特許第6334540号(P6334540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334540工作物加工機械内に収容された工具を測定する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334540
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】工作物加工機械内に収容された工具を測定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/22 20060101AFI20180521BHJP
   G05B 19/401 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B23Q17/22 D
   G05B19/401
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-533537(P2015-533537)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2015-530269(P2015-530269A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2013069426
(87)【国際公開番号】WO2014048821
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】102012019026.3
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514024929
【氏名又は名称】ブルーム−ノボテスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング ライザー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ リートター
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−267343(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008017349(DE,A1)
【文献】 欧州特許第2901221(EP,B1)
【文献】 特開平02−041856(JP,A)
【文献】 特開2006−162344(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0228519(US,A1)
【文献】 特開2007−185771(JP,A)
【文献】 特開2005−066746(JP,A)
【文献】 特開昭62−162903(JP,A)
【文献】 特開平11−138389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00−17/24
G05B 19/18−19/416
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物加工機械(WSBM)内に収容された工具(WZG)を測定する方法であって、以下のステップ、即ち:
工具(WZG)における位置データを検出し、かつ位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を出力する接触又は非接触の工具検出子(WATS、WATE)を準備するステップ;
信号(S1、S2、....Sn)を受信して処理し、かつ処理された信号から求められた工具形状寸法を出力する評価装置(ECU)を準備するステップ;を有する方法において、該方法が以下のステップ、即ち:
工具(WZG)における第1の数の一連の位置データを検出して、この位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を評価装置(ECU)へ出力するステップであって、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データの検出が位置データを有しており、前記位置データの工具(WZG)におけるそのサンプリング場所が工具(WZG)における予め定められたサンプリング場所に関して、あるいは工具(WZG)におけるサンプリング方向に沿って、それぞれ約10μmから約1mmだけ互いに隔たるように定められる、工具における第1の数の一連の位置データを検出して、この位置データを代表する信号を評価装置へ出力するステップ;
工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)を得るために、第1の数の位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を処理するステップ;
第1の数の位置データを前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)と比較して、第2の数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量を排除するステップ;
工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)を得るために、第2の数の位置データを処理するステップ;及び
前記工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)を、工具(WZG)のために求められた工具形状寸法(WG)として出力するステップ;を有しており、
工具(WZG)における位置データを検出するステップの前に、以下のステップ、即ち:
工具クラス(WZGK)を求めるステップ;
測定すべき輪郭、特に工具輪郭を求めるステップ;
工具クラス(WZGK)を代表する、工具形状寸法の特性量を定めるステップ;及び/又は
求められた工具クラスに従って、工具(WZG)における一連のサンプリング場所を定めるステップ;が実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
工具クラス(WZGK)として
(i)軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図においてまっすぐな工具;
(ii)非軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図において斜めの工具;
(iii)側面図において円形の工具;
(iv)側面図において楕円形の工具;
(v)側面図において樽形の工具;又は
(vi)側面図において任意の工具輪郭を有する工具;
が求められる、請求項に記載の方法。
【請求項3】
部分量を排除するために予め定められた前記判定基準が、
(i)工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)からの、それぞれの位置データの偏差の程度;及び/又は
(ii)前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)から最も離れた位置にある位置データの予め定められた数;
である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(i)側面図においてまっすぐな、あるいは側面図において斜めの工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング場所が、直線部分上に位置していると定められるか、
(ii)側面図において円形、楕円形状又は樽形の工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング場所が、円部分上に位置していると定められるか、あるいは
(iii)側面図において任意の形状の工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング場所が、工具輪郭の正確な目標座標を有する記述テーブルを用いて定められる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
側面図においてまっすぐな、あるいは側面図において斜めの工具のために、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データとして、工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)としての少なくともほぼ鋸歯状の延び具合が得られる場合に、工具原点(WZGNULL)から遠く離れた位置データが排除されるべき前記部分量とされる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(i)側面図において円形又は樽形の工具(WZG)のために、工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)が、第1の工具中心点と第1の工具半径を提供する第1の円回帰によって求められ;
(ii)第1の数の位置データが、前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)と比較され;
(iii)第2の数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って、第1の数の位置データの部分量が排除され;
(iv)第2の数の位置データが、工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)として、第2の工具中心点と第2の工具半径を提供する第2の円回帰を用いて処理され;及び
(v)前記工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)が、側面図において円形又は樽形の工具(WZG)のために求められた工具形状寸法(WG)として出力される;
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工具(WZG)における位置データが、工具クラスの1つに相当する工具の形状を少なくとも許容差内で再現するかを調べるステップ;及び、そうである場合に、
測定された輪郭の延び具合を、2段階の近似方法を用いてこの工具クラスの工具の形状に相当する幾何学的関数の計算によって実際の輪郭の延び具合に近づけるステップ;を有し、
前記近づけるステップでは、工具(WZG)において検出されたすべての位置データの全体数に比較して外れ値が少なくとも部分的に除去されるか、あるいはより小さい重みづけで結果に入れられるか、あるいは計算された回帰曲線からの各個別測定値の間隔が定められて、許容差を上回った場合に外れ値としてマークされて、次に回帰曲線を新たに計算する場合に、マークされた外れ値はもはや計算には使用されない、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
予め定められた測定位置に関して測定位置を移動させるステップ;
密に並んだ測定箇所において、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データの検出を複数回繰り返すステップ;及び
正の方向においても、負の方向においても外れ値を認識し、実際の工具輪郭から区別し、かつ工具形状寸法を計算する際に除外するために、平均値、最小値、回帰曲線に従って妥当性チェックを実施するステップ;
を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)調査されるべき測定領域の寸法、
(ii)前記測定領域内の測定点の数又は密度、
(iii)さらに使用される測定値に対する外れ値の量比
(iv)偏差における許容される程度、及び
(v)適用されるべき数学的フィルタ関数
が調整される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工作物加工機械(WSBM)内に収容された工具(WZG)のための測定装置であって:
工具(WZG)における位置データを検出し、かつ前記位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を出力するための、接触又は非接触で測定する工具検出子(WATS、WATE)を有し、前記工具検出子は、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データを検出して、これらの位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を評価装置(ECU)へ出力するように構成されており、前記評価装置は、
工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)を得るために、第1の数の位置データを代表する信号(S1、S2、....Sn)を処理すること;
第1の数の位置データを前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)と比較して、第2の数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量を排除すること;
工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)を得るために、第2の数の位置データを処理すること;及び
前記工具形状寸法の第2の近似(WZG−N2)を、工具(WZG)のために求められた工具形状寸法(WG)として出力すること;
によって、信号(S1、S2、....Sn)を受信して、処理し、かつ処理された信号から求められた工具形状寸法を出力するように構成されており、
前記評価装置(ECU)は、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データを検出する場合に、工具(WZG)におけるそのサンプリング箇所が、工具(WZG)における予め定められたサンプリング箇所に関して、あるいは工具(WZG)におけるサンプリング方向に沿ってそれぞれ互いに約10μmから約1mmだけ隔たっていると定められる位置データを検出するように構成されており、
前記評価装置(ECU)が、
工具クラス(WZGK)を求め;
測定すべき輪郭、特に工具輪郭を求め
工具クラス(WZGK)を代表する、工具形状寸法の特性量を求め;かつ/又は
求められた工具クラスに従って工具(WZG)における一連のサンプリング場所を定める;ように構成されていることを特徴とする、測定装置。
【請求項11】
評価装置(ECU)が、工具クラス(WZGK)として、
(i)軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図においてまっすぐな工具;
(ii)非軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図において斜めの工具;
(iii)側面図において円形の工具;
(iv)側面図において楕円形の工具;
(v)側面図において樽形の工具;あるいは
(vi)側面図において任意の工具輪郭を有する工具;
を求めるように構成されている、請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
評価装置(ECU)が、部分量を排除するための予め定められた判定基準として、
(i)前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)からの各位置データの偏差の程度;及び/又は
(ii)前記工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)から最も遠い位置にある位置データの予め定められた数;
を定めるように構成されている、請求項10又は11に記載の測定装置。
【請求項13】
評価装置(ECU)が、
(i)側面図においてまっすぐな、あるいは側面図において斜めの工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング箇所を直線部分上に位置すると定めるか、
(ii)側面図において円形、楕円形又は樽形の工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング場所を円部分上に位置すると定めるか、あるいは
(iii)側面図において任意の形状の工具(WZG)のために、工具(WZG)におけるサンプリング場所を、工具輪郭の正確な目標座標を有する記述テーブルを用いて定める、
ように構成されている、請求項10に記載の測定装置。
【請求項14】
評価装置(ECU)は、側面図においてまっすぐな、あるいは側面図において斜めの工具のために、工具(WZG)における第1の数の一連の位置データとして、工具形状寸法の第1の近似(WZG−L1)としてほぼ鋸歯状の延び具合が得られる場合に、工具原点(WZGNULL)から遠く離れた位置データを排除されるべき部分量として取り除くように構成されている、請求項10から13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
評価装置(ECU)は、円形又は樽形の工具(WZG)のために、工具形状寸法の第1の近似(WZG−N1)が、第1の工具中心点と第1の工具半径を提供する第1の円回帰によって求められるように構成されている、請求項10から14のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
ここでは、工作物加工機械内に収容された工具を測定する方法と装置が記述される。
【背景技術】
【0002】
工作物加工機械は、(数値制御される)工作機械、(多軸の)マシニングセンタ、(多軸の)フライス盤などであることができる。以下、これらすべての機械又はこの種の機械のためにも、工作機械の概念が使用される。この種の機械は、スピンドルを有し、そのスピンドルに工具又は工作物が取り付けられる。スピンドルは、固定的に位置決めされるか、あるいは例えば機械の作業室の内部で3つの直交方向X、Y、Zに移動されるか、あるいは駆動されることができる。
【0003】
工具は、工作機械によって測定室内へ、接触又は非接触で働く検出子の、測定用に定められた領域内へ移動することができる。検出子が、例えば容量性、誘導性あるいは光学的な装置によって表面の近傍を検出する。各特徴について、接触又は非接触の検出子が然るべき測定データを制御装置へ伝え、その制御装置はコンピュータプログラムを有することができる。機械位置情報と共に検出子測定データは、(数値)制御装置が、工具又は工作物の寸法の正確な画像を求めることを可能にする。
【0004】
工作機械の工具マガジン内へ挿入された工具は、最初にそれを加工プロセスにおいて使用する前に、その長さと半径について正確に測定されなければならない。その場合に、スピンドル回転数において求められた工具データは、特別な工具ナンバーの下でNC制御の工具テーブルへ自動的に入力される。次に、工具データは、この工具を使用するたびに認識され且つ加工のために利用可能である。
【0005】
この初期測定は、大体においてきれいで乾燥した工具において行われる。工具を工具マガジン内へ挿入する前、あるいはスピンドルへ入れ替えた後に、測定部が乾燥した圧縮空気、特殊クリーナーなどによって手動で機械的に清掃される。すなわち、測定された工具データが、工具の実際の寸法に相当することが、保証されなければならない。これは、レーザービームによって光学的に測定する場合には、工具の切れ刃に付着しているすべての異物(削り屑、冷却剤の滴、オイルフィルム、繊維など)が測定結果を歪曲することがあり得るので、必要である。
【0006】
工具寸法が、加工プロセスの前、間あるいは後にも、磨耗許容差を維持することに関して新たに監視される場合には、測定は濡れ、オイルがつき、かつ削り屑によって汚染された工具表面において行われ、それが測定の精度とそれに伴ってプロセス安全性と信頼性を著しく損なうことがあり得る。切削する際に生じる粒子(削りくず)は、以下のパラメータ、即ち、工具の材料特性(HSS工具鋼、様々なコーティングを有する硬質合金、PDK、ダイヤモンドなど)、工作物の材料と材料特性(鋼、真鍮、銅、アルミニウム、など、脆い、硬い、柔らかい、粘性、粘−硬など)、及び加工パラメータ(削り速度、切り込み深さ、送り速度、切れ刃の数など)によって影響を受ける。
【0007】
測定のために、切削中に生じる工具切れ刃の汚れを除去するために、従来技術においては以下の測定及び清掃方法が使用される。
【0008】
回転するスピンドルにおける測定:
工具に生じる遠心力によって、軽く付着している粒子(大きめの削り屑、冷却剤の滴など)が分離される。
【0009】
ばらつき許容差の監視をもって、同一の測定箇所を複数回測定:
冷却剤フィルム厚みの変動又はばらの粒子に起因して個別の測定値が許容されるばらつき誤差内にない場合に、ばらつき許容差が維持されるまで、自動的に繰り返し測定が実施され得る。
【0010】
付加的な工具清掃ノズルによる測定箇所の受動的な清掃:
測定工程前と測定工程中に、測定箇所に軽く付着している大きめの粒子を清掃するために、工具切れ刃が強く集中された圧縮空気によって吹き払われる。付加的な空気流m*vによって、大きめの削り屑と冷却剤の滴が工具表面から吹き払われる。しかし、薄いオイル及び冷却剤フィルムと極めて小さい削り屑は、この方法によっては条件付きでしか除去できない。
【0011】
脱脂クリーニング剤と付加的な工具清掃ノズルによる測定箇所の能動的な清掃:
測定箇所に粘って貼り付く比較的小さい粒子を清掃するために、測定工程前と測定工程中に、工具切れ刃が交互に脱脂クリーニング剤によって洗浄されて、その後に強く集中された圧縮空気によって吹き払われる。脱脂クリーニング剤によって、工具表面の粘−接着性の成分が溶解されて、次の空気流m*v(空気質量*空気速度)によって吹き払われる。それぞれ使用されるクリーニング剤の脂溶解力、量及び作用時間に従って、薄い接着性のオイル−及び冷却剤フィルムは、多かれ少なかれ(部分的に)除去することができる。もちろんその場合に、クリーニング剤は、使用される冷却剤エマルジョンに対して両立性でなければならない。付加的に使用される圧縮空気が、クリーニング液を霧化する。その場合に健康を害するエアロゾルが発生することがあり得る。集中的な能動的清掃は、クリーニング液の消費と測定時間を増大させる。すなわち、熱作用によってしっかりと付着した最小の粒子は、条件付きでしか除去できない。
【0012】
例えば移動するブラシによる、測定箇所の能動的な機械的清掃:
測定工程の前に、工具が、例えば移動するブラシによって大きい汚れ粒子が除去される。清掃は、脱脂クリーニング剤によって支援することができる。ここでも、クリーニング剤は、使用される冷却剤エマルジョンに対して両立性でなければならない。集中的な能動的清掃は、クリーニング液の消費と測定時間を増大させる。すなわち、熱作用によってしっかりと付着した最小の粒子は、条件付きでしか除去できない。鋭い刃のエッジは、機械的な力の作用によって磨滅することがあり、ないしはブラシが鋭い刃のエッジで摩耗して付加的な煩わしい粒子を発生させ、それが切削溝内に集まって堆積することがある。これは、全体として複雑でありかつ受け容れがたい解決策である、というのも、ブラシを切削堆積物から保護しなければならないからである。ブラシは、規則的に手入れして、良好な状態に保たれなければならない。
【0013】
超音波浴による測定箇所の能動的な清掃:
測定工程の前に、工具は、超音波浴内で汚れ粒子を除去される。清掃は、脱脂クリーニング剤によって支援することができる。冷却剤エマルジョンは、各個別の場合毎に調べられなければならない。能動的な清掃は、比較的長い作用時間によって達成される;これが、測定時間を増大させる。熱作用によってしっかりと付着した最小の粒子は、条件付きでしか除去できない。これは、煩雑で高価な解決策である、というのも、超音波浴液を有する容器は、削り屑飛翔に起因する削り屑堆積と冷却剤から保護されなければならないからである。超音波浴槽は、規則的に手入れして、良好な状態に保たれなければならない。
【0014】
上述した方法の代わりに、工具形状寸法の測定と監視のために、カメラシステムも使用される。カメラシステムの利点は、それが複数の個別画像を介して工具の切れ刃の瞬間記録を撮影することができ、そしてそれらを、目標形状寸法と実際のそれとの間の偏差を認識するために、記憶されているきれいな工具切れ刃の既知の参照画像と比較できることにある。もちろんその場合には、各工具/工具形状寸法について、学習工程を用いて参照画像が記録されて、記憶されなければならない。それによって評価は、前もって「学習された」工具に限定される。カメラシステムの駆動とカメラ画像の評価は、専用の画像処理プラットフォーム(コンピュータ・プラス・ソフトウェア評価、及びコンピュータと数値制御装置との間の付加的なインターフェースが必要である)を必要とする。測定対象(工具切れ刃)は、専用の光源によって照明されなければならない。光学コンポーネントは、汚れに極めて敏感であるので、光源とカメラは、汚れ並びに水、オイル及び削り屑による損傷に対して十分に保護されなければならない。高速回転する工具は、極めて迅速な画像記録及び画像読み出し速度を必要とする。カメラ画像の評価は、高いコンピュータ出力と複雑な評価アルゴリズムを必要とする。様々な工具直径は、合焦距離のフレキシブルな調節ないし光学系の高い焦点深度を必要とする。この解決策は、極めて高価で、低速かつ汚れに極めて敏感である。達成可能な測定精度は、多くのファクター、特にシステムの光学的調節(ズーム、フォーカス距離、画像大きさ、画像トリミング、焦点深度、ピクセルサイズなど)にも依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
技術的問題
工具切れ刃の能動的又は受動的な清掃にもかかわらず、測定においては、汚れにより(過剰寸法)又は切れ刃の磨耗/破断によって(不足寸法)、測定すべき工具切れ刃の任意の箇所において目標形状寸法に対する偏差が生じることがある。工具表面の障害となる粒子を完全に除去することは、工作機械の作動において、記述された方法によっては、一貫して保証することはできない。既知の解決策は、極めて精密な製造工程のためには、極めて低速、極めて煩雑及び/又は極めて不正確である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
技術的解決策
ここで対策を講じるために、工作物加工機械内に収容された工具を測定するために、以下のステップを有する方法が提案される:
工具における位置データを検出して位置データを代表する信号を出力する接触又は非接触の工具検出子を準備するステップ;
信号を受信して処理し、処理された信号から求められた工具形状寸法を出力する評価装置を準備するステップ;
工具における第1の数の一連の位置データを検出して、この位置データを代表する信号を評価装置へ出力するステップ;
工具形状寸法の第1の近似を得るために、第1の数の位置データを代表する信号を処理するステップ;
第1の数の位置データをこの工具形状寸法の第1の近似と比較して、第2の数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量を排除するステップ;
工具形状寸法の第2の近似を得るために、第2の数の位置データを処理するステップ;及び
この工具形状寸法の第2の近似を、工具のために求められた工具形状寸法として出力するステップ。その後、工具のために求められたこの工具形状寸法は、数値制御装置においてさらに処理され得る。
【0017】
まっすぐに延びる輪郭上の測定点が空間的に密に並んでおり、あるいは複数の測定値が同一の箇所で相前後して記録されて、これらの測定値が最小値と最大値の間で行ったり来たり変動する場合に(鋸歯状の時間的/空間的測定推移)、検出された測定値が実際の切れ刃の輪郭を高い確率で再現しており、最低点の外側の測定値は外乱(水滴、オイルフィルム、削り屑)によって生じていると推定することができる。この場合において、まず、第1の近似として外乱を有する切れ刃の延び具合を検出することができる;次に、所定の許容差領域値だけ最小値の上にある測定値が除外される。残りの測定値から生じる(少なくとも近似的な)直線が、工具の実際の切れ刃のエッジに相当する。
【0018】
連続して延びる輪郭上の測定点が、一義的な輪郭形状を(例えば直線、斜め、円形、楕円形状、樽形の上に)再現する、空間的に定められた領域の内部にある場合には、測定された輪郭の延び具合は、1次、2次、3次....の多項式の計算によって、実際の輪郭の延び具合に近づけることができる。その場合に、個々の外れ値は、全ての測定点の全数に比較してより小さい重み付けで結果に入る。さらに、計算された回帰曲線からの各個別測定値の間隔を定めて、許容差値領域を上回った場合に、外れ値としてマークすることができる。回帰曲線を次に新しく計算する場合に、マークされた外れ値は、もはや計算には使用されない。それによって、測定された工具輪郭と実際のそれとの間の偏差が最小限に抑えられる。予め固定的に定められた測定位置における多項式の関数値が、誤差のある個別測定値による歪曲なしに、求める工具形状寸法を提供する。
【0019】
非接触の検出子として、例えば、工作機械に内蔵されたレーザーシステムも、回転する工具を測定することができる。そのために、工作機械内でレーザーシステムを使用することができ、そのレーザーシステムは、主として破断監視に使用されるが、自立した測定システムとして、あるいはまたマルチセンサシステムにおける付加的なセンサとして使用されている。その場合に工具長さと工具直径を測定することができ、かつシャフトと切れ刃の破断を認識することができる。さらに、穴と損耗が検出されることによって、切れ刃の形状監視を実施することができる。さらに、システムは、機械軸の熱膨張を補償することができる。公称回転数のもとで作業室内で工具測定することによって、クランプ誤差を認識して、有効な長さ及び半径補正値を求めることができる。
【0020】
回転工具において、最高点は、工具の標準的な作用点である。この作用点は、正しい寸法を得るために、レーザービームを正確に当てなければならない。工具の切れ刃に沿った複数の測定場所によって、円回帰を用いて側面図において円(部分)形状の工具の半径とその中心点を計算することができる。このようにして得ることのできる精度は、機械的な測定検出子によるよりもずっと高い。非接触のレーザー測定技術によって、工具は、実際に完全に測定することができる。それは、完全な工具の検出を可能にする。すなわち、例えば回転彫刻する場合に、各任意の切れ刃位置における磨耗を認識することができる。
【0021】
より大きい測定領域にわたって工具形状寸法を検出することによって(個々の点測定とは異なり)、切れ刃の延び具合ないし形状をCCDカメラによるのと同様に認識して評価することができる。その場合にCCDカメラからの画像においては、データ評価はずっと煩雑であって、より複雑な画像処理ソフトウェアとそれに応じた計算出力を必要とする。それに対して上で定義した2ステップ又はそれ以上のステップの措置は、簡単なやり方で測定外れ値を認識して評価の際に除外することを可能にする。したがって測定結果は、より少ない計算の手間で、かつカメラを使用せずに、従来の考え方よりも工具の実際の切れ刃の輪郭にずっと近づく。
【0022】
工具における位置データは、ここでは、工具において直接又は間接的に測定される座標とされる。その場合に直接的な測定は、直接に(X、Y、Z)座標を提供する測定である。それに対して代替的に、間接的な測定は、例えば、同時にNC制御が工作機械のスピンドルを(X、Y、あるいはZ方向に)移動させる場合に、二値の信号(例えばレーザービーム/なし/陰)を供給することができる。その場合に、二値の信号が代わる瞬間に(例えば遮られたレーザービームから遮られないものに、あるいは逆に)、工具の広がりを含めた工作機械のNC制御の位置座標が、工具における位置座標とされる。したがって位置データとそれを代表する信号は、工具形状寸法の工具輪郭を記述する座標である。
【0023】
工具形状寸法とは、ここでは測定すべき形状寸法(工具の寸法と形状)である。
【0024】
工具における位置データを検出する前に、変形例においては、次のステップ、即ち:工具クラスを求めるステップ;測定すべき輪郭、特に工具輪郭を求めるステップ;工具クラスを代表する工具形状寸法の特性量を定めるステップ;及び/又は求められた工具クラスに従って工具における一連のサンプリング場所を定めるステップ;が実施される。
【0025】
工具クラスとして、軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図においてまっすぐな工具;非軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図において斜めの工具;側面図において円形の工具;側面図において楕円形の工具;側面図において樽形の工具;あるいは側面図において任意の工具輪郭を有する工具;を求めることができる。
【0026】
部分量を排除するための予め定められた判定基準は、変形例において
(i)この工具形状寸法の第1の近似からの、それぞれの位置データの偏差の程度;及び/又は(ii)この工具形状寸法の第1の近似からもっとも遠くにある、位置データの予め定められた数、とすることができる。
【0027】
工具における第1の数の一連の位置データの検出は、工具におけるそのサンプリング箇所が、工具における予め定められたサンプリング箇所に関して、あるいは工具におけるサンプリング方向に沿って、それぞれ互いに約10μmから約1mmだけ離れていると定められる位置データを含むことができる。
【0028】
障害粒子の大きさは、大体においてマイクロメートルの領域内にあるので、測定位置を予め定められた測定場所に関して、例えばわずか0.01mmだけずらすことによって、障害粒子の影響は、このようにして少なくともほぼ完全に除去することができる。互いに離隔した測定箇所において工具形状寸法を複数回(繰り返し)測定することによって、個々の測定値は、障害輪郭(障害粒子)に基づくことはあり得る。しかし、測定値の多数は、実際の工具の切れ刃の上に位置する。2段階の評価によって、正の方向における測定の外れ値(過剰寸法、障害粒子)も、負の方向における外れ値(不足寸法、切れ刃の破断)も、認識して、実際の切れ刃の輪郭から区別し、工具形状寸法を求める際に排除することができる。それによってプロセス安全性とプロセス確実性が著しく向上する。
【0029】
方法の変形例において、(i)側面図においてまっすぐな、あるいは側面図において斜めの工具のために、工具におけるサンプリング箇所が直線部分上にあると定められるか、(ii)側面図において円形、楕円形又は樽形の工具のために、工具におけるサンプリング箇所が円部分上にあると定められるか、あるいは(iii)側面図において任意の形状の工具のために、工具におけるサンプリング箇所が、工具輪郭の正確な目標座標を有する記述テーブルを用いて定められる。
【0030】
調査されるべき測定領域の寸法、測定領域内の測定点の数ないし密度、実際の測定値に対する外れ値の量比及び偏差の許される大きさ並びに、工具における第1の数の位置データ、したがって第1の近似、から第2の近似へ至るための措置は、必要に応じて実際の状況(工具、測定方法、周囲など)に個別に適合させることができる。可能な措置として、平均値形成、最小値形成、回帰曲線などが挙げられる。
【0031】
側面図においてまっすぐ、あるいは側面図において斜めの工具のために、工具における第1の数の一連の位置データとして、工具形状寸法の第1の近似としての少なくともほぼ鋸歯状の延び具合が得られる場合に、工具原点から遠く離れた位置データが排除されるべき部分量を形成する。
【0032】
側面図において円形又は樽形の工具のために、変形例においては、工具形状寸法の第1の近似は、第1の工具中心点と第1の工具半径を提供する第1の円回帰によって求められることができる。第1の数の位置データが、この工具形状寸法の第1の近似と比較される。第2の数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量が排除される。第2の数の位置データは、第2の工具中心点と第2の工具半径を工具形状寸法の第2の近似として提供する第2の円回帰によって処理される。この工具形状寸法の第2の近似は、側面図において円形又は樽形の工具のために求められた工具形状寸法として出力されて、数値制御装置においてさらに適切に処理される。
【0033】
方法の他の変形例は、以下のステップを有する:
工具における位置データが工具クラスの1つに相当する工具の形状を少なくとも近似的に再現するか、を調べ;そうである場合に、測定された輪郭の延び具合を、この工具クラスの工具の形状に相当する幾何学関数の計算によって、2段階の近似方法により実際の輪郭の延び具合に近づけ、その場合に外れ値が工具における検出された全ての位置データの全体数に対する比において、少なくとも部分的に除去されるか、あるいはより小さい重みづけで結果に入れられるか、あるいは計算された円回帰からの各個別値の間隔が定められて、許容差を上回った場合に外れ値としてマークされて、次に回帰曲線を新しく計算する際には、マークされた外れ値はもはや計算には使用されない。
【0034】
その場合に、以下のステップが実施される:
予め定められた第1の測定位置に関してわずか0.01mmだけ、現在の測定位置が歩進的に多数回ずらされ;かつ現在の測定位置において工具における第1の数の一連の位置データがそれぞれ検出され;
正の方向においても、負の方向においても考えられる外れ値を認識して、実際の工具輪郭から区別し、かつ工具形状寸法を計算する際に排除するために、平均値、最小値、回帰曲線に従って妥当性チェックを実施する。
【0035】
この方法は、(i)調査されるべき測定領域の寸法、(ii)測定領域内の測定点の数又は密度、(iii)さらに使用される測定値に対する外れ値の量比、(iv)偏差の許容される程度、及び(v)適用されるべき数学的フィルタ関数、に調整され得る。
【0036】
他の目標、特徴、利点及び適用可能性が、幾つかの実施例と付属の図面についての以下の説明から明らかにされる。その場合に記述され且つ図で示されるすべての特徴は、それ自体、あるは任意の組合せにおいて、ここに開示される対象を、請求項あるいは請求項の後方参照におけるその分類にも関係なく、形成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】ここに紹介される方法の変形例のフローチャートである。
図2】工作機械を模式的に示すものであって、その工作機械は、レーザー測定部から信号を受信するように構成された機械制御装置と結合されている。
図3】側面図において斜めの工具における測定データとその2段階の処理を示している。
図4】側面図において円形の工具における測定データとその2段階の処理を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
幾つかの実施変形例の詳細な説明
図1は、ここで提案される方法の変形例のフローチャートを示している。その場合に、全ての測定されたデータから第1の近似において工具形状寸法が求められる。次に、測定されたデータは、工具形状寸法の第1の近似に関して定められた判定基準を満たさないデータが、以降の処理から排除されることにより減少される。減少されたデータのセットから、その後、工具形状寸法の第2の近似が求められて、工具形状寸法の改良された近似として出力される。
【0039】
図面の図2は、工作機械WSBMのスピンドルSPに配置された工具WZGを示している。この変形例において、スピンドルSPは、詳細には示されないX、Y及びZ駆動装置の作用を受けてX、Y及びZ方向に移動することができ、それらの駆動装置は、数値機械制御装置の形式の評価装置ECUによって制御される。工具WZGは、この変形例において、側面図においてまっすぐな切れ刃Sを有する切断工具である。しかし、他の工具又は切れ刃の形状寸法も可能である。
【0040】
工具の代わりに、スピンドル内に工作物を挟持することもでき、その形状寸法が、工具の場合と比較可能なやり方で、測定されたすべてのデータから第1の近似で求められる。次に、測定されたデータは、工作物形状寸法の第1の近似に関して定められた判定基準を満たさないデータが、以降の処理から排除されることにより、減少される。減少されたデータのセットから、その後、工作物形状寸法の第2の近似が求められて、工作物形状寸法の改良された近似として出力される。以下、工具形状寸法の測定及びその近似のためのやり方/配置のみが記述される。しかし、これが同様なやり方で工作物についても成立することは、明らかである。
【0041】
工作機械WSBMには、レーザービーム送信器とレーザービーム受信器とを備えたレーザー測定部の形式の非接触で測定する工具検出子WATS、WATEが対応づけられている。この種のレーザー測定部の詳細は、例えばDE102008017349A1、88287グリュンクラウト、DEのBlum-Novotest GmbHの「工具において非接触で測定するための測定システム」から読み取ることができる。この種の測定システムは、工具の位置決定のためのフォトインタラプタ配置を有する工作機械内の工具において測定するため、あるいは工作機械内の回転する工具の最も長い切れ刃を定めるために用いられる。測定システムは、測定システム内で種々の機能のために圧縮空気を準備するための空気制御と、フォトインタラプタ配置を駆動するため、フォトインタラプタ配置から測定信号を受信するため、及び測定信号を信号伝達媒体内で機械制御装置へ出力し、及び空気制御のための制御信号を準備するための、少なくとも1つの電子制御装置とを有することができる。
【0042】
この測定システムは、切削加工あるいは材料を除去する加工(例えばフライス、旋盤、研磨、平削り、孔開け、ねじ穴開け、摩擦、腐食など)において、あるいは静止する工具又は回転する工具を有する組み合わされた旋盤/フライス盤又はフライス盤/旋盤においても使用される。工具の位置を定めるため、あるは工作機械内の回転する工具の最も長い切れ刃を定めるために、フォトインタラプタと特にレーザーフォトインタラプタを使用することができる。その場合に、1つの可能なやり方は、工具を(レーザー光)測定ビーム内に、工具がその光路を中断するように、位置決めすることである。次に、工具が測定ビームに対して、それから離れて、測定ビームの光路が工具によって(まさに)もはや中断されない位置まで移動される。
【0043】
したがって工具検出子WATS、WATEは、切れ刃を検出する測定ビームMSを送信し、かつ受信しそれに応じた信号S1、S2、....Snを出力するように構成されており、その信号は、測定ビームMSが切れ刃Sによって(部分的に)中断されたか否かを表す。したがってこれらの信号は、工具WZGの切れ刃Sのエッジがそれに沿って延びる場所を表す。
【0044】
評価装置ECUは、信号S1、S2、....Snを受信して処理し、それによって処理された信号から第1の(中間)結果として、このようにして求められた工具形状寸法の第1の近似WZG−N1が得られるように構成され且つプログラミングされている。
【0045】
評価装置ECUは、さらに、第1の数の位置データを、工具形状寸法の第1の近似WZG−N1と比較して、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量を推定するように構成され且つプログラミングされている。このようにして、第2の(より少ない)数の位置データが得られる。
【0046】
評価装置ECUは、さらに、工具形状寸法の第2の近似WZG−N2を得るために、第2の数の位置データを処理するように構成され且つプログラミングされている。
【0047】
そして、評価装置ECUは、この工具形状寸法の第2の近似WZG−N2を、工具WZGのために求められた工具形状寸法WGとして出力するように構成され且つプログラミングされている。
【0048】
変形例において、評価装置ECUは、工具WZGにおける位置データを検出する前に、まず、工具を特徴づける適切な工具クラスWZGKを求めるように構成され且つプログラミングされ得る。それは、例えば、軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図においてまっすぐな工具、非軸平行に延びる工具輪郭を有する、側面図において斜めの工具、側面図において円形の工具、側面図において楕円形の工具、側面図において樽形の工具又は側面図において任意の工具輪郭を有する工具と考えることができる。
【0049】
この場合において、評価装置ECUは、工具を特徴づける工具クラスWZGKから次のステップにおいて、測定すべき輪郭、特に工具輪郭(まっすぐなライン、斜めのライン、円形、楕円形、樽、自由形状など)を求めるように構成され且つプログラミングされている。評価装置ECUは、さらに、工具クラスWZGKを代表する、工具形状寸法の特性量を定めるように構成され且つプログラミングされている(例えば直線式y=a*x+bのパラメータa、b、あるいは楕円式のパラメータ(((x-x)*cosα+(y-y)*sinα))/a) + (((-(x-x)*sinα+(y-y) cosα))b)−1=0;その場合にαは、楕円がノーマル位置に対して傾斜している回転角度であり、aないしbは、長半径ないし短半径を示す。
【0050】
そして、この場合において評価装置ECUは、工具WZGにおける一連の検出場所を、求められた工具クラスに従って定めるように構成され且つプログラミングされている。その場合に、例えば、斜めの切れ刃を有する工具について、それぞれ互いに0.01mm隔たっている10の測定場所にアプローチすることが定められ、第1の測定場所は工具の外側の端縁から約0.5mm内側に位置している。
【0051】
評価装置ECUは、さらに、部分量を排除するための予め定められた判定基準として、この工具形状寸法の第1の近似からの、それぞれの位置データの偏差の程度を定めるように構成され且つプログラミングされ得る。したがって、例えば、まっすぐな切れ刃が測定される場合に、最小の測定値を0.004mmより大きく上回る位置データが排除される。代わりに、工具形状寸法の第1近似からもっとも離れた位置にある位置データの予め定められた数、例えば測定値の30%、を排除することもできる。したがって測定値が10ある場合に、例えば3つの最大値が排除される。
【0052】
工具における第1の数の一連の位置データを検出することは、例えば、工具WZGにおけるその検出場所が、予め定められた検出場所(例えば工具の端縁から内側へ5mm変位)に関して、あるいは工具WZGにおける検出方向に沿って、それぞれ約10μmから約1mmだけ互いに隔たっていると定められる、位置データが検出されるようにして、行われる。
【0053】
図3には、側面図において斜めの工具において、どのように行われるかが、模式的に示されている。まず、工具における検出場所が、斜めの直線部分上に位置するものと定められる。その場合に、この例においては、17の測定位置においてサンプリングされて、位置データが検出される。この17の位置データのために、第1の近似として近似直線が求められる。この第1の近似直線からもっとも遠くにある4つの位置データ(この例においてはNo.3、No.6、No.10、No.11)が排除される。残りの位置データのために、第2の近似直線が求められて、工具形状寸法として出力される。
【0054】
図4には、側面図において円形の工具において、どのように行われるかが、模式的に示されている。まず、工具におけるサンプリング場所が、円部分上に位置すると、定められる。そのために、工具の切れ刃に沿って少なくとも30度の円弧上で位置データが検出される。そのために、この例においては、15の測定位置がサンプリングされて、位置データが検出される。この15の位置データのために、第1の近似として、第1の工具中心点と第1の工具半径を提供する、第1の円回帰により円が求められる。その後、第1の数の位置データが、この工具形状寸法の第1の近似と比較される。第2の、より小さい数の位置データを得るために、予め定められた判定基準に従って第1の数の位置データの部分量が排除される。この第1の近似からもっとも遠くにある5つの位置データ(この例においては、No.3、No.6、No.9、No.10、No.11)が排除される。残りの位置データのために、第2の近似円が求められて、工具形状寸法として出力される。「排除」判定基準は、他の変形例においては、例えば、求められた円からのそれぞれの位置データの間隔が、0.005mmより大きいことである。
【0055】
方法とそれを実施する装置の上述した変形例は、紹介される解決策の構造、機能方法及び特性をより良く理解するためにだけ用いられる。それらは、開示を、例えば実施例に限定するものではない。図は、模式的なものであって、その場合に機能、作用原理、技術的形態及び特徴をはっきりさせるために、重要な特性と効果は、一部著しく拡大して示されている。その場合に図又は文章内に開示されている各機能方法、各原理、各技術的形態及び各特徴は、すべての請求項、文章内及び他の図内の各特徴、この開示に含まれるか、あるいはそれから生じる他の機能方法、原理、技術的形態及び特徴と自由かつ任意に組み合わせることができるので、記述された解決策の全ての考えられる組合せが、書き加えられる。その場合に文章内、すなわち明細書の各部分内、請求項内のすべての個々の形態の間の組合せ及び文章内、請求項内及び図内の種々の変形例間の組合せも含まれる。
【0056】
上で説明した事象及び方法の詳細は、関連して示されている。しかし、それらは互いに独立もしており、かつ互いに自由に組合せ可能であることを指摘しておく。図に示された、個々の部品及びその部分の互いに対する関係及びその寸法と比率は、限定するものと考えるべきではない。むしろ、個々の寸法と比率は、図示のものと異なることもできる。
【0057】
請求項も、開示とそれに伴ってすべての示される特徴の互いに対する組合せ可能性を限定するものではない。すべての示される特徴は、個別にも、他のすべての特徴との組み合わせにおいても、ここに明示的に開示されている。
図1
図2
図3
図4