(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334368
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20180521BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20180521BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q21/06
H01Q23/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-228109(P2014-228109)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-92726(P2016-92726A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮太
【審査官】
西村 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−239902(JP,A)
【文献】
特開2000−091840(JP,A)
【文献】
特開2000−348797(JP,A)
【文献】
特開平11−121894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、前記アンテナ素子との間で信号を授受する送受信モジュールと、前記送受信モジュールを動作させる制御部と、が実装された複数の基板と、
前記基板の第1主面上において所定方向の少なくとも一端縁に配置され、前記制御部に対して電気的に接続される第1接続端子と、
前記基板の第2主面上において所定方向の少なくとも他端縁に配置され、前記制御部に対して電気的に接続される第2接続端子と、
を備え、
一の前記基板の前記第1接続端子と、他の前記基板の前記第2接続端子とが接続されて前記一の基板と前記他の基板とが互いに連結されるアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1接続端子および前記第2接続端子のうち少なくとも一方は、接続金具を有し、
前記一の基板の前記第1接続端子と、前記他の基板の前記第2接続端子とは、前記接続金具を介して接続される請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記接続金具は、弾性変形した状態で前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接続する請求項2に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機や車両等に搭載され、無線通信やレーダ等に用いられるアクティブフェーズドアレイアンテナ(以下、「アンテナ装置」という。)がある。アンテナ装置は、アンテナ素子が実装された基板を備えている。アンテナ装置は、フレキシブル基板やコネクタ等を採用することにより、湾曲した筐体表面に沿って配置される。
しかしながら、上述のアンテナ装置においては、フレキシブル基板の採用や、コネクタ構造の追加等により、コストが増加する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−252303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、様々な形状の部位に配置できる低コストなアンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のアンテナ装置は、複数の基板と、第1接続端子と、第2接続端子と、を持つ。複数の基板には、アンテナ素子と、アンテナ素子との間で信号を授受する送受信モジュールと、送受信モジュールを動作させる制御部と、が実装されている。第1接続端子は、基板の第1主面上において所定方向の少なくとも一端縁に配置され、制御部に対して電気的に接続される。第2接続端子は、基板の第2主面上において所定方向の少なくとも他端縁に配置され、制御部に対して電気的に接続される。アンテナ装置は、一の基板の第1接続端子と、他の基板の第2接続端子とが接続されて一の基板と他の基板とが互いに連結される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図。
【
図7】第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の斜視図。
【
図8】第2の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のアンテナ装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
図2は、アンテナモジュールの平面図である。
図3は、アンテナモジュールの側面図である。
図4は、アンテナモジュールの底面図である。
図1に示すように、本実施形態のアンテナ装置1は、筐体2に取り付けられた複数のアンテナ複合ユニット10を有する。筐体2は、例えば航空機の機体であって、表面が外部に向かって凸となる曲面状に形成されている。複数のアンテナ複合ユニット10は、それぞれ筐体2の表面に沿うように配置される。複数のアンテナ複合ユニット10は、スペーサ5を介して不図示のボルト等により筐体2に固定されている。
【0009】
図2〜4に示すように、アンテナ複合ユニット10は、基板11と、基板11の裏面11b(請求項の「第1主面」に相当。)上に配置された第1接続端子15と、基板11の表面11a(請求項の「第2主面」に相当。)上に配置された第2接続端子16と、を有する。
基板11は、基板本体と、不図示の配線とを有している。基板本体は、非導電性の例えば合成樹脂材料により形成された平面視長方形状の板部材である。配線は、例えば金属材料がパターニングされることにより形成されており、基板本体の表面や内部に設けられている。基板11には、送受信の動作を行うアンテナ素子12と、アンテナ素子12との間で信号を授受する送受信モジュール13と、送受信モジュール13を動作させる制御部14と、が実装されている。
【0010】
図2に示すように、アンテナ素子12は、基板11の表面11a上において、所定の配列で配置されている。本実施形態では、複数のアンテナ素子12が、基板11の長手方向および短手方向に沿って、略等間隔に整列配置されている。
図2〜4に示すように、送受信モジュール13は、基板11の裏面11b上に所定の配列で配置されている。各送受信モジュール13は、基板11の表面11a上に配置された複数のアンテナ素子12の各別に対応する位置に配置されている。各送受信モジュール13は、それに対応する位置に配置された基板11の表面11a上の各アンテナ素子12と、不図示の配線により電気的に接続されている。
制御部14は、基板11の裏面11b上に所定の配列で配置されている。各制御部14は、複数の送受信モジュール13の各別に隣接して配置されている。各制御部14は、それに対応する位置に配置された各送受信モジュール13と、不図示の配線により電気的に接続されている。
【0011】
図4に示すように、第1接続端子15は、基板11の裏面11b上における基板11の長手方向(請求項の「所定方向」に相当。以下、単に「長手方向」という。)の一端縁に配置されている。第1接続端子15は、例えば銅箔等により形成された複数の電極膜15aが基板11の短手方向に沿って並設された端子列である。第1接続端子15は、制御部14に対して不図示の配線により電気的に接続されている。
【0012】
図2に示すように、第2接続端子16は、基板11の表面11a上における長手方向の他端縁に配置されている。第2接続端子16は、第1接続端子15と同様に、例えば銅箔等により形成された複数の電極膜16aが基板11の短手方向に沿って並設された端子列である。第2接続端子16は、第1接続端子15と同様に、制御部14(
図4参照)に対して不図示の配線により電気的に接続されている。
【0013】
図5は、第2接続端子の斜視図である。
図5に示すように、第2接続端子16は、複数の接続金具17を有している。接続金具17は、平板部17aと、基板11から離間するように突出した湾曲部17bと、が連接された導電性を有する板バネ状の部材である。接続金具17は、第2接続端子16の各電極膜16a上に配置され、平板部17aが各電極膜16aに対して不図示のハンダ等により電気的に接続されている。このとき、接続金具17は、湾曲部17bが平板部17aに対して長手方向の他端側に位置するように配置されている。接続金具17は、湾曲部17bが基板11の表面11aの法線方向に弾性変形可能となっている。
【0014】
図6は、
図1のVI−VI線における断面図である。
図1および
図6に示すように、アンテナ装置1は、複数のアンテナ複合ユニット10のうち、隣り合う一対のアンテナ複合ユニット10の一方における一端縁と、他方における他端縁とが、重なるように配置されている。各アンテナ複合ユニット10の第1接続端子15と、隣り合うアンテナ複合ユニット10の第2接続端子16とは、接続金具17を介して接続される。このとき、
図6に示すように、接続金具17は、弾性変形した状態で、所定の接圧により第1接続端子15に対して電気的に接続される。これにより、一の基板11の第1接続端子15と、他の基板11の第2接続端子16とは、電気的に接続されるとともに、一の基板11と他の基板11とが互いに連結される。このとき、複数のアンテナ複合ユニット10は、縦続接続されている。
【0015】
本実施形態によれば、アンテナ装置1は、各基板11の裏面11b上において長手方向の一端縁に配置された第1接続端子15と、各基板11の表面11a上において長手方向の他端縁に配置された第2接続端子16と、を持つ。これにより、アンテナ装置1は、筐体2の表面に沿って配置された各基板11の端縁同士を互いに重ねることで、コネクタを用いることなく各基板11同士を電気的に接続させることができる。
【0016】
さらに、第2接続端子16は、接続金具17を有している。これにより、基板11が曲面上に配置され、互いに連結する基板11同士の重なり合う部分に隙間が生じる場合であっても、第1接続端子15と第2接続端子16とを確実に接続させることができる。
【0017】
さらに、接続金具17は、弾性変形した状態で第1接続端子15と第2接続端子16とを接続している。これにより、連結された基板11の相対位置が振動等により変位した場合でも、弾性変形した接続金具17が更に弾性変形する、または復元することで、第1接続端子15と第2接続端子16との接続を維持することができる。
【0018】
以下、本実施形態のアンテナ装置の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略または簡略化する。
図7は、第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【0019】
図1に示す実施形態では、アンテナ装置1は、筐体2の曲面状の表面に設けられていたが、これに限定されない。
図7に示すように、変形例に係るアンテナ装置101は、表面が平面状の筐体102に設けられてもよい。なお、この場合、複数のアンテナ複合ユニット10は、基板11が互いに平行となる状態で配置される。このため、アンテナ複合ユニット10は、接続金具17を介さない状態でも、第1接続端子15と第2接続端子16とを接触させ、電気的に接続させることができる。
【0020】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のアンテナ装置について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略または簡略化する。
図8は、第2の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
図9は、
図8のIX−IX線における断面図である。
図8に示す第2の実施形態では、各アンテナ複合ユニット210が、それに連結する一対のアンテナ複合ユニット210における同一主面側に配置されている点で、
図1に示す第1の実施形態と異なっている。
【0021】
図8および
図9に示すように、アンテナ複合ユニット210は、基板11の裏面11b上における長手方向の両端縁に一対の第1接続端子215を有する。また、アンテナ複合ユニット210は、基板11の表面11a上における長手方向の両端縁に一対の第2接続端子216を有する。
【0022】
各アンテナ複合ユニット210は、長手方向両側(以下、単に「両側」という。)に配置された一対のアンテナ複合ユニット210における同一主面側に配置されている。隣り合う一対のアンテナ複合ユニット210の一方は、一対の第1接続端子215が、両側に配置されたアンテナ複合ユニット210の第2接続端子216と接続している。また、隣り合う一対のアンテナ複合ユニット210の他方は、一対の第2接続端子216が、両側に配置されたアンテナ複合ユニット210の第1接続端子215と接続している。このとき、第1接続端子215と第2接続端子216とは、接続金具17を介して接続されている。これにより各アンテナ複合ユニット210は、縦続接続される。
なお、本実施形態では、アンテナ装置201は、表面が平面状の筐体202に設けられているが、これに限定されず、表面が曲面状の筐体に設けられてもよい。
【0023】
なお、上記各実施形態では、接続金具17が第2接続端子16,216に取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、接続金具17は、第1接続端子15,215に取り付けられてもよいし、第1接続端子15,215および第2接続端子16,216の両方に取り付けられてもよい。
【0024】
また、上記各実施形態では、接続金具17が板バネ状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、接続金具17は、コイルバネ状であってもよい。また、接続金具17は、基板11の主面から突出する形状であれば、弾性変形しない部材であってもよい。
【0025】
また、上記各実施形態において図示した例では、アンテナ装置1,101,201は、3個のアンテナ複合ユニット10,210が連結されていたが、これに限定されない。アンテナ装置は、2個以上のアンテナ複合ユニットが連結されることで、上記の作用効果を得ることができる。
【0026】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アンテナ装置は、各基板の裏面上において長手方向の少なくとも一端縁に配置された第1接続端子と、各基板の表面上において長手方向の少なくとも他端縁に配置された第2接続端子と、を持つことにより、筐体表面に沿って配置された各基板の端縁同士を互いに重ねることで、コネクタを用いることなく各基板同士を電気的に接続させることができる。したがって、様々な形状の部位に配置できる低コストなアンテナ装置を提供できる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0028】
1,101,201…アンテナ装置、11…基板、11a…基板の表面(第2主面)、11b…基板の裏面(第1主面)、12…アンテナ素子、13…送受信モジュール、14…制御部、15,215…第1接続端子、16,216…第2接続端子、17…接続金具