特許第6334511号(P6334511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334511
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】新規方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K31/4985
   A61K31/5383
   A61P25/18
   A61K9/20
   A61K9/48
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-505971(P2015-505971)
(86)(22)【出願日】2013年4月14日
(65)【公表番号】特表2015-516395(P2015-516395A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013036512
(87)【国際公開番号】WO2013155504
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】61/624,293
(32)【優先日】2012年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/624,292
(32)【優先日】2012年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/624,291
(32)【優先日】2012年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/671,713
(32)【優先日】2012年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/671,723
(32)【優先日】2012年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100067035
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 光隆
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】シャロン・メイツ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・デイビス
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・バノーバー
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ウェノグル
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−523949(JP,A)
【文献】 特表2008−513491(JP,A)
【文献】 特表2003−502331(JP,A)
【文献】 Ann Ny Acad Sci.,2004年,1032,p.267-272
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−31/80,
A61P1/00−43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式I
【化1】
〔式中、XはO、−NHまたは−N(CH)であり;Yは−O−、−C(H)(OH)−または−C(O)−である。〕
の化合物を有効成分として含む、外傷後ストレス障害の処置用医薬組成物。
【請求項2】
式Iの化合物が、
Xが−O−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−O−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−O−であり、Yが−O−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−O−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(O)−であるおよび
Xが−NH−であり、Yが−O−である、
式Iの化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式Iの化合物を含む組成物が1種以上のさらなる抗鬱剤に補助的である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
1種以上のさらなる抗鬱剤が式Iの化合物を含む組成物に補助的である、請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
抗鬱剤がアミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラフェキシンの1種以上から選択される、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項7】
抗鬱剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)および三環系抗鬱剤から選択される1種以上の抗鬱剤である、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗鬱剤がSSRIである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
錠剤またはカプセル剤である経口単位投与量形態として薬学的に許容される希釈剤または担体を含む組成物として経口用である、請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
式Iの化合物を1mg〜140mgの1日投与量で投与する、請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
式Iの化合物を1mg〜100mgの1日投与量で投与する、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
式Iの化合物を10mg〜100mgの1日投与量で投与する、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
式Iの化合物を10mg〜50mgの1日投与量で投与する、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
式Iの化合物を20mg〜40mgの1日投与量で投与する、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
式Iの化合物を1mg〜10mgの1日投与量で投与する、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
遊離形または薬学的に許容される塩形のGABA活性を調節する化合物、GABA−Bアゴニスト、5−HTモジュレーター、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター、セロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニスト、ノルアドレナリンアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン−1剤および抗精神病剤から選択される1種以上のさらなる治療剤と投与することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
遊離形または薬学的に許容される塩形のモダフィニル、アルモダフィニル、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT 201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラム、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis, France)、プルバンセリン、MDL 100907(Sanofi-Aventis, France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)、AVE8488(Sanofi-Aventis, France)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN−305(MediciNova, San Diego, CA)、メラトニン、ラメルテオン(ロゼレム(登録商標)、武田薬品、日本)、VEC−162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD−6735(Phase II Discovery))、アゴメラチン、ラモトリジン、ギャバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3−ビアリールウレア、SB−334867−a(GlaxoSmithKline, UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)、ベンズアミド誘導体、Org 50081(Organon - Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーン、トラゾドン、カソピタント(GlaxoSmithKline)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンから成る群から選択される1種以上のさらなる治療剤と投与することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
他の抗鬱剤または複数抗鬱剤の組み合わせでの処置に十分に応答していない患者に使用する、請求項1〜17のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)および三環系抗鬱剤から選択される1種以上の抗鬱剤での処置に応答していない患者に使用する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
患者がSSRIでの処置に応答していない、請求項19に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全て2012年4月14日出願の米国仮出願番号61/624,293、61/624,292および61/624,291;ならびにいずれも2012年7月14日出願の米国仮出願番号61/671,723および61/671,713に基づく優先権を主張し、その内容を、その全体を本明細書に引用により包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、ここに記載する、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の特定の置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン類の、興奮、攻撃行動、外傷後ストレス障害(PTSD)および/または間欠性爆発性障害(IED)のような衝動制御障害(ICD)の処置における一次療法または補助療法としての医薬および医薬組成物の使用に関する。ここに開示する化合物は、抗鬱剤化合物、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と組み合わせて使用できる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
外傷後ストレス障害(PTSD)は、自身または他者の現実の死もしくは傷害または死もしくは傷害の脅威または身体的完全性(physical integrity)に対する脅威の経験の後に発症する。PTSDは、臨床的に重大な窮迫または機能障害を伴う再体験、該外傷と関連する刺激の回避および一般的応答性の麻痺または過覚醒(睡眠困難、怒り、集中力低下、過剰警戒または過剰驚愕反応)の特徴的症状を含む。PTSDの生涯有病率は、米国成人で6.8%と概算され、女性が男性の2倍多い(Kessler, et al., 2005, Archives of General Psychiatry, 62:593-602)。退役軍人が、PTSDを発症する特別なリスクがあり、発病率が高く、ベトナム帰還兵の25%を超え(Kulka et al., 1990, Trauma and the Vietnam War generation: Report of findings from the National Vietnam Veterans Readjustment Study. New York: Brunner/Mazel)、湾岸戦争帰還兵の約10%(Kang et al., 2003, American Journal of Epidemiology, 157:141-148)および不朽の自由作戦/イラク解放作戦(OEF/OIF)帰還兵の約14%(Tanielian and Jaycox, 2008, Invisible Wounds of War: Psychological and Cognitive Injuries, Their Consequences, and Services to Assist Recovery. Santa Monica, CA: RAND Corporation)と概算される。再体験回避および過覚醒の一団の症候に加えて、PTSDはしばしば気分変調症、睡眠障害、鬱病、不安、物質濫用、双極性障害および統合失調症を併発する(Mohamed and Rosenbeck, 2008, J Clin Psychiatry 69:959-965)。PTSDは、相当長期間の身体障害を伴い、費用がかかる慢性疾患である。
【0004】
そして、PTSDの成功を収めた劇的処置は、この深刻な障害を伴う重症慢性疾患では発見されていない。PTSDの発症を報告する多くの文献がある(Psychiatric Annals 28:424-468, (1998)。
【0005】
衝動制御障害(ICD)は、自分または他者に危険である行動を取る衝撃、衝動または誘惑に対する病的抑制不全により特徴付けられる。ICDの1タイプが間欠性爆発性障害(IED)であり、これは暴力または激怒を含む。何らかの増悪させる心理社会的ストレスに対して非常に不釣り合いな制御の喪失がある。激怒および暴力行為の行為能力を失わせるほどの爆発は、CNS(中枢神経系)の不可逆的病変に帰因する慢性脳症候群と関係し得る。Yudofsky et al., Am. J. Psychiatry 138:218-220, 1981。重度の突発性制御異常により特徴付けられる障害は、例えば、神経科的付随作用を有し得る辺縁系(扁桃体、海馬、視床下部)における電気的障害の調節不全、側頭葉癲癇(TLE)、脳病変または損傷に起因する脳機能不全に由来し得る。他の脳機能不全障害は、例えば、脳の神経科的機能障害、TLE、ウイルス感染、神経伝達物質障害、アミノ酸不均衡、脳腫瘍、染色体異常、内分泌障害を含む代謝障害、糖尿病および数個の遺伝子が関与する疾患および染色体障害のような遺伝障害に起因する、運動、人格または行動様式を含む。DSM−IVに記された伝統的ICD − 病的賭博、抜毛癖、窃盗癖、放火癖および間欠性爆発性障害 − に加えて、ICDは、強迫的衝動的インターネット使用障害、強迫的衝動的性行動、強迫的衝動的皮膚摘み取りおよび強迫的衝動的買い物を含む。
【0006】
乏しい衝撃抑制、興奮および攻撃行動は、さらに孤立感、鬱病および不安と関連し得るし、これらは併存し得る。これは、老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭骨性認知症、核上性麻痺(parasupranculear palsy)、レビー小体型認知症および血管性認知症を含む軽度認知機能障害および認知症様疾患と関連する障害を含む認知症または認知機能障害に罹患した患者ならびに自閉症またはアスペルガー症候群に罹患したある患者においても見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、興奮、PTSDおよび/またはIEDのようなICDを有する患者は、通常抗鬱剤で処置され、これは効果が限定的であり、極めて低い寛解率である。特にICDおよびPTSDの現存する薬剤処置での効果を支持するための証拠が不十分であることに照らして、新規で改善された処置が非常に必要とされている(Institute of Medicine (IOM), (2008), “Treatment of posttraumatic stress disorder: an assessment of the evidence.” Washington, DC: The National Academic Press参照)。それゆえに、PTSD/ICDの処置のために一次療法としてまたは抗鬱剤の補助療法として有用である薬剤が必要である。
【0008】
置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン類は、中枢神経系障害の処置における5−HT受容体、特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることが知られている。これらの化合物は米国特許番号6,548,493;7,238,690;6,552,017;6,713,471;米国再発行特許39680および米国再発行特許39679に、肥満、不安、鬱病、精神病、双極性障害、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、自閉症、頭部痛と関連する状態、社会恐怖症および消化管運動機能不全のような消化器障害など5−HT2A受容体調節と関連する障害の処置に有用な新規化合物として開示されている。PCT/US08/03340および米国出願番号10/786,935も置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン類の製造方法ならびに嗜癖行動および睡眠障害のような中枢神経系障害の制御および予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしてこれらのガンマ−カルボリン類を記載している。
【0009】
さらに、WO2009/145900A1およびWO2011/133224A1は、ある置換ヘテロ環式縮合ガンマ−カルボリン化合物の、5−HT2A、セロトニントランスポーター(SERT)および/またはドーパミンD2経路が関与する1種以上の障害の処置のための使用を教示している。
【0010】
置換ヘテロ環式縮合ガンマ−カルボリン化合物に関する上記引用文献は、精神病および/または鬱病と関連する障害の処置を教示するが、これらの引用文献のいずれもPTSDおよび/またはICDの処置は開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要約
特定の置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン化合物(下記式Iの化合物)が、興奮、攻撃行動、PTSDおよび/またはICDの処置に、単独でまたはセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)のような抗鬱剤の補助療法として有用であることが判明した。これは、新規かつ予想外の有用性である。
【0012】
それゆえに、本発明は、処置を必要とする患者に遊離形または薬学的に許容される塩形の式I
【化1】
〔式中、Xは−O−、−NH−または−N(CH)−であり;Yは−O−、−C(H)(OH)−または−C(O)−である。〕
の化合物の有効量を投与することを含む、興奮、攻撃行動、PTSDおよび/またはICDの処置方法(方法A)に関する。
【0013】
一態様において、有効量は約1mg〜約140mg/用量/日であり、他の態様において、約2.5mg〜約100mg、他の態様において、約10mg〜約100mg/用量/日、他の態様において、約10mg〜約60mg/用量/日、他の態様において、約10mg〜約40mg/日、他の態様において、約20mg〜約40mg/日、他の態様において、約40〜60mg/日、他の態様において、約1mg〜10mg/日である。
【0014】
ある態様において、患者は、精神病、鬱病および/または認知症、例えば老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭骨性認知症、核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者鬱病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病を含む軽度認知機能障害および認知症性疾患と関連する障害または例えば自閉症圏障害、例えば、自閉症またはアスペルガー症候群を含む他の状況に罹患していてよい。
【0015】
それゆえに、本発明は次のとおり方法を提供する。
【0016】
処置を必要とする患者に遊離形または薬学的に許容される塩形の式I
【化2】
〔式中、Xは−O−、−NH−または−N(CH)−であり;Yは−O−、−C(H)(OH)−または−C(O)−である。〕
の化合物の有効量を投与することを含む、PTSDの処置方法(方法I)。
【0017】
1.1 Xが−N(CH)である式Iの化合物を含む、方法I;
【0018】
1.2 Xが−NHである式Iの化合物を含む、方法I;
【0019】
1.3 XがOである式Iの化合物を含む、方法I;
【0020】
1.4 前記1.1、1.2または1.3に記載した方法であって、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0021】
1.5 前記1.1、1.2または1.3に記載した方法であって、Yが−O−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0022】
1.6 前記1.1、1.2または1.3に記載した方法であって、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0023】
1.7 前記1.1、1.2または1.3に記載した方法であって、次に掲げる化合物から成る群から選択された式Iの化合物を含む、方法I:
Xが−O−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−O−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−O−であり、Yが−O−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−O−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(O)−であるおよび
Xが−NH−であり、Yが−O−である;
【0024】
1.8 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、、方法I;
【0025】
1.9 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0026】
1.10 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、式Iの化合物を含む、方法I;
【0027】
1.11 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0028】
1.12 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−O−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0029】
1.13 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0030】
1.14 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0031】
1.15 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0032】
1.16 前記1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法I;
【0033】
1.17 該患者が鬱病に罹患している、前記1.1〜1.16のいずれかに記載した方法I;
【0034】
1.18 有効量が1mg〜100mg/日または10mg〜100mg/日または10mg〜50mg/日または10mg〜40mg/日または1mg〜10mg/日または10mg/日、20mg/日または40mg/日である、前記1.1〜1.16のいずれかに記載した方法I;
【0035】
1.19 式Iの化合物を、1種以上の抗鬱剤、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、シタロプラム、シュウ酸エスシタロプラム、フルオキセチン、マレイン酸フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ダポキセチンから選択される)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(例えば、ベンラフェキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン、シブトラミンから選択される)および三環系抗鬱剤;三重再取り込み阻害剤、抗不安剤、ブスピロン(busperone)およびトラゾドンから選択される1種以上の抗鬱剤の補助剤として投与する、前記1.1〜1.16のいずれかに記載した方法I;
【0036】
1.20 式Iの化合物をSSRIのような1種以上の抗鬱剤の補助剤として投与するまたは抗鬱剤を式Iの化合物の補助剤として投与する、前記1.1〜1.16のいずれかに記載した方法I;
【0037】
1.21 該1種以上の抗鬱剤がシタロプラム(セレクサ、シプラミル、Emocal、Sepram、セロプラム)、シュウ酸エスシタロプラム(レクサプロ、シプラレックス、Esertia)、フルオキセチン(プロザック、Fontex、Seromex、Seronil、サラフェム、Fluctin(EUR))、マレイン酸フルボキサミン(ルボックス、ファベリン)、パロキセチン(パキシル、Seroxat、Aropax、デロザット、Paroxat)、セルトラリン(ゾロフト、Lustral、Serlain)、ダポキセチンのようなSSRIである、前記1.19に記載した方法I。
【0038】
処置を必要とする患者に遊離形または薬学的に許容される塩形の式I
【化3】
〔式中、Xは−O−、−NH−または−N(CH)−であり;Yは−O−、−C(H)(OH)−または−C(O)−である。〕
の化合物の有効量を投与することを含む、ICDの処置方法(方法II)。
【0039】
本発明は、さらに次のとおり方法IIを提供する:
2.1 Xが−N(CH)である式Iの化合物を含む、方法II;
【0040】
2.2 Xが−NHである式Iの化合物を含む、方法II;
【0041】
2.3 XがOである式Iの化合物を含む、方法II;
【0042】
2.4 前記2.1、2.2または2.3に記載した方法であって、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0043】
2.5 前記2.1、2.2または2.3に記載した方法であって、Yが−O−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0044】
2.6 前記2.1、2.2または2.3に記載した方法であって、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0045】
2.7前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6にに記載した方法であって、次に掲げる化合物から成る群から選択された式Iの化合物を含む、方法II:
Xが−O−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、
Xが−O−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−O−であり、Yが−O−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である、
Xが−N(CH)−であり、Yが−O−である、
Xが−NH−であり、Yが−C(O)−であるおよび
Xが−NH−であり、Yが−O−である;
【0046】
2.8 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0047】
2.9 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0048】
2.10 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0049】
2.11 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0050】
2.12 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−O−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0051】
2.13 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0052】
2.14 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−O−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II
【0053】
2.15 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−NH−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0054】
2.16 前記2.1、2.2、2.3、2.4、2.5または2.6に記載した方法であって、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を含む、方法II;
【0055】
2.17 該患者が鬱病に罹患している、前記2.1〜2.16のいずれかに記載した方法II;
【0056】
2.18 有効量が1mg〜100mg/日または10mg〜100mg/日または10mg〜50mg/日または10mg〜40mg/日または1mg〜40mg/日または10mg/日、20mg/日または40mg/日である、前記2.1〜2.16のいずれかに記載した方法II;
【0057】
2.19 式Iの化合物を1種以上の抗鬱剤、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、シタロプラム、シュウ酸エスシタロプラム、フルオキセチン、マレイン酸フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ダポキセチンから選択される)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(例えば、ベンラフェキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン、シブトラミンから選択される)および三環系抗鬱剤から選択される1種以上の抗鬱剤の補助剤として投与する、前記2.1〜2.16のいずれかに記載した方法II;
【0058】
2.20 式Iの化合物をSSRIのような1種以上の抗鬱剤の補助剤として投与するまたはSSRIのような抗鬱剤を式Iの化合物の補助剤として投与する、前記2.1〜2.16のいずれかに記載した方法II;
【0059】
2.21 該1種以上の抗鬱剤がシタロプラム(セレクサ、シプラミル、Emocal、Sepram、セロプラム)、シュウ酸エスシタロプラム(レクサプロ、シプラレックス、Esertia)、フルオキセチン(プロザック、Fontex、Seromex、Seronil、サラフェム、Fluctin(EUR))、マレイン酸フルボキサミン(ルボックス、ファベリン)、パロキセチン(パキシル、Seroxat、Aropax、デロザット、Paroxat)、セルトラリン(ゾロフト、Lustral、Serlain)、ダポキセチンのようなSSRIから選択される、前記2.19に記載した方法II;
【0060】
2.22 ICDがIEDである、前記方法Iまたは方法II。
【0061】
方法A、例えば、方法Iまたは方法IIの後の特定の態様において、患者は、他の抗鬱剤または抗鬱剤の組み合わせの処置に応答しなかったまたは十分に応答しなかった患者であり、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、シタロプラム、シュウ酸エスシタロプラム、フルオキセチン、マレイン酸フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ダポキセチンから選択される)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(例えば、ベンラフェキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン、シブトラミンから選択される)および三環系抗鬱剤から選択される1種以上の抗鬱剤に適切に応答せず、例えば、ここで、患者はSSRIに応答していない。
【0062】
本発明の化合物は遊離形または塩形、例えば、酸付加塩として存在できる。本明細書において、特に断らない限り、“本発明の化合物”、“式Iの化合物”、“抗鬱剤”、“他の治療剤”などの用語は、あらゆる形態、例えば遊離または酸付加塩形または化合物が酸性置換基を含むとき、塩基付加塩形の化合物を包含すると理解すべきである。本発明の化合物は医薬としての使用が意図され、それゆえに薬学的に許容される塩が好ましい。医薬使用に不適な塩は、例えば、遊離の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の単離または精製に有効であり得て、それゆえにまた包含される。薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸塩、メシル酸塩およびトシル酸塩を含む。塩の投与量が重量、例えば、ミリグラム/日またはミリグラム/単位投与量で示されるとき、塩の投与量は、特に断らない限り、対応する遊離塩基の重量として示す。
【0063】
本発明はまた、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物が組成物で投与され、ここで、該遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は薬学的に許容される希釈剤または担体と混合されている前記方法、例えば、方法A、例えば、方法I、例えば、1.1〜1.21のいずれかまたは方法II、例えば、2.1〜2.22のいずれかも提供する。
【0064】
本発明は、さらに、方法Iまたは1.1〜1.21のいずれかで使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合した、例えば、方法Iまたは1.1〜1.21のいずれかに記載する、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を含む医薬組成物(組成物I)を提供する。
【0065】
本発明は、さらに、方法II、例えば、2.1〜2.22のいずれかで使用するための、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合した、例えば、方法II、例えば、2.1〜2.22のいずれかに記載する、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を含む、医薬組成物(組成物II)を提供する。
【0066】
他の面において、本発明は、方法Iまたは1.1〜1.21のいずれかに記載のPTSDの処置用医薬の製造のための、方法Iまたは1.1〜1.21に記載する式Iの化合物または遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0067】
他の面において、本発明は、方法IIまたは2.1〜2.22のいずれかに記載のICDの処置用医薬の製造のための、方法IIまたは2.1〜2.22に記載する式Iの化合物の遊離形または薬学的に許容される塩形を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0068】
発明の詳細な記載
PTSDおよびIEDの第一線SSRI処置に対する応答および寛解率は退役軍人で悪く、それゆえに、異なるまたは増強処置が転帰の改善に必要である。一つの態様において、抗鬱剤と式Iの化合物の組み合わせまたは式Iの化合物単独を使用する本発明の方法は、PTSDおよび/またはICDに対して相乗効果をもたらす。すなわち、SSRIのような抗鬱剤と式Iの化合物の組み合わせは、いずれかのクラスの薬物単独よりも優れた相補性作用機序をもたらす。PTSDは、2000年に米国精神医学会から発行された精神疾患の診断・統計の手引き、第4版、解説改訂版(DSM−IV−TR)の診断309.81に挙げられている。ICDの例は、強迫性賭博、強迫的買い物、放火癖、窃盗癖、抜毛癖およびIEDを含む。IED症例の大多数は、個体の思春期後半から20代後半に発症する。IEDは、頻繁でしばしば予測不可能な極度の怒りまたは身体的爆発のエピソードにより特徴付けられ、個々のエピソードの間には、通常は暴力または身体的脅威の証拠はない。IEDは、DSM−IV−TRに診断312.34として挙げられる。PTSDおよびIEDの両者について具体的診断基準がDSM−IV−TRに挙げられる。
【0069】
本発明の化合物の製造方法
式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は、下記特許または出願のいずれかに記載または例示された方法を使用して製造できる:米国特許番号6,548,493;7,238,690;6,552,017;6,713,471;米国再発行特許39680;米国再発行特許39679;PCT/US08/03340;米国出願番号10/786,935;WO2011/133224A1および米国仮出願番号61/036,069。市販されていなければ、これらの方法のための出発物質は、既知化合物の合成と同様のまたは類似する方法を使用する化学技術から選択される方法により製造できる。ここに引用する全ての引用文献は、その全体を引用により本明細書に包含させる。
【0070】
用語“処置”および“処置する”は、疾患症状の予防および処置または改善ならびに疾患原因の処置を包含すると理解されるべきである。
【0071】
用語“患者”はヒトまたは非ヒト患者を含み得る。
【0072】
本発明の化合物は式Iの化合物と呼び、これは、遊離形または薬学的に許容される塩形の
【化4】
を含む。また、他の具体的な本発明の化合物は、Yが−C(H)(OH)−であり、Xが−O−、−N(H)−または−N(CH)−であるものである。具体的な本発明の化合物は、Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である式Iの化合物である、化合物Aである。用語“式Iの化合物”および“本発明の化合物”は交換可能に使用でき、単独治療剤として使用してよく、または他の活性剤との組み合わせまたは共投与のためにも使用してよい。また、本発明の方法において、“式Iの化合物”なる用語は、1個を超える式Iの化合物を含む。
【0073】
ドーパミン受容体アンタゴニストと異なり、式Iの化合物は、特に前頭前野における、脳ドーパミン活性を正常化する。式Iの化合物は5−HT2AおよびドーパミンD受容体と結合する。式Iの化合物は、既知抗鬱剤と比較して、SERTに対してナノモル濃度結合親和性も有する。それゆえに、PTSDおよび/またはICDの処置に加えて、式Iの化合物は鬱病の処置に、そして、ある態様において、精神病に罹患している患者における鬱病の処置および鬱病に罹患している患者における精神病の処置に有効である。
【0074】
さらなる態様において、本発明は、抗鬱剤および式Iの化合物を投与することによる、PTSDの処置方法を提供する(方法I−A)。他の態様において、本発明は、抗鬱剤および式Iの化合物を投与することによる、ICDの処置方法を提供する(方法II−A)。このような方法において、抗鬱剤は式Iの化合物に対して補助的であってよくまたは式Iの化合物は抗鬱剤に対して補助的であってよい。ここで使用する用語“補助的”は、治癒の機会を増やすためまたは一次処置の効果を高めるために、他と組み合わせて使用する何らかの処置をいう。換言すると、補助的治療は、一次処置の補助として働く。
【0075】
さらなる態様において、本発明は次のものを含む:
3.1 抗鬱剤がアミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラファキシンから選択される、方法I−AまたはII−A;
【0076】
3.2 抗鬱剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である、方法I−AまたはII−A;
【0077】
3.3 SSRI化合物がシタロプラム、シュウ酸エスシタロプラム、フルオキセチン、マレイン酸フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンおよびダポキセチンから成る群から選択される、方法I−AまたはII−Aまたは3.1。
【0078】
本発明の組み合わせ組成物は、併用薬物の混合物、ならびに、個々の組成物を、例えば、患者に同時にまたは異なる時間に一緒に併用できる薬物の2個以上の別々の組成物を含み得る。
【0079】
本発明の実施に際して用いる投与量は、当然、例えば、処置する特定の疾患または状態、使用する特定の本発明の化合物、投与方法および所望の治療により変わる。特に断らない限り、本発明の化合物の投与量(遊離塩基としてまたは塩形態として投与するいずれでも)は、遊離塩基形の本発明の化合物の量であるかまたはその量に基づく(すなわち、量の計算は遊離塩基量に基づく)。本発明の化合物は、経口、非経腸または経皮を含む任意の適切な経路で投与できるが、好ましくは経口で投与する。
【0080】
方法I−AおよびII−Aの式Iの化合物および/または抗鬱剤の量は、その薬物についての承認された量、臨床試験または文献記載試験投与量または単剤療法としてその薬物を使用する投与量と同じでも低くてもよい。例えば抗鬱剤と組み合わせて投与する式Iの化合物の1日投与量は、約1mg〜約140mg、他の態様において、約1mg〜約100mg、他の態様において、約10mg〜約100mg、他の態様において、約10mg〜約50mg、他の態様において、約10mg〜約40mg、他の態様において、約20mg〜約40mg、他の態様において、約1mg〜約10mgである。式Iの化合物と組み合わせて投与する抗鬱剤の量は約0.01mg〜約2000mg、他の態様において、約0.1mg〜約200mg、他の態様において、約10mg〜約200mgである。具体的態様において、方法I−AおよびII−Aの抗鬱剤SSRIである第二治療剤はセルトラリンであり、セルトラリンの1日投与量は約20mg〜100mgである。
【0081】
具体的態様において、方法I−AおよびII−Aの式Iの化合物および/または第二治療剤の投与量は、単剤療法で使用するときより低い。それゆえに、特定の態様において、式Iの化合物の1日投与量は1日1回100mgより低くまたは50mg未満または40mg未満または30mg未満または20mg未満または10mg未満である。他の好ましい態様において、方法I−AおよびII−Aの式Iの化合物および抗鬱剤の両者の投与量は、単剤療法として個々の薬物を使用する投与量より低い。それゆえに、特定の態様において、例えば、方法I−AまたはII−Aは、(1)式Iの化合物を、1日1回100mgより低い投与量、好ましくは50mg未満、より好ましくは40mg未満、さらに好ましくは30mg未満、さらに好ましくは20mg未満、さらに好ましくは10mg未満の投与量で;および(2)遊離形または薬学的に許容される塩形の抗鬱剤、例えばセルトラリンのようなSSRIを50mg未満、より好ましくは、20mg未満、さらに好ましくは、10mg未満、最も好ましくは6mg未満の1日投与量で投与することを含む。
【0082】
ある態様において、本発明の方法はまた他の障害を処置するためのさらなる方法も包含する。このようなさらなる障害は、精神病と関連する睡眠障害、例えば、統合失調症またはパーキンソン病と関連する睡眠障害を含むが、これらに限定されない。
【0083】
興奮、ICDおよび/またはPTSDと並存し得て、本発明の方法を使用して処置し得るより具体的な障害は、(a)鬱病および/または睡眠障害の併存障害を伴う精神病;(b)精神病の併存障害を伴う鬱病;(c)精神病、パーキンソン病および/または鬱病に罹患している患者の睡眠障害;(d)軽度認知機能障害ならびに老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭骨性認知症、核上性麻痺、パーキンソン認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者鬱病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病を含む認知症性疾患を含む認知機能障害と関連する障害;または(e)これらのあらゆる組み合わせを含む。所望により、式Iの化合物は、他の抗鬱剤と一緒に、逐次にまたは同時に投与してよく(方法I−AおよびII−A)または付加的治療剤、例えば、抗精神病性、睡眠剤および/またはパーキンソン病または気分障害の処置に使用する薬剤も方法I、II、I−AまたはII−Aにおいて投与してよい。他の例において、遊離形または塩形の1種以上の第二治療剤と組み合わせて式Iの化合物を投与することにより副作用を軽減または最小化でき、ここで、第二治療剤または式Iの化合物と第二治療剤の両者の投与量は、該薬剤/化合物を単剤療法として投与するときより低い。
【0084】
上記のとおり、本発明の化合物の投与量は、例えば処置する特定の疾患または状態、使用する特定の本発明の化合物、投与方法、所望の治療ならびに特定の患者の必要度、投与する他の治療剤、処置する障害などにより変わる。本発明の範囲内に入ることが意図される他の1日投与量は、約1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgである。付加的治療剤を方法I、II、I−AまたはII−Aで使用するならば、このような薬剤の1日投与量は、選択した具体的薬剤ならびに上記他の因子により変わり得て、例えば、1日投与量約0.001mg〜約2000mg、0.1mg〜約200mg、1mg〜約100mg、10mg〜約100mg、10mg〜約50mg、20mg〜約50mgなどである。
【0085】
所望により処置を必要とする患者に投与できる他の治療剤は、遊離形または薬学的に許容される塩形の、GABA活性を調節する化合物(例えば、活性を高め、GABA伝達を促進する)、GABA−Bアゴニスト、5−HTモジュレーター(例えば、5−HT1Aアゴニスト、5−HT2Aアンタゴニスト、5−HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えば、ブロッカー)、セロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニスト、ノルアドレナリンアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン−1剤、および抗精神病剤、例えば、典型的抗精神病剤を含む。
【0086】
用語“GABA”はガンマ−アミノ酪酸をいう。GABA化合物は、GABA受容体に結合する化合物であり、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT 201(Evotec Pharmaceuticals)またはエスタゾラムを含むが、これらに限定されない。
【0087】
他の任意の治療剤は、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis, France)、プルバンセリン、ピマバンセリン(ACP−103)、MDL 100907(Sanofi-Aventis, France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)またはAVE8488(Sanofi-Aventis, France)のような5HT2Aアンタゴニストである。
【0088】
さらに他の任意の治療剤はピゾチフェンを含む。
【0089】
他の任意の治療剤は、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロンまたはMN−305(MediciNova, San Diego, CA)のような5HT1Aアゴニストである。
【0090】
他の任意の化合物は、メラトニン、ラメルテオン(ロゼレム(登録商標)、武田薬品、日本)、VEC−162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD−6735(Phase II Discovery)またはアゴメラチンのようなメラトニンアゴニストである。
【0091】
他の任意の治療剤は、ラモトリジン、ギャバペンチンまたはプレガバリンのようなイオンチャネルブロッカーである。
【0092】
他の任意の治療剤は、例えば、オレキシン、1,3−ビアリールウレア、SB−334867−a(GlaxoSmithKline, UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)またはベンズアミド誘導体のようなオレキシン受容体アンタゴニストである。
【0093】
他の任意の治療剤は、Org 50081(Organon - Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーンまたはトラゾドンのようなセロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)である。
【0094】
他の任意の治療剤は、カソピタント(GlaxoSmithKline)のようなニューロキニン−1剤である。
【0095】
さらなる治療剤の具体例は、遊離形または薬学的に許容される塩形の、モダフィニル、アルモダフィニル、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT 201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラム、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis, France)、プルバンセリン、MDL 100907(Sanofi-Aventis, France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)、AVE8488(Sanofi-Aventis, France)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN−305(MediciNova, San Diego, CA)、メラトニン、ラメルテオン(ロゼレム(登録商標)、武田薬品、日本)、VEC−162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD−6735(Phase II Discovery)、アゴメラチン、ラモトリジン、ギャバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3−ビアリールウレア、SB−334867−a(GlaxoSmithKline, UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)、ベンズアミド誘導体、Org 50081(Organon - Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーン、トラゾドン、カソピタント(GlaxoSmithKline)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドン、アセナピン、ルラシドン、イロペリドンおよびカリプラジンを含む。
【0096】
本発明の方法で投与する化合物は遊離酸または遊離塩基の形でも薬学的に許容される塩としてでもよい。用語“薬学的に許容される塩”は、親化合物がその酸または塩基塩の製造により修飾されている、上記化合物の誘導体である。薬学的に許容される塩の例は、アミン類のような塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸類のような酸性残基のアルカリまたは有機塩などを含むが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される、親化合物の慣用の非毒性塩または4級アンモニウム塩を含む。例えば、このような慣用の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸由来のもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などのような有機酸から製造される塩を含む。
【0097】
本発明の方法で使用する化合物の薬学的に許容される塩は、慣用の化学方法により塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成できる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離塩基形態と、化学量論量の適当な酸を水または有機溶媒中またはこれら2種の混合物中で反応させることにより製造でき、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。これらの塩、例えば、非晶質または結晶形態のトルエンスルホン塩の製造に関するさらなる詳細は、PCT/US08/03340および/または米国仮出願番号61/036,069およびWO2009/114181に見ることができる。
【0098】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、ガレヌス分野(galenic art)において知られる慣用の希釈剤または添加物および技術を使用して製造し得る。例えば、本化合物は広範な種々の投与形態で投与でき、すなわち、それらは錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディー剤、粉末剤、スプレー剤、水性懸濁液剤、注射液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形で種々の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせ得る。
【0099】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸カルシウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えばジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容される添加物と慣用の手段により製造した錠剤またはカプセル剤の形を取り得る。錠剤は当分野で周知の方法でコーティングしてよい。経口投与用液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形を取ってよく、またはそれらは、使用前に水または他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として提供され得る。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用脂);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えばアーモンド油、油性エステル類またはエチルアルコール);および防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加物と慣用の手段により製造し得る。
【0100】
頬側投与のために、本組成物は、慣用の方法で製剤された錠剤またはロゼンジ錠の形を取り得る。
【0101】
活性化合物は、慣用のカテーテル法または点滴法を使用する、注射により非経腸投与するために製剤し得る。注射用製剤は単位投与量形態、例えばアンプルまたは複数投与量容器に、防腐剤を添加して提供し得る。本組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形を取ってよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような製剤用薬剤を含んでよい。あるいは、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば無菌発熱性物質除去水で再構成するための粉末形態であり得る。
【0102】
活性化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリド類のような慣用の坐薬基剤を含む、坐薬または停留浣腸のような直腸用組成物にも製剤し得る。
【0103】
鼻腔内投与または吸入による投与のために、活性化合物は、患者が押し出すまたはポンプアウトするスプレー容器から、溶液または懸濁液の形でまたは適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを用いる加圧容器またはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示として好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は定量を送達するためのバルブの提供により決定され得る。加圧容器またはネブライザーは、活性化合物の溶液または懸濁液を含み得る。吸入器または吹き入れ器(insufflator)で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、活性化合物とラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤の粉末混合物を含んで製剤され得る。水性懸濁液および/またはエリキシルが経口投与に望ましいとき、その中の必須活性成分を種々の甘味剤または風味剤、着色物質または色素、そして、そのように望むならば同様に乳化剤および/または懸濁化剤を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびこれらの種々のこのような組み合わせのような希釈剤と共に組み合わせ得る。
【0104】
次の実施例は本発明を説明するが、これに限定すると解釈してはならない。
【実施例】
【0105】
実施例1:PTSDの処置についての化合物Aの非盲検治験
単施設、前向き、非盲検パイロット治験を、非寛解外傷後ストレス障害を有する退役軍人において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に対する補助的処置として化合物A(Xが−N(CH)−であり、Yが−C(O)−である式I;トシル酸塩)で実施する。
【0106】
治験デザインおよび方法
本治験は、PTSDに対するFDAが示す第一線薬剤であるセルトラリンに対して、寛解しなかった被験者に焦点を絞る。
【0107】
補助的処置パイロット治験デザイン概論:SSRIの適切な治験に無効とされる、非寛解PTSDと診断された19〜65歳(両端を含む)の現役勤務、予備軍、州兵および/または退役軍人からの男性および女性被験者(n=20)を、12週間、補助的化合物Aで前向き処置する。
【0108】
ボランティアのサンプルを得る方法:参加者は、医学的/精神医学的評価に参加する可能性のある被験者として、外来診察室、施設治療プログラムおよび近隣米国予備兵または現役部隊から集める。試験したネットワークにおける計16,000名の患者のうち、約18%(n=2880)がPTSDの診断を受けており、88%が男性であり、〜59%が白人であり、41%が少数民族である。TVAMCで処置された1,200名以上のOIF/OEF退役軍人のうち、63%が精神疾患と診断され、42%がPTSDを有する。
【0109】
編入基準:
(1) 署名された同意書(informed consent)(すなわち被験者は文書により、本方法、代替治療、リスクおよび利益を読解でき、かつ来院頻度に同意する)
(2) 男性または女性;人種または種族的区別を問わない
(3) 年齢≧19〜65歳
(4) 米軍に従事していた
(5) 4数法を使用する精神疾患簡易構造化面接法(Mini-International Neuropsychiatric Inventory)(MINI)およびPTSD臨床診断面接判定(CAPS)を使用し、総CAPSスコア45以上によるPTSDの診断
(6) 標準的SSRI治療に対する不十分な応答(>6週間;シタロプラム40mg/日、セルトラリン150mg/日、フルオキセチン40mg/日、パロキセチン40mg/日または同等)
(7) 無作為化前の週にCAPSスコア≧45(不十分な応答)
(8) CGI−重症度尺度で少なくとも中程度の重症度(不十分な応答)
(9) 過去1ヶ月間物質使用障害なし(ニコチンおよびカフェインを除く)
(10) 無作為化2週間前に他の向精神薬(気分安定化剤、神経遮断剤、ベンゾジアゼピン類、非SSRI薬、プラゾシン)なし。被験者は、本薬剤に応答しないまたは耐用し得ない副作用を有するとき、薬物を漸減して除外できる。
【0110】
除外基準
(1) 双極性I、統合失調症、統合失調感情障害の病歴(lifetime history)を有するもの(MINIにより評価)
(2) 積極的な自殺または殺人企図(臨床面接により評価)
(3) 治験医の見解では、被験者がインフォームドコンセントをする能力を阻害されているまたは神経遮断剤なしでは被験者の編入を維持するのが危険である精神病性症状
(4) 重度認知障害(認知症、重度TBI)
(5) 向精神剤の>3の適切な治験に非応答、すなわち処置難治性である
(6) 化合物AまたはSSRIの使用に対する禁忌
(7) 妊婦または治験中妊娠または授乳を計画中の女性
(8) 次のものを含むが、これらに限定されない治験参加を禁忌とするまたは顕著な有害事象の過度のリスクに曝すであろう臨床的に有意な不安定なまたは重度の医学的状態:不安定なまたは重度の肝臓、腎臓、呼吸器、循環器、内分泌、神経または血液疾患;甲状腺機能低下または亢進、ただし、状態が3ヶ月安定であるものを除く;または発作の病歴(単回の小児熱性発作、外傷後またはアルコール離脱を除く)。次のものは除外理由である:血小板<75,000/mm;ヘモグロビン<9g/日L;好中球、絶対<1000/mm;SGOT>上限の3倍;SGOT>上限の3倍;クレアチン>2mg/日L;拡張期BP<60または>110mmHg;EKG QTc>475msec。
(9) 脆弱な患者集団として、認知症患者、年少者(<19歳)、高齢者(>65歳)、囚人および末期疾病患者を除外する。
【0111】
スクリーニング法:署名された同意書の受理後の、1〜14日間のスクリーニングおよびベースライン評価は、精神医学的および一般的医学的評価、精神医学的病歴、精神医学的家族歴、向精神剤歴、人口統計学、障害度、診断的評価(MINIおよびCAPS)、一般的医学的状態の一覧、身体検査、EKG検査および臨床検査(全血球計算、肝臓および甲状腺機能試験、血液化学、検尿、濫用薬物の尿スクリーニングおよび空腹時グルコースおよび脂質プロファイル)を含む。妊娠する可能性のある女性は尿妊娠検査で陰性であること。
【0112】
治験薬:適格性決定後、被験者に化合物Aを与える。化合物Aを、最初の7日間20mg/日で開始し、その後40mg/日に増加する。標的投与量は40mg/日であるが、副作用により必要であるならば、投与量を20mg/日に減らす。治験薬を、TVAMC薬局が保存し、分配する。ベースラインSSRI薬物を12週間の治験間中継続する。
【0113】
併用薬および精神療法:SSRIおよび治験薬以外、他の向精神薬は、治験中許可されない(気分安定化剤、他の抗鬱剤、神経遮断剤、ベンゾジアゼピン類、プラゾシンを含む)。疼痛状態のための鎮痛剤(麻薬、ギャバペンチン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症剤)は、無作為化4週間前に投与量が安定している限り、許可される。あるタイプの精神療法の潜在的交絡治療効果のために、同時認知行動療法、認知処理療法または曝露療法は治験中は許可されない。
【0114】
ベースライン方法およびフォローアップ評価:被験者を治験担当医または訓練された治験コーディネーターが、2週間毎の電話連絡および4週間毎の評価(下記表に示す)により評価する。
【0115】
精神疾患簡易構造化面接法(MINI):
現在のおよび生涯DSM−IV第1軸障害を評価する体系的臨床診断面接。MINIは良好な信頼性および妥当性を有する。被験者の負担軽減のために選択され、MINIは、DSM−IVの体系的臨床面接の45〜60分と比較して、管理に〜30分かかる。
【0116】
PTSD臨床診断面接尺度(CAPS;主要転帰):体系的臨床診断面接を使用して、PTSDの17個の症状の頻度および強度を評価する。CAPSは、さらに、判断基準B(再体験)、判断基準C(回避行動)および判断基準D(過覚醒)の採点を可能にする3群に細分される。CAPSは、1)PTSD試験の標準的評定尺度である;2)本治験の結果を、CAPSを使用したPTSDのための他の医薬(すなわちSSRI)と比較することを可能にするおよび3)PTSD B、CおよびD群のより詳細な分析のための3個のPTSD症状群のための信頼できるスコアを提供する点で有利である。
【0117】
簡易抑鬱症状検査表−自己申告(QIDS−C):臨床試験で広範に使用されている鬱病の16項目自己申告評定尺度であり、良好な内的一貫性、信頼性を有し、変化に敏感である。PTSD患者でしばしば鬱病が起こるため、鬱病の評価を選択する。
【0118】
陽性・陰性症状評価尺度(PANSS):精神病性障害における陽性および陰性症候群を評価するための30項目臨床診断尺度であり、良好な信頼性および妥当性であり、処置変化に敏感である。
【0119】
臨床全般印象重度および臨床全般改善度(CGI−S/CGI−I):病気の重症度および改善を判定するためのRCTにおいて使用される7点臨床医尺度である。
【0120】
自己申告尺度:ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI):PTSDにより特化した睡眠障害を評価するために開発された補遺を備えた、健常者および精神患者で評価されている、しばしばされる自己評価睡眠質問表。シーハン障害尺度(SDS):精神症状が職業、家族/家庭および社会的機能に混乱を生じさせる程度の3項目であり、高い内的一貫性(0.89)、良好な妥当性を有し、変化に敏感である。参加意思:被験者にベースラインで“あなたが治験を完了する可能性はどれくらいですか?”と問い、フォローアップ時に被験者に“あなたが次の評価セッションに参加する可能性はどれくらいですか?”と問い、0〜10で採点する2項目尺度である。これらのデータは、無視不可能なドロップアウトと無視可能で変わるまたは決定可能な障害を考察し、フォローアップを奨励するために臨床的に使用される。治療満足質問票(TSQM):14項目リッカート型自己申告;心理測定的に有効;薬物に対する患者満足度の主要な観点の指標。
【0121】
有害事象モニタリング:副作用の頻度、強度および負担尺度(FIBSER):自己申告;副作用全体的頻度、強度および総合的な負担の指標。異常不随意運動評価尺度(AIMS):65 遅発性ジスキネジアの評価に広く使用されている、運動障害動作の存在および重症度を評価する12項目の臨床医管理尺度;確立された評価者間信頼性を有する。薬原性アカシジア尺度(BAS):薬剤誘発性アカシジアの存在および重症度を評価する4項目臨床医管理有効尺度。シンプソン・アングス尺度(SAS):ジストニアまたはパーキンソニズム症状の存在および重症度を評価する10項目有効尺度。シーハン自殺念慮追跡尺度(SSTS)は、8項目自己申告尺度である;処置により発現した自殺念慮(項目2、3、4と、項目5が<1であるならば、そのスコアを加算)および行動(項目6、7a、8、項目5が<1であるならば項目5も)を追跡;経時的自殺念慮または行動の頻度または強度における変化に対して感受性;FDAにより使用される自殺傾向分類符号化方式に対して直接位置づけ。各来院時、被験者はSSRSを完了させ、治験担当医の一人がそれを審査しなければならない。肯定支持は、治験担当医により扱われなければならない(自殺予防計画参照)。
【0122】
【表1】
【0123】
評定者信頼性および訓練:研究スタッフの訓練方法はTracy K., et al. (1997). “Inter-rater reliability issues in multicenter trials, Part I: theoretical concepts and operational procedures used in Department of VA CSP #394.” Psychopharm Bull 33:1:53-57に概説されており、これは、評価者間信頼性を確立および維持するための具体的ガイドラインである。過去の評価者間信頼性係数は、CAPS計およびサブスケールについて0.75〜1.0の範囲である。治験開始前、全尺度についての訓練を行い、0.90〜0.95の範囲の評価者間信頼性係数を確立し、毎年繰り返す。できるだけ、各被験者を、治験中同じ評定者が評価する。
【0124】
自殺予防計画:被験者は2週間毎に電話で(または必要であればより頻繁に)および4週間毎に診療所で評価する。被験者は、来院時にSSTS自己申告を完了させ、SSTSはMDまたはナース・プラクティショナーにより審査される。治験担当医は被験者について全ての肯定支持を診察し、臨床状態および自殺のリスクを判断する。ベースライン時、治験担当医および被験者は、自殺念慮、計画または行動の際の治験担当医の一人への24時間連絡(呼び出し)、VAMC救急室への24時間連絡、VA自殺予防危機およびVA自殺予防コーディネーターの電話番号を知ること(カードおよびチラシを被験者に渡す)、危機中に手伝うことができる重要な他者の同定、被験者が直ぐに利用できる全ての致死的兵器の排除および薬物およびアルコールの自制に対する被験者の同意を含む詳細な自殺予防計画に同意する。肯定支持がSSTSにより成されたならば、治験担当医は被験者の自殺予防計画を審査し、改変する。治験担当医が被験者が高度の自殺リスクがあると見なしたならば、被験者は最も臨床的に適当な設定(外来、施設治療または入院)で処置され、治験薬を中止してよく、他の処置剤を提供し、適当なAEまたはSAE報告をIRBに提出する。
【0125】
有害事象モニタリング:上記の処置により発現した自殺念慮および行動に加えて、患者の全ての可能性のある副作用および有害事象を定期的にモニタリングする(すなわち月1回直接来院と隔週の電話連絡)。医学的および/または心臓転帰を評価するために、臨床検査およびEKGを、12週目に繰り返す。有害事象、体重およびバイタルサインを各来院時に評価する。治験薬との関係に関わらず、全有害事象を各来院時に記録する(説明、重症度、治験薬との関係、治療介入、発症日、回復日)。予期しないものであり、治験薬と関連する重篤有害事象(CRF 312.32により規定)を、迅速にIRBおよび全規制当局に報告する。
【0126】
身体的リスク:副作用を同意書に挙げ、被験者に注意深く説明する。化合物Aのほとんどの有害事象は軽度〜中程度であり、頭痛、めまい、体位性頻脈、口渇、胃腸の病気および傾眠を含む。重要なことに、化合物Aは、望ましくない副作用と関連し得る強力な非特異的相互作用を欠く。標的受容体が結合する投与量で、化合物AはH1拮抗作用(H1 Ki>1000nM)と関連する鎮静、体重増加またはH1または5−HT2C受容体拮抗作用(5−HT2C Ki=173nM)と関連する代謝易罹病性を示す可能性はない。化合物Aはムスカリン受容体に親和性はなく、抗コリン性副作用と関連することは予測されない。最も近い非特異的活性はアドレナリンアルファ1A(Ki=73nM)である。今日まで、これは体位性低血圧のような何らかの心血管副作用と関連付けられていないが、被験者を注意深く監視する。
【0127】
化合物Aは、健常ボランティアおよび臨床的集団において、投与量範囲(1〜140mg)で安全かつ良好な耐容性を示す。30名の若い、健常ボランティアにおける化合物Aの安全性、耐容性および薬物動態を証明するための無作為、二重盲検式、プラセボ対照1回経口投与量漸増治験は、2.5mg、5.0mg、10.0mg、20.0mgおよび30.0mgの1回経口投与量が、健常男性ボランティアで安全かつ耐容性であることを証明した。本治験で重篤な有害事象はない。バイタルサインまたは臨床検査で用量と関連する、臨床的に関連する変化はない。QTcに顕著な延長はなく、12誘導心電図または24時間ホルター心電図に臨床的に有意な変化はない。ほとんどの有害事象は軽度〜中程度であり、頭痛、めまい、体位性頻脈、口渇、胃腸の病気および傾眠を含む。24名の健常男性ボランティアにおける他のプラセボ対照治験において、1日1回5日間の5mg、10mgおよび20mg化合物Aの複数回経口投与は安全であり、良好な耐容性であった。投与5日目の化合物Aの薬物動態は1日目に見られたものと同等であり、反復投与で血漿への蓄積がないことが示唆される。化合物A投与量を増加した経口投与は、用量比例的線形薬物動態をもたらし、Tmaxは化合物A投与約1時間後に生じる。妊婦および授乳婦は除外し、子供を持つ可能性のある男性および女性は、避妊薬を使用する。化合物Aは高プロラクチン血症を生じず、性機能不全に関する報告はない。
【0128】
薬物処方/複数薬物相互作用における判断:化合物Aは主にチトクロムP450 3A4(CYP3A4)により代謝される。何らかのCYP酵素の強力な阻害剤ではない。被験者に治験中の強いCYP450阻害剤(例えばマクロライド抗生物質、ベラパミル、アプレピタント、グレープフルーツジュース)および強いCYP450インデューサー(例えばフェニトイン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、モダフィニル、リファンピシン、オトギリソウ)の使用を避けるように通知する。SSRIは、共通のCYP450代謝経路(パロキセチン>フルオキセチン>セルトラリン>シタロプラム)により同時に投与した化合物Aを上昇する可能性があり、それ故に、化合物Aの保守的導入および注意深い安全性モニタリングを行う。
【0129】
SSRI抗鬱剤の一般的副作用のリスクは他の場所に十分記載され、同意書に包含される。一つの希で重篤な可能性のある有害事象はセロトニン症候群である。この症候群は、典型的に開始、過剰投与または投与量変更24時間以内に起こる。症状は、悪心、下痢、自律神経不安定、体温上昇、血圧変化、単収縮および筋緊張増加、振戦、反射亢進および錯乱を含む。セロトニン症候群のリスクを最小化するため、治験担当医は、この症候群の早期認識および処置を助けるために治験スタッフおよび参加者に教育を施す。他のセロトニン作動性活性薬(すなわち、トリプタン類)は治験中使用しない。セロトニン症候群を熟知する経験豊富な治験医は、緊急時24時間/日、7日/週連絡可能である。
【0130】
脱落者最小化:脱落者を最小にするために、治験担当医は、全ての予定される被験者に徹底的参加前教育を施し、フォローアップに対する被験者の責任感および実現可能性を確認する。治験担当医はまた被験者の責任感を強めるために、治験に継続的教育もする。被験者は、各来院時にフォローアップ予約の不便さおよび交通費を相殺するために妥当な参加費用を受け取る。“参加意思”と呼ばれる1項目尺度を、各治験来院時に施す。被験者の意思が低いならば(すなわち、<5)、フォローアップ中に被験者を失う機会を減らすために、査定者は、意思が低い理由を問い合わせ、被験者の要求に従う試みをする(例えば、より好都合な時間帯の予約)。また、治験コーディネーターは、必要であれば、被験者の地域に治験往診する。
【0131】
治験の終了:治験終了時(12週目または早期終了)、全12週目手順および評価を行い、被験者に最も適当な設定で最も適当な処置を開始し、フォローアップについての先のまたは新規に割り当てられた長期プロバイダーを紹介する。本研究チームによる治験後来院は、被験者が適当なフォローアップ取り決めをしているかまたは計画されていることを確認し、先の治験方法、治験薬または治験終了時開始しているかもしれない何らかの新規薬物に関連して生じ得る何らかの臨床問題を処理するために、定期的来院として計画する。
【0132】
D. データ管理および統計的計画
サンプルサイズ:サンプルサイズは、2〜3被験者/月/施設での篩い分けを可能にする能力の経験に基づく動員の語用論に基づく。8ヶ月登録期間中、約3被験者/月を、少なくとも20被験者で治験薬を開始するために参加させる。下で特に断らない限り、分析は、少なくとも治験薬1投与を受け、少なくとも1回ベースライン評価後再来院した全被験者の包含により、治療企図解析(ITT)原理に固執する。
【0133】
予備的記述的分析:ベースライン時のサンプルの臨床的および人口統計学的特徴を試験する。度数分布を全可変値について計算する。平均、中央、標準偏差、最小値および最大値を各連続測定で計算する。カテゴリー変数を、頻度および比率で表す。ヒストグラムおよびボックスプロットを含むグラフ表示を作成する。これらの分析は、ベースラインCAPSスコア、性別、年齢、MDDの存在/非存在、障害度、病気の長さおよび過去に適切な薬物処置をしなかった数および全ベースライン後評価を含む。
【0134】
PTSDサンプルにおける化合物Aの高価の評価:処置群によるCAPS(主要転帰)、QIDS−SR、CGI−I、PANSSおよびSDSの中央および平均±および標準偏差(sd)を経時的に決定する。ベースラインから12週間化合物A処置期間の最後までに評定尺度スコアの有意な減少がある。スコアの変化に比べて、応答(CAPSで≧30%減少)および寛解(CAPSで≧45)の率を決定する。連続的転帰のためのコーエンのdを使用する群内効果量(effect size)を決定する。応答および寛解率に対する治療必要例数(NNT)を決定する。効果量は、変化の推論的はなく、説明的指標であり、すなわちそれに有意検定は直接関連しない。効果量は、サンプルサイズと無関係な変化の強度の説明を伝える。95%信頼区間は、解釈を導くために各効果量に添える。さらに、各結果変数の分析は、対応のあるt検定から成る。
【0135】
PTSDサンプルにおける化合物Aの耐容性、安全性および副作用の評価:安全性分析は、治験薬を少なくとも1回投与され、少なくとも1回ベースライン後安全性評価した全被験者を含む。これらの分析は、有害事象を報告した被験者ならびに有害事象を報告しなかった被験者を含む。処置緊急有害事象の発生率、有害事象のタイプおよび有害事象による休薬の頻度を要約する。薬物副作用による治験薬中断の割合による耐容性を評価する。FIBSER、AIMS、SAS、BASおよびSSTSの前後の変化も評価し、記述的に平均、中央、sd、95%CIを表す。
【0136】
動員および残留の実行可能性:参加予定者が治験を断る理由を、割り当てられた番号(すなわち個人識別名無し)とリンクさせてデータベースに維持する。さらに、被験予定者が治験に同意した理由、決定について理由を問い合わせ、その理由も、割り当てられた番号とリンクさせならびに同意書署名後与えられる被験者の割り当てられた治験番号にリンクさせてデータベースに維持する。スクリーニング不適格症例の全理由および治験薬開始前の脱落者の理由も維持する。副作用、追跡不能例、治験プロトコル不履行などを含む、処置治験の早期終了の全理由を集める、薬物開始および治験完了の割合(および95%CI)を計算する:1)交渉した被験者数を治験参加被験者数で割るおよび2)完了した被験者数を薬物を開始した数で割る。
【0137】
評価過程およびデータ収集の実行可能性:治験の間中、各評価について評価完了の割合を計算する。データベースを試験し、欠測データの頻度を計算する。
【0138】
治験薬に対する被験者の受容および満足:治療満足質問票(TSQM)を、各治験来院時に各被験者により完了させる。平均(および95%CI)、中央およびsdを計算する。
【0139】
欠測データ:欠落を阻止するためのあらゆる努力をする、例えば、来院前の電話での督促をする、参加費用、必要であれば被験者の地域での面談をする、各来院時の順守の強化をする、予約時間の変更が必要である場合に被験者に対応可能とする。しかしながら、ある程度の欠落は不可避である。分析は、各被験者からの全ての入手可能な観察(すなわち種々の評価時間のもの)を含む。欠測データを置き換えるためのインピュテーション法を使用しない。分析は、経時的に処置群による参加意思変数を試験する。ベースライン時、被験者は治験を完了する意思で格付けする。格付けは2方法を使用する。第一に、処置効果の効果量推定値(上記)も、ベースライン参加意思が高い対低い格付けのもの(5+対<5)で別々に計算する。第二に、欠落のリスクを減らす努力において、治験コーディネーターは、低自己評価意思を報告する被験者の要求に従うことを試みる(例えば、次の評価の時間帯変更)。
【0140】
1ヶ月目:治験開始訓練、治験薬調達および供給および登録開始のための社内調整開始。最初の被験者登録。データエントリー開始。
【0141】
2〜8ヶ月目:治験薬に対し20被験者で開始するための約3被験者/月の登録継続。4ヶ月経過時に50%登録(n=10)および8ヶ月経過時に100%登録(n=20)達成。データエントリーを収集48時間以内に完了する。
【0142】
9〜11ヶ月目:全ての採集登録被験者がフォローアップ評価を完了する。登録を9ヶ月目に閉鎖する。全データを入力し、確認する。
【0143】
12ヶ月目:分析および最終報告。
【0144】
結果:SSRIに対する不十分な応答の補助的処置としての化合物Aのこの単施設、前向き、非盲検式治験は、化合物AがPTSDの処置に有効であることを示す。SSRIと化合物Aの組み合わせは、いずれかの薬物単独より良好な相補性作用機序を提供する。
【0145】
実施例2:反復ストレスが原因である社会的隔離の回復に対する化合物Aの効果
Berton et al., Science (2006) 311:864-868(その内容を引用により本明細書に包含させる)に記載された社会的挫折/居住者侵入者パラダイムにおける攻撃的居住者侵入者マウスへの反復暴露(1日1回10日間)後の社会的隔離行動についてマウスを試験する。その後、マウスに慢性に、1日1回30日間、媒体(5%DMSO/5%Tween−20/15%PEG400/75%水、6.7ml/kg体積)または化合物A(1mg/kg、ip)の媒体溶液を投与する。最後の薬物または媒体処置の後、マウスを居住者侵入者マウスが存在するオープン・フィールドに入れ、動物の行動を10分間ビデオテープに記録する。次いで、ビデオテープを、各マウスが10分間のうち特定のオープン・フィールド四分円にいた時間を採点する。居住者侵入者マウスに近い相互作用域または侵入者マウスから遠位である角域において各薬物処置群のマウスが費やした総時間(秒)を平均(±SEM)として表す。
【0146】
結果:社会的機能減少は、現存の抗精神病剤ではほとんど対処できない統合失調症の‘陰性’症状の基本的特徴である。社会的挫折/居住者侵入者モデルは、齧歯類の社会的隔離行動の測定に使用できる。このモデルを使用して、フルオキセチンを含む強力なSERT活性を有する抗鬱剤の慢性投与後に、隔離行動が回復することが示されている(Berton et al., Science (2006) 311:864-868)。抗鬱剤の急性投与またはクロルジアゼポキシドのような抗不安剤での慢性処置はこのパラダイムで同様に有効でない(Berton et. al., Science (2006) 311:864-868)。それゆえに、このモデルは、反復ストレスが原因である社会的隔離行動のような社会的隔離行動に対処するための化合物の同定のために提案されている。このアッセイは、それゆえに、社会的隔離行動の回復の証明に使用する。
【0147】
記載した実験または上記に準じた実験において、マウスを、Berton et al., Science (2006) 311:864-868に記載された社会的挫折/居住者侵入者パラダイムにおける攻撃的居住者侵入者マウスへの暴露に付す。その後、慢性的に、1日1回30日間、媒体または化合物A(1mg/kg、IP)の媒体溶液を投与する。最後の薬物または媒体処置後、マウスを居住者侵入者マウスが存在するオープン・フィールドに入れ、各マウスが10分間の間に侵入者に近い規定したオープン・フィールド四分円または侵入者から孤立して費やす総時間を測定する。予想どおり、侵略者マウスへの暴露は居住者マウスが侵入者の近くで費やす時間を有意に減少させる(媒体と比較してp<.0.05)。しかしながら、化合物Aで処置したマウスは、侵入者パラダイムへの暴露後、侵入者の近くで過ごす時間に有意な減少はなかった(NS、化合物A単独と比較)。化合物A処置単独は、非処置対照マウスと比較して、相互作用域で費やす時間に差は生じさせなかった。データは、化合物Aでの慢性処置が、フルオキセチンのような抗鬱剤での慢性処置で見られるのと同等に社会的挫折行動を回復させることを示す。この実験は、化合物Aが反復ストレスが原因である社会的隔離の回復に有効であることを示す。この実験はまた化合物Aが機能的抗鬱活性を有することも示す。