(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記更新計画データは、前記基板生産装置による生産処理の実行順序が設定された複数の生産計画に対して、前記ファームウェアの前記バージョンを指定することにより前記更新処理の予定が設定されている、請求項1の基板生産装置の管理装置。
前記設定案内部は、前記基板生産装置による生産処理において使用される前記ファームウェアの機能、および当該機能を有する前記バージョンの識別番号を併せて表示することにより、前記更新計画データの設定を案内する、請求項6〜9の何れか一項の基板生産装置の管理装置。
前記更新計画データは、複数の前記基板生産装置により構成される複数の基板生産ラインに対して、前記ファームウェアの前記バージョンを指定することにより前記更新処理の予定が設定されている、請求項1〜10の何れか一項の基板生産装置の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の基板生産装置の管理装置および管理方法を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。基板生産装置は、例えば、集積回路などの基板製品の製造に用いられる基板生産ラインを構成する。基板生産装置の管理装置は、基板生産装置の構成機器に組み込まれたファームウェアを管理する。
【0011】
<実施形態>
(基板生産ラインの全体構成)
本実施形態において、3つの基板生産ラインL1〜L3は、
図1に示すように、複数の基板生産装置1により構成される。基板生産装置1は、基板に対して各種の生産処理を実行する。基板生産ラインL1〜L3は、基板生産装置1として、スクリーン印刷機2、部品実装機3、リフロー機4、および基板搬送装置5を備える。また、複数の基板生産装置1は、ネットワークを介してホストコンピュータ40と通信可能に接続されている。
【0012】
スクリーン印刷機2は、搬入された基板における電子部品の装着位置にペースト状のハンダを印刷する。部品実装機3は、スクリーン印刷機2側から搬送された基板のハンダの上に電子部品を装着する。本実施形態では、複数の部品実装機3が基板の搬送方向に配置されている。部品実装機3の詳細な構成については後述する。
【0013】
リフロー機4は、部品実装機3側から搬送された基板を加熱して、基板上のハンダを溶融させてハンダ付けを行う。基板搬送装置5は、ベルトコンベアなどにより構成され、基板を搬送方向(
図1の左右方向)へと基板を順次搬送する。
【0014】
基板生産ラインL1〜L3は、基板生産装置1や図示しない検査装置などに対して基板を順に搬送し、各種の生産処理および検査処理を実行して基板製品を生産する。なお、基板生産ラインL1〜L3は、生産する基板種別などに応じて、その構成を適宜追加、変更される。例えば、基板生産ラインL1〜L3は、他の基板生産装置1として、基板反転装置やシールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置など、様々な機種を備えて構成される場合もある。
【0015】
ホストコンピュータ40は、基板生産ラインL1〜L3の動作状況を監視し、基板生産装置1の制御を行う。このホストコンピュータ40は、ハードディスクやフラッシュメモリなどにより構成される記憶装置41を有する。記憶装置41には、基板生産装置1を制御するための各種データが記憶されている。具体的には、記憶装置41は、生産する基板種別や生産数量を含む生産計画、基板生産装置1に生産処理を実行させるための動作プログラムなどを記憶している。
【0016】
(部品実装機3の構成)
基板生産ラインL1〜L3を構成する複数の部品実装機3は、
図3に示すように、基台11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15、および制御装置16を備えて構成される。部品供給装置12は、部品実装機3の長手方向の前部(
図3の左前側)に設けられている。部品供給装置12は、カセット式の複数のフィーダ30を本体部上のスロット部に交換可能に装着されている。
【0017】
フィーダ30は、本発明の構成機器に相当する。フィーダ30は、フィーダ本体31、供給リール32、制御部33、および部品供給部34を備えて構成される。フィーダ30は、部品供給装置12における所定のスロットにフィーダ本体31が固定される。これにより、フィーダ30は、電源を供給されるとともに、部品実装機3の制御装置16と通信可能な状態となる。
【0018】
供給リール32は、フィーダ本体31の後端側(部品実装機3の前部側)に設けられたリール収容部に、回転可能かつ着脱可能に装着されている。供給リール32は、巻回された部品包装テープを保持する。供給リール32の部品包装テープは、電子部品が所定ピッチで収納されたキャリアテープと、このキャリアテープの上面に接着されて電子部品を覆うトップテープとにより構成される。
【0019】
制御部33は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御部33は、電子部品の供給制御などを行うファームウェアが組み込まれている。制御部33は、外部入力される制御信号や、メモリに記憶されている設定値等に基づいて、ファームウェアを実行する。これにより、フィーダ30は、フィーダ本体31のピッチ送り機構により供給リール32から引き出された部品包装テープをピッチ送りする。
【0020】
そして、フィーダ30は、キャリアテープからトップテープを剥離して、電子部品を露出させる。フィーダ30は、上記のような電子部品の供給制御によって、フィーダ本体31の前端側(部品実装機3の中央寄り)に位置する部品供給部34において、部品移載装置13の吸着ノズル23が電子部品を吸着可能となるように電子部品の供給を行っている。
【0021】
部品移載装置13は、X軸方向およびY軸方向に移動可能ないわゆるXYロボットタイプの移載装置である。部品移載装置13は、部品実装機3の長手方向の後部(
図3の右上側)から前部の部品供給装置12の上方にかけて配置されている。部品移載装置13は、ヘッド駆動装置21、部品装着ヘッド22、および吸着ノズル23を備えている。ヘッド駆動装置21は、直動機構により移動台をXY軸方向に移動可能に構成されている。
【0022】
部品装着ヘッド22は、ヘッド駆動装置21の移動台に着脱可能に設けられている。吸着ノズル23は、部品装着ヘッド22に着脱可能に設けられている。部品装着ヘッド22は、Z軸と平行なR軸回りに回転可能に、且つ昇降可能に一または複数の吸着ノズル23を支持する。また、部品装着ヘッド22は、電子部品の保持制御などを行うファームウェアが組み込まれている。
【0023】
部品装着ヘッド22は、外部入力される制御信号や、メモリに記憶されている設定値等に基づいて、ファームウェアを実行する。これにより、吸着ノズル23は、部品装着ヘッド22に対する昇降位置や角度、図示しない吸着ノズル駆動装置による負圧の供給状態を制御される。吸着ノズル23は、負圧を供給されることにより、先端部において部品供給部34で供給された電子部品を吸着して保持する。
【0024】
部品カメラ14および基板カメラ15は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ14および基板カメラ15は、撮像制御などを行うファームウェアが組み込まれている。部品カメラ14および基板カメラ15は、通信可能に接続された制御装置16による制御信号に基づいてファームウェアを実行する。これにより、部品カメラ14および基板カメラ15は、対象物を撮像して、当該撮像により取得した画像データを制御装置16に送出する。
【0025】
部品カメラ14は、基台11に固定され、吸着ノズル23に保持された電子部品を撮像の対象物とする。基板カメラ15は、ヘッド駆動装置21の移動台に固定され、部品実装機3の機内で位置決めされた回路基板を撮像の対象物とする。制御装置16は、部品カメラ14および基板カメラ15の撮像により取得した画像データについて画像処理を行う。これにより、制御装置16は、吸着ノズル23による電子部品の保持状態や基板の位置決め状態などの情報を取得する。制御装置16は、実装制御において、画像処理により取得した情報に基づいて、吸着ノズル23の位置や角度などの補正を行う。
【0026】
制御装置16は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置16は、通信インターフェースを介して、フィーダ30やホストコンピュータ40と通信可能に接続されている。制御装置16は、動作プログラムや画像処理により取得した情報などに基づいて部品供給装置12や部品移載装置13などの動作を制御する。
【0027】
また、制御装置16は、実装制御などを行うファームウェアが組み込まれている。制御装置16は、ホストコンピュータ40や各種センサから入力する信号、動作プログラム等に基づいて、ファームウェアを実行する。これにより、部品実装機3は、電子部品の実装制御し、基板のハンダの上に電子部品を装着する。
【0028】
(基板生産装置の管理装置の構成)
基板生産装置1の管理装置50は、
図1に示すように、基板生産ラインL1〜L3を構成する複数の基板生産装置1およびホストコンピュータ40に設けられた各部により構成される。具体的には、管理装置50は、
図2に示すように、各基板生産装置1にそれぞれ設けられたバージョン取得部51および処理管理部52を備える。さらに、管理装置50は、ホストコンピュータ40に設けられた設定案内部53、並びに記憶装置41に記憶された更新計画データM1、および管理データM2を備える。
【0029】
ここで、管理装置50は、基板生産装置1の構成機器に組み込まれたファームウェアを対象として管理制御を行う。ここで、基板生産装置1の「構成機器」とは、基板生産装置1に搭載された機器であって、種々の機能を有するファームウェアが予め組み込まれたものである。具体的には、基板生産装置1が部品実装機3である場合には、フィーダ30、部品装着ヘッド22、部品カメラ14、基板カメラ15、制御装置16が構成機器に該当する。
【0030】
また、管理装置50は、更新計画データM1に基づいてファームウェアの更新を管理する。この「ファームウェアの更新」は、異なるバージョンへの更新であって、バージョンアップおよびバージョンダウンを含む。また、更新計画データM1は、ファームウェアのバージョンの指定により当該ファームウェアの更新処理の予定が設定されたものである。
【0031】
更新計画データM1におけるバージョンの指定対象は、種々の態様がある。更新計画データM1は、例えば、基板生産ラインL1〜L3、基板生産装置1の機種やID(識別符号)、構成機器の機種やID、生産される基板の種別、基板生産装置1による生産処理の実行順序が設定された生産計画などに対して、またはこれらの複合的な組み合わせに対して、バージョンを指定することにより更新処理の予定が設定されている。
【0032】
本実施形態において、更新計画データM1は、
図4に示すように、基板生産ラインL1〜L3および生産計画(No1〜No4)に対して、ファームウェアのバージョンを包括的に指定されている。また、バージョンの指定は、種々の態様がある。更新計画データM1は、例えば、特定のバージョンの識別番号、最新バージョン、特定のバージョン以降、現在バージョンなど、またはこれらの複合的な組み合わせにより指定する方法を採用される。
【0033】
ここで、ファームウェアの「現在バージョン」とは、現在の時刻において、構成機器に組み込まれているファームウェアのバージョンである。また、更新計画データM1は、本実施形態において、特定のバージョンへのファームウェアの更新を規制する規制情報を有する。この「規制情報」は、より詳細には、更新後のファームウェアのバージョンとして不適なものを指定する情報である。これにより、更新計画データM1において、例えば、「最新バージョン」と「規制情報」を組み合わせて指定することにより、特定のバージョンへの更新をスキップした更新処理が可能となる。
【0034】
バージョン取得部51は、基板生産装置1の構成機器が管理装置50に接続された場合に、当該構成機器に組み込まれているファームウェアの現在バージョンを取得する。つまり、バージョン取得部51は、例えば管理装置50の一部を構成する部品実装機3にフィーダ30が通信可能に接続された場合に、即ちフィーダ30が部品供給装置12の所定の位置にセットされた場合に、現在バージョンの取得を行う。
【0035】
また、ファームウェアの現在バージョンの取得方法は、種々の態様がある。本実施形態においては、バージョン取得部51は、管理データM2を用いた取得方法を採用している。管理データM2は、複数の構成機器のID(識別符号)に当該構成機器のファームウェアの現在バージョンを関連付けたものである。
【0036】
具体的には、基板生産装置1が部品実装機3である場合には、複数のフィーダ30などの構成機器の個々に割り付けられたIDに対して、それぞれの現在バージョンが管理データM2に記録されている。また、管理データM2に記録される構成機器は、基板生産装置1に搭載され得る機器であって、現在基板生産装置1に搭載されていない機器も管理対象として含まれる。
【0037】
そして、バージョン取得部51は、先ず、構成機器との通信により当該構成機器のIDを取得する。次に、バージョン取得部51は、取得した当該IDおよび管理データM2に基づいて、管理装置50に接続されているファームウェアの現在バージョンを取得する。バージョン取得部51は、取得した構成機器の現在バージョンを制御装置16のメモリに記憶させる。
【0038】
処理管理部52は、更新計画データM1、およびバージョン取得部51により取得された現在バージョンに基づいて、更新計画データM1により指定されたバージョンへのファームウェアの更新処理を制御する。具体的には、処理管理部52は、更新計画データM1による指定バージョンと、構成機器のファームウェアの現在バージョンとが相違する場合に、指定バージョンへの更新処理を実行する。
【0039】
ここで、更新計画データM1による「指定バージョン」とは、種々の態様により指定されたバージョンに対応するものである。例えば、「最新バージョン」との態様により指定されている場合には、処理管理部52が認識する最新バージョンが指定バージョンとなる。また、処理管理部52は、更新計画データM1に規制情報が含まれる場合には、当該規制情報に基づいて、特定のバージョンへの更新処理を規制する。
【0040】
設定案内部53は、ファームウェアの推奨するバージョンを表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。ファームウェアの推奨バージョンは、基板生産装置1、および基板生産装置1により生産される基板の種別、の少なくとも一方に応じて、推奨されるバージョンである。
【0041】
推奨バージョンの決定方法については、種々の態様がある。例えば、基板生産装置1に搭載される構成機器の機種に対して、ファームウェアの最新バージョンがリリースされた場合に、設定案内部53は、当該最新バージョンを推奨バージョンとして決定する。また、生産する基板種別に応じた生産処理において特有の機能を要する場合に、設定案内部53は、当該機能を有するバージョンを推奨バージョンとして決定する。
【0042】
さらに、設定案内部53は、本実施形態において、以下の表示項目D1〜D3を、推奨バージョンと併せて表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。表示項目D1は、ファームウェアのバージョンの識別番号および機能である。これにより、更新計画データM1の設定を行う作業者は、バージョンごとの機能を比較しながら、最適なバージョンの選択や更新処理の要否を決定することができる。
【0043】
表示項目D2は、基板生産装置1による生産処理において使用されるファームウェアの機能、および当該機能を有するバージョンの識別番号である。これにより、更新計画データM1の設定を行う作業者は、生産処理において実際に必要とされる機能を有するバージョンを指定することができる。表示項目D3は、基板生産装置1による生産処理に応じた段取り替え、およびファームウェアの更新処理の所要時間である。これにより、更新計画データM1の設定を行う作業者は、更新処理による基板生産への影響を勘案して、更新処理の要否を決定することができる。
【0044】
また、生産計画に基づく基板生産においては、当該生産計画に割り込み生産などの生産処理が加えられることがある。そこで、設定案内部53は、更新計画データM1において生産計画に対してバージョンが指定されている場合には、既存の生産計画および割り込み生産に応じた情報項目を併せて表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。
【0045】
(構成機器の管理制御)
上記の管理装置50による基板生産装置1の管理制御について、
図4および
図5を参照して説明する。管理装置50のバージョン取得部51および処理管理部52は、任意のタイミングでそれぞれの処理を実行する。各処理が実行されるタイミングは、例えば基板生産装置1に構成機器が搭載された時や、基板生産装置1に電源が投入された時、生産計画に基づいて次の生産処理に移行した時などである。
【0046】
ここで、管理装置50は、上記のように、基板生産ラインL1〜L3を構成する各種の基板生産装置1において、ファームウェアが組み込まれた構成機器であれば管理の対象にできる。なお、以下の態様は、
図4に示される更新計画データM1に従って更新処理が管理され、また「基板生産装置」は部品実装機3であり、且つ「構成機器」はフィーダ30であるものとして例示される。
【0047】
先ず、バージョン取得部51は、
図5に示すように、部品実装機3にセットされて通信可能な状態にあるフィーダ30のIDを取得する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する)。例えば、バージョン取得部51は、部品実装機3に電源が投入された場合には、部品供給装置12にセットされている全てのフィーダ30のIDを取得する。また、バージョン取得部51は、部品実装機3に電源が投入されている状態でフィーダ30がセットされた場合には、当該フィーダ30のIDを取得する。
【0048】
バージョン取得部51は、次に、S11で取得したフィーダ30のID、および管理データM2に基づいて、管理装置50に接続されているフィーダ30のファームウェアの現在バージョンを取得する(S12)。このとき、バージョン取得部51は、ホストコンピュータ40に管理データM2を参照するように問い合わせを行うようにしているが、管理データM2をホストコンピュータ40から予め取得しておいてもよい。
【0049】
また、バージョン取得部51は、複数のフィーダ30を対象としてIDを取得している場合には、それぞれのフィーダ30に対応した現在バージョンを取得する。このように、バージョン取得部51は、バージョン取得工程(S11,S12)において、ファームウェアの更新処理の対象となる構成機器であるフィーダ30の現在バージョンを取得し、制御装置16のメモリに記憶させる。
【0050】
続いて、処理管理部52は、更新計画データM1および現在バージョンに基づいて、更新計画データM1により指定されたバージョンへのファームウェアの更新処理を実行するか否かを判定する(S13)。具体的には、
図4に示すように、当該フィーダ30が基板生産ラインL1を構成する部品実装機3に搭載され、且つ生産計画において次に3番目の生産処理(No3)が実行されるものとすると、「最新バージョン」への更新が指定されている。
【0051】
そこで、処理管理部52は、更新計画データM1により指定された最新バージョン(ここでは、V2.00とする)、現在バージョン(ここでは、V1.60とする)を比較する。ここでは、ファームウェアのバージョンが相違し、且つ当該フィーダ30にV2.00への更新処理を規制する規制情報がないことから、処理管理部52は、ファームウェアの更新処理を行うものと判定する(S13:Yes)。
【0052】
処理管理部52は、フィーダ30に対してファームウェアの更新処理を実行する(S14)。具体的には、処理管理部52は、先ずホストコンピュータ40から最新バージョン(V2.00)を取得しておく。処理管理部52は、次に、制御装置16の通信インターフェースを介して、フィーダ30の制御部33と通信を行い、フィーダ30のファームウェアを上書きする。これにより、フィーダ30に最新バージョンのファームウェアが組み込まれる。
【0053】
続いて、処理管理部52は、S14において更新処理の対象としたフィーダ30のIDと現在バージョン(=最新バージョン)をホストコンピュータ40に通知する。ホストコンピュータ40は、処理管理部52より入力した情報に基づいて、管理データM2を更新する(S15)。これにより、管理データM2において、更新処理を実行されたフィーダ30は、ファームウェアの現在バージョンが最新バージョンであるものと記録される。
【0054】
処理管理部52は、S12においてバージョン取得部51が取得した現在バージョンの数量分の更新処理の制御する処理管理工程(S13〜S15)が終了したかを判定する(S16)。現在バージョンを取得された全てのフィーダ30について更新処理の制御が終わっていない場合には(S16:No)、処理管理部52は、処理管理工程(S13〜S15)の処理を繰り返し実行する。一方で、全てのフィーダ30について更新処理の制御が終わっている場合には(S16:Yes)、管理装置50は、フィーダ30の管理制御を終了する。
【0055】
ところで、本実施形態において、更新計画データM1は、
図4に示すように、生産計画(No1〜No4)に対して、ファームウェアのバージョンを指定されている。そのため、管理装置50は、フィーダ30の入れ替えがあった時の他に、生産計画に基づいて次の生産処理に移行した時にも上述した管理制御を実行する。そのため、例示した態様においても、生産計画において次に4番目の生産処理(No4)に移行する時にも、管理装置50による管理制御が実行される。
【0056】
このとき、更新計画データM1においては、何れのフィーダ30に対しても「最新バージョン」に更新するようにバージョンが指定されている。そのため、管理装置50は、3番目の生産処理(No3)への移行時において既に最新バージョンに更新されているフィーダ30を更新処理の実行が不要と判断する(S13:No)。
【0057】
一方で、例えば4番目の生産処理(No4)に生産される基板の種別に応じた段取り替えが行われると、3番目の生産処理(No3)で使用されていなかったフィーダ30が部品実装機3にセットされることがある。このような場合に、処理管理部52は、当該フィーダ30のファームウェアが最新バージョンでなければ、規制情報がない限り、更新処理の実行が必要と判断する(S13:Yes)。
【0058】
また、処理管理部52は、更新計画データM1に規制情報が含まれる場合には、当該規制情報により指定された特定のバージョンへの更新処理を規制する。具体的には、
図4に示すように、フィーダ30が基板生産ラインL2を構成する部品実装機3に搭載され、且つ生産計画において次に3番目の生産処理(No3)が実行されるものとすると、「最新バージョン」への更新が指定され、且つ特定のバージョン(V1.90)への更新処理を規制する規制情報が含まれている。このような場合に、処理管理部52は、最新バージョンが特定のバージョン(V1.90)であれば更新処理を実行せず、最新バージョンが(V2.00)以降であれば更新処理を実行する。
【0059】
(更新計画データの設定の案内)
設定案内部53による更新計画データM1の設定の案内について、
図4および
図6を参照して説明する。設定案内部53は、更新計画データM1の設定を行う作業者に対して、ファームウェアの推奨バージョン等を表示することにより、指定するバージョン、指定の方法、指定対象の決定の案内を行う。
【0060】
具体的には、設定案内部53は、
図6に示すように、ホストコンピュータ40のモニタ等に各種情報を表示する。ここでは、設定案内部53は、基板生産ラインL1〜L3ごとに、それぞれの生産処理(No1〜No4)、基板種別、生産数量、段取り替え、生産処理において必要とするファームウェアのバージョンの識別番号および機能、推奨バージョンの識別番号および機能、ファームウェアの更新処理の所要時間を表示する。
【0061】
ここで、「段取り替え」には、基板生産装置1に搭載すべき構成機器の機種などが含まれる。更新計画データM1の設定を行う作業者は、当該表示の内容から段取り替えの所要時間を予想することができる。よって、作業者は、例えば、当該段取り替えとファームウェアの更新処理との各所要時間に基づいて、ファームウェアの更新処理を何れの生産処理の前に行うか否かを決定することができる(例えば、
図4における基板生産ラインL1の3番目の生産処理(No3)への移行時)。
【0062】
また、生産する基板の種別によっては、当該基板の生産処理で必要とされる機能をファームウェアが有することを求められる。作業者は、例えば「V1.9以上」のように表示される必要バージョンに基づいて、指定するバージョンを決定することができる。例えば、更新計画データM1は、
図4における基板生産ラインL3の1,2番目の生産処理(No1,No2)への移行時に示されるように、特定のバージョン(V1.9以上)を指定される。
【0063】
一方で、最新バージョンのファームウェアに追加された機能が次の生産処理に使用されないような場合には、作業者は、生産効率の低下を防止すべく、最新バージョンへの更新処理を保留するように指定することができる。例えば、更新計画データM1は、
図4における基板生産ラインL1の1,2番目の生産処理(No1,No2)への移行時に示されるように、更新処理なし(現在バージョンを維持する)と指定される。
【0064】
(実施形態の構成による効果)
本実施形態に係る基板生産装置1の管理装置50は、構成機器(フィーダ30)に組み込まれたファームウェアを管理する装置である。管理装置50は、ファームウェアのバージョンの指定により当該ファームウェアの更新処理の予定が設定された更新計画データM1と、構成機器(フィーダ30)が管理装置50に通信可能に接続された場合に、ファームウェアの現在バージョンを取得するバージョン取得部51と、更新計画データM1および現在バージョンに基づいて、更新計画データM1により指定されたバージョンへのファームウェアの更新処理を制御する処理管理部52と、を備える。
【0065】
このような構成によると、ファームウェアの更新処理は、予め設定されている更新計画データM1に従って実行される。よって、基板生産装置1の生産処理に対するファームウェアの更新処理の影響が低減される。従って、基板生産装置1における生産効率の低下が防止される。また、ファームウェアの更新処理が更新計画データM1に従って適宜保留されることにより、現在バージョンが維持される。これにより、基板生産装置1の構成機器(フィーダ30)における適切な生産環境が保持される。
【0066】
また、更新計画データM1は、複数の基板生産装置1により構成される複数の基板生産ラインに対して、ファームウェアのバージョンを指定することにより更新処理の予定が設定されている。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、例えば所定の基板生産ラインに属する基板生産装置1の構成機器(フィーダ30)に対して、一括でバージョンを指定することができる。また、基板生産ラインL1〜L3ごとに生産される異なる基板種別に対応したバージョンを指定するように、ファームウェアの更新処理が制御される。
【0067】
また、更新計画データM1は、基板生産装置1による生産処理の実行順序が設定された複数の生産計画に対して、ファームウェアのバージョンを指定することにより更新処理の予定が設定されている。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、所定の生産計画に基づいて生産を実施する基板生産装置1の構成機器(フィーダ30)に対して、一括でバージョンを指定することができる。これにより、作業者は、生産計画に応じた指定が可能となるので、生産性の低下を防止しつつ、生産計画に関連付けるように更新計画データM1を設定できる。
【0068】
また、更新計画データM1は、特定のバージョンへのファームウェアの更新を規制する規制情報を有し、処理管理部52は、更新計画データM1の規制情報に基づいて、ファームウェアのバージョンへの更新処理を規制する。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、特定のバージョンへの更新を規制(禁止)することができる。これにより、包括的な指定を行った場合においても、処理管理部52は、当該規制情報に基づいて、特定バージョンへの更新処理を除外した制御を行う。
【0069】
また、基板生産装置1および当該基板生産装置1により生産される基板の種別の少なくとも一方に応じて、ファームウェアの推奨するバージョンを表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する設定案内部53をさらに備える。
このような構成によると、更新計画データM1を設定する作業者は、種々のバージョン情報(識別番号、機能などを含む情報)の表示・非表示によらず、推奨バージョンを参照して更新計画データM1を設定できる。これにより、更新計画データM1の設定時における作業者の負担が軽減される。
【0070】
また、設定案内部53は、ファームウェアのバージョンの識別番号および機能を併せて表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、表示されるファームウェアのバージョンの識別番号および機能に基づいて、基板生産ラインなどに対して当該バージョンを指定することができる。これにより、適切に更新計画データM1が設定されるので、生産効率の低下が防止される。
【0071】
また、設定案内部53は、基板生産装置1による生産処理において使用されるファームウェアの機能、および当該機能を有するバージョンの識別番号を併せて表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、表示されるファームウェアの機能および識別番号に基づいて、基板種別などに対して当該バージョンを指定することができる。これにより、適切に更新計画データM1が設定されるので、実装制御に必要とされるファームウェアの機能を確保した生産環境が好適に維持される。
【0072】
また、設定案内部53は、基板生産装置1による生産処理に応じた段取り替え、およびファームウェアの更新処理の所要時間を併せて表示することにより、更新計画データM1の設定を案内する。
このような構成によると、更新計画データM1の設定を行う作業者は、表示される段取り替えおよびファームウェアの更新処理の所要時間に基づいて、基板種別などに対して当該バージョンを指定することができる。これにより、ファームウェアの更新処理による基板生産への影響を考慮されて、更新計画データM1が設定される。よって、生産効率の低下がより確実に防止される。
【0073】
また、管理装置50は、複数の構成機器(フィーダ30)の識別符号に当該構成機器(フィーダ30)のファームウェアの現在バージョンを関連付けた管理データM2をさらに備え、バージョン取得部51は、構成機器(フィーダ30)との通信により当該構成機器(フィーダ30)の識別符号を取得し、当該識別符号および管理データM2に基づいて、管理装置50に接続されている構成機器(フィーダ30)のファームウェアの現在バージョンを取得する。
【0074】
このような構成によると、管理装置50は、通信可能に接続されていない構成機器(フィーダ30)についても、当該構成機器(フィーダ30)のファームウェアのバージョンを把握できる。よって、バージョン取得部51は、構成機器(フィーダ30)が接続された場合に、当該構成機器(フィーダ30)の識別符号を取得さえすれば、ファームウェアのバージョンを取得することができる。
【0075】
また、基板生産装置1は、基板に電子部品を実装する部品実装機3であり、構成機器は、部品実装機において電子部品を供給する部品供給装置12に交換可能に装着されるフィーダ30である。
部品実装機3の所有者によっては、フィーダ30を大量に保有していることがある。このような場合には、大量のフィーダ30のファームウェアの管理は容易でない。そのため、フィーダ30のファームウェアを管理の対象として、本発明を適用することは、特に有用である。
【0076】
本実施形態に係る基板生産装置1の管理方法は、基板生産装置1の構成機器(フィーダ30)に組み込まれたファームウェアを管理する方法である。基板生産装置1の管理方法は、ファームウェアのバージョンの指定により当該ファームウェアの更新処理の予定が設定された更新計画データM1と、構成機器(フィーダ30)が管理装置50に通信可能に接続された場合に、ファームウェアの現在バージョンを取得するバージョン取得工程(S11,S12)と、更新計画データM1および現在バージョンに基づいて、更新計画データにより指定されたバージョンへのファームウェアの更新処理を制御する処理管理工程(S13〜S15)と、を備える。
【0077】
このような構成によると、上記と同様の効果を奏する。即ち、基板生産装置1における生産効率の低下が防止される。更新計画データM1の設定によっては、現在バージョンを維持されるので、基板生産装置1の構成機器(フィーダ30)における適切な生産環境が保持される。
【0078】
<実施形態の変形態様>
実施形態における態様は、「基板生産装置」は部品実装機3であり、且つ「構成機器」はフィーダ30であるものとして例示された。これに対して、「基板生産装置」が部品実装機3である場合には、管理装置50は、フィーダ30の他に、部品装着ヘッド22、部品カメラ14、基板カメラ15、制御装置16などのファームウェアが組み込まれている機器を上記の「構成機器」としてもよい。この場合には、管理装置50は、当該構成機器のファームウェアを管理の対象とする。
【0079】
また、管理装置50は、部品実装機3の他に、スクリーン印刷機2、リフロー機4、基板搬送装置5、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などを上記の「基板生産装置」としてもよい。この場合には、管理装置50は、当該基板生産装置に搭載される構成機器のファームウェアを管理の対象とする。
【0080】
実施形態において、バージョン取得部51は、通信可能なフィーダ30からIDを取得して、当該IDと管理データM2に基づいて現在バージョンを取得する(S11,S12)。これに対して、バージョン取得部51は、管理データM2によらず、フィーダ30との通信によりIDおよび現在バージョンを取得してもよい。
【0081】
また、実施形態において、バージョン取得部51および処理管理部52は、各基板生産装置1に設けられる。また、設定案内部53は、ホストコンピュータ40に設けられる。これに対して、バージョン取得部51、処理管理部52、および設定案内部53は、基板生産装置1と通信可能であれば、基板生産装置1やホストコンピュータ40の何れか、またはネットワークを介して接続される外部装置に設ける構成としてもよい。
【0082】
具体的には、「構成機器」が実施形態において例示したフィーダ30である場合には、例えば、部品実装機3にセットされる前に当該フィーダ30を格納するバッファユニットや、当該フィーダ30に部品包装テープを装填するためのテープ装填装置において、管理装置50は、ファームウェアの更新処理を行うようにしてもよい。他の構成機器についても、当該構成機器の格納位置において同様に、現在バージョンの取得やファームウェアの更新処理を行うようにしてもよい。
【0083】
また、このような態様において、管理装置50は、外部装置において現在バージョンの取得工程(S11,S12)まで実行するものとし、処理管理工程(S13〜S15)については部品実装機3に実際にフィーダ30がセットされた後に実行するようにしてもよい。また、管理装置50は、外部装置において、現在バージョンの取得工程(S11,S12)および処理管理工程(S13〜S15)の両方を行うようにしてもよい。
【0084】
また、管理装置50は、ファームウェアの管理制御において、現在バージョンおよび更新計画データM1に基づいて、更新処理を実行するか否かを判定する(S13)。ここで、管理装置50の処理管理部52のうち上記の判定(S13)を実行する部分を外部装置に設け、ファームウェアの更新処理を行う部分を基板生産装置1に設ける構成としてもよい。
【0085】
具体的には、例えば外部装置において上記の判定(S13)を行い、その結果をフィーダ30の制御部33のメモリに記憶する。そして、当該フィーダ30が部品実装機3にセットされた際に、制御装置16がフィーダ30のメモリに記憶された判定結果を読み取り、処理管理部52が当該判定結果に応じて更新処理を制御する。このような構成においても、実施形態と同様の効果を奏する。