特許第6334297号(P6334297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334297
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】内燃エンジンを作動させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/10 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   F01M11/10 A
   F01M11/10 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-138430(P2014-138430)
(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公開番号】特開2015-25445(P2015-25445A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】10 2013 012 398.4
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ドゥリング
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−113728(JP,A)
【文献】 特表2005−539214(JP,A)
【文献】 特開2008−064007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0139245(US,A1)
【文献】 特開2004−245662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/00−13/06
F02D 41/14
G01N 27/26
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダーを備えた内燃エンジンを作動させるための方法、すなわち、内燃エンジンの個別のアセンブリの、特に個別のシリンダーおよび/またはターボチャージャーのアセンブリ選択的オイル消費量を特定するための方法であって、それに関してアセンブリ選択的オイル消費量特定が実施されることになる前記内燃エンジンの各アセンブリには個別の排気ガスセンサーが割り当てられ、各排気ガスセンサーは、前記内燃エンジンの運転中に、所定の時間にわたって、排気ガスにではなく、基準ガスにさらされ、これに続いて再び排気ガスにさらされ、各排気ガスセンサーに関して、アセンブリ個別センサードリフトが特定され、かつ、全ての排気ガスセンサーの前記アセンブリ個別センサードリフトから、前記あるいは各その他のアセンブリに対して増大したオイル消費量を有するアセンブリあるいはアセンブリ群が特定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
減速カットオフを備えた内燃エンジンを用いて、すなわちそのシリンダー内でコースティングモードにおいて燃料が燃焼させられない内燃エンジンを用いて、前記排気ガスセンサーは、積極的な減速カットオフの間、前記基準ガスにさらされ、前記シリンダーを出て行くチャージエアは基準ガスとして機能し、その酸素含有量は周囲空気の酸素含有量に対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
減速カットオフを備えていない内燃エンジンを用いて、前記排気ガスセンサーは、その中に前記排気ガスセンサーが配置される測定チャンバーが、前記測定チャンバーから排気ガスを押しのける傾向がある基準ガスにさらされるために、前記排気ガスセンサーが排気ガスから遮閉されるように、前記基準ガスにさらされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定チャンバーは、前記基準ガスに周期的にさらされ、その基準ガス圧力は排気ガス圧力よりも高いことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
全ての排気ガスセンサーの前記アセンブリ個別センサードリフトは、基準ガスに対する前記排気ガスセンサーの暴露の間に特定される前記排気ガスセンサーの測定信号が評価されるように特定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
全ての排気ガスセンサーの前記アセンブリ個別センサードリフトは、基準ガスに対する前記排気ガスセンサーの暴露の間に特定された前記排気ガスセンサーの測定信号が基準値と比較されるように特定され、基準値からの前記測定信号のずれは、前記各排気ガスセンサーの前記センサードリフトに対応することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
別なアセンブリの前記排気ガスセンサーと比較して、その排気ガスセンサーが相対的に大きなセンサードリフトを有するアセンブリは、増大したオイル消費量を有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
排気ガスセンサーとして、NOセンサーおよび/またはラムダセンサーが用いられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つのコンプレッサーと、少なくとも一つのタービンとを備えた排気ガス過給デバイスを備えた内燃エンジンを用いて、各タービンのオイル消費量を特定するために、前記タービンの下流側に配置された排気ガスセンサーのセンサードリフトが、そして適用可能な場合には排気ガスタービンの上流側に配置された少なくとも一つのセンサーのドリフトが追加的に特定されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシリンダーを備えた内燃エンジンを作動させるための方法、すなわち内燃エンジンのシリンダーのシリンダー選択的オイル消費量を特定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば船舶用ディーゼル内燃エンジンのような内燃エンジンは、これまで以上に厳しいエミッション限界値を固守しなければならない。エミッション限界値の固守に関連して、内燃エンジンの個々のアセンブリのオイル消費量を特定することが重要である。と言うのは、燃焼あるいは未燃焼状態で内燃エンジンの排気ガス再処理システムの領域に到達するオイルは、たとえば排気ガス再処理システムの触媒コンバーターといったアセンブリにダメージを与え、したがって排気ガスの浄化の品質を損なうことがあるからである。オイルは、例えばリン、亜鉛、カルシウムなどの添加物を含んでおり、これは、排気ガス再処理システムの触媒コンバーターにダメージを引き起こすことがある。特に内燃エンジンの個々のアセンブリのオイル消費量を特定できる場合、これらアセンブリの増大したオイル消費量は、排気ガス再処理システムあるいは内燃エンジンのダメージをこれによって回避するために、例えば適切なメンテナンス対策を開始することによって対抗することができる。
【0003】
今日まで、例えばエンジンオイルタンク内のレベルセンサを満たすことによって、内燃エンジンの総オイル消費量を特定することが慣例から知られているに過ぎない。だが、そうした総オイル消費量の特定では、内燃エンジンの個別のアセンブリに、例えば内燃エンジンの個別のシリンダーにオイル消費量を割り当てることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした実情に鑑みて、本発明は、新規な内燃エンジンを作動させるための方法を提供するという目的に基づくものであり、その助けによって内燃エンジンのシリンダーのシリンダー選択的オイル消費量を特定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の内燃エンジンを作動させるための方法によって解決される。本発明によれば、それに関してシリンダー選択的オイル消費量特定が実施されることになる内燃エンジンの各シリンダーには個別の排気ガスセンサーが割り当てられ、各排気ガスセンサーは、内燃エンジンの運転中に、所定の時間にわたって、排気ガスにではなく、基準ガスにさらされ、これに続いて再び排気ガスにさらされ、各排気ガスセンサーに関して、シリンダー個別センサードリフトが特定され、かつ、全ての排気ガスセンサーのシリンダー個別センサードリフトから、上記あるいは各その他のシリンダーに対して増大したオイル消費量を有する特定のシリンダーあるいは特定のシリンダー群が特定される。本発明によれば、複数のシリンダーを有する内燃エンジンを作動させるための方法が初めて提案され、その助けによって、内燃エンジンの個別のシリンダーのシリンダー選択的オイル消費量が簡単かつ確実な様式で特定できる。特に、内燃エンジンの少なくとも一つのシリンダーにおいて増大したオイル消費が存在するプロセスの間にそれが特定されるならば、各シリンダーのオイル消費量を再び低減し、かつ、内燃エンジンの排気ガス再処理システムの触媒コンバーターの潜在的なダメージを回避するために、各シリンダーにおいてメンテナンスあるいはサービス作業を開始できる。
【0006】
本発明の第1の有利なさらなる展開によれば、排気ガスセンサーは、減速カットオフを備えた内燃エンジンにおいて、すなわちコースティングモードにおいて内燃エンジンのシリンダー内で燃焼が燃焼させられない内燃エンジンにおいて、積極的な減速カットオフの間、基準ガスにさらされ、シリンダーを出て行くチャージエアは基準ガスとして機能し、その酸素含有量は周囲空気の酸素含有量に対応する。
【0007】
本発明の第2の有利なさらなる展開によれば、減速カットオフを備えていない内燃エンジンの排気ガスセンサーは、その中に排気ガスセンサーが配置される測定チャンバーが、測定チャンバーから排気ガスを押しのける傾向がある基準ガスにさらされるために、排気ガスセンサーが排気ガスから遮閉されるように、基準ガスにさらされる。
【0008】
本発明の両方の有利なさらなる展開によれば、減速カットオフを備えた内燃エンジンの、そしてまた減速カットオフを備えていない内燃エンジンの両方の排気ガスセンサーに関して、内燃エンジンのシリンダーの排気ガスセンサーは、各排気ガスセンサーに関するオイル消費量依存センサードリフトを特定するために、そしてこれによって内燃エンジンの別なシリンダーに対する当該シリンダーの相対的なシリンダー選択的オイル消費量となるように、簡単かつ確実な様式で、基準ガスにさらすことができる。
【0009】
好ましくは、全ての排気ガスセンサーのシリンダー個別センサードリフトは、基準ガスに対する排気ガスセンサーの暴露間に特定された排気ガスセンサーの測定信号が評価されるように、特に、基準ガスに対する排気ガスセンサーの暴露間に特定された排気ガスセンサーの測定信号が基準信号と比較されるように、特定され、ここで、基準値からの測定信号のズレは排気ガスセンサーのセンサードリフトに対応し、かつ、その排気ガスセンサーがその他のシリンダーの排気ガスセンサーと比べて相対的に大きなセンサードリフトを有するシリンダーは増大したオイル消費量を有する。この特定あるいは評価は簡単でかつ信頼性が高い。
【0010】
本発明の有利なさらなる展開によれば、NOセンサーおよび/またはラムダセンサーが排気ガスセンサーとして使用される。NOセンサーおよびラムダセンサーとして設計された排気ガスセンサーはオイル添加物に敏感であり、したがって、これらのセンサーは、容易に検出可能なオイル消費量依存センサードリフトを有する。
【0011】
本発明のさらに有利な、さらなる展開によれば、各タービンの下流に位置する排気ガスセンサーのセンサードリフトは、さらに、各タービンのオイル消費量を特定するために、少なくとも一つの排気ガスターボチャージャーを、したがって少なくとも一つのコンプレッサーと少なくとも一つのタービンとを備えた、排気ガス過給デバイスを備えた内燃エンジンにおいて特定される。本発明のこのさらなる展開によれば、過給デバイスのタービンの領域におけるオイル消費量もまた特定することができる。このため、この場合、内燃エンジンのシリンダーのシリンダー選択的オイル消費量に加えて、タービン選択的オイル消費量を特定することも、そして特にタービン選択的オイル消費量が過大である場合に各タービンへのメンテナンス対策を開始することも可能である。
【0012】
本発明の好ましいさらなる展開は、従属請求項および以下の詳細な説明から得られる。本発明の例示的な実施形態について、これに限定されることなく、図面を用いて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る方法を説明するための、複数のシリンダーを有するが排気ガス過給デバイスを持たない内燃エンジンの概略図である。
図2】本発明に係る方法を説明するための、複数のシリンダーを有しかつ排気ガス過給デバイスを有する内燃エンジンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、例えば船舶用ディーゼル内燃エンジンといった内燃エンジンを作動させるための方法、すなわち内燃エンジンのシリンダーのシリンダー選択的またはシリンダー個別オイル消費量を特定するための方法に関する。
【0015】
図1は、非常に概略に、複数のシリンダー11を有する内燃エンジン10を示しており、ここで、図1に示すシリンダー数11の数および図1に示す二つのシリンダーバンクにおけるこれらシリンダー11のルーフィングは全くの単なる例示である。
【0016】
内燃エンジン10のシリンダー11には、チャージエアライン12からのチャージエアを供給することができる。さらに、燃料は、図示しない燃料噴射ノズルまたは燃料インジェクターを介して、シリンダー11内に導入される。燃料の燃焼中、排気ガスが内燃エンジン10のシリンダー11内で生じるが、これは、排気ライン13を介して、内燃エンジン10から排出される。
【0017】
図1によれば、個々の排気ガスセンサー14は、内燃エンジン10のシリンダー11のそれぞれに対して割り当てられる。排気ガスの流動方向に見たとき、各シリンダー11に割り当てられた排気ガスセンサー14は、各シリンダー11の下流でかつ各シリンダー11の排気ポート15の結合ポイント16の上流で排気ライン13に対して割り当てられている。
【0018】
ここで、内燃エンジン10のシリンダー11におけるシリンダー個別あるいはシリンダー選択的オイル消費量特定を確証するために、各排気ガスセンサー14は、内燃エンジンの作動中、所定の時間にわたって、排気ガスにではなく、基準ガスにさらされ、これに続いて、排気ガスにさらされる。
【0019】
各排気ガスセンサーに関して、シリンダー個別センサードリフトが続いて特定されるが、ここで、このシリンダー個別センサードリフトは、内燃エンジン10の各シリンダー11の過去のオイル消費量に依存する。と言うのは、内燃エンジン10のシリンダー11内でのエンジンオイルの燃焼の間、エンジンオイルの添加物は、各排気ガスセンサー14上に堆積し、そのエージングを生じ得るからである。
【0020】
全ての排気ガスセンサー14のシリンダー個別センサードリフトから、上記あるいは各その他のシリンダー11に対して増大したオイル消費量を有するシリンダー11あるいはシリンダー11群が特定される。増大したオイル消費量を有するそうしたシリンダー11に関して、メンテナンス作業あるいはサービス作業を続いて開始できる。
【0021】
特に、内燃エンジン10が減速カットオフを持つ内燃エンジン10である場合、すなわち、そのコースティングモードにおいては内燃エンジン10のシリンダー11に燃料が供給されず、したがってコースティングモードでは内燃エンジン10のシリンダー11内で燃料が燃焼させられない場合、排気ガスセンサー14は、シリンダーを出て行くチャージエアが基準ガスとして作用するため、積極的なカットオフの間、基準ガスにさらされるが、その酸素含有量は、この場合、シリンダー内で燃焼が生じない結果、周囲空気の酸素含有量に対応する。
【0022】
特に、対照的に、内燃エンジン10が減速カットオフを持たない内燃エンジンであるとき、排気ガスセンサー14は、その中に排気ガスセンサーが配置される測定チャンバーが、測定チャンバーから排気ガスを押しのける傾向がある基準ガスにさらされるために、排気ガスセンサー14が排気ガスから遮閉されるように基準ガスにさらすことができる。これに関連して、基準ガス、例えば周囲空気が、この場合には使用され、測定チャンバーからガスを取り除くために、各測定チャンバー内のその基準ガス圧力は排気ガス圧力よりも高い。このプロセスにおいて、測定チャンバーは、所定の時間(この時間内で排気ガスセンサー14のオイル消費量依存センサードリフトを特定するための測定値が特定される)にわたって、排気ガスが測定チャンバーに入るのを回避するために、好ましくは連続的に基準ガスにさらされる。
【0023】
排気ガスセンサー14のそうした測定チャンバーは、例えば、各排気ガスセンサー14が膜によって取り囲まれ、そして膜が各排気ポート15の流動チャネルから分離させられることによって設けることができる。第1の作動状態において、排気ガスには、特に基準ガスが測定チャンバー内に存在しない場合に、そのような膜を介して各測定チャンバーに流入することができる。特に、対照的に、それぞれの測定チャンバーが基準ガスにさらされる場合、排気ガスは、この膜によって、測定チャンバーから除去することができる。
【0024】
既に説明したように、内燃エンジンの作動中、各排気ガスセンサー14は、所定時間にわたって、排気ガスにではなく、基準ガスにさらされる。ここで、各排気ガスセンサー14は測定値または測定信号を提供し、基準ガスに対する排気ガスセンサー14の暴露の間に特定された測定信号から、シリンダー個別センサードリフトが各排気ガスセンサー14に関して特定される。このために、基準ガスに対する各排気ガスセンサー14の暴露の間に特定された各排気ガスセンサー14の測定信号は基準値と比較され、ここで、基準値からの各測定信号のズレは各排気ガスセンサー14のセンサードリフトに対応する。これらのシリンダー(その排気ガスセンサー14は、その他のシリンダー11の排気ガスセンサー14に比べて相対的に大きなセンサードリフトを有する)は、増大したオイル消費量によって特徴付けられる。内燃エンジン10のこれらのシリンダー11に関して、再びこのシリンダー11のエンジンオイル消費量を低減するために、メンテナンス対策あるいはサービス対策が続いて好ましくは開始される。
【0025】
排気ガスセンサー14として、NOセンサーおよび/またはラムダセンサーが採用される。と言うのは、NOセンサーならびにラムダセンサーはエンジンオイルの添加物に敏感であり、これは、シリンダー個別エンジンオイル消費量に依存して各シリンダー11の排気ガスセンサー14上に堆積し、したがって対応するセンサードリフトを有する。ラムダセンサーとして、抵抗性または容量性または電流ベースラムダセンサーが特に採用される。
【0026】
既に説明したように、シリンダー11の排気ガスセンサー14は、全ての排気ガスセンサー14のシリンダー個別センサードリフトを特定するための測定値を特定するために、所定の時間にわたって、単に基準ガスにさらされ、これに続いて、排気ガスセンサー14は再び排気ガスにさらされる。排気ガスセンサー14は、その後、排気ガスを分析するための定期的な測定作業のために再び利用可能である。
【0027】
各排気ガスセンサー14の測定チャンバーから基準ガスを押しのけるための時間を短くし、そして可能な限り迅速に各排気ガスセンサー14の測定チャンバーに排気ガスを再充填するために、各排気ガスセンサー14の測定チャンバー内に排気ガスを吸い込むことが実施されてもよい。これは、例えば、たとえば、エアフィルターの下流側での、そして適用可能な場合には(図2参照)排気ターボチャージャー18のコンプレッサー17の上流側でのフレッシュエアの流動方向に見たとき、各排気ガスセンサー14の測定チャンバーが内燃エンジンのフレッシュエア吸入側に連結されることで実施可能である。排気ガスターボチャージャー18のそうしたコンプレッサー17においては、吸い込まれたチャージエアは、それがジャージエアライン12を経て内燃エンジン10のシリンダー11に供給される前に圧縮され、ここで、コンプレッサー17内でチャージエアを圧縮するために必要なエネルギーは、排気ガス(これは排気ライン13を経て内燃エンジンの各シリンダー11から放出される)が排気ガスターボチャージャー18のタービン19内で膨張させられることで生み出される。
【0028】
運転中にエアフィルターの下流側に形成され得る真空のために、排気ガスを、各排気ガスセンサー14の測定チャンバー内へ、続いてフレッシュエア管内へと吸い込むことができる。排気ガス中の硫黄化合物のために腐食がエンジンに発生するのを回避するために、硫黄トラップを、各排気ガスセンサー14の各測定チャンバーと、内燃エンジン10のフレッシュエア吸入側との間で上記流動接続部に組み込むことができる。
【0029】
図2の内燃エンジンによれば、各排気ガスセンサー14のそれぞれの測定チャンバーを急速に充填するために、タービン19の前方の圧力と排気ガスターボチャージャー18のタービン19の後方の圧力との間の圧力差を利用することも可能である。排ガスセンサー14は、一方ではタービン13の前方における圧力に、そして他方ではタービン13の後方の圧力に対して接続された測定チャンバー内に配置することができる。この結果、この圧力比のために、排気ガスは各測定チャンバー内に押し込まれる。
【0030】
内燃エンジン10が排気ガスターボチャージャー18を備える図2のバージョンでは、タービン19には、このタービン19の下流側に、さらなる排気ガスセンサー20が割り当てられている。排気ガスセンサー20は、排ガスセンサー20の測定信号(これは基準ガスに対するその暴露の間に得られる)から排気ガスセンサー20のオイル消費量依存センサードリフトを特定するために、そして、排気ガスセンサー20のこのセンサードリフトに基づいて排気ターボチャージャー18のタービン19のオイル消費量を推定するために、所定の時間にわたって、シリンダー11の排気ガスセンサー14と一致して、排気ガスにではなく基準ガスにさらすことが可能である。排気ガスセンサー20の測定信号の評価は、排気ガスセンサー14の測定信号が評価される方法に準じて行われる。
【0031】
したがって、本発明によれば、内燃エンジン10の各シリンダー11に関して、そして適用可能ならば追加的に、内燃エンジン10の各排気ガスターボチャージャー18の各タービン19に関して、個別のまたは選択的オイル消費量を特定することが可能である。このために、各排気ガスセンサー14,10は、所定の時間にわたって、排気ガスにではなく、基準ガスに、例えばフレッシュエアにさらされる。基準ガスに対する排気ガスセンサー14,20の暴露の間に特定される測定信号は、各排気ガスセンサー14,20の個別のセンサードリフトを特定するために評価される。
【0032】
この個々のセンサードリフトは、各シリンダー11のあるいは各タービン19の過去のエンジンオイル消費量に依存する。というのは、エンジンオイル消費量に依存して、エンジンオイル添加物は各排気ガスセンサー14または20上に堆積し、これがセンサードリフトの原因であるからである。
【0033】
全ての排気ガスセンサー14,20のセンサードリフトは、比較される内燃エンジン10のシリンダー11あるいは内燃エンジン10のタービン19が増大させられたエンジンオイル消費量を有することを特定するために、互いに比較される。内燃エンジンのこのアセンブリにおいて、メンテナンスあるいはサービスが、続いて、それぞれのアセンブリのオイル消費量を低減するために開始される。
【0034】
本発明によれば、それによって、シリンダー内で燃焼するかあるいは部分的に燃焼したエンジンオイルあるいはタービン19内で燃焼したエンジンオイルが排気ガス処理システムの触媒コンバーターの領域に到達し、各触媒コンバーターにダメージを与えるのを阻止するために、内燃エンジンのアセンブリのオイル消費量を最小限に抑えることを保証できる。
【0035】
本方法全体は、(その中に結果を格納可能であり、かつ、そこからルーティングメンテナンス作業を実施する際に結果を読み出すことができる)エンジン制御デバイスによって完全に自動的に制御されて実施可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 内燃エンジン
11 シリンダー
12 チャージエアライン
13 排気ライン
14 排気ガスセンサー
15 排気ポート
16 結合ポイント
17 コンプレッサー
18 排気ガスターボチャージャー
19 タービン
20 排気ガスセンサー
図1
図2