特許 6334521 歯科材料を分配するシステム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6334521

(24)【登録日】2018年5月11日

(45)【発行日】2018年5月30日

(54)【発明の名称】歯科材料を分配するシステム

(51)【国際特許分類】

   A61C 9/00 20060101AFI20180521BHJP

【ＦＩ】

   A61C9/00 C

【請求項の数】2

【全頁数】17

(21)【出願番号】特願2015-520486(P2015-520486)

(86)(22)【出願日】2013年6月27日

(65)【公表番号】特表2015-525617(P2015-525617A)

(43)【公表日】2015年9月7日

(86)【国際出願番号】US2013048104

(87)【国際公開番号】WO2014008082

(87)【国際公開日】20140109

【審査請求日】2016年5月24日

(31)【優先権主張番号】12174834.7

(32)【優先日】2012年7月3日

(33)【優先権主張国】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】505005049

【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー

(74)【代理人】

【識別番号】100110803

【弁理士】

【氏名又は名称】赤澤 太朗

(74)【代理人】

【識別番号】100135909

【弁理士】

【氏名又は名称】野村 和歌子

(74)【代理人】

【識別番号】100133042

【弁理士】

【氏名又は名称】佃 誠玄

(74)【代理人】

【識別番号】100157185

【弁理士】

【氏名又は名称】吉野 亮平

(72)【発明者】

【氏名】イェンス グラマン

(72)【発明者】

【氏名】コルビニアン シェプケ―ゲルラッハ

(72)【発明者】

【氏名】マンフレット ハッレ

(72)【発明者】

【氏名】エミル イェロファーク

(72)【発明者】

【氏名】ラルフ ケルツ

(72)【発明者】

【氏名】エーツカン デンメツ

(72)【発明者】

【氏名】クリスティアン アー．リヒター

【審査官】 立花 啓

(56)【参考文献】

【文献】 独国特許出願公開第１０２００６０４３７１０（ＤＥ，Ａ１）

【文献】 米国特許第０５０５４６５５（ＵＳ，Ａ）

【文献】 特表２００８−５０１３８５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 欧州特許出願公開第００６９９５８２（ＥＰ，Ａ１）

【文献】 独国特許出願公開第１０２００９０４９２８６（ＤＥ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６１Ｃ ９／００

Ｂ０５Ｃ １７／０１

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

歯科材料を分配するシステムであって、
前記歯科材料がそこから押出可能であるカートリッジを備え、
当該カートリッジは、ユーザー入力を検出し、検出される前記ユーザー入力に基づくカートリッジ出力を提供するための接触型センサーを備え、当該カートリッジ出力は非接触信号を含み、
前記システムは、歯科用分配デバイスを更に備え、
当該歯科用分配デバイスは、前記カートリッジを受け取るためのレセプタクルと、前記カートリッジから前記歯科材料を押し出すための少なくとも１つのピストンとを備え、
前記デバイスは、前記非接触信号を検出するためのインターフェースを有し、前記非接触信号を認識するために、前記インターフェースは、非接触型センサーまたは接触スイッチを含む、システム。

【請求項2】

前記接触型センサーは可動アクチュエータであり、ボタン、フィンガープレート、またはレバーの何れかの少なくとも１つを含む、請求項１に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、歯科材料を分配するためのシステム、カートリッジ、およびシステムの歯科用分配デバイスに関する。特に、本発明は、ユーザーがデバイスを操作するための操作手段がカートリッジに配置されるシステムに関する。

【背景技術】

【0002】

歯科では、歯科医の業務において、歯科材料を調製および／または適用できる様々なデバイスが入手可能である。具体的には、例えば歯科印象材料などの一使用される材料を調製するために、そのような材料をパッケージから自動分配し、および／または混合するためのデバイスが開発されてきた。歯科印象材料を混合および分配するための例示的なデバイスは、例えば、商標名３Ｍ（商標）ＥＳＰＥ（商標）Ｐｅｎｔａｍｉｘ（商標）で３Ｍ ＥＳＰＥ ＡＧ（Ｇｅｒｍａｎｙ）から入手可能である。一般に、そのようなデバイスは、２種の材料構成成分を、それらが混合されるミキサーを介してパッケージから同時に供給することを可能にする。多くの場合、デバイスはミキサーを介した構成成分の連続的な押し出しを提供し、構成成分は構成成分がミキサーを介して流れるときに混合され、出口から放出される。歯科材料は、典型的にはデバイスに交換可能に受け取られ得る容器に提供される。したがって、同じデバイスは、容器の交換によって新しい材料を補充することができ、さらに異なるタイプの歯科材料が用いられることができる。

【0003】

例えば所望の分配速度および／または混合速度などの所望のパラメータで歯科材料を分配するように調整することができるデバイスがある。いくつかのデバイスは、デバイスに挿入される材料を認識し、適切な動作パラメータを自動的に調整する機能性を有する。

【0004】

例えば、ＷＯ ２０００／３８８４１には、モーター駆動の放出デバイスを用いて容器から流動性材料を放出するためのデバイスが開示されている。デバイスは、例えば、デバイスにおける容器の正しい配置についての、満期日についての、および／または粘性についての情報を検出するのに適する。容器がデバイスに正しく配置された場合に、トランスポンダが検出された情報に従ってデバイスを解放および／または制御する質問機ユニットと協働するように、容器にはトランスポンダを設けることができる。

【0005】

ＷＯ ２００７／１２１００３には、歯科材料のためのディスペンサが開示されている。ディスペンサは、第１のドライブによって駆動されるプランジャ、および第２のドライブによって駆動される動的ミキサーを有する。ディスペンサは、所定の均一でない駆動速度プロファイルで歯科材料を前進させ混合するために、第１および／または第２のドライブを制御するのに適する。ディスペンサは、前進し混合される歯科材料を識別し、センサーにより識別された歯科材料に従って速度プロファイルを自動的に選択するためのセンサーを有する。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

既存の解決策は特定の利点を提供するが、異なるタイプの歯科材料を分配し混合することができる、歯科材料を分配するシステムに対する要求が依然としてあり、それは使用の際に比較的安全で信頼性が高く、コストを最小にすることを助ける。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明の一態様は、歯科材料、例えば歯科用印象材料を形成するためにシステムによって混合される２つの個別構成成分の形で提供される歯科用印象材料を分配するシステムに関する。システムは、歯科材料が押出可能であるカートリッジを含む。カートリッジは、操作手段と、操作手段により検出されるユーザー入力に基づくカートリッジ出力を提供するためのインターフェースと、を含む。操作手段は、カートリッジ用のレセプタクルと、カートリッジから歯科材料を押し出すための少なくとも１つのピストンと、を有する歯科用分配デバイスを含む。デバイスは、カートリッジ出力を検出するためのインターフェースを有する。カートリッジ出力を認識するために、デバイスインターフェースは非接触型センサーまたは接触スイッチを含む。

【0008】

歯科材料分配デバイスの信頼性および安全性を最大にすることを助けるという点で、本発明は有利である。例えば、デバイスを制御するために頻繁に使われる手動の操作手段をカートリッジに設けることができ、したがって、カートリッジで容易に交換することができる。最終的に操作手段の動作に影響を及ぼす硬化可能な歯科材料による機能不良を最小にすることができる。さらに本発明は、カートリッジがデバイスに置かれていない状況でデバイスの特定の動作を容易に阻止することを可能にする。例えば、これは、ユーザーがプランジャを空のレセプタクルの中に移動させるのを防止することができる。プランジャが比較的強い力で動作され得るので、このような動作を阻止することは安全性を最大にすることを助けることができる。

【0009】

この明細書のための操作手段という用語は、好ましくは、ユーザーと機器との間の物理的相互作用を検出して、その相互作用を機械処理可能な物理量に変換するために好適である任意の技術的機器として理解される。したがって、操作手段という用語は、本明細書に開示される個々の実施形態に限定されず、当業者の通常の技術知識に従って他の実施形態も包含する。

【0010】

一実施形態では、可動アクチュエータは、本発明の意味において好適な接触型センサーを形成する。例えば、このような可動アクチュエータは、可動ボタン、フィンガープレート、またはレバーによって形成することができる。しかし、例えば、可動部品をもたないがユーザーと操作手段の表面との間の接触を検出するために好適である他の接触型センサーを用いてもよい。一実施例では、容量性の、抵抗性の、誘導性の、または光学的な検出に基づくタッチパネルまたはタッチパッドを用いることができる。

【0011】

さらなる実施形態では、例えば非接触型センサーは、電気的に駆動される光学的センサーを含むことができる。操作手段は、非接触ベースまたは非接触型の送信器をさらに含むことができる。非接触型送信器は、デバイスの光学的センサーと協働するリフレクタを含んでもよい。後者の場合、光学的センサーは、リフレクタ上に送られてセンサーへ反射される光ビームをモニターすることができる。ユーザー入力は、その光ビームの割込みにより提供され、したがってセンサーにより検出され得る。別の送信器は、一方の端部はデバイスの光センサーと協働し、他方の端部はユーザーとの相互作用のためにカートリッジに露出している光導波路の２つの端部の間に光信号を導く光導波路によって形成することができる。

【0012】

一実施形態では、操作手段は、操作手段に対するユーザー入力をカートリッジ出力に変換するのに適する。システムは、特にユーザー入力を機械的要素の位置に変換するように適合することができる。したがって、カートリッジ出力は、機械的要素の位置によって表現され得る。機械的要素は、望ましくは、歯科用分配デバイスによって検出可能であり得る少なくとも２つの位置の間で移動可能である。

【0013】

一実施形態では、機械的要素は、例えばユーザーによるアクチュエータの動きがまたロッドの動きを生じさせるように、アクチュエータと機械的に結合されるロッドによって形成される。したがって、アクチュエータの作動という形のユーザー入力がロッドの位置決めに変換される。ロッドは、アクチュエータと共に単一の部分で形成されてもよく、あるいはアクチュエータに取り付けられてもよい。例えば、アクチュエータは、例えば回転軸のまわりの概して円形の経路に沿ってロッドが延長する回転可能なフィンガープレートの形であってもよい。あるいは、アクチュエータはフィンガープレートまたはボタンの形であってもよく、ロッドは１つまたは複数の回転軸または他の任意の好適な伝達を介してアクチュエータに機械的に接続することができる。

【0014】

さらなる実施形態では、機械的要素はアクチュエータによって形成される。例えば、アクチュエータはユーザーによって位置決めするのに適する可動レバーまたは可動ボタンであってもよく、レバーまたはボタンの位置がカートリッジ出力として直接用いられることができる。

【0015】

一実施形態では、カートリッジ出力は非接触信号を含む。信号は光または磁場の形で提供されることができ、信号の異なる状態は光または磁場の異なる強度よって表現されることができる。

【0016】

一般的にカートリッジをデバイスのレセプタクルに配置することは、好ましくは、カートリッジインターフェースとデバイスインターフェースとの間の相互接続を確立する。カートリッジとデバイスインターフェースとが相互接続された状態において、カートリッジ出力がデバイスによって検出され得るように、システムは可能になる。

【0017】

一実施形態では、デバイスは、カートリッジ出力に依存し、したがってユーザー入力にも依存するデバイスの動作を制御するのに適する。特に、デバイスは、好ましくは、カートリッジがデバイスのレセプタクルに置かれている状況においてユーザー入力に依存するデバイスの少なくとも２つの異なる動作モード（または１つの動作モードおよびオフモード）を制御するのに適する。例えば、ユーザー入力の欠如はデバイスを第１の動作モードで動作させ、または動作させないことができ、ユーザー入力はデバイスを第２の動作モードで動作させることができる。さらなるユーザー入力は、デバイスを第１の動作モードにリセットし、またはスイッチをオフにすることができる。ユーザー入力は、好ましくは、デバイスに対するカートリッジの動きから独立している。さらに、カートリッジおよびデバイスは、好ましくは、ユーザー入力の間に、例えばアクチュエータが動く間に、互いにおよそ同じ位置に留まる。デバイスは、好ましくは、デバイスインターフェースを介してカートリッジ出力を検出し、カートリッジ出力に基づいてデバイスを制御するのに適する。

【0018】

一実施形態では、システムは、カートリッジがデバイスのレセプタクルに受け取られている状況において、接触スイッチおよび機械的要素が互いに協働するために配置されるのに適する。例えば、ユーザー入力は、第１の位置から第２の位置への機械的部材の位置決めに変換されることができる。接触スイッチおよび機械的部材は、好ましくは、機械式部材の第１の位置では接触スイッチが不活性化され、機械的部材の第２の位置ではスイッチが活性化されるように互いに配置される。デバイスは、デバイスの動作がカートリッジ出力に依存して開始され、かつ停止され得るように適合することができる。例えば、スイッチが活性化した段階では、デバイスのモーターを動作させる電気回路が閉じることができて、一方、スイッチが不活性化した段階ではモーターのスイッチがオフになる。第１の位置で活性化し、第２の位置で不活化するスイッチによって、等価な解決が実現できることを、当業者は認めるであろう。さらに、スイッチが不活性化した段階で電気回路が閉じてもよく、活性化した段階でモーターのスイッチがオフになってもよい。

【0019】

一実施形態では、カートリッジ出力は符号化された出力を含み、デバイスインターフェースは符号化を認識するためのセンサーを含む。例えば、カートリッジは、異なる色および／または形状（バーコードおよび／またはピンコードのような）の形で符号化を呈する表面を有するアクチュエータを含むことができ、デバイスは符号化を認識するためのセンサーを含むことができる。デバイスに置かれるカートリッジに応じて異なる動作モードでデバイスを動作させるために、符号化を用いることができる。これは、各歯科材料のためのデバイスのカスタマイズされた動作モードで、同じ歯科用分配デバイスで異なる歯科材料が充填された異なるカートリッジの使用を可能にする。デバイスは、歯科材料の分配を開始するユーザー入力により符号化の認識も開始されるように、さらに適合することができる。材料の分配の前に符号化が短く検証されるという点で、これはシステムの信頼性を最大にすることを助けることができる。

【0020】

一実施形態では、デバイスは、さらに、少なくとも１つのプランジャと、モーター動力によってプランジャを駆動するためのドライブと、をさらに含む。ドライブは、モーターとプランジャとの間の伝達を選択的に確立または中断するために切り換えることができる機械的クラッチを含むことができる。一実施例では、デバイスは、プランジャを駆動するための、スピンドルおよびクラスプナットの組み合わせを有する、モーター駆動のスピンドルドライブを備える。クラスプナットおよびスピンドルは、それらを選択的に係合または分離することができて、したがって、また機械的クラッチを形成することができるように適合することができる。しかし、デバイスはプランジャとモーターとの間にギヤによる接続をさらに有してもよく、機械的クラッチはそのギヤによる接続を選択的に確立または中断するように配置されることができる。

【0021】

一実施形態では、システムは、クラッチを切り換えるためにさらにカートリッジ出力が用いられることができるように適合する。したがって、同一のまたは付加的なカートリッジ出力は、クラッチの部材を動かして、モーターとプランジャとの間の伝達を確立または中断させることができる。特定の実施形態では、アクチュエータは機械的要素と機械的に結合され、カートリッジがデバイスのレセプタクルに置かれている状況では、機械的要素はクラッチ部材とさらに機械的に結合される。この特定の実施形態では、デバイスの動作を制御するために、好ましくはモーターのオン／オフを切り換えるために、機械的要素はデバイスのセンサーまたはスイッチとさらに機械的に結合される。

【0022】

一実施形態では、システムは、ユーザー入力がモーターを起動すること、および続いて適時にクラッチを切り換えることを生じさせるように適合する。例えば、システムは、アクチュエータを作動させる（例えば動かす）と、機械的部材が最初にスイッチを作動させて、続いてクラッチ部材（例えばクラスプナット）を別のクラッチ部材との係合に（例えばスピンドルの方に）圧接するように適合することができる。これは、好ましくは、クラッチ部材が容易に係合するのを助け、クラッチのそれ自体嵌合可能な構造が正しく位置合わせされず、その構造が嵌合することを妨げる静的状況を回避することを助ける。例えば、スピンドルおよびクラスプナットのねじのねじ山は、互いに特定の回転位置において、互いに位置合わせされて、スピンドルおよびクラスプナットが係合することを阻止することができる。スピンドルおよびクラスプナットの一方の回転は、この場合にこのような状況を解決するのを助ける。

【0023】

さらなる実施形態では、デバイスは、各々がカートリッジから１つの構成要素を押し出す２つのプランジャを含む。プランジャは、好ましくは、カートリッジから同時に両方の構成要素を押し出すように適合し、または制限される。デバイスは、動的ミキサーを駆動するためのモーター駆動のドライブシャフトをさらに含むことができる。このような動的ミキサーは、好ましくは、混合ロータを駆動するためにデバイスのドライブシャフトに接続可能である混合ロータを混合チャンバ内に有する。さらに、ミキサーは、好ましくは、カートリッジの構成要素チャンバに接続可能である。このようにして、構成要素をミキサー内に押し出すことができ、それらが混合チャンバを通ってミキサーの出口の方へ流れるにつれて、構成要素を混合することができる。

【0024】

本発明のさらなる態様は、歯科用分配デバイスによる押し出しのための歯科材料を保持するためのカートリッジに関する。カートリッジは、ユーザー入力を検出するための操作手段と、ユーザー入力に基づくカートリッジ出力を送信するためのカートリッジインターフェースと、を含む。

【0025】

一実施形態では、操作手段は可動ボタンを含む。ボタンは、ボタンの動きがまたロッドの動きを生じさせるように、ボタンと機械的に結合されるロッドを含むことができる。ロッドは、ボタンと共に１つの部分を形成してもよいし、あるいは、例えば１つまたは複数の回転軸および／または摺動伝達を介して、ボタンと接続されてもよい。ボタンは、好ましくは、ユーザーがボタンを押すために指を置くことができるフィンガー面を有する。ボタンは、好ましくは、ボタンのフィンガー面がカートリッジの外面に露出するようにカートリッジ内に配置される。このようにして、ユーザーはボタンに容易にアクセスすることができる。

【0026】

一実施形態では、ボタンは、カートリッジ内で直線状にまたは回転して動くように配置される。ロッドまたはフィンガー面のボタン下面は、カートリッジの表面から横方向に、またはボタン表面の反対側からアクセスすることができる。したがって、歯科用分配デバイスに置かれるカートリッジは、好ましくは、ユーザーにアクセス可能なボタンのフィンガー面、およびユーザーアクセスから阻止される、システム内部のボタン操作の伝達を提供する。

【0027】

本発明のさらなる態様は、歯科材料がそこから押し出され得るカートリッジを受け取るためのレセプタクルを有する歯科用分配デバイスに関する。歯科用分配デバイスは、カートリッジから歯科材料を押し出すための少なくとも１つのピストン、好ましくは２つのピストンを有することができる。デバイスは、好ましくは、カートリッジインターフェースからカートリッジ出力を受け取るためのインターフェースを有する。デバイスは、好ましくは、カートリッジ出力に応じて動作するように適合し、例えばカートリッジ出力に応答して、スイッチをオンおよび／またはオフに切り換えることができる。インターフェースは、好ましくは、デバイスのレセプタクル内に配置される。したがって、インターフェースは、レセプタクルに置かれるカートリッジによってカバーされる（特にユーザーにアクセスされない）。このようにして、デバイスは、好ましくは、カートリッジの操作手段で検出されるユーザー入力およびユーザー入力に基づいてデバイスに送信されるカートリッジ出力によって動作可能である。

【0028】

一実施形態では、操作手段はカートリッジのユーザーが操作可能な始動／停止ボタンであり、デバイスはユーザーが操作可能な始動／停止ボタンを有しない。これは、デバイスがさらなるスイッチまたはボタンを有することができるが、歯科材料の分配がカートリッジの始動／停止ボタンの操作だけで開始され、および／または終了することができることを意味する。さらにこの点に関して、この明細書では、ユーザーが操作可能なボタンは、カートリッジがデバイスのレセプタクルに置かれるシステムのユーザーに直接アクセス可能であるボタンとみなされる。

【図面の簡単な説明】

【0029】

【図1】本発明の一実施形態による、カートリッジおよびデバイスを含むシステムの斜視図である。

【図2】カートリッジのない図１に示すデバイスの斜視図である。

【図3】本発明の一実施形態による、システムの模式的な側面図である。

【図4】動作モードにおける図３のシステムの模式的な側面図である。

【図5】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図6】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図7】動作モードにおける図６のシステムの模式的な側面図である。

【図8】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図9】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図10】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図11】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図12】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図13】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図14】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図15】本発明の一実施形態による、システムの一部の模式的な上面図である。

【図16】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの模式的な側面図である。

【図17】動作モードにおける図１６のシステムの模式的な側面図である。

【図18】本発明の一実施形態による、さらなるシステムの一部の斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0030】

図１は、歯科材料を分配するためのシステム１０を示す。システム１０は、材料が好ましくは２つの別々の構成成分の形で提供されるカートリッジ１５を受け取るのに適する歯科用分配デバイス１２を含む。カートリッジ１５は、好ましくは、デバイス１２の専用のレセプタクル１１に着脱自在に受け取られる。システム１０は、構成成分を混合するための、それに取り付けられるミキサー２０を有する。材料構成成分は、好ましくは、デバイス１２のプランジャ１４（図２に示す）の動きによって構成成分がミキサー２０に押し出され得る、別々の容器でカートリッジに提供される。いくつかの実施形態では、容器がカートリッジに着脱自在に受け取られ得るが、他の実施形態では、容器がカートリッジの一部を形成してもよいことを、当業者は認識するであろう。前者の場合には（図示するように）、カートリッジ１５は、再使用可能であり、デバイスのプランジャに対して容器を保持し配置するように適合することができる。容器は、例えば出口を有するフォイルバッグ（見えない）であって、プランジャをカートリッジ内に動かすことによって、材料構成成分を押し出すために圧縮されることができる。このようなカートリッジは、例えば、ＷＯ ２００５／１２７７４１に開示されている。後者の場合、材料構成成分は、カートリッジ内に直接格納されることができて、プランジャをカートリッジ内に動かすことによりカートリッジピストンを前方に押すことによって、そこから押し出されることができる。本発明によれば、カートリッジは、ユーザー入力を検出するための操作手段１３（例えばボタン）を含み、ユーザー入力はデバイスの動作を制御する際に用いられることができる。システム１０は、例えば歯科材料の押し出しを開始および／または停止するために、（以下でより詳細に説明するように）カートリッジ１５からデバイス１２へこのようなユーザー入力を伝達または送信するようにさらに適合する。

【0031】

ミキサー２０は、個別の構成成分がミキサー２０の混合チャンバに送られて、そこで例えば構成成分をマージして混合物を形成させる回転する混合ロータの助けによって構成成分が混合され得るように、容器と接続される。混合物は、ミキサー２０の出口２３を通って放出されることができる。図示するシステム１０は、例えば、硬化可能な歯科印象材料を混合し分配するために用いられることができる。混合された歯科印象材料は、例えばデンタルトレーを充填するよう使用されてもよく、このトレーは、次に患者の口内に配置されて歯科印象が取られる。図示するシステム１０のミキサー２０は、システム１０で交換可能に取り付けられる。したがって、混合された材料が硬化してミキサーを詰まらせる場合には、システム１０の次の使用のために使用済みミキサーを未使用ミキサーと交換することができる。同様のシステムおよびデバイスは、３Ｍ ＥＳＰＥ ＡＧ（Ｇｅｒｍａｎｙ）から商標名３Ｍ（商標）ＥＳＰＥ（商標）Ｐｅｎｔａｍｉｘ（商標）で入手可能である。

【0032】

図３は、歯科材料を分配するためのシステム１００の一例を示す。図１および図２に示すシステムは、この図においていくつかの点でより模式的に示しているが、システム１００はそれに概して対応する。さらに、図示するシステム１００は、特定の例に関してさらに詳細を示している。システム１００は、歯科材料分配デバイス１５０およびカートリッジ１２０を含む。カートリッジ１２０は、デバイス１５０に着脱自在に配置される。さらに、カートリッジ１２０は、ユーザー入力を検出するための操作手段１２１を含む。本例では、操作手段１２１は、不活性位置（図３に示す）と活性位置（図４に示す）との間で動くためにカートリッジ１２０内に懸架されるボタン１２２を含む。操作手段１２１は、不活性位置または活性位置の一方に再設定するように（例えば不活性位置に示すように）適合することができる。あるいは、操作手段は、活性位置および不活性位置（図示せず）の両方に位置して静止するように適合することができる。本例では、ばね１２３がボタン１２２を不活性位置に圧接する。したがって、ユーザーはばね荷重に対抗してボタン１２２を活性位置の方へ押すことができ、ばね１２３はリリースによりボタン１２２を自動的にリセットすることができる。

【0033】

ボタン１２２は磁気的要素１２４を含み、デバイス１５０は磁気的要素１２４と協働するためのリードスイッチ１５１を有する。リードスイッチ１５１は、一般的には、リードスイッチの近傍の磁場の変化によりスイッチを切り換える、例えば電気回路または接点を閉じるかまたは遮断するように適合する。図示する例では、リードスイッチ１５１はいわゆるＮＯＣ（常時開接点）スイッチであって、それが磁場にさらされた場合、または、強さが所定のしきい値より小さい磁場にさらされた場合に内部導体を遮断する。さらに図示するリードスイッチ１５１は、所定のしきい値より大きい強さの磁場にさらされた場合に接点を閉じる。図３に示す状況では、ボタン１２２は不活性位置にあり、したがって、磁気的要素１２４はデバイス１５０のリードスイッチ１５１に対して離れた位置にある。磁気的要素１２４が離れた位置にある場合は、リードスイッチ１５１が接点を開くように、リードスイッチ１５１に作用する磁場の強さは所定のしきい値より小さい。ボタン１２２を活性位置の方へ動かすことにより、磁気的要素１２４がリードスイッチ１５１に接近して、リードスイッチ１５１に作用する磁場の強さが増加する。一旦、リードスイッチ１５１を所定のしきい値より大きい強さの磁場にさらすのに十分なほど磁気的要素１２４が近づくと、リードスイッチ１５１は接点を閉じる。このようにして、カートリッジ１２０とデバイス１５０との間の非接触インターフェースが提供される。さらに本例では、インターフェースは、デバイスに対するユーザー入力に基づく非接触カートリッジ出力を送信するように、この特定の例では磁場を介して、適合する。したがって、システム１００は、カートリッジ１２０の操作手段１２１のユーザー入力によって磁気的要素１２４がデバイス１５０のリードスイッチ１５１に対して移動するように適合し、それによって生じるリードスイッチ１５１における磁気的要素１２４からの磁場の変化がリードスイッチ１５１の切り換えを起動させる。

【0034】

磁気的要素の代わりに、磁気リードスイッチと組み合わせた金属的要素を用いることにより同一の機能が達成されることを、当業者は認識するであろう。さらに、機械的リードスイッチの代わりに、例えば誘導性または容量性の近接スイッチなどの他の任意の近接スイッチを適切に用いることができる。このような誘導性または容量性の近接スイッチは、さらに磁気的要素または金属的要素と組み合わせて用いてもよい。さらに、磁気的要素および／または金属的要素が、金属粒子および１つもしく複数の非金属、磁気粒子および非金属、または磁性粒子、金属粒子、および非金属粒子の組み合わせを含む化合物で形成することができることを、当業者は認識するであろう。さらに、スイッチおよび金属的／磁気的要素の位置を逆転させる一般的な可能性を当業者は認識するであろうが、ただしこれは好ましくない。例えば、スイッチがカートリッジに設けられ、磁気的／金属的要素がデバイスに設けられる実施形態を提供することができる。このような実施形態では、カートリッジは、スイッチをデバイスと接続するための付加的な接点インターフェースを有してもよい。

【0035】

図５は、デバイス４５０’に配置される付加的なレバー４５２を含むことを除いて、図３および図４に示す実施形態と同一であるシステム２００’を示す。レバー４５２は、レバー４５２の動きに応じてボタン１２２が動くように配置される。この例では、操作手段を形成するボタン１２２を有する代替的な分配デバイスと共にカートリッジを用いることができるが、付加的なレバーは操作手段を形成する。

【0036】

図６は、デバイス２５０およびカートリッジ２２０を有する、歯科材料を分配するためのシステム２００のさらなる例を示す。カートリッジ２２０は、デバイス２５０に着脱自在に配置される。カートリッジ２２０は、回転可能なレバー２２２の形で操作手段２２１を有する。本例では、レバー２２２は回転軸２２３によってカートリッジに懸架され、レバー２２２は各々が回転軸２２３から離れて延長する第１および第２のレバーアーム２２２ａ、２２２ｂを形成する。レバー２２２は、第１のレバーアーム２２２ａがユーザーに対してアクセス可能であるように、および第２のレバーアーム２２２ｂがスイッチ２５１と協働するように、配置される。したがって、好ましくは、第１のレバーアーム２２２ａを作動させることによって（例えば図７に示すように、ユーザーが第１のレバーアーム２２２ａをカートリッジの方へ押し下げることによって）、第２のレバーアーム２２２ｂがスイッチ２５１を動作させる。図示する例では、スイッチ２５１は、例えば電子回路で典型的に用いられるマイクロスイッチなどの機械的スイッチである。しかし、電気回路または接点を閉じるかまたは遮断するのに適する任意のスイッチを同様に用いることができることを、当業者は認識するであろう。このようなスイッチは、例えば、レバー２２２が作動する位置に応じて第２のレバーアーム２２２ｂが遮断するかまたは取り除く光障壁を有することができる。さらに、近接スイッチに対する第２のレバーアーム２２２ｂの距離に応じて切り替わる近接スイッチを用いることができる。

【0037】

このようにして、レバー２２２は、第１のレバーアーム２２２ａの位置によってユーザー入力を検出することを可能にする。さらに、レバー２２２は、第２のレバーアーム２２２ｂの対応する位置によって第２のレバーアーム２２２ｂにユーザー入力を送信するように適合する。したがって、レバー２２２は、操作手段２２１に対するユーザー入力に基づいてカートリッジ出力を送信するためのインターフェースの少なくとも一部を形成する。この例では、カートリッジ出力は、第２のレバーアーム２２２ｂの位置を含む。カートリッジ出力は可変である。例えば、第１のカートリッジ出力は第２のレバーアーム２２２ｂの第１の位置（図６に示す）に基づいてもよく、第２のカートリッジ出力は第２のレバーアーム２２２ｂの異なる第２の位置（図７に示す）に基づいてもよい。第１のカートリッジ出力は、第１の位置ではスイッチ２５２を非活性化し、第２の位置ではスイッチを活性化することができる。カートリッジ出力が例えば第１の位置と第２の位置との中間位置または外側の位置などの付加的な位置に基づいてもよいことを、当業者は認識するであろう。したがって、個別のオン／オフスイッチの代わりに、例えば概して連続的な位置範囲内で第２のレバーアームの様々な位置を検出するように適合する制御要素を用いることができる。デバイス２５０は、カートリッジ出力を検出するためのインターフェースをさらに有する。本例では、インターフェースは、スイッチ２５１によって少なくとも部分的に形成される。

【0038】

本例では、２つのレバーアーム２２２ａ、２２２ｂは、Ｌ字形状に配置される。Ｌ字形状のレバーは、レバーアーム２２２ｂの１つがカートリッジ２２０内に延長し、レバーアーム２２２ａの他の１つがカートリッジ２２０の外側に露出する表面を形成するように、カートリッジ２２０に配置される。しかし、他の形状のレバーが可能である。

【0039】

図８は、歯科材料を分配するためのシステム３００のさらなる例を示す。システムは、デバイス３５０およびカートリッジ３２０を有し、後者はデバイス３５０に着脱自在に置かれる。この例では、操作手段３２１は、カートリッジ３２０に可動に配置される。操作手段３１２は、プッシュロッド３２４を備えるボタン３２２を有する。ボタン３２２は、それがユーザーに対してアクセス可能であるように、およびプッシュロッド３２４がデバイス３５０のスイッチ３５１と協働するように配置される。したがって、好ましくは、ボタン３２２を作動させることによって（例えばユーザーがボタン３２２をデバイス３５０の方へ押すことによって）プッシュロッドがスイッチ３５１を動作させる。図６および図７の例について説明したように、異なる動作モードを選択するために、異なるタイプのスイッチを用いることができる。

【0040】

さらに図６および図７の例のように、ユーザー入力が操作手段（この例ではボタン３２２）の位置によって検出され、操作手段、すなわち、それの一部またはそれに接続される一部が、デバイス３５０に対してユーザー入力に基づくカートリッジ出力を送信するためのインターフェースの少なくとも一部を形成する。この例におけるカートリッジ出力は、プッシュロッド３２４の位置を含む。

【0041】

図９は、歯科材料を分配するためのシステム４００を示す。システムは、デバイス４５０およびカートリッジ４２０を有する。この例では、操作手段４２１は、フィンガースペース４２２およびリフレクタ４２３によって形成される。リフレクタ４２３は、カートリッジ４２０がデバイス４５０に置かれる状況において光センサー４５１と協働するようにカートリッジ４２０に配置される。さらに、カートリッジ４２０がデバイス４５０に置かれる状況において、操作手段４２１、フィンガースペース４２２、および光センサー４５１は、フィンガースペース４２２に指を（適切に）入れることによって、光センサー４５１からリフレクタ４２３に向かって、および／またはリフレクタ４２３から光センサー４５１に向かって送出される光線を遮断するように、配置される。この例では、カートリッジ出力は非接触であって、具体的にはリフレクタ４２３から反射される光学的信号である。光センサー４５１は、デバイスを制御するための回路に電気信号を提供するように好ましく適合する。

【0042】

図１０は、カートリッジインターフェースが２つの異なる出力の組み合わせを含むシステム５００を示す。カートリッジ５２０は、図３および図４に示す操作手段と機能的に同一である操作手段５２１を有する。具体的には、操作手段は、ボタン５２２の動きがまた磁気的要素を動かすように磁気的要素５２４と機械的に結合されるボタン５２２を有する。デバイス５５０は、図３および図４に示すスイッチと同一であるリードスイッチ５５１を有する。それゆえに、操作手段５２１およびリードスイッチ５５１の協働は、図３および図４に示す例で説明した協働に対応する。具体的には、ボタン５２２の動きによって磁石要素５２４がリードスイッチ５５１に対して動き、リードスイッチ５５１に対する磁気的要素５２４の位置に応じて、リードスイッチ５５１が切り替わる。デバイス５５０は、カートリッジ５２０がデバイス５５０に置かれる状況において、操作手段５２１と機械的に協働するクラッチ部材５６０をさらに有する。具体的には、カートリッジ５２０がデバイス５５０に置かれる状況において、操作手段５２１を動かすことによってクラッチ部材５６０も動くように、操作手段５２１はクラッチ部材５６０と機械的に結合される。このようにして、カートリッジインターフェースは、非接触出力に加えて接触出力または機械的出力をさらに提供する。本例におけるクラッチ部材５６０は、スピンドルドライブ（見えない）のクラスプナットに接続される。したがって、操作手段５２１の操作は、電気的スイッチを切り換えるだけでなく、クラスプナットおよびスピンドルドライブのスピンドルを係合または分離することができる。

【0043】

図１１は、カートリッジインターフェースが２つの異なる出力のさらなる組み合わせを含むシステム６００を示す。カートリッジ６２０は、図３および図４に示す操作手段と機能的に同一である操作手段６２１を有する。この例では、デバイス６５０は、クラッチ部材６６０の動きによってリードスイッチ６５１も動くようにクラッチ部材６６０に機械的に結合されるリードスイッチ６５１を有する。さらに、カートリッジ６２０がデバイス６５０に置かれる状況において、検出部材６２１を動かすことによってリードスイッチを含むクラッチ部材６６０も動くように、クラッチ部材６６０は操作手段６２１と機械的に結合される。カートリッジは、検出部材６２１から独立し、カートリッジの定位置に配置される磁気的要素６２４を有する。したがって、検出部材６２１を動かすことによって、リードスイッチ６５１が磁気部材６２４に対して動き、このようにして磁気部材６２４に対する位置に応じてリードスイッチ６５１が切り替わる。

【0044】

図１２は、カートリッジ７２０に可動に懸架される操作手段７２１を有するカートリッジ７２０を有するシステム７００を示す。操作手段７２１は、カートリッジ７２０がデバイス７５０に置かれる状況において、検出部材７２１を動かすことによってクラッチ部材７６０も動かすように、クラッチ部材７６０と機械的に結合されるボタン７２２を有する。クラッチ部材７６０は、機械的スイッチ７５１とさらに協働する。具体的には、クラッチ部材７６０および機械的スイッチは、スイッチ７５１がクラッチ部材７６０の位置に応じて切り替わるように配置される。このようにして、カートリッジインターフェースは、接触出力または機械的出力をさらに提供する。

【0045】

図１３は、図１２に示したものと同一のデバイス７５０を有するシステム７００’を示すが、カートリッジ７２０’は代替的な操作手段７２１’を有する。操作手段７２１’は、第２の回転可能なレバー７２２ｂをカートリッジから離れて動かすことによって第１の回転可能なレバー７２２ａをカートリッジの方へ動かすように、ギヤによる接続によって結合される第１の回転可能なレバー７２２ａおよび第２の回転可能なレバー７２２ｂを有する。カートリッジ７２０’がデバイス７５０に置かれる状況において、第１の回転可能なレバー７２２ａは、クラッチ部材７６０と機械的に結合される。

【0046】

図１４は、操作手段８２１が回転可能なレバー８２２の形で配置されるカートリッジ８２０を有するさらなるシステム８００を示す。回転可能なレバーは、第１の端部で回転可能に懸架され、自由な第２の端部を有する。第１の端部は、レバーの回転に応じて回転する磁気的部材８２４を含む。したがって、デバイス８５０のリードスイッチ８５１は、レバー８２２の回転位置に応じて切り替わる。

【0047】

図１５は、レバー９２２の第１の位置に向かう回転がスイッチ９５１ａを活性化し、対向する第２の位置に向かう回転がスイッチ９５１ｂを活性化するように、操作手段９２１が２つのスイッチ９５１ａ、９５１ｂと機械的に結合される回転可能なレバー９２２を有するシステム９００を示す。さらに、レバー９２２の第１の位置に向かう回転はスイッチ９５１ｂを非活性化し、対向する第２の位置に向かう回転はスイッチ９５１ａを非活性化する。レバー９２２とスイッチ９５１ａ、９５１ｂとの間の機械的結合は、カートリッジ９２０がデバイス９５０に置かれる状況において確立される。このようにして、システムは、第１の位置または第２の位置に向かうレバーの回転によってデバイスの２つの異なる動作モード間の選択が可能になるように適合する。

【0048】

図１６は、歯科材料を分配するためのデバイス１０５０およびカートリッジ１０２０を有するシステム１０００を示す。カートリッジ１０２０は、本例では回転可能なレバー１０２２によって形成される操作手段１０２１を有する。レバー１０２２は、ユーザー入力を受け取るかまたは検出するための第１のレバーアーム１０２２ａ、およびウィンドウ１０２４を有する第２のレバーアーム１０２２ｂを有する。第２のレバーアーム１０２２ｂは、カートリッジ１０２０のミラー１０２３とデバイスの光学的センサー１０５１との間に配置される。ユーザー入力が存在する第１のレバー位置（図１７に示す）とユーザー入力が存在しない第２のレバー位置（図１６に示す）との間のレバー１０２２の操作により、ウィンドウ１０２４は、それぞれ第１のウィンドウ位置（図１７）と第２のウィンドウ位置（図１６）との間で動く。第１のウィンドウ位置（図１７）では、光学的センサー１０５１およびミラー１０２３は相互作用することができるが、第２のウィンドウ位置では、ミラー１０２３と光学的センサー１０５１との間の線が第２のレバーアーム１０２２ｂによって遮断される。光学的センサー１０５１は、好ましくは、光学的センサー１０５１によって検出される光学的信号に一致するデバイスの機能の制御を可能にする回路に接続される。

【0049】

図１８は、第１の操作手段１１２１ａおよび第２の操作手段１１２１ｂを有するカートリッジ１１２０の一部を示す。第１の操作手段１１２１ａおよび第２の操作手段１１２１ｂの各々は、図示するように符号化を含むことができる光学的インジケータ１１２４ａ、１１２４ｂを含む。デバイス（図示せず）は、第１の操作手段１１２１ａおよび第２の操作手段１１２１ｂの符号化を認識するように適合する光学的センサーを有することができる。デバイスは、符号化に応じてデバイスの１つまたは複数の機能を制御するようにさらに適合することができる。例えば、分配速度および／または混合速度は、符号化に応じて制御することができる。このようにして、デバイスに置かれる特定の歯科材料に好適な方法でその動作を自動制御する同一のデバイスで、異なる歯科材料を保持する異なるカートリッジを用いることができる。

【0050】

当業者は、本発明を逸脱せずに上記の実施例の多くの変形を認識するであろう。具体的には、異なるセンサーおよび／もしくはスイッチ、または組み合わせを用いることができる。さらに、本明細書に記載した全ての実施例において、好ましくはカートリッジおよびデバイスが分離可能であり、特に、好ましくはカートリッジがデバイスのレセプタクル内で着脱自在に配置可能であることは、当業者には明らかであろう。全ての実施例において、デバイスに送信されるカートリッジ出力は、デバイスの１つまたは複数の機能を制御するために用いられることができる。好ましい実施形態では、デバイスを活性化および／または非活性化するために、言い換えれば、デバイスのオン／オフを切り換えて、歯科材料を分配するために、および／またはそれの分配を停止するために、カートリッジ出力を用いることができる。本発明の実施態様の一部を以下の項目［１］−［１３］に記載する。
[１]
歯科材料を分配するシステムであって、
−前記歯科材料がそこから押出可能であるカートリッジであり、
前記カートリッジは、ユーザー入力を検出するための操作手段と、前記操作手段により検出される前記ユーザー入力に基づくカートリッジ出力を提供するためのインターフェースと、を含み、前記操作手段は接触型センサーまたは非接触型センサーを含む、カートリッジと、
−歯科用分配デバイスであり、
前記カートリッジを受け取るためのレセプタクルと、前記カートリッジから前記歯科材料を押し出すための少なくとも１つのピストンと、を含む歯科用分配デバイスと、を含み、
前記デバイスは、前記カートリッジ出力を検出するためのインターフェースを有し、前記カートリッジ出力を認識するために、前記デバイスインターフェースは、非接触型センサーまたは接触スイッチを含む、システム。
[２]
前記操作手段は接触型センサーを含む、項目１に記載のシステム。
[３]
前記接触型センサーは可動アクチュエータであり、例えばボタン、フィンガープレート、またはレバーである、項目２に記載のシステム。
[４]
前記操作手段は、操作手段により検出される前記ユーザー入力を前記カートリッジ出力に変換するように、特に前記ユーザー入力を機械的要素の位置に変換するようにさらに適合し、そのようにして、前記カートリッジ出力が前記機械的要素の前記位置によって表現され、前記機械的要素は、前記アクチュエータによって、または、前記アクチュエータの動きがまたロッドの動きを生じさせるように前記アクチュエータと機械的に結合される前記ロッドによって形成される、項目３に記載のシステム。
[５]
前記カートリッジ出力は非接触信号を含む、項目１乃至４のいずれかに記載のシステム。
[６]
前記デバイスは、前記カートリッジ出力に依存する前記デバイスの動作を制御するように適合する、項目１乃至５のいずれかに記載のシステム。
[７]
前記デバイスは、前記デバイスの前記動作が前記カートリッジ出力に依存して開始され、かつ停止され得るように適合する、項目３に記載のシステム。
[８]
前記デバイスインターフェースは、非接触型センサーまたは接触スイッチを含む、項目１乃至７のいずれかに記載のシステム。
[９]
前記カートリッジ出力は符号化された出力を含み、前記デバイスインターフェースは前記符号化を認識するためのセンサーを含む、項目１乃至８のいずれかに記載のシステム。
[１０]
前記デバイスは、少なくとも１つのプランジャと、モーター動力によって前記プランジャを駆動するためのドライブと、を含み、前記ドライブは、前記モーターと前記プランジャとの間の伝達を選択的に確立または中止するために切り換えることができる機械的クラッチを含み、前記システムは、前記カートリッジ出力が前記クラッチを切り換えるためにさらに用いられることができるように適合する、項目１乃至９のいずれかに記載のシステム。
[１１]
ユーザー入力は、前記モーターを起動すること、および続いて適時に前記クラッチを切り換えることを生じさせるように適合する、項目１０に記載のシステム。
[１２]
歯科用分配デバイスによる押し出しのための歯科材料を保持するためのカートリッジであって、前記カートリッジは、ユーザー入力を検出するための操作手段と、前記ユーザー入力に基づくカートリッジ出力を送信するためのカートリッジインターフェースと、を含み、前記操作手段は、可動ボタンと、前記ボタンの動きがまたロッドの動きを生じさせるように前記ボタンと機械的に結合される前記ロッドと、を含む、カートリッジ。
[１３]
歯科材料がそこから押し出され得るカートリッジを受け取るためのレセプタクルと、前記カートリッジから前記歯科材料を押し出すための少なくとも１つのピストンと、を有する歯科用分配デバイスであって、前記デバイスは、カートリッジインターフェースからカートリッジ出力を受け取るためのインターフェースを有し、前記デバイスは、前記カートリッジの操作手段で検出されるユーザー入力、および前記ユーザー入力に基づいて前記デバイスに送信される前記カートリッジ出力によって動作可能である、歯科用分配デバイス。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】