特許第6334581号(P6334581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334581
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】インシュレータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20180521BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H02K5/00 B
   H02K5/22
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-13031(P2016-13031)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-135820(P2017-135820A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】村田 健二
(72)【発明者】
【氏名】久保 勇輝
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−174080(JP,A)
【文献】 特開平10−032970(JP,A)
【文献】 特開平07−272798(JP,A)
【文献】 特開2009−201193(JP,A)
【文献】 特開2003−170724(JP,A)
【文献】 実開昭58−068686(JP,U)
【文献】 特開2006−288010(JP,A)
【文献】 特開2004−153891(JP,A)
【文献】 特開2008−022615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端がモータのアース端子及び複数の入力端子に電気的に接続された複数の導体と、
絶縁材料によって形成され、前記複数の導体の他方端が前記モータの出力軸と交差する方向に隣接して配置されると共に前記モータが取り付けられた本体と、
を備え
前記アース端子に電気的に接続される導体は、前記本体に配置された他の導体を覆う大きさを有する被覆部を有し、
前記被覆部が絶縁性を保ちながら前記他の導体を覆うように前記他の導体と異なる層に配置されるインシュレータ。
【請求項2】
前記アース端子に電気的に接続される導体は、前記被覆部が前記本体に配置された他の導体を前記モータと共に挟むように配置される、
請求項1に記載のインシュレータ。
【請求項3】
前記複数の導体の前記他方端が複数の電線と電気的に接続され、
前記複数の電線は、ツイストされて一体とされたツイスト部から前記複数の導体までの長さが、前記アース端子及び前記複数の入力端子に直接接続してツイストした場合のツイスト部から前記アース端子及び前記複数の入力端子までの長さよりも短い、
請求項1又は2に記載のインシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに取り付けられるインシュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、高速用電源入力端子と、低速用電源入力端子と、アース端子と、を有するワイパモータを備えたワイパ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−310349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のワイパモータのように2つの入力端子とアース端子が設けられている場合、2つの入力端子は、一箇所に配置されるものの、アース端子は、異なる場所に配置されることがあり、この2つの入力端子とアース端子とに接続される電線をツイストすると、端子からツイストが始まるまでの距離が長くなって、放射ノイズが発生する問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、放射ノイズを抑制するインシュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、一方端がモータのアース端子及び複数の入力端子に電気的に接続された複数の導体と、絶縁材料によって形成され、複数の導体の他方端がモータの出力軸と交差する方向に隣接して配置された本体と、を備えたインシュレータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射ノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態に係るインシュレータの一例を示す概略図である。
図2図2(a)は、第2の実施の形態に係るインシュレータの一例を示す概略図であり、図2(b)は、インシュレータを側面から見た一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るインシュレータは、一方端がモータのアース端子及び複数の入力端子に電気的に接続された複数の導体と、絶縁材料によって形成され、複数の導体の他方端がモータの出力軸と交差する方向に隣接して配置された本体と、を備えて概略構成されている。
【0010】
このインシュレータは、モータのアース端子と入力端子に直接電線を接続してツイストする場合と比べて、他方端からツイストが始まるまでの長さが短くなるので、ツイストが始まるまでの電線から発生する放射ノイズが抑制される。
【0011】
[第1の実施の形態]
(インシュレータ1の概要)
図1は、第1の実施の形態に係るインシュレータの一例を示す概略図である。図1に示すインシュレータ1は、モータ2が取り付けられた状態の一例を示している。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
このインシュレータ1に取り付けられるモータ2は、一例として、車両に搭載され、ワイパ装置やミラー装置の駆動用のモータとして用いられる。本実施の形態のモータ2は、一例として、ミラー装置を駆動するモータであるものとする。このモータ2は、一例として、図1に示すように、入力端子26及び入力端子27と、アース端子28と、を有している。
【0013】
インシュレータ1は、図1に示すように、一方端がモータ2の入力端子26、入力端子27及びアース端子28に電気的に接続された第1の導体11〜第3の導体13と、絶縁材料によって形成され、第1の導体11〜第3の導体13の他方端がモータ2の出力軸25と交差する方向に隣接して配置された本体10と、を備えて概略構成されている。
【0014】
第1の導体11〜第3の導体13の一方端とは、端部110〜端部130である。また第1の導体11〜第3の導体13の他方端とは、端部111〜端部131である。
【0015】
インシュレータ1は、図1に示すように、コネクタ46を有するハーネス4が取り付けられている。このハーネス4は、コネクタ46を介して車両のバッテリなどと電気的に接続される。
【0016】
(本体10の構成)
本体10は、一例として、合成樹脂を用いて形成されている。本体10は、図1の紙面裏側の面が配置面10aとなり、モータ2を取り付けられるように構成されている。このモータ2の取り付けは、一例として、配置面10aに設けられた保持部に取り付けることにより行われる。保持部は、例えば、モータ2を保持する爪などから構成される。
【0017】
また本体10の配置面10aは、さらに第1の導体11〜第3の導体13を取り付けられるように構成されている。なお変形例として本体10は、例えば、インサート成形などによって第1の導体11〜第3の導体13を一体とするように形成されても良い。その際、一例として、本体10の裏面10bには、第1の導体11の端部110、及び第2の導体12の端部120が露出する開口が設けられる。端部110と入力端子26、及び端部120と入力端子27の接合は、この開口を介して行われる。また入力端子26及び入力端子27が端部110及び端部120を差し込む構成である場合、当該開口は形成されない。
【0018】
(第1の導体11〜第3の導体13の構成)
第1の導体11〜第3の導体13は、一例として、断面が矩形状となる平角導体である。また第1の導体11〜第3の導体13は、一例として、銅などの導電性を有する金属板を打ち抜いて形成される。この第1の導体11〜第3の導体13の幅は、例えば、同じ幅である。
【0019】
第1の導体11の端部111〜第3の導体13の端部131は、図1に示すように、本体10の側面10cに向かって隣接して並んでいる。この端部111〜端部131は、例えば、等間隔に並んでいる。その間隔は、例えば、導体の幅よりも狭い方が好ましい。そして端部111〜端部131は、例えば、本体10から露出している。後述する第1の電線41〜第3の電線43は、端部111〜端部131に接続される。
【0020】
第1の導体11は、略直角に曲がる曲部112を有している。第1の導体11は、接続されるモータ2の入力端子26が側面10cに最も近いため、第2の導体12及び第3の導体13と比べて、全長が最も短くなっている。なおモータ2の入力端子26が端部110を差し込む構成である場合、端部110は、配置面10aの法線方向に曲げられている。
【0021】
第2の導体12は、略直角に曲がる曲部122を有している。第2の導体12は、接続されるモータ2の入力端子27が入力端子26の次に側面10cに近いため、全長が第1の導体11より長く、第3の導体13より短くなっている。なおモータ2の入力端子27が端部120を差し込む構成である場合、端部120は、配置面10aの法線方向に曲げられている。
【0022】
第3の導体13は、略直角に曲がる曲部132を有している。第3の導体13は、接続されるモータ2のアース端子28が側面10cから最も遠いため、第1の導体11及び第2の導体12と比べて、全長が最も長くなっている。アース端子28は、図1に示すように、入力端子26及び入力端子27が配置された面21ではなく、面21に対して交差する方向の側面22aに配置されているので、端部130がアース端子28と接合し易いように曲げられている。
【0023】
(モータ2の構成)
モータ2は、一例として、直流モータである。このモータ2の本体20は、一例として、入力端子26及び入力端子27が配置される面21とその裏面とが平面であり、両面を接続する側面22a及び側面22bが曲面となっている。そしてモータ2は、一例として、入力端子26に電源が供給されると正方向に回転し、入力端子27に電源が供給されると正方向とは逆方向に回転するように構成されている。
【0024】
モータ2は、図1に示すように、前面23側に出力軸25を有している。またモータ2は、後面24側の面21上に入力端子26及び入力端子27を有している。アース端子28は、面21とは異なる側面22bに配置されている。
【0025】
(ハーネス4の構成)
ハーネス4は、第1の電線41〜第3の電線43と、コネクタ46と、を備えて概略構成されている。第1の電線41〜第3の電線43は、例えば、撚線であり、撚線の周囲が絶縁材料によって被覆されている。第1の電線41〜第3の電線43は、一方端がインシュレータ1を介してモータ2に電気的に接続され、他方端がコネクタ46に電気的に接続されている。
【0026】
第1の電線41は、第1の導体11の端部111に電気的に接続されている。従って第1の電線41は、第1の導体11を介して入力端子26と電気的に接続されている。
【0027】
第2の電線42は、第2の導体12の端部121に電気的に接続されている。従って第2の電線42は、第2の導体12を介して入力端子27と電気的に接続されている。
【0028】
第3の電線43は、第3の導体13の端部131に電気的に接続されている。従って第3の電線43は、第3の導体13を介してアース端子28と電気的に接続されている。
【0029】
第1の電線41〜第3の電線43は、図1に示すように、ツイストされて一体とされたツイスト部45から第1の導体11〜第3の導体13までの長さが、入力端子26、入力端子27及びアース端子28に直接接続してツイストした場合のツイスト部から入力端子26、入力端子27及びアース端子28までの長さよりも短くなる。これは、入力端子26、入力端子27及びアース端子28が離れているからである。
【0030】
インシュレータ1は、図1に示すように、入力端子26、入力端子27及びアース端子28が第1の導体11〜第3の導体13と電気的に接続されているため、第1の電線41〜第3の電線43を隣接して並ぶ端部111〜端部131に接続すれば良く、ツイスト部45から端部111〜端部131までの非ツイスト部44の長さが短くなる。この非ツイスト部44とは、電線がツイストされていない部分である。
【0031】
この非ツイスト部44は、ツイスト部45と比べて、モータ2を駆動する際の電流による放射ノイズが放出され易い。従って非ツイスト部44が短い方が放射ノイズを抑制することができる。
【0032】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係るインシュレータ1は、放射ノイズを抑制することができる。具体的には、インシュレータ1は、アース端子と入力端子に直接電線を接続してツイストする場合と比べて、非ツイスト部44の長さが短くなるので放射ノイズが抑制される。
【0033】
インシュレータ1は、アース端子28と接続される第3の導体13が入力端子26及び入力端子27と接続される第1の導体11及び第2の導体12と並んで配置されているので、この構成を採用しない場合と比べて、放射ノイズの発生を抑制すると共に外来ノイズの影響を受け難い。
【0034】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、アース端子に接続する第3の導体が他の導体を覆う点で第1の実施の形態と異なっている。
【0035】
図2(a)は、第2の実施の形態に係るインシュレータの一例を示す概略図であり、図2(b)は、インシュレータを側面から見た一例を示す概略図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0036】
本実施の形態のインシュレータ1は、図2(a)に示すように、アース端子28に電気的に接続される第3の導体13aが本体10に配置された第1の導体11及び第2の導体12を覆う大きさを有する被覆部133を備えている。この被覆部133は、図2(b)に示すように、絶縁性を保ちながら第1の導体11及び第2の導体12を覆うように第1の導体11及び第2の導体12と異なる層に配置されている。
【0037】
なお被覆部133は、一例として、図2(a)の紙面において、第1の導体11及び第2の導体12を合わせた面積の70%以上を覆うことが好ましく、80%以上覆うことがより好ましい。
【0038】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態のインシュレータ1は、アース端子28と接続された第3の導体13が第1の導体11及び第2の導体12を覆うことによって外来ノイズ及び放射ノイズに対するシールドとなるので、この構成を採用しない場合と比べて、放射ノイズの発生を抑制すると共に外来ノイズの影響を受け難い。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…インシュレータ、2…モータ、4…ハーネス、10…本体、10a…配置面、10b…裏面、10c…側面、11〜13…第1の導体〜第3の導体、13a…導体、20…本体、21…面、22a…側面、22b…側面、23…前面、24…後面、25…出力軸、26…入力端子、27…入力端子、28…アース端子、41〜43…第1の電線〜第3の電線、44…非ツイスト部、45…ツイスト部、46…コネクタ、110…端部、111…端部、112…曲部、120…端部、121…端部、122…曲部、130…端部、131…端部、132…曲部、133…被覆部
図1
図2