特許第6334519号(P6334519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セラピューティックスエムディー インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許6334519-天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療 図000030
  • 特許6334519-天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療 図000031
  • 特許6334519-天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療 図000032
  • 特許6334519-天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療 図000033
  • 特許6334519-天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療 図000034
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334519
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/565 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 31/569 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K31/565
   A61K31/569
   A61K47/14
   A61K9/48
   A61P15/00
【請求項の数】12
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-518529(P2015-518529)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-520237(P2015-520237A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】US2013046445
(87)【国際公開番号】WO2013192251
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】61/661,302
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/662,265
(32)【優先日】2012年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/684,002
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/843,428
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514127596
【氏名又は名称】セラピューティックスエムディー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】THERAPEUTICSMD, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エイ バーニック
(72)【発明者】
【氏名】ジャニス ルイーズ カカセ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エイチ アール ペルシカナー
(72)【発明者】
【氏名】ネダ イラニ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア エム アマディオ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0312928(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0077297(US,A1)
【文献】 国際公開第2003/077923(WO,A1)
【文献】 米国特許第06294192(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0136105(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0318558(US,A1)
【文献】 特表2000−510458(JP,A)
【文献】 米国特許第04900734(US,A)
【文献】 特表平10−503750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶化剤と、エストラジオール又はエストラジオール半水和物と、プロゲステロンとを含む医薬組成物であって、
前記可溶化剤が油を含み、前記油が中鎖脂肪酸エステルを含み、前記中鎖脂肪酸が主にC6−C12脂肪酸であり、
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物の少なくとも約90%が、前記可溶化剤中に可溶化されており、
前記プロゲステロンが、微粉化され、及び/又は部分的若しくは完全に可溶化されている、医薬組成物であって、
エストラジオールを0.25mg又はエストラジオール半水和物を0.26mg、
プロゲステロンを50mg、
カプリル酸及びカプリン酸の、モノグリセリド及びジグリセリドを含む可溶化剤を98.24mg、及び
ラウロイルマクロゴール−32グリセリドEP、ラウロイルポリオキシル−32グリセリドNF、又はラウロイルポリオキシルグリセリドの少なくとも1種を1.50mg、を含む医薬組成物。
【請求項2】
可溶化剤と、エストラジオール又はエストラジオール半水和物と、プロゲステロンとを含む医薬組成物であって、
前記可溶化剤が油を含み、前記油が中鎖脂肪酸エステルを含み、前記中鎖脂肪酸が主にC6−C12脂肪酸であり、
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物の少なくとも約90%が、前記可溶化剤中に可溶化されており、
前記プロゲステロンが、微粉化され、及び/又は部分的若しくは完全に可溶化されている、医薬組成物であって、
エストラジオールを0.50mg又はエストラジオール半水和物を0.52mg、
プロゲステロンを50mg、
カプリル酸及びカプリン酸の、モノグリセリド及びジグリセリドを含む可溶化剤を97.98mg、及び
ラウロイルポリオキシル−32グリセリドを1.50mg、を含む医薬組成物。
【請求項3】
可溶化剤と、エストラジオール又はエストラジオール半水和物と、プロゲステロンとを含む医薬組成物であって、
前記可溶化剤が油を含み、前記油が中鎖脂肪酸エステルを含み、前記中鎖脂肪酸が主にC6−C12脂肪酸であり、
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物の少なくとも約90%が、前記可溶化剤中に可溶化されており、
前記プロゲステロンが、微粉化され、及び/又は部分的若しくは完全に可溶化されている、医薬組成物であって、
エストラジオールを0.50mg又はエストラジオール半水和物を0.52mg、
プロゲステロンを100mg、
カプリル酸及びカプリン酸の、モノグリセリド及びジグリセリドを196.48mg、及び
ラウロイルポリオキシル−32グリセリドを3.0mg、を含む医薬組成物。
【請求項4】
可溶化剤と、エストラジオール又はエストラジオール半水和物と、プロゲステロンとを含む医薬組成物であって、
前記可溶化剤が油を含み、前記油が中鎖脂肪酸エステルを含み、前記中鎖脂肪酸が主にC6−C12脂肪酸であり、
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物の少なくとも約90%が、前記可溶化剤中に可溶化されており、
前記プロゲステロンが、微粉化され、及び/又は部分的若しくは完全に可溶化されている、医薬組成物であって、
エストラジオールを1.00mg又はエストラジオール半水和物を1.03mg、
プロゲステロンを100mg、
カプリル酸及びカプリン酸の、モノグリセリド及びジグリセリドを195.97mg、及び
ラウロイルポリオキシル−32グリセリドを3.0mg、を含む医薬組成物。
【請求項5】
可溶化剤と、エストラジオール又はエストラジオール半水和物と、プロゲステロンとを含む医薬組成物であって、
前記可溶化剤が油を含み、前記油が中鎖脂肪酸エステルを含み、前記中鎖脂肪酸が主にC6−C12脂肪酸であり、
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物の少なくとも約90%が、前記可溶化剤中に可溶化されており、
前記プロゲステロンが、微粉化され、及び/又は部分的若しくは完全に可溶化されている、医薬組成物であって、
エストラジオールを2.00mg又はエストラジオール半水和物を2.06mg、
プロゲステロンを200mg、
カプリル酸及びカプリン酸の、モノグリセリド及びジグリセリドを391.94mg、及び
ラウロイルポリオキシル−32グリセリドを6.0mg、を含む医薬組成物。
【請求項6】
前記プロゲステロンの一部が、微粉化及び懸濁化されており、且つ、前記プロゲステロンの一部が可溶化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記エストラジオール又はエストラジオール半水和物とプロゲステロンとの双方が、前記可溶化剤中に存在している、請求項1〜6の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
頚管長の短縮、閉経に関連する症状、低エストロゲン症又は骨粗鬆症を有する患者の、子宮内膜増殖症、続発性無月経、早産の治療用の治療薬の製造のための、請求項1〜7の何れか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
女性における閉経に関連する症状の治療に用いるための、請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
女性における低エストロゲン症の治療に用いるための、請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
女性における、閉経の血管運動症状又は低エストロゲン症の治療に用いるための、請求項9又は10に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
持続的−併用治療計画又は逐次的併用治療計画として投与される、請求項8〜11の何れか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、次の米国特許出願に基づく優先権を主張する:米国特許出願第13/684,002号、発明の名称「天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療」(2012年11月21日出願)、米国特許仮出願第61/661,302号、発明の名称「エストラジオール製剤」(2012年6月18日出願)、米国仮出願特許第61/662,265号、発明の名称「プロゲステロン製剤」(2012年6月20日出願)、米国特許出願第13/843,428号、発明の名称「天然の併用ホルモン補充療法剤及び治療」(2013年3月15日出願)。上記の全ての出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、それぞれエストラジオール及びプロゲステロンが単独で提供されている製剤による天然のエストロゲン及びプロゲステロン補充療法、並びにそれぞれ本願において以降に定義される通りのエストロゲン及びプロゲステロン欠乏状態の治療に関する閉経期前、閉経周辺期、閉経期及び閉経期後の女性の治療の際の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連する技術の考察)
ホルモン補充療法(HRT)は、ホルモンを十分に産生しない女性においてホルモン濃度を増加させるよう設計されている一群の薬剤のうちの1種以上の使用を包含する薬物療法である。HRTは、患者が閉経期前、閉経周辺期、閉経期又は閉経期後のいずれであろうと関係なく、循環エストロゲン及びプロゲステロンホルモンの減少により生じる症状を軽減及び予防する。しかしながら、閉経期の各段階の進行中には特異的な症状が存在し得る。
【0004】
HRTは、現在では各種形態で利用可能である。1つの治療には、低投与量での1種以上のエストロゲンの投与を包含する。別のものは、プロゲステロン又はプロゲスチンと呼ばれる化学的類似体を包含する。プロゲステロンの投与は、その他の病状の治療中に作用し、エストロゲン投与によるある種の望ましくない副作用(例えば、子宮内膜増殖症(肥厚)など)を軽減し、子宮内膜がんの発生を減少させる。
【0005】
服用のタイミングは、多くの場合周期的に変化し、エステロゲンは毎日投与され、プロゲステロンは毎月2週間にわたって投与される。方法は、多くの場合、「逐次−周期的(Cyclic-Sequential)」又は「逐次的併用HRT(Sequentially-Combined HRT)」と呼ばれる。この方法は、天然の月経周期を模倣し、典型的には、プロゲステロンが停止した後の周期と同様の月経期間を生じさせることを意図するものである。この治療計画は、最も典型的には閉経周辺期又は新たに閉経期に入った女性において、別の持続的な方法として使用されるが、多くの場合、結果として不正出血が生じることになる。代替法の、エストロゲン及びプロゲステロンの両方を毎日一定用量投与する方法は、「持続的併用HRT」と呼ばれる。この方法は、通常、結果として無月経をもたらし、最も多くの場合、ある程度閉経期が経過した女性で使用される。
【0006】
例えば、錠剤、カプセル剤、及び貼付剤などの多様な投与形態を介し、各種形態のエストロゲン及び各種形態のプロゲステロンがHRTに使用される。
【0007】
人体により天然に産生されるホルモンと化学構造が同一である、「バイオアイデンティカル」なホルモンを使用することができ、多くの場合、天然ホルモン補充療法、又はNHRTと呼ばれる。
【0008】
これらの天然の又はバイオアイデンティカルなホルモンは、多様な原材料から、人体で天然に生じる(内因性)エストラジオール、エストロン、又はエストリオール(3種類の主要なエステロゲン)並びにプロゲステロンの化学構造及び作用と一致するよう処方される。
【0009】
現在では、FDA認可されたブランド薬及びジェネリック薬として、バイオアイデンティカルなエストラジオールが利用可能である。HRTにFDA認可されているバイオアイデンティカルなプロゲステロンは、商業的にはPROMETRIUM(プロゲステロン、USP)(Abbott Laboratories、Abbott Park、Illinois)として識別され、発明者によりジェネリックの権限が与えられており、Teva(イスラエル)及びSofgen Americas社(ニューヨーク)によりジェネリック製品が提供されるブランド化されている単独投与型の薬剤(stand-alone drug)として入手可能である。PROMETRIUMは、米国において、1998年5月14日にNDA # N019781で市販が承認されている。この製品に承認された既報の情報によると(Rev June 2009)(「PROMETRIUM処方情報」)、PROMETRIUMは、ヒト卵巣由来のプロゲステロンと化学的に同一である合成プロゲステロンを含む。カプセル剤は、100mg又は200mgの微紛化プロゲステロンを含む。非活性成分には、ピーナッツオイル、ゼラチン、グリセリン、レシチン、二酸化チタン、並びに黄色及び赤色染料が含まれる。
【0010】
PREMPRO(抱合型エステロゲン/メドロキシプロゲステロン酢酸錠剤)及びPREMPHASE(抱合型エステロゲンに加えメドロキシプロゲステロン酢酸錠剤)(Wyeth Laboratories、Pfizer社(ニューヨーク)の事業部)などのその他の製品は、PREMARIN(雌馬尿由来エストロゲン)及び合成メドロキシプロゲステロン酢酸を含有する持続的−併用製品及び周期的−逐次製品の両方を提供する。その他の製品も利用可能であるが、しかしながら、現在、市場にはバイオアイデンティカルなエストラジオール及びバイオアイデンティカルなプロゲステロンを併用するFDA未承認の製品が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の多様な実施形態によると、可溶化エストラジオール、並びに微紛化及び/又は部分若しくは完全可溶化プロゲステロンの製剤処方による周期的−逐次送達及び持続的−併用送達を含む、天然ホルモン補充療法が提供される。毎日共に送達されるエストラジオール並びに微紛化及び/又は部分若しくは完全可溶化プロゲステロンは、単一の1回用量として、又は別個の単位用量としてのいずれかで、典型的には軟カプセル剤で組み合わせることができる。錠剤又はカプセル剤の28日間又は月間治療計画は、服用遵守を向上させるために同一化させた送達日数を有する、単一のブリスター包装に包装することができる。それぞれ、本発明に従う、天然ホルモンの各種製剤例、並びにホルモン補充療法のためのこれらの製剤の使用を以降に記載する。
【0012】
したがって、具体例では、本発明は、エストラジオール及びプロゲステロンを、これらを必要としている哺乳動物に投与するための、(i)可溶化エストラジオールと、(ii)完全可溶化プロゲステロン又は部分可溶化プロゲステロンとを油中に含む、製剤処方を含み、油は、中鎖脂肪酸グリコールエステル又はこれらの混合物を含む。特定のこのような実施形態では、油は、グリセロール、ポリエチレングリコール、若しくはプロピレングリコール、又はこれらの混合物の中鎖脂肪酸エステルを含み、中鎖脂肪酸は、主に、C6〜C12脂肪酸、C6〜C10脂肪酸、C8〜C12脂肪酸、又はC8〜C10脂肪酸であり、飽和脂肪酸を含む。特定のこのような実施形態は、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を更に含む。特定の実施形態では、プロゲステロンは、微紛化及び可溶化形態であり、すなわち、その一部は微紛化及び懸濁化されており、その一部は可溶化されており、場合によっては、80%程度が可溶化されている。ホルモン補充療法を作用させるための方法を含む、使用方法も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示を例示し、説明とともに、本開示の原理の更なる解説を提供し、当業者に本開示の実施形態を製造及び使用させ得る。
図1】本発明の各種実施形態に従う充填材料の代表的な製造プロセスを説明する。
図2】本発明の各種実施形態に従うソフトジェル材料の代表的な製造プロセスを説明する。
図3】本発明の各種実施形態に従う代表的な製造プロセスを説明する。
図4】実施例10で得られた粒子分布のグラフを説明する。
図5】本発明の各種実施形態に従う製剤の溶解試験を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
多くの有効成分は、治療を必要としている患者に完全には吸収されないことから、所与の病状の治療には、しばしば薬剤を高濃度推奨量で経口投与する必要がある。換言すれば、例えば、プロゲステロンなどの薬剤の、良好に吸収される剤形、あるいは患者間でプロゲステロン単独又はエストラジオールとの併用の吸収度がより一貫している剤形は、現在の推奨よりも低い投与強度で投与することができ、結果的にその他の潜在的な作用の中から副作用を減少させ、又は最小化させ得る可能性がある。
【0015】
定義
本明細書で使用するとき、用語「微紛化プロゲステロン」は、15μm未満のX50粒度値を有し、及び/又は25μm未満のX90粒度値を有する微紛化プロゲステロンを含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「X50」は、サンプル中の粒子のうち半分の直径が所与の数値よりも小さいことを意味する。例えば、微紛化プロゲステロンの所与のサンプルに関し、5μmのX50を有する微紛化プロゲステロンとは、半分の粒子の直径が5μm未満であることを意味する。同様にして、用語「X90」は、サンプル中の粒子のうちの90%のものの直径が所定の数値よりも小さいことを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「中鎖」は、C4〜C18及びC6〜C12の、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸、並びにこのような物質のモノ、ジ、及びトリグリセリドを含む、任意の中鎖炭素含有物質を意味する。更なる例として、C6〜C14脂肪酸、C6〜C12脂肪酸、及びC8〜C10脂肪酸は全て中鎖脂肪酸であり、これらは、中鎖脂肪酸、例えば、グリセロール又はその他のグリコールの中鎖脂肪酸エステルの使用に関し本明細書で求める例において使用することができる。
【0018】
用語「一様分布」は、同様の用量強度及び同一のUSP溶解装置にてPROMETRIUMと比較される、溶解試験における、均一分散、溶解度、又はプロゲステロン凝集の非存在のうちの少なくとも1つを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「バイオアベイラビリティ」は、血液(血清又は血漿)中有効成分(例えば、プロゲステロン又はエストラジオール)の濃度を意味する。相対的バイオアベイラビリティは、血液(血清又は血漿)中濃度対時間として測定され得る。その他の薬物動態(PK)指示薬を使用して、AUC、Cmax、及び所望によりTmaxなどの適切な測定により決定されるバイオアベイラビリティを測定及び評価することもできる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「AUC」は、血中プロゲステロン又はエストラジオール濃度の経時変化を表す曲線下面積を指す(17β−エストラジオール、エストラジオール、又はE2などの文献中においても言及される)。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「Cmax」は、プロゲステロン又はエストラジオールの血中濃度の経時変化を表す曲線で示される血中濃度の最大値を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「Tmax」は、プロゲステロン又はエストラジオールの血中濃度が最高値に達するのにかかった時間を指す。
【0023】
総じてAUC、Cmax、及び所望によりTmaxは、動物患者、特にヒトを含む哺乳動物において、プロゲステロンなどの特定の製剤の薬物動態学的応答などを特性評価し得る、基本的な薬物動態パラメーターである。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「可溶化剤」は、可溶化のために、あるいは例えば、限定するものではないが、溶媒、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、油、及び基剤などの適切な製薬上許容され得る賦形剤を含むエストラジオール及び/又はプロゲステロンなどの医薬品有効成分(「API」)の溶解の増強のために使用することのできる、任意の剤又は剤の混合物を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「賦形剤」は、医薬品の処方に使用される基剤、溶媒、油、潤滑剤及びその他のものなどの非医薬品有効成分を指す。本明細書で使用するとき、医薬品有効成分は、「API」とも呼ばれる。それらは、一般に動物、特にヒトを含む哺乳動物への、米国食品医薬品局により交付されているものを含む、確立されている政府標準法に従う投与に安全である。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「油」は、任意の好適なプロゲステロン、出発物質、又は本明細書に記載される通りの微紛化プロゲステロンを含む前駆体を懸濁及び/又は可溶化する、ピーナッツオイル以外の有機油などの任意の製薬上許容され得る剤であり得る。より詳細には、油には、例えば、限定するものではないが、中鎖脂肪酸、一般的には、モノ、ジ、及びトリグリセリド、又はこれらの誘導体の少なくとも1つ、又はこれらの組み合わせからなる中鎖脂肪酸として既知の群を含み得る。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「完全に可溶化されたプロゲステロン」は、溶液に100%、例えば、溶液に少なくとも98%であるプロゲステロンを意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「部分可溶化プロゲステロン」は、溶液において100%未満、例えば、98%未満が任意の可溶化状態であるプロゲステロン、並びに懸濁液において2%以上が微紛化プロゲステロンである、プロゲステロンを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、特に指定のない限り、エストラジオールは無水及び半水和物形態のエストラジオールを含む。
【0030】
説明
本願では、次の製剤:プロゲステロン不含有の可溶化エストラジオール、エストラジオール不含有の微紛化プロゲステロン、部分可溶化プロゲステロンを不含有の微紛化プロゲステロン、微紛化プロゲステロン含有可溶化エストラジオール、微紛化プロゲステロンを部分可溶化プロゲステロンと組み合わせて含む可溶化エストラジオール、並びに可溶化プロゲステロンを有する可溶化エストラジオールが提供される。本明細書に適用される典型的な製剤概念は、その他の天然又は合成形態のエストラジオール及びプロゲステロンに関し使用することもできる。微粒子化の仕様、態様、及び実施形態は、本明細書において更に定義される。
【0031】
一般的に、本明細書に記載の製剤処方は、充填カプセルとして、典型的には、例えば、限定するものではないが、軟質ゼラチンカプセルなどの、当該技術分野において周知の1種以上の材料の軟カプセルとして製造及び投与される。本明細書に記載される通りの微紛化プロゲステロンは、投与用の錠剤として、あるいは標準技術を使用する周知の経口製剤として製造することもできる。
【0032】
本開示の別の態様では、微紛化プロゲステロン、部分可溶化プロゲステロン及び完全可溶化プロゲステロンを有する微紛化プロゲステロンの製剤処方が包含され、前記製剤は、治療される患者において、等しい用量強度で投与されたときにPROMETRIUMによりもたらされるバイオアベイラビリティと比較して、向上されたプロゲステロンバイオアベイラビリティをもたらすことができる。
【0033】
各種態様及び実施形態に従うと、溶解度(すなわち、溶液中で溶質となる割合)は著しい。本明細書で記載の意図される用量に由来し、溶液重量全体に対するエストラジオールの重量比も顕著である。特に、カプセルにより容易に投与され得る溶液量中に対象とするエストラジオール用量を得ることが望ましい。例えば、0.125mg〜2mgのカプセル中エストラジオール用量を有することが望ましい場合、総溶液重量が250mg〜400mg、好ましくは300mg〜350mg、及びより好ましくは325mgとなるようにすることも望ましい。各種実施態様では、これにより総溶液に対するエストラジオールの重量比は、0.125/50mg〜0.125/1000mg、1mg:500mg〜1mg:50mg、1mg:250mg〜1mg:60mg、1mg:100mg〜1mg:66mg、2mg/50mg〜2mg/1000mgである。各種実施態様では、単回投与製品は325mgを対象とし、併用製品に関し対象とされる充填重量(例えば、2種以上のステロールAPIs)は650mgである。
【0034】
具体例では、総プロゲステロン、すなわち、溶解及び微粉化させたものは、20〜50重量%、例えば、30〜35重量%であり、エストラジオールは0.1〜0.8重量%、例えば、0.15〜0.35重量%である。
【0035】
本開示のその他の態様は、プロゲステロンのより均一な溶解、並びに典型的には、同等の用量のPROMETRIUMと比較したときの、可溶化エストラジオールと組み合わせた本開示のプロゲステロン製剤の血中濃度の、患者内及び患者間の変動の減少を更に提供する。投与後、同等の採取時間にて血中濃度の変動も比較される。理論に束縛されるものではないが、これらの態様は、対応する製剤に可溶化させたプロゲステロンの割合により影響を受けるものと考えられ、プロゲステロンのより均一な溶解、並びに患者内及び患者間の血中濃度の変動の小ささは、全プロゲステロンに対する可溶化プロゲステロンの割合が大きくなることにより影響を受ける。プロゲステロンを含む本製剤による摂食効果(food effect)の減少も企図され得る。
【0036】
PROMETRIUM処方情報によると、臨床試験では、患者において有意に変動が示された。例えば、PROMETRIUMを1日1回5日間投与された閉経期後の女性を対象とする臨床試験では、結果として、以下の表中に掲載される平均PKパラメーターが得られた。
【0037】
【表1】
【0038】
本発明の特に代表的な態様及び実施形態では、必須ではないものの、これらのPKパラメーターのうちの1つ以上における標準偏差を減少させることもできる。
【0039】
本開示の製剤中のプロゲステロンの、同一の用量強度にてかつ同一のUSP装置を使用したPROMETRIUMの溶解と比較してより均一な溶解は、以降の実施例において記載されるものを含むAPI溶解試験用に確立された、一般的な手法を使用して測定することができる。
【0040】
PROMETRIUMと比較して、本開示に準じるプロゲステロン製剤の患者内及び患者間の変動の減少は、以下に記載のものなどの生物学的な摂取試験により実証することができる。
【0041】
本開示のその他の態様は、本明細書に記載される通りの製剤の使用であって、プロゲステロンが、動物、特に人間を含む哺乳動物の子宮内膜増殖症、又は続発性無月経を治療するための前記製剤における少なくとも1種のAPIであり、前記動物が頸管長の短縮を有するときの早産、及びその他の病状、又はプロゲステロンの補充により治療される状態(総じて「プロゲステロン欠乏状態」)の治療方法としての製剤の使用、並びに本明細書に記載される通りの製剤の使用であって、エストラジオールが、例えば、血管運動症状を含む閉経に関連する症状(例えば、限定するものではないが、のぼせ及び寝汗(血管運動症状)、睡眠障害、気分変動、及び外陰部の萎縮を含む低エストロゲン症、及び骨粗鬆症、及びその他の非閉経期性の病状又はエステロゲンの補充により治療される状態(総じて「エステロゲン欠乏状態」)に関連する)を有する動物、特に人間を含む哺乳動物を治療するための前記製剤における少なくとも1種のAPIである、使用を包含し、それぞれ治療を必要としている患者において、それぞれ非毒性量の本明細書に記載される通りの製剤を用いる。本明細書で使用するとき、用語「治療」又はその派生語は、本明細書に記載される通りの製剤を、予防的に又はこのような製剤が投与される病状の発症後に投与したときに、記載の病状が一部又は完全に阻害されることを想到する。本開示の目的に関し、「予防」は、動物、特に哺乳動物に対し有効成分を投与し、動物を本明細書に記載の任意の疾患及びその他の疾患から保護することを指す。
【0042】
別途記載のない限り、本明細書で使用するとき、本明細書で記載のホルモンに関し、「天然」は、化学構造及び作用が、人体において天然(内因性)に生じるものと一致するよう処方される、バイオアイデンティカルなホルモンを意味する。天然のエステロゲンの例は、エストラジオール(17β−エストラジオール及びE2とも記載される)であり、天然のプロゲスチンはプロゲステロンである。逐次−周期的治療計画の例には、14〜18日間にわたる毎日0.125mg〜2.0mgのエストラジオール投与、続く10〜14日間にわたる毎日0.125mg〜2mgのエストラジオール及び25mg〜200mgのプロゲステロン投与を含む。逐次−周期的治療計画は、閉経期の女性に特に有用なものであり得る。本明細書に記載の製剤に使用するための、エストラジオールの他の例示的な用量強度としては、限定するものではないが、0.125、0.25、0.375、0.50、0.625、0.75、1.00、1.125、1.25、1.375、1.50、1.625、1.75、及び2.00mgが挙げられる。本明細書に記載の製剤に使用するための、プロゲステロンの他の例示的な用量強度としては、限定するものではないが、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、及び400mgが挙げられる。エストラジオール及びプロゲステロンのそれぞれのこれらの用量強度を、単独で、又は組み合わせて、本明細書に記載の製剤により投与することができる。
【0043】
プロゲステロンの医薬品有効成分は、当業者により典型的に利用される、多数の手法のうちの任意の1つにより微紛化することもできる。各種実施態様では、微紛化プロゲステロンは、15μm未満、10μm未満、5μm未満、及び/又は3μm未満のX50粒度値を有する。各種実施態様では、微紛化プロゲステロンは、25μm未満、20μm未満、μm未満、及び/又は15μm未満のX90粒度値を有する。
【0044】
粒度は、任意の好適な手法で測定され得る。例えば、Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折法粒度分布測定装置(「Beckman装置」)を使用して粒度を決定することもできる。上記の通り、粒度は、各種測定基準により、例えば、X50粒度、及び/又はX90粒度、あるいは類似する粒度表記法により表すことができる。
【0045】
Beckman装置は、分析用のサンプルを導入するための各種モジュールとともに使用することもできる。Beckman装置は、LS 13 320ユニバーサルリキッドモジュール(「ULM」)とともに使用することもできる。ULMは、0.017μm〜2000μmの寸法範囲のサンプルを懸濁することができる。ULMは、センシングゾーンにサンプルを供給するリキッドベースのモジュールである。ULMは、サンプルをBeckman装置内に循環させる。ULMは2本のホースを含み、1本は流体の供給のため、1本は排出のためのものである。使用される総量は125mL以下となり得る。1mg〜10gのサンプル質量が使用され得る。ULMは、ULM上のスロットに適合するピンを介しBeckman装置と相互作用し得る。ULMでは、各種懸濁流体、例えば、水、ブタノール、エタノール、クロロホルム、ヘプタン、トルエン、プロパノール、COULTER Type 1B分散剤(「Coulter 1B」)、並びにその他の各種懸濁流体を使用し得る。界面活性剤を使用することもできるものの、過剰な泡立ちを防ぐため、送出速度は調節すべきである。Coulter 1Bは、1つ以上のアセトアルデヒド、エチレンオキシド、及び/又は1,4−ジオキサンを含み得る。Beckman装置は、フラウンホーファー光学モデル及びミー理論を含む、各種光学理論を使用するように構成することもできる。
【0046】
Beckman装置は、ULMを使用しつつBeckman装置を制御するソフトウェアを含み得る。ソフトウェアは、例えば、特に送出速度、所定の脱気泡の実行、所定のすすぎ洗い、所定の超音波処理、所定の充填などを制御し得る。サンプル測定に関するパラメーターも設定され得る。例えば、運転時間が設定され得る。各種実施態様において任意の好適な運転時間を使用できるものの、時間は30秒〜120秒、及び好ましくは30秒〜及び90秒の運転時間を使用することができる。
【0047】
LS 13 320マイクロリキッドモジュール(「MLM」)とともに、Beckman装置を使用することもできる。MLMは、0.4μm〜2000μmの寸法範囲のサンプルを懸濁することができる。MLMは、センシングゾーンにサンプルを供給するリキッドベースのモジュールである。MLMは撹拌機を包含し得る。使用される総量は12mL以下となり得る。MLMは、水性及び非水性の両方の各種懸濁流体を使用することができる。
【0048】
本明細書に記載される通りの各エストラジオール及びプロゲステロンを、以降の教示に従って単独で処方することができる。これらの製剤は、口腔投与用に調製することができ、あるいはエストラジオール及びプロゲステロンを単一の経口単位剤形で同時投与するために相溶性をもとに組み合わせることができる。
【0049】
本開示のプロゲステロン製剤は、製薬上許容され得る油との配合により、すなわち一般的に、モノ、ジ、若しくはトリグリセリド、又はそれらの誘導体、あるいはこれらの組み合わせの少なくとも1種から構成される中鎖脂肪酸などの少なくとも1種の中鎖脂肪酸を含む油との配合により調製される。所望により、例えば、限定するものではないが、抗酸化剤、及び潤滑剤などのその他の賦形剤が添加される。微紛化プロゲステロンの懸濁液を形成するためには、あるいはプロゲステロンを可溶化するには十分な油が使用される。
【0050】
製薬上許容され得る油としては、限定するものではないが、カプロン酸(脂肪酸)、カプリル酸(脂肪酸)、カプリン酸(脂肪酸)、タウリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、コハク酸、グリセリン、モノ、ジ、又はトリグリセリド、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらの誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールグリセリド(GELUCIRE、ポリエチレングリコールグリセリド)、GATTEFOSSE SAS、Saint−Priest、フランス)、プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(MIGLYOL(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)SASOL Germany GMBH(ハンブルグ)、MIGLYOL 810、812、816及び829を含むMIGLYOL)、カプロン酸/カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、モノカプリル酸プロピレングリコール、プロピレングリコールモノカプレート、(CAPMUL PG−8(モノカプリル酸プロピレングリコール)及び10、CAPMUL MCM(中鎖モノ及びジグリセリド)ブランドは、ABITEC(コロンバス、オハイオ)により所有)、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジカプリレート、中鎖モノ及びジ−グリセリド(CAPMUL MCM)、ジエチレングリコールモノエステル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、TRANSCUTOL(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)を含む)、飽和ココナツ及びヤシ核油のエステル及びそれらの誘導体、分画された植物性脂肪酸のトリグリセリド、並びにこれらの組み合わせ及び誘導体のうちの少なくとも1つの使用が挙げられる。
【0051】
その他の態様及び実施形態では、プロゲステロンは、例えば、限定するものではないが、TRANSCUTOL及びMIGLYOL、TRANSCUTOL、MIGLYOL、及びCAPMUL PG 8及び/又はPG 10、CAPMUL MCM、CAPMUL及び非イオン性界面活性剤、並びにCAPMUL MCM及びGELUCIREを使用して完全に可溶化される。
【0052】
これらの油の各種比は、プロゲステロンを完全に可溶化するために使用できる。CAPMUL MCM及び非イオン性界面活性剤、例えば、GELUCIRE 44/14(ラウロイルマクロゴール−32グリセリドEP、ラウロイルポリオキシル−32グリセリドNF、ラウロイルポリオキシルグリセリド(USA FDA IIG))を、99:1〜2:1、例えば、限定するものではないが、60:40、65:35、70:30、75:25、80:10、80:15、85:20、90:10、及び98:1比で使用することができる。非イオン性界面活性剤に対する油(例えば、モノグリセリド及びジグリセリドの中鎖脂肪酸エステル)の比は著しく高くなり得る。例えば、特定の実施例では、次のCAPMUL MCM、及びGELUCIREを、最大で65:1、例えば、8:1、22:1、49:1、65:1、及び66:1比で使用した。例えば、以降の表13〜17を参照されたい。したがって、有用な比率は8:1以上、例えば、60〜70:1であり得る。その他の組み合わせの中でも、本明細書において記載されるこれらの油及び/又は可溶化剤、並びにこれらの組み合わせを使用して、本開示のエストラジオール及びプロゲステロン製剤を形成することができる。
【0053】
これらの油を組み合わせることにより、プロゲステロンの所望の単位用量に応じ、部分可溶化プロゲステロンを製造することができる。単位用量あたりのプロゲステロン量が多くなるほど、可溶化されるプロゲステロン量は減少し得る。単位用量毎の用量強度の上限は、一般的に最終的な剤形の実質的な大きさによってのみ制限される。
【0054】
本発明の具体例では、エストラジオールの可溶化、並びに中鎖脂肪酸エステル(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、又はプロピレングリコールのエステル)及びこれらの混合物を含むプロゲステロンの懸濁、部分的な可溶化、又は完全可溶化のために使用される。具体例では、中鎖脂肪酸はC6〜C14又はC6〜C12脂肪酸である。具体例では、中鎖脂肪酸は、飽和されており、又は大部分が飽和、例えば、60%超、又は75%超が飽和されている。具体例では、エストラジオール又はプロゲステロン(又はこの両方)は、室温で油に可溶性であるものの、液体状態になるまで油を加温することは望ましいものであり得る。具体例では、油、又は油/界面活性剤は、室温〜50℃、例えば、50℃以下、又は40℃以下、又は50℃以下の液体である。具体例では、油及び非界面活性剤の混合を容易にするため、GELUCIRE 44/14を65℃に加熱し、CAPMUL MCMを40℃に加熱するものの、このような加熱は、エストラジオール又はプロゲステロンを溶解させるのに必須ではない。具体例では、エストラジオールの油中(又は油/界面活性剤)溶解度は、少なくとも0.5重量%、例えば、0.8重量%以上、又は1.0重量%以上である。しかしながら、これ以上の高溶解度も達成され得る。例えば、下記実施例5に示す通り、エストラジオールは、12mg/g CAPMUL MCM溶液(12mg/mLに相当)で安定である。実施例17に示す通り、このような溶解度は、長鎖及び不飽和脂肪酸エステルで観察される結果を上回り、望ましい。
【0055】
中鎖脂肪酸のモノ及びジグリセリドの具体例としては、特に、CAPMUL MCM、CAPMUL MCM C10、CAPMUL MCM C8、及びCAPMUL MCM C8 EPが挙げられる。これらの油は、C8及びC10脂肪酸モノ及びジグリセリドである。油の具体例は中鎖脂肪酸のトリグリセリドであり、特に、MIGLYOL 810及びMIGLYOL 812が挙げられる。
【0056】
プロピレングリコールの中鎖脂肪酸エステルである油の具体例としては、特に、CAPMUL PG−8、Capmul PG−2L EP/NF、CAPMUL PG−8 NF、Capmul PG−12 EP/NF、及びCapryolが挙げられる。他の具体例としては、MIGLYOL 840が挙げられる。
【0057】
ポリエチレングリコールの中鎖脂肪酸エステルである油の具体例としては、特に、モノ、ジ、及びトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ及びジエステルと、からなるポリエチレングリコールグリセリドである、GELUCIRE 44/14(PEG−32グリセリルラウリン酸塩EP)が挙げられる。任意の特定の機序に束縛されることを意図するものではないが、少なくとも、製剤中に少量、例えば、10重量%以下のGELUCIREを含むことは明らかであり、この油の主要な機能は非イオン性界面活性剤としてのものである。
【0058】
これらの具体例は、主に中鎖、飽和、脂肪酸、具体的には、主にC8〜C12飽和脂肪酸を含む。
【0059】
市販のグリセロール及びその他のグリコールの脂肪酸エステルは、多くの場合天然の油から調製され、したがって、成分の大部分(重量をもとに)を構成する脂肪酸エステルに加えて構成成分を含む可能性があり、並びにしたがってこれらの構成成分は製品の特性評価に使用されることは理解されるであろう。このようなその他の成分は、例えば、その他の脂肪酸トリグリセリド、モノ及びジエステル、遊離グリセロール、又は遊離脂肪酸であってよい。そのため、例えば、本願において油/可溶化剤がグリセロールの飽和C8脂肪酸モノ又はジエステルとして記載されるとき、油の主要な、すなわち、50重量%超(例えば、75重量%超、85重量%超、又は90重量%超)の成分はカプリル酸モノグリセリド及びカプリル酸ジグリセリドであるものと理解される。例えば、ABITECによる、CAPMUL MCM C8のための技術的なデーターシートは、CAPMUL MCM C8は中鎖脂肪酸(主にカプリル酸)のモノ及びジグリセリドから構成されており、並びにアルキル含量は、C6は1%以下、C8は95%以上、C10は5%以下、及びC12は1.5%以下又はそれ以上であるとして記載する。
【0060】
更なる例としては、脂肪酸組成物は、少なくとも80%カプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)であることから、MIGLYOL 812は、一般的にC8〜C10トリグリセリドとして記載される。しかしながら、少量のその他の脂肪酸、例えば、5%未満のカプロン酸(C6)、ラウリン酸(C12)、及びミリスチン酸(C14)も含み得る。
【0061】
具体的には、SASOLによる、MIGLYOLのための製品情報シートは次の通りの脂肪酸組成を提供する。
【0062】
【表2】
【0063】
カプセルシェル、C8〜C10トリグリセリドに溶解させたエストラジオール、及び増粘剤を含む(又は本質的にこれからなる)として記載される本発明の特定の実施形態では、製剤の脂肪酸エステル成分は、例えば、MIGLYOL 812又は類似の製品であり得るものと理解される。
【0064】
更なる例示目的で、GELUCIRE 44/14は、脂肪酸組成が30〜50%ラウリン酸と、より少量のその他の脂肪酸、例えば、最大15%のカプリル酸、最大12%のカプリン酸、最大25%のミリスチン酸、最大25%のパルミチン酸、及び最大35%のステアリン酸であることから、一般的にラウロイルポリオキシル−32グリセリド、すなわち、ポリオキシエチレン32ラウリン酸グリセリド(グリセロールのモノ、ジ、及びトリエステルと、PEGのモノ及びジエステルとの混合物)として記載される。製品は少量の非エステル化グリセロールも含有し得る。カプセルシェル、トリグリセリドに溶解させたエストラジオール、並びにグリセロール及びポリエチレングリコールのC8〜C18脂肪酸エステルを含む非イオン性界面活性剤である増粘剤、を含む(又は本質的にこれからなる)として記載される本発明の特定の実施形態では、製剤の増粘剤成分は、例えば、GELUCIRE 44/14又は類似の製品であり得るものと理解される。
【0065】
同様にして、カプセルシェル、トリグリセリドに可溶化させたエストラジオール、並びにPEG−6ステアレート、エチレングリコールパルミトステアレート、及びPEG−32ステアレートを含む非イオン性界面活性剤である増粘剤を含む(又は本質的にこれからなる)として記載される本発明の特定の実施形態では、製剤の増粘剤成分は、例えば、Tefose 63又は類似の製品であり得るものと理解される。
【0066】
中鎖脂肪酸グリセリドの混合物、例えば、C6〜C12、C8〜C12、又はC8〜C10脂肪酸モノ及びジグリセリドあるいはモノ、ジ、及びトリグリセリドの混合物は、エストラジオールの溶解に非常に良好に適し、主にC8〜C10飽和脂肪酸モノ及びジグリセリドの混合物である油については良好な結果が得られている。長鎖グリセリドは、明らかに、エストラジオールの溶解に良好に適するものではない。それに対し、高溶解度のプロゲステロンは、主に中鎖脂肪酸トリグリセリドの混合物として得られている。
【0067】
高溶解度のエストラジオールは、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、例えば、TRANSCUTOL、並びにモノカプリル酸プロピレングリコール、例えば、Capryol(商標)90(Gattefosse)で得られている。
【0068】
本発明の具体例では、選択された油を、プロゲステロン又はエストラジオールを可溶化する目的で過剰に加熱する必要はない。例えば、界面活性剤として中鎖脂肪酸モノ及びジグリセリド(例えば、CAPMUL MCM)及びポリエチレングリコールグリセリド(例えば、GELUCIRE)を含む製剤では、油及び/又は界面活性剤は、油及び界面活性剤の混合を促進するために、例えば、界面活性剤の場合には65C、油の場合にはそれ未満に加熱することができる。エストラジオールは、この温度にて、あるいは混合物の冷却に伴い低温にて、又は更には室温以上、例えば20Cの温度に冷却した後、添加することができ、好ましい油にエストラジオールを可溶化させる必要はない。プロゲステロンは、混合物の冷却に伴い、例えば、40C未満又は30C未満、更には室温への冷却に伴い添加することもできる。
【0069】
各種実施態様では、エストラジオールは可溶化されている。可溶化エストラジオールとしては、溶媒に90%可溶性、溶媒に93%可溶性、溶媒に95%可溶性、溶媒に97%可溶性、溶媒に99%可溶性、及び溶媒に100%可溶性であるエストラジオールが挙げられ得る。溶解度は、質量分率(重量/重量%、重量%とも呼ばれる)として表すこともできる。
【0070】
各種実施態様では、可溶化剤は、少なくとも1種の溶媒又は共溶媒から選択される。好適な溶媒及び共溶媒としては、任意のモノ、ジ、又はトリグリセリド、及びグリコール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
プロゲステロンに関し上記され、エストラジオールの可溶化剤としても使用することのできる油に加えて、その他の可溶化剤としては、例えば、限定するものではないが、グリセリルモノ及びジカプリレート、プロピレングリコール、及び1,2,3−プロパントリオール(グリセロール、グリセリン、グリセリン)が挙げられる。
【0072】
エストラジオール、プロゲステロン、又はこれらの組み合わせを含有する本開示の製剤のその他の実施形態において、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤を使用することができる。特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤が使用される。代表的な非イオン性界面活性剤としては、例えば、限定するものではないが、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸エステル又はアルコールのうちの1つ以上が挙げられる。更なる実施形態では、非イオン性界面活性剤は、商標TWEEN 80(登録商標)(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)下で市販のポリソルベート80を含むポリエチレンソルビトールエステルを含み得る。ポリソルベート80は、60%〜70%のオレイン酸と、主にリノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸を含む残部とから構成される。ポリソルベート80は、製剤の総質量の5〜50%の範囲の量で使用することができ、特定の実施形態では、30%の量で使用することができる。
【0073】
その他の各種実施形態では、非イオン性界面活性剤は、1種以上のグリセロール及び脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、例えば、GELUCIRE 44/11及びGELUCIRE 44/14を含む、GELUCIREとして市販のラウロイルマクロゴール−32グリセリド及び/又はラウロイルポリオキシル−32グリセリドから選択される。これらの界面活性剤は、0.01%超、典型的には0.01%〜10.0%、10.1%〜20%、及び20.1%〜30%の各種濃度で使用され得る。以降の特定の実施例では、GELUCIRE 44/14が、界面活性剤として1〜10重量%の量で使用される。例えば、以降の表13〜17を参照されたい。他の非イオン性界面活性剤としては、例えば、Labrasol(登録商標)PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Gattefosse)及びLabarafil(登録商標)コーン/アプリコット油PEG−6エステル(Gattefosse)が挙げられる。
【0074】
他の実施形態では、潤滑剤が使用される。任意の好適な潤滑剤、例えば、レシチンなどを使用することができる。レシチンは、リン脂質の混合物を含み得る。
【0075】
更なる実施形態では、酸化防止剤が使用される。任意の好適な酸化防止剤、例えば限定するものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを使用することができる。
【0076】
例えば、各種実施態様では、製剤処方は、20重量%〜80重量%の基剤、0.1重量%〜5重量%の潤滑剤、及び0.01重量%〜0.1重量%の酸化防止剤を含む。
【0077】
賦形剤の選択の大部分は、特定の投与方法、溶解度及び安定性に対する賦形剤の効果、並びに剤形の性質などの因子によって決定される。各種実施形態において使用される賦形剤としては、着色剤、矯味矯臭剤、保存料、及び矯味剤が挙げられ得る。着色剤は、例えば、0.1重量%〜2重量%を構成し得る。保存料は、メチル及びプロピルパラベンを、例えば、10:1の比で、及び0.005重量%及び0.05重量%の割合で含み得る。
【0078】
本明細書に記載の製剤に試用される全ての油、可溶化剤、賦形剤、及び任意のその他の添加剤に関しては、それぞれ非毒性であり、かつ製薬上許容され得る。
【0079】
上記に参照される通り、本開示の製剤は一般的に経口投与され、典型的には、軟質カプセル剤などのカプセルにより投与される。本製剤を使用して、当該技術分野の標準技術を用い、経皮パッチを形成することもできる。本発明の可溶化製剤は、当業者に周知である技術を用い、腹腔内投与用に処方することもできる。
【0080】
各種実施形態によると、製剤にはピーナッツオイルを含有させない。ピーナッツオイルを含有させないことで、ピーナッツ系のアレルギーを有する対象者がリスクにさらされることを回避する。
【0081】
したがって、本発明の医薬組成物の実施形態例は、可溶化エストラジオール、少なくとも75%のプロゲステロンが可溶化されているプロゲステロン(残部は本明細書において議論されるとおりに微粉化される)、及び油を含み、油は、界面活性剤を含有又は不含の、グリセロールの中鎖脂肪酸モノ及びジエステルである。特定の実施形態では、プロゲステロンの仕様は、80%超可溶化、20%未満微紛化、又は85%超可溶化、15%未満微紛化に設定される。少なくとも85%のプロゲステロンが可溶化され得る、界面活性剤としてGELUCIREを用いるこのような実施形態の具体例としては、例えば次の4通りの処方が挙げられ得る。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
注:1.00mgエストラジオールは、1.03mgエストラジオール半水和物に相当する。
【0087】
基剤がグリコールの中鎖脂肪酸エステルであり、本明細書に記載される通りの非イオン性界面活性剤を含む具体例は液体形態であり、すなわち、ゲル、硬質脂質(hard fat)、又はその他の固体形態ではない。
【0088】
総括的に、上記の製剤は30〜35重量%のプロゲステロン、0.1〜0.4重量%のエストラジオール(又はエストラジオール半水和物)、CAPMUL MCMなどの大部分が中鎖脂肪酸モノ及びジグリセリドである55〜75重量%の油、及びGELUCIRE 44/14などの0.5〜10重量%の非イオン性界面活性剤を含む。上記製剤を改変して、例えば、Gelatin 200 Bloomなどのゼラチン、グリセリン、Opatint red及びwhiteなどの着色剤、並びに場合によりMIGLYOL 812などの賦形剤を含有させてもよい。
【0089】
エストラジオールの可溶化は、良好な含量均一性を確実にし、安定性を増強させる助けとなる。完全に可溶化されたプロゲステロン製剤、又はプロゲステロンの少なくとも50%、例えば、75%、80%、85%、90%、又は95%超が可溶化されている部分可溶化プロゲステロン製剤は、改良されたPK関連特性を提供することは明らかである。
【0090】
本明細書に記載の各種実施形態によると、カプセル剤の28日間又は月間治療計画は、中でも、服用遵守を向上させ、関連する症状を軽減させると特定された投与日数を有する、単一のキット(例えば、ブリスター包装)に包装され得る。1つ以上のカプセル剤に、エストラジオールが含有されていなくてもよく、例えば、及び/又はプロゲステロンが含有されていなくてもよい。エステロゲン又はプロゲステロンAPIを含有しないカプセルはプラセボと呼ぶこともできる。ブリスター包装には複数のスコアを有させることができ、あるいは穿孔処理により28日分に分包されたブリスター包装を有させることができる。各日は、更に単一のブリスター又は複数のブリスターから構成され得る。各種実施態様では、各単位用量は、本明細書で上に説明されるような量で、微紛化及び/又は部分可溶化、又は完全可溶化プロゲステロン及び/又は可溶化エストラジオールを含有し得るものの、その他の投与範囲も想到され得る。更に、その他の構成物を有するキットも本願で想到される。例えば、限定するものではないが、このようなブリスター包装を有するキットは、任意の数のカプセルを含有し得る。
【0091】
また、子宮内膜増殖症、続発性無月経、及びプロゲステロンの補充により治療されるその他の病状の治療に、微紛化及び/又は部分可溶化、若しくは完全可溶化プロゲステロンを含有する本開示の経口投与製剤を使用する。一般的に、本明細書に記載のプロゲステロン含有製剤は、単独で投与するにせよ、あるいは本開示の可溶化エストラジオール、又はその他のエステロゲン含有製剤と組み合わせて投与するにせよ、エストロゲン補充剤の投与による作用により治療するために使用される。その他の各種実施形態では、本開示の製剤を含有するカプセル、例えばソフトジェルカプセルは、膣内又は膣周辺に投与され得る。
【0092】
血管運動性の症状を含む、エステロゲン欠乏状態を治療するために、例えば、低エストロゲン症に関連する症状、例えば、限定するものではないが、のぼせ及び寝汗(血管運動性の症状)、睡眠障害、気分変動、外陰部−膣萎縮、並びに骨粗鬆症及びエストロゲンの補充により治療されるその他の非閉経期病状などの治療に関連し、可溶化エストラジオールを含有する本開示の製剤が使用される。
【0093】
可溶化エストラジオールを含有する本開示の製剤は、萎縮性腟炎又は外陰部−膣萎縮の治療又は予防に使用することもできる。各種実施態様では、カプセル、例えば、ソフトジェルカプセルは、膣内又は膣周辺に投与され得る。
【0094】
本開示の更なる目的としては、使用し易さに伴い患者の服用遵守の向上をもたらすこと、不適切な使用による副作用の心配を軽減させて使用/指示を容易とさせることに伴い医師による選択の向上をもたらすこと、使用を誤ることによる副作用の減少をもたらすこと(不正出血の減少)、適切な使用に伴い症状に関係する良好な効力/調節をもたらすこと、一般的に使用される合成プロゲスチンを単独で、又はエステロゲン(酢酸ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン酢酸)と組み合わせて投与された場合の代謝性及び血管性の副作用(例えば、脳卒中、心臓発作、血栓、及び乳癌など)を減少させること、が挙げられる。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
エストラジオール溶解度
各種実施例では、望ましい目標として、エストラジオールの20mg/g溶解度を達成することにより2mgのエストラジオールを100mg充填質量に十分に可溶化させるのに好適な溶媒を決定した。エストラジオールを各種溶媒と混合し、エストラジオールにより溶液を飽和させ、少なくとも3日間平衡化させ、非溶解粒子を濾去し、透明な上清を、HPLCによりエストラジオールの溶解量について分析することにより、初期溶解度実験を実施した。
【0096】
エストラジオール溶解度実験を実施した。この一覧の少なくとも1つの項目(例えば、プロピレングリコール)は、20%(重量/重量)超の濃度でカプセル化するのに不適であることが知られている。
【0097】
【表8】
【0098】
更なる溶解度試験では、エストラジオールは、少なくとも6mg/gm MIGLYOL TRANSCUTOLが、81:19〜95:5の比でMIGLYOLに可溶性であり、91:11でエタノールに可溶性であり、88:11のMIGLYOL:CAPMUL PG8で可溶性であるものの、96:4のMIGLYOL:TRANSCUTOL、70:30〜80:20のMIGLYOL:Labrasol、又は86:14のMIGLYOL:CAPMUL PG8では可溶性ではない。
【0099】
(実施例2)
200mgの総カプセル充填剤質量において、2mgエストラジオールも可溶化できる媒質に50mgのプロゲステロンを懸濁させることが求められた。この処方を達成するために必要とされるエストラジオールの溶解度は10mg/gである。総充填重量200mgは、5号の卵型ソフトジェルカプセルに適したものであると考えられた。
【0100】
追加の溶解度試験を実施して、より軟質ゼラチンカプセルへの封入に好適な可能性のある溶媒混合物を見出した。エストラジオールを各種溶媒系と混合することにより、前述同様にろ過後に溶解されているエストラジオールの量をHPLCにより分析することにより、CAPMUL PG8及びCAPMUL MCMを用い溶解度試験を実施した。これらの実験の結果を表2に掲載する。これらの結果から、MIGLYOL:CAPMUL PG8を50%と、CAPMUL MCMを単独で、又は20%ポリソルベート80と組み合わせて含有する混合物が、目標とする10mg/gを満たす十分な溶解度を達成し得ることを見ることができる。MIGLYOLと15及び30%濃度で混合したCAPMUL PG8では、十分な溶解度は達成されなかった。
【0101】
【表9】
【0102】
(実施例3)
表3に掲載される通り、溶媒混合物中のエストラジオール(4〜6mg)の安定性を評価するために追加の試験を実施した。4% TRANSCUTOLを添加したMIGLYOL 812は熱/冷サイクルで96時間後に析出したのに対し、エストラジオールをMIGLYOL:CAPMULの30及び50%配合物、あるいはCAPMUL MCM単独に可溶化させたものは、最低でも14日間、同一の条件下で析出しなかった。
【0103】
【表10】
【0104】
MIGLYOL:CAPMUL PG8 50:50、CAPMUL MCM、並びにTRANSCUTOL:MIGLYOL:CAPMUL PG8混合物に可溶化させた12mgエストラジオールは、少なくとも12日間にわたって安定であり、析出しない。
【0105】
【表11】
【0106】
(実施例4)
エストラジオール溶液の経時的な物理安定性を決定するのに加えて、カプセル封入プロセス中に充填材料が安定であるか決定する必要もある。これらの製剤を試験するための方法の1つは、充填剤に水を追加することによるものである。表5に示す通り、6mg/g濃度でのポリエチレングリコール400及びCAPMUL MCM中エストラジオール溶液は、再結晶化を生じずに最低限7%の水を吸収することができるのに対し、MIGLYOL 812:CAPMUL PG8(75:25)は同一濃度にて析出する。
【0107】
ポリエチレングリコール400及びCAPMUL MCM中12mg/g濃度のエストラジオール溶液は、再結晶化を生じずに最低限7%の水を吸収することができる。CAPMUL PG8含有製剤は、水の添加により全て濁りを生じた。しかしながら、エストラジオールの再結晶化は観察されなかったこと、並びにCAPMUL PG8単剤(エストラジオールは全くの不含)に水を添加したときにも水の添加に応じ濁りが生じたことには注目すべきである。
【0108】
【表12】
【0109】
(実施例5)
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0110】
【表13】
【0111】
(実施例6)
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0112】
【表14】
【0113】
代表的な実施形態では、次のものを含む、充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0114】
【表15】
【0115】
上記製剤は次の通りに調製される:エストラジオールをCAPMUL MCMに加え、溶解するまで混合する。
【0116】
(実施例7)
プロゲステロン溶解度
各種実施態様では、エストラジオール及びプロゲステロンはいずれも溶媒に溶解させることができる。各種実施態様では、エストラジオール及びプロゲステロンの両方の溶解度は、治療有効量を合理的な質量で得ることができるようなものであり、一般的には、好ましくはカプセル封入に好適な3〜22号卵型又は楕円形カプセルで1mg〜1200mgであるものと考えられる。例えば、各種実施態様では、50mg〜100mgのプロゲステロンを溶媒用量に溶解させることもでき、すなわち、溶解度はカプセル当たり50mg〜100mgであり得る。MIGLYOLも試行したところ、MIGLYOLはプロゲステロンの良好な基剤として検討され得るものであったものの、単独では望ましいエストラジオール可溶化度(例えば、12mg/gの溶解度は各種実施形態において望ましいものであり得る)は提供されなかった。したがって、MIGLYOLは、プロゲステロンの懸濁液を含む実施形態で使用することができるものの、MIGLYOL単独では、完全可溶化されたプロゲステロン及び/又はエストラジオールを有する実施形態で使用するのに望ましくない。
【0117】
表9に見ることができる通り、プロゲステロンのCAPMUL MCM中溶解度は、73mg/gである。したがって、400mg溶媒に200mgプロゲステロンを懸濁することにより、用量の一部(14%)を予め溶解させ、残部は懸濁液のままとする。一部の態様及び実施形態では、再結晶化の可能性を最小限に抑えるため、製剤へのプロゲステロンの部分的な溶解は最小限に抑えることが望ましい。
【0118】
溶解度73mg/gをもとに、可溶化プロゲステロン50mgのカプセルを作製するのに必要とされるカプセルの寸法は、685mgである。したがって、50mgプロゲステロン及び2mgエストラジオールが可溶化された製剤の作製が実現可能であることが示された。MIGLYOLは最も低い溶解度を有したものの、この溶媒ではエストラジオールを溶解させることは不可能であったため、更なる実験では、2番目に低いもの、又はCAPMUL MCMにより進めることにした。2mgのエストラジオールを685mgのCAPMUL MCMに溶解させることができることも判明している。
【0119】
【表16】
【0120】
更に、CAPMUL MCMをGELUCIRE 44/14と9:1比で組み合わせた溶媒へのプロゲステロンの溶解度は86mg/gに上昇することが判明している。したがって、各種実施態様では、プロゲステロン及び/又はエストラジオールはCAPMUL MCM及びGELUCIRE 44/14系に溶解させることができ、ここで、GELUCIRE 44/14に対するCAPMUL MCMの比率は9:1である。
【0121】
【表17】
【0122】
(実施例7−1)
代表的な実施形態では、完全可溶化プロゲステロン及びエストラジオールを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0123】
【表18】
【0124】
表11に示すものなどのカプセルは、任意の好適な手法で作製することができる。この実施例の目的に関し、混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。同様のこの実施例の目的に関し、加熱及び/又は混合は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。この実施例の目的のための混合及び/又は加熱は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。
【0125】
例えば、CAPMUL MCMは、30℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃、及びより好ましくは〜40℃+/−2℃に加熱することもできる。GELUCIRE 44/14をCAPMUL:MCMに加え、溶解するまで混合することができる。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。GELUCIRE 44/14及びCAPMUL MCMを混合する間、熱は持続的に印加してよい。
【0126】
GELUCIRE 44/14及びCAPMUL MCM混合物から熱を除去してもよい。エストラジオール半水和物を混合物に加えることもできる。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。次に、溶解するまで微紛化プロゲステロンをGELUCIRE 44/14、CAPMUL MCM及びエストラジオール半水和物混合物に加えてもよい。添加は一度に、又は時間をかけて徐々に行ってよい。
【0127】
(実施例8)
代表的な実施形態では、次のものを含む、懸濁されたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0128】
【表19】
【0129】
上記製剤は次のとおりに調製される:MIGLYOLを45℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。BHTを加え、溶解するまで混合する。プロゲステロンを懸濁し、コロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0130】
代表的な実施形態では、次のものを含む、部分的に可溶化させたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0131】
【表20】
【0132】
プロゲステロン及び部分可溶化プロゲステロンを懸濁するにあたり、1%〜2%(重量/重量)でGELUCIRE 44/14を加えて粘度を増加させてもよい。上記製剤は次のとおりに調製される:CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。プロゲステロンを加え、混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0133】
(実施例9)
代表的な実施形態では、次のものを含む、懸濁されたプロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0134】
【表21】
【0135】
各種実施態様では、MIGLYOLは、35〜95重量%の範囲の量で、GELUCIRE 44/14は0.5〜30重量%の範囲の量で、BHTは0.01〜0.1重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0136】
(実施例10)
本実施例の目的に関し、Beckman装置を使用することにより粒径分析を実施する。各種実施形態に従い、微紛化プロゲステロンを含むサンプルAPIが、分析用に提供される。
【0137】
各種実施形態に従い、0.01gのサンプルAPIを、Coulter 1B及び10mLの脱イオン水と組み合わせた。15秒間音波処理を行った。ULMを取り付けたBeckman装置で90秒間分析を実施した。Beckman装置は、フラウンホーファー光学モデルを使用するよう構成した。Beckman装置によると、サンプルのX50は4.279μm、X75は7.442μm、並びにX25は1.590μmであった。同様に、Beckman装置によると、平均粒径は4.975μmであり、メジアン粒径は4.279μmであり、モード粒径は6.453μmであり、標準偏差は3.956μmである。得られた粒子分布のグラフを図4に示す。
【0138】
(実施例11)
200mgの微紛化プロゲステロン及び2mgのエストラジオールを有する製剤サンプルを油に分散させる。MLMを取り付けたBeckman装置で60秒間分析を実施した。Beckman装置は、フラウンホーファー光学モデルを使用するよう構成した。Beckman装置によると、サンプルのX50は11.0μm、X75は17.3μm、並びにX25は5.3μmであった。同様に、Beckman装置によると、平均粒径は11.8μmであり、メジアン粒径は11.04μmであり、モード粒径は.13.6μmであり、標準偏差は7.8μmである。
【0139】
(実施例12)
最終溶液中のプロゲステロンの溶解度を上昇させる目的で、GELUCIRE 44/14を10重量/重量%加えた。
【0140】
【表22】
【0141】
最終的な製剤例は表15に提供する。製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを40℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を65℃に加熱して加え、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、溶解するまで混合する。
【0142】
(実施例13)
代表的な実施形態では、次のものを含む、完全可溶化エストラジオール及び部分可溶化プロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0143】
【表23】
【0144】
製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、分散させる。次に混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。
【0145】
(実施例14)
代表的な実施形態では、次のものを含む、完全可溶化エストラジオール及び部分可溶化プロゲステロンを有する充填材料を含有するカプセルが提供される。
【0146】
【表24】
【0147】
製造プロセスは次の通りである。CAPMUL MCMを65℃に加熱する。GELUCIRE 44/14を加熱し、溶解するまで混合する。熱を除去する。エストラジオールを加え、溶解するまで混合する。次に微紛化プロゲステロンを加え、分散させる。次に混合物をコロイドミルに通過させる。得られる充填剤をカプセル封入に使用することができる。別の方法としては、GELUCIRE 44/14を65Cに加熱し、CAPMUL MCMを40C+/−5Cに加熱して、熱が除去される前に油と界面活性剤の混合物を得て、混合物を冷却させる間エストラジオールを添加し、混合物が40C未満に低下したときにプロゲステロンを加え、次に混合物をコロイドミルに、例えば、3回通過させる。
【0148】
(実施例15)
試験352−摂食条件下でのプロゲステロン及びエストラジオール併用試験
次の試験プロトコルを使用し、摂食条件下にある、24名の健常な成人の閉経期後女性被験者に、実施例14に記載のプロセスにより調製された通りの、プロゲステロン(200mg)とエストラジオール(2.0mg)を含む本開示の製剤を組み合わせて投与し、200mg PROMETRIUM(Catalent Pharmaceuticals(セントピーターズバーグ、フロリダ)(及び2.0mgのESTRACE(エストラジオール膣用クリーム、USP、0.01%)(Bristol−Myers Squibb社(プリンストン、ニュージーランド))と比較して、バイオアベイラビリティ及びバイオエクイバレンスパラメーターを確認した。
【0149】
これらのPK試験に使用した本発明の製剤処方は、実質的に次式を有した:
【0150】
【表25】
【0151】
試験デザイン:非盲検、均等割付、無作為化、2治療法、2期、2群、単回投与、二元配置クロスオーバー試験。
【0152】
各期において、被験者は投与の少なくとも11.00時間前から、投与後少なくとも48.00時間までの間、臨床施設に収容し、一連の投与間のウオッシュ・アウト期間は少なくとも14日間とした。
【0153】
高脂肪、高カロリーの朝食を提供する前に、被験者には少なくとも10.00時間絶食させ、その後で投与を行い、次に投与後更に04.00時間絶食させた。
【0154】
投与後、04.00、09.00、13.00、25.00、29.00、34.00、及び38.00時間のそれぞれの時点で標準食を与えた。
【0155】
水は薬剤投与の少なくとも01時間前から、投与の01時間後まで制限した(投与時の水の摂取は除く)。その他の時点では、飲料水は自由に摂取させた。
【0156】
被験者には、投与の少なくとも24.00時間前から試験期間中はカフェイン及び/又はキサンチンを含有する製品(すなわち、コーヒー、紅茶、チョコレート、及びカフェインを含有する炭酸類、コーラ類)の摂取を自制し、投与の少なくとも48.00時間前から試験期間中はグレープフルーツ及び/又はそのジュース、並びにケシを含有する食品の摂取を自制するよう指示した。
【0157】
被験者には投与後04.00時間は上体を起こして着席してもらい、この期間中は必要のある場合にだけ異動を許可した。その後、試験の残りの時間、被験者には自由な異動を許可した。被験者には、所定の期間中は横になることを許可しなかった(有害事象を受けて医師より指示された場合を除く)。
【0158】
被験者には試験登録前の14日間及び試験中の処方薬の服用を禁じた。被験者には、試験登録前の7日間及び試験中の、市販薬、植物薬などの服用を禁じた。
【0159】
一晩(少なくとも10.00時間)絶食させた後、治験薬の投与30分前に高脂肪高カロリーの朝食を提供した。すべての被験者には、提供された朝食を提供から30分以内に完食するよう義務付け、試験製剤(T)(プロゲステロン200mg及びエストラジオール2mgの錠剤)又は参照製剤(R)(PROMETRIUM(プロゲステロン)ソフトジェルカプセル200mg及びESTRACE(登録商標)(エストラジオール)の錠剤2mg(無作為化スケジュールによる))のいずれかの単回用量を、各期において、室温にて、摂食条件下で、座位の状態で240mLの水により投与した。口腔をよく確認して、投与の順守を評価した。
【0160】
試験の終了時に、投与を受けた全ての被験者を臨床検査により又は規定通りに評価した。
【0161】
各期において、23回血液サンプルを採取した。−01.00、−00.50、00.00時間での投与前(10mL)血液サンプル、及び00.25、00.50、00.67、00.83、01.00、01.33、01.67、02.00、02.50、03.00、04.00、05.00、06.00、07.00、08.00、10.00、12.00、18.00、24.00、及び48.00時間での投与後の血液サンプル(各08mL)を、被験者の前腕のいずれかの静脈に配置した留置カニューレにより、ラベルを付したK2EDTA−バキュテナーに採取した。投与後にサンプルを採取するカニューレを維持するため、10IU/mLのヘパリンの標準食塩水0.5mLを注射することにより、各静脈内留置カニューレを可能な限りその場に保持した。このような場合、ヘパリンを含有している血液の最初の0.5mLを廃棄した後、血液サンプルを回収した。サンプル抜き出しの24時間後、又はそれより早期に、又は血栓が生じた場合に各カニューレを取り外した。
【0162】
試験の終了時に、サンプルの完全性を維持するため、十分にドライアイスを入れた箱にサンプルを入れて、生物学的分析設備に移動させた。これらのサンプルを、分析までの間、生物学的分析設備で−70℃±20℃で保管した。
【0163】
血漿サンプル中のプロゲステロン(補正及び未補正)及びエストラジオール(非抱合型)及びエストロン(合計)を、有効なLC−MS/MS法を使用し分析する。
【0164】
試験製剤及び参照製剤に関し24名の被験者から得たデータを元に、薬物動態パラメーターCmax、AUC(0−t)及びAUC(0−∞)を計算した。概して、プロゲステロン及びエストラジオールのバイオアベイラビリティは類似しているものの、バイオエクイバレンスは確認されなかった。
【0165】
プロゲステロンに関し、下表18に、補正された薬物動態プロファイルの要約を示す。
【0166】
【表26】
最小二乗平均の推定値を使用して幾何平均を算出した
【0167】
試験351−絶食条件下でのプロゲステロン及びエストラジオール併用試験
上記プロトコル並びに試験製剤及び参照製剤を使用する絶食試験も実施した。しかしながら、試験製剤及び参照製剤の投与前の高脂肪食を除き、各患者には製剤投与前少なくとも12時間にわたって絶食させた。
【0168】
試験製剤及び参照製剤に関し23名の絶食条件下の被験者から得たデータを元に、薬物動態パラメーターCmax、AUC0−t及びAUC0−∞を計算した。概して、プロゲステロン及びエストラジオールのバイオアベイラビリティは類似しているものの、バイオエクイバレンスは確認されなかった。
【0169】
プロゲステロンに関し、下表19に、補正された薬物動態プロファイルの要約を示す。
【0170】
【表27】
最小二乗平均の推定値を使用して幾何平均を算出した
【0171】
データは、PROMETRIUMに対し良好な(すなわち低い)患者間及び患者内変動を示す。
【0172】
(実施例16)
各種実施形態に従う製造方法を図1〜3に示す。図1の参照により、材料を充填する方法100が示される。工程102は、基材の油性ビヒクルを40℃±5℃に加熱することから構成される。加熱は任意の好適な手段により実施することができる。加熱は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。油性ビヒクルは、本明細書に記載の任意の油性ビヒクル(例えば、CAPMUL MCM)であってよい。
【0173】
工程104は、GELUCIRE 44/14を油性ビヒクルと混合することから構成される。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程102は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。混合は、ステンレス鋼容器などの任意の好適な容器で実施することができる。
【0174】
工程106は、エストラジオールを、油性ビヒクル及びGELUCIRE 44/14の混合物に混ぜ合わせることから構成される。混合は、スチール槽又はタンクで行うことができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程106は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。
【0175】
工程108は、室温に冷却することから構成される。冷却は何ら介入をせずとも生じ得るものであり、あるいは冷却は冷却システムを使用することにより補助することもできる。
【0176】
工程110は、微紛化プロゲステロンを、油性ビヒクル、エストラジオール及びGELUCIRE 44/14の混合物に混ぜ合わせることから構成される。混合は、スチール槽又はタンクで行うことができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程110は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程112は脱ガスすることから構成される。工程112から得られる混合物は、ソフトジェルカプセルを製造するのに好適な充填材料を構成し得る。
【0177】
図2を参照すると、ソフトジェルカプセル(すなわちゲル質)の製造200が示される。工程202は、グリセリンと水を混合することから構成される。工程202に使用する水は、逆浸透、オゾン処理、又は濾過(例えば、炭素カラムによる濾過)などの任意の好適な手法により精製することができる。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程202は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。加熱は、温度が80℃±5℃に達するまでの間実施することができる。
【0178】
工程204は、追加のゼラチンをグリセリン水混合物に加えることから構成される。混合は、インペラ、撹拌機、又はその他の好適な手段により促進することもできる。工程204は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程204では真空引きを行い脱気してもよい。
【0179】
工程206は、染料などの着色剤を加えることから構成される。着色剤には、商標OPATINTで市販の製品、又はその他の好適な剤を含み得る。工程206は、窒素ガスN2などの不活性又は比較的不活性な気体雰囲気下で実施することができる。工程208は脱ガスすることから構成される。工程208により得られる混合物は、ソフトジェルカプセルの製造においてゲルカプセルとして使用するのに好適なゲルカプセル材料を含み得る。
【0180】
図3を参照することにより、ソフトジェルカプセルの組み立てプロセス300が示される。工程302は、充填材料を加熱することから構成される。任意の好適な温度に充填材料を加熱することもできる。各種実施態様では、充填材料は30℃+/−3℃に加熱される。充填材料は充填ホッパー内で加熱してもよい。充填ホッパーは、多量の充填材料を保持するよう、及び/又は量を調節して充填材料を分配するよう構成された装置を含み得る。
【0181】
工程304は、ゲル質を充填することから構成される。図2の工程208で製造されたゲルカプセル材料からゲル質を分取する。ゲルカプセル材料により規定される用量以内の充填材料を注入、配置、あるいは並べることにより充填を実施することができる。充填はカプセル化装置で実施することもできる。散布ボックスは55℃+/−10℃の温度であってよい。ウェッジ温度は38℃+/−3℃であってよい。ドラム冷却温度は4℃+/−2℃であってよい。カプセル化装置は、MIGLYOL 812、又はその他の好適な潤滑剤を使用して潤滑化することもできる。したがって、工程304は、1種以上のソフトジェルカプセルを製造する。充填は、散布ボックスの突起部を利用し、厚さ0.85mm±0.05mmのリボンを製造することを含み得る。充填材料をゲルに充填して、目標重量±5%(すなわち、650±33mg及び325±16.3mg)を有する充填重量とすることができる。
【0182】
工程306はソフトジェルカプセルを乾燥させることから構成される。乾燥させることは、混転乾燥機又はトレー乾燥機で実施することも、あるいはこれらを組み合わせて実施することもできる。例えば、乾燥させることは、10分間〜120分間混転乾燥バスケットで実施することもできる。乾燥させることは、乾燥室内で24時間〜72時間連続させてよい。工程308は、検査及び/又は艶出しすることから構成され得る。艶出しはイソプロピルアルコールを用い実施することもできる。工程310は、包装することから構成され得る。包装は任意の好適な手段により実施することができる。包装は、ソフトジェルカプセルを、ブリスター包装、ボトル、箱、パウチ、又はその他の基準を満たす包装に包装することから構成され得る。
【0183】
(実施例17)
I.大豆油、ピーナッツ油、及び紅花油中エストラジオール溶解度
以下に記載の混合物を調製し、混合物を超音波処理し、次に透明な溶液が得られているか確認することにより、視覚的にデータを得た。透明な溶液が得られた場合、これは試験濃度での溶解度の指標とした。
【0184】
手順及び結果
工程1.
30mgのエストラジオールを溶媒に加え、適量を10gとし、それぞれの油中0.3%エストラジオール懸濁液を調製した。サンプルをボルテックスにより2時間混合し、50℃で30分間加熱し、次に1時間以上混合した。全てのサンプルは懸濁液形態のままであった。
【0185】
工程2.
各サンプルを0.24%に希釈(2.5g以上の油を加えることにより)し、2時間混合し、50℃にて30分間加熱し、再度1時間混合した。全てのサンプルは濁ったままであった。サンプルを一晩室温に維持し、サンプルが沈殿していないか、又は溶解されていないAPIが析出していないか確認した。室温で20時間後、全てのサンプルでAPIが未溶解のままだったことが観察された。
【0186】
工程3.
各サンプルを0.2%に希釈(2.5g以上の油を加えることにより)し、2時間混合し、50℃にて30分間加熱し、再度1時間混合した。全てのサンプルは僅かに濁ったままであったことから、エストラジオールは完全には溶解しなかったことが示された。
【0187】
【表28】
【0188】
全3種の油中エストラジオール溶解度は2mg/g(0.2重量/重量%)未満であった。この溶解度は、その他の油で、例えば、上記のモノ/ジグリセリド、プロピレングリコールエステル、及びポリエチレングリコールエステルなどの中鎖脂肪酸エステルで達成され得る溶解度よりも大幅に低いことを本発明者らは発見した。
【0189】
要約すると、ベニバナ油にエストラジオールを溶解させるのに熱を使用しない場合、溶液にはならない。エストラジオールが50C下で溶解しなかったことを考慮すると、ベニバナ油などの油は、本明細書で上記される中鎖脂肪酸エステルを使用する本方法で使用するのに有用ではない。
【0190】
II.ベニバナ油中溶解度
別個の実験では、50gのベニバナ油を85〜88℃に加熱し、60mgエストラジオールを加え、完全に溶解するまで混合し(1時間)、室温に冷却した。達成された溶解度は1.0mg/mLであった。エストラジオール溶液サンプルにプロゲステロンを加えてもエストラジオールの溶解度に影響はなかった。
【0191】
不飽和脂肪酸は酸化すなわち酸敗する傾向がある。過酸化物は酸化中に形成される中間体であり、過酸化物価は酸化度の指標である。米国薬局方規格では、ベニバナ油の過酸化物価は最大10である。油を例えば85℃に加熱すると、過酸化物価が上昇することが示されている。対照的に、C8〜C10飽和脂肪酸エステルを含むCAPMUL MCM及びMyglyol 812などの中鎖脂肪酸グリコールは、例えば、1以下の十分に低い過酸化物価を有する。
【0192】
(実施例18)
溶解
本製剤を使用して、PROMETRIUMの溶解度に対してプロゲステロンの溶解度を比較し、ESTRACEの溶解度に対してエストラジオールの溶解度を比較して、溶解度試験を実施した。第1の試験では、200mgのプロゲステロン及び2mgのエストラジオールを含む、本製剤のカプセルを使用した。第2の試験では、50mgのプロゲステロン及び2mgのエストラジオールを含む、本製剤のカプセルを使用した。2つの製剤は、次のように構成した:
USP溶解装置(レシプロケーティングシリンダー)(「USP装置3」)を使用して溶解度試験を実施した。装置は、1分辺り30往復するよう設定した。37℃にて、3%ラウリル硫酸ナトリウムを添加した250mLの0.1N HCl溶液を使用した。
【0193】
両試験において、PROMETRIUMよりも本発明のカプセルの方が、プロゲステロンが迅速に溶解し、標準偏差は小さかった。エストラジオールの溶解は同程度であったものの、ESTRACEよりも本発明のカプセルからの方がやや緩徐であった。例示目的で、本発明の200mgプロゲステロンカプセルからのプロゲステロンの溶解と、PROMETRIUMからのプロゲステロンの溶解とを示すグラフを図5として添付する。
【0194】
本発明の両方のカプセルは白色HDPEボトル中で安定であった。200mgプロゲステロン製剤については6ヶ月以上にわたって(6ヶ月超のデータは未入手)、50mgプロゲステロン製剤については3ヶ月以上にわたって(3ヶ月超のデータは未入手)陽性の安定性データが得られた。
【0195】
当業者には、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本開示に各種修正及び変更をなすことができることは明白である。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に該当する限りは本開示の修正及び変更を含めることが意図される。
【0196】
同様にして、装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに各種代替例を包括させて数多くの特徴及び利点が前述の説明において示されている。本開示は、例示のみを意図するものであり、網羅的であるものとして意図されるものではない。当業者には、添付の特許請求の範囲の説明において広範に一般的な意味合いを有する用語により完全に指し示される範囲内で、各種修正、特に、本開示の原理の範囲内での組み合わせを含む、部分の構造、材料、構成要素、成分、形状、寸法、及び構成における修正をなすことができることは明白である。これらの各種修正は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、本開示に包含されるものと意図される。
図1
図2
図3
図4
図5