(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334328
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ装着装置
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20180521BHJP
A61F 9/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
G02C7/04
A61F9/00 100
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-176420(P2014-176420)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-51074(P2016-51074A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年8月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510203809
【氏名又は名称】株式会社エクスプロア
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【審査官】
山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04026591(US,A)
【文献】
特開2014−115418(JP,A)
【文献】
実開昭63−130027(JP,U)
【文献】
特開2007−222309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
A61F 2/00、2/02−2/80、
3/00−4/00、9/00
A61L 2/00−2/28、11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズ収容容器からコンタクトレンズを取り出し、眼球に装着するためのコンタクトレンズ装着装置において、前記コンタクトレンズ装着装置の頂部にコンタクトレンズ収容容器から該コンタクトレンズを取り出して受け皿に載置するガイド付き受け皿を有する押出しロッドと、前記押出しロッドを収容し、外筒頂部に瞼ガードを有する外筒を備えて構成され、前記外筒頂部に設置された瞼ガードを眼球周囲の瞼に押し当て、前記外筒内部に収容された押出しロッドを眼球方向に押し出し、前記押出しロッドの頂部に載置されたコンタクトレンズを眼球に装着することを可能にすることを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【請求項2】
請求項1のコンタクトレンズ装着装置において、前記押出しロッドと前記外筒との間にバネが挿入結合され、前記押出しロッドを押し出したのち、前記バネが結合された前記押出しロッドを押し出し初期位置に戻すことを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【請求項3】
請求項1もしくは2項記載のコンタクトレンズ装着装置において、前記ガイド付き受け皿は、コンタクトレンズの凸面に適合するくぼみを有する受け皿と、前記受け皿から延長された舌状のガイド部とを備えて構成され、前記ガイド部には前記受け皿のくぼみに連続するU字溝を有することを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち1項記載のコンタクトレンズ装着装置において、前記コンタクトレンズの凸面に適合するくぼみを有する前記受け皿の中心部にマークが付されることを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち1項記載のコンタクトレンズ装着装置において、前記押出しロッドが、押し出し最上部に到達する以前に制動がかかることを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうち1項記載のコンタクトレンズ装着装置において、前記瞼ガードが着脱可能かつ交換可能であることを特徴とするコンタクトレンズ装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズに手を触れることなく、収容容器から取出し、取出したコンタクトレンズを装着装置に載置し、眼球の適正位置に装着する装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトレンズを装着する場合、コンタクトレンズを収容容器から手で取り出し、コンタクトレンズの凹面を上にして指先に乗せてゆっくり目に近づけ、黒目(角膜)に乗せるようにして装着していた。
【0003】
しかしながら、コンタクトレンズを収容容器から取出したり、指先に載せ替えたりするために指先の雑菌に汚染されて、ひどい場合は感染症を引き起こす恐れがある。
【0004】
また、指先の爪によりコンタクトレンズを傷付けたり、装着時に眼球に損傷を与える危険があった。さらに、指先に凸面が当たるため大変不安定で、正しく黒目位置に装着するのが難しかった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1の如く、コンタクトレンズの装着が不得意な人であっても、装着方法が容易で目に負担をかけないコンタクトレンズ装着器具が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−130638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1においては、手を使わずにコンタクトレンズを眼球に装着できる点は良いが、収容容器から取り出すのに手を使うため、手についた雑菌や汚れがレンズに付着してしまう恐れがある。コンタクトレンズ収容容器からレンズを取出し眼球に装着するまで、手で触ることがないような衛生的な装着装置の実現が課題である。
【0008】
さらに、棒状の手持ち軸にコンタクトレンズを粘着させて眼球に押し付けて装着するため、手持ち軸を眼球に強く押し付けすぎたり、手がぶれたりすることにより眼球に損傷を与える恐れがある。このような事故を起こさないような安全対策と、正しい眼球位置にレンズを装着できるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような各課題を解決するために、本発明に係るコンタクトレンズ装着装置においては、(請求項1)の如く、コンタクトレンズ収容容器から直接手で触れることなくコンタクトレンズを取り出し、該コンタクトレンズに直接手を触れることなく眼球に装着するためのコンタクトレンズ装着装置において、コンタクトレンズ収容容器から該コンタクトレンズを取り出して頂部の凹面レンズ受皿に載置するガイド付き受け皿を有する押出しロッドと、該押出しロッドを収容する外筒
を備えて構成され、該外筒頂部に設置された瞼(まぶた)ガードを眼球上下の瞼に押し当て、外筒内部に収容された押出しロッドを眼球方向に押し出し、該押出しロッド頂部の凹面レンズ受け皿に載置されたコンタクトレンズを眼球に装着することを特徴とする。
【0010】
また、(請求項2)の如く、押出しロッドと該押出しロッドを収容する外筒間にバネを挿入し、押出しロッドを押し出したのち、上記バネによって押出しロッドを押し出し初期位置に戻すことを特徴とする。
【0011】
同じく、(請求項3)の如く、上記ガイド部はコンタクトレンズを収容容器から取り出し、上記受け皿に導くよう、受け皿につながる樋状のU溝を有することを特徴とする。
【0012】
同じく、(請求項4)では、上記凹面レンズ受け皿中心部にマークを付することを特徴とする。
【0013】
同じく、(請求項5)では押出しロッドを強く押し出して眼球に損傷を与えないよう、眼球近くになると制動がかかり、ゆっくり眼球に装着できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明に係るコンタクトレンズ装着装置の於いては、コンタクトレンズを収容容器から取り出して装着装置のレンズ受け皿に載置するまで全く手を触れることなく、さらに、受け皿に載置されたコンタクトレンズを眼球に装着する場合にもレンズに手を触れることがないため大変衛生的であるという効果がある。
【0015】
さらに、まぶたガードの長さに相当する距離以上に、押上げロッド頂部のレンズ受け皿に載置されたコンタクトレンズは押し上がらないため、眼球に無理な力がかかることが無く、眼球に損傷を与える危険を防止することができる。
【0016】
また、最大押上げ位置に近くなると押上げに制動がかかり、眼球に急激な衝撃を与えないため、上記に加えて更に危険を防止することができる。
【0017】
押出しロッド頂部のコンタクトレンズ受け皿の中央部にはマークが付いているため、このマークが中心に見えるよう瞼当て部を瞼に充てて押出しロッドを押し出せば簡単に正しい位置にコンタクトレンズを装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例の構成部品概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例の断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置のガイド付き受け皿部の構造概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例の載置操作説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例の装着説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の他の実施例の構造概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の別の実施例の構造概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例のブレーキ部分の構造概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置の一実施例の瞼ガードの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置1の一実施例の構成部品の概念的斜視図である。コンタクトレンズ装着装置1の本実施例では、後述するガイド付き受け皿2−1を頂部に備えた押出しロッド2と、該頂部に瞼ガード3−1を装備し、押出しロッド2の外径と嵌合する内径を有する外筒3と押し出された押出しロッド2を元の位置に戻すためのバネ4から構成されている。外筒3の側面には、押出しロッド2の側面に設置された押出しつまみ2−2に適合した切り欠き部3−2がある。
【0021】
図2は、上記
図1の構成部品を組立てた場合の
図1のA−A´に相当する全体断面概略図である。外筒3の内部に差し込まれた押出しロッド2は、バネ4で外筒3の下方に押しつけられている。この状態では押出しロッド2の上端に設置されている受け皿2−1は外筒3の上縁とほぼ同じ高さにある。押出しロッド2が最大に押し出された場合は、押出しロッド2頂部のガイド付き受け皿2−1の上縁は瞼ガード3−1の上縁とほぼ同じ高さとなるよう設計してある。
【0022】
図2の状態で、後述するように、外筒3の切り欠き部3−2から突出した押出しつまみ2−2を押し上げて、押出しロッド2の頂部の受け皿2−1に載置されたコンタクトレンズを眼球に装着することができる。なお、危険防止のため押し出しロッド2はその頂部受け皿2−1に載置されたコンタクトレンズが眼球に届く以上には押し出されないよう停止される。
【0023】
図3は、押出しロッド2の頂部に設置するガイド付き受け皿2−1の詳細図である。ガイド付き受け皿2−1は、ガイド部2−1aと、中心部に中心マーク2−1cを付されたコンタクトレンズ凸面に合致するくぼみを有する受け皿2−1bから構成されている。ガイド部2−1aは、
図3の如く、コンタクトレンズの凸面に適合したくぼみを有する受け皿2−1bから舌状に突出しており、若干下方にそりを有し、樋状のU字溝がコンタクトレンズの凸面に適合した凹面のくぼみを有する受け皿2−1bに連続的に続いている。ガイド部2−1aから受け皿2−1bへと続く、くぼみの各断面の様子を
図3(b)から(e)に示す。
【0024】
図4は、押出しロッド2頂部の受け皿2−1にコンタクトレンズを載置する手順を示すものである。なお、説明簡略の為、瞼ガード3−1や押出しロッド2を押し出すための押出しつまみ2−2の図示を省略している。
【0025】
図4(a)、(b)では舌状のガイド部2−1aの先端を、開封したコンタクトレンズ収容容器8中のコンタクトレンズ9の縁に差し込んでいく状態を示しており、
図4(c)の如くコンタクトレンズ9をすくい上げてガイド部2−1a上にコンタクトレンズ9を載せる。この状態でコンタクトレンズ装着装置1をガイド部2−1aの先端と反対側に傾けると、コンタクトレンズ9と共にすくい上げられた少量のレンズ保存液(図示せず)が潤滑剤となってコンタクトレンズ9は受け皿2−1bに滑り込みほぼ静止し、装着準備完了となる。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態に係るコンタクトレンズ装着装置1によるコンタクトレンズ装着要領を説明する図である。
図5(a)の如く、押出しロッド2頂部のガイド付き受け皿2−1の受け皿2−1bにコンタクトレンズ9が正しく載置された状態で、使用者はコンタクトレンズ9中心に見える中心マーク2−1cをまっすぐ見ながら
図5(b)の如く瞼ガード3−1を使用者の瞼に押し当てる。
【0027】
この状態で、押し出しつまみ2−2を押し上げれば、コンタクトレンズ9に全く手を触れずに眼球の正しい位置にコンタクトレンズ9を装着できるわけである。上記説明では、瞼ガード3−1が2分割され、瞼の上下に押し当てていたが、ガイド部2−1aの部分を除いて外筒3の上部を全て瞼ガード3−1としても良い。
【0028】
なお、上記の説明では、押出しロッド2と外筒3の間にバネ4を挿入することにより押出しロッド2を押し出したのち、手を離せば押出しロッド2を元の位置に戻すよう考慮された例を示したが、バネ4を省略して手で元の位置に戻しても良いことは自明である。
【0029】
また、上記の説明では、押出しロッド2を側面の押出しつまみ2−2によって押し出していたが、
図6に示すように、外筒3の下部のネジ6−2付きのつまみ6−1を回すことによってネジ連結された押出しロッド6−3を押し出す方法もある。さらに、つまみ6−1の回転を電動によって行う等、電動による押上げ方法も各種考えられる。
【0030】
更に、
図7(ガイド付き受け皿、瞼ガードは省略)の如く、外筒7−1の側面に取り付けたくの字型のテコ7−2によって、押し出しロッド7−3を押し出すこともできる。以上のように、押し出しロッドを押し出す方法や構造はいろいろ考えられるが、それ等は全て本発明の技術思想に含まれるものである。
【0031】
図1、2で説明した通り、バネ4を用いているため押出しロッド2が最上部に押しあがる時点でかなりの制動がかかるが、さらに制動を確実にするため、
図8は、
図1に示した本発明の実施例を例にとり、押出しロッド2上に載置されたコンタクトレンズ9が眼球近くになると徐々に制動がかかる構造の説明図である。
【0032】
押出しロッド2上のコンタクトレンズ9がちょうど眼球に届く迄の押出し距離をL1とすると、押出しロッド2の外径R2は、押出し初期においては外筒3の内径R1より若干小であり、スムースに押し上げができるが、押上げ距離がL1に近くなると押出しロッド2の外径R2はほぼR1となり外筒3の内径R1に擦れ、摩擦により押出しロッド2の押し上げに制動がかかる。この制動効果により、コンタクトレンズ9が眼球に衝撃的に衝突することがない。
【0033】
上記では、コンタクトレンズ装着時に制動をかける手段としてバネ、摩擦について説明したが、ゴムのような弾性体を用いたり、油の粘性を用いた制動(ダンパー)手段等の公知の技術手段を用いることも可能である。
【0034】
図9は、瞼ガード3−1の他の例を示す図であり、瞼ガード3−1の上端にゴムや樹脂製のパッド10を付したり、瞼への接触部分の面積を大にする等、瞼への接触を和らげてもよい。もちろんパッドの形状を変えたり、瞼ガード3−1を着脱式として交換することも可能である。
【0035】
以上で説明してきた本発明のいくつかの実施例は、本発明の主旨を具体的にした例であり、本発明に係るコンタクトレンズ装着装置は、上記の実施形態例にとらわれることなく、その発明趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、コンタクトレンズをその収容容器から取出し、眼球に装着するまでを全く手を触れることなく行うことができるため、大変衛生的で装着が簡単なことからコンタクトレンズの付属品としてばかりでなく、眼科医療器具の用途においても幅広く応用することができる。
【0037】
また、本発明ではコンタクトレンズ収容容器について一般市販品を使用する例について説明したが、本発明のコンタクトレンズ装着装置に適合した新しい収容容器を開発すれば、収容容器の開封作業まで本発明の応用形で行う事が出来、更に衛生面での向上が期待できる。
【符号の説明】
【0038】
1…コンタクトレンズ装着装置、2…押出しロッド、2−1…ガイド付き受け皿、2−1a…ガイド部、2−1b…受け皿、2−1c…中心マーク、2−2…押出しつまみ、3…外筒、3−1…瞼ガード、3−2…切り欠き部、4…バネ、6…他のコンタクトレンズ装着装置例、6−1…つまみ、6−2…ネジ、6−3…押出しロッド、7…コンタクトレンズ収容容器、8…コンタクトレンズ収容容器、9…コンタクトレンズ