(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成形繊維は、ポリオレフィン、熱可塑性ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、コポリエステル、液晶ポリマーおよび熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマーおよびエラストマーオレフィンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【背景技術】
【0002】
現在、生物学的および/または化学的液体サンプルを分離、精製または調製するために数多くの方法が存在する。流動床クロマトグラフィーカラムおよび分離媒体充填クロマトグラフィーカラムは、全部が液体サンプルから関心対象の生物学的物質および/または化学的物質を分離および/または精製するために使用されてきたが、収率、時間消費、純度およびコストに関して得られる成功は様々であった。
【0003】
モノクローナル抗体(mAbs)を商業的に捕獲するための一次テンプレート法は、目に見える(混濁)細胞および細胞破片を浄化トレインに通して除去し、次に伝統的なビーズベースの結合/溶出捕捉クロマトグラフィーカラム上に直接装填する方法である。
【0004】
浄化法は、典型的には2工程法である。第1工程は、デプスフィルターまたはディスクスタック遠心分離器のいずれかである。現在完全に使い捨てのデプスフィルターは、いずれかの現行の滅菌技術とともに使用するためにはあまり適していない。ステンレス製ハウジング内のデプスフィルターを使用することにより、滅菌のために蒸気を使用できるが、機械設備や洗浄および洗浄をバリデーションする必要性が加わる。デプスフィルターは、細胞密度およびデプスフィルターが実用的である総バッチサイズに関して制限される。ディスクスタック遠心分離器の使用は、一次浄化用のデプスフィルターの性能制限の一部を取り除きはするが、洗浄、無菌作業および拡張性に関する数多くの固有の課題を持ち込む。二次浄化は、典型的には一次浄化に使用される場合と同一の無菌に関する課題を備えるデプスフィルターを用いて実施される。二次浄化についての性能制限は、主として小粒子濃度が高い場合にある。最終膜フィルターは、典型的には汚染微生物を減少させるために、および残留している固体によって汚染され易い可能性があるクロマトグラフィー工程の下流を保護するために使用される。
【0005】
クロマトグラフィー工程のために最適なリガンドは、典型的には、時々使用されるカチオン交換を伴うプロテインAである。パイロット規模および規模の大きなクロマトグラフィーカラムに充填して作動させるために必要とされる機械設備は重要であり、注意深い充填および特性解析を必要とする。樹脂のコストが高額で有効床内に充填するためには大きな努力が必要とされるために、カラムは、典型的には同じ場所で洗浄され、ある作戦を通して、または樹脂寿命が終わるまで再使用される。
【0006】
現行の浄化法は、無菌条件(連続遠心分離、使い捨てセルロース製デプスフィルターデバイス)を達成することに取り組んでいる。セルロース製デバイスの蒸気処理は、現在、この後に洗浄を必要とする資本集約的なステンレス製ハウジング内でしか安全ではない。ワクチン捕獲またはグレースペース処理のためには、無菌要件がより重要である。
【0007】
さらに現行の浄化法は、極めて高固体もしくは高濃度の小粒子を含む捕獲物を浄化することに苦闘し、低力価捕獲物を伴う良好な収率を達成することに苦労している。
【0008】
近年この代わりに、浄化法はサンプル液と接触する構成部品が使い捨て構成部品である設備で実施されてきた。
【0009】
このような使い捨て構成部品には洗浄作業を回避できるという利点があるが、必要とされる安全度を提供するためには、このような構成部品を備える設備の実施は、相当に複雑な選択、組立および検証の作業を必要とする。
【0010】
従って、液体生物学的サンプルおよび供給物を処理するために、実行するのが便宜的であるより単純およびより安価な工程浄化法および構成部品を有することが望ましく、これらの方法および構成部品は、静的結合に依存することによって床特性への要求が低い、および注意深いカラム充填および/または必要な特殊デバイスならびに相当に高価なデバイス設計についての特性解析を必要としない使い捨て構成部品に依存する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、側壁によって規定された内部区画、内面、外面、関心対象の生体分子を含有する液体サンプルおよび供給物を受け入れるための入口、処理された液体サンプルおよび供給物を排出するための出口、ならびに第1端および第2端であって、一方の端もしくは両端がデバイスの内面に取り付けられている第1端および第2端を有するデバイスの内部区画内に含有された高表面積吸着素子を有する柔軟性の折り畳み式使い捨て二次元もしくは三次元成形デバイスに関する。
【0012】
ある種の実施形態では、本発明は、例えば、ワクチン、組換えタンパク質、細胞、幹細胞、モノクローナル抗体(mAbs)、タンパク質、抗体、ペプチド、オリゴペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、RNA、DNA、オリゴ糖類および多糖類などの生体分子生成物を入手するために、生物薬剤学的液体サンプルおよび/または供給物を精製するための柔軟性の使い捨てデバイス、例えば、バッグもしくはパウチに関する。
【0013】
本発明のある種の実施形態では、吸着素子の第1端は、バッグの内側壁に上部外周の近くでしっかりと固定され、接着され、さもなければ取り付けられ、吸着素子の第2端はバッグの内側壁にバッグの底面周囲でしっかりと固定され、接着され、さもなければ取り付けられる。
【0014】
本発明のある種の実施形態では、吸着素子は、互いに実質的に平行に組み立てられ、バッグの内側壁に固定されたカーテンもしくは壁に似た構造または他のこのような形状のポリマー繊維である。
【0015】
本発明のある種の実施形態では、吸着素子は、互いに実質的に平行に、およびバッグの最長寸法に対して実質的に平行に組み立てられ、バッグの対向する内側壁に、上部外周の近くで上部外周に沿って、およびバッグの底面周囲の近くで底面周囲に沿って固定されたカーテン、もしくは壁に似た構造または床の成形繊維または他のこのような形状のポリマー繊維である。
【0016】
本発明のある種の実施形態では、本デバイスは、折り畳み式のポリマーバッグ、パウチ、容器などである。
【0017】
本発明のある種の実施形態では、繊維は、官能化された高表面積メルトスパン繊維である。
【0018】
本発明のある種の実施形態では、本デバイスは、特に高い固体レベルおよび/または低いタンパク質濃度を含有する原流体流からの低のコスト結合/溶出精製(例えば、細胞捕獲流体もしくはリフォールド(再生)プールからの直接捕捉)のために良好に適合する。
【0019】
本発明の他の実施形態では、流体と比較して低い初期量の繊維に沿って平行な繊維の構造は、例えば細胞および細胞破片などの固体を含有する流体が、繊維マトリックス内に固体が機械的に捕捉されることなく、撹拌に伴って導入されて繊維と接触させられるようになることを可能にする。
【0020】
さらに他の実施形態では、本発明は、乾燥および前殺菌されて供給されるデバイスを提供する。
【0021】
1つの実施形態では、本体は、二次元枕形バッグであって、押出もしくは他の方法で成形された材料の2枚のポリマーシートが重複関係に置かれ、2枚のシートが外周で接着されて内部区画を形成する二次元枕形バッグを含む。または、押出もしくは他の方法で成形されたポリマー材料の単一の一体型シートは、外周の周囲で折り重ねて継ぎ合わせると内部区画を形成することができる。
【0022】
さらに他の実施形態では、バッグは、最初にポリマーシートを連続チューブの形態に押出もしくは他の方法で形成する工程によって形成されるが、このときチューブは二次元枕形バッグを形成するための長さに切断して両端を閉じて継ぎ合わされる。また別の実施形態では、両端は、ペーパーバッグの端部と同様に折り畳み、次に三次元本体を形成できるように閉じて継ぎ合わせることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態では、バッグは、接触層によって分離された、全部が同時に共押出しされる異なる材料の2つ以上の層を含む押出ポリマー材料の単一の一体型シートを含む。
【0024】
本発明の他の実施形態では、高表面積の官能化成形繊維は、クロマトグラフィー、特にイオン交換クロマトグラフィーのための吸着媒体を含む。
【0025】
本発明の他の実施形態では、官能化成形繊維は、繊維の表面積を大きく増加させるフィブリル化、畝付きまたは翼形構造を含有する。
【0026】
他の実施形態では、本発明には、高表面積成形繊維にカチオン交換もしくはイオン交換官能性を提供する表面ペンダント官能基を付加する方法が含まれる。このペンダント官能基は、例えばモノクローナル抗体(mAbs)などの生体分子のイオン交換クロマトグラフィー精製のために有用である。
【0027】
本発明の他の実施形態では、望ましくない種および/または汚染物質は、固体を生成物として保持しながらサンプル流体および供給物から除去される(例えば、幹細胞精製)。
【0028】
本発明の追加の特徴、態様および利点については、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において記載する。本発明の多数の修飾および変更は、当業者には明白であるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく加えることができる。上記の一般的説明および下記の詳細な説明、特許請求の範囲ならびに添付の図面は、例示的および説明的であるに過ぎず、本教示の様々な実施形態の説明を提供することが意図されている。本明細書に記載した特定の実施形態は、例示するためにのみ提供されるもので、限定することは決して意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書および添付の特許請求の範囲のためには、他に指示しない限り、成分の量、材料のパーセンテージもしくは比率を表示する全ての数字、反応条件ならびに本明細書および特許請求の範囲で使用した他の数値は、全ての場合に用語「約」によって修飾されると理解すべきである。
【0031】
従って、反対のことが指示されない限り、下記の明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメーターは、本発明によって得ようと努められた所望の特性に依存して変動する可能性がある近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲への同等物の原則の適用を制限するつもりではないが、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されなければならない。
【0032】
本発明の広い範囲を説明する数値域およびパラメーターは近似値ではあるが、特定の実施例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしあらゆる数値は、本質的に、これらの各試験測定値において見いだされる標準偏差の結果として生じるある種の誤差を含有している。さらに、本明細書に開示した全範囲は、これらの中に含有された全ての部分範囲を含むと理解すべきである。
【0033】
成形繊維
繊維は、例えば中間長さの糸もしくはモノフィラメントなどの連続長さの形態にあってよい、または結晶成長法などによって形成された、個別ピースへ連続長さの繊維を切断して、例えば不織布もしくは織布などのより短い個別繊維に形成されてもよい。
【0034】
好ましくは、繊維は、熱可塑性ポリマーから製造される。熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、被覆ポリエチレン/ポリプロピレン繊維、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリ塩化ビニル液晶ポリマー、ポリエステル、例えば超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレートを含むポリエチレンテレフタレート、コポリエステルなどならびに熱可塑性エラストマー、を含むがこれらに限定されないポリフッ化ビニリデン(PVDF)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPUs)、例えばポリエーテル、ポリエーテルエステル、およびPBAXおよびエラストマーオレフィン、およびアクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、スチレンポリマーならびに上記の混合物が含まれる。
【0035】
ある種の実施形態では、繊維横断面は、一般に翼形であり、本体領域は実質的に長手軸を規定し、複数の突出部が本体領域から外側へ半径方向に伸びている。突出部は繊維の長さに沿って伸びるずらりと並んだ共線チャネル、典型的には繊維1本当たり20から30本のこのようなチャネルを形成し、突出部の長さは本体領域の長さより短い。
【0036】
突出部間の適切なチャネル幅は、約200ナノメートルから約1,000ナノメートルの範囲に及ぶ。適切な繊維は、「Composite Fiber」と題するTanaka et al.へのTanakaの米国特許第6811874号明細書、「Composite Filter Media With High Surface Area Fibers」と題するChappasへの米国特許出願公開第2008/0105612号明細書および「Chromatography Media And Method」と題するYavorsky et al.への米国特許出願公開第2012/0029176号明細書に開示されており、これらの開示の各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
繊維は、湿潤もしくは乾燥滅菌クロマトグラフィー媒体であってよく、好ましい態様では、乾燥もしくは湿潤クロマトグラフィー媒体は無菌である。バッグは、放射線、オートクレーブ滅菌または化学殺菌剤を用いる処理によって殺菌できる。γ放射線が特に有効である。より温和な処理を使用して、微生物負荷、または例えば媒体中に存在する細菌および真菌などの微生物の総数を低下させることもできる。
【0038】
官能化成形繊維
吸着性相互作用に基づく生体分子の分離および生物学的分離を可能にするために、このような繊維表面を官能化するための化学処理法が提供されている。化学処理法は、イオン親和性、または疎水性相互作用もしくは相互作用の組み合わせに基づいて、このような繊維に様々な表面化学的官能性を付与することができる。繊維製造および単純な表面化学処理工程を組み合わせた経済性は、生物薬剤学ならびにワクチン製造における精製作業のための経済的および容易に拡張可能な技術を生み出す。
【0039】
高表面積成形繊維の表面官能化は、2工程法によって実施できる。Yavorsky et al.への米国特許出願公開第2012/0029176号明細書に提供されたように、適切な官能化方法はグラフト重合である。官能化は、12時間にわたり50℃で、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で繊維をアリルグリシジルエーテルで処理することによるペンダントアリル基のナイロン6繊維表面への付着から始まる。ペンダントアリル基は、ペンダントアクリルアミドポリマー官能基のための付着点として繊維表面上の固定部位として機能する。アクリルアミドモノマーの溶液重合の条件が提供されると、繊維表面上のペンダントアリル基は溶液中の成長中のポリマー鎖に付着する。そこで、アリル官能化繊維は、引き続いて2−アクリルイミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N,N−ジメチルアクリルイミドおよび過硫酸アンモニウムを用いて80℃で4時間にわたり処理される。80℃に加熱されると、過硫酸分解は、アクリルモノマーのフリーラジカル重合を開始する。これらの条件下では、繊維表面上のペンダントアリル基は、ペンダントアクリルポリマー官能基のための付着点として機能する。この方法で、アクリルポリマーは繊維表面に共有結合させられる。
【0040】
ある種の実施形態では、アクリルアミドポリマーは、別個に調製し、後に表面コーティングとしてナイロン繊維へ適用することができる。結果として生じる表面被覆繊維は、アリルグラフト化材料への匹敵するIgG結合能力を証明した。
【0041】
ある種の実施形態によると、官能化は、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)およびN,N−メチレンビス(アクリルアミド(MBAm)の架橋コーティングの高表面積繊維の表面上への堆積から始まる。この工程は、その後のアクリルアミドポリマーのセリウムイオン開始レドックス重合のための反応性ヒドロキシアルキル官能基を提供する。
【0042】
HPS/MBAm処理繊維は、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩、硝酸アンモニウムセリウム(IV)およびHNO
3の水溶液と窒素雰囲気下の35℃で反応させられる。これらの条件下で、繊維表面上の架橋ヒドロキシアルキル(ヒドロキシプロピルアクリレート)官能基のセリウム酸化は、繊維表面上にフリーラジカルを生成し、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸モノマーの表面グラフト重合を開始する。このような条件下では、表面開始重合工程は、重合した(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)モノマーのポリマー「触手」を生成する。そこでアクリルアミドポリマーは、この方法で繊維表面に共有結合させられる。このような工程は、グラフト重合として公知である。
【0043】
化学基(結合基および/またはリガンド基)は、捕捉するのが望ましい実体を引き付けて保持する責任を負う。または、ポリマーは、結合基を組み込むために容易に修飾できる化学基を有する。コーティングもしくはカバーリングは、吸着能力を増加させて不純物をコーティングもしくはカバーリングの深部まで捕捉することができるように透過性である。好ましいポリマーは、ポリマー第1級アミンである。適切なポリマー第1級アミンの例には、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリブチルアミン、ポリリシン、相互および他のポリマーとのこれらのコポリマーならびにこれらの各プロトン化形が含まれる。適切なコポリマーには、ビニルアルコール−co−ビニルアミン、アクリルアミド−co−アリルアミン、エチレングリコール−co−アリルアミンおよびアリルアミン−co−N−イソプロピルアクリルアミドが含まれる。ポリアリルアミン(および/またはこのプロトン化形、例えば塩酸ポリアリルアミン(PAH))から製造されたコーティングもしくはカバーリングは、特に有用であることが見いだされている。PAAは、通常は1,000から150,000の範囲内にある分子量数で、市販で入手することができ(Nitto Boseki)、これら全部が膜吸収剤を作成するために使用できる。PAAおよびPAHは、易水溶性である。PAA水溶液のpHは約10から12であるが、他方PAHのpHは3から5である。PAAおよびPAHは互換的に使用できるが、最終溶液のpHを監視しなければならず、必要であれば、非プロトン化アミノ基を架橋剤との反応のために利用できるように10を超える数値に調節しなければならない。
【0044】
サンプル調製デバイスの構造
図1から6は、非多孔質側壁34によって規定された内部区画32を有する、ならびに内面36、外面38、上部外周62で終了する第1端60、底面周囲72で終了する第2端70、液体サンプルを受け入れるための入口52、処理液体を放出するための出口54および本体の内部区画内に含有された高表面積ポリマー吸着素子40であって、ポリマー吸着素子が第1端42および第2端44を有する高表面積ポリマー吸着素子40を有する柔軟性折り畳み式本体であって、第1端および第2端は本体の内面に取り付けられている柔軟性折り畳み式本体30を含む使い捨ての柔軟性サンプル調製デバイス20を描出している。
【0045】
デバイスの本体30は、柔軟性の水不透過性非多孔質材料、例えば約0.1mmから約5mmの範囲内の、約0.2mmから約2mmがより一般的である厚さを有するポリエチレンシートもしくは他のポリマーシートから構成される。他の厚さもまた使用できる。
【0046】
図4および5は、高表面積ポリマー吸着素子40がバッグ20の対向する周辺側壁に細長いポリマーストリップ48によってどのように固定されるのか、さもなければ接着されるのかに関するある種の実施形態を示しているデバイス20の切取図を示している。
【0047】
サンプル調製デバイスの製造
材料は、単一層材料から構成できる、または二重壁容器を形成するために合わせてシールもしくは分離されているどちらかの2つ以上の層を含むことができる。層が合わせてシールされる場合、材料は積層もしくは押出材料を含むことができる。積層材料は、引き続いて接着剤によって一緒に固定される2枚以上の別個に形成された層を含んでいる。
【0048】
押出材料は、接触層によって分離された、全部が同時に共押出しされる異なる材料の2つ以上の層を含む単一の一体型シートを含むことができる。
【0049】
1つの実施形態では、本体30は、二次元枕形バッグであって、2枚のシート材料が重複関係に置かれ、2枚のシートが外周で一緒に接着されて内部区画32を形成している二次元枕形バッグを含む。または、単一材料シートを外周の周囲で折り重ねて継ぎ合わせると内部区画32を形成することができる。
【0050】
本体30は
図1から6に二次元の実質的に枕形の構造を有すると描出されているが、本体30は、実際上は任意の所望のサイズ、形状および構造を有するように製造できると理解されている。
【0051】
例えば、本体30は、100mL、500mL、1L、10Lまたは他の所望の量を保持するサイズにされた内部区画32を有するように形成できる。しかし任意の実施形態では、本体30は、本体30が関心対象の生体分子を含有する液体サンプルで充填された場合に本体に印加される水圧によって破損するのを防ぐための本体30の少なくとも一般的に一様な支持体を提供する任意選択的ホルダ(図示せず)に受け入れられることが望ましい。
【0052】
三次元本体(図示せず)は、複数の、つまり典型的には3枚以上の別個のパネルを含む。本体は、4枚のパネル、つまり上面パネル、前面パネル、裏面パネルおよび底面パネルから構成される(図示せず)。各パネルは、好ましくは実質的に正方形または長方形の中央部分を有する。上面パネルおよび底面パネルは、中央部分の対向する端部から突き出ている第1端部部分および対向する第2端部部分を含んでいる。端部部分の各々は、対向する先細の縁部を備える実質的に台形の構造を有する。前面パネルおよび裏面パネルの各々は、中央部分の対向する端部から突き出ている三角形の第1端部部分および対向する三角形の第2端部部分を含んでいる。
【0053】
各パネルの対応する外周縁部は、実質的に箱形の本体を形成できるように継ぎ合わされる(図示せず)。パネルは、当分野において公知の方法、例えば熱エネルギー、RFエネルギー、音響学、他のシーリングエネルギー、接着剤または他の従来型工程を使用して継ぎ合わされる。パネルの一部または全部のサイズおよび構造を変化させることによって、様々な異なるサイズおよび構造を有する本体を形成できると理解されている。さらに、本体のサイズおよび構造を調整するためには任意の数のパネルを使用できることも理解されている。
【0054】
さらに別の実施形態では、2つの対向する折り畳み端を形成できるようにある長さのチューブを平たく置くことができる。次に2つの折り畳み端は、各々の側でひだを形成できるように内側へ向けて折り返される。チューブの対向する端部は、次に継ぎ合わせて閉じられる。最後に、膨らませると三次元バッグを形成できるように各々の隅部を越えて角をなす継目が形成される。
【0055】
上記の技術を混合して1枚以上のポリマーシートと適合させられること、および二次元もしくは三次元構造を有する本体を形成できる様々な他の方法がまだあることは理解されている。
【0056】
チューブおよび/または容器は次に、サンプル調製バッグ組立体20の内部区画32に溶液を送達したり、溶液を除去したりするためにポート52および54少なくとも1つにつながれる(図示せず)。
【0057】
図1から6は、バッグが有することのできるポートの数および性質の例を描出している。当業者であれば、特定の細胞培養のための要件を知っており、特定用途のために必要なポートを容易に用意できるであろう。
【0058】
クロマトグラフィーシステム
一部の実施形態では、本発明は、サンプルが官能化成形繊維の吸着性カーテンに接触するにつれて、液体サンプルおよび/または供給物から関心対象の生体分子を単離するためのシステムを提供する。液体サンプルには、細胞、幹細胞、モノクローナル抗体(mAbs)、タンパク質、抗体、ペプチド、オリゴペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、RNA、DNA、オリゴ糖類および多糖類を含む関心対象の1つ以上の生体分子を含有する未浄化の液体供給物およびサンプルが含まれる。
【0059】
一部の実施形態では、本発明は、デバイス、デバイスを保持するために適したハウジング、デバイスへの混合物の流動およびデバイスからの混合物の流動を促進するための1つ以上のポンプおよび/または圧縮デバイスを含むシステムを提供する。
【0060】
適切なポンプには、蠕動ポンプ、パルス式ポンプおよび/または容積移送式ポンプが含まれる。
【0061】
このシステムは、官能化成形繊維の吸着性カーテンから溶離液の内容物を検出するための1つ以上の手段を含むことができる。検出器は、多波長検出または単一波長検出に依存する光に基づく検出器であってよい。適切な検出器には、可視波長の光線を検出できる分光光度計、紫外線吸収検出器、蛍光検出器が含まれる。検出器は、レーザー源に依存する散乱光検出器または酸化性もしくは還元性のいずれかである物質に応答する電気化学検出器であってよく、電気出力は、電極の表面で発生する反応によって生成される電子流である。
【0062】
このシステムは、クロマトグラフィー媒体から溶出された物質のクロマトグラムを提供するための1台以上のプリンターもまた含むことができる。このシステムは、1台以上のパーソナルコンピューターもまた含むことができる。パーソナルコンピューターは、例えば溶出分画の吸光度もしくは蛍光などのデータを記録するために適合する可能性がある。さらに、コンピューターには、溶出分画中の標的分子の濃度を計算するために適したソフトウエアを装備することができる。
【0063】
使用方法
ある種の実施形態では、本発明は、デバイス、デバイスを使用する方法およびデバイスを製造する方法を提供するが、このとき官能化成形繊維が関心対象の種を吸着すると、残りの固体を含む流体はデバイスから排出される。
【0064】
本発明は、関心対象の生体分子または液体サンプル内で見いだされる除去するのが望ましい汚染物質粒子(即ち、望ましくない種)のいずれかである関心対象の種を結合/捕捉するために、吸着性ポリマーカーテン様構造の1つ以上の官能化成形繊維を用いて、液体サンプルおよび供給物から関心対象の分析物、生体分子、タンパク質、mAbsなどをろ過、分離、調製、同定、濃縮、検出、溶出、結合および/または精製するために使用できる。
【0065】
デバイスのまた別の用途には、透過物内で収集すべき生成物(例えば、幹細胞精製)として固体を維持しながら、流体から望ましくない種を除去することが含まれる。
【0066】
図6は、デバイス20を使用するためのある種の実施形態を略図で示している。
【0067】
デバイス20には、わずかに少ないタンパク質を含有する未加工の未浄化供給物が装填され、その後に繊維の結合能力が使用される。
【0068】
すすぎ洗い/洗浄:若干の滞留時間にわたり液体サンプルを含有するデバイス20を撹拌した後(装填されたバッグ20を示している
図3を参照)、デバイスは空にされる。
【0069】
バッグ20を空にするために考えられる方法には、デバイスを効率的に空にさせ、これにより廃棄物を最小限に抑えて高濃度の生成物回収を最大限にするために、重力、ポンプ、真空、機械的絞りなどの使用が含まれる。
【0070】
デバイス20が空にされる各工程では、最大流体除去効率は、真空または成形繊維床を圧縮するための他の方法によって達成される。平行構造は、結果として効率的な排出作業および実用的作業を生じさせる最小力による高い床圧縮を可能にすることにも役立つ。
【0071】
デバイスの圧縮を駆動するための多数の可能な方法の内、1つの端部から出口ポートに向けて機能する方法は、大部分の流動中には繊維床を最小限に圧縮した状態で維持することになる。例えば、バッグは、ピンチローラー(図示せず)を用いて回転コア上にしっかりと巻き付けることができよう。
【0072】
溶離液
空のバッグデバイス20内に溶離液バッファーを(完全に湿潤させるために十分に)添加する。
【0073】
生成物飽和流体を除去し、生成物を過剰希釈せずに標的回収率(%)に達するために数回繰り返す。
【0074】
真空を用いて2mL/g(液体/繊維)の残渣を達成した。その後のすすぎ洗いおよび溶出工程は、類似の循環工程で作動する。実際上、固体クリアランスのための有効残渣は約10mL/g(液体/繊維)である。
【0075】
液体サンプルが調製バッグ20から除去されると、サンプル調製バッグは、単純に廃棄できる、またはリサイクルできる。その後、新しいバッチの液体サンプルのためには、新しいサンプル調製バッグ20を使用する。結果として、異なるバッチ間でタンクまたはミキサーの洗浄は必要とされず、交差汚染の危険性は低い。
【0076】
ある種の実施形態では、本発明は、繊維床の外へ液体流を移動させる、繊維床に対するスクリーンを含んでいる(図示せず)。
【実施例】
【0077】
[実施例1]
デバイス20を使用する固体クリアランス
本発明のある種の実施形態を使用して、液体サンプルからの細胞/細胞破片などの固体のクリアランスを証明するための実験を実施した。
【0078】
未修飾細胞培養捕獲物をデバイス20内に100mL/g(繊維)で装填し、引き続いてPBSバッファーを循環させたが、これは洗浄および溶出工程を表す。
【0079】
その後の精製のために生成物を下流に送る前に、濁度を各工程で滅菌グレード膜にとって合理的な課題である10NTUを用いて監視した。
【0080】
濁度対希釈率についての検量線を構築することによって、固体の99.5重量%が滅菌ろ過の前に除去されたと計算された(
図7を参照)。
【0081】
デバイス20を使用したタンパク質分離(
図8Aおよび8Bを参照)
同一バッファー量を使用して、タンパク質分離は、0.17mg/mLのmAb04および1mg/mLのBSAを用いてスパイクした20mM MES+0.1M NaCl(pH6)バッファーを対象に実施した。
【0082】
洗浄には、タンパク質を含まない同一バッファーを使用した。
【0083】
溶出バッファーは、20mM MES+0.5M NaCl(pH6)であった(
図9を参照)。
【0084】
収率:>90%の回収された結合mAb
デバイス中に残された残留液体(mAb)=1%
純度
溶出プール中に最初のBSA(0.09mg/mL)の3.7%(LRV=1.2)
精製係数=5
キット
【0085】
本発明は、液体サンプルから関心対象の生体分子分析物を単離、捕捉、精製さもなければ処理するために使用できるキットをさらに提供する。キットは、例えば、本発明による、この中に吸着性ポリマーカーテン様構造の1つ以上の成形繊維を有する1つ以上のバッグおよび1つ以上のホルダを含むことができる。キットは、1つ以上のコントロールもしくは関心対象のサンプル分析物を含有することができ、場合により本発明の方法において有用な様々なバッファーを含むことができる。1つの例として、キットはバッファーを含むことができ、場合により試薬または非特異的に保持もしくは結合された物質を除去するための洗浄バッファーをキット内に含めることができる。他の任意選択的キット試薬には、吸着性ポリマーカーテン様構造の1つ以上の成形繊維から結合した標的核酸を溶出するための溶出バッファーが含まれる。
【0086】
バッファーの各々は、溶液として別個の容器内で提供されてよい。または、バッファーは、乾燥形もしくは粉末として提供されてよく、使用者の所望の用途に従って溶液として作り上げることができる。この場合、バッファーはパケットに入れて提供されてよい。キットは、デバイスが自動化される場合における電源、ならびに外力を提供する手段、例えば真空ポンプ、圧縮デバイスなどを提供することができる。キットは、さらにデバイスを使用する、および/または吸着性ポリマーカーテン様構造の1つ以上の成形繊維を装着するため、および/または本発明によるデバイスおよび方法とともに使用するために適した試薬を作り上げるための取扱説明書をさらに含むことができる。本発明の方法を実施しながら、または本発明のデバイスを使用しながら、得られたデータを記録および分析するための任意選択的ソフトウエアもまた含めることができる。
【0087】
用語「キット」には、例えば、単一パッケージ内に組み合わされた各々の構成部品、個別に包装されて一緒に販売される構成部品、またはカタログに(例えば、カタログの同一ページ上または見開きページ上で)一緒に表示された構成部品が含まれる。
【0088】
本発明は、例示することが意図されている実施例によりさらに明確になるであろう。
【0089】
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明してきたが、現在では、当業者には下記の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱せずに数多くの修飾を加えられることは明白であろう。
【0090】
刊行物、特許出願および特許を含む本明細書で言及した全ての参考文献は、各々の参考文献が個別および特別に参照により本明細書に組み込まれると指示され、本明細書に全体として規定された場合と同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
本発明を記載する状況(特に下記の特許請求の範囲の状況)における用語「1つの」および「この」および類似の指示語の使用は、本明細書で他のことが指示されない限り、または前後関係により明白に矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈すべきである。本明細書での数値範囲についての言及は、本明細書で他のことが指示されない限り、この範囲内に含まれる各個別値を個別に言及する簡便な方法として役立つことが単に意図されており、各個別値は各個別値が本明細書で個別に言及されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載した全ての方法は、本明細書で他のことが指示されない限り、または前後関係により明白に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施できる。本明細書に提供した任意および全部の例または例示的な言い回し(例えば、「などの」)の使用は、他のことが主張されない限り、本発明を単により明確に明らかにすることが意図されており、本発明の範囲に関して制限するものではない。本明細書における言葉は、任意の要求されていない要素が本発明の実施にとって必須であると解釈すべきではない。
【0092】
上記に規定した開示は、独立した有用性を備える複数の別個の発明を含む場合がある。これらの発明の各々は、本発明を実施するための本発明者らには公知の最良様式を含む本発明の好ましい実施形態において開示してきたが、本明細書に開示して本明細書の中で例示した特定の実施形態は、多数の変形が可能であり上記の説明を読むと当業者には明白になるので、限定する意味があると見なすべきではない。本発明者らは、当業者であれば、このような変化を適切に加えることができると予期しており、本発明者らは、本発明が本明細書に特に記載した以外のやり方で実施できることを意図している。本発明の主題は、本明細書に開示した様々な素子、特徴、機能および/または特性の全ての新規で自明ではない組み合わせおよび部分組み合わせを含んでいる。従って、本発明は、適用可能な法律が許容するように、本明細書に添付の特許請求の範囲において言及された主題の全ての修飾および同等物を含んでいる。下記の特許請求の範囲は、特に、新規および自明ではないと見なされたある種の組み合わせおよび部分組み合わせを指摘する。特徴、機能、素子および/または特性の他の組み合わせおよび部分組み合わせで具体化された発明は、本出願または関連出願からの優先権を主張する出願において要求することができる。このような特許請求の範囲は、異なる発明または同一発明のいずれに関するものであっても、および最初の特許請求の範囲に比して広い、狭い、同等もしくは相違しても、同様に本開示の本発明の主題内に含まれると見なされる。