特許第6334303号(P6334303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334303
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/10 20060101AFI20180521BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   E06B7/10
   E06B1/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-145593(P2014-145593)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-20620(P2016-20620A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】平下 幸孝
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−328802(JP,A)
【文献】 特開2005−273256(JP,A)
【文献】 特開2012−177538(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/105969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に設けてあり室内側に開口した換気口と、下部に設けてあり室内外に連通した定風量換気部を備え、換気口及び定風量換気部はサッシ枠内に配置されるものであり、定風量換気部の外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有し、定風量換気部の空気吹き出し口は開閉自在であることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
上部に設けてあり室内側に開口した換気口と、下部に設けてあり室内外に連通した換気ユニットを備え、換気口及び換気ユニットはサッシ枠内に配置されるものであり、換気ユニットの外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有し、換気ユニットの空気吹き出し口は開閉自在であることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、24時間換気に対応可能なサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、住宅においては、シックハウス対策のために24時間換気を行うことが建築基準法で義務化されている。従来は、24時間換気を行うため、壁に室内外を貫通する孔を開け、その孔に吸気口を取付けている。このような吸気口は、目障りであるばかりか、設置するのに壁に孔を開けなければならないため、施工性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、壁に孔を開ける必要がなく、24時間換気に対応可能なサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるサッシは、上部に設けてあり室内側に開口した換気口と、下部に設けてあり室内外に連通した定風量換気部を備え、換気口及び定風量換気部はサッシ枠内に配置されるものであり、定風量換気部の外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有し、定風量換気部の空気吹き出し口は開閉自在であることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明によるサッシは、上部に設けてあり室内側に開口した換気口と、下部に設けてあり室内外に連通した換気ユニットを備え、換気口及び換気ユニットはサッシ枠内に配置されるものであり、換気ユニットの外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有し、換気ユニットの空気吹き出し口は開閉自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によるサッシは、室内側に開口した換気口をサッシ枠内の上部に、室内外に連通した定風量換気部をサッシ枠内の下部に配置したので、壁に孔を開ける必要がなく、施工が容易である。本サッシは、外気の取込口が下部の定風量換気部に設けられ、その外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有しているので、雨が降ったときは、定風量換気部の空気吹き出し口を閉じた状態にすることで、雨の侵入を防ぎつつ外気を室内に導入することができ、24時間換気のための吸気口として機能する。また、定風量換気部の空気吹き出し口を開けた状態にすることで、室外の風の状況によらず一定量の自然の風を室内に取り込み、より多くの換気量を確保することができる。
【0007】
請求項2記載の発明によるサッシは、室内側に開口した換気口をサッシ枠内の上部に、室内外に連通した換気ユニットをサッシ枠内の下部に配置したので、壁に孔を開ける必要がなく、施工が容易である。本サッシは、外気の取込口が下部の換気ユニットに設けられ、その外気取込口より上部の換気口に連通する通風部を有しているので、雨が降ったときは、換気ユニットの空気吹き出し口を閉じた状態にすることで、雨の侵入を防ぎつつ外気を室内に導入することができ、24時間換気のための吸気口として機能させられる。また、換気ユニットの空気吹き出し口を開けた状態にすることで、換気ユニットを通じて自然の風を室内に取り込み、より多くの換気量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図6のE−E断面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1のB−B断面図である。
図4図1のC−C断面図である。
図5】本発明のサッシの第1実施形態を示す室外側正面図である。
図6】第1実施形態のサッシの室内側正面図である。
図7図6のD−D断面図である。
図8】第1実施形態のサッシの横断面図(図1のA−A断面図)であって、上部の換気口を閉じたときの状態を示す。
図9】第1実施形態のサッシの縦断面図(図6のE−E断面図)であって、上部の換気口を閉じたときの状態を示す。
図10】(a)は本発明のサッシの第2実施形態を示す室外側正面図、(b)は同サッシの室内側正面図である。
図11図10のF−F断面図である。
図12】(a)は図11のG−G断面図であり、(b)は図11のH−H断面図である。
図13】(a)は本発明のサッシの第3実施形態を示す室外側正面図、(b)は同サッシの室内側正面図である。
図14図13のI−I断面図である。
図15】(a)は図14のJ−J断面図であり、(b)は図14のK−K断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜7は、本発明に係るサッシの第1実施形態を示している。本サッシは、建物の躯体開口部に設置されるものであって、図5〜7に示すように、引違い窓部9と、引違い窓部9の側方に隣接して設けた換気装置部10とを備えている。サッシ枠3は、引違い窓部9を構成する枠3aと換気装置部10を構成する枠3bとが合わさったものになっており、当該サッシ枠3が一つの躯体開口部に一体的に取付けられている。換気装置部10は、引違い窓部9の障子11a,11bを閉鎖した状態で換気を行うためのもので、以下、換気装置部10の構成について詳細に説明する。
【0010】
換気装置部10は、図5,6に示すように、上下に延びる2本の枠材12a,12bを有し、この枠材12a,12bの上下長さは引違い窓部9の高さと同じであり、図7に示すように、各枠材12a,12bはそれぞれ方立13と躯体14に固定されている。そして、2本の枠材12a,12bの間の室外側端には、壁面部15が設けられており、室内側に開口する空間が形成されている。さらに、図6に示すように、2本の枠材12a,12bの間の、上端から約1/3の位置には、無目16が設けられていて、枠材12a,12bの間の空間が上下に仕切られており、その下側に定風量換気部(定風量換気ユニット)2が設けられ、上側に室内側に開口した換気口1を備える。
【0011】
定風量換気部2は、図1図4に示すように、室内側に扉17を有している。扉17は、右端が吊元となって室内側に開くものであり、右側の枠材12bに回動自在に取り付けられている。扉17の室内側面には、扉17を開くための取手18が設けられている。また、室外側の壁面部15の、無目16より下側には、左右に延びるスリット状の外気取込口4が、上下に多数並んで設けられており、扉17を開放すると室内外が連通する。さらに、二本の枠材12a,12bの間には、羽根状の風量調整板19が設けられている。風量調整板19は、左端を回転中心として、左側の枠材12aに回動自在に設けられている。そして、風量調整板19は、バネ部材20により室外側に(反時計回りに)付勢されている。また、風量調整板19の室内側には、左右の枠材12a,12bに設けられた内部壁21a,21bが位置しており、両内部壁21a,21bの間が通気路22となっており、その室内側端に空気吹き出し口5が扉17により開閉可能に構成されている。風量調整板19が室内側に(時計回りに)回転するほど、この通気路22が塞がれて狭くなる。さらに、通気路22には網戸23が設けられている。
このように構成した定風量換気部2によれば、扉17を開放することで、任意に換気を行うことができる。その際、風が弱く風圧がバネ部材20の付勢力を下回る場合には、風量調整板19は動かず、通気路22は最も広い状態となる。そして、風が強くなって風圧がバネ部材20の付勢力を上回ると、風量調整板19が付勢力に逆らって室内側に回転し、通気路22が塞がれて狭くなる。よって、風が強くなるほど通気路22が狭くなるので、結果として通気量は風の強さによらず一定量となり、定風量自然換気が可能となる。
【0012】
次に、無目16の上側の換気口1の構造について説明する。図1,2に示すように、上枠24と無目16との間には仕切り壁25が設けられ、仕切り壁25の室内側面には室外側が開口した略コ字形断面の形材26が取付けてある。仕切り壁25と形材26の見付壁26aとには、通気孔27a,27bが大きく開けられている。形材26の室内側には、カバー板28が開閉可能に設けられ、カバー板28には左右に延びるスリット29が上下に多数並んで設けられている。仕切り壁25の通気孔27aの室内側には、花粉や埃等を除去するためのフィルター30が取付けてある。
形材26の内部には作動板31が設けてあり、作動板31は左右両側を上下方向に間隔をおいて配置した複数のカム部材32により保持されており、また作動板31は室内側面に上下方向にスライド可能に設けた操作部33と係合している。図1に示すように操作部33を上位置にすると、作動板31は図2に示すように仕切り壁25の通気孔27aと形材26の見付壁26aの通気孔27bとの中間に位置し、換気口1は開いた状態となる。図9に示すように、操作部33を下位置にスライドさせると、作動板31はカム部材32のカム溝32aに沿って室内側の斜め下方に移動し、図8に示すように、作動板31が形材26の見付壁26aの通気孔27bを塞いで、換気口1は閉じた状態になる。
【0013】
換気口1の室外側は壁面部15で塞がれており、この部分には外気取込口が設けてないが、図1に示すように、壁面部15の室内側に無目16の上下にまたがって連通した空間6が設けてあり、この空間6が定風量換気部2の外気取込口4より上部の換気口1に連通する通風部6となっている。したがって、定風量換気部2の外気取込口4より取り込んだ外気を、通風部6と換気口1を通じて室内に導入できるようになっている。
【0014】
次に、本サッシの換気装置部10の使用方法を説明する。雨が降っているときには、定風量換気部2の空気吹き出し口5を扉17で閉じた状態にする。すると、図1に示すように、定風量換気部2の外気取込口4から入った外気が、通風部6と上部の換気口1を通じ、雨の侵入を防ぎつつ室内に導入することができ、24時間換気のための吸気口として機能する。外気取込口4と換気口1が上下にずらして設けてあることで、強風が室内に吹き込むことも防止できる。また、換気口1が高い位置に設けてあることで、冬季に冷たい外気が室内に下の方から入ってきて不快な思いをするのを避けることができる。換気口1には、花粉等を除去するフィルター30を設けてあるので、花粉等が室内に侵入するのを防ぐことができる。また、冬季の夜間などには、換気口1を閉じて外気が室内に入らないようにすることもできる。なお、雨が降っていないときでも、定風量換気部2の空気吹き出し口5を扉17で塞いで換気量を絞り、換気装置部10を24時間換気のための吸気口として利用することができる。
天気の良い日中などには、図4中に二点鎖線で示すように、定風量換気部2の空気吹き出し口5の扉17を開けた状態にすることで、室外の風の状況によらず一定量の自然の風を室内に取り込み、より多くの換気量を確保することができる。
このように本サッシは、天候等に応じて、24時間換気のための吸気口としての使い方と、自然の風を室内に取り込む換気窓としての使い方の両方が可能で、機能性に優れるものである。また本サッシは、換気口1と定風量換気部2とがいずれもサッシ枠3内に設けてあり、壁に孔を開ける必要がないため、施工性に優れている。さらに、換気装置部10が縦長のスリムな構造で、サッシと一体化して配置されているため、意匠性も良い。
【0015】
図10〜12は、本発明のサッシの第2実施形態を示している。本実施形態は、換気装置部10の枠3bの無目16下側の開口部に、定風量換気部2の代わりに、室内外に連通した換気ユニット7を取付けたものである。この換気ユニット7は、図11,12に示すように、無目16上側の開口部に設置される換気口1と同じ構造のものであって、操作部33を操作することで作動板31が空気吹き出し口5を開閉するものである。本サッシは、図5図10(a)に示すように、室外側から見た意匠が第1実施形態と同じになっている。
【0016】
本実施形態のサッシは、無目16より下側の換気ユニット7の空気吹き出し口5を閉じた状態とすることで、第1実施形態と同様に、雨の侵入を防ぎつつ外気を室内に導入することができ、24時間換気のための吸気口として機能する。また、無目16下側の換気ユニット7の空気吹き出し口5を開けることで、同換気ユニット7を通じて自然の風を室内に取り入れ、より多くの換気量を得ることもできる。
【0017】
図13〜15は、本発明のサッシの第3実施形態を示している。本実施形態は、換気装置部10の枠3bの無目16下側の開口部に、外気の取込口のみを有する換気ユニット8、具体的にはメクラカバー34を取付けて同開口部を室内側から塞いだものである。室外側に取付けられる壁面部15には、第1・第2実施形態と同様に、無目16より下側に外気取込口4を設けてある。本サッシも、図5図13(a)に示すように、室外側から見た意匠が第1実施形態と同じになっている。
本実施形態のサッシは、壁面部15下側の外気取込口4から入った外気を、通風部6と上部の換気口1を通じて室内に導入することで、雨の侵入を防ぎつつ外気を室内に取り入れることができ、24時間換気のための吸気口として機能させられる。
【0018】
本発明のサッシは、以上に説明した第1〜第3実施形態に示すように、下部に設置する換気ユニットを、室内外に連通した定風量換気ユニット2と、室内外に連通した定風量でない換気ユニット7と、外気の取込口のみを有する換気ユニット8のうちから選択することができ、これにより室外側の意匠を共通にしながら、用途等に応じてカスタマイズすることができる。換気ユニット以外の部分(枠3b、壁面部15、上部の換気口1)は共通のため、コストを抑えることができる。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。換気口及び換気ユニットは、それぞれサッシ枠内の上部と下部に設けてあればよく、引違い窓に限らず、嵌め殺し窓や開き窓など、あらゆる窓と組み合わせることができる。また、窓の側方に隣接して配置するだけでなく、窓と窓の間の方立に換気口と換気ユニットを設けることもできる。換気口、換気ユニット等の具体的な構成は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 換気口
2 定風量換気部(定風量換気ユニット)
3 サッシ枠
4 外気取込口
5 空気吹き出し口
6 通風部
7 室内外に連通した換気ユニット
8 外気の取込口のみを有する換気ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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