【実施例】
【0095】
(実施例1)
エストラジオール溶解度
各種実施例では、望ましい目標として、エストラジオールの20mg/g溶解度を達成することにより2mgのエストラジオールを100mg充填質量に十分に可溶化させるのに好適な溶媒を決定した。エストラジオールを各種溶媒と混合し、エストラジオールにより溶液を飽和させ、少なくとも3日間平衡化させ、非溶解粒子を濾去し、透明な上清を、HPLCによりエストラジオールの溶解量について分析することにより、初期溶解度実験を実施した。
【0096】
エストラジオール溶解度実験を実施した。この一覧の少なくとも1つの項目(例えば、プロピレングリコール)は、20%(重量/重量)超の濃度でカプセル化するのに不適であることが知られている。
【0097】
【表8】
【0098】
更なる溶解度試験では、エストラジオールは、少なくとも6mg/gm MIGLYOL TRANSCUTOLが、81:19〜95:5の比でMIGLYOLに可溶性であり、91:11でエタノールに可溶性であり、88:11のMIGLYOL:CAPMUL PG8で可溶性であるものの、96:4のMIGLYOL:TRANSCUTOL、70:30〜80:20のMIGLYOL:Labrasol、又は86:14のMIGLYOL:CAPMUL PG8では可溶性ではない。
【0099】
(実施例2)
200mgの総カプセル充填剤質量において、2mgエストラジオールも可溶化できる媒質に50mgのプロゲステロンを懸濁させることが求められた。この処方を達成するために必要とされるエストラジオールの溶解度は10mg/gである。総充填重量200mgは、5号の卵型ソフトジェルカプセルに適したものであると考えられた。
【0100】
追加の溶解度試験を実施して、より軟質ゼラチンカプセルへの封入に好適な可能性のある溶媒混合物を見出した。エストラジオールを各種溶媒系と混合することにより、前述同様にろ過後に溶解されているエストラジオールの量をHPLCにより分析することにより、CAPMUL PG8及びCAPMUL MCMを用い溶解度試験を実施した。これらの実験の結果を表2に掲載する。これらの結果から、MIGLYOL:CAPMUL PG8を50%と、CAPMUL MCMを単独で、又は20%ポリソルベート80と組み合わせて含有する混合物が、目標とする10mg/gを満たす十分な溶解度を達成し得ることを見ることができる。MIGLYOLと15及び30%濃度で混合したCAPMUL PG8では、十分な溶解度は達成されなかった。
【0101】
【表9】
【0102】
(実施例3)
表3に掲載される通り、溶媒混合物中のエストラジオール(4〜6mg)の安定性を評価するために追加の試験を実施した。4% TRANSCUTOLを添加したMIGLYOL 812は熱/冷サイクルで96時間後に析出したのに対し、エストラジオールをMIGLYOL:CAPMULの30及び50%配合物、あるいはCAPMUL MCM単独に可溶化させたものは、最低でも14日間、同一の条件下で析出しなかった。
【0103】
【表10】
【0104】
MIGLYOL:CAPMUL PG8 50:50、CAPMUL MCM、並びにTRANSCUTOL:MIGLYOL:CAPMUL PG8混合物に可溶化させた12mgエストラジオールは、少なくとも12日間にわたって安定であり、析出しない。
【0105】
【表11】
【0106】
(実施例4)
エストラジオール溶液の経時的な物理安定性を決定するのに加えて、カプセル封入プロセス中に充填材料が安定であるか決定する必要もある。これらの製剤を試験するための方法の1つは、充填剤に水を追加することによるものである。表5に示す通り、6mg/g濃度でのポリエチレングリコール400及びCAPMUL MCM中エストラジオール溶液は、再結晶化を生じずに最低限7%の水を吸収することができるのに対し、MIGLYOL 812:CAPMUL PG8(75:25)は同一濃度にて析出する。
【0107】
ポリエチレングリコール400及びCAPMUL MCM中12mg/g濃度のエストラジオール溶液は、再結晶化を生じずに最低限7%の水を吸収することができる。CAPMUL PG8含有製剤は、水の添加により全て濁りを生じた。しかしながら、エストラジオールの再結晶化は観察されなかったこと、並びにCAPMUL PG8単剤(エストラジオールは全くの不含)に水を添加したときにも水の添加に応じ濁りが生じたことには注目すべきである。
【0108】
【表12】
【0109】
(実施例5)
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0110】
【表13】
【0111】
(実施例6)
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0112】
【表14】
【0113】
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0114】
【表15】
【0115】
上記製剤は次の通りに調製される:エストラジオールをCAPMUL MCMに加え、溶解するまで混合する。
【0116】
(実施例7)
プロゲステロン溶解度
各種実施態様では、エストラジオール及びプロゲステロンはいずれも溶媒に溶解させることができる。各種実施態様では、エストラジオール及びプロゲステロンの両方の溶解度は、治療有効量を合理的な質量で得ることができるようなものであり、一般的には、好ましくはカプセル封入に好適な3〜22号卵型又は楕円形カプセルで1mg〜1200mgであるものと考えられる。例えば、各種実施態様では、50mg〜100mgのプロゲステロンを溶媒用量に溶解させることもでき、すなわち、溶解度はカプセル当たり50mg〜100mgであり得る。MIGLYOLも試行したところ、MIGLYOLはプロゲステロンの良好な基剤として検討され得るものであったものの、単独では望ましいエストラジオール可溶化度(例えば、12mg/gの溶解度は各種実施形態において望ましいものであり得る)は提供されなかった。したがって、MIGLYOLは、プロゲステロンの懸濁液を含む実施形態で使用することができるものの、MIGLYOL単独では、完全可溶化されたプロゲステロン及び/又はエストラジオールを有する実施形態で使用するのに望ましくない。
【0117】
表9に見ることができる通り、プロゲステロンのCAPMUL MCM中溶解度は、73mg/gである。したがって、400mg溶媒に200mgプロゲステロンを懸濁することにより、用量の一部(14%)を予め溶解させ、残部は懸濁液のままとする。一部の態様及び実施形態では、再結晶化の可能性を最小限に抑えるため、製剤へのプロゲステロンの部分的な溶解は最小限に抑えることが望ましい。
【0118】
溶解度73mg/gをもとに、可溶化プロゲステロン50mgのカプセルを作製するのに必要とされるカプセルの寸法は、685mgである。したがって、50mgプロゲステロン及び2mgエストラジオールが可溶化された製剤の作製が実現可能であることが示された。MIGLYOLは最も低い溶解度を有したものの、この溶媒ではエストラジオールを溶解させることは不可能であったため、更なる実験では、2番目に低いもの、又はCAPMUL MCMにより進めることにした。2mgのエストラジオールを685mgのCAPMUL MCMに溶解させることができることも判明している。
【0119】
【表16】
【0120】
更に、CAPMUL MCMをGELUCIRE 44/14と9:1比で組み合わせた溶媒へのプロゲステロンの溶解度は86mg/gに上昇することが判明している。したがって、各種実施態様では、プロゲステロン及び/又はエストラジオールはCAPMUL MCM及びGELUCIRE 44/14系に溶解させることができ、ここで、GELUCIRE 44/14に対するCAPMUL MCMの比率は9:1である。
【0121】
【表17】
【0122】
(実施例7−1)
代表的な実施形態では、完全可溶化プロゲステロン及びエストラジオールを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0123】
【表18】
【0124】
表11に示すものなどのカプセルは、任意の好適な手法で作製することができる。この実施例の目的に関し、混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。同様のこの実施例の目的に関し、加熱及び/又は混合は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。この実施例の目的のための混合及び/又は加熱は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。
【0125】
例えば、CAPMUL MCMは、30℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃、及びより好ましくは〜40℃+/−2℃に加熱することもできる。GELUCIRE 44/14をCAPMUL:MCMに加え、溶解するまで混合することができる。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。GELUCIRE 44/14及びCAPMUL MCMを混合する間、熱は持続的に印加してよい。
【0126】
GELUCIRE 44/14及びCAPMUL MCM混合物から熱を除去してもよい。エストラジオール半水和物を混合物に加えることもできる。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。次に、溶解するまで微紛化プロゲステロンをGELUCIRE 44/14、CAPMUL MCM及びエストラジオール半水和物混合物に加えてもよい。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。
【0127】
(実施例8)
代表的な実施形態では、次のものを含む、懸濁されたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0128】
【表19】
【0129】
上記製剤は次のとおりに調製される:MIGLYOLを45℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。BHTを加え、溶解するまで混合する。プロゲステロンを懸濁し、コロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0130】
代表的な実施形態では、次のものを含む、部分的に可溶化させたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0131】
【表20】
【0132】
プロゲステロン及び部分可溶化プロゲステロンを懸濁するにあたり、1%〜2%(重量/重量)でGELUCIRE 44/14を加えて粘度を増加させてもよい。上記製剤は次のとおりに調製される:CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。プロゲステロンを加え、混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0133】
(実施例9)
代表的な実施形態では、次のものを含む、懸濁されたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0134】
【表21】
【0135】
各種実施態様では、MIGLYOLは、35〜95重量%の範囲の量で、GELUCIRE 44/14は0.5〜30重量%の範囲の量で、BHTは0.01〜0.1重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0136】
(実施例10)
本実施例の目的に関し、Beckman装置を使用することにより粒径分析を実施する。各種実施形態に従い、微紛化プロゲステロンを含むサンプルAPIが、分析用に提供される。
【0137】
各種実施形態に従い、0.01gのサンプルAPIを、Coulter 1B及び10mLの脱イオン水と組み合わせた。15秒間音波処理を行った。ULMを取り付けたBeckman装置で90秒間分析を実施した。Beckman装置は、フラウンホーファー光学モデルを使用するよう構成した。Beckman装置によると、サンプルのX50は4.279μm、X75は7.442μm、並びにX25は1.590μmであった。同様に、Beckman装置によると、平均粒径は4.975μmであり、メジアン粒径は4.279μmであり、モード粒径は6.453μmであり、標準偏差は3.956μmである。得られた粒子分布のグラフを
図4に示す。
【0138】
(実施例11)
200mgの微紛化プロゲステロン及び2mgのエストラジオールを有する製剤サンプルを油に分散させる。MLMを取り付けたBeckman装置で60秒間分析を実施した。Beckman装置は、フラウンホーファー光学モデルを使用するよう構成した。Beckman装置によると、サンプルのX50は11.0μm、X75は17.3μm、並びにX25は5.3μmであった。同様に、Beckman装置によると、平均粒径は11.8μmであり、メジアン粒径は11.04μmであり、モード粒径は.13.6μmであり、標準偏差は7.8μmである。
【0139】
(実施例12)
最終溶液中のプロゲステロンの溶解度を上昇させる目的で、GELUCIRE 44/14を10重量/重量%加えた。
【0140】
【表22】
【0141】
最終的な製剤例は表15に提供する。製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを40℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を65℃に加熱して加え、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、溶解するまで混合する。
【0142】
(実施例13)
代表的な実施形態では、次のものを含む、完全可溶化エストラジオール及び部分可溶化プロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0143】
【表23】
【0144】
製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、分散させる。次に混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0145】
(実施例14)
代表的な実施形態では、次のものを含む、完全可溶化エストラジオール及び部分可溶化プロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0146】
【表24】
【0147】
製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、分散させる。次に混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。別の方法としては、GELUCIRE 44/14を65Cに加熱し、CAPMUL MCMを40C+/−5Cに加熱して、熱が除去される前に油と界面活性剤の混合物を得て、混合物を冷却させる間エストラジオールを添加し、混合物が40C未満に低下したときにプロゲステロンを加え、次に混合物をコロイドミルに、例えば、3回通過させる。
【0148】
(実施例15)
試験352−摂食条件下でのプロゲステロン及びエストラジオール併用試験
次の試験プロトコルを使用し、摂食条件下にある、24名の健常な成人の閉経期後女性被験者に、実施例14に記載のプロセスにより調製された通りの、プロゲステロン(200mg)とエストラジオール(2.0mg)を含む本開示の製剤を組み合わせて投与し、200mg PROMETRIUM(Catalent Pharmaceuticals(セントピーターズバーグ、フロリダ)(及び2.0mgのESTRACE(エストラジオール膣用クリーム、USP、0.01%)(Bristol−Myers Squibb社(プリンストン、ニュージーランド))と比較して、バイオアベイラビリティ及びバイオエクイバレンスパラメーターを確認した。
【0149】
これらのPK試験に使用した本発明の製剤処方は、実質的に次式を有した:
【0150】
【表25】
【0151】
試験デザイン:非盲検、均等割付、無作為化、2治療法、2期、2群、単回投与、二元配置クロスオーバー試験。
【0152】
各期において、被験者は投与の少なくとも11.00時間前から、投与後少なくとも48.00時間までの間、臨床施設に収容し、一連の投与間のウオッシュ・アウト期間は少なくとも14日間とした。
【0153】
高脂肪、高カロリーの朝食を提供する前に、被験者には少なくとも10.00時間絶食させ、その後で投与を行い、次に投与後更に04.00時間絶食させた。
【0154】
投与後、04.00、09.00、13.00、25.00、29.00、34.00、及び38.00時間のそれぞれの時点で標準食を与えた。
【0155】
水は薬剤投与の少なくとも01時間前から、投与の01時間後まで制限した(投与時の水の摂取は除く)。その他の時点では、飲料水は自由に摂取させた。
【0156】
被験者には、投与の少なくとも24.00時間前から試験期間中はカフェイン及び/又はキサンチンを含有する製品(すなわち、コーヒー、紅茶、チョコレート、及びカフェインを含有する炭酸類、コーラ類)の摂取を自制し、投与の少なくとも48.00時間前から試験期間中はグレープフルーツ及び/又はそのジュース、並びにケシを含有する食品の摂取を自制するよう指示した。
【0157】
被験者には投与後04.00時間は上体を起こして着席してもらい、この期間中は必要のある場合にだけ異動を許可した。その後、試験の残りの時間、被験者には自由な異動を許可した。被験者には、所定の期間中は横になることを許可しなかった(有害事象を受けて医師より指示された場合を除く)。
【0158】
被験者には試験登録前の14日間及び試験中の処方薬の服用を禁じた。被験者には、試験登録前の7日間及び試験中の、市販薬、植物薬などの服用を禁じた。
【0159】
一晩(少なくとも10.00時間)絶食させた後、治験薬の投与30分前に高脂肪高カロリーの朝食を提供した。すべての被験者には、提供された朝食を提供から30分以内に完食するよう義務付け、試験製剤(T)(プロゲステロン200mg及びエストラジオール2mgの錠剤)又は参照製剤(R)(PROMETRIUM(プロゲステロン)ソフトジェルカプセル200mg及びESTRACE(登録商標)(エストラジオール)の錠剤2mg(無作為化スケジュールによる))のいずれかの単回用量を、各期において、室温にて、摂食条件下で、座位の状態で240mLの水により投与した。口腔をよく確認して、投与の順守を評価した。
【0160】
試験の終了時に、投与を受けた全ての被験者を臨床検査により又は規定通りに評価した。
【0161】
各期において、23回血液サンプルを採取した。−01.00、−00.50、00.00時間での投与前(10mL)血液サンプル、及び00.25、00.50、00.67、00.83、01.00、01.33、01.67、02.00、02.50、03.00、04.00、05.00、06.00、07.00、08.00、10.00、12.00、18.00、24.00、及び48.00時間での投与後の血液サンプル(各08mL)を、被験者の前腕のいずれかの静脈に配置した留置カニューレにより、ラベルを付したK2EDTA−バキュテナーに採取した。投与後にサンプルを採取するカニューレを維持するため、10IU/mLのヘパリンの標準食塩水0.5mLを注射することにより、各静脈内留置カニューレを可能な限りその場に保持した。このような場合、ヘパリンを含有している血液の最初の0.5mLを廃棄した後、血液サンプルを回収した。サンプル抜き出しの24時間後、又はそれより早期に、又は血栓が生じた場合に各カニューレを取り外した。
【0162】
試験の終了時に、サンプルの完全性を維持するため、十分にドライアイスを入れた箱にサンプルを入れて、生物学的分析設備に移動させた。これらのサンプルを、分析までの間、生物学的分析設備で−70℃±20℃で保管した。
【0163】
血漿サンプル中のプロゲステロン(補正及び未補正)及びエストラジオール(非抱合型)及びエストロン(合計)を、有効なLC−MS/MS法を使用し分析する。
【0164】
試験製剤及び参照製剤に関し24名の被験者から得たデータを元に、薬物動態パラメーターCmax、AUC(0−t)及びAUC(0−∞)を計算した。概して、プロゲステロン及びエストラジオールのバイオアベイラビリティは類似しているものの、バイオエクイバレンスは確認されなかった。
【0165】
プロゲステロンに関し、下表18に、補正された薬物動態プロファイルの要約を示す。
【0166】
【表26】
*最小二乗平均の推定値を使用して幾何平均を算出した
【0167】
試験351−絶食条件下でのプロゲステロン及びエストラジオール併用試験
上記プロトコル並びに試験製剤及び参照製剤を使用する絶食試験も実施した。しかしながら、試験製剤及び参照製剤の投与前の高脂肪食を除き、各患者には製剤投与前少なくとも12時間にわたって絶食させた。
【0168】
試験製剤及び参照製剤に関し23名の絶食条件下の被験者から得たデータを元に、薬物動態パラメーターCmax、AUC0−t及びAUC0−∞を計算した。概して、プロゲステロン及びエストラジオールのバイオアベイラビリティは類似しているものの、バイオエクイバレンスは確認されなかった。
【0169】
プロゲステロンに関し、下表19に、補正された薬物動態プロファイルの要約を示す。
【0170】
【表27】
*最小二乗平均の推定値を使用して幾何平均を算出した
【0171】
データは、PROMETRIUMに対し良好な(すなわち低い)患者間及び患者内変動を示す。
【0172】
(実施例16)
各種実施形態に従う製造方法を
図1〜3に示す。
図1の参照により、材料を充填する方法100が示される。工程102は、基材の油性ビヒクルを40℃±5℃に加熱することから構成される。加熱は任意の好適な手段により実施することができる。加熱は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。油性ビヒクルは、本明細書に記載の任意の油性ビヒクル(例えば、CAPMUL MCM)であってよい。
【0173】
工程104は、GELUCIRE 44/14を油性ビヒクルと混合することから構成される。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程102は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。混合は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。
【0174】
工程106は、エストラジオールを、油性ビヒクル及びGELUCIRE 44/14の混合物に混ぜ合わせることから構成される。混合は、スチール槽又はタンクで行うことができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程106は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。
【0175】
工程108は、室温に冷却することから構成される。冷却は何ら介入をせずとも生じ得るものであり、あるいは冷却は冷却システムを使用することにより補助することもできる。
【0176】
工程110は、微紛化プロゲステロンを、油性ビヒクル、エストラジオール及びGELUCIRE 44/14の混合物に混ぜ合わせることから構成される。混合は、スチール槽又はタンクで行うことができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程110は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程112は脱ガスすることから構成される。工程112から得られる混合物は、ソフトジェルカプセルを製造するのに好適な充填材料を構成し得る。
【0177】
図2を参照すると、ソフトジェルカプセル(すなわちゲル質)の製造200が示される。工程202は、グリセリンと水を混合することから構成される。工程202に使用する水は、逆浸透、オゾン処理、又は濾過(例えば、炭素カラムによる濾過)などの任意の好適な手法により精製することができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程202は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。加熱は、温度が80℃±5℃に達するまでの間実施することができる。
【0178】
工程204は、追加のゼラチンをグリセリン水混合物に加えることから構成される。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程204は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程204では真空引きを行い脱気してもよい。
【0179】
工程206は、染料などの着色剤を加えることから構成される。着色剤には、商標OPATINTで市販の製品、又はその他の好適な剤を含み得る。工程206は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程208は脱ガスすることから構成される。工程208により得られる混合物は、ソフトジェルカプセルの製造においてゲルカプセルとして使用するのに好適なゲルカプセル材料を含み得る。
【0180】
図3を参照することにより、ソフトジェルカプセルの組み立てプロセス300が示される。工程302は、充填材料を加熱することから構成される。任意の好適な温度に充填材料を加熱することもできる。各種実施態様では、充填材料は30℃+/−3℃に加熱される。充填材料は充填ホッパー内で加熱してもよい。充填ホッパーは、多量の充填材料を保持するよう、及び/又は量を調節して充填材料を分配するよう構成された装置を含み得る。
【0181】
工程304は、ゲル質を充填することから構成される。
図2の工程208で製造されたゲルカプセル材料からゲル質を分取する。ゲルカプセル材料により規定される用量以内の充填材料を注入、配置、あるいは並べることにより充填を実施することができる。充填はカプセル化装置で実施することもできる。散布ボックスは55℃+/−10℃の温度であってよい。ウェッジ温度は38℃+/−3℃であってよい。ドラム冷却温度は4℃+/−2℃であってよい。カプセル化装置は、MIGLYOL 812、又はその他の好適な潤滑剤を使用して潤滑化することもできる。したがって、工程304は、1種以上のソフトジェルカプセルを製造する。充填は、散布ボックスの突起部を利用し、厚さ0.85mm±0.05mmのリボンを製造することを含み得る。充填材料をゲルに充填して、目標重量±5%(すなわち、650±33mg及び325±16.3mg)を有する充填重量とすることができる。
【0182】
工程306はソフトジェルカプセルを乾燥させることから構成される。乾燥させることは、混転乾燥機又はトレー乾燥機で実施することも、あるいはこれらを組み合わせて実施することもできる。例えば、乾燥させることは、10分間〜120分間混転乾燥バスケットで実施することもできる。乾燥させることは、乾燥室内で24時間〜72時間連続させてよい。工程308は、検査及び/又は艶出しすることから構成され得る。艶出しはイソプロピルアルコールを用い実施することもできる。工程310は、包装することから構成され得る。包装は任意の好適な手段により実施することができる。包装は、ソフトジェルカプセルを、ブリスター包装、ボトル、箱、パウチ、又はその他の基準を満たす包装に包装することから構成され得る。
【0183】
(実施例17)
I.大豆油、ピーナッツ油、及び紅花油中エストラジオール溶解度
以下に記載の混合物を調製し、混合物を超音波処理し、次に透明な溶液が得られているか確認することにより、視覚的にデータを得た。透明な溶液が得られた場合、これは試験濃度での溶解度の指標とした。
【0184】
手順及び結果
工程1.
30mgのエストラジオールを溶媒に加え、適量を10gとし、それぞれの油中0.3%エストラジオール懸濁液を調製した。サンプルをボルテックスにより2時間混合し、50℃で30分間加熱し、次に1時間以上混合した。全てのサンプルは懸濁液形態のままであった。
【0185】
工程2.
各サンプルを0.24%に希釈(2.5g以上の油を加えることにより)し、2時間混合し、50℃にて30分間加熱し、再度1時間混合した。全てのサンプルは濁ったままであった。サンプルを一晩室温に維持し、サンプルが沈殿していないか、又は溶解されていないAPIが析出していないか確認した。室温で20時間後、全てのサンプルでAPIが未溶解のままだったことが観察された。
【0186】
工程3.
各サンプルを0.2%に希釈(2.5g以上の油を加えることにより)し、2時間混合し、50℃にて30分間加熱し、再度1時間混合した。全てのサンプルは僅かに濁ったままであったことから、エストラジオールは完全には溶解しなかったことが示された。
【0187】
【表28】
【0188】
全3種の油中エストラジオール溶解度は2mg/g(0.2重量/重量%)未満であった。この溶解度は、その他の油で、例えば、上記のモノ/ジグリセリド、プロピレングリコールエステル、及びポリエチレングリコールエステルなどの中鎖脂肪酸エステルで達成され得る溶解度よりも大幅に低いことを本発明者らは発見した。
【0189】
要約すると、ベニバナ油にエストラジオールを溶解させるのに熱を使用しない場合、溶液にはならない。エストラジオールが50C下で溶解しなかったことを考慮すると、ベニバナ油などの油は、本明細書で上記される中鎖脂肪酸エステルを使用する本方法で使用するのに有用ではない。
【0190】
II.ベニバナ油中溶解度
別個の実験では、50gのベニバナ油を85〜88℃に加熱し、60mgエストラジオールを加え、完全に溶解するまで混合し(1時間)、室温に冷却した。達成された溶解度は1.0mg/mLであった。エストラジオール溶液サンプルにプロゲステロンを加えてもエストラジオールの溶解度に影響はなかった。
【0191】
不飽和脂肪酸は酸化すなわち酸敗する傾向がある。過酸化物は酸化中に形成される中間体であり、過酸化物価は酸化度の指標である。米国薬局方規格では、ベニバナ油の過酸化物価は最大10である。油を例えば85℃に加熱すると、過酸化物価が上昇することが示されている。対照的に、C8〜C10飽和脂肪酸エステルを含むCAPMUL MCM及びMyglyol 812などの中鎖脂肪酸グリコールは、例えば、1以下の十分に低い過酸化物価を有する。
【0192】
(実施例18)
溶解
本製剤を使用して、PROMETRIUMの溶解度に対してプロゲステロンの溶解度を比較し、ESTRACEの溶解度に対してエストラジオールの溶解度を比較して、溶解度試験を実施した。第1の試験では、200mgのプロゲステロン及び2mgのエストラジオールを含む、本製剤のカプセルを使用した。第2の試験では、50mgのプロゲステロン及び2mgのエストラジオールを含む、本製剤のカプセルを使用した。2つの製剤は、次のように構成した:
USP溶解装置(レシプロケーティングシリンダー)(「USP装置3」)を使用して溶解度試験を実施した。装置は、1分辺り30往復するよう設定した。37℃にて、3%ラウリル硫酸ナトリウムを添加した250mLの0.1N HCl溶液を使用した。
【0193】
両試験において、PROMETRIUMよりも本発明のカプセルの方が、プロゲステロンが迅速に溶解し、標準偏差は小さかった。エストラジオールの溶解は同程度であったものの、ESTRACEよりも本発明のカプセルからの方がやや緩徐であった。例示目的で、本発明の200mgプロゲステロンカプセルからのプロゲステロンの溶解と、PROMETRIUMからのプロゲステロンの溶解とを示すグラフを
図5として添付する。
【0194】
本発明の両方のカプセルは白色HDPEボトル中で安定であった。200mgプロゲステロン製剤については6ヶ月以上にわたって(6ヶ月超のデータは未入手)、50mgプロゲステロン製剤については3ヶ月以上にわたって(3ヶ月超のデータは未入手)陽性の安定性データが得られた。
【0195】
当業者には、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本開示に各種修正及び変更をなすことができることは明白である。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に該当する限りは本開示の修正及び変更を含めることが意図される。
【0196】
同様にして、装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに各種代替例を包括させて数多くの特徴及び利点が前述の説明において示されている。本開示は、例示のみを意図するものであり、網羅的であるものとして意図されるものではない。当業者には、添付の特許請求の範囲の説明において広範に一般的な意味合いを有する用語により完全に指し示される範囲内で、各種修正、特に、本開示の原理の範囲内での組み合わせを含む、部分の構造、材料、構成要素、成分、形状、寸法、及び構成における修正をなすことができることは明白である。これらの各種修正は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、本開示に包含されるものと意図される。