特許第6334333号(P6334333)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334333
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】情報記録媒体及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/382 20140101AFI20180521BHJP
【FI】
   B42D15/10 382
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-177854(P2014-177854)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-49749(P2016-49749A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚久
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−212944(JP,A)
【文献】 特開2011−201026(JP,A)
【文献】 特開2010−173292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/382
B41M 3/06
B41M 3/14
G07D 7/12
G07D 7/202
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面を有する基材と、
前記印刷面の上に設けられ、励起光を吸収して励起することで可視域の波長を有する第1の蛍光を発し、当該第1の蛍光によって第1の情報の少なくとも一部を形成する第1の蛍光部と、
前記印刷面の上と、前記第1の蛍光部の上と、前記印刷面及び前記第1の蛍光部の間との少なくとも一つに設けられ、前記励起光を吸収して励起することで可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光を発し、当該第2の蛍光によって第2の情報を形成する第2の蛍光部と、
を具備し、
前記第2の蛍光部は、前記励起光を吸収して励起することで、可視域の波長を有する第3の蛍光をさらに発し、
前記第1の蛍光部及び前記第2の蛍光部は、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光とによって前記第1の情報の少なくとも一部を形成する、
情報記録媒体。
【請求項2】
前記第1の蛍光は、赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光を含み、
前記第3の蛍光は、白色の蛍光を含み、前記第1の情報の赤色、緑色、及び青色の混合によって作られる色の部分と、白色の部分との少なくとも一部を形成する、
請求項の情報記録媒体。
【請求項3】
印刷面を有する基材と、
前記印刷面の上に設けられ、励起光を吸収して励起することで可視域の波長を有する第1の蛍光を発し、当該第1の蛍光によって第1の情報の少なくとも一部を形成する第1の蛍光部と、
前記印刷面の上と、前記第1の蛍光部の上と、前記印刷面及び前記第1の蛍光部の間との少なくとも一つに設けられ、前記励起光を吸収して励起することで可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光を発し、当該第2の蛍光によって第2の情報を形成する第2の蛍光部と、
を有する情報記録媒体から情報を読み取る画像処理装置であって、
前記印刷面に向かって前記励起光を発する投光部と、
前記第2の蛍光を受ける受光部と、
前記受光部に接続され、前記受光部が受けた前記第2の蛍光から前記第2の情報を読み取る処理部と、
前記第2の情報の真の情報を記憶する記憶部と、
前記処理部と前記記憶部とに接続され、前記処理部から得た前記第2の情報と、前記記憶部から得た前記第2の情報の真の情報と、を比較することで前記情報記録媒体の真偽を判定する判定部と、
前記第1の蛍光を含む、可視域の波長を有する光、を受ける可視光受光部と、
を具備し、
前記処理部は、前記可視光受光部にさらに接続され、前記可視光受光部が受けた前記可視域の波長を有する光から前記第1の情報をさらに読み取り、
前記記憶部は、前記第1の情報の真の情報をさらに記憶し、
前記判定部は、前記処理部から得た前記第1の情報と、前記記憶部から得た前記第1の情報の真の情報と、を比較することで前記情報記録媒体の真偽をさらに判定する、
画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の蛍光部が発する前記第1の蛍光を前記可視光受光部に向かわせ、前記第2の蛍光部が発する前記第2の蛍光を前記受光部に向かわせる分光部、をさらに具備する請求項の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報記録媒体及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IDカードのような種々の情報記録媒体は、例えば、偽造品を製造されたり、写真や氏名のような情報を書き換える変造がされたりするおそれがある。情報記録媒体は、写真や氏名のような主な情報とは別に、このような偽変造を防止するための情報を有することがある。
【0003】
偽変造を防止するための情報は、例えば、蛍光材料によって形成される。当該蛍光材料に例えば紫外線を照射することにより、自然光の下では視認し難い偽変造を防止するための情報が現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−250211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報記録媒体の偽変造を防止するための技術は、開発からの時間の経過や普及によって一般に知られることがある。このため、より偽変造を防止できる新しい技術を情報記録媒体に付与することで、情報記録媒体の偽変造をより確実に防止することが求められる。
【0006】
本発明が解決する課題の一例は、偽変造耐性がより高い情報記録媒体と、当該情報記録媒体の真偽判定が可能な画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施の形態に係る情報記録媒体は、基材と、第1の蛍光部と、第2の蛍光部と、を具備する。前記基材は、印刷面を有する。前記第1の蛍光部は、前記印刷面の上に設けられ、励起光を吸収して励起することで可視域の波長を有する第1の蛍光を発し、当該第1の蛍光によって第1の情報の少なくとも一部を形成する。前記第2の蛍光部は、前記印刷面の上と、前記第1の蛍光部の上と、前記印刷面及び前記第1の蛍光部の間との少なくとも一つに設けられ、前記励起光を吸収して励起することで可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光を発し、当該第2の蛍光によって第2の情報を形成する。前記第2の蛍光部は、前記励起光を吸収して励起することで、可視域の波長を有する第3の蛍光をさらに発する。前記第1の蛍光部及び前記第2の蛍光部は、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光とによって前記第1の情報の少なくとも一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態に係るIDカードの一部を概略的に示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態の赤色蛍光部の発光特性の一例を示すグラフである。
図3図3は、第1の実施形態の緑色蛍光部の発光特性の一例を示すグラフである。
図4図4は、第1の実施形態の青色蛍光部の発光特性の一例を示すグラフである。
図5図5は、第1の実施形態の白色蛍光部の発光特性の一例を示すグラフである。
図6図6は、第1の実施形態のIDカードの一部を示す平面図である。
図7図7は、第1の実施形態の第1の情報を形成するIDカードの一部を示す平面図である。
図8図8は、第1の実施形態の第2の情報を形成するIDカードの一部を示す平面図である。
図9図9は、第1の実施形態の画像処理装置を概略的に示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置を概略的に示す図である。
図11図11は、第3の実施の形態に係る画像処理装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
【0010】
図1は、第1の実施の形態に係るIDカード10の一部を概略的に示す断面図である。IDカード10は、情報記録媒体の一例であり、例えばカード、偽変造防止媒体、印刷媒体、印刷物又は情報表示物のようにも称され得る。なお、情報記録媒体はIDカード10に限らず、パスポート、運転免許証、入館証、紙幣、有価証券、タグ、コンパクトディスク(CD)又はデジタルヴァーサタイルディスク(DVD)のような種々の媒体であっても良い。
【0011】
図1に示すように、IDカード10は、例えばカード状の基材11を有している。基材11は、例えば合成樹脂又は紙によって形成され、平坦な印刷面12を有する。印刷面12に、当該IDカード10の所有者の顔写真や氏名のような種々の情報が表示される。当該情報は、例えば、インクジェットプリンタのような印刷装置によって印刷される。
【0012】
IDカード10は、複数の赤色蛍光部21と、複数の緑色蛍光部22と、複数の青色蛍光部23と、複数の白色蛍光部24とを有する。赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23は、第1の蛍光部の一例である。白色蛍光部24は、第2の蛍光部の一例である。
【0013】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、例えば、アンチストークス蛍光体を含有するインクによって形成される。赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、例えばインクジェットプリンタのような印刷装置によって印刷面12に塗布され、例えばドット(点)を形成する。
【0014】
アンチストークス蛍光体は、例えば、近赤外帯域の波長を有する励起光によって励起され、当該励起光の波長よりも短い波長を有する光(蛍光)を発する。なお、第1の蛍光部及び第2の蛍光部はこれに限られない。
【0015】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、例えば、可視域の波長を有する光(可視光)を透過する。すなわち、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、例えば、可視光の下では、ほぼ透明である。なお、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24はこれに限らず、可視光の下で目視可能な色を有しても良い。
【0016】
赤色蛍光部21は、例えば、900〜980nmの波長を有する励起光を吸収することで励起される。赤色蛍光部21は、励起されることにより、可視域の波長を有する蛍光を発する。
【0017】
図2は、赤色蛍光部21の発光特性の一例を示すグラフである。図2の縦軸は、赤色蛍光部21が発する蛍光の光の強さを示す。図2の横軸は、赤色蛍光部21が発する蛍光の波長を示す。
【0018】
図2に示すように、赤色蛍光部21が発する蛍光の波長は、約650〜680nmである。このような赤色蛍光部21が発する蛍光は、肉眼では赤色に見える。すなわち、赤色蛍光部21は、可視光である赤色の蛍光を発する。赤色の蛍光は、第1の蛍光の一例である。
【0019】
緑色蛍光部22は、例えば、900〜1000nmの波長を有する励起光を吸収することで励起される。緑色蛍光部22は、励起されることにより、可視域の波長を有する蛍光を発する。
【0020】
図3は、緑色蛍光部22の発光特性の一例を示すグラフである。図3の縦軸は、緑色蛍光部22が発する蛍光の光の強さを示す。図3の横軸は、緑色蛍光部22が発する蛍光の波長を示す。
【0021】
図3に示すように、緑色蛍光部22が発する蛍光の波長は、約520〜570nmである。このような緑色蛍光部22が発する蛍光は、肉眼では緑色に見える。すなわち、緑色蛍光部22は、可視光である緑色の蛍光を発する。緑色の蛍光は、第1の蛍光の一例である。
【0022】
青色蛍光部23は、例えば、900〜1000nmの波長を有する励起光を吸収することで励起される。青色蛍光部23は、励起されることにより、可視域の波長を有する蛍光を発する。
【0023】
図4は、青色蛍光部23の発光特性の一例を示すグラフである。図4の縦軸は、青色蛍光部23が発する蛍光の光の強さを示す。図4の横軸は、青色蛍光部23が発する蛍光の波長を示す。
【0024】
図4に示すように、青色蛍光部23が発する蛍光の波長は、約460〜480nmである。このような青色蛍光部23が発する蛍光は、肉眼では青色に見える。すなわち、青色蛍光部23は、可視光である青色の蛍光を発する。青色の蛍光は、第1の蛍光の一例である。
【0025】
白色蛍光部24は、例えば、900〜1000nmの波長を有する励起光を吸収することで励起される。白色蛍光部24は、励起されることにより、可視域の波長を有する蛍光を発する。
【0026】
図5は、白色蛍光部24の発光特性の一例を示すグラフである。図5の縦軸は、白色蛍光部24が発する蛍光の光の強さを示す。図5の横軸は、白色蛍光部24が発する蛍光の波長を示す。
【0027】
図5に示すように、白色蛍光部24が発する蛍光は、約460〜480nmの波長を有する蛍光(青色の蛍光)と、約520〜570nmの波長を有する蛍光(緑色の蛍光)と、約650〜680nmの波長を有する蛍光(赤色の蛍光)とを含む。白色蛍光部24が発する青色の蛍光、緑色の蛍光、及び赤色の蛍光は、加法混合(混色)によって、肉眼では白色に見える。すなわち、白色蛍光部24は、可視光である白色の蛍光を発する。白色の蛍光は、第3の蛍光の一例である。
【0028】
さらに、白色蛍光部24は、励起されることにより、可視域から外れた近赤外帯域である約700〜730nmの波長を有する蛍光を発する。すなわち、白色蛍光部24は、不可視光である近赤外の蛍光(近赤外線)を発する。近赤外の蛍光は、第2の蛍光の一例である。
【0029】
白色蛍光部24が発する近赤外の蛍光の波長は、励起光の波長よりも短い。言い換えると、白色蛍光24が発する近赤外の蛍光の波長は、励起光の波長から外れた帯域にある。なお、白色蛍光24が発する近赤外の蛍光の波長と、励起光の波長とが、例えば部分的に重複していても良い。
【0030】
赤色蛍光部21は、例えば、Molecular Technology GmbH社のFSD−660(商品名)である。緑色蛍光部22は、例えば、同社のFSD−546(商品名)である。青色蛍光部23は、例えば、同社のFSD−475(商品名)である。白色蛍光部24は、例えば、同社のFSB−3(商品名)である。なお、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24はこれに限られない。
【0031】
上述した赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24について説明した励起光及び蛍光の波長は、あくまで一例である。励起光、第1の蛍光、第2の蛍光、及び第3の蛍光の波長は、上記の波長と異なって良い。すなわち、第1の蛍光及び第3の蛍光の色は、赤、緑、青、及び白に限られない。さらに、第2の蛍光は、近赤外線に限られない。
【0032】
図1に示すように、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、印刷面12に、例えば第1のドット35、第2のドット36、及び第3のドット37を形成する。
【0033】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23は、少なくとも部分的に重ねられて第1のドット35を形成する。第1のドット35を形成する赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23は、基材11の印刷面12の上に設けられる。第1のドット35は、蛍光により、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23のそれぞれの大きさや厚みに応じた色を表現する。
【0034】
白色蛍光部24は、第2のドット36を形成する。第2のドット36を形成する白色蛍光部24は、基材11の印刷面12の上に設けられる。第2のドット36は、蛍光により、白色蛍光部24の大きさや厚みに応じた色を表現する。
【0035】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、少なくとも部分的に重ねられて第3のドット37を形成する。第3のドット37を形成する白色蛍光部24は、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23の上に設けられる。なお、白色蛍光部24は、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23と、印刷面12との間に設けられても良い。第3のドット37は、蛍光により、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24のそれぞれの大きさや厚みに応じた色を表現する。
【0036】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24を印刷するインクジェットプリンタは、例えば、同量のインク滴を印刷面12の同一地点に複数回吐出する。インク滴の吐出回数により、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24の大きさや厚みが変わる。
【0037】
印刷面12に形成されるドットは、第1乃至第3のドット35〜37に限られない。例えば、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23のいずれか一つ、又は二つによってドットが形成されても良い。
【0038】
図6は、IDカード10の一部を示す平面図である。図6に二点鎖線で示すように、IDカード10の印刷面12に、情報領域31が設けられる。赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は、当該情報領域31に設けられる。
【0039】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24がほぼ透明であるため、情報領域31は、可視光の下では視認され難い。なお、情報領域31は、可視光の下で視認可能であっても良い。
【0040】
さらに、情報領域31に、例えばインクによって、可視光の下で視認可能な種々の情報が印刷されても良い。例えば、基材11に当該情報が印刷され、当該情報の上に透明な保護層が形成される。当該保護層が形成する印刷面12の上に、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24が設けられる。また、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24の上に透明な保護層が設けられ、当該保護層の上に情報が印刷されても良い。
【0041】
図7は、第1の情報41を形成するIDカード10の一部を示す平面図である。IDカード10が例えば900〜980nmの波長を有する励起光を受けると、印刷面12に、肉眼で認識可能な第1の情報41が出現する。第1の情報41は、例えば、印刷面12に形成された顔写真と同じ画像を表示し、当該顔写真と同じくIDカード10の所有者を示す。なお、第1の情報41はこれに限らず、例えば、図形や文字であっても良い。
【0042】
励起された赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24が、赤色の蛍光、緑色の蛍光、青色の蛍光、及び白色の蛍光によって、第1の情報41を形成する。第1の情報41は、赤色蛍光部21の赤色の蛍光、緑色蛍光部22の緑色の蛍光、青色蛍光部23の青色の蛍光、及び白色蛍光部24の白色の蛍光によって形成されるカラー(多色)の画像である。なお、本明細書における画像は、文字を含む。
【0043】
第1の情報41は、カラーの画像に限らず、例えば、赤色の蛍光、緑色の蛍光、青色の蛍光、及び白色の蛍光の少なくとも一つによって形成されても良い。すなわち、第1の情報41は、モノクロ(単色)の画像であっても良い。
【0044】
第1の情報41は、蛍光を発する赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24の少なくとも一つが形成する複数のドット(例えば、第1乃至第3のドット35〜37)の集合によって形成される。第1の情報41の各ドットは、蛍光により、種々の色を表現する。
【0045】
第1の情報41の各ドットが蛍光により表現する色は、赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分の少なくとも一つを含む。第1の情報41の各ドットが蛍光により表現する色は、赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分の比率によって変わる。例えば、白色、灰色、及び黒色は、赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分を等しく有する。
【0046】
第1の情報41の、赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分を有する色(例えば白色)の部分(混色部分)は、赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光によって形成され得る。赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光は、加法混合によって、肉眼では白色に見える。このため、第1の情報41の混色部分は、赤色の蛍光、緑色の蛍光、青色の蛍光、及び白色の蛍光によって、又は白色の蛍光のみによっても形成され得る。すなわち、赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分を有する色を蛍光により表現するドットは、図1の第1のドット35、第2のドット36、又は第3のドット37によって形成され得る。
【0047】
図8は、第2の情報42を形成するIDカード10の一部を示す平面図である。IDカード10が例えば900〜980nmの波長を有する励起光を受けると、印刷面12に第2の情報42がさらに出現する。
【0048】
第2の情報42は、白色蛍光部24の近赤外の蛍光によって形成される画像である。このため、第2の情報42は、肉眼で認識困難であるが、例えば、近赤外線を受光可能なカメラによって認識され得る。
【0049】
図8は、第1の情報41を二点鎖線で示す。第1の情報41の一部を形成する白色の蛍光を発する白色蛍光部24は、近赤外の蛍光をさらに発し、第2の情報42を形成する。すなわち、白色蛍光部24は、白色の蛍光と近赤外の蛍光とを発することで、第1の情報41の一部と、第2の情報42とを形成する。肉眼で認識困難な第2の情報42は、肉眼で認識可能な第1の情報41の中に埋め込まれる。
【0050】
上記のように、第1の情報41の赤色(R)成分、緑色(G)成分、及び青色(B)成分を有する色を蛍光により表現するドットは、例えば、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23によって形成される。当該ドットを形成する赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23は、選択的に白色蛍光部24と置き換えられ得る。また、当該ドットを形成する赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23に、選択的に、白色蛍光部24が上書きされ得る。このように、置き換え又は上書きされた白色蛍光部24によって、第2の情報42が形成される。
【0051】
図9は、IDカード10から情報を読み取り、IDカード10の真偽を判定する画像処理装置60を概略的に示す図である。図9に示すように、画像処理装置60は、投光部61と、第1の受光部62と、第2の受光部63と、分光フィルタ64と、制御部65と、記憶部66と、表示部67とを有する。第1の受光部62は、可視光受光部の一例である。第2の受光部63は、受光部の一例である。分光フィルタ64は、分光部の一例である。制御部65は、処理部71と、判定部72と、表示制御部73とを備える。
【0052】
本実施形態の画像処理装置60は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0053】
本実施形態の画像処理装置60で実行されるプログラムは、上述した各部(処理部71、判定部72、及び表示制御部73)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、処理部71、判定部72、及び表示制御部73が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0054】
投光部61は、例えばLEDライトであり、照射部、光源又は励起部とも称され得る。なお、投光部61は他の器具であっても良い。図9に示すように、投光部61は、所定の位置に配置されたIDカード10の印刷面12に向かって、例えば900〜980nmの波長を有する励起光L1を照射する。なお、投光部61は、励起光L1のみならず、可視光を発しても良い。
【0055】
投光部61が発した励起光L1は、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24に吸収される。これにより、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24は励起し、可視蛍光L2を発する。可視蛍光L2は、第1の蛍光及び第3の蛍光の一例であり、上述の赤色の蛍光、緑色の蛍光、青色の蛍光、及び白色の蛍光を含む。励起した白色蛍光部24は、不可視蛍光L3をさらに発する。不可視蛍光L3は、第2の蛍光の一例であり、上述の近赤外の蛍光を含む。
【0056】
分光フィルタ64は、例えば、約690nmで分光するハーフミラーである。分光フィルタ64は、反射面64aを有する。分光フィルタ64は、例えば約690nmよりも短い波長を有する光を透過させる。一方、分光フィルタ64の反射面64aは、例えば約690nmよりも長い波長を有する光を反射する。
【0057】
分光フィルタ64は、IDカード10の上に配置される。分光フィルタ64の反射面64aは、例えば、IDカード10の印刷面12に対して45°傾斜する。なお、分光フィルタ64の配置はこれに限られない。
【0058】
第1の受光部62は、例えば、可視光に基づいて画像を撮像可能なカメラである。第1の受光部62は、第1のレンズ81と、第1のセンサ82とを有する。
【0059】
第1のセンサ82は、例えば、450〜680nmの波長帯域に感度を有するカラーCCDセンサ又はカラーCMOSセンサである。なお、第1のセンサ82はこれに限られない。
【0060】
第1の受光部62は、第1のレンズ81がIDカード10に向くように、IDカード10の上に配置される。第1の受光部62とIDカード10との間に、分光フィルタ64が配置される。
【0061】
赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、青色蛍光部23、及び白色蛍光部24が発した可視蛍光L2は、可視域である460〜680nmの波長を有する光である。このため、分光フィルタ64は、可視蛍光L2を通過させ、第1の受光部62に向かわせる。
【0062】
分光フィルタ64を通過した可視蛍光L2は、第1のレンズ81を介して第1のセンサ82に入射する。すなわち、第1の受光部62は、可視蛍光L2を受ける。第1のセンサ82は、可視蛍光L2を電気信号に変換し、制御部65に出力する。
【0063】
第2の受光部63は、例えば、近赤外線に基づいて画像を撮像可能なカメラである。第2の受光部63は、バンドパスフィルタ85と、第2のレンズ86と、第2のセンサ87とを有する。
【0064】
バンドパスフィルタ85は、白色蛍光部24の発光特性に合致した特性を有し、不可視蛍光L3のみを透過させる。バンドパスフィルタ85は、例えば、700〜730nmの波長を有する光のみを透過させる。バンドパスフィルタ85は、第2のレンズ86を覆う。
【0065】
第2のセンサ87は、例えば、700〜730nmの波長帯域に感度を有するモノクロCCDセンサ又はモノクロCMOSセンサである。なお、第2のセンサ87はこれに限られない。
【0066】
第2の受光部63は、例えば、第2のレンズ86が分光フィルタ64の反射面64aに向くように配置される。第2の受光部63の光軸は、例えば、分光フィルタ64の反射面64aに対して45°傾斜する。
【0067】
第2の受光部63は、分光フィルタ64の反射面64aを介して、第1の受光部63と同軸上でIDカード10を撮像可能なように配置される。さらに、第1の受光部62と第2の受光部63とは、光学系の倍率が等しくなるように構成される。これにより、第1の受光部62と第2の受光部63とは、ほぼ同じ向き且つほぼ同じ大きさのIDカード10の画像を撮像可能である。なお、第1の受光部62及び第2の受光部63の配置はこれに限られない。
【0068】
白色蛍光部24が発した不可視蛍光L3は、近赤外帯域である700〜730nmの波長を有する光である。このため、分光フィルタ64の反射面64aは、不可視蛍光L3を反射し、第2の受光部63に向かわせる。
【0069】
分光フィルタ64の反射面64aに反射された不可視蛍光L3は、第2のレンズ86を介して第2のセンサ87に入射する。すなわち、第2の受光部63は、不可視蛍光L3を受ける。第2のセンサ87は、不可視蛍光L3を電気信号に変換し、制御部65に出力する。
【0070】
励起光L1は、IDカード10の印刷面12と、分光フィルタ64の反射面64aとに反射され、第2の受光部63に到達することがある。励起光L1は、900〜980nmの波長を有する光であるため、バンドパスフィルタ85によって遮断される。このように、バンドパスフィルタ85は、励起光L1が第2のセンサ87に入射することを防ぐ。
【0071】
制御部65の処理部71は、可視蛍光L2を受けた第1の受光部62が出力した電気信号を取得する。これにより、処理部71は、第1の受光部62が受けた可視蛍光L2から、第1の情報41を読み取る。処理部71は、第1のセンサ82が電気信号に変換した可視蛍光L2に基づき、図7に示すような第1の情報41の画像データを作成する。
【0072】
さらに、処理部71は、不可視蛍光L3を受けた第2の受光部63が出力した電気信号を取得する。これにより、処理部71は、第2の受光部63が受けた不可視蛍光L3から、第2の情報42を読み取る。処理部71は、第2のセンサ87が電気信号に変換した不可視蛍光L3に基づき、図8に示すような第2の情報42の画像データを作成する。不可視蛍光L3は肉眼で視認困難だが、処理部71は、第2の情報42を肉眼で視認可能な画像データを作成する。
【0073】
記憶部66に、第1の情報41の真の情報と、第2の情報42の真の情報とが予め記憶される。第1の情報41の真の情報は、正規のIDカード10が形成する第1の情報41である。すなわち、第1の情報41の真の情報は、正しい第1の情報41と合致する情報である。第2の情報42の真の情報は、正規のIDカード10が形成する第2の情報42である。すなわち、第2の情報42の真の情報は、正しい第2の情報42と合致する情報である。
【0074】
判定部72は、処理部71と、記憶部66とに接続される。判定部72は、処理部71から第1の情報41の画像データを取得するとともに、記憶部66から第1の情報41の真の情報を取得する。判定部72は、処理部71から取得した第1の情報41と、記憶部66から得た第1の情報41の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽を判定する。
【0075】
さらに、判定部72は、処理部71から第2の情報42の画像データを取得するとともに、記憶部66から第2の情報42の真の情報を取得する。判定部72は、処理部71から取得した第2の情報42と、記憶部66から得た第2の情報42の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽をさらに判定する。
【0076】
例えば、処理部71から取得した第1の情報41と、第1の情報41の真の情報とが一致する割合が閾値より低い場合、判定部72は、IDカード10に偽造品の可能性があると判定する。処理部71から取得した第1の情報41と、第1の情報41の真の情報とが一致する割合が閾値以上である場合、判定部72は、第2の情報42の真の情報を用いて、IDカード10の真偽をさらに判定する。
【0077】
処理部71から取得した第2の情報42と、第2の情報42の真の情報とが一致する割合が閾値以上である場合、判定部72は、IDカード10が正規品であると判定する。一方、処理部71から取得した第2の情報42と、第2の情報42の真の情報とが一致する割合が閾値より低い場合、第1の情報41が真と判定されたとしても、判定部72は、IDカード10に偽造品の可能性があると判定する。このように、判定部72は、第1の情報41と第2の情報42とに基づいて、二重にIDカード10の真偽を判定する。
【0078】
表示部67は、制御部65に接続される。表示部67は、例えば液晶ディスプレイのような画像を表示する装置である。表示制御部73は、当該表示部67を制御し、表示部67に種々の情報を表示させる。
【0079】
表示制御部73は、IDカード10が正規品か否かについての情報を判定部72から取得し、表示部67に表示する。すなわち、判定部72によってIDカード10が正規品であると判定された場合、表示制御部73は、IDカード10が正規品であると表示部67に表示する。判定部72によってIDカード10に偽造品の可能性があると判定された場合、表示制御部73は、IDカード10が偽造品である可能性を警告するメッセージを表示部67に表示する。画像処理装置60のオペレータは、当該警告を受け、IDカード10について別の装置によってさらに調べても良い。
【0080】
なお、判定部72は、判定結果を表示部67ではない他の機器に出力させても良い。例えば、判定部72は、スピーカに判定結果を音声出力させても良い。
【0081】
第1の実施の形態において、IDカード10は、励起光(励起光L1)が照射された赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23が発する赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光によって、第1の情報41の少なくとも一部を形成する。さらに、IDカード10は、励起光が照射された白色蛍光部24が発する近赤外の蛍光によって、第2の情報42を形成する。これにより、IDカード10は、肉眼で認識可能な第1の情報41により真偽判定が可能であるのみならず、肉眼では認識困難な第2の情報42によりさらなる真偽判定が可能である。したがって、IDカード10がより確実に真偽判定可能となり、偽変造耐性がより高まる。すなわち、IDカード10の偽変造が困難になるとともに、IDカード10の偽変造についてより確実な検出が可能となる。
【0082】
励起された白色蛍光部24は、白色の蛍光をさらに発する。そして、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23及び白色蛍光部24は、赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光と白色の蛍光とによって第1の情報41を形成する。すなわち、第1の情報41の一部を形成する白色の蛍光を発する白色蛍光部24が、第2の情報42を形成する近赤外の蛍光をさらに発する。このため、第2の情報42が第1の情報41の中に埋め込まれ、第2の情報42が認識され難くなる。したがって、第2の情報42について偽変造されることが抑制され、IDカード10の偽変造耐性がより高まる。
【0083】
白色蛍光部24が発する白色の蛍光は、第1の情報41の赤色、緑色、及び青色の混合によって作られる色の部分と、白色の部分との少なくとも一部を形成する。これにより、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23と白色蛍光部24とを混在させて第1の情報41をより自然な画像にすることが容易になり、第2の情報42が認識され難くなる。したがって、第2の情報42について偽変造されることが抑制され、IDカード10の偽変造耐性がより高まる。
【0084】
白色蛍光部24が発する近赤外の蛍光の波長は、励起光(励起光L1)の波長から外れた帯域にある。これにより、近赤外の蛍光によって形成される第2の情報42を、例えば画像処理装置60の第2の受光部63によって容易に認識できる。したがって、IDカード10がより容易に真偽判定可能となる。
【0085】
画像処理装置60の処理部71は、第2の受光部63が受けた近赤外の蛍光(不可視蛍光L3)から第2の情報42を読み取る。判定部72は、処理部71から得た第2の情報42と、記憶部66から得た第2の情報42の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽を判定する。これにより、肉眼では認識困難な第2の情報42に基づき、IDカード10の真偽判定が可能となる。
【0086】
処理部71は、第1の受光部62が受けた可視蛍光L2から第1の情報41を読み取る。判定部72は、処理部71から得た第1の情報41と、記憶部66から得た第1の情報41の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽をさらに判定する。これにより、画像処理装置60によってIDカード10の二重の真偽判定を自動で行うことが可能となる。
【0087】
分光フィルタ64は、赤色蛍光部21、緑色蛍光部22、及び青色蛍光部23が発する赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光を第1の受光部62に向かわせ、白色蛍光部24が発する近赤外の蛍光を第2の受光部63に向かわせる。これにより、同軸上且つ光学倍率が等しくなる位置で赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光又は近赤外の蛍光をそれぞれ受けるように、第1の受光部62と第2の受光部63とを配置可能となる。したがって、処理部71は、略同軸上で撮影され、且つ光学倍率がほぼ等しい第1の情報41と第2の情報42とを得ることができる。
【0088】
以下に、第2の実施の形態について、図10を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0089】
図10は、第2の実施の形態に係る画像処理装置60を概略的に示す図である。図10に示すように、第2の実施形態の画像処理装置60は、分光フィルタ64を有さない。第2の実施形態において、第1の受光部62と第2の受光部63とは、IDカード10からほぼ等距離に配置される。
【0090】
制御部65の処理部71は、第1の受光部62が受けた可視蛍光L2から、第1の情報41を読み取る。処理部71は、第1の情報41の画像データを作成し、台形補正する。同様に、処理部71は、第2の受光部63が受けた不可視蛍光L3から、第2の情報42を読み取る。処理部71は、第2の情報42の画像データを作成し、台形補正する。なお、処理部71は、台形補正を行わなくても良い。
【0091】
判定部72は、台形補正された第1の情報41と、記憶部66から得た第1の情報41の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽を判定する。さらに、判定部72は、台形補正された第2の情報42と、記憶部66から得た第2の情報42の真の情報とを比較することで、IDカード10の真偽を判定する。
【0092】
第2の実施形態の処理部71は、第1の情報41及び第2の情報42の画像データを台形補正する。これにより、分光フィルタ64が省略され、画像処理装置60の構造が簡略化される。
【0093】
以下に、第3の実施の形態について、図11を参照して説明する。図11は、第3の実施の形態に係る画像処理装置60を概略的に示す図である。図11に示すように、第3の実施形態の画像処理装置60は、第1の受光部62及び分光フィルタ64を有さない。
【0094】
第3の実施形態において、第1の情報41は、画像処理装置60のオペレータによって目視確認される。例えば、画像処理装置60のオペレータは、顔写真である第1の情報41と、IDカード10の所有者の顔とを見比べることで、IDカード10の真偽を判定できる。このため、記憶部66は、第1の情報41の真の情報を記憶しなくても良く、記憶部66が記憶するデータの容量が低減され得る。なお、記憶部66が第1の情報41の真の情報を記憶し、表示制御部73が当該第1の情報41の真の情報を表示部67に表示しても良い。
【0095】
第3の実施形態の画像処理装置60において、表示制御部73は、第1の情報41の真の情報を表示部67に表示する。これにより、画像処理装置60のオペレータが目視でIDカード10の真偽を判定でき、第1の受光部62が省略されることで画像処理装置60の構造が簡略化される。さらに、記憶部66の容量が節約される。
【0096】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、情報記録媒体は、第1の蛍光部に励起光が照射されると、当該第1の蛍光部が発する可視域の波長を有する第1の蛍光によって、第1の情報の少なくとも一部を形成する。さらに、情報記録媒体は、第2の蛍光部に励起光が照射されると、当該第2の蛍光部が発する可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光によって、第2の情報を形成する。これにより、情報記録媒体は、肉眼で認識可能な第1の情報により真偽判定が可能であるのみならず、肉眼では認識困難な第2の情報によりさらなる真偽判定が可能である。したがって、情報記録媒体がより確実に真偽判定可能となり、偽変造耐性がより高まる。
【0097】
また、第2の蛍光の波長は、励起光の波長から外れた帯域にあっても良い。この場合、装置が、第2の蛍光によって形成される第2の情報を容易に認識でき、情報記録媒体をより容易に真偽判定可能となる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
印刷面を有する基材と、
前記印刷面の上に設けられ、励起光を吸収して励起することで可視域の波長を有する第1の蛍光を発し、当該第1の蛍光によって第1の情報の少なくとも一部を形成する第1の蛍光部と、
前記印刷面の上と、前記第1の蛍光部の上と、前記印刷面及び前記第1の蛍光部の間との少なくとも一つに設けられ、前記励起光を吸収して励起することで可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光を発し、当該第2の蛍光によって第2の情報を形成する第2の蛍光部と、
を具備する情報記録媒体。
[2]
前記第2の蛍光部は、前記励起光を吸収して励起することで、可視域の波長を有する第3の蛍光をさらに発し、
前記第1の蛍光部及び前記第2の蛍光部は、前記第1の蛍光と前記第3の蛍光とによって前記第1の情報の少なくとも一部を形成する、
[1]の情報記録媒体。
[3]
前記第1の蛍光は、赤色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色の蛍光を含み、
前記第3の蛍光は、白色の蛍光を含み、前記第1の情報の赤色、緑色、及び青色の混合によって作られる色の部分と、白色の部分との少なくとも一部を形成する、
[2]の情報記録媒体。
[4]
印刷面を有する基材と、
前記印刷面の上に設けられ、励起光を吸収して励起することで可視域の波長を有する第1の蛍光を発し、当該第1の蛍光によって第1の情報の少なくとも一部を形成する第1の蛍光部と、
前記印刷面の上と、前記第1の蛍光部の上と、前記印刷面及び前記第1の蛍光部の間との少なくとも一つに設けられ、前記励起光を吸収して励起することで可視域から外れた帯域の波長を有する第2の蛍光を発し、当該第2の蛍光によって第2の情報を形成する第2の蛍光部と、
を有する情報記録媒体から情報を読み取る画像処理装置であって、
前記印刷面に向かって前記励起光を発する投光部と、
前記第2の蛍光を受ける受光部と、
前記受光部に接続され、前記受光部が受けた前記第2の蛍光から前記第2の情報を読み取る処理部と、
前記第2の情報の真の情報を記憶する記憶部と、
前記処理部と前記記憶部とに接続され、前記処理部から得た前記第2の情報と、前記記憶部から得た前記第2の情報の真の情報と、を比較することで前記情報記録媒体の真偽を判定する判定部と、
を具備する画像処理装置。
[5]
前記第1の蛍光を含む、可視域の波長を有する光、を受ける可視光受光部をさらに具備し、
前記処理部は、前記可視光受光部にさらに接続され、前記可視光受光部が受けた前記可視域の波長を有する光から前記第1の情報をさらに読み取り、
前記記憶部は、前記第1の情報の真の情報をさらに記憶し、
前記判定部は、前記処理部から得た前記第1の情報と、前記記憶部から得た前記第1の情報の真の情報と、を比較することで前記情報記録媒体の真偽をさらに判定する、
[4]の画像処理装置。
[6]
前記第1の蛍光部が発する前記第1の蛍光を前記可視光受光部に向かわせ、前記第2の蛍光部が発する前記第2の蛍光を前記受光部に向かわせる分光部、をさらに具備する[5]の画像処理装置。
【符号の説明】
【0099】
10…IDカード、11…基材、12…印刷面、21…赤色蛍光部、22…緑色蛍光部、23…青色蛍光部、24…白色蛍光部、41…第1の情報、42…第2の情報、60…画像処理装置、61…投光部、62…第1の受光部、63…第2の受光部、64…分光フィルタ、66…記憶部、71…処理部、72…判定部、L1…励起光、L2…可視蛍光、L3…不可視蛍光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11