(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334558
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ツイストドリル
(51)【国際特許分類】
B23B 51/00 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
B23B51/00 K
B23B51/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548346(P2015-548346)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-500343(P2016-500343A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2013075676
(87)【国際公開番号】WO2014095395
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年10月5日
(31)【優先権主張番号】102012112781.6
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510000378
【氏名又は名称】バルター アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート ロガーラ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン トーマ
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−201611(JP,U)
【文献】
米国特許第03667857(US,A)
【文献】
特開2003−340623(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0277691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/00 − 51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンク(2)とフルート部分(3)とを含むツイストドリルであって、前記フルート部分がドリル先端部(4)とシャンク(2)の間に延在し、かつ少なくとも2条の溝(5)を有し、該2条の溝がねじれ角度(α)で螺旋状に周方向に延在し、かつ2つのウェブ(6)により互いから離れ、前記2条の溝(5)間でフルート部分(3)の周囲に延在するランド(9)を有しているツイストドリルにおいて、
前記ランド(9)上には、ドリル軸(10)との関係においてねじれ角度(α)より大きいものの90°未満である傾斜角度(β)を成すと共に、前記ランド(9)上に延在している少なくとも2つのそれぞれ互いに離れているマージン(11)が備わり、
前記ねじれ角度(α)および前記傾斜角度(β)は前記ドリル軸から同じ方向で測定され、
前記ドリル先端部(4)から始まり、かつ、前記マージン(11)によって規定される前記フルート部分(3)の直径が、前記ドリル先端部(4)から前記シャンク(2)に向かう間隔(A)内で連続的に漸次細くなっていることを特徴とするツイストドリル。
【請求項2】
前記傾斜角度が、ねじれ角度よりも少なくとも5°大きく、85°未満、好ましくは80°未満であることを特徴とする請求項1に記載のツイストドリル。
【請求項3】
ドリル先端部の後ろの短尺部分において、マージンを含むランドが1°を超える逃げ角を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のツイストドリル。
【請求項4】
細くなる割合が、細くなる部分の長さ100mmあたり0.1〜0.8mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項5】
前記間隔(A)がドリル直径の少なくとも3倍であり、最大でフルート部分の長さ(L)に対応していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項6】
前記間隔(A)が前記フルート部分(3)の長さ(L)よりも短く、あらゆるマージンを含めたフルート部分の直径が前記間隔(A)と前記長さ(L)の間の領域において一定であり、ドリル先端部から前記間隔(A)のところにおける細い部分の直径に対応していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項7】
その長手方向の広がりに対し垂直に測定したマージンの幅が0.2〜5mm、好ましくは0.5〜1.5mmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項8】
隣接するマージン間の間隔が、少なくとも0.2mm、最大で5mm、好ましくは0.5〜1.5mmの間であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項9】
隣接するマージン間の凹部の深さが、0.01〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.2mmであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のツイストドリル。
【請求項10】
固体炭化物金属の一体物であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のツイストドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンクとフルート部分とを含むツイストドリルにおいて、フルート部分がドリル先端部とシャンクの間に延在し、かつ少なくとも2条の溝を有し、これらの溝がねじれ角度(α)で螺旋状に周方向に延在し2つのウェブにより互いから分離されており、ウェブを半径方向に画定するランド上の少なくとも2つのマージンをそれぞれが有している、ツイストドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のツイストドリルは、例えば、特許文献1および特許文献2から公知である。
【0003】
特許文献3は、明細書および図面によると、同様にねじれ溝のエッジと同じ方向で軸から測定された軸との関係における角度が90°よりも大きいものである、マージンとして役立つことのできる構造について開示している。
【0004】
特許文献4は、その前方端部においてドリルウェブにねじ山が階段状に具備されているツイストドリルについて開示している。このようなねじ山は、ドリル孔の壁内にねじ山を切削し、その目的は、ドリルに対して軸方向前進運動を付与することにある。したがって、これらは、ドリル先端部により生成された孔内でドリルを案内するマージンではない。
【0005】
特許文献5は、ドリル先端部を有するねじ、すなわち、自らのねじ穴を生成するねじについて記載している。きわめて明白なことに、このねじ内のねじ山は、同様に孔の壁内に切削しなければならず、マージンのようにドリルまたはねじを案内するために役立たない。
【0006】
特許文献6は、ドリルウェブが、ウェブ内の中断としても見ることのできる歯付き構造を有しているものの、この場合、ドリル軸との関係においてこのようにして形成される表面の傾斜が90°超であるドリルとリーマーの組合せについて記載している。これらの構造の先導エッジは切削用歯の形をしており、明らかに、対応するドリル孔をさらに広げるように意図されている。したがって、これらの構造は、マージンではない。
【0007】
特に、孔径よりも例えば少なくとも5倍大きい長さを有する孔を穿孔する場合、ランド上にマージンを全く有していないドリルは、高摩擦を発生させる(より具体的にはランドにより画定された孔径が公称直径に同等になるか、またはわずかだけ小さい場合)。又は、ランド(マージン無し)が公称直径よりも著しく小さい直径を画定している場合、ランド上にマージンを全く有していないドリルは、孔内で揺動または振動する傾向を有する。両方の場合に、ドリルの尚早な破損を導く可能性がある。これは明らかに実際には、フルート部分の長さとドリルの公称直径の比率が10を超える場合や、詳細には20を超える場合にのみあてはまる。
【0008】
このような理由から、対応するツイストドリルは、詳細にはそれらが深孔(孔深さは典型的にはドリル孔径の少なくとも8〜10倍)穿孔用に意図されている場合、
特許文献1および特許文献2に係る上述の技術的現状により実証される通り、大抵はマージンを備えている。
【0009】
(「案内ベベル」とも呼ばれる)マージンは、通常、ランドの表面から幾分か突出し、ランド上に配置され、その表面がドリルの軸周りの円筒形表面上に存在し、こうして案内表面を提供しているかぎりにおいて孔内でドリルを案内するのに役立つ、狭いストリップ状の部分である。
【0010】
この点において、ランドは、それぞれに生成された孔内の摩擦を相応に低く保つ目的でマージンにより完全にカバーされていない。
【0011】
さらに、マージンの外表面によって画定される丸みを有する表面の(ドリル軸から測定された)半径は、ドリルの公称半径よりもわずかに小さく、したがって、生成されるドリル孔の半径よりも幾分か小さい。具体的に言うと、この種の大部分のドリルは、ドリルの公称直径ひいてはそれを用いて穿孔された孔の直径を画定する先行切れ刃の半径方向外側の切削コーナの後ろに、連続的にまたは段階的に細くなる部分を有しており、これにより、直径方向で対向配置された複数のマージンの全体にわたり測定された外径あるいは丸みを有するベベル半径を2倍した形の外径は、最高例えば0.3mmだけドリル孔の直径との関係において細くなっている。ドリル先端部から見た細くなる部分は、直線でまたは凹状または凸状の曲線の形で延在し得る。したがって、より厳密に言うと、マージンの外表面によって画定される外部包絡面は、円筒形表面ではなく錐体の一表面の一部分であるが、円錐角は極めて小さく、典型的には0.5°未満、例えば0.1〜0.2°である。
【0012】
しかしながら、フルート部分も同様に言及に値するいかなるクリアランスも孔内に有していてはならず、これは、そうでなければ少なくとも深孔ドリルの場合にドリル孔の質およびドリルの破壊強度に対して有害な効果を与える可能性のある揺動および振動が発生し得るからである、という点に留意すべきである。有害な揺動を回避するためには、ドリル孔内の(マージンおよび具備されている細くなっている部分を含めた)ランドまたはフルート部分の半径方向クリアランスは、0.3mm未満でなければならない。
【0013】
細くなっている部分は同様に、ドリル先端部から一定の距離のところで、例えば公称直径の10倍のところで終わることができ、こうして、そこからシャンクの方向にさらに進むと、ドリルは、ドリルの公称直径よりも最高0.5または0.6mmだけ小さいものである一定の直径を有することになる。
【0014】
マージンを伴う公知のツイストドリルにおいては、これらのマージンは概して、二次切れ刃の形態をたどる。すなわちこれらは、二次切れ刃および溝と同じドリル軸に対するねじれ角度で延在する。
【0015】
特許文献
7は、二次切れ刃に対し平行に延在せず、ドリル軸に対し垂直に延在し、事実上それぞれ溝によってのみ中断され概念上の周方向に延在する支持用リングの複数の部分として見ることのできるマージンを伴うツイストドリルを開示している。
【0016】
ランドおよび溝のねじれをたどるマージンは、溝表面とランド表面または丸みを有するベベル表面の交差ラインによって形成されている二次切れ刃と直接境界を接することができる。しかしながら、マージンは同様に、その二次切れ刃との関係において一定の間隔のところにあってよい。さらに、ランドに沿ってまたは同じウェブにおいて、互いに一定の周方向角度間隔で、複数のマージンを配置することもできる。多くの場合において、ドリル、より厳密にはマージンには、例えばランドが回転方向で丸みを有するベベルの前に小さい溝として作用する凹部をも有するかぎりにおいて、追加の二次切れ刃が備わっており、凹部から丸みを有するベベルの周面への遷移部分は、さらなる二次切れ刃の形をしている。
【0017】
ドリルはこのとき、事実上、周方向で互いとの関係において変位させられ、各々が丸みを有するベベルと境界を接している複数の二次切れ刃を有する。この点において、すでに、各主切れ刃について、すなわち主要な溝により分離されたウェブの各々の上に、例えば3つの二次切れ刃を対応するマージンに沿って有することが可能であるということも公知である。
【0018】
さらに、二次切れ刃と直接境界を接する第1の丸みを有するベベル以外に、第1の丸みを有するベベルに対し平行なさらに一層丸みを有するベベルも有し、ここで間置されたランドの表面がマージンにより画定された直径よりもわずかだけ小さい直径を有する円筒形表面上にあるツイストドリルも同様に公知である。
【0019】
特許文献2から公知のツイストドリルは、各ランド上に、2つのマージンを有するが、相互に異なる角度的間隔を有している。
【0020】
従来のドリルに付随する問題の1つは、ドリル先端部の対応する摩耗を余裕をもって容易に検出できるか否かということにある。別の問題には、マージンに起因してドリル孔内に不可避的に発生する摩擦が関与し、この摩擦は、厳密には複数の連続して配置されたマージンを使用した場合に、ランドとドリル孔の壁の間およびランド上に具備された2つのマージン間の狭い空隙内に切り屑が詰まった状態になることによって、さらに一層悪化し得る。さらに、対応するドリル内の第2の後続する丸みを有するベベルには、多くの場合、冷却剤または潤滑剤が不適切にしか供給されておらず、これは典型的には、ドリル先端部で供給され主に溝を経由して先端部から離れる方向に輸送される。
【0021】
特許文献
7から公知であり、専ら周方向に多くのマージンが延在している、すなわちランド上の周方向に延在するリングのそれぞれの短尺部分を形成しているツイストドリルには、いかなる軸方向構成要素も存在していないことから、むしろ軸方向での潤滑剤の輸送を妨害するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第7306411(B2)号明細書
【特許文献2】欧州特許第0891239号明細書
【特許文献3】仏国特許出願第1274316号明細書
【特許文献4】国際公開第98/35777号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5074728号明細書
【特許文献6】英国特許第25179号明細書
【特許文献7】米国特許第5503237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
この技術的現状と比べて、本発明の目的は、上述の問題のうちの少なくとも1つを解決する、本明細書の冒頭部分に記載の特徴を有するツイストドリルを提供することにある。他方で、本発明は、具備されるマージンがより良い潤滑を受けるようにしようとするものである。さらに、隣接するマージン間のランド上に切り屑が詰まった状態になる危険性を減らすことが有利である。最後に、対応するドリル上の摩耗がより容易に目視できることも有利であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本明細書の冒頭部分に記載の特徴を有するドリルの場合、この目的は、ドリル軸との関係において溝のねじれ角度αより大きいものの90°未満である傾斜角度(β)を成してランド上に延在している少なくとも2つのそれぞれ互いに離隔されたマージンが、各ランド上に具備されていることによって達成される。その場合、ねじれ角度および傾斜角度は、ドリルの軸から
同じ方向で測定されている。
【0025】
(軸から測定された)マージンが溝よりも大きい傾斜角度にあり、ここで溝のねじれ角度は二次切れ刃またはランドのねじれ角度と同じであることが自明であるという事実により、マージンはランドの軸方向長さ全体にわたり延在できず、ランド全体にわたって対角線上に延在し、それぞれに二次切れ刃においておよびランドの後方エッジにおいて次の後続する溝への遷移部分で終結する。隣接するマージン間の中間空間、すなわちここでは凹部または通路とも呼ばれている隣接するマージン間のランド領域は、このとき、それぞれに二次切れ刃または次に後続する溝へのランドの後方遷移エッジにおいて終結する。すなわちこれらは、ランドを画定する2条の溝に向かって開放している。
【0026】
このことには、溝内にあるあらゆる潤滑剤が、これらの中間空間または凹部を経由してマージンへより容易に接近でき、こうして、マージンの摩擦係数を軽減するという利点がある。潤滑剤は同様に、(90°とは異なる)マージンの傾斜角度により、軸方向によりうまく輸送される。
【0027】
さらに、2つの隣接するマージン間の凹部内へと移行する全ての切り屑が、マージンの間の中間空間の開放側で次の溝へと非常に迅速に移行することができる。
【0028】
本発明に係るツイストドリルは、その設計構成が特に深孔ドリルにとっての利点を示し、ドリル孔内部でフルート部分に関して摩耗を削減すると同時に、マージンによるより優れた案内を提供し、その結果としてドリルの動作がさらに円滑にもなる。このようにして、ドリル孔の質をさらに改善することも可能である。
【0029】
本発明に係るドリルのさらなる利点は、ドリル先端部の摩耗に伴い端部逃げ面がすきとり摩耗に起因して軸方向に後退し、その結果ランドと端部逃げ面の間の遷移部分における丸みを有するベベルの位置がそれぞれの主切れ刃との関係において周方向に変位することから、摩耗の検出がより迅速かつ容易であるという点にある。
【0030】
望ましいことに、マージンの外側表面を含めた、ドリルの外部輪郭の仕上げ後のいわゆる「凹部」は、当初まだ中断されていなランド内のその凹部内への研削によって生成される。したがって、凹部は、2つのマージンを互いに分離するねじ溝の形をしている。このねじ溝は、実質的に任意の断面、例えば矩形、三角形、台形または丸形の断面を有することができ、例えば、0.01〜0.5mmの深さ(マージンにより画定された包絡面から測定されたもの)を有する。好ましくは、深さは0.05〜0.2mmである。
【0031】
一実施形態によると、傾斜角度は、ねじれ角度よりも少なくとも5°だけ大きいものの同時に、85°より小さく、好ましくは80°未満であることが規定されている。傾斜角度とねじれ角度の間の少なくとも5°という差により、フルート部分の領域内で2つの隣接するマージン間のランド上の狭い凹部が実際にランドの幅全体にわたり延在していること、すなわち、それが2つの隣接する溝に向かって開放し、そのため上述の効果も同様に発生し得ることが保証される。
【0032】
ねじれ角度と傾斜角度の間の差は、好ましくは10°を超え、詳細には20〜40°の範囲内にあり得、ねじれ角度は典型的には30°(±10°)の規模のものである。
【0033】
一変形形態においては、少なくともドリルの先端部分において、(周方向で)上に具備されたマージンを含むランドは、少なくとも1°の逃げ角を有するものと規定され得る。こうして、いかなる場合であれ、ワークと主切れ刃の係合に起因するドリル上のトルク荷重が最大であるドリル先端部において直接、先端部の近傍のマージンの領域内においても増大した量の摩擦が追加で発生することが回避される。そうでなければ、軸方向のクリアランス効果が、実際に、切削コーナの後ろで開始するフルート部分の細くなる部分によってもすでに付与されている。
【0034】
ドリル先端部からの間隔Aまで、そして場合によっては先端部における短尺部分は別として、周方向のマージン上の逃げ角は0°である。その場合、間隔Aは、少なくともドリル直径の3倍でなければならず、それは最大で、フルート部分の長さ(L)に一致し得るだけでなく、特に、10または15を超える長さ対直径比(フルート部分との関係における)を有するスロットドリルの場合には、それを、例えばフルート部分の長さLの1/3〜2/3である1つの値に限定することもできる。
【0035】
上述の領域内、すなわち間隔Aよりも大きくフルート部分の長さLよりも小さいドリル先端部との関係における間隔において、任意には、マージン無しですますことが可能である。
【0036】
その長手方向の広がりに対して垂直に測定したマージンの幅は、0.2〜2mmの間になければならず、好ましくは0.5〜1.0mmの範囲内にある。
【0037】
案内ベベルの幅は概して、一方では許容すべき摩擦と、他方ではドリル穴の壁に接して摺動する案内面としての作用の間の妥協点である。
【0038】
間隔すなわち、隣接するマージンの間の凹部の幅は、その場合同様に少なくとも0.2、最大で5mmでもなければならず、好ましくは、その間隔は0.5〜2mmの間である。
【0039】
一実施形態においては、主切れ刃の半径方向外側の端部における切削コーナから出発して、ドリルはシャンクの方向にわずかに細くなることが規定されており、ここで好ましくは細くなる割合は、細くなる部分の長さ100mmあたり0.1〜0.8mmである。
【0040】
一実施形態において、本発明に係るツイストドリルは、固体炭化物の一体物(無垢)である。
【0041】
本発明のさらなる利点、特徴および考えられる用途は、好ましい実施形態についての以下の説明および添付図面から明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明に係るツイストドリルの側面図を示す。
【
図2】
図1のツイストドリルの先端部分の側面図を示す。
【
図3】
図1のツイストドリルの先端部上の端面平面図を示す。
【
図4】本発明に係るツイストドリルの輪郭を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1〜4はまず、シャンク部分2とフルート部分3とを含み、フルート部分が側面図でくさび形または錐体形の形態を有する先端部4とシャンク部分2との間に延在している、参照番号1により全体的に表されているツイストドリルを示している。
図3中の端面平面図を見ればわかるように、ツイストドリル1は、2つのウェブ6によって互いに分離された2条の溝5を有する。ドリルの先端部4において、ウェブ6は、溝5の内側表面との交差ラインに沿って主切れ刃7を規定する逃げ面8内で終結する。
【0044】
本発明に係るドリルの特徴は、まず第1に
図2から見ることができる。
図2は、ツイストドリル1の前方先端部分またはフルート部分3、および2条の溝5の間に延在するランド9を伴うウェブ6の1つの拡大側面図を示す。複数の平行なマージン11が、ドリル軸10との関係において傾斜角度βでランド9上に延在しており、この角度はこの実施形態において、ドリルの軸10に対する溝または二次切れ刃12の傾斜を画定するねじれ角度αより約30°大きいものである。マージン11は、その長手方向の広がりに対して垂直に(あるいは軸10に対して角度β−90°で)測定された場合に、0.2〜5mmそして好ましくは0.5〜1.5mmの間にある幅を有するものであり、ここでマージン11間の間隔、すなわち凹部14の幅は同様に、0.2〜5mm、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲内にある。
【0045】
マージン11は、少なくともドリル先端部からの間隔A内で、ランド9全体にわたって延在しており、間隔Aは少なくともドリルの公称直径Dの3倍である。最大でドリルの公称直径の2倍である先端部分内で、マージンを含むランドには、逃げ角が具備され得る。しかしながら
図3中の異なる直径D
NおよびD
F(D
N>D
F)は必ずしも周方向における逃げ角から発生するのではなく、D
Fとして識別されている直径が直径D
Nよりもシャンクに対し軸方向に近い一平面内で測定されるという事実によってもすでに不可避的に発生するものであり、ここで、ドリルの外側輪郭は全体的にシャンクに向かって細くなり、マージンは軸に対して傾斜した形で延在し、ドリル直径は、直径方向反対側に配置されたマージンが存在する場所でのみ決定されるべきである。
【0046】
図4でもまた、ドリルの全体的輪郭が概略的に示されている。ドリル1は、(ここでは段付きである)シャンク2およびフルート部分3を含む。フルート部分3は、切削コーナまたは主切れ刃7の半径方向外側端部における最大直径D
Fから出発して、シャンクの方向で、幾分か小さい直径(マージン全体にわたりそれぞれ測定されたもの)に至るまで細くなる。細るのは、例えば、フルート部分3の長さ100mmあたり0.1〜0.8mmの範囲内にあり、ここで、フルート部分3は同様に、細い領域の一定の長さをもって、再び一定の直径に移行することができる。
【0047】
直径に関係する考慮事項は同様に、奇数の切れ刃を有するドリルについてもあてはまり、この場合直径は、ランド9およびマージンがそのとき概してもはや互いに対して反対の関係で配置されないことから、軸から丸みを有するベベルの外側表面までの半径の2倍として定義されることになるということがわかる。
【0048】
部分Aより上の領域では、ドリル直径は一定にとどまる。すなわち、マージン11の外側表面は、ドリルの公称半径よりも幾分か(例えば、0.1〜0.3mm)小さい半径で、ドリル10の軸10を中心にして円筒形表面上に存在する。
【0049】
マージン11の側方境界は、いかなる切れ刃も形成しない。二次切れ刃12とランド9の後方エッジ13の間に延在しているのは、凹部により形成され、軸10に対してマージン11と同じ傾斜角度βで延在しかつマージン11の表面のための潤滑剤の改善された供給を提供するそれぞれの通路14である。通路14内に入った穿孔切り屑はすべて、通路14から次の後続する溝5の中に、ランドの後方エッジを経由して、ドリルの回転およびそのマージン11の傾斜角度によって、比較的容易かつ迅速に移送され得る。
【0050】
軸との関係におけるマージンの傾斜角度は、孔内のドリルの円滑な動作を可能にし、溝または二次切れ刃12の傾斜に沿うマージンよりも、大きい周囲領域に亘ってより短かい軸方向部分領域上において、丸みを有するベベルの案内作用を提供する。
【0051】
しかしながら同時に、隣接するマージンは同様に軸方向でも重複し、こうして各軸方向位置におけるそれらのランドは、少なくとも2つの離隔されたマージンを経て、ドリル穴の壁に接して支持されるようになっている。
【0052】
場合によって、ドリル先端部との関係における間隔Aとシャンク2との間にあるフルート部分3の上部部分においてマージンを完全に削除することが可能であり、その場合、ランドは、例えばドリルの公称半径より0.1〜0.3mm小さいものである外側半径を画定する。
【0053】
ドリル先端部における摩耗は、詳細には、逃げ面8の摩耗の増大と共に周方向に移動する逃げ面8とランド9の間に形成されるエッジに沿った丸みを有するベベルの位置によって、検出可能である。特に深孔ドリルにとって有利な設計形態を有する本発明に係るツイストドリルは、孔の内部のフルート部分における摩擦の削減を提供し、それと同時に、ドリルの案内をより良いものにし、ドリルの連続動作をより円滑なものにする。ドリル孔の質も同様に、こうしてさらに改善できる。
【0054】
図面に関しては、これらの図面が確かに一方では現実的な寸法上の関係を示しているものの、本質的には、特に、現実には概して大幅に大きいものであるドリルの長さ対直径の関係に関してのみならずフルート部分3および部分Aに関しても、概略図面として解釈されるべきものである、ということを指摘しておかなければならない。
図4中に示されたフルート部分のテーパーは同様に、著しく誇張された形態で示されている。
【0055】
原初の開示については、本明細書、図面およびクレームから当業者が理解できる全ての特徴は、たとえそれらが、他の一部の特徴に関連して特定の用語でのみ記述されているにせよ、それが明示的に除外されているかまたは技術的側面からみてそのような組合せが不可能または無意味とされているのでないかぎり、開示されている特徴または特徴群のうちの他のものとの任意の組合せの形で組合せが可能である、ということが指摘される。説明を簡略化し読みやすくすることのみを目的として、ここでは、特徴のあらゆる構想可能な組合せおよび個別の特徴相互の独立性の強調の包括的かつ明示的な表現は、省略されている。