特許第6334311号(P6334311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334311
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】距離測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20180521BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G01S13/74
   E05B49/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-162775(P2014-162775)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-38332(P2016-38332A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−505060(JP,A)
【文献】 特表2012−500971(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0076813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S 13/00−13/95
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信マスタと通信端末との距離を測定する距離測定システムにおいて、
前記通信マスタ及び通信端末の双方から相手に向かってランダムにUWB電波を送信することにより、両者において前記UWB電波を送受させる通信処理部と、
前記通信マスタ及び通信端末の各々において前記UWB電波を送受したときのタイミング情報を計測するタイミング情報計測部と、
当該タイミング情報を前記通信マスタ及び通信端末の一方から他方に送信することにより、当該タイミング情報を片方に集める情報収集部と、
前記通信マスタ及び通信端末の片方に集めた前記タイミング情報を基に、前記UWB電波を前記通信マスタ及び前記通信端末の双方に送り合うのに要した伝搬時間を演算し、当該伝搬時間に基づいて2者間の距離を測定する距離測定部とを備えたことを特徴とする距離測定システム。
【請求項2】
前記情報収集部は、前記通信マスタ及び通信端末の一方において取得した前記タイミング情報を暗号通信によって他方に送信することを特徴とする請求項1に記載の距離測定システム。
【請求項3】
前記UWB電波を送り合う前に前記通信マスタ及び通信端末のペア正当性を無線通信により確認する事前認証部を備え、
前記通信処理部は、前記事前認証部の認証が成立することを条件に、前記UWB電波の送り合いを開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定システム。
【請求項4】
前記タイミング情報計測部は、前記UWB電波の受信にあたり、最初に受信したパルスのみを用いて前記タイミング情報を計測することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の距離測定システム。
【請求項5】
前記UWB電波からノイズを除去可能なフィルタ部と、
前記フィルタ部の局部発振器の周波数を切り替えて当該フィルタ部の帯域を切り替えることにより、当該フィルタ部を最適化しながら、受信した前記UWB電波からノイズを除去するフィルタ制御部とを備え、
前記距離測定部は、ノイズ除去後の前記UWB電波を基に、前記通信マスタ及び通信端末の間の距離を測定することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の距離測定システム。
【請求項6】
前記フィルタ部は、バンドリジェクションフィルタである
ことを特徴とする請求項5に記載の距離測定システム。
【請求項7】
前記フィルタ部の帯域設定は、前記通信マスタ及び通信端末の一方から前記UWB電波を1度の送信において複数回送信し、当該UWB電波の少なくとも1つを他方で正常に受信できるか否かを判定し、当該UWB電波を他方において正常に受信できれば、前記局部発振器の現在値を維持して前記フィルタ部の帯域を決定し、逆に正常に受信できなければ、前記局部発振器の周波数の切り替わりを待った上で前記UWB電波の複数回送信を再度実行して、当該UWB電波の受信可否を再度確認し、以上の一連の動作を、前記UWB電波を正常に受信できるまで繰り返すことにより、前記フィルタ部の最適化を行うものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の距離測定システム。
【請求項8】
前記フィルタ部の帯域設定は、前記通信マスタ及び通信端末の両方で実行される
ことを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか一項に記載の距離測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信マスタ及び通信端末の間の距離を測定する距離測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、一方の端末から送信された電波を他方において受信すると、一定時間経過後に応答を他方から一方に返信し、送信から応答受信までに要する時間を基に2端末間の距離を測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−505060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の距離測定システムにおいては、いまユーザが距離測定を実施したいというタイミングにおいて、それを正確に実行させたいニーズがあった。
本発明の目的は、ユーザの意図に沿ったタイミングで実施される距離測定とすることができる距離測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決する距離測定システムは、通信マスタと通信端末との距離を測定する構成において、前記通信マスタ及び通信端末の双方から相手に向かってランダムにUWB電波を送信することにより、両者において前記UWB電波を送受させる通信処理部と、前記通信マスタ及び通信端末の各々において前記UWB電波を送受したときのタイミング情報を計測するタイミング情報計測部と、当該タイミング情報を前記通信マスタ及び通信端末の一方から他方に送信することにより、当該タイミング情報を片方に集める情報収集部と、前記通信マスタ及び通信端末の片方に集めた前記タイミング情報を基に、前記UWB電波を前記通信マスタ及び前記通信端末の双方に送り合うのに要した伝搬時間を演算し、当該伝搬時間に基づいて2者間の距離を測定する距離測定部とを備えた。
【0006】
本構成によれば、通信マスタ及び通信端末の双方からランダムなパターンでUWB電波を互いに送り合い、通信マスタ及び通信端末の双方において、UWB電波を送受したときのタイミング情報を計測し、それを通信マスタ及び通信端末の一方に集める。通信マスタ及び通信端末の一方では、集めたタイミング情報を基に、送受されたUWB電波の組ごとに2者間の距離を測定する。このとき、各組の距離の全て又は一部が一致すれば、測定結果を有効にする。このように、2者間の距離を測定するにあたっては、UWB電波が毎回異なるタイミングで送信されるので、例えば悪意のある第三者がUWB電波をコピーして送信したとしても、UWB電波の送受のタイミングが正規と合わなくなる。このとき、各組の距離が一致しなくなるので、この場合の距離測定を無効とすることが可能となる。よって、ユーザの意図に沿ったタイミングで実施される距離測定とすることが可能となる。
【0007】
前記距離測定システムにおいて、前記情報収集部は、前記通信マスタ及び通信端末の一方において取得した前記タイミング情報を暗号通信によって他方に送信することが好ましい。この構成によれば、タイミング情報を相手に送信するときのセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0008】
前記距離測定システムにおいて、前記UWB電波を送り合う前に前記通信マスタ及び通信端末のペア正当性を無線通信により確認する事前認証部を備え、前記通信処理部は、前記事前認証部の認証が成立することを条件に、前記UWB電波の送り合いを開始することが好ましい。この構成によれば、最初に通信マスタ及び通信端末のペア正当性を確認してから距離測定を行うので、距離測定を行うにあたり、相手を間違えるのを防止するのに有利となる。
【0009】
前記距離測定システムにおいて、前記タイミング情報計測部は、前記UWB電波の受信にあたり、最初に受信したパルスのみを用いて前記タイミング情報を計測することが好ましい。この構成によれば、仮にマルチパスによって複数のパルスが受信されると、受信する電波が複数の波の塊となってしまうが、最初のパルスのみで距離測定を行うので、距離測定をより正しく行うのに有利となる。
【0010】
前記距離測定システムにおいて、前記UWB電波からノイズを除去可能なフィルタ部と、前記フィルタ部の局部発振器の周波数を切り替えて当該フィルタ部の帯域を切り替えることにより、当該フィルタ部を最適化しながら、受信した前記UWB電波からノイズを除去するフィルタ制御部とを備え、前記距離測定部は、ノイズ除去後の前記UWB電波を基に、前記通信マスタ及び通信端末の間の距離を測定することが好ましい。この構成によれば、フィルタ部の局部発振器の周波数を切り替えることにより、フィルタ部が利く帯域を探索して、フィルタ部を最適化する。これにより、UWB電波の通信環境下にノイズが発生していても、フィルタ部の帯域をノイズに適合する帯域に合わせ込んでノイズを除去することが可能となるので、通信成立性を確保するのに有利となる。また、フィルタ部が可変式であるので、複数の周波数のノイズにも対応することが可能となる。
【0011】
前記距離測定システムにおいて、前記フィルタ部は、バンドリジェクションフィルタであることが好ましい。この構成によれば、バンドリジェクションフィルタによって、ある周波数のノイズをターゲットにして、これを的確に除去することが可能となる。
【0012】
前記距離測定システムにおいて、前記フィルタ部の帯域設定は、前記通信マスタ及び通信端末の一方から前記UWB電波を1度の送信において複数回送信し、当該UWB電波の少なくとも1つを他方で正常に受信できるか否かを判定し、当該UWB電波を他方において正常に受信できれば、前記局部発振器の現在値を維持して前記フィルタ部の帯域を決定し、逆に正常に受信できなければ、前記局部発振器の周波数の切り替わりを待った上で前記UWB電波の複数回送信を再度実行して、当該UWB電波の受信可否を再度確認し、以上の一連の動作を、前記UWB電波を正常に受信できるまで繰り返すことにより、前記フィルタ部の最適化を行うものであることが好ましい。この構成によれば、フィルタ部の帯域を設定するにあたってUWB電波を送信するとき、これを複数回送信するので、判定の信頼性を確保するのに有利となる。また、UWB電波の複数回送信を再実行するにあたり、局部発振器の周波数切り替わりを待つので、UWB電波を確実に相手に受け取らせるのに有利となる。
【0013】
前記距離測定システムにおいて、前記フィルタ部の帯域設定は、前記通信マスタ及び通信端末の両方で実行されることが好ましい。この構成によれば、通信マスタ及び通信端末の両方のフィルタ部の最適化が可能となるので、通信成立性の確保に一層有利となる。
【0014】
前記問題点を解決する距離測定システムは、通信マスタと通信端末との距離を測定する構成において、前記通信マスタ及び通信端末の一方から他方に通信されるUWB電波からノイズを除去可能なフィルタ部と、前記フィルタ部の局部発振器の周波数を切り替えて当該フィルタ部の帯域を切り替えることにより、当該フィルタ部を最適化しながら、受信した前記UWB電波からノイズを除去するフィルタ制御部と、ノイズ除去後の前記UWB電波を基に、前記通信マスタ及び通信端末の間の距離を測定する距離測定部とを備えた。
【0015】
本構成によれば、フィルタ部の局部発振器の周波数を切り替えることにより、フィルタ部が利く帯域を探索して、フィルタ部を最適化する。よって、UWB電波の通信環境下にノイズが発生していても、フィルタ部の帯域を、ノイズに適応する帯域に合わせ込んで、ノイズを除去する。このため、ユーザが通信マスタ−通信端末の通信を実行したいときに、UWB電波の通信環境下にノイズが乗っていても、これに影響を受けず、通信を確立させることが可能となる。よって、ユーザの意図に沿ったタイミングで実施される距離測定とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの意図に沿ったタイミングで実施される距離測定とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の距離測定システムの構成図。
図2】UWB電波送受信回路の回路図。
図3】一般的な距離測定の考え方を示す通信のタイミングチャート。
図4】UWB電波の送信概要図。
図5】本例の距離測定の概要を示す通信のタイミングチャート。
図6】ある組において送り合うUWB電波の通信のタイミングチャートであり、(a)は電子キーでUWB電波を受信した後にUWB電波を車両に送信する通信パターンの図であり、(b)は電子キーが車両からUWB電波を受信する前にUWB電波を車両に送信する通信パターンの図。
図7】マルチパスの概要図。
図8】第2実施形態の説明で用いる図であり、(a)はUWB電波の周波数スペクトル図、(b)はノイズが乗ったUWB電波の電波波形図。
図9】フィルタ部を備えたUWB電波送受信回路の回路図。
図10】(a),(b)は局部発振器の周波数の切り替えに伴うフィルタ部の帯域の変化を示す周波数スペクトル図。
図11】(a),(b)は局部発振器の周波数の切り替えに伴うフィルタ部の帯域の変化を示す周波数スペクトル図。
図12】フィルタ部の帯域が設定されるときの通信の流れを示すタイミングチャート。
図13】ノイズ除去動作時に実行されるフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、距離測定システムの第1実施形態を図1図7に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、電子キー2と無線によりID照合を行う電子キーシステム3を備える。電子キーシステム3は、車両1からの通信を契機に狭域無線(通信距離:1〜数m)によりID照合を実行するキー操作フリーシステムである。なお、以降は、キー操作フリーシステムのID照合を「スマート照合」と記し、その通信を「スマート通信」と記す。
【0019】
車両1は、ID照合において電子キー2の正当性を確認する照合ECU(Electronic Control Unit)4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン7を制御するエンジンECU6とを備える。これらECUは、車内の通信線8を通じて接続されている。通信線8は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)である。照合ECU4のメモリ9には、車両1に登録された電子キー2のIDとして電子キーIDが書き込み保存されている。
【0020】
車両1は、車外にID照合の電波を送信可能な車外送信機10と、車内にID照合の電波を送信可能な車内送信機11と、電子キー2からの電波を受信可能な車両受信機12とを備える。車外送信機10、車内送信機11及び車両受信機12は、照合ECU4に接続されて動作が管理される。車外送信機10及び車内送信機11は、LF(Low Frequency)帯の電波を送信可能である。車両受信機12は、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能である。ボディECU5は、車両ドアの施解錠を切り替えるメカ部位であるドアロック機構13の作動を制御する。
【0021】
車両1は、車両電源を切り替えるときに操作するエンジンスイッチ14を備える。エンジンスイッチ14は、プッシュ式モーメンタリスイッチからなる。照合ECU4は、エンジンスイッチ14から入力する検出信号を基に電源状態を判断し、その状態をとるように車両電源を切り替える。電源状態としては、IGオフ、ACCオン、IGオン、エンジンスタートがある。
【0022】
電子キー2は、電子キー2の動作を制御するキー制御部15と、車両1から送信された電波を受信可能な受信部16と、車両1に電波を送信可能な送信部17とを備える。キー制御部15のメモリ18には、車両1とのID照合で使用する電子キーIDが書き込み保存されている。受信部16は、LF電波を受信可能である。送信部17は、UHF電波を送信可能である。
【0023】
車外送信機10が車外にLF電波の通信エリアを形成するとき、電子キー2がこの通信エリアに進入すると、車外スマート照合が実行される。車外スマート照合には、車両1が持つ固有の車両コードを認証する車両コード照合と、暗号鍵を使用したチャレンジレスポンス認証と、電子キーIDを認証する電子キーID照合とが含まれる。照合ECU4は、車外スマート照合のとき、車外に位置する電子キー2において、これら照合の全てが成立するか否かを確認する。一方、照合ECU4は、電子キー2が車内送信機11の通信エリアに進入すると、車内スマート照合を開始し、車外スマート照合と同様の各種照合を実行する。
【0024】
電子キーシステム3は、通信マスタ19(一例は照合ECU4)と通信端末20(一例は電子キー2)との距離dを測定する距離測定システム21を備える。本例の距離測定システム21の動作の前提は、通信マスタ19及び通信端末20の双方から、ランダムな送信パターンでUWB(Ultra Wide Band)電波Suwbを送り合うことである。距離測定システム21は、電子キーシステム3のID照合の通信程において、2者間の距離dを測定する。電子キーシステム3は、スマート照合(車外スマート照合、車内スマート照合)において、前述の各種照合(車両コード照合、チャレンジレスポンス認証、電子キーID照合)と、距離dが規定値以内か否かを判定する距離照合とが成立することを確認すると、スマート照合を成立として処理する。
【0025】
図2に示すように、距離測定システム21は、UWB電波Suwbを受信するUWB電波送受信回路22を備える。UWB電波送受信回路22は、車両1及び電子キー2の各々に設けられ、車両1のものを22aとし、電子キー2のものを22bとする。UWB電波送受信回路22aは、UWB電波Suwbの送信機能(送信回路)と、UWB電波Suwbの受信機能(受信回路)とを備える。
【0026】
具体的にいうと、UWB電波送受信回路22aは、UWB電波Suwbの送受に共用された通信アンテナ23aと、信号を選択的に振り分けるサーキュレータ49aと、受信信号において所定周波数の電波のみ通過させるバンドパスフィルタ24aと、フィルタ通過後の信号を増幅する第1アンプ25aと、第1アンプ25aを通過した信号のゲインを調整する第2アンプ26aと、第2アンプ26aを通過した信号を検波(包絡線検波)する検波回路27aと、検波後の信号を「0」又は「1」で2値化するコンパレータ28aとを備える。UWB電波送受信回路22aは、送信するUWB電波Suwbの単パルスを生成するパルス発振回路34aと、送信するUWB電波Suwbを増幅する第3アンプ39aとを備える。サーキュレータ49aは、UWB電波Suwbの送信時、パルス発振回路34aから第3アンプ39aを通じて入力した信号を、通信アンテナ23aからUWB電波Suwbとして送信させる。サーキュレータ49aは、通信アンテナ23aでUWB電波Suwbを受信したとき、この受信電波をバンドパスフィルタ24aに送る。第1アンプ25aは、LNA(Low Noise Amplifier)であるとよい。第2アンプ26aは、AGC(Automatic Gain Control)であるとよい。UWB電波送受信回路22aは、UWB電波Suwbの受信時、そのUWB電波Suwbをコンパレートした後の2値化信号(単パルス信号)を照合ECU4に出力する。また、UWB電波送受信回路22aは、距離照合を実施するあるタイミングにおいて通信アンテナ23aからUWB電波Suwbを送信するように作動する。
【0027】
UWB電波送受信回路22bも、UWB電波送受信回路22aと同様に、通信アンテナ23b、バンドパスフィルタ24b、第1アンプ25b、第2アンプ26b、検波回路27b、コンパレータ28b、サーキュレータ49b、パルス発振回路34b及び第3アンプ39bを備える。UWB電波送受信回路22bは、距離照合を実施するあるタイミングにおいてUWB電波Suwbを送信可能であるとともに、車両1から送信されたUWB電波Suwbの受信時、そのUWB電波Suwbをコンパレートした後の2値化信号(単パルス信号)をキー制御部15に出力する。
【0028】
図1に戻り、距離測定システム21は、通信マスタ19及び通信端末20の両者においてUWB電波Suwbを送受させる通信処理部29を備える。通信処理部29には、通信マスタ19に設けられた通信処理部29aと、通信端末20に設けられた通信処理部29bとがある。通信処理部29は、UWB電波送受信回路22a,22bの送信機能を通じて、通信マスタ19及び通信端末20の双方から相手に向かってランダムにUWB電波Suwbを送信することにより、両者においてUWB電波Suwbを送受させる。UWB電波Suwbは、超広帯域無線の電波であって、極短いパルス(図4等参照)を有する信号となっている。
【0029】
距離測定システム21は、通信マスタ19及び通信端末20の各々において通信マスタ19及び通信端末20の各々においてUWB電波Suwbを送受したときのタイミング情報Dtiを計測するタイミング情報計測部30を備える。タイミング情報計測部30には、通信マスタ19に設けられたタイミング情報計測部30aと、通信端末20に設けられたタイミング情報計測部30bとがある。タイミング情報Dtiには、自身がUWB電波Suwbを送信した時間(時刻)である送信タイミング情報Dti−Aと、相手からUWB電波Suwbを受信した時間(時刻)である受信タイミング情報Dti−Bが含まれる。
【0030】
距離測定システム21は、タイミング情報Dtiを通信マスタ19及び通信端末20の片方に集める情報収集部31を備える。情報収集部31は、タイミング情報Dtiを相手に送る側の情報通知部31aと、情報通知部31aによって送られたタイミング情報Dtiを受け取る側の情報取得部31bとを備える。距離dを通信マスタ19で測定する場合、情報通知部31aが通信端末20に設けられ、情報取得部31bが通信マスタ19に設けられる。情報通知部31aは、タイミング情報Dtiを暗号通信によって車両1に送信するとよい。暗号通信には、チャレンジレスポンス認証に使用する暗号鍵を使用するとよい。
【0031】
距離測定システム21は、通信マスタ19及び通信端末20の片方に集めたタイミング情報Dtiを基に2者間の距離dを測定する距離測定部32を備える。距離測定部32は、通信マスタ19に設けられる。距離測定部32は、通信マスタ19及び通信端末20の片方に集めたタイミング情報Dti(送信タイミング情報Dti−A及び受信タイミング情報Dti−B)を基に、UWB電波Suwbを通信マスタ19及び通信端末20の双方に送り合うのに要した伝搬時間2Δtを演算し、この伝搬時間2Δtに基づいて2者間の距離dを測定する。
【0032】
距離測定システム21は、UWB電波Suwbを送り合う前に通信マスタ19及び通信端末20のペア正当性を無線通信により確認する事前認証部33を備える。事前認証部33は、例えばスマート照合が成立するか否かを確認することにより、いま車両1と通信が確立している電子キー2の正当性を確認する。通信処理部29は、事前認証部33の認証が成立することを条件に、UWB電波Suwbの送り合いを開始する。
【0033】
次に、図3図7を用いて、距離測定システム21の動作を説明する。
図3に示すように、例えば時刻「tA」のときに端末35から送信された電波を端末36が受信したら、一定時間「tb」の経過後、端末36から応答を端末35に返信し、端末35及び端末36の双方向通信に要した時間を計算することにより、これら2者間の距離dを求める演算の仕方が周知である。これは、車両1から遠く離れた位置に電子キー2がある場合に、中継器を使用してスマート照合を不正に確立させられてしまうことの対策の1つであり、2者間の距離dが規定値よりも大きいときには、スマート照合を成立としないようにすれば、この不正通信に対処することができる。
【0034】
端末35−36の間の距離dを測定するとき、位置が変わっていなければ、端末35から送信された電波が端末36に受信されるまでの往路通信に要する時間と、その逆の復路通信に要する時間とは、同じ「ta」となる。また、端末36での応答の作動に要する時間を「tb」とし、電波の伝搬速度を光の速度cとすると、端末35−36の間の距離dは、「2d=c×2ta」、すなわち「2d=c×((tB−tA)−tb)」から計算できる。しかし、この演算方法は、光の速さで伝搬する電波の時間を計測するものである上、端末36の応答の作動に要する時間「tb」を正確に管理する必要がある。また、「tb」を一定値とすることも考えられるが、この場合は往路通信の開始、すなわち電子キー2が応答を所定時間待つことになり、通信時間が長くなってしまう。
【0035】
図4に示すように、UWB電波Suwbは、極短いパルス長(例えば1ns程度)の波形をとる。このため、どのタイミングで電波を送受することができたのかの判断がし易い利点がある。しかし、背反として、UWB電波Suwbのような単パルスを送り合うだけであると、悪意のある第三者が単パルスをコピーして送ることが容易に可能であるので、通信の不正成立に繋がる可能性がある。この場合、単パルスではなく、ローリングコード等を含んだIDを送信すればよいが、通信にID照合を課すことになり、処理が煩雑になり、通信時間も長くなる。
【0036】
図5に、本例の距離測定システム21の動作の手順を図示する。事前認証部33は、例えば定期又は不定期のあるタイミングにおいてスマート通信を実行することにより、車外送信機10(車内送信機11)から、電子キー2を起動させるウェイク信号Swkを断続的にLF送信する。電子キー2は、ウェイク信号Swkを受信すると待機状態から起動し、アック信号Sackを車両1にUHF送信する。事前認証部33は、ウェイク信号Swkを送信してから一定時間内にアック信号Sackを受信できると、スマート通信が確立すると判断し、車両コード照合、チャレンジレスポンス認証及び電子キーID照合等の各種照合を電子キー2と実行する。車両1は、これらID照合が成立することを開始すると、距離照合に移行する。
【0037】
なお、ここで課すID照合は、車両コード照合、チャレンジレスポンス認証、電子キーID照合に限定されず、これら照合のうちの1つのみ課してもよい。また、ここで課すID照合は、これら照合に限定されず、要は車両1と電子キー2とのペアリングを確認できる認証であればよい。なお、距離照合を開始する事前に2者間の照合を実施しないのであれば、距離照合の過程の中で、車両1及び電子キー2のペアリング(電子キーID)を確認することが必要である。
【0038】
車両1のタイミング情報計測部30aは、車両1及び電子キー2の間の各種照合によりペアリングが確認できると、例えば車両1のタイマ37にタイムスタンプを押すなどして、この時点を起点に車両1における時間計測を開始する。一方、電子キー2のタイミング情報計測部30bは、車両1及び電子キー2のペアリングが確認できた通知を車両1から通信により取得できると、例えば電子キー2のタイマ38にタイムスタンプを押すなどして、この時点を起点に電子キー2における時間計測を開始する。
【0039】
ところで、タイマ37,38のタイムスタンプは、全く同時刻であることが望ましいが、完全に一致させるのは難しい現状がある。よって、現実のところ、タイマ37に対して、タイマ38のタイムスタンプが「ε1」だけずれることがある。但し、この時間ずれ「ε1」は、後述する距離演算の過程において相殺されるので、仮に時間ずれが発生しても、これを無視することができる。
【0040】
距離照合の開始にあたり、車両1及び電子キー2は、それぞれランダムなタイミングでUWB電波Suwbを送信し合う。具体的にいうと、車両1の通信処理部29aは、「t1」、「t5」、「t10」の各送信タイミングでUWB電波Suwbを、UWB電波送受信回路22a(通信アンテナ23a)から電子キー2に送信する。このとき、車両1のタイミング情報計測部30aは、タイマ37の計時時間を基にUWB電波Suwbの送信タイミング「t1」、「t5」、「t10」を計測し、これを「車両1側の送信タイミング情報Dti−A」として取得する。
【0041】
一方、電子キー2の通信処理部29bは、「t2」、「t7」、「t9」の各送信タイミングでUWB電波Suwbを、UWB電波送受信回路22b(通信アンテナ23b)から車両1に送信する。このとき、電子キー2のタイミング情報計測部30bは、タイマ38の計時時間を基にUWB電波Suwbの送信タイミング「t2」、「t7」、「t9」を計測し、これを「電子キー2側の送信タイミング情報Dti−A」として取得する。なお、車両1及び電子キー2においてUWB電波Suwbを送信するにあたり、双方の送信タイミングの同期をとる必要はない。
【0042】
このように、本例の場合、「t1」、「t2」は、互いに独立したタイミングであるので、それぞれ任意の値となっている。車両1側においては、UWB電波Suwbの最初の送信時間である「t1」から、「t5−t1」の経過後に次のUWB電波Suwbを送信し、「t10−t5」の経過後に次のUWB電波Suwbを送信する動作をとる。一方、電子キー2側においては、UWB電波Suwbの最初の送信時間である「t2」から、「t7−t2」の経過後に次のUWB電波Suwbを送信し、「t9−t7」の経過後に次のUWB電波Suwbを送信する動作をとる。このように、車両1及び電子キー2からUWB電波Suwbを送信するにあたっては、車両1及び電子キー2において電波送信の間隔だけを制御すればよいことになる。
【0043】
電子キー2は、車両1からそれぞれ「t1」、「t5」、「t10」のタイミングで送信されたUWB電波Suwbを、「t3」、「t6」、「t12」のタイミングにおいてUWB電波送受信回路22b(通信アンテナ23b)で受信する。この受信電波は、UWB電波送受信回路22bに通されて単パルス信号に変換され、キー制御部15においてデータが解読される。電子キー2のタイミング情報計測部30bは、タイマ38を用い、車両1から受信したUWB電波Suwbの受信タイミング「t3」、「t6」、「t12」を計測し、これを「電子キー2側の受信タイミング情報Dti−B」として取得する。
【0044】
車両1は、電子キー2からそれぞれ「t2」、「t7」、「t9」のタイミングで送信されたUWB電波Suwbを、「t4」、「t8」、「t11」のタイミングにおいてUWB電波送受信回路22a(通信アンテナ23a)で受信する。この受信電波は、UWB電波送受信回路22aに通されて単パルス信号に変換され、照合ECU4においてデータが解読される。車両1のタイミング情報計測部30aは、タイマ37を用い、電子キー2から受信したUWB電波Suwbの受信タイミング「t4」、「t8」、「t11」を計測し、これを「車両1側の受信タイミング情報Dti−B」として取得する。
【0045】
なお、UWB電波Suwbは光の速さで伝搬するので、UWB電波Suwbのやり取りを数回〜数十回実行しても、車両1及び電子キー2の位置関係は変わらず、距離dは一定とみなせる。また、「t」の隣に付されたサフィックス(数字列)は、時間の経過順に数値が付されているものとする。
【0046】
全てのUWB電波Suwbの送り合い(本例は3組の送り合い)が完了すると、電子キー2の情報通知部31aは、電子キー2のタイミング情報計測部30bによって取得されたUWB電波Suwbのタイミング情報Dti(電子キー2側の送信タイミング情報Dti−A及び受信タイミング情報Dti−B)を、車両1に通知する。本例の場合、タイミング情報Dtiとして、「t2」、「t3」、「t6」、「t7」、「t9」、「t12」の時間情報が電子キー2から車両1に通知される。なお、タイミング情報Dtiの通知は、暗号通信を用いるとよい。暗号通信に使用する暗号鍵は、チャレンジレスポンス認証で使用する鍵を使用するとよい。
【0047】
車両1の情報取得部31bは、車両1で送受したUWB電波Suwbのタイミング情報Dti(車両1側の送信タイミング情報Dti−A及び受信タイミング情報Dti−B)である「t1」、「t4」、「t5」、「t7」、「t8」、「t11」を車両1において予め取得しておく。また、情報取得部31bは、電子キー2から送信されたタイミング情報Dti(電子キー2側の送信タイミング情報Dti−A及び受信タイミング情報Dti−B)の「t2」、「t3」、「t6」、「t7」、「t9」、「t12」を、車両1において取得する。このようにして、車両1は、車両1−電子キー2の間で送り合ったUWB電波Suwbの送受時間(送受タイミング)の全データ「t1」〜「t12」を得る。
【0048】
図6(a),(b)に示すように、距離測定部32は、情報取得部31bが集めたタイミング情報Dtiである「t1」〜「t12」を基に、車両1及び電子キー2の距離dを測定する。図6(a)に示す通信例は、車両1から送信されたUWB電波Suwbを電子キー2が受信した後に、電子キー2がUWB電波Suwbを車両1に送り返すパターンである。図6(b)に示す通信例は、車両1から送信されたUWB電波Suwbを電子キー2が受信するのに先んじて、電子キー2が車両1にUWB電波Suwbを送信するパターンである。
【0049】
図6(a)の場合は、1組目に送り合うUWB電波Suwbにおいて、「t2」が電子キー2の電波受信のタイミングで、「t3」が電子キー2からの電波送信のタイミングとなっている。この場合、車両1からランダム送信されたUWB電波Suwbが電子キー2に至るまでの伝搬時間Δtは、「Δt=t2−t1」となる。また、電子キー2からランダム送信されたUWB電波Suwbが車両1に至るまでの伝搬時間Δtは、「Δt=t4−t3」となる。このため、車両1及び電子キー2の間で送り合うUWB電波Suwbの伝搬時間「2Δt」は、前述の2式の左辺同士と右辺同士とを足すことにより、「(t2−t3)+(t4−t1)」で求まる。
【0050】
図6(b)の場合は、1組目に送り合うUWB電波Suwbにおいて、「t2」が電子キー2からの電波送信のタイミングで、「t3」が電子キー2の電波受信のタイミングとなっている。この場合、車両1からランダム送信されたUWB電波Suwbが電子キー2に至るまでの伝搬時間Δtは、「Δt=t3−t1」となる。また、電子キー2からランダム送信されたUWB電波Suwbが車両1に至るまでの伝搬時間Δtは、「Δt=t4−t2」となる。このため、車両1及び電子キー2の間で送り合うUWB電波Suwbの伝搬時間「2Δt」は、前述の2式の左辺同士と右辺同士とを足すことにより、「(t3−t2)+(t4−t1)」で求まる。
【0051】
ここで、「Δt=(t2−t3)+(t4−t1)」と「Δt=(t3−t2)+(t4−t1)」との両式を検証する。前式は(t2−t3)となっているのに対し、後式は(t3−t2)となっていて、「t2」と「t3」との前後位置が入れ替わっていることが分かる。しかし、前式も後式も受信タイミングから送信タイミングを引いているという関係性は一致しているので、計算結果は同一とみなすことができる。すなわち、車両1及び電子キー2で送り合うUWB電波Suwbが仮に交差することになっても、交差しないときと同じ計算結果が得られるのである。
【0052】
また、タイマ38に「ε1」の時間ずれがある場合を考えると、例えば図6(a)の例の計算においては、「(t2+ε1)−t1=Δt」と「t4−(t3+ε1)=Δt」との右左辺同士を足し合わせる計算の過程で、「ε1」が相殺される。よって、タイマ37,38の間に時間差があっても、距離計算上、何ら問題がないことが分かる。
【0053】
距離測定部32は、UWB電波Suwbの送り合った各組において、UWB電波Suwbの送受に要した伝搬時間である「2Δt」を算出する。一例としては、1組目の伝搬時間「2Δt」を「t1」〜「t4」から求め、2組目の伝搬時間「2Δt」を「t5」〜「t8」から求め、3組目の伝搬時間「2Δt」を「t9」〜「t12」から求める。このように、本例の伝搬時間「2Δt」は、1組〜3組の3つ得ることができる。
【0054】
なお、伝搬時間2Δtに用いるUWB電波Suwbのペアは、送り合った直近のもの同士に限らず、例えば最初の組の車両1→電子キー2に送られたUWB電波Suwbと2番目の組の電子キー2→車両1に送られたUWB電波Suwbとするなど、他の組を横断した組み合わせとしてもよい。すなわち、どの組み合わせであっても、車両1→電子キー2のUWB電波Suwbと電子キー2→車両1のUWB電波Suwbとの組み合わせであれば、同じ「2Δt」を計算することができる。
【0055】
距離測定部32は、組ごとに算出した「2Δt」において、2Δt=2(d/c)の式を用いて各組の距離dを測定する。本例の距離dとしては、「t1」〜「t4」から求めた伝搬時間「2Δt」に基づく演算距離と、「t5」〜「t8」から求めた伝搬時間「2Δt」に基づく演算距離と、「t9」〜「t12」から求めた伝搬時間「2Δt」に基づく演算距離とが算出される。
【0056】
照合ECU4は、組ごとに測定した距離(演算距離)dを基に、通信の正当性を確認する。具体的にいうと、組ごとに演算した距離dが全て一致又は許容範囲内に収まるか否かを確認する。照合ECU4は、組ごとに演算した距離dが全て一致又は許容範囲内に収まり、かつ距離dが規定値以内に収まること(すなわち、電子キー2が車両1の十分近くにあること)を確認すると、距離照合を成立として処理する。照合ECU4は、前述の各種ID照合及び距離照合が成立することを確認すると、スマート照合を成立とする。
【0057】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車両1及び電子キー2の双方がランダムなパターンでUWB電波Suwbを互いに送り合い、車両1及び電子キー2の双方において、UWB電波Suwbを送受したときのタイミング情報Dtiを計測し、それを車両1及び電子キー2の一方に集める。車両1及び電子キー2のうちタイミング情報Dtiを集めた側では、そのタイミング情報Dtiを基に、送受されたUWB電波Suwbの組ごとに2者間の距離dを測定する。このように、車両1及び電子キー2の2者間の距離dを測定するにあたっては、UWB電波Suwbが毎回異なるタイミングで送信されるので、例えば悪意のある第三者がUWB電波Suwbをコピーして無線機等で送信したとしても、UWB電波Suwbの送受のタイミングが正規と合わなくなる。このとき、組毎に算出される距離dが互いに一致しなくなるので、この場合の距離測定を無効とすることが可能となる。よって、ユーザの意図したタイミングで実施される距離測定とすることができる。すなわち、ユーザが真に実施したいと想定される機会に実行された距離測定のみ有効にすることができる。
【0058】
(2)車両1及び電子キー2の間で送り合う電波が単パルス(UWB電波Suwb)でよいので、通信制御が容易となる。
(3)UWB電波Suwbを車両1及び電子キー2の間で送り合うとき、電波の行き来が交差するのを許容しているので、UWB電波Suwbのやり取りに要する時間を短時間化することができる。
【0059】
(4)電子キー2がタイミング情報Dtiを車両1に送信するとき、タイミング情報Dtiを暗号通信によって車両1に送る。よって、タイミング情報Dtiを車両1に送信するときのセキュリティ性を確保することができる。
【0060】
(5)UWB電波Suwbを送り合う前に車両1及び電子キー2のペア正当性を事前認証部33により確認し、この事前認証が成立することを条件に、UWB電波Suwbの送り合いを開始する。よって、距離測定を行うにあたり、相手を間違えてしまうのを防止するのに有利となる。
【0061】
(6)図5に示す「t6」、「t7」のように、送受信のタイミングが極端に近くなると、車両1や電子キー2の通信部が送受信を切り替えるタイプ無線機の場合には、例えば電波送信の完了が受信に間に合わず、UWB電波Suwbを受信できないこともある。距離測定にあたって、距離dは状況に応じて適宜変わるので、どのような場合にUWB電波Suwbを受信できなくなるかは距離dによって異なる。そこで、本例の距離測定の場合には、車両1側と電子キー2側とでUWB電波Suwbの送受をランダムなタイミングとすることにより、送受するUWB電波Suwbの幾つかは必ずどちらも送受できるように設定することができる。なお、無線機の送受の切り替えで受信できない時間が分かっているのであれば、送信を優先した結果、電波受信できないことは明確である。よって、図5の場合、「t8−t5」が「2Δt±切り替えて受信できない時間」の許容範囲内であれば、UWB電波Suwbを受信できないことが、逆に正しい距離判定結果の証拠として取り扱うこともできる。
【0062】
(7)図7に示すように、UWB電波Suwbが車体などに反射する、いわゆるマルチパスとなった場合には、受信電波の波形が単なる1波、すなわち単パルスではなく、複数の波の塊となってしまう。この場合、最初に受信した電波r1だけを用いて距離測定すれば、マルチパスの影響を無視することができる。言い換えれば、マルチパスが発生したときには、次の電波r2と干渉してしまうので、通信レートを下げる、すなわち隣り合うパルスの距離を長くする必要がある。この場合、最初に受信した波だけを受信と判断するためには、干渉がなくなるまで待つ必要がるので、次の通信の始まりを遅くしなくてはならないが、本例はこの問題が発生しない。
【0063】
(8)UWB電波Suwbの受信にあたり、最初に受信したパルスのみを用いてタイミング情報Dtiを計測する。ところで、前述したように、UWB電波Suwbがマルチパスで反射した場合には、受信される電波波形が複数の波の塊として受信され、次の電波と干渉してしまうため、例えば通信レートを下げるなどの対策が必要となり、通信のスループットが長くなってしまう問題に繋がる。しかし、本例の場合は、最初に受信したパルスのみを用いて判定するので、これがマルチパス対策となり、距離測定をより正しく行うのに有利となる。
【0064】
(9)タイマ37,38のタイムスタンプの間に時間ずれ「ε1」が発生していても、距離演算の計算の過程で「ε1」が相殺される。よって、タイマ37,38のタイムスタンプに時間差があっても、距離演算には何ら影響しない。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図8図13に従って説明する。なお、第2実施形態は、UWB電波送受信回路22にバンドリジェクションフィルタ(BRF:Band Rejection Filter)を設けた実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を颯略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0066】
図8(a)にUWB電波Suwbの周波数スペクトルを図示し、図8(b)にノイズにUWB電波Suwbが合成された波形図を図示する。これら図から分かるように、UWB電波送受信回路22の回路構成を単純化するためにUWB電波Suwbを包絡線検波する回路構成をとると、UWB電波Suwbは広帯域であることから、いずれかの周波数のところにノイズが乗る可能性が高い。これに対処するには、ノイズ以上の電力でUWB電波Suwbを受信しなくてはならない。すなわち、UWB電波Suwbの信号レベルを「C」、ノイズのレベルを「N」とすると、C/N比が0dB以上でないと、UWB電波Suwbを受信することができないので、UWB電波Suwbを高レベルで送信する必要が生じてしまう。
【0067】
そこで、図9に示すように、本例の距離測定システム21は、UWB電波Suwbからノイズを除去してUWB電波SuwbのC/N比を改善する可能なノイズ除去部40を備える。ノイズ除去は車両1及び電子キー2の両方で行われることが好ましく、この場合には、車両1(UWB電波送受信回路22a)と電子キー2(UWB電波送受信回路22b)との両方にノイズ除去部40が設けられる。
【0068】
ノイズ除去部40は、受信したUWB電波Suwbからノイズを除去可能なフィルタ部41と、フィルタ部41を最適化しながらUWB電波Suwbに乗ったノイズを除去するフィルタ制御部42とを備える。フィルタ部41は、周波数変換のためのある周波数信号を出力する局部発振器43と、局部発振器43における信号の入出力を同期させるPLL(Phase Locked Loop)44と、2信号(第1アンプ25a,25bの出力信号、局部発振器43の周波数信号)を合成してイメージを除去するイメージリジェクションミキサ45と、イメージリジェクションミキサ45から出力される合成信号をフィルタリングするバンドリジェクションフィルタ46とを備える。なお、第1アンプ25a,25bの出力信号の周波数を「f」とすると、本例のイメージリジェクションミキサ45では、例えばf+fLO側のみを出力するものとし、f−fLO側はイメージリジェクションミキサ45又は図示しないBPFで除去するものとする。フィルタ制御部42は、車両1側のものが照合ECU4に設けられ、電子キー2側のものがキー制御部15に設けられる。フィルタ制御部42は、局部発振器43の周波数fLOを切り替えることにより、フィルタ部41の帯域を適宜切り替える。
【0069】
次に、図10図13を用いて、距離測定システム21の動作を説明する。
図10(a)に示すように、例えば局部発振器43の周波数fLOを、まずは初期値の2GHzとすると、UWB電波Suwbの帯域はハイバンドの場合、7.25〜10.25GHzの間であるので、帯域は9.25〜12.25GHzに変換される。ここで、図10(b)に示すように、バンドリジェクションフィルタ46の阻止帯域が11.75〜12.25GHzの場合、仮にノイズが9.75〜10.25GHzに存在していれば、それをリジェクションすることができ、C/N比が0dB以下であっても、UWB電波Suwbを送り合う通信が成立する。
【0070】
図11(a)に示すように、ノイズが除去できずに通信が成立しないときには、局部発振器43の周波数fLOを、初期値の2GHzから、他の値の例えば2.5GHzに切り替える。すると、UWB電波Suwbの帯域はハイバンドの場合、9.75〜12.75GHzに変換される。このため、図11(b)に示すように、バンドリジェクションフィルタ46の阻止帯域が11.75〜12.25GHzの場合、仮にノイズが9.25〜9.75GHzに存在していれば、それをリジェクションすることができるようになる。
【0071】
図12に、ノイズ除去動作の通信シーケンスを図示する。車両1からスマート通信時に送信されるLF電波(一例はウェイク信号Swk或いはUHF電波も可)を電子キー2が受信すると、電子キー2はUWB電波Suwbの送信を開始する。このとき、電子キー2は、ある一定の周波数でUWB電波Suwbを複数回送信し、複数回送信後、一定時間待機し、「複数回送信→送信待機」の一連の動作を繰り返す。同図の例では、電子キー2がUWB電波Suwbを2回送信し、数ms程度待機し、その一連動作を繰り返す。なお、UWB電波Suwbの送信を数ms程度待機してから次のUWB電波Suwbを送信するのは、局部発振器43において周波数fLOを切り替えるのに数msの時間を要するからである。また、1度の送信機会でUWB電波Suwbを複数回送信しているのは、通信の信頼性を確保するためであり、1回以上であれば何回でもよい。
【0072】
一方、車両1のUWB電波送受信回路22aは、自身の局部発振器43の周波数fLOを、まずは初期値の「f1」に設定しておく。このとき、電子キー2のUWB電波Suwbを車両1において受信することができれば、UWB電波Suwbの通信が確立することになる。この後、車両1の局部発振器43の周波数fLOが「f1」に設定され、以降の距離照合の通信が実行される。
【0073】
初期値の「f1」でUWB電波Suwbの通信が確立しないとき、局部発振器43の周波数fLOが「f1→f2→f3…」の順に、順次切り替えられていく。このため、スマート通信の通信環境下に所定周波数のノイズがあっても、局部発振器43の周波数fLOを順次切り替えていく過程で、何れかの周波数fLOでノイズが除去される。例えば、車両1の局部発振器43の周波数が「f3」に設定されたときにC/N比が改善されたことが確認されれば、局部発振器43の周波数が「f3」に設定される。
【0074】
車両1側のノイズ除去が完了すると、電子キー2側でも同様のノイズ除去の動作を実行する。すなわち、電子キー2のUWB電波送受信回路22bにおいて、局部発振器43の周波数fLOを初期値から切り替えながら、フィルタ部41を最適化することにより、UWB電波Suwbに乗るノイズを除去する。
【0075】
続いて、図13に示すフローチャートを用い、ノイズ除去動作のまとめを説明する。
ステップ101において、電子キー2(通信処理部29b)は、定期又は不定期のあるタイミング(スマート照合を開始すべきタイミング)において、車両1にUWB電波Suwbを送信する。
【0076】
ステップ102において、車両1(フィルタ制御部42)は、電子キー2から送信されたUWB電波Suwbを正常に受信できたか否かを判定する。UWB電波Suwbを正常に受信できたか否かの判定は、例えばUWB電波Suwbのデータ、すなわち単パルスを正常に読み込むことができたか否かを確認する処理であることが好ましい。UWB電波Suwbを正常に受信できればステップ103に移行し、UWB電波Suwbを正常に受信できなければステップ105に移行する。
【0077】
ステップ103において、フィルタ制御部42は、局部発振器43の周波数fLOを固定する。すなわち、UWB電波Suwbの通信がノイズに影響を受けることなく正常に確立することから、フィルタ部41の帯域が最適であるとし、局部発振器43の周波数fLOを現在値で維持する。
【0078】
ステップ104において、車両1は、電子キー2との距離照合の通信を開始する状態に入る。すなわち、車両1は、距離照合の通信の実行に備える。このように、フィルタ部41の帯域設定が完了したとき、その旨の通知を車両1から電子キー2に送信するとよい。電子キー2は、フィルタ部41の帯域設定が完了した通知を車両1から受信すると、UWB電波Suwbの送信を止め、逆にUWB電波Suwbの送信から所定時間内に同通知を受信することができなければ、UWB電波Suwbの繰り返し送信を継続するとよい。
【0079】
ステップ105において、フィルタ制御部42は、局部発振器43の周波数fLOを切り替えて、フィルタ部41の阻止帯域を変化させる。これにより、フィルタ部41の阻止帯域を他の範囲に切り替えて、通信環境下のノイズを除去できるか否かを試みる。
【0080】
ステップ106において、フィルタ制御部42は、局部発振器43の周波数fLOの切り替え回数が所定回数以下か否かを判定する。切り替え回数が所定回数以下ならば、ステップ101に戻り、周波数切り替え後のフィルタ部41でノイズが除去できるか否かが再実行される。一方、切り替え回数が所定回数を超えれば、通信環境下に発生しているノイズは除去できないとして、ステップ107に移行する。
【0081】
ステップ107において、フィルタ制御部42は、ノイズが原因でUWB電波Suwbの通信が実施できないと判断する。この場合、その旨を例えば車両1や電子キー2において音声報知や文字表示等によりユーザに通知してもよい。
【0082】
今度は、車両1から電子キー2へUWB電波Suwbを送信することにより、ステップ101〜107と同様の処理を実施して、電子キー2側でも同様のノイズ除去を実行する。そして、車両1及び電子キー2の両方でともに距離照合の通信の準備ができると、UWB電波Suwbを互いに送り合う距離照合が実行される。この距離照合においては、車両1及び電子キー2の間の距離dをノイズに影響を受けることなく正しく測定することが可能となる。
【0083】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(9)に加え、以下の効果を得ることができる。
(10)フィルタ部41の局部発振器43の周波数fLOを切り替えることにより、通信環境下に発生しているノイズに利くフィルタ部41の帯域を探索して、フィルタ部41を最適化する。これにより、UWB電波Suwbの通信環境下にノイズが発生していても、フィルタ部41の帯域をノイズに適合する帯域に合わせ込んでノイズを除去することが可能となるので、通信成立性を確保するのに有利となる。また、フィルタ部41が可変式であるので、複数の周波数のノイズに対応することもできる。
【0084】
(11)フィルタ部41をバンドリジェクションフィルタ46としたので、バンドリジェクションフィルタ46によって、ある周波数のノイズをターゲットにして、これを的確に除去することができる。
【0085】
(12)車両1及び電子キー2の一方からUWB電波Suwbを1度の送信において複数回送信するので、判定の信頼性を確保するのに有利となる。また、UWB電波Suwbの複数回送信を再実行するにあたり、所定時間、局部発振器43の周波数切り替わりを待つので、UWB電波Suwbを確実に相手に受け取らせるのに有利となる。
【0086】
(13)車両1及び電子キー2の両方にフィルタ部41が設けられていて、フィルタ部41の帯域設定を車両1及び電子キー2の両方で実行する。よって、車両1及び電子キー2の両方のフィルタ部41の最適化が可能となるので、通信成立性の確保に一層有利となる。
【0087】
(14)バンドリジェクションフィルタ46の帯域幅を例えば500MHzとした場合、UWB電波Suwbの帯域(7.25〜10.25GHz)は、フィルタ設定にあたり、500MHzごとに細分化されることになる。このため、フィルタ設定にあたっては、UWB電波Suwbを6セット送信すればよく、局部発振器43の周波数切り替えは5回で済む。よって、数十ms程度の局部発振器43の周波数切り替えに時間を要するだけで、フィルタ部41を最適化できる。また、電子キー2側でも同様の処理が行われることを踏まえても、フィルタ設定に要するトータル時間は100ms程度で済む。
【0088】
(15)フィルタ部41の帯域設定の電波送信に「100ms程度」の時間、そして局部発振器43の周波数設定に所定量の時間を要するだけで、ノイズ(狭帯域ノイズ)を除去することができる。
【0089】
(16)例えばUWB電波Suwbの通信を距離測定のみに特化すれば、この通信はLF帯及びUHF帯とは帯域が異なるため、距離測定をID照合の双方向通信と同期させることができる。よって、距離測定の通信を行うシーケンスをとっても、これが通信の待ち時間になる懸念はない。
【0090】
(17)通信環境下にノイズが発生していないと最初に判断できる場合には、局部発振器43において全ての周波数fLOで通信が確立する。よって、この場合には、局部発振器43の周波数fLOを例えば「5.0GHz」に設定するなど、フィルタ部41(バンドリジェクションフィルタ46)が一切かからないようにして通信を実行することもできる。
【0091】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、UWB電波Suwbは、単パルスの信号に限らず、複数のパルスから構築された信号でもよい。
【0092】
・各実施形態において、事前照合は、必ずしも距離照合の前であることに限らず、いつ実施されてもよい。
・各実施形態において、タイミング情報Dtiは、車両1ではなく、電子キー2に集めてもよい。この場合、距離照合は電子キー2で実施される。
【0093】
・各実施形態において、UWB電波Suwbの帯域は、ローバンドとしてもよい。
・第2実施形態において、ノイズフィルタは、バンドリジェクションフィルタに限定されず、他のフィルタに変更可能である。
【0094】
・第2実施形態において、フィルタ部41の構成(回路構成)は、実施形態以外に適宜変更できる。
・各実施形態において、UWB電波送受信回路22は、送信アンテナと受信アンテナとを別々に備えていてもよい。
【0095】
・各実施形態において、UWB電波送受信回路22aは車両1側の送受信機(車外送信機10、車内送信機11、車両受信機12)と一体化されてもよい。これは、UWB電波送受信回路22bも同様である。
【0096】
・各実施形態においてUWB電波Suwbは、専用のアンテナ(通信回路)から送信されることに限らず、例えば車両1に既設されたアンテナから送信されてもよい。
・各実施形態において、距離照合は、ID照合の前に実施されることに限らず、ID照合の途中や、ID照合の後に実施されてもよい。
【0097】
・各実施形態において、タイミング情報Dtiは、電波の送受がいつ実行されたのかが分かるデータであればよい。
・各実施形態において、UWB電波Suwbは、必ずしも超広帯域の電波に限らず、その付近の周波数も含めた電波のことをいう。
【0098】
・各実施形態において、電子キーシステム3は、例えば車体の左右に送信アンテナを設け、これらアンテナから送信される電波に対する電子キー2の応答を見て電子キー2の車内外位置を判定するものでもよい。
【0099】
・各実施形態において、通信マスタ19は、照合ECU4に限定されず、通信端末20と無線通信できるものであれば、他の部材に変更可能である。
・各実施形態において、通信端末20は、電子キー2に限らず、他の端末に変更可能である。
【0100】
・各実施形態において、距離測定システム21は、車両1に適用されることに限らず、他の装置や機器にも適用することができる。
・各実施形態において、第2実施形態のみの単独の技術思想としてもよい。すわなち、通信マスタ19及び通信端末20の距離dを測定する距離測定システム21において、UWB電波Suwbを用いることを前提とし、フィルタ部41の局部発振器43の周波数fLOを切り替えることにより、フィルタ部41を最適化しながら、2者間の距離dを測定するものでもよい。この場合も、ユーザの意図したタイミングで実施される距離測定とすることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…車両、2…電子キー、19…通信マスタ、20…通信端末、21…距離測定システム、29(29a,29b)…通信処理部、30(30a,30b)…タイミング情報計測部、31…情報収集部、31a…情報収集部の一例である情報通知部、31b…情報収集部の一例である情報取得部、32…距離測定部、33…事前認証部、41…フィルタ部、42…フィルタ制御部、43…局部発振器、46…バンドリジェクションフィルタ、d…距離、Suwb…UWB電波、Dti…タイミング情報、Dti−A…送信タイミング情報、Dti−B…受信タイミング情報、Δt(2Δt)…伝搬時間、fLO…局部発振器の周波数。
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