(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の切替装置、送受信装置、及びアンテナ装置を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のフェーズドアレイアンテナ1の構成図である。フェーズドアレイアンテナ1は、複数のアンテナ素子10−1〜10−nと、複数のLNA(Low Nose Amplifier)20−1〜20−nと、複数の移相器30−1〜30−nと、合成器40と、複数のPA(Power Amplifier)50−1〜50−nと、複数の移相器60−1〜60−nと、分配器70と、複数の切替装置100−1〜100−nとを備える。
【0010】
アンテナ素子10−1〜10−nを用いて信号を送信する場合、分配器70は送信信号を移相器60−1〜60−nに分配する。移相器60−1〜60−nは、分配されたそれぞれの送信信号の位相を調整し、PA50−1〜50−nに出力する。PA50−1〜50−nは、移相器60−1〜60−nにより位相を調整された信号をそれぞれ増幅し、切替装置100−1〜100−nに出力する。
【0011】
切替装置100−1〜100−nがアンテナ素子10−1〜10−nを用いて信号を送信する場合、外部の制御部(不図示)から切替装置100−1〜100−nに送信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、切替装置100−1〜100−nは、PA50−1〜50−nから入力された信号をアンテナ素子10−1〜10−nに送信するよう内部の信号伝達ルートを切り替える。
【0012】
また、詳細は後述するが、切替装置100−1〜100−nは、PA50−1〜50−nから入力された信号から送信周波数の成分の信号を抽出するフィルタ機能を有する。切替装置100−1〜100−nは、抽出した送信周波数の成分の信号をアンテナ素子10−1〜10−nへと出力する。
【0013】
一方、アンテナ素子10−1〜10−nを用いて信号を受信する場合、外部の制御部(不図示)から切替装置100−1〜100−nに受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、切替装置100−1〜100−nは、アンテナ素子10−1〜10−nからの信号をLNA20−1〜20−nに送信するよう内部の信号伝達ルートを切り替える。
【0014】
また、詳細は後述するが、切替装置100−1〜100−nは、アンテナ素子10−1〜10−nから入力された信号から受信周波数の成分の信号を抽出するフィルタ機能を有する。切替装置100−1〜100−nは、抽出した受信周波数の成分の信号をLNA20−1〜20−nへと出力する。
【0015】
LNA20−1〜20−nは、ノイズの発生が少ない増幅器である。LNA20−1〜20−nは、切替装置100−1〜100−nから入力された信号を増幅し、移相器30−1〜30−nに出力する。移相器30−1〜30−nは、LNA20−1〜20−nから入力されたそれぞれの信号の位相を調整し、合成器40に出力する。
【0016】
合成器40は、移相器30−1〜30−nから入力された信号を合成し、合成波を出力する。このような構成によって、各移相器30−1〜30−nがそれぞれの信号の位相を調整し、合成器40が位相を調整されたそれぞれの信号を合成することで、特定方向に送信信号を出力し、また特定方向からの信号を高感度に受信することができる。
【0017】
図2は、第1の実施形態の切替装置100の構成図である。以下、いずれの系列のアンテナ素子、切替装置、LNA、PA、または移相器であるかを示す「−」以下の符号を省略して説明する。切替装置100は、アンテナ素子10に接続される第1の端子101と、PA50に接続される第2の端子104と、LNA20に接続される第3の端子106とを備える。また、切替装置100は、第1の端子101に接続された周波数可変共振器102と、第2の端子104に接続された共振器103と、第3の端子106に接続された共振器105と、第4の端子107に接続された周波数設定部108とを備える。
【0018】
本実施形態において、送信周波数と受信周波数とは異なる。具体的には、送信周波数はf
1、受信周波数はf
2である。周波数設定部108は、周波数可変共振器102の共振周波数をf
1とf
2のいずれかに設定する。
【0019】
本実施形態において、共振器103は1つだけでもよいが、フィルタ特性を向上させるために損失との兼ね合いを考慮したうえで複数設けられることが好ましい。また、共振器105についても同様に、フィルタ特性を向上させるために損失との兼ね合いを考慮したうえで複数設けられることが好ましい。
図2では、共振器103が2つ設けられ、共振器105が2つ設けられた例を示している。周波数可変共振器102の共振周波数はf
1またはf
2に変更可能であるが、共振器103の共振周波数はf
1に固定され、共振器105の共振周波数はf
2に固定されている。
【0020】
周波数可変共振器102、共振器103、及び共振器105は、例えば
図3に示されるように、基板上に形成されたマイクロストリップラインのパターンを有する構造としてよい。ここで、2つの基板の間隔は、周波数可変共振器102と共振器105の間との間で電磁界結合が成立する距離となるように設定されている。また、基板上における周波数可変共振器102と共振器103の距離、共振器103と共振器103の間の距離、及び共振器105と共振器105の間の距離も、電磁界結合が成立する距離となるように設定されている。ここで、各共振器間の距離を調整するために結合を補助する線路などを別途配置しても良い。
【0021】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を送信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を送信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に送信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部108は周波数可変共振器102の共振周波数をf
1に設定する。
【0022】
PA50により増幅された信号は、第2の端子104に入力される。共振器103の共振周波数はf
1であるため、共振器103は第2の端子104から入力された信号から周波数f
1の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。一方、周波数可変共振器102の共振周波数はf
1に設定されている。周波数可変共振器102の共振周波数(f
1)と共振器103の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器102と共振器103との間に電磁界結合が成立する。ここで、電磁界結合とは、電磁波による無線結合を意味する。ここで、結合の例として共振器102と共振器103が同じ共振周波数f
1となる場合を扱っているが、若干共振周波数がずれた場合も結合するため、多少の共振周波数のずれは許容できる。
【0023】
周波数可変共振器102と共振器103との間に電磁界結合が成立すると、周波数可変共振器102は、共振器103から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を第1の端子101へと出力することができる。出力された周波数f
1の信号は、アンテナ素子10へと送信される。
【0024】
一方、周波数可変共振器102の共振周波数(f
1)と共振器105の共振周波数(f
2)とは異なるため、周波数可変共振器102と共振器105との間に電磁界結合は成立しない。従って、送信信号が受信側の共振器105に回り込んで共振器105を破損することを防止することができるとともに、不要な経路がないため送信信号の強度の低下を防止することができる。
【0025】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を受信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を受信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部108は周波数可変共振器102の共振周波数をf
2に設定する。
【0026】
アンテナ素子10により受信された信号は、第1の端子101に入力される。周波数可変共振器102の共振周波数はf
2に設定されているため、周波数可変共振器102は第1の端子101から入力された信号から周波数f
2の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。周波数可変共振器102の共振周波数(f
2)と共振器105の共振周波数(f
2)とは等しいため、周波数可変共振器102と共振器105との間に電磁界結合が成立する。ここで、結合の例として共振器102と共振器105が同じ共振周波数f
2となる場合を扱っているが、若干共振周波数がずれた場合も結合するため、多少の共振周波数のずれは許容できる。
【0027】
周波数可変共振器102と共振器105との間に電磁界結合が成立すると、共振器105は、周波数可変共振器102から出力された周波数f
2の信号を受信し、受信した信号を第3の端子106へと出力することができる。出力された周波数f
2の信号は、第3の端子106からLNA20に入力される。
【0028】
一方、周波数可変共振器102の共振周波数(f
2)と共振器103の共振周波数(f
1)とは異なるため、周波数可変共振器102と共振器103との間に電磁界結合は成立しない。従って、受信信号が送信側の共振器103に回り込むことを防止することができる。
【0029】
このように、周波数設定部108が周波数可変共振器102の共振周波数の設定を切り替えることで、周波数可変共振器102と共振器103との間で電磁界結合を成立させるか、または周波数可変共振器102と共振器105との間で電磁界結合を成立させるかを切り替えることができる。なお、各共振器間の電磁界結合を確実に切断するために、周波数f
2は周波数f
1からできるだけ離れた値に設定することが好ましい。
【0030】
図4は、周波数可変共振器102が共振周波数を変更する仕組みを説明するための図である。周波数可変共振器102の両端部には、可変コンデンサ150、151がそれぞれ設けられている。周波数設定部108は、可変コンデンサ150及び151の静電容量を変更することにより、周波数可変共振器102の共振周波数を切り替えることができる。
【0031】
なお、周波数可変共振器102の構成は、
図4に示すものに限られない。例えば、可変コンデンサに代えて可変コイルを設け、周波数設定部108が可変コイルのインダクタンスを変更するようにしてもよい。また、周波数設定部108が周波数可変共振器102に誘電体を近づけたり遠ざけたりすることで、周波数可変共振器102の共振周波数を変更してもよい。また、スイッチ等により物理的な電気長を可変しても良い。
【0032】
周波数設定部108は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やプログラムメモリ、各種インターフェース等を有するマイクロコンピュータである。また、周波数設定部108は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよい。周波数設定部108は、以下に説明するように、送信モードへの切替信号を受信した場合には周波数可変共振器102の共振周波数をf
1に設定し、受信モードへの切替信号を受信した場合には周波数可変共振器102の共振周波数をf
2に設定する。
【0033】
図5は、第1の実施形態の周波数設定部108による処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、周波数設定部108は、外部の制御部から第4の端子107を介して切替信号を受信するまで待機する(ステップS100)。切替信号は、送信モードへの切替信号と、受信モードへの切替信号のいずれかである。周波数設定部108が切替信号を受信すると(ステップS100のYES)、周波数設定部108は、受信した切替信号が送信モードへの切替信号であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0034】
受信した切替信号が送信モードへの切替信号である場合(ステップS101のYES)、周波数設定部108は、周波数可変共振器102の共振周波数をf
1に設定する(ステップS102)。この結果、周波数可変共振器102の共振周波数(f
1)と共振器103の共振周波数(f
1)は等しくなり、周波数可変共振器102と共振器103との間に電磁界結合が成立する。一方、周波数可変共振器102の共振周波数(f
1)と共振器105の共振周波数(f
2)は異なるものとなり、周波数可変共振器102と共振器105との間に電磁界結合は成立しない。従って、第2の端子104に入力された信号のうち周波数f
1の成分の信号は、共振器103及び周波数可変共振器102の信号伝達ルートを経て第1の端子101に出力される。
【0035】
一方、受信した切替信号が送信モードへの切替信号ではない場合、即ち受信モードへの切替信号を受信した場合(ステップS101のNO)、周波数設定部108は、周波数可変共振器102の共振周波数をf
2に設定する(ステップS103)。この結果、周波数可変共振器102の共振周波数(f
2)と共振器105の共振周波数(f
2)は等しくなり、周波数可変共振器102と共振器105との間に電磁界結合が成立する。一方、周波数可変共振器102の共振周波数(f
2)と共振器103の共振周波数(f
1)とは異なるものとなり、周波数可変共振器102と共振器103との間の電磁界結合が成立しなくなる。従って、第1の端子101に入力された信号は、周波数可変共振器102及び共振器105の信号伝達ルートを経て第3の端子106に出力される。
【0036】
ステップS102の処理またはステップS103の処理が完了すると、周波数設定部108はステップS100に戻り、再び切替信号を受信するまで待機する。このように、周波数設定部108が切替信号を受信する度にステップS101〜S103の処理が繰り返し実行される。
【0037】
このように、周波数設定部108が周波数可変共振器102の共振周波数の設定を切り替えることで、周波数可変共振器102と共振器103との間、あるいは周波数可変共振器102と共振器105との間のいずれか一方のみ電磁界結合を成立させることができる。これによって、周波数f
1の送信信号が受信側の共振器105へ回り込むことを防止できるため、受信側の共振器105を保護しつつ、送信信号の強度の低下を抑制することができる。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、アンテナ素子10に接続された周波数可変共振器102と、周波数可変共振器102と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な共振器103と、周波数可変共振器102と第2の周波数(f
2)で電磁界結合可能な共振器105と、周波数可変共振器102の共振周波数を、第1の周波数(f
1)または第2の周波数(f
2)に設定する周波数設定部108とを備えることにより、装置を保護しつつ、信号の強度の低下を抑制することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の切替装置100の構成図である。第2の実施形態は、受信側の共振器を超伝導共振器とした点で第1の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
【0040】
本実施形態の切替装置100には、第1の実施形態における共振器105に代えて、超伝導共振器116が設けられている。超伝導共振器116は1つだけでもよいが、フィルタ特性を向上させるために損失との兼ね合いを考慮したうえで複数設けられることが好ましい。
図6では、超伝導共振器116が2つ設けられた例を示している。周波数可変共振器102の共振周波数はf
1またはf
2に変更可能であるが、共振器103の共振周波数はf
1に固定され、超伝導共振器116の共振周波数はf
2に固定されている。なお、本実施形態における信号送信時の動作は、第1の実施形態における信号送信時の動作と同様である。
【0041】
アンテナ素子10を用いて信号を受信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を受信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部108は周波数可変共振器102の共振周波数をf
2に設定する。
【0042】
アンテナ素子10により受信された信号は、第1の端子101に入力される。周波数可変共振器102の共振周波数はf
2に設定されているため、周波数可変共振器102は第1の端子101から入力された信号から周波数f
2の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。周波数可変共振器102の共振周波数(f
2)と超伝導共振器116の共振周波数(f
2)とは等しいため、周波数可変共振器102と超伝導共振器116との間に電磁界結合が成立する。
【0043】
周波数可変共振器102と超伝導共振器116との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器116は、周波数可変共振器102から出力された周波数f
2の信号を受信し、受信した信号を第3の端子106へと出力することができる。出力された周波数f
2の信号は、第3の端子106からLNA20に入力される。
【0044】
超伝導共振器116は、冷却板110上に設けられている。冷却板110は、冷却部111によって冷却される。冷却板110には熱伝導率の高い材料を用いることが好ましく、例えば銅等の金属を用いるとよい。また、冷却制御部113は、冷却板110上に設けられた温度計112の検知温度に基づき冷却部111を制御する。冷却制御部113は、超伝導共振器116が超伝導状態となる臨界温度Tc以下となるまで十分冷却されるように、冷却部111を制御する。
【0045】
超伝導共振器116は、超伝導状態となる臨界温度Tc以下まで冷却されると、電気抵抗が大きく低下する。このため、臨界温度Tc以下まで十分冷却された超伝導共振器116を切替装置100に用いることで、信号の損失を低減することができる。一例として、超伝導共振器116は、酸化マグネシウム基板上にイットリウム系超伝導体のマイクロストリップラインを設けた構造とすればよい。また、超伝導材料には、ニオブまたはニオブすずといった超電導体、およびY系銅酸化物高温超伝導を用いても良い。また、超伝導体と銅、金、銀といった金属が複合されても良い。基板は、酸化マグネシウム、サファイアまたはアルミン酸ランタンといった、多様の適した材料を用いても良い。
【0046】
図7は、超伝導共振器の温度変化に基づくフィルタ特性の変化の一例を示す図である。
図7は、超伝導共振器がマイクロストリップパターンを1つ有する場合の変化の一例を示している。
図7に示されるように、超伝導共振器の温度が88Kのときには、超伝導共振器はフィルタとして機能しない。しかし、超伝導共振器が86K、80K、70Kと冷却されるにつれて、急峻なフィルタ特性を示すようになる。
【0047】
図8は、臨界温度まで冷却された超伝導共振器のフィルタ特性と、常温で使用される共振器(常伝導共振器)のフィルタ特性の一例を示す図である。
図8は、共振器が複数のマイクロストリップパターンを有する場合の一例を示す。共振器に複数のマイクロストリップパターンを設けることによって、フィルタのカットオフ特性を急峻にすることができる。また、フィルタ特性のピークをフラットにし、抽出する信号の周波数範囲を広げることができる。
【0048】
また、
図8に示される通り、超伝導共振器116は常伝導共振器に比べて急峻なカットオフ特性を有する。従って、切替装置100に超伝導共振器116を用いることで、目的の周波数範囲の信号を効率よく抽出することができる。
【0049】
また、超伝導共振器116、冷却板110、冷却部111、及び温度計112は、チャンバー114の内部に収容されている。真空ポンプ115は、チャンバー114の内部の空気を吸い出すことで、チャンバー114の内部を真空に近い状態にする。これによって、高い断熱効果が得られ、冷却部111の冷却効率を高めることができる。
【0050】
第2の実施形態の周波数設定部108による処理の流れは、第1の実施形態の周波数設定部108による処理の流れと同様である。すなわち、第2の実施形態の周波数設定部108は、
図5に示されるフローチャートを実行する。
【0051】
以上説明した本実施形態によれば、アンテナ素子10に接続された周波数可変共振器102と、周波数可変共振器102と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な共振器103と、周波数可変共振器102と第2の周波数(f
2)で電磁界結合可能な超伝導共振器116と、周波数可変共振器102の共振周波数を、第1の周波数(f
1)または第2の周波数(f
2)に設定する周波数設定部108とを備えることにより、第1の実施形態と同様に、装置を保護しつつ、信号の強度の低下を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、受信側の共振器として超伝導共振器116を用いることで、受信信号の損失を低減することができるとともに、目的の周波数範囲の信号を効率よく抽出することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態の切替装置100の構成図である。第3の実施形態は、2つの周波数可変共振器121及び123を備える点で第1の実施形態と異なる。第1及び第2の本実施形態は、送信周波数(f
1)と受信周波数(f
2)が異なることを前提としているが、本実施形態は、送信周波数と受信周波数が同じ周波数の場合に適用できる。以下、係る相違点を中心に説明する。
【0054】
切替装置100は、第1の端子101に接続された共振器120と、第2の端子104に接続された共振器122と、第3の端子106に接続された共振器124と、第4の端子107に接続された周波数設定部125とを備える。また、切替装置100は、周波数可変共振器121及び123を備える。周波数設定部125は、周波数可変共振器121及び123の共振周波数をf
1とf
2のいずれかに設定する。
【0055】
周波数可変共振器121及び123の共振周波数はf
1またはf
2に変更可能であるが、共振器120、122、及び124の共振周波数はf
1に固定されている。なお、各共振器は1つだけでもよいが、フィルタ特性を向上させるために損失との兼ね合いを考慮したうえで複数設けられることが好ましい。ここでは例として周波数可変共振器121と周波数可変超伝導共振器123をf
1とf
2の同じ周波数に可変しているが、必ずしも同じ周波数にする必要はなく、周波数可変共振器121をf
1とf
2に可変、波数可変超伝導共振器123をf
1とf
3に可変しても良い。
【0056】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を送信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を送信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に送信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
1に設定するとともに、周波数可変共振器123の共振周波数をf
2に設定する。
【0057】
PA50は送信信号を増幅し、第2の端子104に入力する。共振器122の共振周波数はf
1であるため、共振器122は第2の端子104から入力された信号から周波数f
1の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。一方、周波数可変共振器121の共振周波数はf
1に設定されている。周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)と共振器122の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器121と共振器122との間に電磁界結合が成立する。
【0058】
周波数可変共振器121と共振器122との間に電磁界結合が成立すると、周波数可変共振器121は、共振器122から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を出力することができる。また、周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)と共振器120の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立する。
【0059】
周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立すると、共振器120は、周波数可変共振器121から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を第1の端子101へと出力することができる。出力された周波数f
1の信号は、アンテナ素子10へと送信される。
【0060】
一方、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器123の共振周波数(f
2)とは異なるため、共振器120と周波数可変共振器123との間に電磁界結合は成立しない。従って、送信信号が受信側の周波数可変共振器123に回り込んで周波数可変共振器123を破損することを防止することができるとともに、送信信号の強度の低下を防止することができる。
【0061】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を受信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を受信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部125は周波数可変共振器121の共振周波数をf
2に設定するとともに、周波数可変共振器123の共振周波数をf
1に設定する。
【0062】
アンテナ素子10により受信された信号は、第1の端子101に入力される。共振器120の共振周波数はf
1であるため、共振器120は第1の端子101から入力された信号から周波数f
1の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。また、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器123の共振周波数(f
1)とは等しいため、共振器120と周波数可変共振器123との間に電磁界結合が成立する。
【0063】
共振器120と周波数可変共振器123との間に電磁界結合が成立すると、周波数可変共振器123は、共振器120から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を出力することができる。また、周波数可変共振器123の共振周波数(f
1)と共振器124の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器123と共振器124との間に電磁界結合が成立する。
【0064】
周波数可変共振器123と共振器124との間に電磁界結合が成立すると、共振器124は、周波数可変共振器123から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を第3の端子106へと出力することができる。出力された周波数f
1の信号は、第3の端子106からLNA20に入力される。
【0065】
一方、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)とは異なるため、共振器120と周波数可変共振器121との間に電磁界結合は成立しない。従って、受信信号が送信側の周波数可変共振器121に回り込むことを防止することができる。
【0066】
周波数設定部125は、例えば、CPUやプログラムメモリ、各種インターフェース等を有するマイクロコンピュータである。また、周波数設定部125は、LSIやASIC等によって実現されてもよい。周波数設定部125は、以下に説明するように、送信モードへの切替信号を受信した場合には、周波数可変共振器121の共振周波数をf
1に設定するとともに、周波数可変共振器123の共振周波数をf
2に設定する。また、周波数設定部125は、受信モードへの切替信号を受信した場合には、周波数可変共振器121の共振周波数をf
2に設定するとともに、周波数可変共振器123の共振周波数をf
1に設定する。
【0067】
図10は、第3の実施形態の周波数設定部125による処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、周波数設定部125は、外部の制御部から第4の端子107を介して切替信号を受信するまで待機する(ステップS300)。周波数設定部125が切替信号を受信すると(ステップS300のYES)、周波数設定部125は、受信した切替信号が送信モードへの切替信号であるか否かを判定する(ステップS301)。
【0068】
受信した切替信号が送信モードへの切替信号である場合(ステップS301のYES)、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
1に設定する(ステップS302)。この結果、共振器122の共振周波数(f
1)、周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)、及び共振器120の共振周波数(f
1)は等しくなり、共振器122と周波数可変共振器121との間及び周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立する。
【0069】
次に、周波数設定部125は、周波数可変共振器123の共振周波数をf
2に設定する(ステップS303)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器123の共振周波数(f
2)とは異なるものとなり、共振器120と周波数可変共振器123との間に電磁界結合は成立しなくなる。従って、第2の端子104に入力された信号のうち周波数f
1の成分の信号は、共振器122、周波数可変共振器121、及び共振器120の信号伝達ルートを経て第1の端子101に出力される。
【0070】
一方、受信した切替信号が送信モードへの切替信号ではない場合、即ち受信モードへの切替信号を受信した場合(ステップS301のNO)、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
2に設定する(ステップS304)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)は異なるものとなり、共振器120と周波数可変共振器121との間に電磁界結合は成立しなくなる。また、周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)と共振器122の共振周波数(f
1)は異なるものとなり、周波数可変共振器121と共振器122との間にも電磁界結合は成立しなくなる。
【0071】
次に、周波数設定部125は、周波数可変共振器123の共振周波数をf
1に設定する(ステップS305)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器123の共振周波数(f
1)とは等しくなり、共振器120と周波数可変共振器123との間に電磁界結合が成立する。従って、第1の端子101に入力された信号は、共振器120、周波数可変共振器123、及び共振器124の信号伝達ルートを経て第3の端子106に出力される。
【0072】
ステップS303の処理またはステップS305の処理が完了すると、周波数設定部125はステップS300に戻り、再び切替信号を受信するまで待機する。このように、周波数設定部125が切替信号を受信する度にステップS301〜S305の処理が繰り返し実行される。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、アンテナ素子10に接続された共振器120と、共振器120と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な周波数可変共振器121と、共振器120と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な周波数可変共振器123と、周波数可変共振器121及び123の共振周波数を、第1の周波数(f
1)または第2の周波数(f
2)に設定する周波数設定部125とを備えることにより、第1及び第2の実施形態と同様に、装置を保護しつつ、信号の強度の低下を抑制することができる。
【0074】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態の切替装置100の構成図である。第4の実施形態は、第3の実施形態と同様に、送信周波数と受信周波数が同じ周波数の場合に適用できる。しかし、第4の実施形態は、受信側の共振器を超伝導共振器とした点で第3の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
【0075】
本実施形態の切替装置100には、第3の実施形態における周波数可変共振器123に代えて、周波数可変超伝導共振器130が設けられている。また、本実施形態の切替装置100には、第3の実施形態における共振器124に代えて、超伝導共振器131が設けられている。
【0076】
切替装置100は、第1の端子101に接続された共振器120と、第2の端子104に接続された共振器122と、第3の端子106に接続された超伝導共振器131と、第4の端子107に接続された周波数設定部125とを備える。また、切替装置100は、周波数可変共振器121と、周波数可変超伝導共振器130とを備える。周波数設定部125は、周波数可変共振器121及び周波数可変超伝導共振器130の共振周波数をf
1とf
2のいずれかに設定する。
【0077】
周波数可変共振器121及び周波数可変超伝導共振器130の共振周波数はf
1またはf
2に変更可能であるが、共振器120、共振器122、及び超伝導共振器131の共振周波数はf
1に固定されている。各共振器は1つだけでもよいが、フィルタ特性を向上させるために損失との兼ね合いを考慮したうえで複数設けられることが好ましい。
【0078】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を送信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を送信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に送信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
1に設定するとともに、周波数可変超伝導共振器130の共振周波数をf
2に設定する。
【0079】
PA50は送信信号を増幅し、第2の端子104に入力する。共振器122の共振周波数はf
1であるため、共振器122は第2の端子104から入力された信号から周波数f
1の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。一方、周波数可変共振器121の共振周波数はf
1に設定されている。周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)と共振器122の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器121と共振器122との間に電磁界結合が成立する。
【0080】
周波数可変共振器121と共振器122との間に電磁界結合が成立すると、周波数可変共振器121は、共振器122から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を出力することができる。また、周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)と共振器120の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立する。
【0081】
周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立すると、共振器120は、周波数可変共振器121から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を第1の端子101へと出力することができる。出力された周波数f
1の信号は、アンテナ素子10へと送信される。
【0082】
一方、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変超伝導共振器130の共振周波数(f
2)とは異なるため、共振器120と周波数可変超伝導共振器130との間に電磁界結合は成立しない。従って、送信信号が受信側の周波数可変超伝導共振器130に回り込んで周波数可変超伝導共振器130を破損することを防止することができるとともに、送信信号の強度の低下を防止することができる。
【0083】
次に、アンテナ素子10を用いて信号を受信する場合の切替装置100の動作について説明する。切替装置100がアンテナ素子10を用いて信号を受信する場合、外部の制御部(不図示)から第4の端子107に受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
2に設定するとともに、周波数可変超伝導共振器130の共振周波数をf
1に設定する。
【0084】
アンテナ素子10により受信された信号は、第1の端子101に入力される。共振器120の共振周波数はf
1であるため、共振器120は第1の端子101から入力された信号から周波数f
1の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。また、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変超伝導共振器130の共振周波数(f
1)とは等しいため、共振器120と周波数可変超伝導共振器130との間に電磁界結合が成立する。
【0085】
共振器120と周波数可変超伝導共振器130との間に電磁界結合が成立すると、周波数可変超伝導共振器130は、共振器120から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を出力することができる。また、周波数可変超伝導共振器130の共振周波数(f
1)と超伝導共振器131の共振周波数(f
1)とは等しいため、周波数可変超伝導共振器130と超伝導共振器131との間に電磁界結合が成立する。
【0086】
周波数可変超伝導共振器130と超伝導共振器131との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器131は、周波数可変超伝導共振器130から出力された周波数f
1の信号を受信し、受信した信号を第3の端子106へと出力することができる。出力された周波数f
1の信号は、第3の端子106からLNA20に入力される。
【0087】
一方、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)とは異なるため、共振器120と周波数可変共振器121との間に電磁界結合は成立しない。従って、受信信号が送信側の共振器103に回り込むことを防止することができる。
【0088】
周波数可変超伝導共振器130及び超伝導共振器131は、冷却板134上に設けられている。冷却板134は、冷却部135によって冷却される。また、冷却制御部137は、冷却板134上に設けられた温度計136の検知温度に基づき冷却部135を制御する。周波数可変超伝導共振器130及び超伝導共振器131は、冷却部135により周波数可変超伝導共振器130及び超伝導共振器131が超伝導状態となる臨界温度Tc以下まで十分冷却される。
【0089】
また、周波数可変超伝導共振器130、超伝導共振器131、冷却板134、冷却部135、及び温度計136は、チャンバー138の内部に収容されている。真空ポンプ139は、チャンバー138の内部の空気を吸い出すことで、チャンバー138の内部を真空に近い状態にする。これによって、高い断熱効果が得られ、冷却部135の冷却効率を高めることができる。
【0090】
図12は、第4の実施形態の周波数設定部125による処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、周波数設定部125は、外部の制御部から第4の端子107を介して切替信号を受信するまで待機する(ステップS400)。周波数設定部125が切替信号を受信すると(ステップS400のYES)、周波数設定部125は、受信した切替信号が送信モードへの切替信号であるか否かを判定する(ステップS401)。
【0091】
受信した切替信号が送信モードへの切替信号である場合(ステップS401のYES)、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
1に設定する(ステップS402)。この結果、共振器122の共振周波数(f
1)、周波数可変共振器121の共振周波数(f
1)、及び共振器120の共振周波数(f
1)は等しくなり、共振器122と周波数可変共振器121との間及び周波数可変共振器121と共振器120との間に電磁界結合が成立する。
【0092】
次に、周波数設定部125は、周波数可変超伝導共振器130の共振周波数をf
2に設定する(ステップS403)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変超伝導共振器130の共振周波数(f
2)とは異なるものとなり、共振器120と周波数可変超伝導共振器130との間に電磁界結合は成立しなくなる。従って、第2の端子104に入力された信号のうち周波数f
1の成分の信号は、共振器122、周波数可変共振器121、及び共振器120の信号伝達ルートを経て第1の端子101に出力される。
【0093】
一方、受信した切替信号が送信モードへの切替信号ではない場合、即ち受信モードへの切替信号を受信した場合(ステップS401のNO)、周波数設定部125は、周波数可変共振器121の共振周波数をf
2に設定する(ステップS404)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)は異なるものとなり、共振器120と周波数可変共振器121との間に電磁界結合は成立しなくなる。また、周波数可変共振器121の共振周波数(f
2)と共振器122の共振周波数(f
1)は異なるものとなり、周波数可変共振器121と共振器122との間にも電磁界結合は成立しなくなる。
【0094】
次に、周波数設定部125は、周波数可変超伝導共振器130の共振周波数をf
1に設定する(ステップS405)。この結果、共振器120の共振周波数(f
1)と周波数可変超伝導共振器130の共振周波数(f
1)とは等しくなり、共振器120と周波数可変超伝導共振器130との間に電磁界結合が成立する。従って、第1の端子101に入力された信号は、共振器120、周波数可変超伝導共振器130、及び超伝導共振器131の信号伝達ルートを経て第3の端子106に出力される。
【0095】
ステップS403の処理またはステップS405の処理が完了すると、周波数設定部125はステップS400に戻り、再び切替信号を受信するまで待機する。このように、周波数設定部125が切替信号を受信する度にステップS401〜S405の処理が繰り返し実行される。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、アンテナ素子10に接続された共振器120と、共振器120と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な周波数可変共振器121と、共振器120と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な周波数可変超伝導共振器130と、周波数可変共振器121及び周波数可変超伝導共振器130の共振周波数を、第1の周波数(f
1)または第2の周波数(f
2)に設定する周波数設定部125とを備えることにより、第1〜第3の実施形態と同様に、装置を保護しつつ、信号の強度の低下を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、受信側の共振器として周波数可変超伝導共振器130を用いることで、受信信号の損失を低減することができるとともに、目的の周波数範囲の信号を効率よく抽出することができる。
【0098】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アンテナ素子10に接続され、共振周波数を変更可能な第1の共振器102と、第1の共振器102と第1の周波数(f
1)で電磁界結合可能な第2の共振器103と、第1の共振器102と第1の周波数(f
1)とは異なる第2の周波数(f
2)で電磁界結合可能な第3の共振器105と、第1の共振器102の共振周波数を、第1の周波数(f
1)または第2の周波数(f
2)に設定する周波数設定部108とを持つことにより、装置を保護しつつ、信号の強度の低下を抑制することができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。