(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、画像形成システムの概要構成図である。
画像形成システム10は、偽変造防止媒体としての記録媒体11に形成する画像に対応する元画像に画像処理を施す画像処理装置12と、画像処理装置12の画像処理結果に基づいて、記録媒体11の特殊不可視画像形成部にレーザ光13を照射して不可視画像を潜像として形成する不活性化処理を行うレーザ照射装置14と、不可視画像形成時において所定位置に記録媒体11を保持するステージ15と、を備えている。
【0008】
この場合において、レーザ照射装置14は、画像処理装置12の画像処理結果に基づいて、レーザ出射制御を行うレーザ制御部14Aと、レーザ制御部14Aの制御下で、レーザ光を出射するレーザ発振器14Bと、を備えている。そして、レーザ照射装置14は、所定の可視化処理を行う場合に、不可視状態を維持する画素部分に照射して特殊不可視材料の不活性化する不活性化処理を行う。
【0009】
具体的には、特殊不可視材料として、紫外線あるいは赤外線の照射で蛍光を発する蛍光材料(紫外線蛍光材料あるいは赤外線蛍光材料)を用いる場合には、紫外線あるいは赤外線を照射しても発光させる必要の無い画素部分を不活性化させる。また、特殊不可視材料として、温度を上昇させることにより、無色状態(または白色状態)から変色あるいは有色状態に可逆的に移行する可逆性示温材料を用いる場合には、無色状態(または白色状態)を維持すべき画素部分を不活性化させる。
【0010】
図2は、記録媒体の概要断面図である。
記録媒体11は、紙製あるいはプラスチック製の基材を含み、通常印刷などにより各種情報が記録される通常記録媒体11Aを備えている。
【0011】
そして、記録媒体11は、通常記録媒体11Aの面(
図2では、上面)に特殊不可視材料が、塗布、積層、印刷あるいは練り込みにより面状に配置された特殊不可視材料層11Bが通常記録媒体11A上に積層されている。
【0012】
図3は、特殊不可視材料として紫外線蛍光材料を用いた場合の特殊不可視材料層に対する不可視画像形成前後の状態説明図である。
図3(a)は、特殊不可視材料層に対する不可視画像形成前の状態説明図である。
図3(a)の上方の図に示すように、紫外線の非照射状態においては、通常記録媒体11Aに印刷等により記録された通常画像21が視認可能となっている。
【0013】
この状態において、
図3(a)の下方の図に示すように、紫外線の照射状態においては、通常画像21に加えて、特殊不可視材料層11B全体が蛍光を発する状態となっている。具体的には、
図3(a)の場合には、長方形状の領域全体が蛍光を発する状態となっている。
その後、再び紫外線の照射を止めれば、再び
図3(a)の上方の図に示す状態に戻る。
【0014】
図3(b)は、特殊不可視材料層に対する不可視画像形成後の状態説明図である。
図3(b)の上方の図に示すように、紫外線の非照射状態においては、
図3(a)の場合と同様に、通常記録媒体11Aに印刷等により記録された通常画像21が視認可能となっている。
【0015】
これに対し、
図3(b)の下方の図に示すように、紫外線の照射状態においては、通常画像21に加えて、特殊不可視材料層11Bのうち、レーザにより不活性化がなされた画素(
図3(b)中、黒色表示画素)においては、蛍光が発せられず、その他の部分のみが蛍光を発することとなるため、蛍光潜像が可視画像となる。
【0016】
その後、再び紫外線の照射を止めれば、再び
図3(b)の上方の図に示す状態に戻る。
したがって、実施形態によれば、特殊不可視材料層11B自体に不可視画像を形成しているため、特殊不可視材料を用いて記録された潜像画像の耐改竄性が向上する。
【0017】
[1]第1実施形態
次により具体的な第1実施形態について説明する。
本第1実施形態は、特殊不可視材料として、紫外線あるいは赤外線の照射で蛍光を発する蛍光材料(紫外線蛍光材料あるいは赤外線蛍光材料)を用いる場合の実施形態である。
【0018】
特殊不可視画像の形成処理においては、所望の画像を二値化して二値化画像データを生成し、この二値化画像データに基づいて、あらかじめ通常記録媒体11A上に積層された特殊不可視材料層11Bの不活性化を行うべき画素部分にレーザ光を照射して、特殊不可視材料を不活性化する。
これにより、所望の画像を記録媒体上で特殊画像として記録することが可能となる。
【0019】
以下、具体的に説明する。
第1実施形態において、画像パターン形成に用いるレーザとして、YAGレーザ、YVO
4レーザ、半導体レーザ、CO
2レーザなどが好ましい。ここで、YAGレーザ、YVO
4レーザ、半導体レーザ、CO
2レーザの基本波に加え、YAGレーザ、YVO
4レーザ、半導体レーザの高調波を記録媒体11と蛍光材料の吸収波長に応じて適用可能である。
【0020】
また、第1実施形態において、特殊画像を形成する特殊不可視材料としての蛍光材料(蛍光潜像形成材料)としては、例えば特開昭50−6410号公報、特開昭61−65226号公報、特開昭64−22987号公報、特開昭64−60671号公報、特開平1−168911号公報、特開2003−89761号公報、特開2006−255925号公報等に記載されている無機蛍光体を、適宜選択して用いることができる。
【0021】
無機蛍光体化合物としては、Sr
2P
2O
7:Sn
4+、Sr
4Al
14O
25:Eu
2+、
BAMgAl
10O
17:Eu
2+、SrGA
2S
4:CE
3+、CAGA
2S
4:CE
3+、
(BA、Sr)(Mg、Mn)Al
10O
17:Eu
2+、
(Sr、CA、BA、Mg)
10(PO
4)
6C
l2:Eu
2+、
BAl
2Si
2O
8:Eu
2+、Sr
5(PO
4)
3Cl:Eu
2+、
Sr
2P
2O
7:Eu
2+、Sr(H
2PO
4)
2:Eu
2+、
(BAMg)Al
16O
27:Eu
2+,Mn
2+、Sr
4Al
14O
25:Eu
2+、
(Sr、BA)Al
2Si
2O
8:Eu
2+、(BA、Mg)
2SiO
4:Eu
2+、
Y
2SiO
5:CE
3+,TB
3+、Sr
2P
2O
7−Sr
2B
2O
5:Eu
2+、
(BA、CA、Mg)
5(PO
4)
3Cl:Eu
2+、
Sr
2Si
3O
8−2SrC
l2:Eu
2+、
Zr
2SiO
4,MgAl
11O
19:CE
3+,TB
3+、
CA
2Y
8(SiO
4)
6O
2:TB
3+、(GF−12)Y
3Al
5O
12:TB
3+、
LA
3GA
5SiO
14:TB
3+、Y
2O
2S:Eu
3+、
(BA、Mg)
2SiO
4:Eu
3+、
(BA、Mg)Al
16O
27:Eu
3+、
(BA、CA、Mg)
5(PO
4)
3Cl:Eu
3+、
YVO
4:Eu
3+、CAS:Eu
3+、
YAlO
3:Eu
3+、CA
2Y
8(SiO
4)
6O
2:Eu
3+、
LiY
9(SiO
4)
6O
2:Eu
3+、YVO
4:Eu
3+Bi
2+、Gd
2O
2S:Eu
3+、CAS:Eu
3+Cl
−、(CAMg)
3(PO
4)
2:Sn
2+等を一例として挙げることができる。
【0022】
また、有機蛍光体としては、特開2005−15564公報、特開2006−77191公報、特開2006−348180公報、特開2008−115225公報、特開2012−61794公報等に記載の有機蛍光体、およびマジックルミノペイント、ルミライトカラー、ロイヒマーカー(いずれもシンロイヒ社製)等を適宜選択して用いることができる。
【0023】
次に第1実施形態の動作を説明する。
図4は、実施形態の特殊不可視画像の形成処理の処理フローチャートである。
まずオペレータは、所望の画像を画像処理装置12に入力する(ステップS11)。
【0024】
これにより、画像処理装置12は、入力された画像をグレースケール化したグレースケール化画像データ(例えば、256階調白黒画像)を生成する(ステップS12)。
さらに画像処理装置12は、グレースケール化画像データを二値化した二値化画像データを生成し、レーザ照射装置14のレーザ制御部14Aに出力する(ステップS13)。
【0025】
これによりレーザ制御部14Aは、二値化画像に対応する二値化画像データが表す黒い画素部分に合わせて、レーザ発振器14Bから発振したレーザ光を記録媒体11の通常記録媒体11A上に積層された特殊不可視材料層11Bに照射して不可視画像の潜像を形成する(ステップS14)。
【0026】
図5は、第1実施形態における不可視画像の潜像形成処理の処理フローチャートである。
図6は、第1実施形態における二値化画像と不活性化対象の画素の説明図である。
以下の説明においては、二値化画像データに対応する二値化した画像の黒い画素401の階調=0、白い画素402の階調=1とする。
【0027】
レーザ制御部14Aは、二値化画像データが入力されると(ステップS21)、レーザ制御部14Aは、
図6に示す二値化画像における階調=0の黒い画素401の位置情報を取得する(ステップS22)。
【0028】
次にレーザ制御部14Aは、階調=0の黒い画素401の全てにレーザの照射が終了したか否かを判別する(ステップS23)。
この場合には、いまだレーザの照射は行っていないので(ステップS23;No)、レーザ制御部14Aは、レーザ発振器14Bを制御してレーザ走査を行い、当該走査位置に対応する階調=0の黒い画素401に対するレーザ照射を行う(ステップS24)。これにより、黒い画素401に対応する特殊不可視材料411は、不活性化される。これに対し、白い画素402に対応する特殊不可視材料412は、活性化された状態のままとなり、全体として二値化画像データに対応する画像の潜像形成がなされる。すなわち、二値化画像40における階調=0の画素が紫外光を照射した際に発光しない画素として記録されることとなる。
【0029】
続いてレーザ制御部14Aは、照射箇所(走査位置)を移動し(ステップS25)、処理を再びステップS23に移行する。
以下、同様にして、ステップS23の判別において、階調=0の黒い画素401の全てにレーザの照射が終了していないと判別される(ステップS23;No)期間は、ステップS23〜ステップS25の処理を繰り返す。
【0030】
そして、ステップS23の判別において、階調=0の黒い画素401の全てにレーザの照射が終了した場合には(ステップS23;Yes)、不活性化処理を終了する。
これらの結果、第1実施形態の記録媒体11によれば、通常の室内灯下では不可視な画像が、紫外光(電磁波)照射時に発光パターンとして観察される。
以上の説明のように、第1実施形態によれば、蛍光体化合物を含む特殊不可視材料層11B自体に不可視画像を形成しているため、特殊不可視材料を用いて記録された潜像画像の耐改竄性が向上する。
【0031】
[2]第2実施形態
上記第1実施形態においては、特殊不可視材料として、蛍光材料を用いていたが、本第2実施形態は、特殊不可視材料として、閾値温度により無色または白色と有色を可逆的に変化する示温材料を用いた場合の実施形態である。
【0032】
この場合において、レーザを照射して不活性化させる画素としては、無色又は白色の画素(階調=1)とする方が、温度変化により変色あるいは発色する画素(階調=0)とする場合よりも、特殊不可視画像(潜像)の存在が露見しにくく、さらに、特殊不可視画像(潜像)の形成位置の特定を困難とすることができる。
【0033】
示温材料は、固相反応、熱分解、脱水、電子供与体受容体の電子授受、結晶構造の変化などを利用して温度変化と共に色変化する材料であるが、これらのうち、固相反応あるいは電子供与体受容体の電子授受を利用した示温材料が好ましい。
特に電子供与体受容体の電子授受を利用した示温材料としては、以下のような条件を満たす可逆材と、示温特性制御剤と、を含有する示温材料が挙げられる。
【0034】
可逆材は、電子受容性化合物と組成系の一部または全部の可逆的な結晶質−非晶質転移、または2つの相分離状態もしくは相分離状態−非相分離状態の変化を発現させる材料が挙げられる。
【0035】
また、示温特性制御材は、室温で固体であり、電子受容性化合物または可逆材もしくは電子受容性化合物および可逆材と少なくともその一部が相溶する示温特性制御剤であって、示温特性制御剤の結晶質−非晶質転移または相分離状態−非相分離状態により組成系の結晶質−非晶質転移または相分離状態−非相分離状態速度を変化させる示温特性制御剤で、相分離後、電子供与性化合物と電子受容性化合物の相互作用を阻害しない材料が挙げられる。
【0036】
より具体的には、電子供与性化合物としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリ−ンラクトン、クリスタルバイオレットカルビノ−ル、マラカイトグリーンカルビノール、N−(2,3−ジクロロフェニル)ロイコオ−ラミン、N−ベンゾイルオ−ラミン、ロ−ダミンBラクタム、N−アセチルオ−ラミン、N−フェニルオ−ラミン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−ジメチルインドリン、N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8’−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジ−p−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラン−フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ−5−メチルフルオラン等が例示される。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
また、電子受容性化合物としては、フェノ−ル類、フェノ−ル金属塩類、カルボン酸金属塩類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等の酸性化合物があげられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
また、可逆材は、ステロイド骨格等の化合物があげられ、具体的には、コレステロ−ル、ステグマステロ−ル、プレグネノロン、メチルアンドロステンジオ−ル、エストラジオ−ルベンゾエ−ト、エピアンドロステン、ステノロン、β−シトステロ−ル、プレグネノロンアセテ−ト、β−コレスタロ−ル等があげられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
また、示温特性制御剤には、芳香族アルコ−ル類であって少なくとも1つのフェノ−ル系水酸基を有する化合物、芳香族アルコール類、少なくとも1つのベンゾイル基を持つ化合物、芳香族エーテル化合物、また感熱紙で使用されている増感剤等が用いられる。
【0040】
具体的には芳香族アルコ−ル類であって少なくとも1つのフェノ−ル系水酸基を有する化合物はp−ヒドロキシフェネチルアルコ−ル、2−ヒドロキシベンジルアルコ−ル、バニリルアルコ−ルであり、芳香族アルコール類はピペロニルアルコール、ベンゾイン、ベンズヒドロール、トリフェニルメタノール、ベンジン酸メチル、DL−マンデル酸ベンジルであり、少なくとも1つのベンゾイル基を持つ化合物はベンジル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルケトン、2−ベンゾイル安息香酸メチルであり芳香族エーテル化合物はベンジル2−ナフチルエーテル、1−ベンジロキシ−2−メトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼンであり、増感剤は4−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、4−ベンゾインビフェニールに効果があることが知られている。
【0041】
また、これらの示温材料は単独で用いても良いし、マイクロカプセルにして用いても良い。あるいは樹脂バインダーに分散させて用いても良く、分散させる樹脂としては示温材料のマイクロカプセル化、バインダー樹脂等への分散等があげられる。
【0042】
例えば、バインダー樹脂としては、ポリエチレン類、塩素化ポリエチレン類、エチレン・酢酸ビニル共重合物、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合物等のエチレン共重合物、ポリブタジエン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン類、ポリイソブチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール類、ポリビニルブチラール類、フッ素樹脂類、アクリル樹脂類、メタクリル樹脂類、アクリロニトリル共重合体類、ポリスチレン、ハロゲン化ポリスチレン、スチレンメタクリル酸共重合体類等のスチレン共重合体類、アセタール樹脂類、ナイロン66等のポリアミド類、ポリカーボネート類、セルロース系樹脂類、フェノール樹脂類、ユリア樹脂類、エポキシ樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ジアリールフタレート樹脂類、シリコーン樹脂類、ポリイミドアミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリメチルペンテン類、ポリエーテルイミド類、ポリビニルカルバゾール類、非晶質系ポリオレフィン等の樹脂があげられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。このような特徴を持つ材料の例としては、メタモカラー(パイロット製)やサーマルカラー(記録素材総合研究所製)などがある。
【0043】
また、これら示温材料の変色閾値の温度は−30℃から70℃が好ましく、より好ましくは−20℃から5℃または40℃から60℃である。
これは、閾値温度が−30℃よりも低い場合にはその環境を作るのに簡易な装置ではなく大がかりな装置が必要になってしまう、偽変造防止媒体を構成する他材料が劣化するなどの弊害を生じるからである。
【0044】
また、70℃以上でも同様に、偽変造防止媒体を構成する他材料が劣化、変形、変質を起こす可能性があるため、好ましくないからである。
さらに、偽変造防止機能を隠蔽するためには、通常の生活温度領域に変色閾値温度がない方が好ましいため、5℃から40℃を除く温度領域でかつ、容易に実現し易い温度帯とした。さらには、複数の変色閾値温度を持ち、温度によって3色以上の色に変色する材料を用いることも可能である。
【0045】
次に第2実施形態の動作を説明する。
本第2実施形態においても、
図4に示した特殊不可視画像の形成処理については、第1実施形態と同様であるが、不可視画像の潜像形成処理が異なるので以下、不可視画像の潜像形成処理について説明する。
【0046】
図7は、第2実施形態における不可視画像の潜像形成処理の処理フローチャートである。
図8は、第2実施形態における二値化画像と不活性化対象の画素の説明図である。
以下の説明においては、二値化画像データに対応する二値化した画像の黒い画素601の階調=0、白い画素602の階調=1とする。
【0047】
レーザ制御部14Aは、二値化画像データが入力されると(ステップS31)、レーザ制御部14Aは、
図7に示す二値化画像60における階調=1の白い画素602の位置情報を取得する(ステップS32)。
【0048】
次にレーザ制御部14Aは、階調=1の白い画素602の全てにレーザの照射が終了したか否かを判別する(ステップS33)。
この場合には、いまだレーザの照射は行っていないので(ステップS33;No)、レーザ制御部14Aは、レーザ発振器14Bを制御してレーザ走査を行い、当該走査位置に対応する階調=1の白い画素602に対するレーザ照射を行う(ステップS34)。これにより、白い画素602に対応する特殊不可視材料612は、不活性化される。
【0049】
これに対し、黒い画素601に対応する特殊不可視材料611は、活性化された状態のままとなり、全体として二値化画像データに対応する二値化画像60の潜像形成がなされる。すなわち、二値化画像60における階調=1の画素が温度を上昇させた場合でも、変色しない画素、あるいは、発色しない画素として記録されることとなる。
【0050】
続いてレーザ制御部14Aは、照射箇所(走査位置)を移動し(ステップS35)、処理を再びステップS33に移行する。
以下、同様にして、ステップS33の判別において、階調=1の白い画素602の全てにレーザの照射が終了していないと判別される(ステップS33;No)期間は、ステップS33〜ステップS35の処理を繰り返す。
【0051】
そして、ステップS33の判別において、階調=1の白い画素602の全てにレーザの照射が終了した場合には(ステップS33;Yes)、不活性化処理を終了する。
これらの結果、第2実施形態の記録媒体11によれば、通常の室内灯下では不可視な画像が、
所定の閾値温度を跨いだときに変色あるいは発色することにより画像が可視化し、観察される。
【0052】
以上の説明のように、第2実施形態によっても示温材料を含む特殊不可視材料層11B自体に不可視画像を形成しているため、特殊不可視材料を用いて記録された潜像画像の耐改竄性が向上する。
【0053】
[3]実施形態の変形例
以上の説明においては、特殊不可視材料として、蛍光体化合物を用いる場合には、蛍光発光を行わせない画素(黒画素)を不活性化させ、示温材料を用いる場合には、発色前の状態を維持する画素(無色画素あるいは白色画素)を不活性化させていたが、逆の画素を不活性化させるように構成することも可能である。
【0054】
以上の各実施形態においては、1種類の特殊不可視材料を用いる構成としていたが、特殊不可視材料である紫外蛍光材、赤外蛍光材、示温材などを適宜複数選択し、組み合わせて利用することも可能である。
【0055】
また、不活性化に用いるレーザの数や照射条件(波長、パワー、照射時間等)を変更することは上述した実施形態の構成のみに限定されず、必要に応じて変更可能である。また、特殊不可視材料で形成される画像に階調を持たせることも可能であり、その際はその階調数に合わせて画像処理装置12における画像処理を変更可能である。
【0056】
また、不活性化に用いるレーザとしては、記録媒体の吸収波長と特殊不可視材料の吸収波長に差がある波長を用いるようにするのがより好ましいので、適宜選択することが可能である。
【0057】
また、レーザ光の波長についても、録媒体の吸収波長と特殊不可視材料の吸収波長に差がある波長を用いるようにするのがより好ましい。しがって、例えば、基本波、第2高調波、第3高調波、第4高調波の中の二つの波長を選択し、一つの波長が通常記録媒体11AAの吸収帯域かつ特殊不可視材料層11Bの非吸収帯域、他方の波長が通常記録媒体11AAの非吸収帯域かつ特殊不可視材料層11Bの吸収帯域であるレーザを選択するのが最も好ましい。なお、第5高調波以上を考慮していないのは、エネルギーが急激に減衰するので影響が小さいからである。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。