【実施例1】
【0009】
図2はインクジェット記録装置100の構成を示している。インクジェット記録装置
100は、電源、制御基板、操作パネルを有する制御部101と、インクを収容する容器、印字ヘッド104にインクを供給するポンプ、印字に使用しなかったインクを印字ヘッドから回収するポンプを収容するインク循環部102と、ヘッドケーブル103と、印字ヘッド104から構成される。
【0010】
制御部101は、インクジェット記録装置の印字に必要な電源供給、印字に必要な信号の送信、センサー等からの信号受信等を行い操作パネルと連動しそれらの操作をする部分である。
【0011】
インク循環部102には、上記の部品のほかに、インクの粘度をコントロールする粘度計、インクの供給圧力の調整装置などが収容されている。
【0012】
ヘッドケーブル104は、装置本体からの配線・配管を束ね保護し印字ヘッド104に接続する部品である。印字ヘッド104は装置本体から供給されるインクを粒子化し電気信号によりドット印字をする部分である。
【0013】
本実施例では、インクジェット記録装置100のインク循環部102の定期メンテナンス部品とメンテナンス時に必要となる継手部品の最適な構成と配置を示す。継ぎ手部品はメンテナンス時と通常時に移動可能となっており、通常時はインク循環部102の空間に収納され、メンテナンス時にはメンテナンスを実施しやすい位置に展開されるようになっている。
【0014】
次に、
図1、
図3、
図4、
図5を用い、定期メンテナンス部品を収納した時の状態を説明する。
【0015】
図3は
図2のフロンドア9を開けた状態を示した図である。インク循環部102の手前側には、メイン容器1、溶剤サブ容器7、インクサブ容器8、メインフィルタユニット3、回収フィルタユニット4が並んでいる。メイン容器1には、印字ヘッドに供給するインクが収容されている。溶剤サブ容器7には、メイン容器1のインク濃度が高くなった場合に希釈する溶剤が収容されている。インクサブ容器8には、印字することによって消費されたインクをメイン容器1に補給するためのインクが収容されている。メインフィルタユニット3は、メイン容器1から供給されるインク中に含まれる異物を除去するために設置されている。メインフィルタユニット3は、ケース部の内部にフィルタ材を収容し、ケース部には外部配管と接続する継ぎ手が設けられている。回収フィルタユニット4は印字ヘッドから回収されるインク中に含まれる異物を除去するために設置されている。回収フィルタユニット4もケース部の内部にフィルタ材を収容し、ケース部には外部配管と接続する継ぎ手が設けられている。
【0016】
図4は
図3を装置手前から見た正面図、
図5は
図4のA−A断面図である。メイン容器1の上側にメインフィルタユニット3、回収フィルタユニット4が配置されている。この状態が定期メンテナンス部品が収納された状態である。以下、本発明の特徴について、
図1を用いて詳しく説明する。
【0017】
図1は、インク循環部102を上方から見た図であり、定期メンテナンス部品の配置と組付け方法を示している。
【0018】
定期メンテナンス部品であるメインフィルタユニット3と回収フィルタユニット4は、インクジェット記録装置100のフロントドア9を開いて溶剤サブ容器7とインクサブ容器8と並んで手前側に配置される。回収継手5と廃液継手6の根元部にはネジが切られており、メイン容器1のフタ部分に接続される。回収フィルタユニット4は、ネジ41でメイン容器1のフタ部分に固定されている。メインフィルタユニット3は、フィルタクランプ2によってメイン容器1のフタ部分に挟み込まれている。また、フィルタクランプ2は、メイン容器1のフタ部分に蝶番21とネジ22により固定されている。
【0019】
以上の構成がメンテナンス部品を収納した時の配置である。この状態では、定期メンテナンス時に、メンテナンス部品へのアクセスは困難となっている。
【0020】
次に、
図6、
図7、
図8、
図9を用い、メンテナンスするときに定期メンテナンス部品を展開した時の説明をする。
【0021】
定期メンテナンス部品の展開方法は、メインフィルタユニット3とそれを挟みこんでいるフィルタクランプ2と一緒に蝶番21の可動軸を中心に回転し手前に持ってくる。
【0022】
図7は
図3の状態からメンテナンス部品を展開した状態を示している。同様に、
図8は
図4の状態からメンテナンス部品を展開した状態、
図9は
図5の状態からメンテナンス部品を展開した状態を示している。展開した状態での特徴について、
図6を用いて詳しく説明する。
【0023】
図6は
図1の状態からメンテナンス部品を展開した状態を示している。
【0024】
メンテナンス部品を展開した状態にすると、収納時にメイン容器1の真上に位置していたメインフィルタユニット3とフィルタクランプ2がメイン容器1の設置面とは異なるところへ移動するため、回収継手5、廃液継手6、回収フィルタユニット4へのアクセスが容易となる。また、メインフィルタユニット3の継手からのチューブは、テンションを収納時と展開時とで張力に差がないように回転軸付近にチューブ保持部を設けている。
【0025】
メインフィルタユニット3は、フィルタクランプ2から取り外した後、装置供給経路との接続継手31と印字ヘッド供給経路との接続継手32を外した後に、ユニット全体を交換する。
【0026】
回収フィルタユニット4は、ケース部を2つに分離して中のフィルタのみを交換した後、再度ケース部を結合して定期的に交換する部品である。
【0027】
次に、インクの廃棄作業について説明する。
【0028】
荷電制御方式のインクジェット記録装置はインクを循環して使用するので、インクを長期に使用すると劣化する。劣化したインクを使用していると、印字品質が低下するので、インク全体を交換する必要がある。インクを交換するときは、回収継手5をメイン容器1から外す。回収継手5にはネジが切られているので、回転させることによってメイン容器1から外すことができる。インクジェット記録装置の制御系からインク廃棄の操作を行うと、印字ヘッドから回収されたインクが回収継手5に戻ってくるので、回収継手5をビーカーなどの容器内に移動させてインクを流し、容器内に回収されたインクを廃棄する。
【0029】
次に、上記方法とは異なるインク廃棄方法について説明する。
【0030】
荷電制御方式のインクジェット記録装置は、インクの粘度を一定の範囲に保つことが重要であり、粘度計を用いて定期的に濃度検出を行う。インク濃度が低い場合は、溶剤サブ容器からの定期的は溶剤補給を中止する。インク濃度が高い場合は、適正な濃度となるようにインクを補給する。しかし、インク濃度が高すぎる場合は、補給する溶剤量が多くなり、メイン容器1に収容する適正なインク量よりも超えてしまう。この場合には、メイン容器1のインクを廃棄する必要がある。インクを廃棄する際は、廃液継手6をメイン容器1から外す。廃液継手6にもネジが切られているので、回転させることによってメイン容器1から外すことができる。
【0031】
廃液継手6には、メイン容器1の底に接続されたチューブがつながっており、廃液継手6をメイン容器内のインク液面より下に移動させることによって、廃液継手6からインクを排出できる。このインクをビーカーなどの容器内で受けてインクを廃棄する。
【0032】
以上のようなメンテナンス作業は、メンテナンス部品を展開されている状態で実施する。
【0033】
次に、メンテナンス作業の終了後、再度収納する際に誤った組込みを防止する方法を説明する。
【0034】
図6の状態から
図1の状態に戻す際、メインフィルタユニット3の接続継手31と接続継手32のどちらかが適切にしまっていなかった場合には、メインフィルタユニット3をフィルタクランプ2にはめ込む際に接続継手が干渉する。
【0035】
また、ユーザーが回収継手5と廃液継手6のどちらかがしっかりしまっていない状態で、フィルタクランプ2を蝶番21の軸中心にメイン容器を収納しようとすると、フィルタクランプ2としっかりしまってない継手が干渉する。
【0036】
図10はメンテナンス部品を全て収納した後、メンテナンスカバー11をしたものである。前記のように誤った組付けをされた場合には、メンテナンス部品がメンテナンスカバーに干渉して、メンテナンスカバー11が所定の位置に組み込めなくなるようになっており、ユーザーは誤った組付けをしたことを認識できる。
【0037】
以上の構成にすることより、メンテナンス時には定期メンテナンス部品へのアクセスが容易になり、メンテナンス時以外は定期メンテナンス部品を装置内の空間部に移動させることによって装置の設置面積を小さくできるという効果がある。また、定期メンテナンス部品を誤って組み付けることを防止できるので、インク漏れの発生を防止し、信頼性の高いインクジェット記録装置を提供できるという効果がある。