特許第6334504号(P6334504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334504
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】単回経鼻投与薬送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20180521BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20180521BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61M11/00 D
   A61M15/08
   A61M31/00
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-238866(P2015-238866)
(22)【出願日】2015年12月7日
(62)【分割の表示】特願2012-546237(P2012-546237)の分割
【原出願日】2010年12月23日
(65)【公開番号】特開2016-32771(P2016-32771A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/284,696
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル ベドリーヌ
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500134(JP,A)
【文献】 特開平02−011158(JP,A)
【文献】 特表2005−518886(JP,A)
【文献】 特開2001−137355(JP,A)
【文献】 特表2001−526097(JP,A)
【文献】 特開2001−113210(JP,A)
【文献】 特開2001−104324(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0210229(US,A1)
【文献】 米国特許第5984899(US,A)
【文献】 米国特許第5284132(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 15/08
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の収容のための管状のリザーバと、
前記リザーバの少なくとも一部を受けるために寸法付けられかつ形付けられた本体と、
前記本体と前記リザーバのいずれかに配置されたスプレーノズルであって、前記リザーバから放出されるべき薬剤の経路を提供するスプレーノズルと、
長手方向の軸を定め、かつ親指パッドと、前記親指パッドから延在する少なくとも1つの柔軟なアームとを備えるプッシャーであって、前記プッシャーは、作動力に応じて前記本体に対して、静止位置から完全な作動位置へ移動可能であり、前記静止位置から前記完全な作動位置への移動は、前記薬剤を前記リザーバから前記スプレーノズルを通じて放出されるようにする、プッシャーと、
前記プッシャーの前記少なくとも1つの柔軟なアームが受け入れられる、前記本体の長手方向の溝を画定する、前記本体の外側表面における少なくとも1つの開口であって、前記溝は、前記プッシャーの前記長手方向の軸に平行な方向に延在し、および、前記溝の少なくとも一部は、前記本体の前記外側表面を通じて延在する、該少なくとも1つの開口と、
前記薬剤が装置によって送達されることを保証するための用量制御用の配置であって、
前記本体に画定されると共に、インターロック面を画定するインターロックを備えるトラックと、
前記プッシャーの前記少なくとも1つの柔軟なアーム上に画定されたトラックフォロワと、
を備える、用量制御用の配置と
を備えたユーザへの薬剤の送達のための送達装置であって、
前記インターロックは、
前記インターロック面を越えるために、前記プッシャーと前記トラックフォロワの前記長手方向の軸を横切る方向においてインターロック面によって、前記プッシャーの前記少なくとも1つの柔軟なアームが曲げられるようにする所定の値と一致するかあるいは超える作動力を、ユーザが前記プッシャーに対して与えるまで、静止位置にプッシャーを保持するために、前記トラックフォロワを解放可能に受け入れかつ保持すること特徴とする送達装置。
【請求項2】
前記トラックフォロワは、前記開口の横方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記本体は、前記本体の前方部と前記本体の後方部の間に延在している第1および第2のレールを有する少なくとも一対のレールを備え、前記第1および第2のレールは、少なくとも1つの開口を画定していることを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項4】
前記トラックは、第1のレールと第2のレールの1つに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の送達装置。
【請求項5】
前記本体の後方部は、前記本体から外側に延出しているタブを備えることを特徴とする請求項3に記載の送達装置。
【請求項6】
前記トラックは、前記プッシャーが静止位置にあるとき前記トラックフォロワを受け入れる凹部と、前記プッシャーが完全な作動位置にあるとき前記トラックフォロワを受け入れるストップの少なくとも1つを、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項7】
前記プッシャーは、2つの対向するアームを備えると共に、
前記本体は、
2つの柔軟なアームの一方を受け入れる第1の溝を画定する第1および第2のレールを含む第1の一対のレールと、
前記2つの柔軟なアームの他方を受け入れる第2の溝を画定する第3および第4のレールを含む第2の一対のレールと、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項8】
第1のトラックは、前記第1および第2のレールの一方に配置され、第2のトラックは、前記第3および第4のレールの一方に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の送達装置。
【請求項9】
前記トラックフォロワが前記インターロック面をクリアするまで、増加する作動力が必要となるインターロック面を越えて前記トラックフォロワがスライドするとき、前記少なくとも1つの柔軟なアームは、湾曲することを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの柔軟なアームは、前記リザーバから離れた方向においてインターロック面によって曲げられることを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項11】
前記トラックフォロワはペグを備え、前記ペグは、前記柔軟なアームが前記インターロック面によって曲がる方向と直交する方向において少なくとも1つの柔軟なアームから突出していることを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【請求項12】
前記インターロック面により前記少なくとも一つの柔軟なアームを曲げられた場合、柔軟なアームの一部が、前記本体の前記外側表面を超えて、前記少なくとも一つの開口の外に延在することを特徴とする請求項1に記載の送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内へのスプレーの形態で薬剤を送達するための経鼻送達装置を含む薬剤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻通路を経てスプレーする薬剤の送達は、ある液状薬剤に対する送達の最適な方法である。これを達成するためには、スプレーノズルは容器の一端部に配置されている。例えば、アルカス(Alchas)に対する米国特許第7,296,566号明細書(特許文献1)およびベドライン等に対する米国特許第6,622,721号明細書(特許文献2)において開示されたスプレーノズルのように配置されている。これらの従来の装置において、ユーザは、噴霧器の外へ液体を促すために、フランジャにユーザが圧力をかける。
【0003】
鼻通路を通じて薬剤を適正に投与するために、そのスプレーノズルはスプレーを発生しなければならない。治療効果のあるスプレーを実現するために、プランジャーは十分に一定の速度で動作されなければならない。ノズルを通過した薬剤の搬送速度は、閾値速度を超えず、霧の代わりに細粒または滴で液体は吐出される。さらに、本発明の発明者は、従来の装置を用いて適量の薬剤を送達するのを確保することは、困難であるということを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,296,566号明細書
【特許文献2】米国特許第6,622,721号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、薬剤の鼻腔内への送達のための医療装置に関する。薬剤は、経鼻送達に適した薬剤のタイプがある可能性がある。本発明は、薬剤の完全な投与量が送達されるのをさらに確実なものとする。
【0006】
本発明の実施形態において、医療装置は、本体と、その本体に受け入れられると共に、投与されるべき薬剤を保持する容器と、容器外へ薬剤を送達するために作動可能なプッシャーと、を含んでいる。特に、本発明は、ユーザに対し薬剤の送達をするための送達装置に関し、薬剤を格納するリザーバを画定する容器と、容器が受け入れられた本体と、前記本体と前記容器から放出された薬剤を受ける容器のうちの一つに配置されたスプレーノズルと、前記ノズルを通じて前記容器リザーバから容器を押し出すために作動可能なプッシャーと、を含み、前記プッシャーは作動力に応じて、前記本体に対し、静止位置から十分に作動位置へと移動可能である。前記アセンブリは、スプレーの形態で薬剤を送達することが望ましい鼻洗浄器に特に適用可能である。
【0007】
本発明において、少なくとも一つのインターロックが、前記プッシャーに提供される前記作動力が閾値力を超えるまで、前記プッシャーを保持し、前記少なくとも一つのインターロックは、前記作動力が前記閾値力を超えるときプッシャーを解放し、かつ少なくとも一つのインターロックによって、前記プッシャーの解放時に前記ノズルから前記薬剤のスプレーを発生するスピードで前記プッシャーが移動するのを保証するために、前記閾値力は十分に大きくなっている。少なくとも一つのインターロックは、本体に対するプッシャーの移動をブロックするために、プッシャーと本体とにそれぞれ配置された一対のインターロック部を含んでいる。一対のインターロック部は、移動可能なインターロック部と他のインターロック部とを含んでいる。移動可能なインターロック部は、本体に対するプッシャーの移動を解除するために、閾値作動力を超える力が加わるとき、弾性的に移動可能である。
【0008】
一実施形態において、スプレーノズルは容器に搭載されており、容器はスプレーノズルと本体との間のスナップ嵌め結合によって本体に保持されている。他の実施形態において、スプレーノズルは前記本体に搭載され、かつ容器は、その容器が本体へと挿入されたときにノズルに結合する。容器はフランジを有する注射器であり、かつ容器は、フランジと本体との間のスナップ嵌め結合によって本体に保持されるということにおいて達成される。
【0009】
さらなる実施形態において、容器はリザーバに配置されたプランジャーを含むと共に、プッシャーは作動位置へ向けた移動の間にプランジャーを押し出すためにステムを含んでいる。プランジャーが前記装置の作動の前に静止位置(rest position)にあるとき、ギャップはステムとプランジャーとの間に存在する。このギャップは、保管および出荷の間に装置の不測の作動を防ぐ。
【0010】
プランジャに代えて、容器は、ノズルを通じて薬剤を送達するために、隔壁または包膜に圧力を掛けるローラボールまたはローラシリンダを含んでも良い。プランジャ、ローリングボールおよびローリングシリンダについて述べられているが、ノズルを通じて薬剤を送達するために使用される機構は、既知のまたは今後開発される方法及び/又は装置を、結果を達成するために備えている。
【0011】
実施形態において、移動可能なインターロッキング部は、弾性アームに配置されている。さらに、移動可能なインターロッキング部は、終端位置から完全に作動した位置へのプッシャーの移動の間、表面上をスライドする。他のインターロッキング部は表面の一部である。作動力が閾値作動力に達し、かつ移動可能なインターロッキング部が他のインターロッキング部を通過するまで、移動可能なインターロッキング部が、増加する作動力を要求する他のインターロッキング部を超えてスライドするとき、弾性アームは湾曲する。
【0012】
特定の実施形態では、プッシャーは弾性アームを有し、移動可能なインターロッキング部は、弾性アームに配置されている。この実施形態において、面は本体に配置されている。
【0013】
他の具体的な実施形態では、本体は、その本体の前部と本体の後部との間に延在している第1、第2のレールを備える少なくとも一対のレールを備えている。長手方向の空間は、第1と第2のレールの間に画成されており、弾性アームは、その長手方向の空間に配置されている。この実施形態において、面は第1のレールと第2のレールのうちの一つに配置されている。さらに、移動可能なインターロッキング部は、弾性アームの自由端に近接して配置されたボスであり、前記ボスが表面上で弾性的に静止するように、長手方向のスペースの外に横方向に突出して、第1、第2のレールのうちの一つにおける面を横方向に延在している。前記面は、本体に保持された容器から離れて面しており、前記ボスは弾性アームが移動可能である平面に対して直交する方向に突出している。
【0014】
他の実施形態において、少なくとも一つのインターロックは、容器の反対側に配置された第1、第2のインターロックを含んでおり、第1、第2のインターロックの各々は、一対のインターロッキング部を備えている。この実施形態において、第1及び第2のインターロックの各々は、さらに、プッシャーに結合された第1、第2の弾性アームと、移動可能なインターロッキング部がスライドする本体に配置された第1、第2の面の各々を有している。前述のように、第1、第2のインターロックの他のインターロック部は、それぞれ、前記第1、第2の面の一部である。前記本体は、第1および第2のレールを含んでいる第1の一対のレールと、第3と第4のレールを備える第2の一対のレールと、を有している。第1および第2の対のレールは、本体の前部と本体の後部との間に結合されている。第1の弾性アームは、第1のレールと第2のレールの間の長手方向の空間に配置され、第2の弾性アームは、第3のレールと第4のレールの間の長手方向の空間に配置されている。この実施形態において、第1の面は、第1および第2のレールの一つに配置され、前記第2の面は、第3および第4のレールの一つに配置されている。好ましい実施形態において、第1および第2のインターロックの種々の部分は、送達装置の直径方向における反対側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態における経鼻送達装置の分解斜視図である。
図2】静止位置における本発明の他の実施形態における経鼻送達装置の斜視図である。
図2a】第2のインターロックと共に図2の経鼻送達装置の側面を示す図である。
図3図1の経鼻送達装置の側面図である。
図4】他の実施形態における経鼻送達装置の容器の側面図である。
図5】さらに他の実施形態における経鼻送達装置の容器の側面図である。
図6】本発明の他の実施形態におけるスナップ構造を有する経鼻送達装置の側面図である。
図7】完全に作動した位置における図1の経鼻送達装置の側面図である。
図8】完全に作動した位置における図2の経鼻送達装置の斜視図である。
図9】静止位置における図2の経鼻送達装置の平面図である。
図10】完全に作動した位置における図2の経鼻送達装置の平面図である。
図11a図1の経鼻送達装置のインターロックの或る位置での詳細図である。
図11b図1の経鼻送達装置のインターロックの図11aの位置とは異なる位置での詳細図である。
図11c図1の経鼻送達装置のインターロックのさらに図11a,図11bの位置とは異なる位置での詳細図である。
図11d図1の経鼻送達装置のインターロックのさらに図11a,図11b,図11cの位置とは異なる位置での詳細図である。
図12】プッシャーの移動距離を超えた経鼻送達装置に付与される作動力を示すグラフである。
図13】経鼻送達装置のさらなる実施形態の側面図である。
図14】ユーザによって把持されている経鼻送達装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る経鼻送達装置100は、図1に示される。実施形態において、容器10は投薬されるべき薬剤を有するリザーバを含んでいる。薬剤は、製剤原料、ワクチン、または投薬する予定の他の液体物質を調べることを目的としている。好ましい実施形態では、薬剤は、スプレーとして投与されるべきであり、好ましくは鼻通路を通じて投与されるべきである。スプレーノズル40は、薬剤が付勢されるときにスプレーを発生させるため、容器10の前端10aに配置されている。容器10は本体30に保持されている。一実施形態において、容器10は管状をなし、かつベクトン ディキンソン(米国ニュージャージー州フランクリンレイクス)によって製造された、アキュスプレー(登録商標)筒のような薬剤用の一次容器を提供する注射筒を備えている。しかしながら、容器10は、一体部分を備えているスプレーノズル40と一体構成として設計され得るか、あるいは、ルアー結合によるように、スプレーノズル40と別体として設計され得る、既知のまたは今後開発される容器と代替的である可能性がある。さらに他の実施形態として、スプレーノズル40は、本体30内に容器10が挿入された状態でスプレーノズル40に容器が取り付けられるように、スプレーノズル40は本体30に固定され得る。
【0017】
容器10は、本体30にスナップ嵌めされても良く、例えば、フランジ14によって、及び/又は、スプレーノズル40上の環状リブ42(例えば、図9および図10参照)、あるいは容器10及び/又はスプレーノズル40上の他の突出部、突起部、またはボスによってスナップ嵌めされても良い。代わりに、突出部、突起、またはボスが本体30上に配置されても良く、さらに、スナップ嵌めを実施するため、容器10及び/又はノズル40上の凹部、溝、または他の構成と相互作用する。容器10が完全に本体内に挿入されたとき、少なくともスプレーノズル40は本体30の前端を通過して延在している。
【0018】
プッシャー20のプッシャーステム22は、容器10の後端10bの中を通過するように挿入され、かつ筒状の容器10の長手方向軸と一致する長手方向軸に沿って延在する。プッシャーはスプレーノズル40を経て薬剤を送達するために、容器10の前端へ向けてプランジャー24を押し出す。親指パッド26は、プッシャー20の後端に結合され、ユーザがプッシャー20を介してプランジャー24に作動圧力を与えるのを可能にする。プランジャーに代えて、プッシャー20が、図4及び図5に示すように、容器の外側に薬剤を押し出すために、柔軟なダイヤフラムまたは包膜に作用するローラシリンダまたはローラボールを含んでも良い。図4に示す実施形態において、容器10はダイヤフラム72を含む。図5の実施形態において、容器10は薬剤を保持する包膜74を含む。
【0019】
図2、3および8に示すように、本体30の前端は、容器10の前端10aを囲んである。4つの長手方向のレール要素31,32,33,34は、本体30の後端30bに前端30aを接続している。レール31および33は、横方向に延在しているタブ36とストップ37とによって後端30bで互いに接続されている。同様に、レール32,34は、タブ38とストップ39によって本体30の後端30bで、互いに接続されている。タブ36,38は特徴的構造、すなわち、以下により詳細に説明されるように、作動力を提供するために、ユーザによって把持することを容易にする前端部36a,38aに刻み目または刻み付き面を、含んでいる。
【0020】
周知のように、液体が非常に遅い速度でノズル内を通過したならば、液体の流れおよび滴下がスプレーの代わりに発生する。従って、装置が流れの代わりに薬剤のスプレーを発生させるように、最小限のまたは閾値の作動速度を超えられなければならない。スプレーが発生されるようにユーザが適切な力を用いることを確実なものとするために、インターロック50は、プッシャー20と本体30との間に配置されている。インターロック50は、プッシャーに配置された第1のインターロック部52と、本体30に配置された第2のインターロック部54とを含む。
【0021】
経鼻送達装置の使用の前に、プッシャー20は、インターロック50による端部または静止位置にブロックされている。第1および第2のインターロック部52,54は、プッシャー20の静止位置において、図2、3、6および9に示されるように、インターロックされる。以下に詳細に説明するように、スプレーノズル40を通じて薬剤を吐出するために、プッシャー20は静止位置から完全な作動位置へと移動可能である。第2のインターロック部54は、本体のレール31上におけるトラック35に配置されている。第1のインターロック部52は、容器10の前端へ向けてプランジャー24を押すために、プッシャー20が完全な作動位置へ向けて移動させるとき、トラック上でスライドするトラックフォロワである。第1のインターロック部52は、プッシャー20上で柔軟なアーム28に配置されたボスまたはペグである。トラック35は、第2のインターロック部54、移動経路60、およびストップ61(図2参照)を含んでいる。柔軟なアーム28はレール31と32の間に配置されており、プッシャー20が静止位置から外へと移動するとき、第1のインターロック部52が第2のインターロック部54を超えてスライドするように柔軟なアーム28が本体30に保持された容器から離れて弾性的に湾曲するように構成されている。第1および第2のインターロック部52,54は、第1のインターロッキング部52が第2のインターロッキング部54をクリアするために要求された親指バッドに付与される作動力が、一旦、第1のインターロッキング部52が、第2のインターロッキング部54をクリアすると、スプレーノズルから薬剤のスプレーが発生するために要求された作動力よりも大きくなるように、相関して配置されている。第2のインターロック部54をクリアした後、第1のインターロック部は、障害物なしにトラック35の残りに沿ってスライドし、その結果、親指パッド26に付与された力がスプレーノズル40を通じて薬剤を押し出す。第1のインターロック部52は、プッシャーが完全な作動位置に到達するとき、ストップ62に達する。
【0022】
図2aにおいて、第1および第2のインターロッキング部52’,54’を伴う第2のインターロック部50’は、柔軟なアーム28’とレール34のトラック35’に配置されている(第2のインターロックは、図2において十分に明かである)。特に、他の第1のインターロック部52’は柔軟なアーム28’に配置され、かつ他の第2のインターロック部54’はレール34のトラック35’に配置されている。
【0023】
図1および3は、レール31に代えて、レール33上のトラック35を示している。この実施形態において、第2のインターロックは、レール32に配置されている。従って、トラック35とインターロックの第2のインターロック部54と第2のインターロックは、レール31と34(図2)またはレール32,33(図1および3)に配置されている。
【0024】
一実施形態において、図3に示すように、プランジャー20がインターロックされた位置にあるとき、ギャップは、プッシャーステム22とプランジャー24との間に存在する。このギャップは、保管および出荷の間に薬剤に不用意に圧力が付与されるのを防ぐ。このギャップは、第1のインターロック部52が第2のインターロック部54をクリアする間に、治療液が全く漏出しないようにすることを保証する。
【0025】
プッシャー20は、スナップ突起62を弾性アーム28に備え、それは、プッシャー20が完全な挿入位置(図7参照)に入ったとき、凹部または本体30上の他の構造に嵌り込む。そのスナップ突起62は、容量の全てがスプレーノズル40を通じて送達されたという触覚的及び/又は聴覚的な確認を提供する。代わりに、最初のインターロック部52またはプッシャー20の前に隣接して配置されている他の突起が、図7に示すように、凹部62’に嵌まり込むために配置され得る。
【0026】
図1〜3に示すように、容器10は本体30を通して見ることができる。さらに図3に示されるように、キャップ70は、塵埃、ごみ、または他の不純物が、保管及び/又は出荷の間にノズルに達するのを避けるために、スプレーノズルに取り付けることができる。図8および図9は、プッシャー20の静止位置と完全な作動位置の各々における経鼻送達装置の側面図である。図9および図10から一見して明らかなように、本体30はアンダーカットがないため、成型によって製造し易い。本体30は、図9および図10の平面の上下から共に締め付けられた二つ割り型によって成型され得る。ユーザによる把持を容易にするタブ36,38の構造は、成型後に追加することができる。
【0027】
図13に示される他の実施形態において、第1のインターロッキング手段152はおよび弾性アーム128は、本体130に配置されている。面および第2のインターロッキング手段154はプッシャー20に配置されている。
【0028】
図1〜10に示す装置の典型的な使用方法についての記載が、図11a〜図11d,図12および図14に関連して提供されている。以下の記載が説明に役立つ非限定的な例として提供されていることが、当業者によって理解されるであろう。装置のユーザは、患者にあるいは患者らが彼ら自身に薬剤を投与する医療専門家または他の介護者を含む。ユーザは、希望する用量の薬剤で予め満たされた本発明の装置を受け取る。キャップ70があれば、ユーザはスプレーノズル40からキャップを取り外す。キャップを取り外した後、ユーザは、図14に示すように、経鼻スプレー装置を親指と2本の指で把持する。ユーザはそれから、患者の鼻腔へとスプレーノズル40を挿入する。この時点で装置は、図11aに示すように、まだ静止位置にある。ユーザは、それからプッシャー20へ圧力を掛け始める。図11bにおいて、プッシャー20は、ユーザによって移動されるが、装置はまだ移動していない。なぜなら、付与されている力は、第1と第2のインターロック部52,54の間でインターロックをクリアするための閾値に達していないからである。図11cに示すように、一旦、力が閾値に達すると、第1のインターロッキング部52が第2のインターロッキング部54をクリアする。一旦、第1のインターロッキング部52がクリアされると(図11d)、プッシャー20に対する作動力はプッシャーを前方へと移動させ、ノズルを通じて薬剤を押し出し、スプレーが発生し始める。プッシャー20はプッシャー20が図7に示すような完全な作動位置に達するまで連続的に押し出される。
【0029】
図12は、図11a〜11dに描かれた各段階での作動力を示している。最大の力は、第1のインターロッキング部52が第2のインターロッキング部54をクリアする直前に現れる。これは、一旦、第1のインターロッキング部52が第2のインターロッキング部54をクリアすると、ノズルからスプレーを発生させるに適した力がノズルに付与されることを保証する。
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12
図13
図14