(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のモータ(3′)に対応する第1の駆動輪(2′)と第2のモータ(3″)に対応する第2の駆動輪(2″)と操舵部(4)とアクセル部(6)を備え車両ユーザーにより操作される車両(1)の機械トルクを制御するシステムであって、前記制御システムは、
前記ユーザーによる前記システムの制御のためのユーザーインターフェース装置(13)と、
操舵角度を示す信号を生成するのに適した、前記操舵部(4)に結びついて前記操舵角度(δ)を検出する手段(7)と、
前記アクセル部のスロットルレベルを示す信号を生成するのに適した前記アクセル部(6)の前記スロットルレベル(θ)を検出する手段(8)と、
前記車両のヨー率を示す信号を生成するのに適した前記車両の前記ヨー率(ψ)を検出する手段(9)と、
前記車両の速度を示す信号を生成するのに適した前記車両の前記速度(v)を検出する手段(10)と、
駆動部モジュール(11)であって、
少なくとも前記アクセル部の前記スロットルレベル(θ)を示す前記信号に基づいて前記第1(3′)と前記第2のモータ(3″)間に共通する参照トルクを示す共通参照駆動信号(Icommon)を決定するモジュール(15)と、
前記ユーザーインターフェース装置(13)を通して前記ユーザーにより定義される所定の関係に対応する少なくとも前記操舵角度(δ)と前記車両速度(v)を示す前記信号に基づいて参照ヨー率(ψref)を決定するモジュール(21)と、
少なくとも前記車両のヨー率(ψ)を示す前記信号と前記参照ヨー率(ψref)に基づいて前記第1(3′)と前記第2のモータ(3″)間の参照トルクの差分を示す差分参照駆動信号(ΔI)を決定するモジュール(18)と、
を備える駆動モジュール(11)と、
を備え、
前記差分参照信号(ΔI)を決定する前記モジュール(18)は、前記車両の前記ヨー率を示す前記信号から決定される前記車両の前記ヨー率(ψ)と前記参照ヨー率(ψref)間の誤差の閉ループ制御を作動することにより前記差分参照駆動信号(ΔI)を決定するよう構成される、制御システム。
前記差分参照信号(ΔI)を決定する前記モジュール(18)は、前記車両の前記速度(v)を示す前記信号に基づいて前記閉ループ制御のパラメータを修正するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
前記駆動モジュール(11)は、前記操舵角度(δ)を示す前記信号に基づいて前記差分参照駆動信号(ΔI)を修正するように構成されるフィードフォワード制御モジュール(19)をさらに備える、請求項1〜2のいずれか一項に記載のシステム。
前記共通参照駆動信号(Icommon)を決定する前記モジュール(15)は、さらに前記車両の前記操舵角度(δ)を示す前記信号に基づいて前記共通参照駆動信号(Icommon)を決定するよう構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
前記共通参照駆動信号(Icommon)を決定する前記モジュール(15)は、前記車両の前記所望の加速度(a)と前記操舵角度(δ)と前記車両の前記速度(v)と前記アクセル部の前記スロットルレベル(θ)との間の前記ユーザーにより修正可能な所定の関係に基づいて前記共通参照駆動信号(Icommon)を決定するよう構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
前記ユーザーインターフェース装置(13)は、前記ユーザーによる前記制御システムの遠隔制御のために無線タイプであり、前記システムは、前記駆動モジュール(11)と前記ユーザーインターフェース装置(13)の通信に挿入するに適した通信モジュール(12)を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
前記駆動モジュール(11)は、前記車両(1)の使用中に前記第1(3′)と前記第2のモータ(3″)により使用可能な最大のパワーに基づいて、前記共通参照駆動信号(Icommon)及び/又は前記差分参照駆動信号(ΔI)の値を制限するように構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1において、車両は符号1を付されて図式的に示されている。車両1は、第1のモータ3′と第2のモータ3″それぞれに対応する第1の駆動輪2′と第2の駆動輪2″を備える。2つの駆動輪2′と2″は独立して作動させられる。
図1の例では、駆動輪2′と2″は後側の位置にあるが、車両の前側の位置にあってもよい。モータと駆動輪は直接結合されているが、代案として、ギアボックスのような可変ギア比を有する部(図示せず)がモータと駆動輪の間に入れられてもよい。モータ3′と3″は、好適には、電気モータ、例えばDC.ブラシレス非同期モータである。動輪2′と2″の回転速度は、
図1ではそれぞれω_1とω_2で示される。
【0010】
車両1は、好適には方向輪5の操舵角度δで示される車両の操舵制御のため、ユーザーにより操作される操舵部4を備える。例えば、操舵部4は
図1に示すようなステアリングホイール又はハンドレバーのような異なる種類の装置を代替えとして含む。操舵部4は、1つ以上の方向輪5の操舵に関連づけられ、それらを制御する。図示された例では、方向輪5は個数2であり、駆動輪ではない。もちろん、方向輪は異なる個数であってもよく、また駆動輪に代えてもよい。
【0011】
車両1は、スロットルレベルθを変更することによりユーザーが車両の速度/加速度を調整することができるアクセル部6をさらに備える。例えば、アクセル部6は、ユーザーにより車両に課される速度/加速度に基づき、ペダル移動に対応したスロットルレベルとなるアクセルペダルを含む。
【0012】
可能な実施形態によれば、車両1は、エンジン3′と3″が電気モータである電動カートである。もちろん、車両1はまた異なる種類、例えば、自動車、4輪駆動、2輪駆動の一般車両でもよい。
【0013】
車両1は、第1と第2のモータ3′と3″のトルクの制御のためのシステムを装備する。
【0014】
制御システムは、操舵部4の操舵角度δを検出するための手段7を備える。例えば、手段7はポテンショメータ、線形可変変位変換器(LVDT(linear variable transducer))又はホール効果センサを備える。手段7は、操舵角度を示す信号、好適には電気信号、を生成するのに適している。
【0015】
制御システムは、例えばアクセルペダル移動である、アクセル部6のスロットルレベルθを検出する手段8もまた備える。例えば、手段8はポテンショメータ、LVDT変換器又はホール効果センサを備える。手段8は、アクセル部8のスロットルレベルθを示す信号、好適には電気信号、を生成するのに適している。
【0016】
制御システムは、車両1のヨー率ψを検出する手段9をさらに備える。例えば、手段9はジャイロスコープ、慣性測定器、又は速度値を得ることが可能な加速度計測機能がある類似の装置である。手段9は、車両のヨー率ψを示す信号、好適には電気信号、を生成するのに適している。
【0017】
システムは、車両1の速度vを検出する手段10をさらに備える。例えば、手段10は車両の、好適には駆動輪でない車輪に付随するエンコーダ(encoder)、レソルバ(resolver)又は類似の装置のような速度センサを備える。
図1に示される例では、速度vを検出する手段10は方向輪5に付随している。車輪の回転速度を発端として車両の線速度を検出することができる。手段10は、車両の速度vを示す信号、好適には電気信号、を生成するのに適している。
【0018】
可能な実施形態によれば、システムは、車両の加速度axを検出する手段16をさらに備え、その手段は、車両の加速度を示す信号を生成するのに適している。例えば手段16は、加速度計又は慣性測定装置を含み、後者は車両のヨー率の検出に使用されるものと同じものとできる。
【0019】
システムは、車両の操舵角度δ、アクセル部のスロットルθ、速度v、ヨー率ψ及び場合によっては加速度axを示す入力信号を受信するのに適し、かつ第1のモータに対する参照駆動信号I_ref1と第2のモータに対する参照駆動信号I_ref2の出力を提供するのに適した駆動モジュール11をさらに備える。参照駆動信号I_ref1とI_ref2は、好適には電流信号であり、第1と第2のモータ3′と3″によりそれぞれ供給される駆動トルクを代表する(すなわち関連する)ものである。DCモータを例にとると、機械トルクは電流供給に依存し、また、モータの回転速度に関係する。車両の加速度と速度はモータのトルクと速度に依存する。好適には、第1と第2のモータ3′と3″は、第1と第2のモータの参照駆動信号I_ref1とI_ref2の閉ループ電流制御を実行するそれぞれのモータコントローラ(図示せず)を備える。同様の機械トルクのモータコントローラは周知であり、それゆえ記載されない。
【0020】
可能な実施形態によれば、制御システムは、駆動モジュール11とユーザーインターフェース装置13と接続される通信モジュール12をさらに含む。ユーザーインターフェース装置は、通信モジュールと(例えばブルートゥース(登録商標)プロトコルや他のワイヤレスプロトコルを介して)無線通信でき、それを通して駆動モジュール11と無線通信可能である。ユーザーインターフェース装置13を通して、ユーザーは制御システムを作動させ、さらに以下説明されるように車両の動力学的動作に影響を与えるパラメータを設定する。例えば、ユーザーインターフェース装置13は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレットを備える。代替的に、ユーザーインターフェース装置13は駆動モジュール11と有線で、常置又は分離可能な態様で接続される。
【0021】
図2には、制御システムを表すブロックダイヤグラムが示される。
【0022】
第1と第2のモータの参照駆動信号I_ref1とI_ref2は、第1と第2のモータ3′と3″に対する参照共通トルク(すなわち等しく供給される)を示す共通参照駆動信号Icommonからと、第1と第2のモータ3′と3″間の参照トルクの差分を示す差分参照駆動信号ΔIからで決定される。差分参照駆動信号の供給は、車両が2つの駆動輪に等しく供給される駆動トルクを有する場合である通常の横ダイナミクスとは異なる車両に所望の横ダイナミクスを課すことを可能にするような方法で、制御された方法で、相互に弁別可能となることを第1と第2のモータ3′と3″にもたらす。
【0023】
例えば、第1と第2のモータの参照駆動信号I_ref1とI_ref2は、以下の方法で駆動モジュール19のトルクの配分モジュール14から計算される。
I_ref1=Icommon+ΔI/2
I_ref2=Icommon−ΔI/2
【0024】
共通参照駆動信号(Icommon)と差分ΔIが、第1と第2のモータの参照駆動信号I_ref1とI_ref2を得られるようにする前述の手順に続き、どのように決定されるかを説明する。
【0025】
共通参照駆動信号Icommonに関して、駆動モジュール11は、少なくともアクセル部のスロットルθを示す信号に基づいて後者を決定するモジュール15を備える。このように、例えば、共通参照駆動信号Icommonの値とさらに車両の加速度は特定のアクセル移動位置に対応する。アクセル部のスロットルレベルθと共通参照駆動信号の値との関係は、モジュール15で決定されるように、例えば、ユーザーインターフェース装置13を通してユーザーにより好適に修正可能である。
図6には、この装置の可能なスクリーンが例として示されている。横軸にアクセル部のスロットルレベルθを縦軸に車両の加速度をもつダイヤグラムが示され、ユーザーは、好みに応じてこの関係を示す曲線を修正できる。例えば、ユーザーインターフェース装置13がタッチスクリーンとすると、その曲線上にそれの修正を手入力できる。影付けされた領域の位置に対応する値を有するa−θの対は、例えば車両の加速度とアクセル部のスロットルレベルθとの連続した関係が得られるようなやり方で補間される離散値のデフォルト検索テーブルの形でメモリモジュール(図示されていない)に記憶される。
【0026】
図6に描かれている曲線は静的、すなわち定常状態での加速度の動きを記述した曲線であることに注意されたい。好適には、ユーザーはシステムの反応指数r(
図6ではバーに沿って移動可能なスライダーとして示されている)を示す制御を調整できる。それはシステムの敏感性を変更することすなわちシステムの反応速度を調整することである。反応指数の変更の効果は
図7に示され、時間tでの車両の加速度aの動きは、反応指数rの変更に対応したアクセル部のスロットルレベルθの関数として示される。アクセル部のスロットルθの瞬間的な変化(
図7の下のダイヤグラム)への応答において、反応指数rの高い値に対しては、車両はより早く定常状態の加速度aに達する(
図7の上のダイヤグラム)。
【0027】
好適には、共通参照駆動信号Icommonを決定するモジュール15は、さらに、操舵角度δを示す信号及び/又は車両の速度vを示す信号、好適にはその両方に基づいて決定するように設定される。したがって、2つのモータの共通トルクは3つの車両パラメータ、すなわち、アクセル部のスロットルレベルθ、操舵角度δ及び車両速度vにより決定される。加速度aとそれぞれの操舵角度と車両速度の間の関係についてもメモリモジュールに記憶され、車両の加速度間の関係に関連して述べたのと同様なやり方でユーザーにより修正できる。
【0028】
例えば、
図5のダイヤグラムは車両加速度aと車両速度vの可能な関係を表し、それはユーザーインターフェース装置13によりユーザーに示される。この場合においても、影付けされた領域はシステムの操作限界を表し、示された曲線は、ユーザーによりニーズに基づいて変更できる。示された実例曲線に基づいて、車両の加速度aは高速に対して制限される。さらに、この場合においても、先に説明したように、システムの応答を修正するため反応指数rを操作できる。
【0029】
図には示していない類似の曲線が、車両加速度aと操舵部の操舵角度δとの関係に対して得られる。この場合も、ユーザーはその曲線を操作でき、操舵角度の関数のモータの共通トルクを修正するため、一定の所定の値の範囲内で修正する。
【0030】
本発明の好適な実施形態によれば、モジュール15は、車両の加速度a(機械トルクに関連する)と操舵角度δと車両速度vとアクセル部のスロットルレベルθ間の、ユーザにより編集可能な、所定の関係に基づいて、共通参照駆動信号Icommonとさらにモータ3′と3″のトルクを決定するように設定される。すなわち、システム内に、(所望の)加速度、操舵角度、車両速度及びアクセル部のスロットルレベル間の4次元の関係が記憶される。この関係は、前述の方法に従い、ユーザーが加速度―アクセル部のスロットルレベル曲線のような1つの2次元曲線を操作することにより修正される。前述のように、反応指数rを操作して、ユーザーはシステムの反応速度を決定できる。4次元の関係の関数において、モジュール15は車両の加速度とさらに共通参照駆動信号Icommonを決定する。すなわち、モジュール15は、アクセル部のスロットルレベル、車両の速度及び操舵角度を示す信号に基づいて共通参照駆動信号Icommonを決定する加速度プロファイル(profile)を設定するモジュールとして機能する。
【0031】
可能な実施形態によれば、共通参照駆動信号を決定するモジュール15は、最大値Imax(車両の加速を発生させる、共通の正のトルクに対応して、正)と最小値Imin(車両の減速を発生させる、共通の正のトルクに対応して、負)を限界とする領域内に共通参照駆動信号Icommonを維持するように設定される。こうして、共通参照駆動信号(Icommon)の値が最大値より高いトルクがモータにかかるようになるのを阻止できる。特定の作動条件(例えばモータの特定の回転速度に対して)で供給することができる。例えば、車両の特定の条件に基づいてできるだけ可変となる共通参照駆動信号の最大値Imaxと最小値Iminの所定の参照値を与えることができる。あるいは、前述のように、共通参照駆動信号を決定するモジュール15は、さらに車両加速度を検出する手段15によって供給される加速度axを示す入力信号を受信して、加速度axを示すこの信号の関数内でさらに共通参照駆動信号Icommonを制御するように設定される。特に、加速度の最大値(正)と最小値(負)と、さらにアクセル部のスロットルレベルθ、車両の速度vと操舵角度δの関数として前述したように決定される参照駆動信号ImaxとIminは、車両の実際に検出された加速度axに基づいて制限される。実際のところ、加速度axの検出は与えられた作動条件内でモータによって供給される実際のパワーを決定することを可能にする。したがって、加速度プロファイルを決定するモジュール15は、車両の特定の作動条件内で実際に供給されるよりも高いパワー供給を引き起こす機械トルクをモータが要求されないように共通参照駆動信号Icommonの値を制限する。
【0032】
差分参照駆動信号ΔIに関して、駆動モジュール11は、少なくとも操舵角度δと車両の速度vを示す信号に基づいて参照ヨー率ψrefを決定するモジュール21を備える。参照ヨー率ψrefは、示された数量間の所定の関係に基づいてモジュール21により決定される。好適には、この関係はユーザーにより、例えばユーザーインターフェース装置13を通して設定される。
【0033】
ヨー率ψ、操舵角度δ及び車両速度v間の理論的関係は、3つの異なる速度に対するヨー率ψと操舵角度δ間の関係が表された
図3に示されるタイプの曲線によって定性的に記述されることが知られている。この既知の関係のタイプは、前述の参照ヨー率ψrefを決定するのに有効に使用される。
図4はユーザーインターフェース装置13の実行可能なスクリーンを示し、特定の車両速度(例えば50Km/hに等しい)における参照ヨー率ψrefと操舵角度δ間の関係が示されているダイヤグラムが表れている。影付きの領域は参照ヨー率ψrefと前述の
図3に示される理論的曲線によって定義されるそれらに対応するその境界の設定に対する限界を示す。次に、ユーザーは、操舵角度δに対する参照ヨー率ψrefを結びつける曲線を変更する操作をする。その操作は、異なる速度vに対して繰り返される。この場合においても、参照ヨー率ψref、操舵角度δ及び車両速度v間の関係はメモリモジュールに検索テーブルの形式で記憶される。検索テーブルの離散データの補間により連続な関係を得ることができる。
【0034】
参照ヨー率(ψref)は、ユーザーが制御システム上で前述したやり方で操作して車両に与える理論的ヨー速度を示している。
【0035】
可能な実施形態によれば、参照ヨー率(ψref)は、検出された車両加速度axに基づいて変更される。好適には、先に説明したように、加速度axに基づいて、所与の条件における車両加速度に対するモータに必要なパワーを決定することが可能となり、さらに、横ダイナミクスを制御するため利用可能な残りのパワーを発見することが可能となる。例えば、もし、現在の車両加速度axに基づいて、モータの全パワーが既に共通参照トルクに使用されていることが明らかであると、横ダイナミクスを制御するためにさらなるパワーを使用することがもはやできない。したがって、モータの必要なパワーが供給されないので、モジュール21は、所与の条件で通常決定される参照ヨー速度を発生させることができない。
【0036】
駆動モジュール11は、少なくとも、例えば車両の作動中に検出手段9により検出されるヨー率ψの表示信号と、参照速度の決定のためのモジュール21により説明したとおりに決定される参照ヨー率ψrefの表示信号に基づいて差分参照駆動信号ΔIを決定するモジュール18を備える。
【0037】
特に、有利には、差分参照駆動信号ΔIを決定するモジュール18は、車両の実際のヨー率ψと参照ヨー率ψref間の誤差の閉ループ制御を実行するよう、後者を決定するように構成される。閉ループ制御は、この誤差を最小にする、すなわち実際のヨー率が参照ヨー率と等しくなるようにすることを保証するのが目的である。
【0038】
このように、差分参照駆動信号ΔIは、モータトルクが所望のヨー率すなわち参照ヨー率ψrefを車両に与えるようにする。例えば、ヨー率の閉ループ制御はPIDコントローラ又は例えばファジーロジックのような別種のコントローラにより作動される。
【0039】
可能な実施形態によれば、差分参照駆動信号ΔIを決定するモジュール18は、閉ループ制御のパラメータが車両速度表示信号に基づいて修正されるように構成される。例えば、PIDコントローラに関して、車両速度の関数として、比例定数、微分、積分の変更が可能である。このように、異なる速度における車両の実質的に同一の応答が保障される。コントローラのパラメータと車両速度との関係を決定するために、ゲインスケジューリング基準を使用する(それ自体知られているのでここでは記述されない)。
【0040】
可能な実施形態によれば、駆動モジュール11は、双方、操舵角度δを示す信号に基づき差分参照駆動信号ΔIを修正するように構成されたフィードフォワード制御モジュールを備える。特に、フィードフォワード制御モジュール19は操舵角度δを表示する入力信号を有するダイナミックフィルタとして機能する。好適には、フィードフォワード制御モジュール19の制御パラメータであっても、車両速度vを示す信号に基づき、ゲインスケジューリングロジックに対応して、修正される。フィードフォワード制御モジュール19の存在下で、差分参照駆動信号ΔIは閉ループ制御モジュール18とフィードフォワード制御モジュール19からの出力信号の代数和として求められる。
【0041】
上述のように決定された共通参照駆動信号Icommonと差分参照駆動信号ΔIは、さらに、前述のように、第1のモータの参照駆動電流Iref_1と第2のモータの参照駆動電流Iref_2の形で2つのモータ間にトルク配分モジュール14により供給される。
【0042】
本記載と添付のクレームにおいて、制御システムは「モジュール」の語により示される構成要素と同様に、ハードウェア(例えば制御ユニット)、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの結合を使用して実装されることに留意されたい。
【0043】
上述の記載から当業者は、本発明に基づいて機械トルクの制御システムがユーザーニーズに基づき車両のダイナミクスをカスタマイズするやり方を理解する。制御システムは、モータが車両の現在の条件に基づいてカスタマイズされたやり方で加速するように2つの駆動輪の共通トルクに作用し、また、カスタマイズ可能な横動力学的動作を車両に課すために、モータ、したがって駆動輪間にトルク差分を付与することを可能にする。したがって本発明によるシステムは、特定の環境下での(例えばカート又は特定の方向での回転が多いトラック上で左右回転するスポーティカートでの異なる応答を確保するため)、車両の性能を改善するために使用される。また、本発明によるシステムは、例えば2つの駆動輪が異なるグリップ条件にあるような難しい運転条件をシミュレートする動力学的動作を車両に課すようなトレーニングにおいて活用される。
【0044】
当業者は、条件付きの特別な要求を満たすために、添付のクレームの範囲から外れないけれども、前述の実施形態に、他の機能的に等価な構成要素の多くの追加、変更あるいは置き換えを適用できる。