台でも3台以上でも構わない。もちろん、その台数が多い程、運搬効率は飛躍的に向上する。
【0020】
(組立ステップ S1)
先ず、本発明の最初のステップとして、既設トンネル5から一般道路(図示せず)を介して離れた製造工場(図示せず)にて、変形自在又は着脱自在な寸法調節部11を有したプロテクタ1を組み立てる(組立ステップS1 図1参照)。このステップS1の実行により、従来の方法で必要であった組立ヤード(図示せず)を現場近くに確保する必要がなく、そのヤードで組立作業の為のクレーン等の重機も不要となる。また、本発明のプロテクタ1は製造条件や製造環境が管理・徹底され易い工場にて製造されるため、従来の方法で製造されるものよりも品質・精度の向上を図ることができる。
【0021】
(好適なプロテクタの構造)
次に、この組立ステップS1で製造され、かつ、その後の運搬に適したプロテクタ1について説明する。プロテクタ1は、天板部12と、この天板部12を挟んで設けられた一対の側部13,13とを備える。ここで、(1)寸法調節部11をプロテクタ1の側部13,13に設けることがさらに好ましい。図2図4に示す例では、寸法調節部11は、側部13,13が高さ方向の上下に分割され、その分割位置に、下部材14を上部材15に向けて折り曲げ(折り畳み)可能なヒンジ(図示せず)及び固定手段(図示せず)が設けられている。これにより、側部13,13の高さを変更(短縮又は伸展)した状態を作り出すことができる。なお、寸法調節部11は、図示のヒンジ構造に限定されず、その他の公知の構造で代替してもよい。例えば、側部13,13の長さが上下に短縮及び伸展可能にスライドでき各状態で固定できるスライド構造(図示せず)を寸法調節部として採用してもよいし、側部13,13の下部材14を着脱・固定できる接続機構(図示せず)を採用してもよい。
【0022】
(好適なプロテクタの寸法)
また、上記構造を有した本発明のプロテクタ1の寸法は、一時的又は恒久的に、汎用大型車両2の積載許容寸法以内に入ることが好ましい。より好ましくは、(2)プロテクタ1の奥行きDpを幅Wpよりも小さくし(例えば、図2(b)の例では幅Wpが4.5mに対して奥行きDpが2.35m)、かつ、(3)奥行きDp及び幅Wpをそれぞれ、汎用大型車両2の積載幅Wc及び積載長さLc以下にすること(汎用大型車両2が15t積載用トラックの場合を例にとると、その積載幅Wcは2.35mであるからプロテクタ1の奥行きDp2.35mはWcと同じであり、一方、その積載長さLcは9.6mであるからプロテクタ1の幅Wp4.5mはLcより遥かに小さい)、(4)プロテクタ1が専用架台3に搭載された際にその側部13,13の高さHpが汎用大型車両2の積載高さHc2.6m以下(車両積載状態で地上高さ3.8m以下)に変形(縮小)できることが好ましい。このように組立て・寸法取りすることで、後述のステップS4〜S6にてプロテクタ1の好適な積載・運搬・設置を実現できる。
【0023】
(汎用大型車両の搬入ステップ S2)
次に、この工場内又は近郊に汎用大型車両2を搬入する(搬入ステップS2)。汎用大型車両2の例としては、積載許容重量が10トン用や15トン用の大型トラックが挙げられるが、道路交通法の一般道路の通行基準を順守しながらプロテクタ1を工場から既設トンネル5の現場まで運搬できる車両であれば、上記例示に必ずしも限定されない。
【0024】
(専用架台の搭載ステップ S3)
次に、図2(a)及び図3(a)に示すように、プロテクタ1を積載可能な専用架台3を汎用大型車両2に搭載する(搭載ステップS3)。ここで、専用架台3にはプロテクタ1を保持しながら上下に昇降できる昇降機構31を備えることが好ましい。専用架台3は、プロテクタ1を水平に回転可能な回動機構32が設けられていることがさらに好ましい。加えて、この専用架台3が複数設けられるとともに、専用架台3,3同士の離間距離を調節可能なスライド機構33がさらに設けられることがさらに好ましい。これにより、後述のステップS4〜S6でプロテクタ1の好適な積載(姿勢変更を含む。)・運搬・設置を実現できる。なお、図示のスライド機構33は、専用架台3の下面に設置された複数の車輪と、これらの車輪を受けて車両2の前後方向に案内するレールによって構成された例を示すが、この構成は一例に過ぎず、これに限定されない。専用架台3を上記前後方向に摺動・移動させる公知の移動手段を採用しても良く、例えば、プロテクタ1を磁気浮上させて移動させるようにしても良い。
【0025】
(プロテクタの積載ステップ S4)
次に、汎用大型車両2上の専用架台3にプロテクタ1を積載する(積載ステップS4)。この積載ステップS4では、プロテクタ1を汎用大型車両2の積載許容範囲内に積載可能な第1状態P1に置くよう寸法調節部11を操作する。例えば、寸法調節部11の操作(折り畳み)により、図2(b)及び図3(b)に示すように、側部13,13の高さHpが汎用大型車両2の積載高さHc以下になるよう一時的に縮小されかつこれらの側部13,13が汎用大型車両2の進行方向の前後に配置された状態を第1状態P1とすることが好ましい。これにより、汎用大型車両2の積載許容空間内にプロテクタ1を好適に配置することができる。
【0026】
(プロテクタの運搬ステップ S5)
汎用大型車両2を用いて、上述の第1状態P1にあるプロテクタ1を製造工場から既設トンネル5まで運搬する(運搬ステップS5)。これにより、プロテクタ1の運搬に汎用大型車両2を利用でき、従来の設置方法で利用しなければならなかったトレーラ、フォークリフト等の大型特殊車両を利用する必要が無いため、プロテクタ1の運搬期間は一般車両を全面通行止めにする必要が無く、交通規制期間を大幅に短縮することができるようになる。
【0027】
(既設トンネルの現場でのプロテクタの設置ステップ S6)
次に、汎用大型車両2が既設トンネル5の現場に到着したら、現場の所望位置にプロテクタ1を設置する(設置ステップS6)。この設置ステップS6では、プロテクタ1を既設トンネル5に施工される状態(第2状態P2)に置くよう寸法調節部11を操作することに留意されたい。つまり、第1状態P1ではプロテクタ1が汎用大型車両2での運搬に適するように折り畳まれていたが、第2状態P2ではプロテクタ1が実際の施工に適した状態に変形される。
【0028】
(プロテクタの水平回転及び伸展ステップ S6−1及びS6−2)
この設置ステップS6では、好ましくは、図2(c)及び図3(c)に示すように、専用架台3の回動機構32を用いて第1状態P1のプロテクタ1を水平方向に回転(さらに好ましくは90°回転)させる(水平回転ステップS6−1)。つまり、側部13,13が汎用大型車両2の左右両側に配置された状態になる。そして、寸法調節部11を操作して、図2(d)及び図3(d)に示すように、側部13,13の高さが伸展された状態(第2状態P2)にする(伸展ステップS6−2)。これにより、汎用大型車両2を前後進させるなどの単純な操作だけで、既設トンネル5の現場の所望位置へプロテクタ1を高精度に及び効率良く設置させ易くなる。
【0029】
(隣接プロテクタの接続ステップ S6−3)
さらに、複数の専用架台3,3及びスライド機構33が好適に設けられていた場合、積載ステップS4にてプロテクタ1,1を複数積載し、かつ、設置ステップS6ではこのスライド機構33を操作してプロテクタ1,1同士が近づくように離間距離を縮めることが好ましい(接続ステップS6−3)。具体的には、図3及び図4の例では、積載ステップS4での専用架台3,3のピッチPtを5mに設定してプロテクタ1,1同士を離し(図3(b)及び(c)参照)、この接続ステップS6−3において専用架台3,3のピッチPtを2.35mまで近づけ、水平回転後のプロテクタ1,1同士を接続する(図2(e)及び図4(a)参照)。
【0030】
(プロテクタの昇降ステップ S6−4)
その後、一体になったプロテクタ1,1を地面上に昇降(図示の例では下降)させる(昇降ステップS6−4 図4(b)参照)。この昇降ステップS6−4を終えプロテクタ1,1を地面に設置した汎用大型車両2は現場を去り(図4(c)参照)、この車両2又は同様の車両2が上記ステップS2〜S6−4を繰り返す。このようにして、既設トンネル5の防護に必要な台数からなるプロテクタ1が現場に連続して設置されることになる(図4(d)参照)。
【0031】
なお、図4の例では、ステップS6−4において隣り合うプロテクタ1,1を下降させる際に、プロテクタ1,1の下端を地面上に直接下ろさずに、レール上を走行する台車に載せるようにしている。これにより、車両2が既設トンネル5内に入ることが出来ず、かつ、車両2の停車位置から既設トンネル5内の設置位置までの距離が長い場合でも、容易かつ迅速にプロテクタ1,1を移動させることができる。一方、図2の例では、プロテクタ1,1を直接、地面に下ろした例を示す。この場合は、プロテクタ1,1の運搬・設置の為に、レール等の追加部材を用意する必要が無い。従って、現場の状況に適宜併せて、プロテクタ1,1の下降・設置方法を選択すれば良い。
【0032】
これにより、図2図4に示すが如く、本発明の方法により同時運搬された複数のプロテクタ1,1が接続され、これらが一体になった状態で一度に設置を完了することができ、設置時間及び一般車両8の全面通行止め期間を飛躍的に短縮することが可能になる。
【実施例2】
【0033】
(既設トンネル用プロテクタの撤去方法)
次に、本発明の既設トンネル用プロテクタ1の撤去方法についても説明する。
【0034】
これまで本発明の設置方法を詳しく説明してきたが、既設トンネル内に設置されてその役目を終えたプロテクタ1をトンネル5外へ撤去する際にも、汎用大型車両2を利用して運搬するようにしてもよい。これにより、設置時のみならず撤去時においても全面通行止めの時間を短縮することができる。
【0035】
例えば、上述の設置方法で既設トンネル5に設置されたプロテクタ1を、汎用大型車両2を用いてトンネル5外へ運搬する運搬ステップを備えるようにしてもよい。さらに好ましくは、トンネル5に設置されたプロテクタ1を、上述の専用架台3を用いて、トンネル設置状態から汎用大型車両2に積載可能な第1状態P1に置き、該車両2を用いてトンネル5外へ運搬する運搬ステップを備えるようにしてもよい。
【0036】
なお、本発明の撤去方法を用いて既設トンネル5から撤去されるプロテクタ1は、変形又は着脱自在に構成され、汎用大型車両2の積載許容範囲に収容可能な寸法を有していれば、上述の設置方法にて設置されたものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
日本全土のみならず、世界においても既設トンネルの拡幅工事は絶えず行われており、全面通行止めの短縮への要望は非常に高い。また、既設トンネル近隣の地形によっては工事の為の機材等の設置スペースが十分に確保できない場合も多々ある。
【0038】
本発明は、上述したように、従来の方法で必要であった組立ヤードを現場近くに確保する必要がなく、そのヤードで組立作業の為のクレーン等の重機も不要となる。また、本発明の方法で工場にて製造されるプロテクタは、従来の方法で製造されるものよりも品質・精度の向上を図ることができる。さらに、本発明の方法によれば、プロテクタの運搬に道路交通法の一般道路を交通可能な汎用大型車両を利用でき、プロテクタの施工期間は一般車両を全面通行止めにする必要が無く、交通規制期間を大幅に短縮することができるようになる。従って、本発明の設置方法は、産業上の利用可能性が非常に高い。
【符号の説明】
【0039】
1 プロテクタ
2 汎用大型車両
3 専用架台
31 昇降機構
32 回動機構
33 スライド機構
5 既設トンネル
11 寸法調節部
12 天板部
13 側部
14 下部材
15 上部材
S1 プロテクタの組立ステップ
S2 汎用大型車両の搬入ステップ
S3 専用架台の搭載ステップ
S4 プロテクタの積載ステップ
S5 プロテクタの運搬ステップ
S6 既設トンネルの現場へのプロテクタの設置ステップ
S6−1 プロテクタの水平回転ステップ
S6−2 プロテクタの伸展ステップ
S6−3 プロテクタ同士の接続ステップ
S6−4 プロテクタの昇降ステップ
P1 プロテクタ運搬時のプロテクタの第1状態
P2 プロテクタ運搬時のプロテクタの第2状態
図1
図2
図3
図4