【実施例】
【0082】
実施例1
本発明のポリマー/酵素アロイの製造
材料および方法
【0083】
1.
押出段階での出発材料中への酵素の包有(インクルージョン)
開始材料の生分解性ポリマー中への酵素の導入は「押出」段階中に実行される。この押出段階は「Clextral BC21」ブランドの2軸スクリュー押出機(モータ動力9kW、スクリュー最大速度600回転数/分、最大電流18.9 A)を使用して実行した。スクリュの直径は25mm、2つのスクリューの間隔は21mm、シリンダーの長さは600mmである。従ってL/d比は24である。押出は下記の5段階で行なう:
(1)生分解性ポリマー/酵素混合物の導入、
(2)上記混合物の押出機中の通過、
(3)直径3mmの円形ダイからのロッドの出力、
(4)長さ3メートルの冷水浴中でのロッドの冷却と、パルス状冷風による「乾燥」、
(5)回転ナイフを有する装置で一定顆粒へカット。
【0084】
配合処方は生分解性ポリマ/酵素の比の関数で変えることができる。本願に示した実験での結果は、材料中の酵素の比は2%(m/m)に対応する。
【0085】
押出しで得た顆粒を回転オーブン(油が循環するダブルジャケット付きロータリミキサー)中で50℃で15時間乾燥させて、水タンク中を通過したことによる残留水分を除去する。乾燥中の含水比は赤外抵抗器を備えた湿度計でモニタリングする。
【0086】
2)
サンプルの製造−射出成形
ポリマー/酵素アロイの機械特性とその劣化能力を評価するために「テストサンプル」とよぶ標準形状の成形品を射出成形で得た。この射出成形は顆粒形状のものを三次元の最終製品にするバッチプロセスである。その基本はプラスチック材料を供給シリンダー中で加熱し、溶融状態で吐出帯域へ送り、ピストンで金型中に射出するものである。成形された部品は金型内で冷却してから突き出す。
使用した射出成形機はArburgブランドの「Allrounder l000-420C-250モデル」でのある。この射出成形のテストサンプルはISO規格3167のタイプ1に対応する。
【0087】
結果
1.
液体培地での酵素の選択
本発明方法を実施するためには、押出段階段階で使用される優れた酵素/材料の「カップル」を同定して生分解性ポリマを劣化できる酵素を同定しなければならない。
そうした酵素を同定するために本発明者は2つの簡単なテストを行った。このテストではテストサンプルの形または顆粒の形の純粋な材料の試験片で各々テストを行った。
【0088】
以下のテストはポリカプロラクトン(CAPA)(Perstorp、Ref 6506、50 000 g/モル)のテストサンプルまたは顆粒で行った。本発明者は下記の2つの商業的酵素を評価して、このCAPAの劣化能力を調べた:
(1)シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)からのリパーゼPS
(2)シュードモナス‐フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen)からのリパーゼAK(アマノ、日本)
【0089】
(a)
テストサンプルでの試験
生物分解条件下に置いたバージンポリマーのテストサンプルはCAPAの顆粒を射出成形して得たテストサンプルである。全ての生物分解テストは熱制御されたオーブン中で30℃で行った。
【0090】
このテストで行った試験はISO規格 14852:1999で定義された組成物を有する栄養溶液中で実行した。または、フォンテーン クリスタライン(Fontaine Cristalline)ブランドの水(すなわち、同じ培養条件にすることが可能な一定組成のミネラルウォータ)中で劣化を評価することもできる。
【0091】
このテストではテストサンプルは溶液中に完全に沈めた状態を維持した。酵素を添加する場合には、200mg/Lの最終濃度で添加した。
【0092】
材料の劣化は培地中に所定期間放置した後のテストサンプルの重量ロスを計算してモニタリングした。
このテスト方法では一連の13個の全く同じテストサンプルを使用した。その中の5つのテストサンプルを103℃のオーブン中に48時間加熱してサンプルの水量ロスを決定するために使用した。この段階は生物分解下に置かれたサンプルの重量ロスの計算の修正を行うためのものである。残りの8つのテストサンプルは劣化培地中に浸し、30℃の温度に制御されたオーブン中に置いた。その後、所定時間後に材料を取り出して組成をモニターした。取出す毎にテストサンプルは103℃のオーブン中で48時間乾燥した後に秤量した。重量ロスは下記の式で計算した。Δmは室温と103℃との間の差:
【0093】
ここで、
mi: テストサンプルの初期重量
mf: テストサンプルの最終重量
【0094】
実験の結果、シュードモナス‐フルオレッセンス(Pseudomonasfluorescen)のリパーゼの存在は劣化程度が酵素が存在しない時と実質的に同じであるので、ポリカプロラクトンの生分解性を改善しないということが示された。
【0095】
それに対して、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼは培地と接触させてから7日後に行った最初の取出し時に極めて大きな劣化が観測された。すなわち、同じ培地で酵素無しで行った場合の重量ロスは0.2%に過ぎなかったが、上記の酵素の場合には5%の劣化が得られた。しかも、劣化が速く観測され、生物分解度も変わらない。そのため、酵素の補充栄養溶液(200mg/L栄養溶液)を変えることにした。この変更は劣化開始後から44日目に行った。これによって劣化再開後、70日目に約9%の劣化が観測できた。
【0096】
(b)
顆粒でのテスト
このテストの利点は実質的に安価な実験で少容積で実験でき、さらに、複数の酵素および複数の濃度で同時にテストできる点にある。その上、酵素濃度を高くして短時間で大きな劣化度を得ることができるという利点もある。
この実験ではCAPAの顆粒(容積:約50mm
3、重量:約40mg)を1.9mlの緩衝液(25mMリン酸緩衝液、pH 7、アジ化ナトリウム2g/L)中で培養する。必要に応じてシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSを20mg/mlの最終濃度で添加した。培養は28℃の温置で行った。一定時間毎に顆粒を取出し、十分な水で水洗した後、28℃で24時間培養し、乾燥させた。その後、重量を求め、開始時の重量すなわち反応培地中に入れる前の重量と比較した。
【0097】
得られた結果から、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSでは所定条件下でCAPAの劣化度が50%を超えるということが示された。
【0098】
上記プロトコールは、所定ポリマー中に包有させて使用する際に最も適した酵素を求めるために使うこができる。さらに、劣化活性度を最適する特性を有する「添加剤」を同定するのにも使用できる。この添加剤は押出段階で劣化加速するために酵素と一緒に材料に加えることができる。
【0099】
2.
最適押出温度を決定するための酵素の耐熱性評価
押出段階ではポリマー/酵素混合物はポリマーの融点に対応する高温に曝らされる。CAPAの場合、この押出温度を80℃にセットした。供給者の技術書によるとシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSは粉末形状で100℃で数時間安定である。しかし、このデータは酵素のリパーゼ活性度を表すものではなく、CAPAデポリメラーゼ(depolymerase)活性度の耐熱性を評価するものではない。
【0100】
従って、我々は酵素溶液(酵素20mg/ml)を80℃で5分間処理して上記顆粒の実験を行った。選択した時間および温度は押出段階時に遭遇する温度条件に近いものに対応する。
この実験の結果、上記処理は酵素のCAPAデポリメラーゼ(depolymerase)活性度に与える影響が低いことを示した。特に、7日後に活性度が10%だけ失われるということを本発明者は確認した。従って、シュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSはCAPA/酵素アロイを作る上での優れた候補である。
【0101】
3.
ポリカプロラクトンで実施する際のシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSの導入方法
本発明者は上記酵素を取込んでポリカプロラクトンの押出成形を実施した。そのために粉末形状のポリマーと粉末形状の酵素との混合物を計量装置(doseur)に導入した。
以下の実験では材料中の酵素のパーセンテージが2%(m/m)となるように各計量装置の流速を調節した。また、酵素を含まない配合処方も作った(対照)([表1])。
【0102】
【表1】
【0103】
押出成形は酵素の特性を失わせる危険を避けるためにCAPAの融点(60℃)以上の温度で且つあまりに高くない80℃で実行した。2つの配合処方に対して同じ条件下で押出成形を実行した。その押出しパラメータは[表2]に示してある。
【0104】
【表2】
【0105】
[表2]で「トルク」という用語はモータの相対強度に対応し、押出機によって被押出し材料に供給された機械エネルギーを表す。
得られた顆粒は回転オーブン中でに乾燥して残留水分を除去した。
2つの配合処方を射出成形段階に送って標準テストサンプルを得た。射出成形条件は2つの材料で同一にした。
[表3]はこのテストで使用した射出成形機の調節条件である。
【0106】
【表3】
【0107】
劣化効能はフォンテーン クリスタライン(Fontaine Cristalline)のミネラルウォータで評価した。簡単に言うと、各配合処方に対して4つの標準化テストサンプル(重量を予め秤量)をタンク中の水(クリスタラインミネラルウォータ)中に浸けた。そのタンクを32℃の温度に制御された換気チャンパー中に置いた。
【0108】
その後、1、2、3および6ヵ月後にテストサンプルを取り出し、(103℃のオーブンで48時間処理した後に)秤量し、材料の分解性を上記の計算式に従って重量ロスから求めた。
得られた結果は、テストサンプルを水中で102日間培養したときの、酵素を材料に組込んだCAPAの全生物分解性を示ている。この結果は上記酵素が押出段階および射出成形段階に加わる熱処理に耐えたことを証明している。
【0109】
従って、本発明者は押出時に効果的に酵素がポリマー中に組み込まれたこと、それと同時に、ポリマーの劣化特性が維持されたことを示した。
上記のアプローチは簡単な方法であり、実行するのが容易であり、天然培地での材料の劣化を制御するために他のポリマー/酵素のカップルにも容易に適用できる。
【0110】
実施例2
本発明アロイの特徴付け
発明者は、CAPA単独と、植物を混ぜ合せたCAPAと、本発明方法で得たCAPAとシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSとから成るアロイの機械特性を比較した。
【0111】
材料および方法
1.
アロイの製造
CAPAとシュードモナス‐セパシアのリパーゼPSとから成るアロイは下記の出発材料を使用して得た:
【表4】
【0112】
押出による造粒段階
押出段階は共回転2軸スクリュー押出機Clextral BC21を使用して下記の5段階で実行した。
(1)容積計量装置および重量計量装置を用いて割合計量した各材料を導入、
(2)押出機の連続した各帯域での溶融、混練、脱気、加圧混合、
(3)直径3mmの円形ダイを介してロッドを出力、
(4)長さ3メートルの冷水タンクでのロッドの冷却と、パルス状冷気を用いた「乾燥」、
(5)回転ナイフ装置で一定形状の顆粒にカット。
【0113】
下記の4つの配合処方を作った(比率は重量パーセンテージに対応):
(1)100%CAPA、
(2)98%CAPA+2%リパーゼ、
(3)80%CAPA+20%コムギ、
(4)55%CAPA+45%コムギ
【0114】
植物ベースの充填材(コムギ粉末)の追加はポリマーの劣化度を増加させるための標準的な代替案である。すなわち、最大劣化度は植物ベースの充填材の劣化に対応し、バインダとして使用したポリマーは劣化しなかった(下記参照)。
【0115】
次いで、押出成形で得た顆粒を40℃の回転オーブン中で12時間乾燥して水タンクを通過したことで残った残留水分を除去した。乾燥した顆粒を射出成形し、特徴付けた。
【0116】
射出成形段階
押出成形で得た顆粒を射出成形段階でテストサンプルに成形し、特徴を調べた。射出成形の基本は塑性材料をシリンダー中で加熱溶融し(可塑化段階)、ピストンによっ圧力下に金型中に射出することにある。材料は金型中で冷却され、部分的に固化し、突き出される。使用した射出成機はArburgブランドのAlirounder 1000-420C-250モデル化である。
【0117】
射出成形のテストサンプルはISO規格3167のタイプ1に対応する。射出成形で得たテストサンプルの「97%CAPA+2%リパーゼ」は、特徴付け前に、室温で1ヵ月間の密封ボール箱内に置いた密封ジップロック・バッグ中に入れて後処理した。この後処理の目的は機械特性および劣化能力の両方の観点で材料の貯蔵安定性を評価するためである。
【0118】
2.
機械特性の決定
引張試験
引張特性は国際規格ISO/R 527(引張り特性の決定方法)に記載の方法に従って求めた。このテストでは温度、湿度およびジョー分離速度に関する所定条件下で実行しなければならない。
【0119】
引張試験では初期断面So、長さLoのテストサンプルに伸びを加える。テストサンプルの両端はジョーで把持する。ジョーの1つ(可動ジョー)を所定直線移動速度で駆動される装置に接続する。電子力センサーを使用して力を測定する(10kN)。
【0120】
このテストで得られる情報は下記の3つである:
(1)最大引張応力(Cmax TR;MPa)、
(2)破壊伸び率(%)
(3)引張りヤング係数(MPa)
【0121】
上記規格に記載のように、このテストを材料の各ロットの5つのテストサンプルで実施し、結果はこれらの5つの結果の平均値にした。ジョーの移動速度は50mm/分にセットした。縦弾性係数は最大歪み値の10%〜50%の間で計算した。使用した引張試験機はZwickから市販のものである。
【0122】
シャルピー耐衝撃強度
このシャルピー耐衝撃試験では衝撃応力を受けた所定テストサンプルの脆性またはその靱性(強度)を推定できる。このテストではノッチのない上記のタイプ1のテストサンプルを使用した。
【0123】
使用した装置はZwickブランドの15ジュールのエネルギーを有する衝撃ペンデュラムである。この装置は測定値を記録し、解析するソフトウェアによって駆動される。テスト時にはテストサンプルを衝撃ペンデュラムの前方中心に水平に支持する。シャルピー耐衝抵抗値はテスト前の直角断面でのテストサンプルの破断による吸収エネルギー(弾性エネルギ)に対応する。
【0124】
3.
流動特性:メルトフローインデックス(MFR)
所定温度および圧力条件下での熱可塑性プラスチックのメルトフローインデックス(MFR)を決定す方法はISO規格1133に記載されている。このテストで被試験ポリマーのグレードを決定でき、所定温度でポリマーがダイを通る能力に関する流動性の情報を与える(これは射出成形で重要なパラメータである)。
【0125】
使用した装置は精密天秤に接続されたZwickブランドの押出プラストメータで、MFR(g/lO分で表示)を決定できる特性ソフトウェアで駆動される。
テスト時には混合物を鉛直シリンダ中で加熱し、ピストンに付けた重りを使用してダイから押し出す。一定の時間間隔で5つの押出物をカットし、回収し、秤量する。固定するパラメータはシリンダー温度、重りの重量および2回のカット間の時間である。
【0126】
4.
水中劣化テスト
各配合処方に対して4つの標準化テストサンプル(予め103℃で乾燥し、秤量する)を水(Cristalline、Leclercのミネラルウォータ)のタンク中に浸する。タンクは32℃の温度に調節された換気キャビティー内に置く。その後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後および4ヵ月後にテストサンプルを取り出し、(103℃のオーブン中で48時間処理した後に)秤量する。材料の分解性は下記の重量ロスを測定して計算する:
重量ロス(%)=(全重量ロス−103℃の水のロス)×100
【0127】
結果
1.
機械特性およびレオロジー特性
得られる結果を下記[表5]に示す。
【0128】
【表5】
【0129】
[表5]はテストしたCAPAの機械特性すなわち弾性エネルギ、MFRまたは引張りパラメータが酵素の追加によって変化しないことを示している。これは55%CAPA+45%コムギから成るポリマーと比較して非常に大きな違いである。後者はCAPA単独のものに対して機械特性の全てが劣っている。80%CAPA+20%コムギの混合物はCAPA単独のものと同じよう特性を示している。
【0130】
従って、本発明アロイはCAPAの劣化性の改善に適し、しかも、CAPAの特性を維持する。
【0131】
2.
水溶媒体での劣化
上記結果はCAPA単独ではそれを水環境中に浸しても劣化しないことを示している。植物ベースの充填材を20%追加するとアロイの劣化度は改善するが、その最大劣化度は20%未満である。上記で述べたように、この劣化はコムギ粉末の劣化に対応するもので、材料自体は変化しない。
【0132】
すなわち、生物分解性の改善はアロイ中の植物ベースの充填材のパーセンテージの増加に直接関係し、それによって機械特性が失なわれる。
【0133】
上記の結果はさらに、植物ベースの充填材を追加するより酵素を追加する方が極めて有利なことを示している。事実、酵素の追加で純粋材料の機械特性を維持したままCAPAの劣化が誘発される(水中で3ヵ月後の約70%)。
【0134】
すなわち、植物ベースの充填材より良い分解性を示すと同時に、ポリマーの機械特性を維持することができる組成物が得られるということを発明者は示すのに成功したものである。
また、98%CAPAポリマー+2%リパーゼを密封バッグ中に入れて暗闇中で保存しても機械特性は変わらず、劣化能力も変化しない(98%CAPAポリマー+2%リパーゼの後処理有り無しの挙動の比較)。すなわち、本発明アロイは溶液にならない限り安定しており、劣化しない。
【0135】
結論として、本発明ポリマー/酵素アロイの製造方法は寿命の短い材料を開発するのに特に魅惑的な工業的解決策であり、天然培地中に残留物を散布した時に生じる環境への負の影響を減らすことができる。
【0136】
実施例3
ポリカプロラクトン(CAPA)の生物分解に及ぼす温度の影響
ポリカプロラクトンの成形温度がその生物分解性に与える影響が無いことを証明するために、ポリカプロラクトンを170℃で押出し、その生物分解性を評価した。
【0137】
3.1.
ポリカプロラクトンを170℃で押出して造粒する段階
この実施例では押出温度を170℃にし、配合処方を100%CAPA(酵素なし)にした点を除いて、押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で実行した。押出変数は[表6]に示した。
【0138】
【表6】
【0139】
3.2.
射出成形
標準化テストサンプルを得るために100%CAPA(対照の100%m CAPA6506)の顆粒を射出成形した。射出成形段階は実施例1で説明した方法で実行した。使用した射出成形機の調節項目は[表7]に示した。
【0140】
【表7】
【0141】
3.3.
生分解性の測定
(1)
30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化をクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータ中で評価した。4つの標準化テストサンプル(その重量は予め秤量しておく)を水タンク中に浸けた。その後、タンクを32℃の温度に加熱調節され換気チャンバー中に置いた。
その後、15日後、1カ月後、2カ月および3カ月後にテストサンプルを取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解度は重量ロスを測定し、実施例1に記載の方法で計算した。
【0142】
配合処方が100%mCAPA 6506(実施例2参照)の場合と同様に、配合処方が100%mCAPA 6506-170のテストサンプルも「重量ロス」が2ヵ月後でもなく、劣化は示さなかった。32℃の水中での劣化のモニタリングからCAPA単独では、80℃〜170℃までの温度で押出した場合、水中で経時劣化しないことが証明された。
【0143】
実施例4
98%CAPA中に2%のシュードモナス‐セパシア(Pseudomonas cepacia)のリパーゼPSを100℃で包有(インクルージョン)
4.1
酵素の包有(インクルージョン)
発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために98重量%のポリマーに2%の酵素を含む混合物を計量装置に入れた。使用した混合物中の各成分の詳細は下記のとおり([表8]参照)。
【0144】
【表8】
【0145】
4.1.a.
押出成形
押出成形は100℃で実行した。押出段階は実施例1(「材料と方法」参照)と同様に行った。押出変数は[表9]に示した。
【0146】
【表9】
【0147】
4.2.
射出成形
次いで、上記配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。この実施例で使用した射出成形機の調節項目は実施例3([表7]参照)と同じである。
【0148】
4.3.
生分解性の測定
劣化能は水中での劣化度で評価した。
(1)
30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化度は実施例3に記載のクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータ中で評価した(上記3.3を参照)。
【0149】
テストサンプルを15日後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後に取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解性は重量ロスを測定し、実施例1に記載の方法で計算した。
【0150】
得られた結果は、2ヵ月後に54重量%の重量ロスを示す生分解性であった。このことは押出段階および射出成形段階で加わる熱処理に酵素が耐えたことを証明している。
【0151】
従って、押出段階の100℃でポリマー中に酵素を効果的に取り込むことができ、しかも、ポリマー劣化特性を維持する、ということを本発明者は示した。
【0152】
実施例5
98%CAPA中への2%リパーゼPSの120℃での包有(インクルージョン)
5.1.
酵素の包有物
本発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために、ポリマーおよび酵素(両方とも粉末)を計量装置に導入した。この実験では、材料中に2%(m/m)の酵素が入るように2つの計量装置の吐出量をセットした。([表10]参照)。
【0153】
【表10】
【0154】
5.1.a.
押出成形
ポリマーと酵素との間のアロイを押出成形で120℃で製造した。押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で行った。押出変数は[表11]に示した。
【0155】
【表11】
【0156】
5.2.
射出成形
次に、配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。射出成形条件は実施例3と同一である([表7]参照)。
【0157】
5.3.
生分解性の測定
劣化能は水中での劣化で評価した。
(1)
30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
水中での劣化は実施例3に記載の条件と同じ条件下で評価した。
得られた結果は2ヵ月後に27.5%の重量ロスの生物分解性を示した。これは酵素が押出成形および射出成形段階中に加わる熱処理に耐えたことを証明している。
従って、ポリマー劣化性能が維持されたまま、押出段階の120℃で酵素が効果的にポリマー中に組み込まれたことを発明者は示した。
【0158】
実施例6
98%のCAPA中への2%リパーゼPSの140℃での包有
本発明者は上記酵素を取込んだポリカプロラクトンの押出成形を実行した。そのために、ポリマーおよび酵素(両方とも粉末形状)を計量装置に導入した。この実験では材料中に2%(m/m)の酵素を含むように2つの計量装置の流速量をセットした([表12]参照)。
【0159】
【表12】
【0160】
6.1.a.
押出成形
押出成形は140℃で実行した。押出段階は実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の方法で行った。押出変数は[表13]に示した。
【0161】
【表13】
【0162】
6.2.
射出成形
次いで、上記配合処方から射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。ここで使用した射出成形機の調節項目は実施例3の3.2で使用したものと同じである。([表7]参照)。
【0163】
6.3.
生分解性の測定
劣化能は水中での劣化度で評価した。
(1)
30℃の水中での劣化:重量ロスのモニタリング
劣化度は実施例3に記載のクリスタライン(Cristalline)ミネラルウォータで評価した(上記3.3の項参照)。
【0164】
次いで、テストサンプルを15日後、1ヵ月後、2ヵ月後および3ヵ月後に取り出し、秤量した(103℃のオーブン中で48時間処理後)。材料の分解性は重量ロスを測定し、実施例1の方法で計算した(結果1.aを参照)。
【0165】
得られた結果は、2ヵ月後に4.5重量%の重量ロスを示す生物分解性であった。これは押出段階および射出成形段階の間に加わる熱処理に酵素が耐えたことを証明している。
【0166】
従って、ポリマー劣化特性を維持したまま、押出時の140℃で酵素をポリマー中に効果的に組込むことができるということを発明者は示した。
【0167】
結論として、本発明方法を用いることで種々の押出温度、特に80℃、100℃、120℃および140℃で劣化するアロイを得ることが可能であることを発明者は示した。
【0168】
実施例7
リパーゼの導入方法
対応する材料の生分解性における押出成形によるリパーゼの包有(インクルージョン)の重要性を示すために、ポリカプロラクトン中へのリパーゼの導入方法を各種方法で実行した。
【0169】
1:
押出成形によるリパーゼの導入(テスト7a)
98%mのポリカプロラクトン(CAPA 6506)と2%mのリパーゼPSとの混合物を実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の条件下で65℃で押出した。
押出変数は[表14]に示した。
【0170】
【表14】
【0171】
次に、上記配合処方から射出成形段階で標準化テストサンプルを得た。射出成形機の調節条件は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。次いで、射出成形部品の劣化能を実施例3に記載の方法に従って水中での劣化で評価した。
【0172】
2.
ポリカプロラクトンの射出成形部品の表面上に吹付けてリパーゼを導入(テスト7b)
標準化テストサンプルを得るために、非押出成形ポリカプロラクトンCAPA65O6を射出成形した。射出成形機の調節項目は実施例3([表7]を参照)で使用したものと同じである。
次いで、98%mとポリカプロラクトンと2%mのリパーゼとの混合物と当量になるまで、射出成形したポリカプロラクトン部品の表面上へリパーゼPSの水溶液をスプレーした。
射出成形部品の劣化効は実施例3に記載の方法に従って水中の劣化で評価した。
【0173】
3.
水中劣化テストで使用した水中でのリパーゼの導入(テスト7c)
標準化テストサンプルを得るために非押出成形ポリカプロラクトンCAPA65O6を射出成形した。射出成形機の調節条件は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。
実施例3に記載の方法に従って、上記テスト7aの射出成形部品の劣化能をリパーゼPSを接種した水中の劣化で評価した。水に加えたリパーゼの量は98%mポリカプロラクトンと2%mのリパーゼPSの混合物の場合と当量である。
【0174】
配合処方7a、7bおよび7cの重量ロスを下記の[表15]にまとめて示す。
【0175】
【表15】
【0176】
この結果は、リパーゼを吹付けまたは劣化溶液中への添加で入れた場合には、リパーゼをアロイ中に含ませた場合より、劣化が悪いということを示している。換言すれば、リパーゼを分散/溶液化するよりも押出段階で入れる方がより良い分解性を有するアロイを得ることができる、ということを本発明者は示した。
【0177】
実施例8
追加テスト
この追加テストでは下記の出発材料を使用した:
(1)ポリカプロラクトンCAPA 6506、
(2)レッテンマイヤー(Rettenmaier)社からの木粉Arbocel C320、
(3)AMOから供給されたコムギ粉末La Doree。
ポリカプロラクトン、リパーゼPSおよび/または植物ベースの充填材(コムギ粉末または木粉)の各種アロイを実施例1(「材料および方法」の項参照)に記載の条件下で押出成形で作った。
【0178】
【表16】
【0179】
押出変数は[表17]に記載した。
【0180】
【表17】
【0181】
得られた各種アロイから射出成形段階を経て標準化テストサンプルを得た。射出成形機の調節項目は実施例3([表7]参照)で使用したものと同じである。
【0182】
テスト7a、8、9、10の射出成形部品の劣化能は実施例3に記載の方法に従って水中での劣化によって評価した。その劣化能は下記[表18]に記載した。
【0183】
【表18】
【0184】
従って、高い生分解性を得るためには、植物ベースの充填材を追加するよりも酵素を追加する方がはるかに有利であるということを本発明者は示した。