特許第6334438号(P6334438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334438
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20180521BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01L29/78 652P
   H01L29/06 301F
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 652F
   H01L29/78 652S
   H01L29/78 652K
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-47417(P2015-47417)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-167559(P2016-167559A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】川口 雄介
【審査官】 恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−069783(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0118864(US,A1)
【文献】 特開2013−065749(JP,A)
【文献】 特開2013−258327(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/082617(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体領域と、
第1方向に延びる第1電極と、
前記第1方向に延びた第2電極部分と、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1方向において複数設けられた第1電極部分と、
を有し、前記第1電極と離間して設けられた第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極と離間して設けられた第3電極と
前記第1半導体領域の上に設けられ、前記第3電極と絶縁部を介して対面する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられ、前記第1方向において隣り合う前記第1電極部分の間に位置する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域の上に選択的に設けられ、前記第4半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電形の第5半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第4半導体領域、前記第5半導体領域、前記第1電極、および前記第2電極と電気的に接続された第4電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の複数の第半導体領域を備え、
前記第半導体領域の第2導電形の不純物濃度は、前記第2半導体領域の第2導電形の不純物濃度よりも低く、
前記第2半導体領域は、前記第1方向において、前記第半導体領域同士の間に設けられた請求項記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4半導体領域の第導電形の不純物濃度は、前記第半導体領域の第導電形の不純物濃度と等しい請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、および前記第4半導体領域を囲む第1導電形の第半導体領域をさらに備え、
前記第半導体領域の第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域の第1導電形の不純物濃度よりも高い請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
隣り合う前記第1電極部分の間の前記第1方向における距離は、前記第1電極と前記第2電極との間の前記第2方向における距離と等しい請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体領域の上に選択的に設けられた第2導電形の第半導体領域をさらに備え、
前記第半導体領域の第2導電形の不純物濃度は、前記第3半導体領域の第2導電形の不純物濃度より高い請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2方向に延び、前記第1方向において複数設けられた第3電極部分と、
前記第1方向に延び、前記第2方向において前記複数の第3電極部分と前記第1電極との間に設けられた第4電極部分と、
を有し、前記第1電極および前記第2電極と離間して設けられ、前記第4電極と電気的に接続された第5電極をさらに備えた請求項1〜のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
記第1電極、前記第3電極、前記第2半導体領域、および前記第3半導体領域は、前記第2方向において、互いに離間して複数設けられた請求項記載の半導体装置。
【請求項9】
第1導電形の第1半導体領域と、
第1方向に延びる第1電極と、
前記第1方向に延びた第2電極部分と、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1方向において複数設けられた第1
電極部分と、
を有し、前記第1電極と離間して設けられた第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極と離間して設けられた第3電極と、
記第1半導体領域の上に設けられ、前記第3電極と絶縁部を介して対面する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられ、前記第1方向における位置が、隣り合う前記第1電極部分の前記第1方向における位置の間にある第2導電形の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域の上に選択的に設けられ、前記第4半導体領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電形の第5半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第4半導体領域、前記第5半導体領域、前記第1電極、および前記第2電極と電気的に接続された第4電極と、
を備えた半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置は、ダイオードを内蔵する場合がある。MOSFETがオフ状態の間、例えば、電流は内蔵されたダイオードの順方向に流れる。ダイオードに対する印加電圧が反転し、ダイオードに逆方向電圧が印加されると、ダイオード内に蓄積された電子はドレイン電極に排出され、正孔はソース電極に排出される。このようなダイオード内に蓄積されたキャリアの排出が行われている状態は、逆回復状態とよばれる。逆回復状態では、排出されるキャリアによって電流が流れる。半導体装置内部に流れる電流の密度が高くなると、半導体装置の破壊が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−67753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、逆回復状態における半導体装置の破壊を抑制できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の第1半導体領域と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第1絶縁部と、第2絶縁部と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、第2導電形の第4半導体領域と、第2導電形の第5半導体領域と、第4電極と、を有する。第1電極は、第1方向に延びている。第2電極は、第1電極部分と第2電極部分とを有する。第1電極部分は、第1方向に延びている。第2電極部分は、第1方向と交差する第2方向に延び、第1方向において複数設けられている。第2電極は、第1電極と離間して設けられている。第3電極は、第1電極および第2電極と離間して設けられている。第2半導体領域は、第1半導体領域の上に設けられ、第3電極と絶縁部を介して対面する。第3半導体領域は、第2半導体領域の上に選択的に設けられている。第4半導体領域は、第1半導体領域の上に設けられ、第1方向において隣り合う第1電極部分の間に位置する。第5半導体領域は、第4半導体領域の上に選択的に設けられ、第4半導体領域よりも高い不純物濃度を有する。第4電極は、第3半導体領域の上に設けられ、第4半導体領域、第5半導体領域、第1電極、および第2電極と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2図1のA−A´断面図である。
図3図1のB−B´断面図である。
図4図1のC部分を拡大した平面図である。
図5図1のD部分を拡大した平面図である。
図6図1のE−E´断面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図13】第1実施形態の変形例に係る半導体装置を表す断面図である。
図14】第2実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図15図14のA−A´断面図である。
図16図14のB−B´断面図である。
図17図14のC−C´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
各実施形態の説明には、XYZ直交座標系を用いる。半導体層Sの表面に対して平行な方向であって相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第1方向)とし、これらX方向及びY方向の双方に対して直交する方向をZ方向とする。
以下の説明において、n、n及びp、p、pの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、nは、nよりもn形の不純物濃度が相対的に高いことを示す。また、pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に低いことを示す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置100について、図1図5を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100を表す平面図である。
図2は、図1のA−A´断面図である。
図3は、図1のB−B´断面図である。
図4は、図1のC部分を拡大した平面図である。
図5は、図1のD部分を拡大した平面図である。
図6は、図1のE−E´断面図である。
【0009】
なお、図1では、半導体層S中に設けられた、第1絶縁部21、第2絶縁部22、および第3絶縁部23のみが表され、その他の構成要素については省略されている。
図4では、絶縁層24、ソース電極31、第1絶縁部21の一部、および第2絶縁部22の一部が省略されている。
図5では、絶縁層24、ソース電極31、第2絶縁部22の一部、および第3絶縁部23の一部が省略されている。
【0010】
第1実施形態に係る半導体装置100は、例えば、MOSFETである。
第1実施形態に係る半導体装置100は、n形ドレイン領域1と、n形(第1導電形)の半導体領域2(第1半導体領域)と、p形(第2導電形)のベース領域3(第2半導体領域)と、n形ソース領域4(第3半導体領域)と、p形コンタクト領域5(第半導体領域)と、p形半導体領域6(第4半導体領域)と、p形半導体領域7(第半導体領域)と、p形半導体領域8(第半導体領域)と、n形半導体領域9(第半導体領域)と、ゲート電極11と、フィールドプレート電極12(第2電極)と、ゲート電極14(第3電極)と、フィールドプレート電極15(第1電極)と、ゲート電極16と、フィールドプレート電極17と、第1絶縁部21と、第2絶縁部22と、第3絶縁部23と、ドレイン電極30と、ソース電極31(第4電極)と、を有する。
【0011】
図1に表すように、半導体装置100は、半導体層S中に設けられた、第1絶縁部21、複数の第2絶縁部22、および第3絶縁部23を有する。第1絶縁部21、複数の第2絶縁部22、および第3絶縁部23は、X方向において互いに離間している。
【0012】
第1絶縁部21は、複数の第1絶縁部分21aと、第2絶縁部分21bと、を有する。
第3絶縁部23は、複数の第3絶縁部分23cと、第4絶縁部分23dと、を有する。
第1絶縁部分21aおよび第3絶縁部分23cはY方向において複数設けられ、第1絶縁部分21aおよび第3絶縁部分23cのそれぞれはX方向に延びている。第2絶縁部分21bおよび第4絶縁部分23dは、Y方向に延びている。
X方向において、第1絶縁部21と第3絶縁部23の間には、複数の第2絶縁部22が設けられ、それぞれの第2絶縁部22はY方向に延びている。
【0013】
図2に表すように、半導体層Sは、表面S1と裏面S2を有する。ソース電極31は、半導体層Sの表面S1の側に設けられ、ドレイン電極30は、半導体層Sの裏面S2の側に設けられている。
【0014】
形ドレイン領域1は、半導体層S中の裏面S2の側に設けられている。n形ドレイン領域1は、ドレイン電極30と電気的に接続されている。n形半導体領域2は、n形ドレイン領域1の上に設けられている。
【0015】
p形ベース領域3は、n形半導体領域2の上に選択的に設けられている。p形ベース領域3は、X方向において複数設けられ、それぞれのp形ベース領域3は、ゲート電極11に沿ってY方向に延びている。また、それぞれのp形ベース領域3は、第1絶縁部21と第2絶縁部22の間、第2絶縁部22同士の間、または第2絶縁部22と第3絶縁部23の間に設けられている。
【0016】
図2および図4に表すように、n形ソース領域4は、p形ベース領域3の上に選択的に設けられている。n形ソース領域4はそれぞれのp形ベース領域3の上において複数設けられ、それぞれのn形ソース領域4はY方向に延びている。
【0017】
図4および図5に表すように、p形コンタクト領域5は、p形ベース領域3の上に選択的に設けられている。p形コンタクト領域5は、それぞれのp形ベース領域3の上において、隣り合うn形ソース領域4の間に設けられている。それぞれのp形コンタクト領域5はY方向に延びている。
【0018】
ゲート電極11およびFP電極12は、X方向において互いに離間して設けられている。
ゲート電極11は、X方向において、FP電極12と、n形半導体領域2の一部、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4の一部と、の間に設けられている。ゲート電極11およびFP電極12と、n形半導体領域2、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4と、の間には、第1絶縁部21が設けられている。
【0019】
図2図4に表すように、FP電極12は、第1電極部分12aと、第2電極部分12bと、を有する。第1電極部分12aは、Y方向において複数設けられ、それぞれの第1電極部分12aは、X方向に延びている。第2電極部分12bは、Y方向に延びている。第1電極部分12aは第2電極部分12bに接している。
【0020】
第1電極部分12aと第2電極部分12bは、X方向において互いに離間して設けられていてもよい。すなわち、第1電極部分12aと第2電極部分12bとの間に、第1絶縁部21の一部が設けられていてもよい。
【0021】
ゲート電極14およびFP電極15は、X方向において互いに離間して設けられている。ゲート電極14およびFP電極15は、Y方向に延び、FP電極15は、X方向において隣り合うゲート電極14の間に設けられている。第2電極部分12bは、X方向において、複数の第1電極部分12aと、ゲート電極14およびFP電極15と、の間に位置している。
【0022】
ゲート電極14およびFP電極15と、n形半導体領域2、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4と、の間には、第2絶縁部22が設けられている。ゲート電極14は、X方向において第2絶縁部22を介して、n形半導体領域2の一部、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4の一部と対面している。FP電極15の一部は、X方向において第2絶縁部22を介して、n形半導体領域2の一部と対面している。
【0023】
ゲート電極16およびFP電極17は、X方向において互いに離間して設けられている。
ゲート電極16は、X方向において、FP電極17と、n形半導体領域2の一部、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4の一部と、の間に設けられている。第3絶縁部23は、ゲート電極16およびFP電極17のそれぞれと、n形半導体領域2、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4のそれぞれと、の間に、設けられている。
【0024】
図2および図5に表すように、FP電極17は、第3電極部分17cと、第4電極部分17dと、を有する。第3電極部分17cはY方向において複数設けられ、それぞれの第3電極部分17cはX方向に延びている。第4電極部分17dは、Y方向に延びている。第3電極部分17cは第4電極部分17dに接している。
【0025】
ゲート電極11、14、および16は、不図示のゲート電極パッドと電気的に接続されている。FP電極12、15、および17は、ソース電極31と電気的に接続されている。
【0026】
ここで、図2および図3に表すように、隣り合うFP電極12同士の間のY方向における距離をD1、FP電極12と15の間のX方向における距離をD2、FP電極15同士の間のX方向における距離をD3、FP電極15と17の間のX方向における距離をD4とする。それぞれのFP電極は、例えば、距離D1〜D4が互いに等しくなるように設けられる。
【0027】
また、図2および図3に表すように、FP電極13とn−形半導体領域2の間に設けられた第1絶縁部21のY方向における厚みをT1、FP電極12とn形半導体領域2との間の第1絶縁部21のX方向における厚みをT2、FP電極15とn形半導体領域2との間の第2絶縁部22のX方向における厚みをT3、FP電極17とn形半導体領域2との間の第3絶縁部23のX方向における厚みをT4とする。第1絶縁部21および各FP電極は、例えば、厚みT1〜T4が互いに等しくなるように、設けられる。
【0028】
形半導体領域6は、n形半導体領域2の上に選択的に設けられている。図3図5に表すように、p形半導体領域6は、Y方向において隣り合う第1電極部分12aの間およびY方向において隣り合う第3電極部分17cの間に設けられている。X方向においてp形ベース領域3とp形半導体領域6との間には、第2絶縁部分21bが設けられている。
【0029】
図4および図5に表すように、第2電極部分12bの一部および第4電極部分17dの一部は、X方向において、p形半導体領域6とp形ベース領域3の間に設けられている。また、Z方向から見た場合、第1電極部分12aとp形半導体領域6、および第3電極部分17cとp形半導体領域6は、Y方向において交互に設けられている。
【0030】
すなわち、Y方向において隣り合う第1電極部分12a同士の間に設けられたp形半導体領域6について、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置は、第1電極部分12aの少なくとも一部のX方向における位置と等しい。また、p形半導体領域6のY方向における位置は、隣り合う2つの第1電極部分12aのY方向における位置の間にある。
【0031】
同様に、Y方向において隣り合う第3電極部分17c同士の間に設けられたp形半導体領域6について、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置は、第3電極部分17cの少なくとも一部のX方向における位置と等しい。また、p形半導体領域6のY方向における位置は、隣り合う2つの第3電極部分17cのY方向における位置の間にある。
【0032】
形半導体領域6の上には、p形半導体領域7が選択的に設けられている。p形半導体領域7は、Y方向において複数設けられている。p形半導体領域7は、ソース電極31と電気的に接続されている。
【0033】
図4図6に表すように、n形半導体領域2の上には、さらにp形半導体領域8が設けられていてもよい。p形半導体領域8は、X方向およびY方向において複数設けられている。
【0034】
図2図6に表すように、n形半導体領域の上には、さらにn形半導体領域9が設けられていてもよい。n形半導体領域9は、p形ベース領域3、n形ソース領域4、p形コンタクト領域5、p形半導体領域6、p形半導体領域7、およびp形半導体領域8を囲むように、半導体装置100の外周に環状に設けられている。
【0035】
p形ベース領域3の少なくとも一部、n形ソース領域4の少なくとも一部、およびp形コンタクト領域5の少なくとも一部は、例えば図6に表すように、Y方向において、p形半導体領域8の間に設けられる。
【0036】
形半導体領域6のp形不純物濃度は、例えば、p形半導体領域8のp形不純物濃度と等しい。または、p形半導体領域6のp形不純物濃度は、p形ベース領域3のp形不純物濃度と等しくてもよい。
【0037】
表面S1の上には、ソース電極31が設けられている。各ゲート電極とソース電極31の間には絶縁層が設けられ、それぞれのゲート電極は、ソース電極31と電気的に分離されている。ソース電極31は、n形ソース領域4、p形コンタクト領域5、およびp形半導体領域7と電気的に接続されている。p形ベース領域3は、p形コンタクト領域5を介してソース電極31と電気的に接続されている。p形半導体領域6は、p形半導体領域7を介してソース電極31と電気的に接続されている。また、ソース電極31は、FP電極12、15、および17と電気的に接続されている。
【0038】
ドレイン電極30に、ソース電極31に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極に閾値以上の電圧が加えられることでp形ベース領域3にチャネル(反転層)が形成され、MOSFETがオン状態となる。
【0039】
次に、図7図12を参照して、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法の一例について説明する。
図7図12は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程を表す工程断面図である。
なお、図7図12の左側の図は、図4のF−F´線に対応する位置における製造工程を表す工程断面図であり、図7図12の右側の図は、図4のG−G´線に対応する位置における製造工程を表す工程断面図である。
【0040】
まず、n形半導体基板(以下、基板という)1aを用意する。続いて、基板1aの上に、n形不純物を添加しながらシリコンをエピタキシャル成長させ、n形半導体層2aを形成する。n形不純物としては、リンまたはヒ素を用いることができる。
【0041】
次に、図7(a)に表すように、n形半導体層2aに、開口OP1およびOP2を形成する。開口OP1の一部は、Y方向に延び、開口OP1の他の一部はX方向に延びている。開口OP2は、Y方向に延びている。開口OP1およびT2は、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いて形成される。
【0042】
次に、図7(b)に表すように、開口OP1の内壁、開口OP2の内壁、およびn形半導体層2aの上に、絶縁層IL1を形成する。絶縁層IL1の材料には、酸化シリコンを用いることができる。絶縁層IL1は、熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成される。
【0043】
次に、開口OP1およびT2を埋め込むように、導電層を形成する。導電層は、例えばポリシリコンを含み、CVD法を用いて形成される。このポリシリコンには、n形不純物またはp形不純物が添加されていてもよい。p形不純物としては、ボロンを用いることができる。
【0044】
次に、図8(a)に表すように、導電層の一部を、CDE(Chemical Dry Etching)法により除去する。導電層は、例えば、その上端の位置が、n形半導体層2aの上端の位置と等しくなるまで、エッチングされる。
【0045】
この工程により、開口OP1内にFP電極12が形成され、開口OP2内にFP電極15が形成される。開口OP1のY方向に延びる部分に形成されたFP電極12は、開口OP1のX方向に延びる部分に形成されたFP電極12と、開口OP1内において繋がっている。
【0046】
次に、図8(b)に表すように、絶縁層IL1の一部を選択的に除去する。この工程により、FP電極12の側壁、FP電極15の側壁、開口OP1の内壁の一部、および開口OP2の内壁の一部、が露出する。絶縁層IL1の当該一部は、フッ化水素(HF)系のエッチング液を用いたウェットエッチング法により、除去することができる。
【0047】
次に、図9(a)に表すように、熱酸化法を用いて、絶縁層IL2を形成する。絶縁層IL2は、FP電極12および15の露出した部分と、開口OP1およびT2の内壁の露出した部分と、n形半導体層2aの上面と、に形成される。
【0048】
次に、絶縁層IL2の一部を覆うマスクM1を形成する。マスクM1は、開口OP1内に形成された絶縁層IL2の一部を覆っている。マスクM1の材料には、酸化シリコンを用いることができる。
【0049】
次に、導電層を形成する。導電層は、例えば、ポリシリコンであり、CVD法を用いて形成される。続いて、図9(b)に表すように、開口OP1内の一部および開口OP2以外に形成された導電層の一部を、例えば、CDE法により除去する。この工程により、ゲート電極11および14が形成される。
【0050】
次に、絶縁層IL2および各ゲート電極を覆うように、絶縁層IL3を形成する。絶縁層IL3は、例えば、酸化シリコンを含み、CVD法を用いて形成される。その後、RIE法を用いて絶縁層IL3の一部を除去することで、図10(a)に表すように、n形半導体層2aの上面を露出させる。
【0051】
この工程により、第1絶縁部21、第2絶縁部22、および第3絶縁部23が形成される。すなわち、第1絶縁部21、第2絶縁部22、および第3絶縁部23のそれぞれは、絶縁層IL1の一部、絶縁層IL2の一部、および絶縁層IL3の一部から構成される。
【0052】
次に、n形半導体層2aの上面の一部を覆うマスクM2を形成する。続いて、図10(b)に表すように、マスクM2を用いて、p形不純物をn形半導体層2aの一部にイオン注入することで、p形ベース領域3およびp形半導体領域6を形成する。p形ベース領域3およびp形半導体領域6は、異なる工程で形成されてもよい。n形半導体層2aのうち、p形ベース領域3およびp形半導体領域6以外の領域が、n形半導体領域2に相当する。
【0053】
次に、n形半導体層2aの上面の一部、p形ベース領域3の上面の一部、およびp形半導体領域6を覆うマスクM3を形成する。続いて、マスクM3を用いて、n形不純物を、p形ベース領域3の一部にイオン注入することで、図11(a)に表すように、n形ソース領域4を形成する。
【0054】
次に、n形半導体層2aの上面の一部、p形ベース領域3の上面の一部、およびp形半導体領域6の一部を覆うマスクM4を形成する。続いて、図11(b)に表すように、マスクM4を用いて、p形不純物を、p形ベース領域3の一部およびp形半導体領域6の一部にイオン注入することで、p形コンタクト領域5およびp形半導体領域7を形成する。
【0055】
次に、n形ソース領域4の上、p形コンタクト領域5の上、およびp形半導体領域7の上に、これらの半導体領域と電気的に接続された導電層を形成する。この導電層をパターニングすることで、図12(a)に表すように、ソース電極31が形成される。
【0056】
次に、基板1aが所定の厚みになるまで、基板1aの裏面を研磨する。この工程により、n形ドレイン領域1が得られる。続いて、図12(b)に表すように、研磨された基板の裏面にドレイン電極30を形成することで、半導体装置100が得られる。
【0057】
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態によれば、半導体装置の耐圧の低下を抑制しつつ、逆回復状態において半導体装置の破壊が生じる可能性を低減することができる。
この理由について、以下で比較例について言及しつつ説明する。当該比較例に係る半導体装置は、本実施形態に係る半導体装置と比べて、p形半導体領域6、p形半導体領域7、第1電極部分12a、および第3電極部分17cを有していない。
【0058】
MOSFETがオフ状態であり、ドレイン電極30に対してソース電極31に正の電圧が印加されている場合、ソース電極31をアノード電極、ドレイン電極30をカソード電極として、p形コンタクト領域5とn形ドレイン領域1の間に順方向の電流が流れる。
【0059】
その後、ドレイン電極30に、ソース電極31に対して正の電圧が印加されると、n形半導体領域2に蓄積されていたキャリアは、ドレイン電極30およびソース電極31のいずれかを通して排出される。具体的には、電子はドレイン電極30を通して排出され、正孔はソース電極31を通して排出される。
【0060】
このとき、比較例に係る半導体装置の場合、n形半導体領域2の下にはn形ドレイン領域1およびドレイン電極30が全面に亘って形成されているのに対して、n形半導体領域2の上には、p形コンタクト領域5が半導体装置の中心部分(素子領域)に選択的に形成されている。具体的には、比較例に係る半導体装置の場合、p形コンタクト領域5が、第1絶縁部21と第2絶縁部22の間、第2絶縁部22同士の間、および第2絶縁部22と第3絶縁部23の間において、選択的に形成されている。
【0061】
従って、正孔の排出による電流密度は、電子の排出による電流密度よりも高くなる。特に、素子領域の周りの、半導体装置の外周部分(終端領域)では、p形半導体領域が設けられていないため、正孔が蓄積され、電流密度が高くなりやすい。
【0062】
この点について、終端領域にp形半導体領域を設けて、正孔の排出を促進させることが考えられる。しかし、この方法は、半導体装置にFP電極が設けられている場合、耐圧を低下させる原因となりうる。
【0063】
具体的には、半導体装置がソース電極に接続されたFP電極を有する場合、FP電極によって生じる電界により、ドリフト領域であるn形半導体領域に空乏層が広がる。この空乏層により耐圧が改善され、その結果、改善された耐圧に応じてn形半導体領域におけるn形不純物濃度を高くすることができる。
【0064】
形半導体領域におけるn形不純物濃度を高くすることで、オン抵抗を低減できる一方、n形半導体領域と接するp形半導体領域からドリフト領域に向かう空乏層が広がり難くなる。従って、比較例に係る半導体装置の外周部分にp形半導体領域を設けた場合、MOSFETがオフの状態において、このp形半導体領域とn形半導体領域の間で空乏層が十分に広がらない。このため、p形半導体領域が設けられた部分で破壊が生じてしまう可能性が高くなる。
【0065】
これに対して、本実施形態では、Y方向に延びる複数のゲート電極が設けられた領域の外側の領域に、X方向に延びる複数の第1電極部分12aが設けられている。そして、これらの第1電極部分12aの間にp形半導体領域6およびp形半導体領域7を設けている。このような構成を採用することで、MOSFETがオフの状態において、第1電極部分12aによって生じる電界によりn形半導体領域2に空乏層が広げることができる。このため、p形半導体領域6およびp形半導体領域7を設けた場合であっても、半導体装置の耐圧が低下することを抑制できる。
【0066】
第3電極部分17cについても同様に、第3電極部分17cによって生じる電界によりn形半導体領域2に空乏層が広がり、半導体装置の耐圧の低下が抑制される。
【0067】
また、逆回復状態においては、p形半導体領域6を通してソース電極31に効率的に正孔が排出されるため、電流密度の増加が抑制される。この結果、本実施形態によれば、半導体装置の耐圧の低下を抑制しつつ、逆回復状態において半導体装置の破壊が生じる可能性を低減することができる。
【0068】
なお、p形半導体領域6は、第1電極部分12a同士の間に位置している必要は無く、Z方向から見た場合に、第1電極部分12a同士の間に位置していればよい。すなわち、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置が、第1電極部分12aの少なくとも一部のX方向における位置と等しく、p形半導体領域6のY方向における位置が、隣り合う2つの第1電極部分12aのY方向における位置の間にあればよい。
【0069】
形半導体領域6と第3電極部分17cとの関係についても同様に、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置が、第3電極部分17cの少なくとも一部のX方向における位置と等しく、p形半導体領域6のY方向における位置が、隣り合う2つの第3電極部分17cのY方向における位置の間にあればよい。
【0070】
また、FP電極12の少なくとも一部およびFP電極17の少なくとも一部が、第1絶縁部21を介してY方向においてn形半導体領域2と重なることで、n形半導体領域2のうちFP電極13の間に位置する領域において、空乏層をより広げやすくなる。このため、p形半導体領域6が設けられた領域において半導体装置の破壊が生じる可能性をより低減することができる。
【0071】
p形ベース領域3の上にp形コンタクト領域5が設けられ、p形半導体領域6の上にp形半導体領域7が設けられることで、逆回復状態における正孔の排出が効率的に行われ、電流密度の増加が抑制される。
【0072】
第1絶縁部21と第2絶縁部22の間、第2絶縁部22同士の間、および第3絶縁部23の少なくともいずれかの間には、複数のp形半導体領域8が設けられ、p形ベース領域3およびp形コンタクト領域5は、p形半導体領域8の間に設けられている。p形半導体領域8を設けることで、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
【0073】
また、p形ベース領域3、n形ソース領域4、およびp形半導体領域6を囲むn形半導体領域9が設けられていることで、p形ベース領域3やp形半導体領域6から半導体装置100の外周に向かう空乏層の延びを抑制することができる。半導体装置100の外周に向かう空乏層の延びが抑制されると、半導体装置100における終端領域を小さくすることが可能となる。このため、終端領域における正孔の蓄積量を低減し、逆回復状態における電流密度を低減することが可能となる。
【0074】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態に係る半導体装置110について、図13を用いて説明する。
図13は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置110を表す断面図である。
本変形例に係る半導体装置110の平面図は、例えば、図1に表される平面図と同じである。図13は、図1のA−A´断面に対応する位置における半導体装置110の断面図である。
【0075】
半導体装置110は、半導体装置100との比較において、第2絶縁部22に囲まれる電極の電位について、差異を有する。半導体装置110における当該電極以外の要素については、半導体装置100と同様の構造を採用可能である。
【0076】
図13に表すように、半導体装置110は、第2絶縁部22に囲まれた電極14a、電極14b、およびFP電極15を有する。電極14aおよび電極14bの構造については、半導体装置100におけるゲート電極14と同様の構造を採用可能である。電極14aは、ソース電極31と電気的に接続されている。電極14bは、ゲート電極として機能する電極である。FP電極15は、半導体装置100と同様に、ソース電極31と電気的に接続されている。
【0077】
本変形例においても、半導体装置100と同様に、耐圧の低下を抑制しつつ、逆回復状態において半導体装置の破壊が生じる可能性を低減することができる。
【0078】
また、本変形例に係る半導体装置110によれば、半導体装置100に比べてゲート電極の数を減らすことができる。このため、半導体装置100に比べてゲート電極の静電容量を低減し、スイッチング速度を向上させることが可能となる。
【0079】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置200について、図14図17を用いて説明する。
図14は、第2実施形態に係る半導体装置200を表す平面図である。
図15は、図14のA−A´断面図である。
図16は、図14のB−B´断面図である。
図17は、図14のC−C´断面図である。
なお、図14では、半導体層S中に設けられた、第1絶縁部21、第2絶縁部22、および第3絶縁部23のみが表され、その他の構成要素については省略されている。
【0080】
半導体装置200は、半導体装置100との比較において、第1絶縁部21〜第3絶縁部23のそれぞれに囲まれる電極について、差異を有する。半導体装置200におけるこれらの電極以外の要素については、半導体装置100と同様の構造を採用可能である。
【0081】
図14に表すように、半導体装置200は、半導体装置100と同様に、第1絶縁部21、第2絶縁部22、および第3絶縁部23を有する。
【0082】
図15に表すように、半導体装置200は、第1絶縁部21に囲まれたFP電極12およびFP電極13と、第2絶縁部22に囲まれたゲート電極14およびFP電極15と、第3絶縁部23に囲まれたFP電極17およびFP電極18と、を有する。FP電極12、13、17、および18は、ソース電極31と電気的に接続されている。
【0083】
FP電極12は、第1電極部分12aと、第2電極部分12bと、を有する。
FP電極13は、第5電極部分13eと、第6電極部分13fと、を有する。
FP電極12は、Z方向において、FP電極13とn形半導体領域2の間に設けられている。第1電極部分12aおよび第5電極部分13eは、Y方向において複数設けられている。それぞれの第1電極部分12aおよびそれぞれの第5電極部分13eは、X方向に延びている。第2電極部分12bおよび第6電極部分13fは、第2絶縁部分21bに沿って、Y方向に延びている。第1電極部分12aは第2電極部分12bに接し、第5電極部分13eは第6電極部分13fに接している。
【0084】
ゲート電極14は、X方向において第2絶縁部22を介して、n形半導体領域2の一部、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4の少なくとも一部と対面している。FP電極15の少なくとも一部は、X方向において第2絶縁部22を介してn形半導体領域2の一部と対面している。また、FP電極15の少なくとも一部は、Z方向において第2絶縁部22を介して、ゲート電極14の少なくとも一部と重なっている。第2電極部分12bは、X方向において、複数の第1電極部分12aとFP電極15との間に設けられている。
【0085】
FP電極17は、第3電極部分17cと、第4電極部分17dと、を有する。FP電極18は、第7電極部分18gと、第8電極部分18hと、を有する。FP電極17は、Z方向において、FP電極18とn形半導体領域2の間に設けられている。第3電極部分17cおよび第7電極部分18gは、Y方向において複数設けられている。それぞれの第3電極部分17cおよびそれぞれの第7電極部分18gは、X方向に延びている。第4電極部分17dおよび第8電極部分18hは、第4絶縁部分23dに沿って、Y方向に延びている。第3電極部分17cは第4電極部分17dに接し、第7電極部分18gは、第8電極部分18hに接している。
【0086】
FP電極17は、X方向およびY方向において第3絶縁部23を介してn形半導体領域2の一部と対面している。FP電極18は、X方向において第3絶縁部23を介して、n形半導体領域2の一部、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4の少なくとも一部と対面している。第3絶縁部23は、FP電極17およびFP電極18のそれぞれと、n形半導体領域2、p形ベース領域3、およびn形ソース領域4のそれぞれと、の間に設けられている。
【0087】
なお、第1絶縁部21に囲まれた領域には、FP電極13が設けられておらず、FP電極12のみが設けられていてもよい。同様に、第3絶縁部23に囲まれた領域には、FP電極18が設けられておらず、FP電極17のみが設けられていてもよい。
【0088】
図16に表すように、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置は、第1電極部分12aの少なくとも一部のX方向における位置と等しい。p形半導体領域6のY方向における位置は、隣り合う2つの第1電極部分12aのY方向における位置の間にある。p形半導体領域6の少なくとも一部およびp形半導体領域7の少なくとも一部は、隣り合う第5電極部分13e同士の間に設けられている。
【0089】
図17に表すように、p形半導体領域6の少なくとも一部のX方向における位置は、第3電極部分17cの少なくとも一部のX方向における位置と等しい。p形半導体領域6のY方向における位置は、隣り合う2つの第3電極部分17cのY方向における位置の間にある。p形半導体領域6の少なくとも一部およびp形半導体領域7の少なくとも一部は、隣り合う第7電極部分18g同士の間に設けられている。
【0090】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、耐圧の低下を抑制しつつ、逆回復状態において半導体装置の破壊が生じる可能性を低減することができる。
【0091】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。
また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0092】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。実施形態に含まれる、例えば、n形ドレイン領域、n形半導体領域、p形ベース領域、n形ソース領域、p形コンタクト領域、ゲート電極、ドレイン電極、およびソース電極、などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の技術から適宜選択することが可能である。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0093】
100、110、200…半導体装置 1…n形ドレイン領域 2…n形半導体領域 3…p形ベース領域 4…n形ソース領域 5…p形コンタクト領域 6…p形半導体領域 7…p形半導体領域 8…p形半導体領域 9…n形半導体領域 11、14、16…ゲート電極 12、13、15、17、18…フィールドプレート電極 21…第1絶縁部 22…第2絶縁部 23…第3絶縁部 30…ドレイン電極 31…ソース電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17