(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の通路を構成する主機と、前記第1の通路と隣接する第2の通路を構成し、前記主機に隣接して設置される隣接従機とを含み、少なくとも2台の自動改札機を備える自動改札機システムであって、
前記主機の内部または前記隣接従機の内部に設置され、前記主機の内部と前記隣接従機の内部とを連通させる孔部において、前記主機の内部から前記隣接従機の内部に向けて気流を発生させる第1のファンと、
前記隣接従機の内部に設置され、前記隣接従機の内部温度を計測する隣接従機温度計測部と、
前記主機の内部または前記隣接従機の内部に設置され、前記隣接従機温度計測部により計測される隣接従機の内部温度が隣接従機側の基準温度未満である場合に前記第1のファンを作動させる制御部と、
を備える自動改札機システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の自動改札機を、図面を参照して説明する。自動改札機は、鉄道の駅、イベント会場等において、利用者の入出場を制御する装置である。必要に応じて、XYZ座標系を用いて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の自動改札機システム1の構成を示す透視図である。また、
図2は、第1の実施形態の自動改札機システム1を上側(+Z側)から見た透視図である。自動改札機システム1は、少なくとも、通路kを構成する自動改札機A(k)、通路k+1を構成する自動改札機A(k+1)の2台の自動改札機A(k)、A(k+1)を備える。自動改札機A(k)は主機100(k)および従機200(k)を備え、自動改札機A(k+1)は主機100(k+1)および従機200(k+1)を備える。なお、
図1においてにおいて主機100(k)の構成要素として記載されたものは、主機100(k+1)にも内蔵されている。また、
図1において従機200(k)の構成要素として記載されたものは、従機200(k+1)にも内蔵されている。
【0011】
主機100(k)は、自機および対向する従機200(k)を制御し、通路kにおける利用者の双方向の通行を許可または禁止する。また、主機100(k+1)は、自機および対向する従機200(k+1)を制御し、通路k+1における利用者の双方向の通行を許可または禁止する。
【0012】
ここで、主機および従機の構成について、いずれの主機または従機であるか区別せずに説明する。
図2に示すように、主機100は、例えば、磁気券投入口110と、磁気券排出口111と、電子媒体のリーダライタ部120と、表示部130と、これらを統括制御する制御部170とを備える。磁気券投入口110に投入された磁気券は、主機100の内部の磁気券搬送機構150(
図3を用いて説明)を搬送されながら各種処理を受け、必要に応じて磁気券排出口111から排出される。リーダライタ部120は、利用者によって翳された電子媒体に記憶された情報を読み取ると共に、制御部170によってSF(Stored Fare)処理、すなわち電子マネーからの料金収受処理がなされた結果を電子媒体に書き込む。表示部130は、制御部170によって処理された結果を表示する。主機100は、対向する従機200と共にドアを駆動し、利用者の通行を許可または禁止する。なお、
図1および
図2ではICと磁気併用機である例を示したが、主機100および従機200の一方または双方は、磁気券専用機であってもよい。
【0013】
また、
図2に示すように、従機200は、磁気券投入口210と、磁気券排出口211と、電子媒体のリーダライタ部220と、表示部230とを備える。磁気券投入口210に投入された磁気券は、従機200の内部の磁気券搬送機構250(
図4参照)を搬送されながら各種処理を受け、必要に応じて磁気券排出口211から排出される。リーダライタ部220は、利用者によって翳された電子媒体に記憶された情報を読み取ると共に、対向する主機100の制御部170でSF処理がなされた結果を電子媒体に書き込む。表示部230は、主機100の制御部170によって処理された結果を表示する。従機200は、対向する主機100と共にドアを駆動し、利用者の通行を許可または禁止する。表示部230の表示制御、SF処理、磁気券搬送機構250の統括制御などを行う制御部170は、その従機200に対向する主機100の側に集約されている。すなわち、従機200は、利用者の通行に関与する磁気券投入口、磁気券排出口、リーダライタ部、表示部、扉部などを備え、これらの各部が、通路を挟んで対向する主機100内に設置された制御部170による制御を受けるものである。
【0014】
図3は、第1の実施形態の自動改札機システム1を正面から見た透視図である。主機100の制御部170は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、各種記憶装置、他の従機または補機との通信インターフェース、交流を直流に変換してプロセッサに供給する電源回路などを備える。制御部170は、例えば、通行制御部171と、温度管理部172とを備える。これらの機能部は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより機能するソフトウェア機能部である。またこれらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア機能部であってもよい。
【0015】
通行制御部171は、主機100が備える機構部と、通路を挟んで対向する従機200または補機の機構部とを制御することで、利用者の通行に関する制御を行う。また、通行制御部171は、一定時間、利用者が通行しない場合にスリープモードへ移行する機能を備えている。
【0016】
温度管理部172は、自機の温度管理と、自機と抱き合わせ設置された従機200の温度管理を行う。抱き合わせ設置とは、第1の通路の主機100と、第1の通路に隣接する第2の通路の従機200とが隣接して設置されることをいう。
図1および
図2における主機100(k)と従機200(k+1)が、抱き合わせ設置されたものに該当する。以下、自動改札機システム1のうち抱き合わせ設置された主機100(k)と従機200(k+1)に着目し、これらを主機100、隣接従機200と称して説明する。すなわち、温度管理部172は、主機100および隣接従機200の温度管理制御を行う。温度管理制御の内容については後述する。
【0017】
また、
図1および
図3に示すように、主機100の内部には、主機側冷却ファン160が設置される。主機100の筐体における主機側冷却ファン160に対向する位置には、孔部161が設けられる。主機側冷却ファン160は、磁気券搬送機構150付近の空気を孔部161から主機100の筐体の外部に排出する。なお、孔部161が省略され、主機側冷却ファン160は、主機100の筐体の内部の空気を循環させることで磁気券搬送機構150を冷却するものであってよい。
【0018】
同様に、隣接従機200の磁気券搬送機構250の付近には、隣接従機側冷却ファン260が設置される。隣接従機200の筐体における隣接従機側冷却ファン260に対向する位置には、孔部261が設けられる。隣接従機側冷却ファン260は、磁気券搬送機構250付近の空気を孔部261から隣接従機200の筐体の外部に排出する。なお、孔部261が省略され、隣接従機側冷却ファン260は、隣接従機200の筐体の内部の空気を循環させることで磁気券搬送機構250を冷却するものであってよい。
【0019】
また、
図1ないし
図3に示すように、主機100の制御部170付近には、筐体間ファン180が設置される。主機100と隣接従機200の筐体の仕切り部分における、筐体間ファン180に対向する位置には孔部181が設けられる。なお、孔部181は、主機100と隣接従機200の双方の筐体に形成された孔部を合わせてなるものであってもよいし、主機100と隣接従機200の筐体の仕切り部分が、共通化された一つの壁面となっている場合には、その壁面に形成された孔部であってもよい。筐体間ファン180は、孔部181において主機100から隣接従機200に向かう気流を発生させて、制御部170付近の空気を、孔部181を介して図中プラスX方向に送り出し、隣接従機200の筐体内に供給する。
【0020】
また、
図1および
図3に示すように、主機100の筐体内の任意の位置には主機側温度センサ190が、隣接従機200の筐体内の任意の位置には隣接従機側温度センサ290が、それぞれ取り付けられている。主機側温度センサ190および隣接従機側温度センサ290は、計測した温度を主機100の制御部170に出力する。
【0021】
図4は、実施形態の主機100を側面から見た内部構成図である。磁気券搬送機構150には、例えば、分離部151、整列部152、磁気券処理部153、反転部154、保留部155、パンチ部156、印刷部157、まとめ放出部158が配置されている。また、主機100の下部には、集札部159が配置されている。主機100には、これらの構成要素を冷却するための主機側冷却ファン160が設置されている。
【0022】
分離部151は、磁気券投入口110に磁気券が複数枚重ねて投入された場合に、これらを搬送方向に沿って1枚ずつずらして分離する。整列部152は、分離された磁気券を磁気券処理部153が処理できる姿勢に整列させる。磁気券処理部153は、整列された磁気券に記憶された情報を読み取り、駅構内への入場許可条件を満たすか否かを判定し、入場条件を満たす場合、磁気券に入場情報を記憶する。なお、駅構内から駅構外へ出場する出場処理の場合、磁気券処理部153は、磁気券に記憶された情報を読み取り、主機100が設置された駅からの出場許可条件を満たすか否かを判定する。出場条件を満たす場合、磁気券は集札部159に搬送される。なお、磁気券処理部153による判定処理は、制御部170に集約されてもよい。
【0023】
反転部154は、投入された磁気券が、表裏に関して、印刷可能な所望の方向を向いているか否かを検出し、所望の方向を向いていない場合は磁気券を1枚ずつ反転させて、磁気券を所望の方向に向ける。保留部155は、複数枚重ねて投入口に投入された磁気券のうち、反転部154による処理が不必要な磁気券などを一時的に待機させる。パンチ部156は、必要に応じて磁気券を穿孔する。印刷部157は、磁気券に日付や入場駅などの情報を印刷する。まとめ放出部158は、搬送方向に並んで搬送される磁気券を重ねてひとまとまりにし、磁気券排出口111に搬送する。集札部159には、例えば出場処理が行われた磁気券が搬送され、集積される。なお、隣接従機200の磁気券搬送機構250は、主機100の磁気券搬送機構150と同様の構成を有している。
【0024】
以下、制御部170により実行される制御について説明する。
図5は、制御部170により実行される主機100側に対する制御の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、主機100に電源投入されたときに開始される。
【0025】
まず、制御部170の通行制御部171が、自動改札機Aの待機状態(監視対象通路における利用者の通行を制御可能な状態)に移行する(ステップS300)。次に、温度管理部172が、自動改札機システム1が寒冷地モードに設定されているか否かを判定する(ステップS302)。寒冷地モードとは、気温が低い地域で使用される場合に設定される動作モードであり、気温の低下により、特に磁気券搬送機構150において磁気券の滑りや詰まりが生じるのを抑制することを目的としている。寒冷地モードは、図示しないスイッチ等を操作することで設定可能にしてもよいし、自動改札機システム1の出荷前に、記憶装置に内部フラグを設定しておくことで設定されてもよい。
【0026】
寒冷地モードに設定されていない場合、温度管理部172は、主機側冷却ファン160を継続的に作動させる(ステップS304)。なお、ステップS304の処理において、電源投入から一定時間の間は、主機側冷却ファン160を作動させないようにしてもよい。
【0027】
寒冷地モードに設定されている場合、温度管理部172は、隣接従機200がヒータを備えるか否かを判定する(ステップS306)。隣接従機200がヒータを備えているか否かを示す情報は、自動改札システム1を設置する際に主機100の温度管理部172に記憶させるようにすればよい。第1の実施形態では、隣接従機200はヒータを備えていないため、否定的な判定を得ることになる。隣接従機200がヒータを備えていない場合、温度管理部172は、通行制御部171に対し、スリープモードへの移行を禁止する通知を行う(ステップS308)。なお、ステップS306の判定は、隣接従機200がヒータを備える自動改札機と備えない自動改札機の間で、制御部170の共通化を実現するためのものであり、隣接従機200がヒータを備えない自動改札機Aの専用フローとして、ステップS306の判定を省略したフローが実行されても構わない。
【0028】
次に、温度管理部172は、主機側温度センサ190から入力される主機100側の温度が、基準温度T1a未満であるか否かを判定する(ステップS310)。温度管理部172は、主機100側の温度が基準温度T1a未満である場合、主機側冷却ファン160を停止させ(ステップS312)、主機100側の温度が基準温度T1a以上である場合、主機側冷却ファン160を作動させる(ステップS314)。
【0029】
図6は、制御部170により実行される隣接従機200側の温度制御の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、主機100および隣接従機200に電源投入されたときに開始される。
【0030】
まず、温度管理部172が、自動改札機システム1が寒冷地モードに設定されているか否かを判定する(ステップS400)。寒冷地モードに設定されていない場合、温度管理部172は、隣接従機側冷却ファン260を継続的に作動させる(ステップS402)。なお、ステップS402の処理において、電源投入から一定時間の間は、隣接従機側冷却ファン260を作動させないようにしてもよい。
【0031】
寒冷地モードに設定されている場合、温度管理部172は、隣接従機200がヒータを備えるか否かを判定する(ステップS404)。第1の実施形態では、隣接従機200はヒータを備えていないため、否定的な判定を得ることになる。なお、
図5のステップS306の判定と同様、ステップS404の判定は、隣接従機200がヒータを備える自動改札機と備えない自動改札機の間で、制御部170の共通化を実現するためのものであり、隣接従機200がヒータを備えない自動改札機Aの専用フローとして、ステップS404の判定を省略したフローが実行されても構わない。隣接従機200がヒータを備える場合の処理については、第2の実施形態で説明する。
【0032】
隣接従機200がヒータを備えない場合、温度管理部172は、隣接従機側温度センサ290から入力される隣接従機200側の温度が、基準温度T2a未満であるか否かを判定する(ステップS406)。
【0033】
隣接従機200側の温度が基準温度T2a未満である場合、温度管理部172は、隣接従機側冷却ファン260を停止させ(ステップS408)、主機100から隣接従機200に向けて送風する筐体間ファン180を作動させる(ステップS410)。前述したように、筐体間ファン180は、制御部170付近に設置され、制御部170は、電源回路やプロセッサなどの発熱しやすい構成を備えている。従って、筐体間ファン180を作動させることで、制御部170により暖められた空気が、主機100の筐体内部から隣接従機200の筐体内部に移動する。このため、隣接従機200にヒータを備えなくても(低コストで)隣接従機200の内部温度を上昇させることができる。なお、基準温度T1aと基準温度T2aは同じ温度であってもよいし、異なる温度であってもよい。
【0034】
一方、隣接従機200側の温度が基準温度T2a以上である場合、温度管理部172は、隣接従機側冷却ファン260を作動させ(ステップS412)、主機100から隣接従機200に向けて送風する筐体間ファン180を停止させる(ステップS414)。
【0035】
図2および
図3では筐体間ファン180が主機100の筐体内部に設置されることを例示したが、筐体間ファンは、隣接従機200の筐体内部に設置されてもよい。
図7は、第1の実施形態の変形例である自動改札機システム1を正面から見た透視図である。この場合の筐体間ファン280は、制御部170付近の空気を孔部181から吸い出し、隣接従機200の筐体内に供給する。
【0036】
以上説明した第1の実施形態に係る自動改札機システム1によれば、主機100の内部と隣接従機200の内部とを連通させる孔部において、主機100の内部から隣接従機200の内部に向けて気流を発生させる筐体間ファン180または280を備え、隣接従機200の内部温度が基準温度T2a未満である場合に、筐体間ファン180または280を作動させることにより、隣接従機200の内部温度を低コストで上昇させることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。
図8は、第2の実施形態の自動改札機システム2の構成を示す透視図である。また、
図9は、第2の実施形態の自動改札機システム2を上方から見た透視図である。第2の実施形態の自動改札機システム2は、隣接従機200の内部にヒータ282を備える。ヒータ282は、例えば、発熱抵抗を備える。また、隣接従機200のヒータ282付近には、筐体間ファン283が設置される。主機100と隣接従機200の筐体の仕切り部分における、筐体間ファン283に対向する位置には孔部284が設けられる。筐体間ファン283は、孔部284において隣接従機200から主機100に向かう気流を発生させて、ヒータ282により暖められた空気を、孔部284を介して図中マイナスX方向に送り出し、主機100の筐体内に供給する。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0038】
以下、第2の実施形態に係る温度管理部172の処理について説明する。
図5で説明した主機100側の制御については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、
図6におけるステップS400〜S414の処理についても、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。以下、
図6のステップS404において「隣接従機200がヒータを備える」という判定がなされた以降の処理について説明する。
【0039】
隣接従機200がヒータ282を備える場合、温度管理部172は、隣接従機側温度センサ290から入力される隣接従機200側の温度が、基準温度T2b未満であるか否かを判定する(ステップS420)。
【0040】
隣接従機200側の温度が基準温度T2b未満である場合、温度管理部172は、隣接従機側冷却ファン260を停止させ(ステップS422)、ヒータ282を作動させる(ステップS424)。基準温度T2bは、例えば基準温度T2a以下の温度に設定される。
【0041】
次に、温度管理部172は、主機側温度センサ190から入力される主機100側の温度が、基準温度T1b未満であるか否かを判定する(ステップS426)。温度管理部172は、主機100側の温度が基準温度T1b未満である場合、隣接従機200から主機100に向けて送風する筐体間ファン283を作動させ(ステップS428)、主機100側の温度が基準温度T1b以上である場合、筐体間ファン283を停止させる(ステップS430)。基準温度T1bは、例えば基準温度T1a以下の温度に設定される。これによって、主機100側の内部温度が基準温度T1aと基準温度T1bの間にある場合には、隣接従機200から主機100への通気は行わず、主機側冷却ファン160を停止させることで主機100の筐体内部の温度を上昇させるという制御が可能になり(
図5のステップS310〜S312)、ヒータ282による温度上昇を、隣接従機200のためにのみ用いることができる。この結果、隣接従機200の内部温度を、より速やかに上昇させることができる。
【0042】
一方、隣接従機200側の温度が基準温度T2b以上である場合、温度管理部172は、隣接従機側冷却ファン260を作動させ(ステップS432)、主機側温度センサ190から入力される主機100側の温度が、基準温度T1b未満であるか否かを判定する(ステップS434)。主機100側の温度が基準温度T1b未満である場合、温度管理部172は、ヒータ282を作動させ(ステップS436)、筐体間ファン283を作動させる(ステップS438)。主機100側の温度が基準温度T1b以上である場合、温度管理部172は、ヒータ282を停止させ(ステップS440)、筐体間ファン283を停止させる(ステップS442)。これによって、主機100側の内部温度が基準温度T1aと基準温度T1bの間にある場合には、隣接従機200から主機100への通気は行わず、主機側冷却ファン160を停止させることで主機100の筐体内部の温度を上昇させるという制御が可能になり、ヒータ282を作動させることによる電力消費の増大を抑制することができる。
【0043】
以上説明した第2の実施形態に係る自動改札機システム2によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、主機100の温度が低い場合には、隣接従機200のヒータ282によって暖められた空気を主機100の筐体内部に供給するため、主機100の内部温度を速やかに上昇させることができる。
【0044】
(第2の実施形態の変形例)
図6のフローチャートでは、隣接従機200がヒータ282を備える場合には、主機100から隣接従機200に向けて送風する筐体間ファン180を作動させないものとしたが、隣接従機200の内部温度に応じて、段階的に筐体間ファン180とヒータ282を作動させるようにしてもよい。
図10は、制御部170により実行される隣接従機200側に対する制御の流れを示すフローチャートの他の例を示す図である。
【0045】
図10の例では、温度管理部172は、ステップS420において隣接従機200側の温度が基準温度T2b以上であると判定された場合、隣接従機200側の温度が基準温度T2a未満であるか否かを判定する(ステップS431)。なお、この場合、T2a>T2bである。そして、温度管理部172は、隣接従機200側の温度が基準温度T2a未満である場合、隣接従機側冷却ファン260を停止させ(ステップS408)、主機100から隣接従機200に向けて送風する筐体間ファン180を作動させる(ステップS410)。
【0046】
これによって、隣接従機200側の内部温度が基準温度T2aと基準温度T2bの間にある場合には、ヒータ282を作動させず、主機100の制御部170の発熱によって隣接従機200の筐体内部を暖めるという制御が可能になり、ヒータ282を作動させることによる電力消費の増大を抑制することができる。
【0047】
なお、上記各実施形態では温度管理部172(特許請求の範囲に記載の制御部)を主機100に設けるものとしたが、温度管理部を隣接従機200に設けてもよい。すなわち、主機100の内部には通行制御部171に相当する装置を、隣接従機200の内部には温度管理部172に相当する装置を、それぞれ備える構成としてもよい。この場合、主機100は監視対象通路の利用者の通行を制御し、隣接従機200は主機100および隣接従機200の温度管理を行う。隣接従機200の内部を暖める場合には、主機100の通行制御部171に相当する装置の発熱が利用される。
【0048】
(適用例)
第1の実施形態に係る自動改札機システム1または第2の実施形態に係る自動改札機システム2は、以下のような場面で使用される。
図11は、自動改札機の使用場面を例示した図である。図中、矢印は利用者が通行可能な方向を示している。主機100(k)、100(k+1)および従機200(k)、200(k+1)が、双方向に通行可能な通路k、k+1を構成する。また、主機100(k+2)および補機300(k+2)が、一方向にのみ通行可能な通路k+2を構成する。
図11の例では、抱き合わせ設置される主機100(k)および従機200(k+1)に、実施形態と同様の機能が搭載され得る。
【0049】
なお、上記各実施形態における主機側温度センサ190が「主機温度計測部」の一例であり、隣接従機側温度センサ290が「隣接従機温度計測部」の一例である。また、筐体間ファン180または筐体間ファン280が「第1のファン」の一例であり、筐体間ファン283が「第2のファン」の一例であり、主機側冷却ファン160が「第3のファン」の一例である。また、基準温度T1aが「主機側の基準値」または「主機側の第1の基準値」の一例であり、基準温度T1bが「主機側の第2の基準値」の一例であり、基準温度T2aが「隣接従機側の基準値」または「隣接従機側の第1の基準値」の一例であり、基準温度T2bが「隣接従機側の第2の基準値」の一例である。
【0050】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、主機100の内部と隣接従機200の内部とを連通させる孔部181において、主機100の内部から隣接従機200の内部に向けて気流を発生させる筐体間ファン180と、隣接従機200の内部温度を計測する隣接従機側温度センサ290と、隣接従機側温度センサ290により計測される隣接従機200の内部温度が基準温度T2a未満である場合に、筐体間ファン180を作動させる制御部170とを持つことにより、隣接従機200の内部温度を低コストで上昇させることができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。