【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例に係る冷蔵庫本体1の正面斜視図である。
冷蔵庫本体1には、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,冷凍室5,野菜室6が設けられて、各貯蔵室の開口を閉塞する扉がそれぞれ設けられている。上段冷凍室扉4aは上段冷凍室4の開口を閉じる扉、製氷室扉3aは製氷室3の開口を閉じる扉、冷凍室扉5aは冷凍室5の開口を閉じる扉、野菜室扉6aは野菜室6の開口を閉じる扉である。これらの扉はそれぞれ、冷蔵庫本体1の開口を仕切るシキリ部材に接触することで、各扉に対応する開口を閉塞する。各扉はシキリ部材との接触性を高め、その内部に磁石35を備えるガスケット(不図示)を有している。ガスケットは、例えば各扉の外周縁に沿って設けることができる。
【0011】
冷蔵室扉2a,2bは冷蔵室2の開口を閉じる扉である。左右の冷蔵室扉2a,2bが両端のヒンジ中央から両側に開く両開き式である。上段冷凍室扉3a,製氷室扉4a,冷凍室扉5a,野菜室扉6aは引出し式の扉によって構成され、引出し扉とともに貯蔵室内の引出し容器が引出される。
【0012】
図2は冷蔵室扉2a、2bとシキリ部材の例である回転式シキリ部材11の構成図である。
図3は回転式シキリ部材11の構成説明図である。
【0013】
以下、回転式シキリ部材11は冷蔵室扉2bに備えられた状態で説明するが、左右対称の同構成の物を冷蔵室扉2aに設けた場合でも同じ効果を得ることができる。回転式シキリ部材11は、冷蔵室扉2a、2bが閉じているときに生じるこれら二部材間の隙間を埋める。これにより、回転式シキリ部材11は冷蔵室2の冷気漏れを抑制する。
【0014】
図3(B)に示すように、回転式シキリ部材11は、断熱部品15を中心側に有している。回転シキリ部材11は、正面に設けられた正面部材12、背面に設けられた背面部材13、冷蔵庫扉2が開閉する開口の縁に備えた案内部材21と嵌合する天面部品14を有している。正面部材12は、冷蔵室扉2a、2bに備えられたガスケットの磁石35(例えば、
図5(B)参照。)に吸着するように磁性体の金属を有している。正面部材12の結露を抑制するために、正面部材12と断熱部材15の間には、正面部材12の延在方向(
図3中、上下方向)に沿ってヒータ(不図示)が設けられている。断熱部品15は、例えばスチロフォームを用いることができる。
【0015】
回転式シキリ部材11は、冷蔵室扉2bに設けられている。
回転式シキリ部材11は、冷蔵室扉2bの開閉動作中に、案内部材21とレール14aの案内により回動する。冷蔵室扉2bが閉じている際には、正面部材12が冷蔵室扉2bの回動中心に対して垂直な方向に向いているが、冷蔵室扉2bが開く際には、正面部材12が冷蔵室扉2bの回動中心を向くように回動する。冷蔵室扉2bが閉まる際には、冷蔵室扉2bの回動中心に対して垂直な方向を向くように回動する。
【0016】
そのため、回転式シキリ部材11は冷蔵室扉2aと干渉せずに冷蔵室扉2bの開放を行える。なお、回転式シキリ部材11はバネで付勢されており、冷蔵室扉2bが開放中のときは、レール14aと案内部材21により回動した状態、すなわち内側に倒れた状態を維持する。
【0017】
図4は回転式シキリ部材11に扉開放検知手段を設けた構成図で、(A)は回転式シキリ部材11の全体図、(B)は縦断面図である。
図5〜7は冷蔵室の扉開放状態を示した図で、各(A)は実際の冷蔵庫1の状態、各(B)は扉開放検知を説明する簡略図である。
【0018】
天面部材14は、レール14a、後述する電子基板34を支持するコ字状の支持部14c、正面部材12の上側一面を突き当てる突き当て部14bを有している。正面部材12の下側一面も同様に突き当てられており、これにより正面部材12を固定している。なお、正面部材12は、突き当てに限らず、係止やネジ固定等、種々公知の方法により固定されても良い。なお、天面部材14は、例えば樹脂材料で構成できる。
【0019】
天面部材14に支持部14cを設けたことで、磁気検出センサ32の支持が容易にできる。回転式シキリ部材11の内部には、磁気検出センサ32を搭載した電子基板34が配されている。電子基板34の一辺は支持部14cによって支持されている。また、回転式シキリ部材11の正面側は、正面部材12によって覆われている。回転式シキリ部材11の正面側、すなわち正面部材12が一の部材で構成可能であるため、回転式シキリ部材11の意匠性を高めることができる。
【0020】
正面視において磁気検出センサ32に重なる正面部材12の部分には、金属等の磁性体を使用している。このため、磁気検出センサ32の正面には磁石35が吸着可能である。したがって、磁気検出センサ32の正面に磁石を近づけると、この磁石により、冷蔵庫扉2の閉塞時における回転式シキリ部材11との密着性を高めて、冷気漏れを抑制できる。
【0021】
冷蔵室扉2の閉塞時には、冷蔵庫本体1の正面視において、磁石35、正面部材14及び磁気検出センサ32のそれぞれ一部又は全部が重なる。すなわち、磁石35、正面部材14及び磁気検出センサ32のすべてが正面視で重なる領域が少なくとも一点存在する。
【0022】
また、正面部材12に設けたコード状に延びるヒータに沿って、電子基板34のコードを配置している。また、磁気検出センサ32は、冷蔵室扉2aが閉じているときに、冷蔵室扉2aのガスケット36に設けた磁石35aと一部又は全部が対向する位置に配されている。これにより、磁気検出センサ32は冷蔵室扉2の開閉状態を検知できる。
【0023】
次に、冷蔵室扉2a、2bの開閉の検知方法を説明する。
まず、
図5に示すように、両冷蔵室扉2が閉まっているとき、回転式シキリ部材11は
図5(B)に示す状態である。右側冷蔵室扉2aのガスケット磁石35aは、前後方向(図中、上下方向)に磁化している。このため、右側冷蔵室扉2aのガスケット磁石35aによる磁気検出センサ32への鎖交磁束は多い。磁気検出センサ32は、磁束量が多い、すなわち冷蔵室扉2a,2bが閉じていると検知する。
【0024】
回転シキリ部材11は、冷蔵室扉2b側を回動中心として取り付けられている。磁気検出センサ32は、冷蔵室扉2aに設けたガスケット磁石35aに対向している。
【0025】
一方、
図6に示すように、左側冷蔵室扉2bが開放しているとき、回転式シキリ部材11は、案内部材21とレール形状14aの案内により
図6(B)に示すように冷蔵室扉2bの内側に倒れ、かつ、磁気検出センサ32とガスケット磁石35a間の距離が大きくなる。このため、右側冷蔵室扉2aのガスケット磁石35aによる磁気検出センサ32への鎖交磁束が少なくなる。
【0026】
また、
図7に示すように、右側冷蔵室扉2aが開放しているとき、回転シキリ部材11は、冷蔵室扉2a、2bが閉の場合と同様の方向を向いている。ガスケット磁石35aは磁気検出センサ32から離れるため、磁気検出センサ32に対する右側冷蔵室扉2aのガスケット磁石35aからの鎖交磁束が少なくなる。
【0027】
以上により、磁気検出センサ32は、右側又は左側の冷蔵室扉2が開いているときに鎖交磁束の検知量が少なくなる。
【0028】
以上のように、冷蔵室扉2a、2bが両方閉じている場合にのみ磁気検出センサ32は比較的大きな鎖交磁束を検知し、どちらか片方の冷蔵室扉が開いている場合、磁気検出センサ32は比較的小さな鎖交磁束を検知する又は鎖交磁束を検知しない。すなわち、1つの磁気検出センサ32を用いて、2つの冷蔵室扉2a、2bの何れか一方又は両方が開いていること、及び、両方が閉じていることを検知できる。
【0029】
このように、磁束量の違いを通じて冷蔵室扉2の開閉状態を検知することで、冷却制御及び庫内灯の制御、半ドア警告のブザー制御を適切に行える。
【0030】
尚、冷蔵室扉2a、2bのどちらが開いているかを検知したい場合、
図8に示すように、冷蔵室扉2が閉じているときに対向する位置関係で、回転式シキリ部材11の冷蔵室扉2b側に別の磁気検出センサ320と、冷蔵室扉2bに磁石35bを、配すればよい。このとき、両冷蔵室扉が閉じられている場合、磁気検出センサ32,320に鎖交する磁束が比較的大きい。左側冷蔵室扉2bのみが開放されている場合、磁気検出センサ32に鎖交する磁束が比較的小さい。このとき、磁石35bの磁化方向は、冷蔵室扉2bの回動中心を向くため、磁気検出センサ320に鎖交する磁束も比較的小さくなる。一方、右側冷蔵室扉2aのみが開放されている場合、磁気検出センサ320に鎖交する磁束が比較的小さく、磁気検出センサ320に鎖交する磁束は比較的大きい。
【0031】
なお、電子基板34に温度センサを搭載してもよい。温度センサにより正面部材12の温度を検知してヒータの制御を行うことで、省エネ性を向上できる。また、ヒータ用と基板34用の配線をまとめることで、組立性を向上できる。このとき、正面部材12は金属を有しているため、比較的熱伝導が良好である。このため、温度センサによる検知温度の精度が高まり、効果的な制御が可能になる。さらに、電子基板34は、天面部材14の支持部14cによって支持されているため、回転式シキリ部材11の上端側に位置する。このため、ヒータを配する際に、電子基板34が邪魔にならない。
【0032】
以上、ガスケットと磁気検出センサ32の間のシキリ部材を磁性体にする例として、回転式シキリ部材11を説明したが、同様の構成を引き出し式の扉の閉塞時に、引き出し式扉のガスケットに接触するシキリ部材に適用可能である。この際、シキリ部材は、冷蔵庫本体1の正面開口の縁である。