(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0016】
なお、実施形態1は、主に請求項1について説明する。また、実施形態2は、主に請求項2について説明する。また、実施形態3は、主に請求項3について説明する。また、実施形態4は、主に請求項4について説明する。
<実施形態1>
<概要>
【0017】
本実施形態のバーコード命令生成装置は、バーコードで示されるべきコンテンツ情報からバーコードの印刷命令を生成するとともに、ディスプレイにバーコードを表示するためのディスプレイ表示命令を生成する。
<構成>
【0018】
図1は、本実施形態のバーコード命令生成装置における機能ブロックの一例を示す図である。なお、以下に記載する本装置やシステムの機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0019】
また、本明細書に記載の各実施形態は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施例の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0020】
そして、この
図1にあるように、本実施形態の「バーコード命令生成装置」(0100)は、「コンテンツ情報取得部」(0101)と、「印刷命令生成部」(0102)と、「ディスプレイ表示命令生成部」(0103)と、からなる。
【0021】
「コンテンツ情報取得部」(0101)は、バーコードで示されるべきコンテンツ情報を取得する機能を有する。
【0022】
「コンテンツ情報」は、例えば、払込票などに含まれる各種情報である「支払者」、「利用料金」、「支払期限日」などや、表品表示に含まれる各種情報である「商品名」、「価格」、「消費期限」、「製造元」、「生産者情報」などである。コンテンツ情報の取得は、インターネット回線や電話回線、近距離無線通信、光学的読取機などを介して行われる。取得したコンテンツ情報は、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置に保持してもよいし、ROMなどの揮発性記憶装置に一次的に保持するよう構成してもよい。
【0023】
「印刷命令生成部」(0102)は、取得したコンテンツ情報からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いた印刷命令を生成する機能を有する。
【0024】
「バーコード定義」とは、種々存在するバーコード規格によって定められている定義であり、バーコードを構成するキャラクタやモジュール、最小エレメントの寸法など、情報をバーコードとして示し、また、読取可能とするための様々な定義である。バーコード規格は種々存在するが、JANコード、CODE39、CODE128、NW−7、ITF、GS1−128などがある。その中で、CODE39、NW−7、ITFは、バイナリーコードといい、キャラクタ(アルファベット、数字、記号など)を細と太の2種類のバー及びスペースの組み合わせで構成される。また、JANコード、CODE128、GS1−128は、マルチレベルコードといい、2種よりも多い種類の太さのバー及びスペースの組み合わせによりキャラクタを構成する。
【0025】
「読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定の印刷幅比となる」とは、印刷されたバーコードが、そのバーコードの定義規定の印刷幅比と完全に合致する場合だけでなく、読取装置がそのバーコードの定義規定として判別し得る許容範囲内での誤差を含む印刷幅比となる場合を含む意味である。
【0026】
「バーコード定義規定の印刷幅比」とは、バーコードを印刷する場合に、そのバーコードを構成する各バーやスペースの幅の比などをいう。印刷されたバーコードが、この印刷幅比に沿わない場合には、そのバーコード定義を有する規格によるバーコードとして読取ができなくなってしまう。
【0027】
例えば、前述のCODE39は、太いバーの幅は細いバーの幅の2.3〜3.0倍と定められており、スペースについても同様である。したがって、読取装置で読取可能となるようにCODE39規格のバーコードを印刷するためには、細バーと太バー(細スペースと太スペース)の幅の比が1:2.3〜3.0となるように印刷しなければならない。
【0028】
また、CODE128規格は、最も細いバーを基準とし、2倍、3倍、4倍の各幅の4種類のバーを用いる。したがって、この規格における印刷幅比は、1:2:3:4となる。また、バーとバーの間のスペースについても同様に、それらの各幅が1:2:3:4となる。
【0029】
「印刷命令」は、印刷装置に対してバーコードなどを紙面等に印刷させるための命令である。例えば、汎用の文書作成アプリケーションや描画アプリケーションなどを利用した命令や、印刷装置や印刷物に応じた専用のプログラムなどである。
【0030】
この印刷命令は、印刷装置の印刷幅単位を用いて作成される。印刷幅単位とは、印刷すべき文字の大きさや線の太さなどを規定するための単位であり、例えば、「ポイント(pt)」がある。このような印刷命令は、紙面にバーコードを印刷するための従前の技術により生成することが可能である。
【0031】
「ポイント(pt)」を印刷幅単位とした場合、上記CODE128であれば基準となる最も細いバーの幅を「1ポイント」とし、残り3種類のバーの幅をそれぞれ「2ポイント」、「3ポイント」、「4ポイント」として印刷命令を生成する。このように生成された印刷命令によって印刷することで、CODE128の規定する印刷幅比によってバーコードが印刷されるため誤りなく読取機によって読取が行われる。
【0032】
「ディスプレイ表示命令生成部」(0103)は、取得したコンテンツ情報からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令を生成する機能を有する。「読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となる」とは、印刷命令における場合と同様の意味である。
【0033】
ディスプレイ表示幅単位とは、例えば、ディスプレイで画像を構成するための単位である「ピクセル」をいう。ディスプレイ表示命令生成部は、このようなピクセルを単位としてバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ表示命令を生成する。
【0034】
例えば、CODE128規定のバーコードを表示するための表示命令を生成する場合には、各バーの幅の比が「1:2:3:4」である。ここで、ディスプレイのPPI(Pixel Per Inch)が「326PPI」である場合、1ピクセルは0.077mmとなる。一方、CODE128規定において、最小エレメントの幅(最も細いバーの幅)は0.191mm以上を推奨している。そこで、この規定を満たすために、最小エレメントの幅を「3ピクセル=0.231mm」とし、4種類のバーの幅の比を「3ピクセル:6ピクセル:9ピクセル:12ピクセル」としてバーコード表示命令を生成する。
【0035】
また、CODE39を例に挙げると、この場合の最小エレメント幅も0.191mm以上を推奨している。そこで、CODE39を構成する細いバーの幅を3ピクセルとし、太いバーの幅については細いバーの幅の2.3〜3.0倍であることから、7ピクセル又は8ピクセル又は9ピクセルのいずれかとすることができる。そして、細いバーの幅と太いバーの幅との比を、例えば、「3ピクセル:8ピクセル」としてバーコード表示命令を生成する。
【0036】
なお、バーとバーとの間のスペースは、黒色のバーと対比可能な白色等のバーを描画することによりディスプレイに表示される。したがって、本明細書において、係るスペースのことを「白色バー」の文言を用いて表現する場合もある。
【0037】
図2は、生成されたディスプレイ表示命令によって表示されるバーコードの一例を示す概念図である。図示するバーコードはCODE128規定に基づくものである。
図2(a)は、表示されたバーコードの全体を示すものである。
図2(b)は、
図2(a)のバーコードの一部について、バーコードを構成する各バーの幅の比を示す概念図である。なお、白色バーの輪郭線は説明の便宜のために付したものである。
図2(c)は、
図2(b)に示したバーコードの一部をディスプレイのピクセル単位で表わした概念図である。なお、RGBサブピクセルの描画は省略したに過ぎず、本図がモノクロディスプレイであることを示すものではない。
【0038】
CODE128規定のバーコードを構成する黒色バー及び白色バーのディスプレイ表示幅比は、先に述べたように「1:2:3:4」であり、各幅について「最細:やや細:やや太:最太」と表現することにする。また、最小エレメントの推奨幅の規定を満たすため、最細バーの幅を「3ピクセル」とする。
【0039】
図2(a)において、破線で囲んだ部分を構成するバーは、左から「やや細黒色バー」、「やや細白色バー」、「やや太黒色バー」、「最細白色バー」、「最細黒色バー」となっている。これらのバーを上記のバーコード規定のディスプレイ表示幅比で表わすと、
図2(b)に示すように、左から「黒2:白2:黒3:白1:黒1」となる。
【0040】
前述の通り、最細バーの幅は「3ピクセル」なので、
図2(b)の幅比に基づき、ディスプレイ上で表現する場合には、
図2(c)に示すように、ピクセル単位で左から「黒6:白6:黒9:白3:黒3」と表示する。このように、ディスプレイのピクセルを単位に用いて、バーコード定義規定を満たす幅の比によりバーコードを構成することにより、誤読取や読取不可といったことをほとんどなくすことができる。
【0041】
また、バーコードリーダによっては、読み取ったバーの幅が所定のバーコード規定に適合するか否かの判断において、ある程度の誤差を許容するものもある。そこで、バーコード表示命令の生成において、上記のようにバーコード規定やディスプレイのPPIなどに基づき予め表示するバーの幅を画定するのではなく、ピクセルで幅を換算して生じる小数点以下の値を切り上げるか又は切り下げるかについての制御を行うことによりバーコードを表示する表示命令を生成するように構成してもよい。例えば、四捨五入により小数点以下の値の切り下げ又は切り上げを行うように制御したり、小数点以下の値に応じて切り上げ又は切り下げを行うように所定の条件を設けて制御するように構成してもよい。後者の制御においては、例えば、切り下げを行う場合の条件を「0.3以下」とし、切り上げを行う場合の条件を「0.7以上」とする。そして、いずれの条件にも適合しない小数点以下の値が生じた場合には、読取不可としたり、あるいは、上述した又は後述する他の手法によりディスプレイ表示命令の生成を試みるように構成してもよい。
【0042】
図2を用いて説明したように各バーの幅をピクセル単位で規定してから、それらの規定に基づいてバーコードを表示するディスプレイ表示命令を生成する場合だけでなく、他の態様のディスプレイ表示命令もある。
【0043】
例えば、「ポイント」によって幅が規定されたバー用いて、描画する位置を適宜移動させながら重畳してバーを描くことによりバーコードを表示する表示命令を生成することもできる。
【0044】
既に述べたように、1ポイントの幅は326PPIの場合4.545ピクセルとなり、従来の命令においては切り上げなどにより「5ピクセル」の幅でバーを描画してしまう。ただし、このような命令においても、描画する始点及び終点を特定するための座標はピクセルにより規定することができる場合がある。そこで、5ピクセルの幅のバーを用いて、そのバーを描画する位置を適宜横方向へずらしながら重ねて描画することで、バーコード定義規定の幅比にてバーコードを表示させることができる。
【0045】
図3は上記の方法による表示命令を説明するための概念図である。ここでは、「黒6:白6:黒3:白3:黒3」のバーコードを表示する場合を示している。
図3(a)に示すように、5ピクセル幅の黒色バーと白色バーを用いて、それらの始点を順次3ピクセル右方向にずらしながら重畳して描画する。具体的には、まず、黒色バーずらして2回描画し、続いて白色バーをずらして2回描画する。そして、黒色バーを1回、白色バーを1回、黒色バーを1回描画する。最後に描画した白色バーは、その前に描画した黒色バーの幅を画定するために描画するものである。このように順次3ピクセルずつ始点をずらして描画すると、
図3(b)で示すように、「黒6:白6:黒3:白3:黒3」のバーコードが表示されることになる。実際の表示においては、白色バーの輪郭線は存在しないため、
図3(c)のようなバーコードが表示される。このように描画することにより、ポイントやミリメートルなどのように印刷命令に基づいてバーの幅が規定されている場合においても、それらの幅をピクセルに変換するなどの処理を経ずにバーコードが規定する各バーの幅比にて表示させることができ、バーコードを表示する装置の処理負担の増加を抑制し得る場合がある。
【0046】
この例においては、バーコード規定の最小エレメント幅を満たすための最小ピクセルが3ピクセルである場合を用いたため、始点をずらす分量を3ピクセルとした。しかし、表示させるディスプレイのPPIや、表示するバーコードの最小エレメント幅の規定などに応じて、ずらす分量は適宜変更すればよい。
<ハードウェア>
【0047】
図4は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、バーコード命令生成装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してそれぞれのハードウェア構成の働きについて説明する。
【0048】
図示するように、バーコード命令生成装置は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0401)と、各種演算処理を行なうプログラムをCPUに実行させるために読み出すとともにそのプログラムのワーク領域を提供する「主メモリ」(0402)とを備えている。これらの構成により、コンテンツ情報取得部、印刷命令生成部、ディスプレイ表示命令生成部を具現する。また、取得したコンテンツ情報や各種のバーコード定義規定やディスプレイ装置のPPIを示した情報や生成した印刷命令やディスプレイ表示命令などを保持するための「HDD」(0403)などの記憶装置や、印刷装置やディスプレイ装置などへ印刷命令やディスプレイ表示命令などをネットワークを介して出力するための「通信回路」(0404)なども備えている。そして、それらがシステムバス(0405)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0049】
まず、CPUは、HDDに保持されているコンテンツ情報取得プログラムを主メモリのワーク領域に展開し、これを実行し通信回路を介すなどしてコンテンツ情報を取得する。そして、CPUは、印刷命令生成プログラムを実行し、コンテンツ情報からバーコードの種別を取得し、当該種別に対応するバーコード定義規定の印刷幅比を読み出す。そして、ポイントなどの印刷幅単位を用いた印刷命令を生成する処理を実行する。そして、生成した印刷命令を主メモリの記憶領域またはHDDに格納する。
【0050】
また、CPUは、ディスプレイ表示命令生成プログラムを実行し、コンテンツ情報からバーコードの種別を取得し、当該種別に対応するバーコード定義規定の印刷幅比を読み出す。そして、ディスプレイ表示幅単位であるピクセルを用いてディスプレイ表示命令を生成する処理を実行する。そして、生成したディスプレイ表示命令を主メモリの記憶領域またはHDDに格納する。
【0051】
なお、CPUは、通信回路を介して印刷命令又はディスプレイ表示命令の出力の要求を受信した場合、格納されている印刷命令又はディスプレイ表示命令を出力するための出力プログラムを実行し、印刷命令又はディスプレイ表示命令を通信回路を介して出力する処理を実行する。
<処理の流れ>
【0052】
図5は、本実施形態のバーコード命令生成装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない(後述する実施形態2以下についても同様である)。
【0053】
図示するように、まず、バーコードで示されるべきコンテンツ情報を取得する(コンテンツ情報取得ステップ:S0501)。そして、取得したコンテンツ情報からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いた印刷命令を生成する(印刷命令生成ステップ:S0502)。そして、取得したコンテンツ情報からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令を生成する(ディスプレイ表示命令生成ステップ:S0503)。なお、印刷命令生成ステップとディスプレイ表示命令生成ステップの順序は前後してもよい。
<効果>
【0054】
本実施形態のバーコード命令生成装置により、バーコードで示されるべき情報から、係る情報を示すバーコードを印刷するための命令を生成するとともに、読取精度の高いバーコードをディスプレイに表示させるための命令を生成することが可能となる。
<実施形態2>
<概要>
【0055】
本実施形態のバーコード命令変換装置は、バーコードを印刷装置にて印刷するための印刷命令から、所定のバーコード定義により規定されるバーやスペースの幅等が維持されてバーコードを表示するためのディスプレイ表示命令に変換する。
【0056】
バーコード利用の現状は、紙面上に印刷されて利用されることがほとんどである。このような状況下、バーコードで示されるべきコンテンツ情報から印刷命令とディスプレイ表示命令の双方を生成するのではなく、主として印刷命令を生成し、必要に応じて生成した印刷命令からバーコードをディスプレイに表示するための命令に変換し得るようにする必要性もあると考えられる。ここで、印刷命令からディスプレイに表示するための命令に変換するにあたり、以下の点に注意が必要となる。
【0057】
バーコードを紙に印刷するための印刷命令における幅の規定は、例えば「ポイント」という単位を用いて行われる。このポイントとは、プリンターにより印字するときに文字の大きさなどを確定するための単位であり、1/72インチの長さと規定されている。すなわち、印刷命令においては、バーの幅は「1ポイント」や「2ポイント」といったポイント単位で規定されている。そして、例えば、CODE128規定における各バーの幅比は「1:2:3:4」なので、これに従い「1ポイント:2ポイント:3ポイント:4ポイント」としてバーコードを印刷させる。なお、1ポイント=0.35mmであるので、最小エレメント幅の規定を満たしている。
【0058】
このような印刷命令からバーコードを表示するための命令を生成するためには、座標と幅をディスプレイ上で規定するための情報に改める必要がある。そこで、ディスプレイを構成するピクセルを単位として表示命令を生成する。例えば、ディスプレイ上に線などを描画するための命令文として「LINE文」がある。この命令文は、描画する始点と終点及び線の幅をピクセル単位で規定して構成される。この命令文に印刷命令を当てはめる。始点及び終点の座標をディスプレイ上の座標に置き換えることは比較的容易である。一方、幅を置き換えることは、紙面における単位である「ポイント」とディスプレイにおける単位である「ピクセル」の長さが異なるため、容易ではない。
【0059】
すなわち、「1ポイント」と規定されているバーコードの幅は、1/72インチであり約0.35mmである。この1ポイントをピクセルに置き換えるとすれば、例えば、「326PPI(Pixel Per Inch)」のディスプレイの場合、1ピクセル=0.077mmであることから1ポイント=4.54ピクセルとなる。同様に、2ポイント=9.09ピクセル、3ポイント=13.63ピクセル、4ポイント=18.18ピクセルとなる。このような小数点以下の値を含む命令を生成した場合、ディスプレイにおいて小数点以下のピクセルの表示は不可能であるため、ディスプレイを備える表示装置は、小数点以下を繰り上げたり、あるいは繰り下げたりして整数の値による規定に改めて表示させてしまう。
【0060】
しかし、上記のポイントとピクセルの関係を繰り下げて改めると「4:9:13:18」となり、CODE128が規定する「1:2:3:4」とはならない。また、繰り上げて改めると「5:10:14:19」となり、これも「1:2:3:4」とはならない。いずれの場合においても、バーやスペースの幅の比が規定に沿わないため、このような表示命令によって表示されたバーコードは読取が行われずエラーとなってしまう。
【0061】
そこで、本実施形態のバーコード命令生成装置においては、ピクセルを単位として所定のバーコード定義により規定されるバーやスペースの幅等が維持されるように、印刷命令からバーコードを表示するためのディスプレイ表示命令に変換する。
<構成>
【0062】
図6は、本実施形態のバーコード命令変換装置における機能ブロックの一例を示す図である。図示するように、「バーコード命令変換装置」(0600)は、「印刷命令取得部」(0601)と、「印刷命令変換部」(0602)と、を有する。なお、本実施形態において用いる定義等は、実施形態1における同名の定義等と基本的に同様である。
【0063】
「印刷命令取得部」は、バーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いて構成された印刷命令を取得する機能を有する。この「印刷命令」は、実施形態1における印刷命令生成部によって生成される印刷命令と同様である。したがって、「印刷命令」についての説明は省略する。印刷命令取得部は、例えば、実施形態1のバーコード命令生成装置から「印刷命令」を取得する。
【0064】
「印刷命令変換部」は、取得した印刷命令からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令に変換する機能を有する。この「ディスプレイ表示命令」は、実施形態1におけるディスプレイ表示命令生成部によって生成されるディスプレイ表示命令と同様である。したがって、「ディスプレイ表示命令」についての説明は省略する。
【0065】
印刷命令からディスプレイ表示命令への変換は、取得した印刷命令の印刷幅比をディスプレイ表示幅比に変換することにより行う。例えば、上述したように、「ポイント」を単位としバーコードを構成する各バー及び各スペースの印刷幅比を「1:2:3:4」として構成された印刷命令を取得した場合には、その印刷幅比を「ピクセル」を単位とするディスプレイ幅比に変換する。
【0066】
例えば、「326PPI」のディスプレイにCODE128規定のバーコード表示させるためのディスプレイ表示幅比に変換する場合、ポイントを単位とする「1:2:3:4」の印刷幅比をそのままピクセル単位に換算すると「4.54:9.09:13.63:18.18」となり規定された幅の比に適合しなくなってしまうので、例えば、「4:8:12:16」や「5:10:15:20」といった比に変換する。前者とするか後者とするかは、例えば、規定されている最小エレメント幅の推奨値や、表示させるディスプレイの表示面のサイズや、表示させるディスプレイを備える端末がディスプレイの表示方向を縦横に変更自在であるか否かなどによって適宜選択し得る。このように変換した表示幅比に基づいて印刷命令をディスプレイ表示命令に変換する。
【0067】
変換した表示幅比に基づくディスプレイ表示命令は、実施形態1におけるディスプレイ表示命令と同様である。例えば、「4:8:12:16」といった幅比に基づき、表示するバーコードの各幅をピクセルを単位として規定して、ディスプレイに表示するように構成したり、ポイントに基づいて切り上げられた「5ピクセル」の幅のバーを始点を順次ずらしながら重畳して描画するように構成してもよい。
<ハードウェア>
【0068】
図7は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、バーコード命令変換装置における構成の一例を表す概略図である。この図を利用してそれぞれのハードウェア構成の働きについて説明する。
【0069】
図示するように、バーコード命令変換装置は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0701)と、各種演算処理を行なうプログラムをCPUに実行させるために読み出すとともにそのプログラムのワーク領域を提供する「主メモリ」(0702)とを備えている。これらの構成により、印刷命令取得部、印刷命令変換部を具現する。また、取得した印刷命令や各種のバーコード定義規定の幅比やディスプレイ装置のPPIを示す情報御や変換したディスプレイ表示命令などを保持するための「HDD」(0703)などの記憶装置や、印刷装置やディスプレイ装置などへ変換したディスプレイ表示命令などをネットワークを介して出力するための「通信回路」(0704)なども備えている。そして、それらがシステムバス(0705)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0070】
まず、CPUは、HDDに保持されている印刷命令取得プログラムを主メモリのワーク領域に展開し、これを実行し通信回路を介すなどして印刷命令を取得する。そして、CPUは、印刷命令変換プログラムを実行し、印刷情報をディスプレイ表示命令に変換する処理を実行する。そして、変換したディスプレイ表示命令を主メモリの記憶領域またはHDDに格納する。
<処理の流れ>
【0071】
図8は、本実施形態のバーコード命令変換装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。図示するように、まず、バーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いて構成された印刷命令を取得する(印刷命令取得ステップ:S0801)。そして、取得した印刷命令からバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令に変換する(印刷命令変換ステップ:S0802)。
<効果>
【0072】
以上のように本実施形態のバーコード命令変換装置は、バーコードを印刷装置で印刷するための印刷命令から、所定のバーコード定義により規定されるバーやスペースの幅比が維持されたバーコードを表示するためのディスプレイ表示命令に変換することにより、読み取り精度の高いバーコードをディスプレイに表示させることが可能となる。
<実施形態3>
<概要>
【0073】
本実施形態のバーコード命令変換装置は、バーコードをディスプレイに表示するためのディスプレイ表示命令から、所定のバーコード定義により規定されるバーやスペースの幅等が維持してバーコードを印刷するための印刷命令に変換する。すなわち、実施形態2における変換と逆の変換を行うものである。
<構成>
【0074】
図9は、本実施形態のバーコード命令変換装置における機能ブロックの一例を示す図である。図示するように、「バーコード命令変換装置」(0900)は、「ディスプレイ表示命令取得部」(0901)と、「ディスプレイ表示命令変換部」(0902)と、を有する。なお、本実施形態において用いられる定義等は、実施形態1又は2における同名の定義等と基本的に同様である。
【0075】
「ディスプレイ表示命令取得部」は、バーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令を取得する機能を有する。この「ディスプレイ表示命令」は、実施形態1におけるディスプレイ表示命令生成部によって生成されるディスプレイ表示命令と同様である。したがって、「ディスプレイ表示命令」についての説明は省略する。ディスプレイ表示命令取得部は、例えば、実施形態1のバーコード命令生成装置から「ディスプレイ表示命令」を取得する。
【0076】
「ディスプレイ表示命令変換部」は、取得したディスプレイ表示命令からバーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いて構成された印刷命令に変換する機能を有する。このディスプレイ表示命令変換部は、実施形態2の印刷命令変換部にて行われる変換と逆向きの変換処理を行う。
【0077】
例えば、CODE128規定のバーコードを326PPIのディスプレイに表示させるためのディスプレイ表示命令を取得した場合、このディスプレイ表示命令はピクセルを単位とする「5:10:15:20」のディスプレイ幅比により構成されている。このディスプレイ表示幅比をそのまま印刷幅単位であるポイント単位に換算すると「0.88:1.76:2.64:3.52」となってしまうので、例えば、「1:2:3:4」といった比に変換する。
【0078】
本実施形態のバーコード命令変換装置は、実施形態2のバーコード命令変換装置におけるハードウェア構成に準じてこれを実現することができる。したがって、ここでの説明は省略する。
<処理の流れ>
【0079】
図10は、本実施形態のバーコード命令変換装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。図示するように、まず、バーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令を取得する(ディスプレイ表示命令取得ステップ:S1001)。そして、取得したディスプレイ表示命令からバーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いて構成された印刷命令に変換する(ディスプレイ表示命令変換ステップ:S1002)。
<効果>
【0080】
本実施形態のバーコード命令変換装置により、ディスプレイ表示命令から、バーコード定義に規定されるバーやスペースの幅等が維持されたバーコードを印刷するための印刷命令に変換することにより、読取精度の高いバーコードを印刷することができる。
<実施形態4>
<概要>
【0081】
本実施形態は、実施形態1から3などにおいて記述した印刷命令とディスプレイ表示命令とを関連付けて保持する表示命令サーバ装置である。
<構成>
【0082】
本実施形態の表示命令サーバ装置は、所定のバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定の印刷幅比となるように印刷装置の印刷幅単位を用いた印刷命令と、前記所定のバーコードを構成する各バーが読取装置の読取演算可能な範囲でバーコード定義規定のディスプレイ表示幅比となるようにディスプレイ装置のディスプレイ表示幅単位を用いたディスプレイ表示命令と、を関連付けて保持する。
【0083】
表示命令サーバ装置が保持する「印刷命令」は、実施形態1のバーコード命令生成装置において生成された印刷命令や、実施形態3のバーコード命令変換装置のディスプレイ表示命令変換部により変換された印刷命令などである。また、表示命令サーバ装置が保持する「バーコード表示命令」は、実施形態1のバーコード命令生成装置において生成されたバーコード表示命令や、実施形態2のバーコード命令変換装置の印刷命令変換部により変換されたバーコード表示命令などである。
【0084】
例えば、一のコンテンツ情報から生成された印刷命令とディスプレイ表示命令とを関連付けて保持することで、いずれかの命令を選択的に出力することなどが可能となる。なお、表示命令サーバ装置は単体で構成する場合だけでなく、バーコード命令生成装置と組み合わせて構成したり、あるいは、バーコード命令変換装置と組み合わせて構成するなどしてよい。
【0085】
本実施形態の表示命令サーバ装置を実現するためのハードウェア構成としては、例えば各種演算処理を実行するためのCPUと、各種演算処理を行なうプログラムをCPUに実行させるために読み出すとともにそのプログラムのワーク領域を提供する主メモリと、関連付けられた印刷命令とディスプレイ表示命令とを保持するHDDなどの記憶装置などによって構成される。
<効果>
【0086】
本実施形態の表示命令サーバ装置により、コンテンツ情報に基づいて生成された印刷命令とディスプレイ表示命令とが関連付けられて保持されることでコンテンツ情報管理などにおいて便宜である。