(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製造された前記セラミックコンデンサ誘電体材料は、温度が−55℃から125℃の範囲で、静電容量変化率が+22%から−33%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のセラミックコンデンサ誘電体材料。
【背景技術】
【0002】
チタン酸バリウム(BaTiO
3)系電子セラミックはここ数十年で発展してきた新型機能のセラミックである。チタン酸バリウム(BaTiO
3)は結晶質セラミックであり、常温においても非対称構造を有する。チタンイオンがわずかに単位胞の中心からずれることによりその結晶体は正方晶系をなし、また永久極性を有する。この結晶体の特性としては、動作電場に対し素早い応答をするチタン酸バリウムと類似した材料に非常に高い比誘電率を持たせる点がある。
【0003】
さらにチタン酸バリウムは各種セラミックコンデンサ及びダイナミックランダムアクセスメモリ産業によく使用され、また主にコンデンサ、始動器、内部メモリ、電解効果トランジスタ、フィルタ回路、サーミスタ、論理回路などの原材料とされる。近年では、携帯型電子機器の小型化により積層セラミックコンデンサ(MLCC)は徐々に低コスト化、小型化、大容量化が図られている。誘電の温度安定性が高いMLCCの誘電体材料はNP0、X7R、X7Tなどを有し、米国電子工業会により制定されたコンデンサの規格において記載された、X7Tの温度範囲は−55℃から125℃であり、静電容量変化率は+22%から−33%でなければならない。
【0004】
チタン酸バリウム(BaTiO
3)は、比較的高い比誘電率を有するとはいえ、その比誘電率は−90℃、0℃、及び125℃の時に変動が大きく、この特性は、EIAのX7T誘電特性を満足させることができず、またチタン酸バリウム(BaTiO
3)の使用範囲を制限する。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0164346号(特許文献1)及び米国特許第8450230号(特許文献2)を通じて知られているように、主にコアシェル構造を形成することを利用してX7Tの規格を充足し、このコアシェル構造によってキュリー点の誘電率のピークを抑え誘電性の温度に対する安定性を保つが、一般的な形成方法では、元素をドーピングした後に高温焼結工程中に拡散する際にその拡散深さが不十分であるため結晶粒子中に濃度勾配の差が形成されたままコアシェル構造が形成される。
【0006】
また特許文献1及び特許文献2に記載されている誘電体セラミック組成物は、少なくとも1種のBaTiO
3、(Ba、Ca)TiO
3、(Ba、Sr)TiO
3 、(Ba、Ca、Sr)TiO
3、希土類元素の酸化物及び複合化合物(Baが9−13molの誘電体組成物を含む)を含み、また誘電体セラミック組成物をコアシェル構造とし、そのうち拡散相及び非拡散相に分けられ、またコアシェル構造の制御は主に異なるmol%のBaZrO
3または希土類元素Rを添加するかまたは加熱冷却速度を制御することを利用し、これによりコアシェル構造の拡散相面積(S2)、非拡散相面積(S1)、及び希土類元素の平均濃度(C)を調整し、S1、S2、Cの制御により、TDKの要求するS1:S2=20:80−30:70及び4.8≦S2xC≦5.8を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらBaTiO
3の温度に対する安定性はその誘電特性によって大きく影響され、0℃−130℃では正方晶構造となり、またキュリー点の温度に近づいた時にその誘電性の変化は激しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した問題を解決するため、複合材料の観点から、BaTiO
3、BaZrO
3、及びSrTiO
3を主成分とし、また1種以上の化合物を混合し、温度による影響を安定させるため、BaZrO
3を添加しキュリー点の温度を室温以下に下げて、安定した立方晶構造を形成し、結晶構造の安定により誘電性の温度に対する安定性を高める。加えて、1種以上の希土類元素を選びドーピングすることにより、温度が静電容量に与える影響及び電場が温度に与える影響を安定させ、EIAのX7T誘電特性に適合するセラミックコンデンサ誘電体材料を製造する。従って本発明は最良の解決手段である。
また、本発明は、セラミックコンデンサ誘電体材料に関し、複合材料の観点から、BaTiO
3、BaZrO
3、及びSrTiO
3を主成分とし、また1種以上の化合物を混合し、さらに混合した化合物に希土類元素でドーピングし、温度が静電容量に与える影響及び電場が静電容量に与える影響を安定させ、EIAのX7T誘電特性に適合するセラミックコンデンサ誘電体材料を製造する。
【0010】
本発明はセラミックコンデンサ誘電体材料に関し、温度による影響を安定させるため、BaZrO
3を添加しキュリー点の温度を室温以下に下げて、安定した立方晶構造を形成し、結晶構造の安定により誘電性の温度に対する安定性を高める。
【0011】
前述したセラミックコンデンサ誘電体材料は達成可能であり、その構造はBaTiO
3、BaZrO
3、及びSrTiO
3を主成分とし、またMgCO
3、SiO
2、及び1種以上の化合物を混合し、この化合物は遷移元素または希土類元素から選び、そのうちBaTiO
3の添加量は40−80mol%であり、BaZrO
3の添加量は20−40mol%であり、SrTiO
3の添加量は
5−20mol%である。
【0012】
より具体的には、上記MgCO
3の添加量は2−6mol%である。
【0013】
より具体的には、上記SiO
2の添加量は2mol%以下である。
【0014】
より具体的には、上記希土類元素の化合物は、La
2O
3、CeO
2、Pr
6O
11、Nd
2O
3、Pm
2O
3、Sm
2O
3、Eu
2O
3、Gd
2O
3、Dy
2O
3、Ho
2O
3、Er
2O
3、Tm
2O
3、Yb
2O
3であり、且つ、この希土類元素の化合物の添加量は、0.5−10mol%である。
【0015】
より具体的には、上記遷移元素の化合物は、Nb
2O
5、WO
3、Ta
2O
5、CoCO
3、CuO、MnCO
3、Cr
2O
3、TiO
2、ZrO
2、Sc
2O
3、NiO、ZnOであり、且つ、この遷移元素の化合物の添加量は、0.5−10mol%である。
【0016】
より具体的には、上記主成分は1種以上の化合物と混合した後、焼結工程を行う際の焼結温度はセラミックコンデンサを焼結して緻密化が可能な温度でなければならない。
【0017】
より具体的には、製造されたセラミックコンデンサ誘電体材料の室温での誘電損失は0.5%より小さい。
【0018】
より具体的には、前記製造されたセラッミックコンデンサ誘電体材料は温度が−55℃から125℃の範囲で、静電容量変化率は+22%から−33%の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の製造工程図である。
【
図2】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の特性と引用文献の比較図である。
【
図3A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における配合モル比データを示す図である。
【
図3B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における配合モル比データを示す図である。
【
図3C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における配合モル比データを示す図である。
【
図3D】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における配合モル比データを示す図である。
【
図4A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電性の分析結果データを示す図である。
【
図4B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電性の分析結果データを示す図である。
【
図4C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電性の分析結果データを示す図である。
【
図5A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群におけるTCCと温度の相対関係を示す図である。
【
図5B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群におけるTCCと温度の相対関係を示す図である。
【
図5C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群におけるTCCと温度の相対関係を示す図である。
【
図5D】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群におけるTCCと温度の相対関係を示す図である。
【
図6A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電損失率と温度の相対関係を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電損失率と温度の相対関係を示す図である。
【
図6C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電損失率と温度の相対関係を示す図である。
【
図6D】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における誘電損失率と温度の相対関係を示す図である。
【
図7A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図7B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図7C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図7D】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図7E】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図7F】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の異なる実験群における静電容量の損失率の分析図である。
【
図8A】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料のMLCC製造サンプルとコアシェル構造を有する市販の製品の比較による誘電特性の分析結果データを示す図である。
【
図8B】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料のMLCC製造サンプルとコアシェル構造を有する市販の製品の比較によるTCCと温度の比較図である。
【
図8C】本発明の一実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料のMLCC製造サンプルとコアシェル構造を有する市販の製品の比較による静電容量の損失率の分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の技術内容の特徴と効果は、以下の配合参考図式の比較的良い実施例における詳細な説明において、明確に提示できる。
【0021】
図1で示されている、本発明の一実施例としてのセラミックコンデンサ誘電体材料は、その製造工程を参照すると、同図から明らかなように、
(1−x−y)BaTiO
3−xBaZrO
3−ySrTiO
3、ここで0.2≦x≦0.4、0.0≦y≦0.2、をドーパントに添加し、異なる比率のジルコニアボール及びアルコールをボールミルの中に入れて24時間混ぜて粉砕した後に取り出してオーブンで乾燥する工程101と、
そして研磨粉末を均等にし、適量の接着剤PVAを添加して造粒し、さらに60meshの篩網で篩い分ける工程102と、
篩い分けた後の粉末を一軸成形して、1tonの圧力を30秒間保持し直径約90mm、厚さ1mmのリングを製造する工程103と、
さらに550℃で、4時間温度を保ち、昇温速度5℃/minで接着剤のバーンオフ(脱脂)を行う工程104と、
脱脂処理後のサンプルを還元性雰囲気で異なる温度で2時間保持し、昇温速度5℃/minで高温焼結を行う工程105と、
焼結した後に雰囲気下900℃で焼鈍処理を行い、昇温速度5℃/minで、2時間保持する工程106と、
アルキメデス法で密度を測定し、また緻密なサンプルを選びXRD及びSEM分析を行い、最後にサンプルの両面を研磨した後に電極ペーストを塗布し、オーブンで乾燥した後に800℃の温度を保持しない条件で焼き付けて、焼き付けた電極サンプルを用いて誘電性の測定及び分析を行う工程107と、
によって製造される材料である。
【0022】
本発明の一実施例としてのセラミックコンデンサ誘電体材料の組成はチタン酸バリウム(BaTiO
3)、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)を主成分とし、またMgCO
3、SiO
2、及び1種以上の化合物を混合し、この化合物は遷移元素または希土類元素から選び、BaTiO
3の添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は40−80mol%であり、BaZrO
3の添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は20−40mol%であり、SrTiO
3の添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は
5−20mol%であり、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)はBaZrO
3の元素粉末の添加、または異なる元素を合成してBaZrO
3(例えばBaO+ZrO
2)とし、従って異なる形式で合成してBaZrO
3を生成し、また添加して且つ添加の比率は本実施例が提示する比率の範囲と同じであり、これらはすべて本発明の範囲内である。
また、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)以外に、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、二酸化ケイ素(SiO
2)及び添加する遷移元素または希土類元素は、すべてジルコン酸バリウム(BaZrO
3)と同様に、如何なる形式で合成してBaTiO
3、SrTiO
3、MgCO
3、SiO
2、遷移元素、希土類元素を生成し、また添加して且つ添加の比率は本実施例が提示する比率の範囲と同じであり、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0023】
さらに、BaTiO
3、BaZrO
3及びSrTiO
3を主成分とし、またMgCO
3、SiO
2、及び1種以上の化合物を混合して製造するセラミックコンデンサ誘電体材料であり、最終的に形成したセラミックコンデンサ誘電体材料に上記記載したすべての元素(BaTiO
3、SrTiO
3、MgCO
3、SiO
2、遷移元素、希土類元素)の配合比を有する場合、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0024】
加えて、遷移元素または希土類元素以外のすべての添加した化合物は、チタン酸マグネシウム(MgTiO
3)を添加でき、その添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は0−6mol%(モル百分率は0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6mol%とすることができる)である。
【0025】
そのうち、チタン酸バリウム(BaTiO
3)の添加量は40−80mol%(45、50、55、60、65、70、75または80mol%とすることができる)であり、ジルコン酸バリウム(BaZrO
3)の添加量は20−40mol%(20、25、30、35または40mol%とすることができる)であり、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)の添加量は
5−20mol%である
(5、10、15、20mol%とすることができる)。
【0026】
そのうち、混合した炭酸マグネシウム(MgCO
3)の添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は2−6%(2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6mol%とすることができる)であり、添加したMgCO
3はA/Bratioを調整するためであり、BaTiO
3は還元性雰囲気で焼結する時に酸素空孔を形成するため、化学平衡に基づいて反応し、誘電体材料を半導体化しやすくし、添加したBaTiO
3のMg2+イオンをTi4+イオンに置換され、イオンを補償する方法により半導体化する現象を低下し、信頼度を高める。
【0027】
そのうち、混合した二酸化ケイ素(SiO
2)の添加量(セラミックコンデンサ誘電体材料を組成する配合比)は2%以下である(0、0.5、1、1.5または2mol%とすることができる)。添加したSiO
2は焼結助剤としセラミックの焼結を助け、焼結温度を下げると同時に焼結の緻密性を高め、焼結体の本体に穴を生じさせることにより、穴が多くなるほど減少した単位体積当たりの電気双極子モーメントも大きくなり、全体の誘電性に影響を与え、さらにその他の物質を穴の隙間に入れる場合にも誘電性に影響を与え、添加したSiO
2により改善できる。別の利点としては添加したSiO
2は誘電体材料の電気抵抗率を高める。
【0028】
温度が及ぼす影響を安定させるため、添加したBaZrO
3でキュリー点の温度を室温以下に下げて、安定した立方晶構造を形成し、結晶構造の安定により誘電性の温度に対する安定性を高める。本実施例は特許文献1及び特許文献2と比較すると、その違いは
図2に示されているとおり、その主成分の一部にある。
本実施例は添加するBaZrO
3の添加量が最小20mol%で、最大40mol%であるが、引用文献の主成分の一部は添加するBaZrO
3の添加量が14mol%以下(最大14mol%)である。さらにBaZrO
3の添加量以外にも明らかな違いがあり、X7Tの最も主だった特性は直流バイアス電圧における特性の安定度であり、本実施例はこの特性上の改良に重きを置き(本実施例の直流バイアス電圧特性は明らかに引用文献より優れている)、また同時にX7Tの規格の要求に適合し、比誘電率は引用文献よりも比較的に低いが、本実施例は実際的な製品の開発に調整を加え比誘電率の数値を引き上げる。
【0029】
また本実施例における電極の選択はBase−Metal Electrode(BME、卑金属電極)とする。
MLCCの更なる小型化及び積層数の増加を追及することにより、電極に対してかかるコストも高くなっていた。このコスト比は製品の約3割−4割であり、電極の選択においてもコストは考慮しなければならないことの一つである。
コストが比較的高いNME(Noble Metal Electrolde、貴金属電極)を使用する材料をAg/Pdとして比較すると、本実施例の選択するコストが比較的低いBMEは、使用する材料をNi/Cuとし、それによってMLCCを製造する。BMEが使用するNi/Cuは高温において酸化しやすいため、還元性雰囲気で同時焼成しなければならない。
【0030】
また本実施例は誘電特性がX7Tの規格に適合するため、ドーピングした化合物に少なくとも1種の希土類元素を選びドーピングし、温度が静電容量に与える影響及び電場が温度に与える影響を安定させる。また使用する希土類元素はLa
2O
3、CeO
2、Pr
6O
11、Nd
2O
3、Pm
2O
3、Sm
2O
3、Eu
2O
3、Gd
2O
3、Dy
2O
3、Ho
2O
3、Er
2O
3、Tm
2O
3、Yb
2O
3とし、そのうち、上記の希土類元素の添加量は0.5−10mol%にすることができる。
酸化ホルミウム(Ho
2O
3)を例とすると、その添加量は0.5−10mol%(添加量を0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10mol%とすることができる)であり、その他の希土類元素の添加量は前記酸化ホルミウム(Ho
2O
3)と同様であるため、説明を省略する。
【0031】
また希土類元素以外に、さらに遷移元素を添加することができ、使用する遷移元素はNb
2O
5、WO
3、Ta
2O
5、CoCO
3、CuO、MnCO
3、Cr
2O
3、TiO
2、ZrO
2、Sc
2O
3、NiO、ZnOとする。そのうち、添加量は0.5−10 mol%にすることができ、五酸化ニオブ(Nb
2O
5)を例とすると、その添加量は0.5−10mol%(添加量を0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10mol%とすることができる)であり、その他の遷移元素の添加量は前記五酸化ニオブ(Nb
2O
5)と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図3A−
図3Dを参照する。本実施例は計22組の実験群で行い、また異なる実験群は異なる配合比で行い、また22組の実験群の配合比は参照に過ぎず、この配合比を使用できるだけに限定しない。また22組の実験群で五酸化ニオブ(Nb
2O
5)を添加していないが、実際の使用においては、五酸化ニオブ(Nb
2O
5)を添加して実施できる。
【0033】
焼き付けた電極を使用して22組の実験群のサンプルに誘電特性の測定及び分析を行った後、
図4A及び
図4Cから明らかなように、さらに測定し22組の実験群の比誘電率(Specific Permittivity)、サンプル片の125℃から−55℃までの静電容量と上部室温を比較した静電容量(Temp. Characteristic X7T)、室温における誘電損失率(Dielectric Loss at 25℃)、抵抗率(Resistivity)、2.5 kV/mmにおける静電容量の損失率(Capacitance Change at 2.5kV/mm[%])を得て、また22組の実験群において、そのうちNO.4、NO.18、NO.19、NO.22の実験群はX7TのTCC規格に適合でき、且つ直流バイアス電圧における損失率は1.5%前後である。
X7Tは特化したセラミックコンデンサの公規格記号であるため、主な使用範囲は高強度電場において静電容量の損失率が小さければ小さいほど望ましく、従って本実施例はTCC曲線にX7T範囲を入れるだけでなく、直流バイアス電圧において良好であることを示し、さらに、NO.20、NO.21、NO.22の実験群はX7T規格に入れるNO.18のBaTiO
3とBaZrO
3の比率に調整を加えて、ドーパントの添加量を固定する時に、BaTiO
3とBaZrO
3の比率を調整することが特性にどのような影響を及ぼすかを理解する。
【0034】
また
図5A−
図5Dは、TCC(125℃と−55℃との間の範囲の静電容量と上部室温を比べた静電容量の比率)と温度の比較図であり、米国電子工業会により制定されたコンデンサの規格において記載された、X7Tの温度範囲は−55℃から125℃の間で、静電容量変化率は+22%から−33%までの間でなければならない。図から明らかなように、NO.4、NO.18、NO.19、NO.22の実験群において、TCCはすべてこの範囲に入り、従ってX7TのTCC規格に適合する。
さらに、NO.18を対照群とする時に、BaTiO
3の含有量が多ければ多いほど、本実施例のTCC曲線はX7Tの要求される規格から離れ始め、且つ本実施例の直流バイアス電圧特性は悪くなるが、比誘電率は明らかに高くなり、BaTiO
3の含有量が少なければ少ないほど(すなわちNO.22)、本実施例のTCC曲線はさらにX7Tの要求される規格に入り、且つ本実施例の直流電圧特性は良くなり、その比誘電率は小さな振幅で下降することを発見した。
【0035】
また
図6A−
図6Dは、誘電損失率と異なる温度の比較図であり、誘電損失が高ければ高いほど、静電容量の蓄えるエネルギーにおいて良くないことを示し、光、熱により失われる恐れがある。従って損失も低ければ低いほど良く、また本実施例の22組の実験群における誘電損失率はすべて低く、特に誘電損失(室温)では、得られたデータはすべて0.5%以下である。
NO.18、NO.20、NO.21、NO.22の実験群から明らかなように、本実施例はBaTiO
3とBaZrO
3の比率を変えたが、誘電損失からすると明らかな違いはなく、恐らく効果的に誘電損失を抑える最も主な原因は希土類元素(R)を添加することからくる影響であると推測できる。
【0036】
また
図7A−
図7Fは、一部の実験群における異なる直流電圧と静電容量の損失を示した図である。また本実施例は主に2.5kV/mmの静電容量の損失率を明らかにし、直流電圧の印可される電場が高くなる状況において、損失率が低くなることが望ましく、従って高強度電場においても静電容量の損失率が小さければ小さい望ましい。
また
図3A−
図3Cの組み合わせから明らかなように、本実施例は直流電圧においても良好であることを示し、加えて、BaTiO
3の含有量が多い時に(すなわちNO.20、NO.21)、その比誘電率は小さな振幅で下降し、しかしながら、本実施例のX7T規格に入る。
【0037】
さらに、NO.18をMLCCの製造サンプルとして測定した後、測定結果とコアシェル構造を有する市販の製品の特性を比較する。
図8Aはその誘電特性の分析結果データを示す図であり、
図8BはTCCと温度の比較図、
図8Cは静電容量の損失率の分析図を示し、
図8Aから比較後のデータ資料が明らかである。さらに
図8Bから明らかなように、TCC曲線においてNO.18Bulkと製品MLCCはほとんど重なっていて、X7Tの要求される規格に入る。このことから本実施例はMLCCを製造する実現可能性を確認する、
【0038】
さらに
図8Cから明らかなように、コアシェル構造を有する市販の製品は温度に対する安定性が本実施例より比較的優れていて、且つ比誘電率も本実施例より高いが、
図8Cから明らかなように、本実施例のNO.18の製造したMLCCは非常に優れた直流電圧特性を有し、その安定性は市販の製品より非常に高く、本実施例は製品の使用に有利であり、また室温時の誘電損失と電気抵抗率は両方ともほとんど同じである。
【0039】
本実施例の提供するセラミックコンデンサ誘電体材料の、その他の既存の技術と比較した時の利点は以下のとおりである。
1.本実施例は複合材料の観点から、BaTiO
3、BaZrO
3及びSrTiO
3を主成分とし、またMgCO
3、SiO
2、及び1種以上の化合物を混合し、この化合物は遷移元素または希土類元素から選び、EIAのX7T誘電特性に適合するセラミックコンデンサ誘電体材料を製造する。
2.本実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料のX7Tの温度範囲は−55℃から125℃までの範囲で、静電容量変化率は+22%と−33%との間の範囲でなければならない規格に適合でき、且つ異なる温度で得た誘電損失率はすべて低く(0.5%より低い)、また比誘電率は350より大きい。
3.本実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料の電気抵抗率は室温時におよそ10
12[Ω・cm]のオーダーに達し、また125℃の時におよそ10
11[Ω・cm]のオーダーに達する。
4.直流電圧の印可される電場が高くなる状況において、損失率が低くなることが望ましく、従って高強度電場においても静電容量の損失率が小さければ小さいほど望ましい。本実施例のセラミックコンデンサ誘電体材料は直流電圧における静電容量変化率が良好であることを示す。
【0040】
本発明について実施例を上のように提示したが、その使用は本発明に限定されない。すべての当業者は、本発明の前記の技術特徴及び実施例を理解し、また本発明の趣旨と範囲から逸脱しない限り、少しばかりの修正及び変更ができる。