【実施例1】
【0010】
以下,実施例を、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本実施例の洗濯機の構造図である。
【0012】
図1において,1は洗濯機の筐体である。筐体1内には外槽2が取り付けられている。外槽2内には内槽3が収納され,内槽3はメインモータ5と同軸に接続され、回転可能である。クラッチ11は、メインモータ5と内槽3を固定して内槽3全体を回転させる、もしくは、パルセータ4と固定してパルセータを回転させるように切り替える目的で使用され、メインモータ5の上部に接続されている。
【0013】
外槽2には,給水ホース15から給水弁12およびソフナ弁13を介して水道水が供給される。外槽2に溜まった水は,排水弁6を開けることで,排水ホース7を介して排水口8に排出できるようになっている。排水弁6の開閉は排水弁駆動用モータ9によって操作する。
【0014】
図2は,本実施例の洗濯機のブロック図である。
【0015】
洗濯機はマイクロコンピュータ104により制御され,操作パネルの操作スイッチ131の入力内容に応じて,負荷駆動回路103を介して,メインモータ111,循環ポンプ112,風呂水ポンプ113,給水弁114,排水弁115,ソフナ弁116,フタロック117を駆動させて洗濯動作を行う。
【0016】
また,水位センサ121による水位監視,温度センサ122による温度監視,回転センサ123によるモータ回転速度の監視,揺れを検知して洗濯槽の外枠当りを防止するための安全レバー124,不揮発記憶メモリ125による運転設定や情報の記憶,LED表示回路132による運転状態の表示を行う。
【0017】
電源101からはマイクロコンピュータ104および負荷駆動回路103,各センサなどへ電力が供給される。
【0018】
図3は本実施例の洗濯機の脱水行程動作のフローを示したものである。また、
図4は本実施例における回転数閾値・減速率設定値を示したものである。
図4において、回転数がR3〜R2の区間を共振区間とし、減速率br13は減速率br11とbr12とbr14とbr15より小さく、減速率br23は減速率br21とbr22とbr24とbr25より小さいとする。
【0019】
脱水行程ではまず洗濯槽にたまった水を排水口より排水する(
図3−S301)。排水が終了した時点でメインモータにより内槽の回転を開始し、衣類を脱水する(
図3−S302)。槽回転動作はあらかじめ回転速度・加速度等が回転パターンとして設定されており、設定されている回転パターンと脱水の実行時間を基に適切な目標回転速度・加速度等でメインモータを動作させる。回転パターンが終了した場合はメインモータの減速を開始する(
図3−S303)。
【0020】
メインモータの高速回転状態から停止まで減速させた場合、モータの共振により騒音が発生する場合がある。そこで、モータの回転数を検知して減速率を適切に選択するためのモータ回転数判定(
図3−S311〜S314,
図3−S321〜S324)を実施する。モータ回転数区間の判定後、その回転数に応じた減速率を設定する(
図3−S315〜S319,
図3−S325〜S329)。前記減速率の大小関係より、減速率br13もしくはbr23の使用区間である共振区間は小さい減速率で動作するため低騒音の動作となり、共振区間以外はより大きい減速率が使用されるため停止までの時間が長くなることを防止できる。また、これ以外の区間は、減速率br13よりも大きい減速率で動作させるため、脱水行程の実行時間の長期化を防ぐことも可能となる。
【0021】
その後、モータ停止かどうかを判定し(
図3−S331)、モータが停止している場合脱水行程を終了し、停止していない場合は上記の動作[
図3−304〜329]を繰り返す。
【0022】
また、回転数センサによる回転数情報により減速率を設定する際、モータ減速開始時の回転数を閾値STと比較し判定する(
図3−S304)。これは、同一の回転数・減速率でもモータ減速開始時の回転数によりモータの騒音の出方が違う場合があるためであり、
図3−S304の判定結果により
図4−減速率設定(1)と
図4−減速率設定(2)の内、適切な減速率のパターンを選択することができる。
【0023】
また、
図4において、回転数がR3〜R2の区間を騒音が最も大きくなる共振区間とし、R4〜R3の区間を騒音がその次に大きくなる共振区間となる場合がある。この場合、減速率br13は減速率br11とbr12とbr14とbr15より小さく、かつ、br14はbr11とbr12とbr15より小さくし、また、減速率br23は減速率br21とbr22とbr24とbr25より小さく、かつ、br24はbr21とbr22とbr25より小さくする。このように多段階で減速率を設定することで、確実に単一の減速率設定でのモータ停止動作よりも騒音の低減と共に脱水行程の実行時間の長期化を防ぐことが可能となる。
【0024】
また、減速時の回転数によって共振区間が異なる場合がある。この場合、減速時の回転数によって、モータの実回転数と減速率の大小関係を異ならせることが望ましい。例えば、
図4において、モータ減速時の回転数が閾値よりも小さい減速率設定の場合と、モータ減速時の回転数が閾値よりも大きい減速率設定の場合とで、モータの実回転数と減速率の大小関係を異ならせる。これにより、減速時の回転数によって共振区間が異なる場合にも対応が可能である。
【0025】
以上により,脱水行程でのモータ高速回転状態からの停止処理において,運回転数センサによる回転数情報を基に適切なモータ減速率を設定することで,減速率一定のモータ停止動作よりも騒音を低減することが可能となる。また、共振区間以外の区間は、共振区間の減速率よりも大きい減速率で動作させるため、脱水行程の実行時間の長期化を防ぐことも可能となる。