(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334532
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】管腔内装置の配置のシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/97 20130101AFI20180521BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20180521BHJP
【FI】
A61F2/97
A61F2/07
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-526662(P2015-526662)
(86)(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公表番号】特表2015-524341(P2015-524341A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013053902
(87)【国際公開番号】WO2014025853
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】13/959,540
(32)【優先日】2013年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/682,136
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エム.ノリス
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/068046(WO,A2)
【文献】
特表2006−515786(JP,A)
【文献】
特表平9−500036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/97
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリにおいて、
先頭端部と、後尾端部と、前記先頭端部と前記後尾端部との間を延びる管腔とを有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記先頭端部に向けて配置されている拡張可能な装置であって、血管治療部位への前記拡張可能な装置の管腔内的送達に適している折り畳み形態と、前記折り畳み形態の外周寸法よりも大きい外周寸法を有する拡張形態とを有する拡張可能な装置と、
前記拡張可能な装置の周囲を延びる一次スリーブであって、第1の主面及び第2の主面を有する材料のシートと、前記第1の主面と前記第2の主面との間を延びる複数の開口とを備える一次スリーブと、
前記折り畳み形態に向けて前記拡張可能な装置を拘束するために、前記シートの一部分を互いに解放自在に連結するための、前記一次スリーブ内の前記開口と係合させられた一次連結部材とを備え、
前記一次スリーブは、前記拡張可能な装置上を延びており、且つ、前記拡張可能な装置が前記拡張形態に向かって外方に拡張することを可能にするために前記一次スリーブから前記一次連結部材を係合解除することによって開くことが可能である遠位部分を含み、及び、前記一次スリーブは、前記拡張可能な装置から分離しており、且つ、前記拡張形態に向かう前記拡張可能な装置の拡張後における前記血管治療部位からの前記一次スリーブの取り外しを容易化するための、使用者によって到達可能な前記カテーテルの一部に滑動自在に連結されている近位部分を有する、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記一次スリーブの前記近位部分は、前記一次スリーブの近位端部に対する使用者による到達を可能にするために、前記カテーテルの前記管腔の中を通って前記カテーテルの近位端部に向かって延びる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記一次スリーブは、前記カテーテル内に形成されている側方開口の中を通って前記管腔の中に延びる請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記一次スリーブの前記近位部分に連結されているノブを含む請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記ノブは前記カテーテルに解放自在に連結されている請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記ノブは、前記一次スリーブの少なくとも一部分が前記拡張可能な装置の上に重なる第1の位置と、前記一次スリーブが前記拡張可能な装置から間隔を置かれている第2の位置との間の移動のために、前記カテーテルに滑動自在に連結されている請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記拡張可能な装置は自己拡張型のステントグラフトである請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記折り畳み形態よりも大きく、且つ、前記一次スリーブを開いた後の前記拡張形態よりも小さい、中間的な外周寸法に前記拡張可能な装置を維持する、二次スリーブを含む請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記二次スリーブは、第1の主面及び第2の主面を有する材料の第2のシートと、前記第1の主面と前記第2の主面との間を延びる複数の開口とを備える一次スリーブとを備える請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記中間的な外周寸法に前記拡張可能な装置を拘束するように前記材料の第2のシートの一部分を解放自在に互いに連結するための、前記二次スリーブ内の前記開口に係合させられている二次連結部材を含む請求項9に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記二次スリーブは前記拡張可能な装置に固定的に取り付けられており、及び、前記拡張可能な装置の配置後に前記拡張可能な装置と共に前記治療部位に残留する請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記二次スリーブはePTFEを含む請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記一次スリーブはePTFEで形成されている請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年8月10日付けで出願された標題「管腔内装置の配置のシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS OF DEPLOYMENT OF ENDOLUMINAL DEVICES)」の米国仮出願第61/682,136号明細書に基づく優先権を主張し、この開示内容の全体が本明細書中に参照として援用される。
【0002】
本発明は、管腔内装置に関し、及び、さらに特に、管腔内装置の配置のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
管腔内治療は、典型的には、遠隔の血管内の小さな(多くの場合に、経皮的な)到達部位を経由して脈管構造の中に移植可能な人工器官を輸送するための送達カテーテルの挿入を含む。脈管構造に対する到達が実現した後に、送達カテーテルが、人工器官の管腔内送達と、これに続く、幾つかの方法の1つによる人工器官の配置とを仲介するために使用される。この方法では、人工器官は、治療成果を得るために、遠隔的に移植されることが可能である。従来の外科的治療とは対照的に、管腔内治療は、その「最小侵襲的」性質によって特徴付けられている。
【0004】
拡張可能な管腔内装置は、ステント間隙の上を覆うグラフトを伴うか又は伴わない形で、グラフト又はステント構成要素によって構成されることが可能である。この管腔内装置は、拘束装置が取り外されるか又はバルーン拡張させられる時に、その送達直径から、特定の範囲内の中間的な直径を経由して、予め決められている最大の機能直径に拡張するように設計されている。
【発明の概要】
【0006】
治療部位における管腔内装置の配置及び/又は調整された配置及び/又は位置決めの容易性を特に促進する、移植可能な管腔内装置の配置の改良されたシステム及び方法を提供することが依然として望まれている。
添付図面が、本開示の更なる理解を実現するために含まれており、及び、本明細書に組み入れられており且つ本明細書の一部分を構成し、及び、本開示の実施形態を示し、及び、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は
、カテーテルアセンブリの
斜視図である。
【
図2】
図2は
、カテーテルアセンブリの
斜視図であ
り、一次スリーブの開放状態を示す。
【
図3】
図3は
、カテーテルアセンブリの
斜視図であ
り、一次スリーブの後退状態示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
当業者は、本開示の様々な側面が意図された機能を果たすように構成されている任意の方法及び装置によって実現されることが可能であるということを容易に理解するだろう。言い換えると、他の方法及び装置が、意図された機能を果たすために本明細書に取り入れられることが可能である。さらに、本明細書で言及されている添付図面のすべてが、必ずしも一律の縮尺で描かれている訳ではなく、本開示の様々な側面を例示するために誇張されていることがあり、及び、この点において、添付図面は限定的なものと見なされてはならないということに留意されたい。最後に、本開示は様々な原理と見解とに関連付けて説明されることが可能であるが、本開示は理論によって拘束されるべきではない。
【0009】
本明細書の全体において,及び、特許請求項において、術語「遠位の(distal)」は、移植される時に、その管腔内装置の別の部分よりも血液流に関してさらに下流に位置している、管腔内装置(例えば、ステント−グラフト)の一部分の場所又は部分を意味する。同様に、術語「遠位に(distally)」は、血液流の方向、又は、血液流の方向においてさらに下流を意味する。
【0010】
術語「近位の(proximal)」は、移植される時に、その管腔内装置の別の部分よりも血液流に関してさらに上流にある管腔内装置の位置又は部分を意味する。同様に、術語「近位に(proximally)」は、血液流の方向に対して反対の方向、又は、血液流の方向から上流を意味する。
【0011】
術語「近位の」及び「遠位の」にさらに関連して、及び、本開示が周辺的及び/又は中心的な接近(peripheral and/or central approach)に限定されないので、本開示は、これらの術語に関連して狭義に解釈されるべきではない。むしろ、本明細書で説明されている装置及び方法は、患者の解剖学的構造に相関して変更及び/又は調整されることが可能である。
【0012】
本明細書全体において、及び、特許請求項において、術語「先頭の(leading)」は、患者の脈管構造の中に挿入されてこの脈管構造の中を前進させられる装置の端部により近い、装置上の相対的な場所を意味する。術語「後尾の(trailing)」は、患者の脈管構造の外側に位置している装置の端部により近い、装置上の相対的な場所を意味する。
【0013】
様々な実施形態では、カテーテルアセンブリが、患者の体内の血管部材のような治療部位に向けた移植片の管腔内送達に適している第1の外周寸法(peripheral dimension)に向かって、拡張可能な管腔内ステントグラフトのような拡張可能な移植片を解放自在に拘束する拘束スリーブを使用する。本開示の目的に関して、術語「拘束する(constrain)」は、(i)拡張可能な移植片の直径の、自己拡張による拡張、又は、装置によって補助された拡張を制限すること、又は、(ii)(例えば、貯蔵又は生体適合性を目的として、及び/又は、拡張可能な移植片及び/又は脈管構造に対する保護を実現するために)拡張可能な移植片を覆うか、包囲するか、又は、他の形で拘束することを意味するだろう。
【0014】
様々な実施形態では、スリーブの遠位部分が、第1の外周寸法よりも大きい第2の外周寸法に向かう移植片の外方への拡張を可能にする働きをする。このスリーブの近位部分は、使用者がこのスリーブの近位部分に手が届くことを可能にするように、移植片の近位端部を越えてカテーテルの近位端部に向かって延びる。移植片の拡張を可能にするためにスリーブの遠位部分を開いた後に、使用者は、そのスリーブの近位部分を引っ張ることによってそのスリーブを取り外すことが可能である。他の実施形態では、スリーブの取り外しを容易にするために、ハンドル又はノブが、そのスリーブの近位部分に連結されることが可能である。
【0015】
様々な実施形態では、例えば
図1から
図3に示されているように、カテーテルアセンブリ10が、互いに反対側に位置している近位端部110と遠位端部120と、近位端部110と遠位端部120との間を延びる管腔130とを有するカテーテル100を含む。このカテーテルアセンブリ10は、さらに、カテーテル100の遠位端部120に取り付けられている、拡張可能な管腔内ステントグラフトのような拡張可能な移植片300も含む。この移植片300は自己拡張式であることが可能であり、又は、この移植片300は、バルーンのような拡張可能な装置によって拡張されることが可能である。
【0016】
様々な実施形態では、カテーテルアセンブリ10は拘束スリーブを含み、この拘束スリーブは、患者の体内の血管部材のような治療部位に向けた移植片300の管腔内送達に適している、例えば
図1に示されているような、第1の外周寸法を有する折り畳み形態に移植片300を解放自在に拘束する。拘束スリーブは管状であることが可能であり、及び、拡張可能な移植片を拘束するように構成されることが可能である。こうした構成では、スリーブは、拡張可能な移植片の上を覆って延びる材料の薄壁チューブから形成されるか、又は、拡張可能な移植片の周囲に巻き付けられているか又は折り曲げられている1つ又は複数の材料のシートから形成されることが可能である。あるいは、代替策として、薄壁チューブを平らにすることによってシートが形成されることもある。スリーブは、ePTFE又は他の適切なフィルム又は膜のようなグラフト部材を形成するために使用される材料に類似した材料を含むことが可能である。
【0017】
様々な実施形態では、スリーブは、1つ又は複数の材料のシートの2つの概ね平行な端縁が実質的に位置合わせされるように、その1つ又は複数の材料のシートを巻き付けるか又は折り曲げることによって形成されることが可能である。上記の位置合わせは、カテーテルアセンブリのカテーテル軸に対して平行であるか又は同軸的であってよく、又は、平行でないか又は同軸的でなくともよい。様々な実施形態では、1つ又は複数の材料のシートの端縁は互いに接触しない。
【0018】
様々な実施形態では、1つ又は複数の材料のシートの端縁は互いに接触せず、及び、連結部材によって連結させられている。様々な他の実施形態では、1つ又は複数の材料のシートの端縁は、その1つ又は複数のシートの同一の側面(例えば、シートの表面又は裏面)が互いに接触しているか又は互いに隣接しているように、位置合わせされている。さらに別の実施形態では、1つ又は複数の材料のシートの互いに反対の側面の端縁が、シートの一方の側面の一部分が他方の側面の一部分と接触している形でその端縁が互いに重なり合うように、互いに接触している。言い換えると、シートの表面がそのシートの裏面に重なるか、又は、シートの裏面がそのシートの表面に重なる。
【0019】
様々な実施形態では、1つ又は複数のスリーブを形成するために使用される1つ又は複数の材料のシートは、各々の端縁の一部分に沿って又は大半の長さに沿って延びる一連の開口を備えるだろう。この構成では、細長い連結部材が、1つ又は複数の材料のシート内の一連の開口の中を通過して編まれるか又は縫い閉じられ、及び、これによって、その2つの端縁の各々を解放自在に互いに固定してチューブを形成することが可能である。
【0020】
様々な実施形態では、連結部材、又は、複数の連結部材は、スリーブの選択的な一部分を解放するか又は「開く」ために、又は、スリーブの一部分を階段状に開くように、編まれるか又は他の形に構成されることが可能である。例えば、
図1から
図3では、拘束スリーブ200は、移植片300上を概ね全体にわたって延びる遠位部分210を含む。連結部材230は、遠位部分210に沿ってスリーブ200の端縁を固定するために、且つ、これによって、
図1に例示的に示されているように、管腔内送達に適している拘束された外周寸法、即ち、第1の外周寸法に移植片300を解放自在に拘束するために、スリーブ200の開口240を通して編まれている。
図2に例示的に示されているように、第1の外周寸法よりも大きい第2の外周寸法に向かう移植片300の外方への拡張を可能にするために、スリーブ200の遠位部分210は、連結部材230を開口240からスリーブ200の遠位部分210に沿って移動させることによって解放されるか又は開かれることが可能である。例えば、スリーブの遠位部分は、配置外周寸法に向かう移植片の拡張を可能にするために開かれることが可能であり、及び、この配置外周寸法は、血管内での牽引嵌合(traction fit)を実現するために、修復されるべき血管と概ね同一だろうし、又は、処置されるべき血管よりもわずかに大きいだろう。
【0021】
様々な実施形態では、例えば
図2に示されているように、連結部材230は、使用者による連結部材230への到達とその操作を容易化するために、カテーテル100内の側方開口140を経由してカテーテル管腔130の中を通されることが可能である。
【0022】
スリーブ200は、さらに、使用者によるスリーブ200の近位部分220への到達と他の形の操作とを容易化するために、カテーテル100の近位端部110に向かって延びる近位部分220も含む。移植片300の拡張を可能にするためにスリーブ200の遠位部分210を開いた後に、使用者は、スリーブ200の近位部分220に到達してこの近位部分220を引っ張り、こうしてスリーブ200の遠位部分210を移植片300から離れるように移動させることによって、スリーブ200を取り外すことが可能である。
【0023】
様々な実施形態では、スリーブの取り外しを容易化するために、ノブ又はハンドルがスリーブの近位部分に相互連結されることが可能である。ハンドルは、カテーテルに対する相対的なハンドルの移動によってスリーブの取り外しを可能にするために、カテーテルに対して可動的に連結されるか、又は、他の形で解放自在に連結されることが可能である。
図1−3では、例えば、ハンドル400は、
図1と
図2に示されている第1の位置と
図3に示されている第2の位置との間の概ね軸方向の移動のために、カテーテル100に対して滑動自在に連結されることが可能である。第2の位置に向かうハンドル400の移動が、スリーブ200の少なくとも遠位部分210が移植片300から遠ざかる形で移動することを結果的に生じさせる。
【0024】
他の実施形態では、カテーテルアセンブリは、患者の体内の血管部材のような治療部位に対する移植片の管腔内送達に適している寸法である拡張可能な管腔内ステントグラフトのような拡張可能な移植片を解放自在に拘束することが可能である、複数の可撓性スリーブを含み、及び、このカテーテルアセンブリは、さらに、中間的な外周寸法に、又は、別の形では、第1の外周寸法よりも大きいが、拘束されていないか又は第2の外周寸法より小さい複数の外周寸法又は段(stage)の形に移植片を拘束することが可能であり、これによって、移植片の完全な配置と拡張との前に治療部位において、移植片の選択的な軸方向の位置決め及び/又は回転位置決めを容易化することが可能である。
【0025】
したがって、上述したようにスリーブの遠位部分を開いた後に、即ち、この文脈においては「一次スリーブ(primary sleeve)」を開いた後に、移植片は、二次スリーブ(図示されていない)によって中間的な外周寸法に向かって拡張し、及び、解放自在に拘束されることが可能である。二次スリーブは、上述した細長い部材構成によって保持され開かれることが可能である。この二次スリーブは、さらに、移植片と共に、治療部位に固定されて残留することが可能である。
【0026】
概略的に上述したように、移植片がその中間的な外周寸法の状態に維持されている間に、移植片から離れる形で一次スリーブが移動することが、移植片、又は、アンカー又は分枝開口のような移植片の一部分と、治療部位における目標の血管壁との間の、潜在的な障壁としての一次スリーブを取り除く。
【0027】
拘束部材(例えば、一次部材と二次部材)とスリーブ(例えば、一次スリーブと二次スリーブ)の幾つかの特定の構成を説明してきたが、任意の個数の、及び/又は、任意の構成の拘束部材と、任意の個数のスリーブとの使用が、本開示の範囲内に含まれている。
【0028】
本明細書で説明している拡張可能な移植片は、自己拡張型ステントグラフトのような自己拡張型の装置を備えるだろう。こうした装置は、拘束を解除される時に、半径方向に折りたたまれた形態から、半径方向に拡張された形態に拡張する。拡張可能な移植片は、さらに、例えばバルーンのような二次装置の補助によって拡張させられる装置も備えることがある。さらに、カテーテルアセンブリが、複数の拡張可能な移植片を備えることがある。任意の個数の膨張可能な移植片を伴うカテーテルアセンブリの使用が、本開示の範囲内に含まれている。
【0029】
本明細書で説明されている連結部材は、織物繊維(woven fiber)を含むことがある。他の実施形態では、連結部材は、単一フィラメント繊維を含むことがある。スリーブを管状の形状に維持することが可能である任意のタイプの糸、紐、細線、繊維、又は、ワイヤが、本開示の範囲内に含まれている。
【0030】
本開示の着想と範囲とから逸脱することなしに、様々な変更と変形とが本開示において行われることが可能であるということが、当業者には明らかだろう。したがって、添付されている特許請求項とその等価物との範囲内に本開示の変更と変形とが含まれる限りは、本開示は、この本開示の変更と変形とをその範囲内に含むということが意図されている。
【0031】
同様に、装置及び/又は方法の構造と機能の詳細と共に、様々な代替案を含む様々な特徴と利点とを、上記の説明において言及してきた。この開示は、単に例示的なものであるにすぎないことが意図されており、及び、したがって、網羅的であることは意図されていない。添付されている特許請求項が表現されている術語の広義且つ一般的な意味によって示される範囲内において、特に、構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ、及び、組合せを含む部品構成に関して、様々な変更が加えられることが可能であるということが当業者には明らかだろう。これらの様々な変更は、添付されている特許請求項の着想と範囲から逸脱しない限りにおいて、本開示に包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0032】
10 カテーテルアセンブリ
100 カテーテル
110 カテーテルの近位端部
120 カテーテルの遠位端部
130 管腔
200 拘束スリーブ
230 連結手段
240 開口
300 移植片
400 ハンドル