特許第6334410号(P6334410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334410ポリマー/生物学的要素アロイの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334410
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ポリマー/生物学的要素アロイの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20180521BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 77/02 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 1/12 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20180521BHJP
   C12N 9/16 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
   C08J3/20 ZCFD
   C08J3/20CEP
   C08J3/20CFG
   C08L67/00ZBP
   C08L77/02
   C08L1/12
   C08L101/16
   !C12N9/16 Z
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-548158(P2014-548158)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-509990(P2015-509990A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】FR2012053014
(87)【国際公開番号】WO2013093355
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】1162045
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1251852
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595040744
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(73)【特許権者】
【識別番号】510256920
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドゥ ポワティエ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE POITIERS
(73)【特許権者】
【識別番号】514156172
【氏名又は名称】ヴァラグロ カルボン ルヌヴラブル ポワトゥ−シャラント
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(72)【発明者】
【氏名】フェレイラ, ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】バタイユ, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】デヴェル, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】バルビエール, ジャック
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−168149(JP,A)
【文献】 特開2002−356623(JP,A)
【文献】 特開平11−206370(JP,A)
【文献】 特開平03−179036(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0160335(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/039489(WO,A1)
【文献】 特表2013−506414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−28
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c)の工程を有するポリマー/酵素アロイの製造方法:
(a)ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、C1−C6ポリヒドロキシアルカノエート、セルロースアセテート、ポリ(ブチレン、アジペート−co−テレフタレート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリアミドPA11およびこれらの混合物の中から選択される一つのポリマーを選択し、
(b)工程(a)で選択したポリマーを劣化させ酵素選択し、
(c)室温以上かつ工程(a)で選択したポリマーが部分的または完全に溶融する温度Tで、工程(a)で選択したポリマーと工程(b)で選択した酵素とを一緒に押出し成形してポリマー/酵素アロイを製造し、
上記酵素は上記ポリマー/酵素アロイ中で上記ポリマーを劣化でき、上記ポリマーと上記酵素は室温以上の温度Tで押出し成形する間に混合される
【請求項2】
上記温度Tが上記ポリマーのガラス転移温度と融点との間にある請求項に記載の方法。
【請求項3】
上記温度Tが上記ポリマーの融点である請求項に記載の方法。
【請求項4】
酵素/ポリマーの重量比が0.1%〜10%の間にある請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
酵素/ポリマーの重量比が1%〜3%の間にある請求項に記載の方法。
【請求項6】
上記ポリマーが生分解性ポリマーである請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上記酵素が耐熱性酵素および熱安定性酵素の中から選択される酵素である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記酵素がシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia) のリパーゼPS、カンジダアンタルティカ(Candida antartica)のリパーゼB、プロテイナーゼKおよびC1−C6デポリメラーゼ(depolymerase)のポリヒドロキシアルカノエートおよびこれらの混合物の中から選択される耐熱性酵素である請求項に記載の方法。
【請求項9】
上記酵素が上記ポリマーとして同じ材料で作られたナノカプセル(nanocapsules)中に封入された酵素、ケージ分子中に封入された酵素および互いに凝集した酵素(enzymes agregees)の中から選択される耐熱性酵素である請求項に記載の方法。
【請求項10】
上記ポリマーがポリカプロラクトンで、上記酵素がこのポリカプロラクトンを分解できるリパーゼである請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
上記ポリマーがポリカプロラクトンで、上記酵素がこのポリカプロラクトンを分解できるシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のアマノリパーゼ(amanolipases)PS)である請求項0に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法が得られるポリマー/酵素アロイ。
【請求項13】
上記酵素が上記ポリマーを劣化させる熱安定性酵素である請求項12に記載のポリマー/酵素アロイ。
【請求項14】
上記酵素が上記ポリマーとして同じ材料で作られたナノカプセル(nanocapsules)中に封入された酵素、ケージ分子中に封入された酵素および互いに凝集した酵素(enzymes agregees)の中から選択される耐熱性酵素である請求項12に記載のポリマー/酵素アロイ。
【請求項15】
請求項1214のいずれか一項に記載のポリマー/酵素アロイの、農業、園芸、包装、飲食(restauration)、環境、運搬、織物、エレクトロニクスおよび医薬の分野での使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油化学工業および/または生物資源(biosources)から誘導されるポリマー材料であって、その組成中に組成物を劣化・分解させることが可能な酵素および微生物の中から選択される生物学的要素(entite biologiques、エンティティ、単位、実体)を含むポリマー材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ポリマー材料は特にプラスチックの分野で最近大きな興味が持たれている対象である。その共用使用(usages courantes)の開発が広く行われているということは環境でのプラスチックの集積量が増加し、視覚公害、ゴミ捨て場の混乱、土壌汚染、海洋汚染が大きな問題になっていることを意味している。すなわち、プラスチックに固有な特性、特にその耐劣化(分解)性から、この材料に由来するゴミの処置は環境面および経済面で実際上の問題となっている。
【0003】
多くの解決策が提案されており、その中にはプラスチック材料の生分解性に関するものもある。その方法はプラスチック材料を環境微生物による劣化(分解)に適するようにするものであるが、この場合の劣化は一般に部分的で、しかも、欧州規格EN 13432に記載の極めて有利な条件を必要とする。そうした条件は人為的条件、例えば産業コンポストにしか当てはまらない。例えば、一般に40℃以上の温度で材料を劣化(分解)するようになっているが、この温度条件はエネルギーの観点、更には財政的な観点から実施コストが高過ぎる。
【0004】
従来の他のゴミ処理方法、例えばゴミ焼却法またはゴミ埋立て法を生分解性ポリマー材料に適用したとしても、その劣化(分解)が完全ではないため、有害である。
【0005】
さらに、生分解性材料は物理特性、特に湿度、温度および機械的伸びに関する物理特性が悪い。この欠点のため生分解性材料を標準のプラスチック加工操作、例えば射出成形または押出成形に適用することはできず、目標とする用途で使用できない。
【0006】
従って、従来の生分解性材料は、期待されたにもかかわらず、工業的要求および環境的要求を満たしていなかった。
【0007】
プラスチッチ材料の分解性を改善するために植物ベースの充填材を添加したポリマーから成る材料も提案されている。しかし、その劣化は植物ベースの充填材の劣化だけであるため、劣化は必然的に不完全なものである。しかも、ポリマーの機械特性が維持できないため、この種の解決策は不充分であり、この種の材料のプラスチック加工分野での使用は制限される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】欧州規格EN13432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、石油化学に由来するプラスチックの機械特性と同じ機械特性を有し、標準的なプラスチック加工操作が使用でき、一般的な自然環境で遭遇するのと同じ温度、pHおよび湿度の条件下で、許容範囲内の劣化速度で、完全に劣化(分解)が可能な生分解性材料に対するニーズがある。
【0010】
発明者は長い徹底した研究の後に、ポリマー材料を劣化できる生物学的要素をその組成物中に含むポリマー材料の製造方法を見出した。本発明者が見出したポリマー材料すなわち「ポリマー/生物学的要素アロイ(alliages polymere/entite biologiques)」は水溶性条件下で完全に劣化可能であり、しかも、固体条件下では安定しているという生理化学的特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリマーとこのポリマーを熱処理時に劣化させる生物学的要素とを混合する段階を有し、上記熱処理は室温以上の温度Tで実行され、上記生物学的要素が上記温度Tに耐久性を有するポリマー/生物学的要素アロイ(alliages polymere/entite biologiques)の製造方法において、上記生物学的要素が上記ポリマーを劣化させる酵素および微生物の中から選択されることを特徴とする方法を提供する。
【0012】
驚くことに、そして、予想し得なかったことに、本発明方法を用いると、上記生物学的要素の酵素活性を維持したまま、固体のポリマー構造中に生物学的要素を包有(inclusion)させることができる、ということを本発明者は見出した。
【0013】
特定の理論に縛られることは望まないが、上記生物学的要素が酵素である場合、温度の増加に伴ってポリマーのヒドロキシル基が気化し、それによって酵素が活性化されるのではないかという仮説を発明者は考えている。酵素がこのように活性化されると、ポリマーの加水分解が開始され、ガラス化(vitrification)が起こり、酵素がコーティングされ、酵素が保護される。
【0014】
発明者はさらに、生物学的要素の存在によって上記アロイの分解性が実質的に改善し、しかも、ポリマーの機械特性が悪化しないということも見出した。従って、上記アロイの機械特性はポリマー単独での機械特性に非常に類似しており、ポリマー単独での機械特性と同じとさえ言える。この特性は、弾性、メルトフローインデックス、引張りパラメータ、例えば最大引張応力、破断伸び率または引張りヤング係数を測定することで決定できる。従って、本発明方法に従って得られるアロイはプラスチック加工の標準操作に極めて適している。
【0015】
驚くことに、上記生物学的要素は本発明アロイ中でその酵素活性を維持するということ発明者は見出した。しかも、上記アロイは、それが溶液でない時に安定な状態を維持する。すなわち、本発明アロイはそれを溶液にした場合にだけ上記生物学的要素が活性になる。従って、上記生物学的要素の存在によって本発明アロイの劣化(分解)条件および速度を制御することが可能である。
【0016】
従って、本発明のアロイは溶液にしない限り安定であり、それによって材料の貯蔵および運搬が容易になるという利点があり、生物学的要素活性化を「放出(リリース、release)」する効果(または遅延する効果)が存在する。この「放出放効果」によって酵素活性の活性化および本発明アロイの劣化(分解)を制御できる点は極めて有利である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「ポリマー/生物学的要素アロイ(alliages polymere/entite biologiques)」または「本発明アロイ」という用語は、その組成物にポリマーを劣化させることができる生物学的要素を含むポリマーを意味する。この表現はポリマー/酵素アロイおよびポリマー/微生物アロイを含む表現である。
【0018】
「生物学的要素(entite biologiques)」という用語は、酵素または微生物を意味する。本発明で生物学的要素とは、問題のポリマーを劣化できる特色を有するものを意味する。
【0019】
「ポリマー/酵素アロイ」という用語は、その組成物中にポリマーを劣化できる酵素を含むポリマーを意味する。このポリマーは生分解性のポリマーであるのが好ましい。本発明方法を実行するための出発材料として生分解性ポリマーを使用することで、劣化特性がより有利なポリマー/酵素アロイを得ることができる。
【0020】
「ポリマー/微生物アロイ」という用語は、その組成物中にポリマーを劣化できる微生物を含むポリマーを意味する。この微生物は一般に上記ポリマーを劣化させる酵素を作る。
【0021】
「熱処理」という用語は、上記ポリマーの温度を上昇させて、好ましくは室温以上の温度、より好ましくは50℃以上の温度にしてポリマーを変形させる全ての操作を意味する。この熱処理は生物学的要素の包有(inclusion)を可能にするものが好ましい。この熱処理は押出成形、射出成形、熱成形、回転成形、圧縮成形、カレンダー加工、圧延(アイロニング)加工、コーティング、積層、発泡、引抜き成形、押出ブロー成形、押出-発泡および圧縮-粒粒操作の中から選択される操作から成るのが好ましい。これらの操作は液体および/または固体の形のポリマーで実行できる。好ましい実施例ではポリマーは固体の形をしている。他の実施例ではポリマーはシロップの形をしている。
【0022】
「室温」という用語、一般に20℃〜30℃の温度、より好ましくは約25℃の温度を意味する。
【0023】
「押出」という用語は、押出機を使用してペレットまたは粉末の形の材料から所望形状のポリマーを製造することを意味する。この用語には異形断面(プロフィル)押出成形、押出ブロー成形、押出−発泡成形および押出−カレンダー加工が含まれる。
【0024】
この押出段階は上記ポリマーの融点で行う。従って、ポリマーは部分的または完全に溶解した状態になる。この温度はポリマーの種類および使用する生物学要素の種類に依存する。この温度は当業者の一般的な知識によって容易に決定できる。温度および圧力の作用下で、部分的または完全に溶融した上記生分解性ポリマーは他の材料、特にポリマーを劣化(分解)する生物学的要素と混合される。この温度Tは上記ポリマーのガラス遷移温度と融点との間にあるのが好ましい。この温度Tはポリマーの融点であるのが好ましい。この温度Tはポリマーの種類および生物学的要素の種類に依存し、一般には50℃以上、好ましくは60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。この温度Tは300℃を超えない。
【0025】
押出機の基本機能は温度と圧力の作用によって押出機端部にあるダイまでポリマーを通過させることにある。一般に、押出機は異なる温度を有する加熱された一つ以上のシリンダー(fourreaux)と、このシリンダーに沿って材料を輸送するための1本または2本のスクリューと、顆粒または粉末の形をした被押出し材料を各種位置から供給するためのホッパーと、塑性材料に所望の形状および寸法を連続的に与えるシリンダーの先端に位置したダイとを有する。押出段階は「Clextral BC21」の名称で市販の二軸スクリュータイプの押出機を使用して実行するのが好ましい。
【0026】
この押出段階の使用方法は当業者に周知である。押出段階は一般に下記工程に従って行われる:
(1) ポリマーとそれを劣化させる生物学的要素との混合物を導入し、
(2) 上記混合物を押出機中に通過させ、
(3) ダイからロッドを押出し、
(4) 上記ロッドを冷却し、必要に応じて乾燥し、
(5) 所望形状に応じた一定形状の顆粒にカットし、
(6) 好ましくは回転オーブン中で約40℃〜約60℃の間の温度、好ましくは約50℃の温度で乾燥する。
【0027】
一般に、生物学的要素/ポリマーの重量比は約0.1%〜約10%、好ましくは約0.5%〜約8%の間、好ましくは約1%〜約6%の間、より好ましくは約1%〜約5%、より好ましくは約1%〜約4%の間、より好ましくは約1%〜約3%の間、より好ましくは約1.5%〜約3%の間にあり、好ましくはこの比は約2%である。この比は生体分解性ポリマーの種類、使用する生物学的要素の種類、所望する結果、特に本発明方法で得られるアロイの分解性に依存し、当業者が調節できる。
【0028】
本発明方法では、上記生物学的要素の劣化能力を最適化できる物質を追加するのが好ましい。上記生物学的要素が酵素である場合、追加する物質は一般にその酵素の補酵素(コファクタ)、例えば二価カチオンにすることができる。
【0029】
本発明で「ポリマー」という用語は、石油化学工業から誘導されるポリマー、生物資源のポリマーおよびバイオベースのポリマーを含む。
【0030】
特定の特定実施例では、本発明におけるポリマーは石油化学工業で作られたポリマーである。このポリマーの強みは重合プロセスの制御性に優れ、ベース物質の変形が容易な点にある。このポリマーは一般に加水分解可能な結合、例えばエステルまたはアミド結合を有するモノマー単位を含む。
【0031】
このモノマーの非限定的な例としてはカプロラクトン、テトラブチレンスクシネート、エステル、エステルアミド、プロピレン、C1−C6ヒドロキシアルカノアート、ブチレンアジペート−co−テレフタレートが挙げられる。
【0032】
本発明を実施するためのポリマーの非限定的な例としてはポリカプロラクトン、ポリテトラメチレン・スクシネート、コポリエステル、ポリエステルアミド、ポリプロピレン、ビニル重合体、ポリ(ブチレン アジパート-co−テレフタレート)、ポリ(C1−C6ヒドロキシアルカノアート)、セルロースアセテート、ポリ(ブチレン スクシネート)、ポリアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
上記ポリアミドは一般に下記の中から選択される脂肪族ポリアミドである:
(1)ポリカプロラクタム(PA6)、
(2)ラウリルラクタム環の開環で得られるポリラウロアミド(PA12)、
(3)アミノウンデカン酸から作られるポリウンデカナミド(PAl1)、
(4)テトラメチレンジアミンとアジピン酸から作られるポリテトラメチレンアジパミド(PA4−6)、
(5)ポリヘキサメチレンアジパミド(PA6−6)、
(6)ヘキサメチレンジアミンとびl,9-ノナン二酸から作られるポリヘキサメチレンジアミンノナンジアミド(PA6−9)、
(7)ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸から作られるポリアミド6.6、セバシン酸-1,6-ヘキサンジアミン(PA6−10)、
(8)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ドデカン二酸から作られるポリヘキサメチレンドデカンジアミン(PA6−12)。
【0034】
好ましいポリアミドはアミノ・ウンデカン酸(PAl1)から作られるポリウンデカナミドである。
【0035】
本発明の他の実施例では、本発明のポリマーは生物資源(biosourced)のポリマーである。
【0036】
「生物資源(biosourced)のポリマー」という用語は、再生可能な資源に由来するポリマーを意味する。この生物資源ポリマーは可塑剤のような添加剤と組み合わされて使われる。この生物資源ポリマーの中で、生分解性の生物資源ポリマーは例えば下記の生物分解性でない生物資源ポリマーとは区別される:
(1)ポリアミド、特にポリアミドPAl1、
(2)ポリ塩化ビニル、
(3)ポリエチレン、
(4)ポリプロピレン。
【0037】
上記ポリマーはポリカプロラクトン(CAPA)、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、C1−C6ポリヒドロキシアルカノエート、セルロースアセテート、ポリ(ブチレン・アジペート−co−テレフタレート)、ポリ(ブチレン・スクシナート)、ポリアミドPA11およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0038】
上記ポリマーはポリ乳酸またはPLAであるのが好ましい。PLAはポリプロピレンのような石油化学の熱可塑性プラスチックと同様な機械特性を有する。
【0039】
上記ポリマーはポリカプロラクトン(CAPA)であるのがより好ましい。
【0040】
他の実施例では、上記ポリマーはバイオベースのポリマーである。「バイオベース(biosurfait)のポリマー」という用語は、天然資源の化合物、好ましくは非石油化学由来の化合物を使用して作ったポリマーを意味する。
【0041】
本発明では本発明方法の押出段階の押出温度に耐えることができる生物学的要素、好ましくは酵素を選択しなければならない。当業者はこの温度を決定し、この温度に耐えることができる生物学的要素を識別するための一般知識を有している。
【0042】
「生分解性ポリマー」という用語は、生物学的要素によって劣化(分解)が可能な材料を意味する。この材料の劣化の結果として水、炭酸ガスおよびメタンが形成され、場合によっては副生成物が形成される。このポリマーの劣化で得られる生成物は非毒性である。
【0043】
規格NE 13432:2000ではコンポスト化および生物分解による高価値包装物に関する必要条件が述べられており、コンポスト化可能と定義されるために材料が有しなければならない特性を示している。その判定条件は以下のとおり:
(1)生物分解性:材料の代謝による炭酸ガスへの転化で測定する。この特性は規格EN 14046を使用して測定する。得られる分解度は6ヵ月以下で90%でなければならない。
(2)劣化度:材料の断片化で、最終コンポストを視覚で識別する。これはコンポスティング法規格EN 14045で測定する。材料を有機質廃棄物の存在下で3ヵ月以下の期間劣化させる。この期間後に2mmの網目を通してコンポストを篩分けし、寸法が2mmを超える残留物は材料が分解されていない(disintegrated)とする。この比率は初期材料の10%以下でなければならない。
(3)重金属含有量が低く、コンポストの品質にネガティブな効果がないこと:規格方法OECDテスト208に従ってコンポストのサンプルを用いて植物成長テストを実行する。コンポストの他の物理化学的パラメータ:塩分、窒素、燐、マグネシウムおよびカリウムの%は(ポリマーを含まないコンポストに対して)変化してはならない。
【0044】
本発明の第1の好ましい実施例では上記生物学的要素は酵素、好ましくは押出温度に耐久性のある酵素である。
【0045】
「押出温度に耐久性のある酵素」という用語は、本発明方法の押出段階を実行する時の温度で蛋白構造および/または酵素活性が影響を受けない酵素を意味する。この酵素は一般に室温以上の温度で使用するのに適している。上記酵素は耐熱性酵素および熱安定性酵素の中から選択するのが好ましい。
【0046】
「耐熱性酵素」という用語は高温、特に本発明方法の押出段階を実行する温度で抵抗性を有する固有種類の酵素を意味する。
【0047】
耐熱性酵素は、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)からのリパーゼPS、シュードモナス‐フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen)からのリパーゼAK、カンジダアンタルティカ(Candida antartica)からのリパーゼB、プロテイナーゼK、C1−C6デポリメラーゼ(depolymerase)のポリヒドロキシアルカノエートおよびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0048】
「熱安定性(heat-stabilized)酵素」または「熱保護(heat-protected)酵素」という用語は、天然では耐熱性がないが、本発明方法の押出段階を実行する温度で抵抗性が与えられる特定形態を有する酵素を意味する。この熱安定性酵素は化学的または物理的プロセスで得られるのが好ましい。
【0049】
上記の熱安定性酵素は、上記ポリマーと同じ材料で作られたナノカプセル(nanocapsules)中に封入された酵素、ケージ(カゴ)分子中に封入した酵素および互いに凝集した酵素(enzymes agregees)の中から選択するのが好ましい。
【0050】
この熱安定性酵素は非耐熱性酵素をナノカプセル(nanocapsules)、好ましくは上記ポリマーと同じ材料から成るナノカプセルの中にカプセル化して得ることができる。カプセル化技術自体は当業者に周知である。このカプセル化法は一般にナノカプセルを使用して実行される。酵素のこのカプセル化法によって酵素の活性化を制御することができる。本発明のこの実施例は食品の包装材料で本発明アロイを使用する場合に特に有利である。
【0051】
この熱安定性酵素は酵素をケージ分子中にカプセル化する方法によって得ることもできる。このカプセル化法によって温度に起因する劣化から酵素を保護することができる。
【0052】
「ケージ(カゴ)分子」という用語は、構造中に酵素を挿入させて酵素を安定させ、室温以上の温度での耐久性を与えることができる分子を意味する。
【0053】
熱安定性酵素は非耐熱性酵素を互いに凝集(agregation)させて得ることもできる。当業者はこの凝集(agregation)を実行するため技術知識を有している。
本発明の特定実施例では、酵素がアポ酵素の形をしており、助触媒(コファクタ)の存在下で活性化される。
【0054】
本発明の第2実施例では、生物学的要素が微生物である。この微生物は一般に芽胞(sporuler)が可能または不可能で、対象とするポリマーを劣化させる酵素を作ることができる微生物である。この微生物はバクテリア、菌類(champignions)またはイースト(levures)であるのが好ましい。
【0055】
本発明実施例で、本発明アロイはポリマー/微生物アロイ、好ましくはポリ乳酸/微生物アロイであるのが好ましい。
【0056】
上記微生物は、上記生物学的要素がオクロバクテリウム(Ochrobactrum)、ファーミキューテス門(firmicutes)に属するバクテリア、バチルス(bacilles)クラスのバクテリア、特にバチルス セレウス菌spp.、特にバチルス セレウス(bacillus cereus) G9241およびバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)sppの中から選択するのが好ましい。
【0057】
微生物はオクロバクテリウム属(Ochrobactrum)、特にブダペスト条約に基づいてCentre National de la Recherche Scientifiquea la Collection Nationale de Cultures de Microorganismesに2009年7月23日に番号CNCM I-4212で寄託したオクロバクテリウム(Ochrobactrum) sp. 37Sと名付けた菌株またはポリ乳酸の劣化できるその変異株であるのが好ましい。
【0058】
上記ポリマーがポリ乳酸で、上記生物学的要素がオクロバクテリウム(Ochrobactrum)sp. 37Sであるのが好ましい。このバクテリアはポリ乳酸を劣化させる。
【0059】
「変異株」という用語は下記を意味する。
(1)本発明の株の天然変異株、すなわち選択培地で培養した後に本発明の株から自然発生的に得られる変異株。従って、この天然変異株はオペレータによる遺伝子操作なしで得られ、上記株の偶発的な突然変異と、適切な媒体での変異株の選定によってのみ得られる、または
(2)ゲノム中に少なくとも一つの突然変異を含む本発明の株の変異株。上記突然変異は遺伝子操作、例えば部位特異的突然変異またはランダム突然変異の生成によって誘導できる。例えば、ランダムな突然変異生成は放射線(紫外線、イオン化放射線、熱)または化合物(亜硝酸、エチルメタンスルホネート)N-メチル-N'-ニトロ-N- ニトロソグアニン、N- エチル-N- ニトロソ尿素、アクリジンオレンジ、プロフラビン等)のような突然変異原を使用して実行できる。
【0060】
「突然変異」という用語は、本発明の株のゲノムの少なくとも一つのヌクレオチド追加、削除または置換することを意味する。
【0061】
本発明は下記(i)〜(iii):
(i) ポリマー、好ましくは生分解性ポリマーを選択し、
(ii)上記ポリマーを劣化でき且つ室温以上の温度Tで耐久性のある生物学的要素の選択し、
(iii)上記ポリマーと上記生物学的要素とを温度Tで実行される熱処理で混合する、
工程から成るポリマー/生物学的要素アロイの製造方法において、
上記生物学的要素を上記ポリマーを劣化させる酵素および上記ポリマーを劣化させる微生物の中から選択することを特徴とする方法に関するものである。
上記で記載した全ての特色はこの方法にも適用される。
【0062】
本発明方法の利点は、プラスチック加工産業で使われている標準的な装置と互換性がある点にある。従って、当業者は従来使われていた生産設備、特に通常の石油化学からのプラスチックの加工に使用されている設備を大きく変えることなしに、迅速かつ直接的に実施することができる。
【0063】
さらに、本発明方法は人の健康または環境に潜在的に危険である化合物を使用する必要がなく、そうした危険のある副生成物の発生もない。
【0064】
本発明方法では、生物学的要素、好ましくは酵素と、ポリマー、好ましくは生分解性ポリマーとを含むポリマー/生物学的要素アロイを「テーラーメイド、a facon」で得ることができ、得られたアロイは劣化する。
【0065】
従って、本発明方法では、ポリマー/生物学的要素アロイ、好ましくは、それのみで劣化速度を制御できるポリマー/酵素アロイを得ることができる。
【0066】
このポリマー/酵素アロイの非限定的な例としては、ポリカプロラクトン/シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPS、ポリカプロラクトン/カンジダアンタルティカ(Candida antartica)のリパーゼB、ポリ乳酸/プロテイナーゼK、C1−C6ポリヒドロキシアルカノエート/C1−C6ポリヒドロキシアルカノエートデポリメラーゼ(depolymerase)の組み合わせ(カップル)を挙げることができる。
【0067】
本発明はさらに、ポリマー/酵素アロイの製造方法、好ましくはポリカプロラクトンの融点で、酵素/ポリマーの重量比を2%にして、ポリカプロラクトンをリパーゼ、好ましくはシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のアマノリパーゼ(amanolipases)PS)と一緒に押出すポリマー/酵素アロイの製造方法に関するものである。
【0068】
発明者は、上記方法で得られたアロイは4ヵ月後には水溶媒体中で完全に分解することを確認した。これに対して、リパーゼを添加しなかったポリカプロラクトンはこの期間内に分解することはなかった。
【0069】
発明者はさらに、上記アロイは80℃、100℃、120℃および140℃の押出温度で劣化することを確認した。
【0070】
本発明の好ましい実施例から本発明は、酵素がポリマーを劣化させ、しかも、酵素が熱安定化されることを特徴とするポリマー/酵素アロイにも関するものである。
【0071】
このアロイの第一の利点は、それが水溶液にされた時に分解性が改善されることであり、その第2の利点はその工業的使用に適したその機械特性にある。アロイ中への酵素の包有(インクルージョン)によってポリマー単独の時の特性が悪くなることはない。従って、上記アロイの機械特性はポリマー単独の場合の機械特性と非常に類似しており、同一であるとも言える。
【0072】
上記熱安定性酵素は、上記ポリマーと同じ材料から作られたナノカプセル(nanocapsules)中に封入された酵素、ケージ分子中に封入された酵素および互いに凝集した酵素の中から選択するのが好ましい。
【0073】
ポリマーおよび酵素熱安定性に関して上記で述べたことはこのアロイにも全て適用できる。
【0074】
本発明は別の実施例は、上記ポリマーがポリ乳酸で、上記生物学的要素がポリ乳酸を劣化するオクロバクテリウム(Ochrobactrum)sp. 37Sであることを特徴とする、ポリマー/生物学的要素アロイに関するものである。
【0075】
別の態様から、本発明は農業、園芸、包装、飲食、環境、運搬、織物、エレクトロニクスおよび医薬の分野での本発明ポリマー/生物学的要素アロイの使用に関するものでもある。以下では「本発明アロイ」および「本発明方法で得られるポリマー/生物学的要素アロイ」という用語は区別なしで使われる。
【0076】
本発明は、本発明アロイの包装分野で使用、特に食品、特に果実および野菜およびパン類の包装での使用にも関するものである。本発明は長期間の貯蔵安定性を必要とする食品包装での本発明アロイの使用に関するものである。特に、本発明アロイは有害効果がないので、食品と接触するものに適しており、容易に分解可能で、炭酸ガス、酸素および水を通過させるバリヤーを構成し、食品の変質を防ぐことができる。
【0077】
本発明はさらに、本発明アロイの農業分野での使用、特に衛生植物検疫(phytosanitary)製品を含む顆粒、土壌被覆(paillage)フィルム、トンネルフィルムおよびカバー(palisage)材料を得るための使用にも関するものである。
【0078】
本発明はさらに、ボトルを得るための上記アロイの使用にも関するものである。
【0079】
本発明はさらに、本発明アロイの医療分野での使用、特に吸収性(resorbable)縫合糸の製造および治療活性分子ベクターとしての使用にも関するものである。本発明アロイは上記治療活性分子を含むナノパーティクルの形で使用するのが好ましい。当業者は本発明アロイからナノパーティクルを製造する一般的技術知識を有している。
【0080】
本発明アロイを治療で使用する利点が多数あることは明らかである。第一に、ナノパーティクルが劣化することで薬物を標的細胞へ徐々に配達することができる。さらに、一定組織、例えば解毒器官、例えば肝臓および腎臓に治療分子が集積することに起因する副作用を制限できる。また、上記ナノパーティクルの生分解性によって潜在的な環境汚染の危険を制限できる。これは患者が自然排出によって外部媒体中にナノパーティクルが拡散することに関連する。
本発明アロイの製造方法を用いることで所望用途に適した分解性を有するアロイを得ることができる。従って、当業者は治療において患者の特定器官でのナノパーティクルの蓄積が無いようなアロイを得る方法に合わせることができ、ナノパーティクルの存在に起因する悪影響を避けることができる。
【0081】
当業者はさらに、治療する病理学のタイプとナノパーティクルの種類に応じて本発明のナノパーティクルでカプセル化した治療活性分子の種類に合わせなければならない。特に、上記ナノパーティクルの生理化学的性質(特にその重量、寸法、脂肪親和性、親水性、イオン化状態)に従って膜貫通バリヤーを通過可能または不可能にする。すなわち、ナノパーティクルの種類は本発明アロイから成るナノパーティクルを投与した患者での治療活性分子の分配に影響する。
【実施例】
【0082】
実施例1
本発明のポリマー/酵素アロイの製造
材料および方法
【0083】
1.押出段階での出発材料中への酵素の包有(インクルージョン)
開始材料の生分解性ポリマー中への酵素の導入は「押出」段階中に実行される。この押出段階は「Clextral BC21」ブランドの2軸スクリュー押出機(モータ動力9kW、スクリュー最大速度600回転数/分、最大電流18.9 A)を使用して実行した。スクリュの直径は25mm、2つのスクリューの間隔は21mm、シリンダーの長さは600mmである。従ってL/d比は24である。押出は下記の5段階で行なう:
(1)生分解性ポリマー/酵素混合物の導入、
(2)上記混合物の押出機中の通過、
(3)直径3mmの円形ダイからのロッドの出力、
(4)長さ3メートルの冷水浴中でのロッドの冷却と、パルス状冷風による「乾燥」、
(5)回転ナイフを有する装置で一定顆粒へカット。
【0084】
配合処方は生分解性ポリマ/酵素の比の関数で変えることができる。本願に示した実験での結果は、材料中の酵素の比は2%(m/m)に対応する。
【0085】
押出しで得た顆粒を回転オーブン(油が循環するダブルジャケット付きロータリミキサー)中で50℃で15時間乾燥させて、水タンク中を通過したことによる残留水分を除去する。乾燥中の含水比は赤外抵抗器を備えた湿度計でモニタリングする。
【0086】
2)サンプルの製造−射出成形
ポリマー/酵素アロイの機械特性とその劣化能力を評価するために「テストサンプル」とよぶ標準形状の成形品を射出成形で得た。この射出成形は顆粒形状のものを三次元の最終製品にするバッチプロセスである。その基本はプラスチック材料を供給シリンダー中で加熱し、溶融状態で吐出帯域へ送り、ピストンで金型中に射出するものである。成形された部品は金型内で冷却してから突き出す。
使用した射出成形機はArburgブランドの「Allrounder l000-420C-250モデル」でのある。この射出成形のテストサンプルはISO規格3167のタイプ1に対応する。
【0087】
結果
1.液体培地での酵素の選択
本発明方法を実施するためには、押出段階段階で使用される優れた酵素/材料の「カップル」を同定して生分解性ポリマを劣化できる酵素を同定しなければならない。
そうした酵素を同定するために本発明者は2つの簡単なテストを行った。このテストではテストサンプルの形または顆粒の形の純粋な材料の試験片で各々テストを行った。
【0088】
以下のテストはポリカプロラクトン(CAPA)(Perstorp、Ref 6506、50 000 g/モル)のテストサンプルまたは顆粒で行った。本発明者は下記の2つの商業的酵素を評価して、このCAPAの劣化能力を調べた:
(1)シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)からのリパーゼPS
(2)シュードモナス‐フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen)からのリパーゼAK(アマノ、日本)
【0089】
(a)テストサンプルでの試験
生物分解条件下に置いたバージンポリマーのテストサンプルはCAPAの顆粒を射出成形して得たテストサンプルである。全ての生物分解テストは熱制御されたオーブン中で30℃で行った。
【0090】
このテストで行った試験はISO規格 14852:1999で定義された組成物を有する栄養溶液中で実行した。または、フォンテーン クリスタライン(Fontaine Cristalline)ブランドの水(すなわち、同じ培養条件にすることが可能な一定組成のミネラルウォータ)中で劣化を評価することもできる。
【0091】
このテストではテストサンプルは溶液中に完全に沈めた状態を維持した。酵素を添加する場合には、200mg/Lの最終濃度で添加した。
【0092】
材料の劣化は培地中に所定期間放置した後のテストサンプルの重量ロスを計算してモニタリングした。
このテスト方法では一連の13個の全く同じテストサンプルを使用した。その中の5つのテストサンプルを103℃のオーブン中に48時間加熱してサンプルの水量ロスを決定するために使用した。この段階は生物分解下に置かれたサンプルの重量ロスの計算の修正を行うためのものである。残りの8つのテストサンプルは劣化培地中に浸し、30℃の温度に制御されたオーブン中に置いた。その後、所定時間後に材料を取り出して組成をモニターした。取出す毎にテストサンプルは103℃のオーブン中で48時間乾燥した後に秤量した。重量ロスは下記の式で計算した。Δmは室温と103℃との間の差:
【0093】
ここで、
mi: テストサンプルの初期重量
mf: テストサンプルの最終重量
【0094】
実験の結果、シュードモナス‐フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen)のリパーゼの存在は劣化程度が酵素が存在しない時と実質的に同じであるので、ポリカプロラクトンの生分解性を改善しないということが示された。
【0095】
それに対して、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼは培地と接触させてから7日後に行った最初の取出し時に極めて大きな劣化が観測された。すなわち、同じ培地で酵素無しで行った場合の重量ロスは0.2%に過ぎなかったが、上記の酵素の場合には5%の劣化が得られた。しかも、劣化が速く観測され、生物分解度も変わらない。そのため、酵素の補充栄養溶液(200mg/L栄養溶液)を変えることにした。この変更は劣化開始後から44日目に行った。これによって劣化再開後、70日目に約9%の劣化が観測できた。
【0096】
(b)顆粒でのテスト
このテストの利点は実質的に安価な実験で少容積で実験でき、さらに、複数の酵素および複数の濃度で同時にテストできる点にある。その上、酵素濃度を高くして短時間で大きな劣化度を得ることができるという利点もある。
この実験ではCAPAの顆粒(容積:約50mm3、重量:約40mg)を1.9mlの緩衝液(25mMリン酸緩衝液、pH 7、アジ化ナトリウム2g/L)中で培養する。必要に応じてシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSを20mg/mlの最終濃度で添加した。培養は28℃の温置で行った。一定時間毎に顆粒を取出し、十分な水で水洗した後、28℃で24時間培養し、乾燥させた。その後、重量を求め、開始時の重量すなわち反応培地中に入れる前の重量と比較した。
【0097】
得られた結果から、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSでは所定条件下でCAPAの劣化度が50%を超えるということが示された。
【0098】
上記プロトコールは、所定ポリマー中に包有させて使用する際に最も適した酵素を求めるために使うこができる。さらに、劣化活性度を最適する特性を有する「添加剤」を同定するのにも使用できる。この添加剤は押出段階で劣化加速するために酵素と一緒に材料に加えることができる。
【0099】
2.最適押出温度を決定するための酵素の耐熱性評価
押出段階ではポリマー/酵素混合物はポリマーの融点に対応する高温に曝らされる。CAPAの場合、この押出温度を80℃にセットした。供給者の技術書によるとシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSは粉末形状で100℃で数時間安定である。しかし、このデータは酵素のリパーゼ活性度を表すものではなく、CAPAデポリメラーゼ(depolymerase)活性度の耐熱性を評価するものではない。
【0100】
従って、我々は酵素溶液(酵素20mg/ml)を80℃で5分間処理して上記顆粒の実験を行った。選択した時間および温度は押出段階時に遭遇する温度条件に近いものに対応する。
この実験の結果、上記処理は酵素のCAPAデポリメラーゼ(depolymerase)活性度に与える影響が低いことを示した。特に、7日後に活性度が10%だけ失われるということを本発明者は確認した。従って、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSはCAPA/酵素アロイを作る上での優れた候補である。
【0101】
3.ポリカプロラクトンで実施する際のシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSの導入方法
本発明者は上記酵素を取込んでポリカプロラクトンの押出成形を実施した。そのために粉末形状のポリマーと粉末形状の酵素との混合物を計量装置(doseur)に導入した。
以下の実験では材料中の酵素のパーセンテージが2%(m/m)となるように各計量装置の流速を調節した。また、酵素を含まない配合処方も作った(対照)([表1])。
【0102】
【表1】
【0103】
押出成形は酵素の特性を失わせる危険を避けるためにCAPAの融点(60℃)以上の温度で且つあまりに高くない80℃で実行した。2つの配合処方に対して同じ条件下で押出成形を実行した。その押出しパラメータは[表2]に示してある。
【0104】

【表2】
【0105】
[表2]で「トルク」という用語はモータの相対強度に対応し、押出機によって被押出し材料に供給された機械エネルギーを表す。
得られた顆粒は回転オーブン中でに乾燥して残留水分を除去した。
2つの配合処方を射出成形段階に送って標準テストサンプルを得た。射出成形条件は2つの材料で同一にした。
[表3]はこのテストで使用した射出成形機の調節条件である。
【0106】
【表3】
【0107】
劣化効能はフォンテーン クリスタライン(Fontaine Cristalline)のミネラルウォータで評価した。簡単に言うと、各配合処方に対して4つの標準化テストサンプル(重量を予め秤量)をタンク中の水(クリスタラインミネラルウォータ)中に浸けた。そのタンクを32℃の温度に制御された換気チャンパー中に置いた。
【0108】
その後、1、2、3および6ヵ月後にテストサンプルを取り出し、(103℃のオーブンで48時間処理した後に)秤量し、材料の分解性を上記の計算式に従って重量ロスから求めた。
得られた結果は、テストサンプルを水中で102日間培養したときの、酵素を材料に組込んだCAPAの全生物分解性を示ている。この結果は上記酵素が押出段階および射出成形段階に加わる熱処理に耐えたことを証明している。
【0109】
従って、本発明者は押出時に効果的に酵素がポリマー中に組み込まれたこと、それと同時に、ポリマーの劣化特性が維持されたことを示した。
上記のアプローチは簡単な方法であり、実行するのが容易であり、天然培地での材料の劣化を制御するために他のポリマー/酵素のカップルにも容易に適用できる。
【0110】
実施例2
本発明アロイの特徴付け
発明者は、CAPA単独と、植物を混ぜ合せたCAPAと、本発明方法で得たCAPAとシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSとから成るアロイの機械特性を比較した。
【0111】
材料および方法
1.アロイの製造
CAPAとシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSとから成るアロイは下記の出発材料を使用して得た:
【表4】
【0112】
押出による造粒段階
押出段階は共回転2軸スクリュー押出機Clextral BC21を使用して下記の5段階で実行した。
(1)容積計量装置および重量計量装置を用いて割合計量した各材料を導入、
(2)押出機の連続した各帯域での溶融、混練、脱気、加圧混合、
(3)直径3mmの円形ダイを介してロッドを出力、
(4)長さ3メートルの冷水タンクでのロッドの冷却と、パルス状冷気を用いた「乾燥」、
(5)回転ナイフ装置で一定形状の顆粒にカット。
【0113】
下記の4つの配合処方を作った(比率は重量パーセンテージに対応):
(1)100%CAPA、
(2)98%CAPA+2%リパーゼ、
(3)80%CAPA+20%コムギ、
(4)55%CAPA+45%コムギ
【0114】
植物ベースの充填材(コムギ粉末)の追加はポリマーの劣化度を増加させるための標準的な代替案である。すなわち、最大劣化度は植物ベースの充填材の劣化に対応し、バインダとして使用したポリマーは劣化しなかった(下記参照)。
【0115】
次いで、押出成形で得た顆粒を40℃の回転オーブン中で12時間乾燥して水タンクを通過したことで残った残留水分を除去した。乾燥した顆粒を射出成形し、特徴付けた。
【0116】
射出成形段階
押出成形で得た顆粒を射出成形段階でテストサンプルに成形し、特徴を調べた。射出成形の基本は塑性材料をシリンダー中で加熱溶融し(可塑化段階)、ピストンによっ圧力下に金型中に射出することにある。材料は金型中で冷却され、部分的に固化し、突き出される。使用した射出成機はArburgブランドのAlirounder 1000-420C-250モデル化である。
【0117】
射出成形のテストサンプルはISO規格3167のタイプ1に対応する。射出成形で得たテストサンプルの「97%CAPA+2%リパーゼ」は、特徴付け前に、室温で1ヵ月間の密封ボール箱内に置いた密封ジップロック・バッグ中に入れて後処理した。この後処理の目的は機械特性および劣化能力の両方の観点で材料の貯蔵安定性を評価するためである。
【0118】
2.機械特性の決定
引張試験
引張特性は国際規格ISO/R 527(引張り特性の決定方法)に記載の方法に従って求めた。このテストでは温度、湿度およびジョー分離速度に関する所定条件下で実行しなければならない。
【0119】
引張試験では初期断面So、長さLoのテストサンプルに伸びを加える。テストサンプルの両端はジョーで把持する。ジョーの1つ(可動ジョー)を所定直線移動速度で駆動される装置に接続する。電子力センサーを使用して力を測定する(10kN)。
【0120】
このテストで得られる情報は下記の3つである:
(1)最大引張応力(Cmax TR;MPa)、
(2)破壊伸び率(%)
(3)引張りヤング係数(MPa)
【0121】
上記規格に記載のように、このテストを材料の各ロットの5つのテストサンプルで実施し、結果はこれらの5つの結果の平均値にした。ジョーの移動速度は50mm/分にセットした。縦弾性係数は最大歪み値の10%〜50%の間で計算した。使用した引張試験機はZwickから市販のものである。
【0122】
シャルピー耐衝撃強度
このシャルピー耐衝撃試験では衝撃応力を受けた所定テストサンプルの脆性またはその靱性(強度)を推定できる。このテストではノッチのない上記のタイプ1のテストサンプルを使用した。
【0123】
使用した装置はZwickブランドの15ジュールのエネルギーを有する衝撃ペンデュラムである。この装置は測定値を記録し、解析するソフトウェアによって駆動される。テスト時にはテストサンプルを衝撃ペンデュラムの前方中心に水平に支持する。シャルピー耐衝抵抗値はテスト前の直角断面でのテストサンプルの破断による吸収エネルギー(弾性エネルギ)に対応する。
【0124】
3.流動特性:メルトフローインデックス(MFR)
所定温度および圧力条件下での熱可塑性プラスチックのメルトフローインデックス(MFR)を決定す方法はISO規格1133に記載されている。このテストで被試験ポリマーのグレードを決定でき、所定温度でポリマーがダイを通る能力に関する流動性の情報を与える(これは射出成形で重要なパラメータである)。
【0125】
使用した装置は精密天秤に接続されたZwickブランドの押出プラストメータで、MFR(g/lO分で表示)を決定できる特性ソフトウェアで駆動される。
テスト時には混合物を鉛直シリンダ中で加熱し、ピストンに付けた重りを使用してダイから押し出す。一定の時間間隔で5つの押出物をカットし、回収し、秤量する。固定するパラメータはシリンダー温度、重りの重量および2回のカット間の時間である。
【0126】
4.水中劣化テスト
各配合処方に対して4つの標準化テストサンプル(予め103℃で乾燥し、秤量する)を水(Cristalline、Leclercのミネラルウォータ)のタンク中に浸する。タンクは32℃の温度に調節された換気キャビティー内に置く。その後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後および4ヵ月後にテストサンプルを取り出し、(103℃のオーブン中で48時間処理した後に)秤量する。材料の分解性は下記の重量ロスを測定して計算する:
重量ロス(%)=(全重量ロス−103℃の水のロス)×100
【0127】
結果
1.機械特性およびレオロジー特性
得られる結果を下記[表5]に示す。
【0128】
【表5】
【0129】
[表5]はテストしたCAPAの機械特性すなわち弾性エネルギ、MFRまたは引張りパラメータが酵素の追加によって変化しないことを示している。これは55%CAPA+45%コムギから成るポリマーと比較して非常に大きな違いである。後者はCAPA単独のものに対して機械特性の全てが劣っている。80%CAPA+20%コムギの混合物はCAPA単独のものと同じよう特性を示している。
【0130】
従って、本発明アロイはCAPAの劣化性の改善に適し、しかも、CAPAの特性を維持する。
【0131】
2.水溶媒体での劣化
上記結果はCAPA単独ではそれを水環境中に浸しても劣化しないことを示している。植物ベースの充填材を20%追加するとアロイの劣化度は改善するが、その最大劣化度は20%未満である。上記で述べたように、この劣化はコムギ粉末の劣化に対応するもので、材料自体は変化しない。
【0132】
すなわち、生物分解性の改善はアロイ中の植物ベースの充填材のパーセンテージの増加に直接関係し、それによって機械特性が失なわれる。
【0133】
上記の結果はさらに、植物ベースの充填材を追加するより酵素を追加する方が極めて有利なことを示している。事実、酵素の追加で純粋材料の機械特性を維持したままCAPAの劣化が誘発される(水中で3ヵ月後の約70%)。
【0134】
すなわち、植物ベースの充填材より良い分解性を示すと同時に、ポリマーの機械特性を維持することができる組成物が得られるということを発明者は示すのに成功したものである。
また、98%CAPAポリマー+2%リパーゼを密封バッグ中に入れて暗闇中で保存しても機械特性は変わらず、劣化能力も変化しない(98%CAPAポリマー+2%リパーゼの後処理有り無しの挙動の比較)。すなわち、本発明アロイは溶液にならない限り安定しており、劣化しない。
【0135】
結論として、本発明ポリマー/酵素アロイの製造方法は寿命の短い材料を開発するのに特に魅惑的な工業的解決策であり、天然培地中に残留物を散布した時に生じる環境への負の影響を減らすことができる。
【0136】
実施例3
ポリカプロラクトン(CAPA)の生物分解に及ぼす温度の影響
ポリカプロラクトンの成形温度がその生物分解性に与える影響が無いことを証明するために、ポリカプロラクトンを170℃で押出し、その生物分解性を評価した。
【0137】
3.1.ポリカプロラクトンを170℃で押出して造粒する段階
この実施例では押出温度を170℃にし、配合処方を100%CAPA(酵素なし)にした点を除いて、押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で実行した。押出変数は[表6]に示した。
【0138】
【表6】
【0139】
3.2.射出成形
標準化テストサンプルを得るために100%CAPA(対照の100%m CAPA6506)の顆粒を射出成形した。射出成形段階は実施例1で説明した方法で実行した。使用した射出成形機の調節項目は[表7]に示した。
【0140】
【表7】
【0141】
3.3.生分解性の測定
(1)30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化をクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータ中で評価した。4つの標準化テストサンプル(その重量は予め秤量しておく)を水タンク中に浸けた。その後、タンクを32℃の温度に加熱調節され換気チャンバー中に置いた。
その後、15日後、1カ月後、2カ月および3カ月後にテストサンプルを取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解度は重量ロスを測定し、実施例1に記載の方法で計算した。
【0142】
配合処方が100%mCAPA 6506(実施例2参照)の場合と同様に、配合処方が100%mCAPA 6506-170のテストサンプルも「重量ロス」が2ヵ月後でもなく、劣化は示さなかった。32℃の水中での劣化のモニタリングからCAPA単独では、80℃〜170℃までの温度で押出した場合、水中で経時劣化しないことが証明された。
【0143】
実施例4
98%CAPA中に2%のシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSを100℃で包有(インクルージョン)
4.1 酵素の包有(インクルージョン)
発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために98重量%のポリマーに2%の酵素を含む混合物を計量装置に入れた。使用した混合物中の各成分の詳細は下記のとおり([表8]参照)。
【0144】
【表8】
【0145】
4.1.a.押出成形
押出成形は100℃で実行した。押出段階は実施例1(「材料と方法」参照)と同様に行った。押出変数は[表9]に示した。
【0146】
【表9】
【0147】
4.2.射出成形
次いで、上記配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。この実施例で使用した射出成形機の調節項目は実施例3([表7]参照)と同じである。
【0148】
4.3.生分解性の測定
劣化能は水中での劣化度で評価した。
(1)30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化度は実施例3に記載のクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータ中で評価した(上記3.3を参照)。
【0149】
テストサンプルを15日後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解性は重量ロスを測定し、実施例1に記載の方法で計算した。
【0150】
得られた結果は、2ヵ月後に54重量%の重量ロスを示す生分解性であった。このことは押出段階および射出成形段階で加わる熱処理に酵素が耐えたことを証明している。
【0151】
従って、押出段階の100℃でポリマー中に酵素を効果的に取り込むことができ、しかも、ポリマー劣化特性を維持する、ということを本発明者は示した。
【0152】
実施例5
98%CAPA中への2%リパーゼPSの120℃での包有(インクルージョン)
5.1.酵素の包有物
本発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために、ポリマーおよび酵素(両方とも粉末)を計量装置に導入した。この実験では、材料中に2%(m/m)の酵素が入るように2つの計量装置の吐出量をセットした。([表10]参照)。
【0153】
【表10】
【0154】
5.1.a.押出成形
ポリマーと酵素との間のアロイを押出成形で120℃で製造した。押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で行った。押出変数は[表11]に示した。
【0155】
【表11】
【0156】
5.2.射出成形
次に、配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。射出成形条件は実施例3と同一である([表7]参照)。
【0157】
5.3.生分解性の測定
劣化能は水中での劣化で評価した。
(1)30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
水中での劣化は実施例3に記載の条件と同じ条件下で評価した。
得られた結果は2ヵ月後に27.5%の重量ロスの生物分解性を示した。これは酵素が押出成形および射出成形段階中に加わる熱処理に耐えたことを証明している。
従って、ポリマー劣化性能が維持されたまま、押出段階の120℃で酵素が効果的にポリマー中に組み込まれたことを発明者は示した。
【0158】
実施例6
98%のCAPA中への2%リパーゼPSの140℃での包有
本発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために、ポリマーおよび酵素(両方とも粉末形状)を計量装置に導入した。この実験では材料中に2%(m/m)の酵素を含むように2つの計量装置の流速量をセットした([表12]参照)。
【0159】
【表12】
【0160】
6.1.a. 押出成形
押出成形は140℃で実行した。押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で行った。押出変数は[表13]に示した。
【0161】
【表13】
【0162】
6.2. 射出成形
次いで、上記配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。ここで使用した射出成形機の調節項目は実施例3の3.2で使用したものと同じである。([表7]参照)。
【0163】
6.3. 生分解性の測定
劣化能は水中での劣化度で評価した。
(1)30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化度は実施例3に記載のクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータで評価した(上記3.3の項参照)。
【0164】
次いで、テストサンプルを15日後、1ヵ月後、2ヵ月後および3ヵ月後に取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解性は重量ロスを測定し、実施例1の方法で計算した(結果1.aを参照)。
【0165】
得られた結果は、2ヵ月後に4.5重量%の重量ロスを示す生物分解性であった。これは押出段階および射出成形段階の間に加わる熱処理に酵素が耐えたことを証明している。
【0166】
従って、ポリマー劣化特性を維持したまま、押出時の140℃で酵素をポリマー中に効果的に組込むことができるということを発明者は示した。
【0167】
結論として、本発明方法を用いることで種々の押出温度、特に80℃、100℃、120℃および140℃で劣化するアロイを得ることが可能であることを発明者は示した。
【0168】
実施例7
リパーゼの導入方法
対応する材料の生分解性における押出成形によるリパーゼの包有(インクルージョン)の重要性を示すために、ポリカプロラクトン中へのリパーゼの導入方法を各種方法で実行した。
【0169】
1: 押出成形によるリパーゼの導入(テスト7a)
98%mのポリカプロラクトン(CAPA 6506)と2%mのリパーゼPSとの混合物を実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の条件下で65℃で押出した。
押出変数は[表14]に示した。
【0170】
【表14】
【0171】
次に、上記配合処方から射出成形段階で標準化テストサンプルを得た。射出成形機の調節条件は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。次いで、射出成形部品の劣化能を実施例3に記載の方法に従って水中での劣化で評価した。
【0172】
2. ポリカプロラクトンの射出成形部品の表面上に吹付けてリパーゼを導入(テスト7b)
標準化テストサンプルを得るために、非押出成形ポリカプロラクトンCAPA65O6を射出成形した。射出成形機の調節項目は実施例3([表7]を参照)で使用したものと同じである。
次いで、98%mとポリカプロラクトンと2%mのリパーゼとの混合物と当量になるまで、射出成形したポリカプロラクトン部品の表面上へリパーゼPSの水溶液をスプレーした。
射出成形部品の劣化効は実施例3に記載の方法に従って水中の劣化で評価した。
【0173】
3.水中劣化テストで使用した水中でのリパーゼの導入(テスト7c)
標準化テストサンプルを得るために非押出成形ポリカプロラクトンCAPA65O6を射出成形した。射出成形機の調節条件は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。
実施例3に記載の方法に従って、上記テスト7aの射出成形部品の劣化能をリパーゼPSを接種した水中の劣化で評価した。水に加えたリパーゼの量は98%mポリカプロラクトンと2%mのリパーゼPSの混合物の場合と当量である。
【0174】
配合処方7a、7bおよび7cの重量ロスを下記の[表15]にまとめて示す。
【0175】
【表15】
【0176】
この結果は、リパーゼを吹付けまたは劣化溶液中への添加で入れた場合には、リパーゼをアロイ中に含ませた場合より、劣化が悪いということを示している。換言すれば、リパーゼを分散/溶液化するよりも押出段階で入れる方がより良い分解性を有するアロイを得ることができる、ということを本発明者は示した。
【0177】
実施例8
追加テスト
この追加テストでは下記の出発材料を使用した:
(1)ポリカプロラクトンCAPA 6506、
(2)レッテンマイヤー(Rettenmaier)社からの木粉Arbocel C320、
(3)AMOから供給されたコムギ粉末La Doree。
ポリカプロラクトン、リパーゼPSおよび/または植物ベースの充填材(コムギ粉末または木粉)の各種アロイを実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の条件下で押出成形で作った。
【0178】
【表16】
【0179】
押出変数は[表17]に記載した。
【0180】
【表17】
【0181】

得られた各種アロイから射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。射出成形機の調節項目は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。
【0182】
テスト7a、8、9、10の射出成形部品の劣化能は実施例3に記載の方法に従って水中での劣化によって評価した。その劣化能は下記[表18]に記載した。
【0183】

【表18】
【0184】
従って、高い生分解性を得るためには、植物ベースの充填材を追加するよりも酵素を追加する方がはるかに有利であるということを本発明者は示した。