特許第6334583号(P6334583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334583
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】枠組擁壁用ブロック
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E02D29/02 302
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-25034(P2016-25034)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-141644(P2017-141644A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036125
【氏名又は名称】藤林コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】藤林 功
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−121250(JP,U)
【文献】 実開昭59−125549(JP,U)
【文献】 特開2000−336629(JP,A)
【文献】 特開2001−152427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁を形成する枠組擁壁用ブロックであって、平面視二等辺三角形を呈するように一体成形されている三本の桁部材から成り、この三本の桁部材のうちの前記二等辺三角形の等辺に相当する等辺位置桁部材に、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部とが設けられており、前記等辺位置桁部材は、前記二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して幅狭に形成されており、この幅狭に形成されている幅狭部と該幅狭部よりも幅広に形成されている幅広部との境界に形成された横段差部が前記左右方向係合部であることを特徴とする枠組擁壁用ブロック。
【請求項2】
前記等辺位置桁部材は、前記二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して上方または下方に突出しており、この突出により形成された縦段差部が前記上下方向係合部であることを特徴とする請求項記載の枠組擁壁用ブロック。
【請求項3】
前記二等辺三角形の底辺に相当する底辺位置桁部材に排水口が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の枠組擁壁用ブロック。
【請求項4】
前記二等辺三角形の頂部を枠組擁壁の正面側となる手前側に向けて配設する組擁壁用ブロックと、前記頂部を前記枠組擁壁の背面側となる奥側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックとを、夫々の前記等辺位置桁部材に設けられている前記左右方向係合部同士を噛み合わせ係合させながら左右方向に交互に並設することでトラス形状の段部が形成され、このトラス形状を呈する段部が複数段、積み上げ形成されることで前記枠組擁壁が形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の枠組擁壁用ブロック。
【請求項5】
左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁を形成する枠組擁壁用ブロックであって、平面視二等辺三角形を呈するように一体成形されている三本の桁部材から成り、この三本の桁部材のうちの前記二等辺三角形の等辺に相当する等辺位置桁部材に、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部とが設けられており、前記二等辺三角形の頂部を枠組擁壁の正面側となる手前側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックと、前記頂部を前記枠組擁壁の背面側となる奥側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックとを、夫々の前記等辺位置桁部材に設けられている前記左右方向係合部同士を噛み合わせ係合させながら左右方向に交互に並設することでトラス形状の段部が形成され、このトラス形状を呈する段部が複数段、積み上げ形成されることで前記枠組擁壁が形成されるように構成されていることを特徴とする枠組擁壁用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁を形成するように構成されている枠組擁壁用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、擁壁はその形式により幾つかの種類に分類されており、その中のひとつに井桁組擁壁を代表とする枠組擁壁(井桁擁壁)がある。この枠組擁壁は、複数の桁部材を組み付けて一つの枠体を形成し、この枠体を左右方向に形成してゆき段部を形成し、この段部上に同様に枠体を形成しながら順次段部を積み重ねてゆくことで形成されるものであり、この枠組擁壁は、他の擁壁に比べて堅牢で安定性に優れ、且つ、透水性にも優れた性能を発揮することから、湧水が多い場所などに多く用いられるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この枠組擁壁の施工作業は、上述したように多くの桁部材を一本ずつ積み上げ、鋼棒等の連結部材を用いて桁部材同士を組み付けてゆくため、多大な労力と時間を要するものであり、このような枠組擁壁の施工作業は、近年、労働力不足や作業者の高齢化の問題を抱える土木業界にとっては非常に負担が大きい作業となっている。
【0004】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、組み付けが容易で枠組擁壁の施工作業の省力化を図ることができる枠組擁壁用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁1を形成する枠組擁壁用ブロックであって、平面視二等辺三角形を呈するように一体成形されている三本の桁部材2から成り、この三本の桁部材2のうちの前記二等辺三角形の等辺に相当する等辺位置桁部材2Aに、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部3と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部4とが設けられており、前記等辺位置桁部材2Aは、前記二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して幅狭に形成されており、この幅狭に形成されている幅狭部と該幅狭部よりも幅広に形成されている幅広部との境界に形成された横段差部が前記左右方向係合部3であることを特徴とする枠組擁壁用ブロックに係るものである。
【0007】
また、前記等辺位置桁部材2Aは、前記二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して上方または下方に突出しており、この突出により形成された縦段差部が前記上下方向係合部4であることを特徴とする請求項記載の枠組擁壁用ブロックに係るものである。
【0008】
また、前記二等辺三角形の底辺に相当する底辺位置桁部材2Bに排水口5が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の枠組擁壁用ブロックに係るものである。
【0009】
また、前記二等辺三角形の頂部を枠組擁壁1の正面側となる手前側に向けて配設する組擁壁用ブロックと、前記頂部を前記枠組擁壁1の背面側となる奥側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックとを、夫々の前記等辺位置桁部材2Aに設けられている前記左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させながら左右方向に交互に並設することでトラス形状の段部が形成され、このトラス形状を呈する段部が複数段、積み上げ形成されることで前記枠組擁壁1が形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の枠組擁壁用ブロックに係るものである。
【0010】
また、左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁1を形成する枠組擁壁用ブロックであって、平面視二等辺三角形を呈するように一体成形されている三本の桁部材2から成り、この三本の桁部材2のうちの前記二等辺三角形の等辺に相当する等辺位置桁部材2Aに、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部3と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部4とが設けられており、前記二等辺三角形の頂部を枠組擁壁1の正面側となる手前側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックと、前記頂部を前記枠組擁壁1の背面側となる奥側に向けて配設する枠組擁壁用ブロックとを、夫々の前記等辺位置桁部材2Aに設けられている前記左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させながら左右方向に交互に並設することでトラス形状の段部が形成され、このトラス形状を呈する段部が複数段、積み上げ形成されることで前記枠組擁壁1が形成されるように構成されていることを特徴とする枠組擁壁用ブロックに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、組み付けが容易になり、枠組擁壁の施工作業の省力化を実現することができる画期的な枠組擁壁用ブロックとなる。
【0012】
更に、本発明は、外力に対する強度に優れるため、一層安定性に優れた枠組擁壁を形成することができる実用性に優れた枠組擁壁用ブロックとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例の正面形成用基礎ブロックを示す斜視図であり、(a)は頂部側から見た斜視図、(b)は底辺側から見た斜視図である。
図2】本実施例の背面形成用基礎ブロックを示す斜視図であり、(a)は底辺側から見た斜視図、(b)は頂部側から見た斜視図である。
図3】本実施例の正面形成用本体ブロックを示す斜視図であり、(a)は頂部側から見た斜視図、(b)は底辺側から見た斜視図である。
図4】本実施例の背面形成用本体ブロックを示す斜視図であり、(a)は底辺側から見た斜視図、(b)は頂部側から見た斜視図である。
図5】本実施例の正面形成用基礎端部ブロックを示す斜視図であり、(a)は頂部側から見た斜視図、(b)は底辺側から見た斜視図である。
図6】本実施例の背面形成用基礎端部ブロックを示す斜視図であり、(a)は底辺側から見た斜視図、(b)は頂部側から見た斜視図である。
図7】本実施例の正面形成用本体端部ブロックを示す斜視図であり、(a)は頂部側から見た斜視図、(b)は底辺側から見た斜視図である。
図8】本実施例の背面形成用本体端部ブロックを示す斜視図であり、(a)は底辺側から見た斜視図、(b)は頂部側から見た斜視図である。
図9】本実施例のワイヤー係止部を示す説明図である。
図10】本実施例の基礎ブロック、基礎端部ブロック、本体ブロック及び本体端部ブロックの並設(敷設)状態を示す説明平面図である。
図11】本実施例の枠組擁壁用ブロックを用いて形成される枠組擁壁の施工途中状態を示す斜視図である。
図12】本実施例の枠組擁壁用ブロックを用いて形成された枠組擁壁を示す説明正面図である。
図13】本実施例の枠組擁壁用ブロックを用いて形成された枠組擁壁を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
本発明は、施工時に一本ずつ桁部材を組み付けて枠体(枠組擁壁用ブロック)を形成するものではなく、三本の桁部材2が平面視三角形を呈するように予め一体成形されて成るものであるから、枠組擁壁1の施工において、従来、多大な労力と時間を要していた一本ずつ桁部材を組み付けてゆく枠体(枠組擁壁用ブロック)形成作業を省略することができ、大幅な省力化が図れる。
【0016】
また、一体成形により従来の一本ずつ組み付けて形成した枠体に比べて安定性、耐久性に優れているから、積み重ねた枠組擁壁用ブロックを施工時の足場として利用することができ、これにより、施工時の仮設足場が不要となり、枠組擁壁1の施工に際し、仮設足場の設置・撤去にかかる労力と費用が省け、省力化と低コスト化を図ることができる。
【0017】
更に、本発明は、外形状が平面視三角形を呈する形状に成形されているから、外圧からの強度が高く耐久性に優れる。従って、本発明により構築される枠組擁壁1も耐久性に優れたものとなる。
【0018】
また更に、本発明は、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部3と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部4とが設けられているから、この左右方向係合部3と上下方向係合部4とにより枠組擁壁用ブロック同士が位置決められて安定するので、施工時は、左右方向に並設する枠組擁壁用ブロック同士の連結は単に夫々の左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させるだけでよく、また、上下に積み重なる枠組擁壁用ブロック同士の連結も単に夫々の上下方向係合部4同士を噛み合わせ係合させるだけでよいので、連結部材を用いた連結作業の必要が無く、施工が容易となり、より一層の省力化を図ることができる。
【0019】
このように、本発明は、容易に組み付けが可能で枠組擁壁1の施工作業の省力化を実現可能とする実用性に優れた画期的な枠組擁壁用ブロックとなる。
【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、左右方向に複数並設すると共に上下方向に複数段積み重ねることで枠組擁壁1を形成する枠組擁壁用ブロックであり、平面視三角形を呈するように一体成形されている三本の桁部材2から成る構成とされており、また、前記三本の桁部材2のうちの少なくとも一本に、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部3と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部4とが設けられているものである。
【0022】
また、本実施例の枠組擁壁用ブロックは、枠組擁壁1を形成する際の基礎コンクリート部10上に配設され、枠組擁壁1の一段目の段部(基礎段部)を形成する基礎ブロック11と、この基礎ブロック11で形成される一段目の段部(基礎段部)の端部に配設される基礎端部ブロック12と、枠組擁壁1の二段目以降の段部を形成する本体ブロック13と、この本体ブロック13で形成される二段目以降の段部の端部に配設される本体端部ブロック14とで構成されるものである。
【0023】
具体的には、本実施例の基礎ブロック11及び本体ブロック13は、平面視二等辺三角形を呈するように一体成形されている三本のコンクリート製の桁部材2から成り、また、前記二等辺三角形の等辺に相当する等辺位置桁部材2Aの夫々に、左右方向に並設される他の枠組擁壁用ブロックと係合して枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める左右方向係合部3と、上下方向に積み重ねられる他の枠組擁壁用ブロックと係合して前記枠組擁壁用ブロックの前後方向の位置を位置決める上下方向係合部4とが設けられており、更に、二等辺三角形の底辺に相当する底辺位置桁部材2Bには、排水口5が設けられている。
【0024】
より具体的には、本実施例の基礎ブロック11及び本体ブロック13は、各等辺位置桁部材2Aが二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して幅狭に形成されており、この幅狭に形成されている幅狭部と、この幅狭部よりも幅広に形成されている幅広部との境界に形成されている横段差部を前記左右方向係合部3としており、詳細には、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、頂部側が幅狭部に形成され、底辺側が幅広部に形成されており、本実施例の幅広部は、内側面は幅狭部と面一状態になっていて、幅狭部に対して外側に向かって幅広に形成されて、外側に突出する横段差部(外側段差部)が形成され、この外側に突出する横段差部を左右方向係合部3とした構成とされている。
【0025】
また、本実施例の基礎ブロック11及び本体ブロック13は、前記二等辺三角形の頂部側と底辺側とのいずれか一側が他側に比して上方または下方に突出した形状に形成されおり、この突出により形成された縦段差部を前記上下方向係合部4としており、詳細には、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、頂部側の高さが底辺側の高さよりも低く設定されている、または、底辺側の高さが頂部側の高さよりも低く設定されて、頂部側または底辺側のいずれか一方に形成された縦段差部を上下方向係合部4としている、若しくは、高さは同じに設定にされているが、頂部側全体が底辺側に対して上方に位置ずれしている状態に形成されている、または、底辺側全体が頂部側に対して上方に位置ずれしている状態に形成されて、頂部側と底辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0026】
また、排水口5は、凹溝形状に形成されており、底辺位置桁部材2Bの底面に設けられている。
【0027】
また更に、本実施例の基礎ブロック11及び本体ブロック13は、施工時にクレーン等で吊り上げ搬送する際にワイヤーを係止するワイヤー係止部6(アンカー)が設けられており、具体的には、図9に示すように、二等辺三角形の頂部と、各等辺位置桁部材2Aの長手方向中央部と、底辺位置桁部材2Bの長手方向中央部との計四か所に凹部が形成されており、ワイヤー係止部6は、この凹部内に頭部を露出するようにして埋め込み状態に設けられている。
【0028】
本実施例の基礎ブロック11及び本体ブロック13について更に具体的に説明すると、本実施例の基礎ブロック11は、二等辺三角形の底辺に相当する底辺位置桁部材2Bの外面が枠組擁壁1の正面を形成するように二等辺三角形の頂部を奥側(形成される枠組擁壁1の背面側)に向けて配設される正面形成用基礎ブロック11Aと、底辺位置桁部材2Bの外面が枠組擁壁1の背面を形成するように頂部を手前側(形成される枠組擁壁1の正面側)に向けて配設される背面形成用基礎ブロック11Bとの2タイプで構成されている。
【0029】
本実施例の正面形成用基礎ブロック11Aは、図1に示すように、底面が平坦面に形成されており、また、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、頂部側の高さが底辺側の高さよりも低く設定され、底辺側に縦段差部が形成されており、この底辺側の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0030】
また、背面形成用基礎ブロック11Bは、底面は正面形成用基礎ブロック11Aと同様、平坦面に形成されているが、図2に示すように、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、正面形成用基礎ブロック11Aとは逆に、底辺側の高さが頂部側の高さよりも低く設定され、頂部側に縦段差部が形成されており、この頂部側の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0031】
また、本実施例の本体ブロック13は、基礎ブロック11と同様、枠組擁壁1の正面を形成するタイプと背面を形成するタイプの2タイプで構成されており、具体的には、二等辺三角形の底辺に相当する底辺位置桁部材2Bの外面が枠組擁壁1の正面を形成するように二等辺三角形の頂部を奥側(形成される枠組擁壁1の背面側)に向けて配設される正面形成用本体ブロック13Aと、底辺位置桁部材2Bの外面が枠組擁壁1の背面を形成するように頂部を手前側(形成される枠組擁壁1の正面側)に向けて配設される背面形成用本体ブロック13Bとの2タイプで構成されている。
【0032】
更に詳述すると、本実施例の正面形成用本体ブロック13Aは、等辺位置桁部材2A及び底辺位置桁部材2Bは、全体的に同じ高さ寸法に設定にされているが、図3に示すように、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、底辺側全体が頂部側に対して上方に位置ずれしている状態に形成され、この上下方向の位置ずれにより頂部側と底辺側との双方に縦段差部が形成されており、この頂部側と底辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0033】
具体的には、頂部側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において下段の基礎ブロック11または本体ブロック13と噛み合わせ係合する下方向係合部4Bとされており、また、底辺側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において上段の本体ブロック13と噛み合わせ係合する上方向係合部4Aとされている。
【0034】
また、背面形成用本体ブロック13Bは、正面形成用本体ブロック13Aと同様、等辺位置桁部材2A及び底辺位置桁部材2Bは、全体的に同じ高さ寸法に設定にされているが、図4に示すように、各等辺位置桁部材2Aの長手方向のほぼ中央部を境界にして、正面形成用本体ブロック13Aとは逆に、頂部側全体が底辺側に対して上方に位置ずれしている状態に形成され、この上下方向の位置ずれにより頂部側と底辺側との双方に縦段差部が形成されており、この頂部側と底辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0035】
具体的には、頂部側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において上段の本体ブロック13と噛み合わせ係合する上方向係合部4Aとされており、また、底辺側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において下段の基礎ブロック11または本体ブロック13と噛み合わせ係合する下方向係合部4Bとされている。
【0036】
また、基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14は、基礎ブロック11及び基礎端部ブロック12が呈する平面視見等辺三角形の右側半分または左側半分に相当する平面視直角三角形を呈するように一体成形されている三本のコンクリート製の桁部材2から成り、具体的には、直角三角形の斜辺、言い換えると、基礎ブロック11及び本体ブロック13の等辺位置桁部材2Aに相当する斜辺位置桁部材2Cと、この斜辺位置桁部材2Cとで頂部を形成する隣辺に相当する隣辺位置桁部材2Dと、前記頂部と対向し、基礎ブロック11及び本体ブロック13の底辺位置桁部材2Bに相当する対辺位置桁部材2Eとの三本の桁部材2から成る構成とされている。
【0037】
より具体的には、本実施例の基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14は、斜辺位置桁部材2Cの頂部側と対辺側とのいずれか一側が他側に比して幅狭に形成されており、この幅狭に形成されている幅狭部と、この幅狭部よりも幅広に形成されている幅広部との境界に形成されている横段差部を左右方向係合部3としており、詳細には、斜辺位置桁部材2Cの長手方向のほぼ中央部を境界にして、基礎ブロック11及び基礎端部ブロック12と同様、頂部側が幅狭部に形成され、対辺側が幅広部に形成されており、本実施例の幅広部は、内側面は幅狭部と面一状態となっていて、幅狭部に対して外側に向かって幅広に形成されて、外側に突出する横段差部が形成され、この外側に突出する横段差部を左右方向係合部3とした構成とされている。
【0038】
また、本実施例の基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14は、基礎ブロック11及び本体ブロック13と同様、前記頂部側と対辺側とのいずれか一側が他側に比して上方または下方に突出した形状に形成されおり、この突出により形成された縦段差部を上下方向係合部4としており、詳細には、斜辺位置桁部材2C及び隣辺位置桁部材2Dの長手方向のほぼ中央部を境界にして、頂部側の高さが対辺側の高さよりも低く設定されている、または、対辺側の高さが頂部側の高さよりも低く設定されて、頂部側または対辺側のいずれか一方に形成された縦段差部を上下方向係合部4としている、若しくは、高さは同じに設定にされているが、頂部側全体が対辺側に対して上方に位置ずれしている状態に形成されている、または、対辺側全体が頂部側に対して上方に位置ずれしている状態に形成されて、頂部側と対辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0039】
また、本実施例の基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14は、基礎ブロック11及び本体ブロック13と同様、施工時にクレーン等で吊り上げ搬送する際にワイヤーを係止するワイヤー係止部6(アンカー)が設けられており、この基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14においては、ワイヤー係止部6は、頂部と、対辺位置桁部材2Eの両端部との計三か所に設けられている。
【0040】
本実施例の基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14について更に具体的に説明すると、本実施例の基礎端部ブロック12は、大別すると、対辺位置桁部材2Eの外面が枠組擁壁1の正面を形成するように頂部を奥側(形成される枠組擁壁1の背面側)に向けて配設される正面形成用基礎端部ブロック12Aと、対辺位置桁部材2Eの外面が枠組擁壁1の背面を形成するように頂部を手前側(形成される枠組擁壁1の正面側)に向けて配設される背面形成用基礎端部ブロック12Bとの2タイプで構成されており、詳細には、夫々、段部の左側端部に配設される左側端部用のものと、右側端部に配設される右側端部用のものと全4タイプで構成されている。
【0041】
本実施例の正面形成用基礎端部ブロック12Aは、図5に示すように、底面が平坦面に形成されており、また、斜辺位置桁部材2C及び隣辺位置桁部材2Dの長手方向のほぼ中央部を境界にして、頂部側の高さが対辺側の高さよりも低く設定され、対辺側に縦段差部が形成されており、この対辺側の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。尚、図5は、右側端部用の正面形成用基礎端部ブロック12Aを示すものである。
【0042】
また、背面形成用基礎端部ブロック12Bは、底面は正面形成用基礎端部ブロック12Aと同様、平坦面に形成されているが、図6に示すように、斜辺位置桁部材2C及び隣辺位置桁部材2Dの長手方向のほぼ中央部を境界にして、正面形成用基礎端部ブロック12Aとは逆に、対辺側の高さが頂部側の高さよりも低く設定され、頂部側に縦段差部が形成されており、この頂部側の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。尚、図6は、左側端部用の背面形成用基礎端部ブロック12Bを示すものである。
【0043】
また、本実施例の本体端部ブロック14は、基礎端部ブロック12と同様、枠組擁壁1の正面を形成するタイプと背面を形成するタイプの2タイプで構成されており、具体的には、対辺位置桁部材2Eの外面が枠組擁壁1の正面を形成するように頂部を奥側(形成される枠組擁壁1の背面側)に向けて配設される正面形成用本体端部ブロック14Aと、対辺位置桁部材2Eの外面が枠組擁壁1の背面を形成するように頂部を手前側(形成される枠組擁壁1の正面側)に向けて配設される背面形成用本体端部ブロック14Bとの2タイプで構成されている。
【0044】
更に詳述すると、本実施例の正面形成用本体端部ブロック14Aは、斜辺位置桁部材2C、隣辺位置桁部材2D及び対辺位置桁部材2Eは、全体的に同じ高さ寸法に設定にされているが、図7に示すように、斜辺位置桁部材2C及び隣辺位置桁部材2Dの長手方向のほぼ中央部を境界にして、対辺側全体が頂部側に対して上方に位置ずれしている状態に形成され、この上下方向の位置ずれにより頂部側と対辺側との双方に縦段差部が形成されており、この頂部側と対辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0045】
具体的には、頂部側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において下段の基礎端部ブロック12または本体端部ブロック14と噛み合わせ係合する下方向係合部4Bとなり、対辺側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において上段の本体端部ブロック14と噛み合わせ係合する上方向係合部4Aとなる。尚、図7は、左側端部用の正面形成用本体端部ブロック14Aを示すものである。
【0046】
また、背面形成用本体端部ブロック14Bは、正面形成用本体端部ブロック14Aと同様、斜辺位置桁部材2C、隣辺位置桁部材2D及び対辺位置桁部材2Eは、全体的に同じ高さ寸法に設定にされているが、図8に示すように、斜辺位置桁部材2C及び隣辺位置桁部材2Dの長手方向のほぼ中央部を境界にして、正面形成用本体端部ブロック14Aとは逆に、頂部側全体が対辺側に対して上方に位置ずれしている状態に形成され、この上下方向の位置ずれにより頂部側と対辺側との双方に縦段差部が形成されており、この頂部側と底辺側との双方に形成された夫々の縦段差部を上下方向係合部4とした構成とされている。
【0047】
具体的には、頂部側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において上段の本体端部ブロック14と噛み合わせ係合する上方向係合部4Aとなり、対辺側の上下方向係合部4は、積み重ね状態において下段の基礎端部ブロック12または本体端部ブロック14と噛み合わせ係合する下方向係合部4Bとなる。尚、図8は、右側端部用の背面形成用本体端部ブロック14Bを示すものである。
【0048】
次に、上述のように構成した本実施例の枠組擁壁用ブロックを用いて枠組擁壁1を形成する際の施工方法について説明する。尚、本実施例では、各段部の枠組擁壁用ブロックの並設数(敷設数)が偶数個の場合について説明する。
【0049】
先ず、基礎コンクリート部10を形成し、この基礎コンクリート部10上に基礎ブロック11及び基礎端部ブロック12を敷設して一段目の段部を形成する。
【0050】
具体的には、図10(a)に示すように、左側端部に背面形成用基礎端部ブロック12B、右側端部に正面形成用基礎端部ブロック12Aを配設すると共に、これらの間に正面形成用基礎ブロック11Aと背面形成用基礎ブロック11Bとを夫々の等辺位置桁部材2Aに設けられている左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させながらトラス形状を呈するように交互に並設した後、枠内に中込材を充填すると共に、この一段目の高さまで裏込砕石を充填して一段目の段部(基礎段部)を形成する。
【0051】
次に、二段目以降の段部をこの基礎ブロック11で形成した基礎段部上に形成してゆく。
【0052】
具体的には、二段目以降の偶数段部(二段目、四段目・・・)は、図10(b)に示すように、左側端部に正面形成用本体端部ブロック14A、右側端部に背面形成用本体端部ブロック14Bを配設すると共に、これらの間に左端部側から背面形成用本体ブロック13Bと正面形成用本体ブロック13Aとを夫々の等辺位置桁部材2Aに設けられている左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させると共に、夫々の上下方向係合部4(具体的には、下方向係合部4B)を下側の基礎ブロック11または本体ブロック13の上下方向係合部4(具体的には、上方向係合部4A)と噛み合わせ係合させながらトラス形状を呈するように交互に並設してゆき、並設後、枠内に中込材を充填すると共に、この積み上げた段部の高さまで裏込砕石を充填して段部を形成する。
【0053】
また、二段目以降の奇数段部(三段目、五段目・・・)は、図10(c)に示すように、左側端部に背面形成用本体端部ブロック14B、右側端部に正面形成用本体端部ブロック14Aを配設すると共に、これらの間に左端部側から正面形成用本体ブロック13Aと背面形成用本体ブロック13Bとを夫々の等辺位置桁部材2Aに設けられている左右方向係合部3同士を噛み合わせ係合させると共に、夫々の上下方向係合部4(具体的には、下方向係合部4B)を下側の本体ブロック13の上下方向係合部4(具体的には、上方向係合部4A)と噛み合わせ係合させながらトラス形状を呈するように交互に並設してゆく。
【0054】
また、上述した二段目以降の偶数段部及び奇数段部の上下方向係合部4の噛み合わせ係合についてより具体的に説明すると、本実施例は、本体ブロック13を並設して段部を形成する際、偶数段部と奇数段部とで正面形成用本体ブロック13Aと背面形成用本体ブロック13Bとの並設順序を入れ替え、図示するように、下側の基礎ブロック11または本体ブロック13に対して上側の本体ブロック13が半個分位置ずれた状態で配設してゆくので、上側段部の正面形成用本体ブロック13Aの下方向係合部4Bと下側段部の背面形成用本体ブロック13Bの上方向係合部4Aとが噛み合わせ係合し、また、上側段部の背面形成用本体ブロック13Bの下方向係合部4Bと下側段部の正面形成用本体ブロック13Aの上方向係合部4Aとが噛み合わせ係合することとなる。
【0055】
このように、本実施例は、偶数段部と奇数段部とで正面形成用本体ブロック13Aと背面形成用本体ブロック13Bとの並設順序を入れ替えることで、図12に示すように、各本体ブロック13(正面形成用本体ブロック13A)の底辺位置桁部材2Bの外面が千鳥状を呈するように配され、枠組擁壁1の正面に千鳥模様が形成される。
【0056】
尚、本実施例では、各段部の枠組擁壁用ブロックの並設数(敷設数)が偶数個の場合を説明したが、各段部の枠組擁壁用ブロックの並設数(敷設数)が奇数個の場合は、偶数段部と奇数段部とで正面形成用本体ブロック13Aと背面形成用本体ブロック13Bとの配設数が逆転すると共に、各段部の端部に配設される基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14が変更されることとなり、具体的には、例えば、一段目の段部で正面形成用基礎ブロック11Aを奇数体、背面形成用基礎ブロック11Bを偶数体とした場合、両端部には夫々背面形成用基礎端部ブロック12Bが配設されることとなり、また、二段目は、両端部には夫々正面形成用本体端部ブロック14Aが配設され、また、この間に配設される本体ブロック13は、一段目と逆で正面形成用本体ブロック13Aが奇数体、背面形成用本体ブロック13Bが偶数体、配設され、三段目は、一段目同様、両端部には夫々背面形成用本体端部ブロック14Bが配設され、また、この間に配設される本体ブロック13は、正面形成用本体ブロック13Aが偶数体、背面形成用本体ブロック13Bが奇数体配設され、以降、これが繰り返される。
【0057】
次に、上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
【0058】
本実施例の枠組擁壁用ブロックは、施工時に一本ずつ桁部材を組み付けて枠体(枠組擁壁用ブロック)を形成するものではなく、三本の桁部材2が平面視三角形(基礎ブロック11及び本体ブロック13は平面視二等辺三角形、基礎端部ブロック12及び本体端部ブロック14は平面視直角三角形)を呈するように予め一体成形されて成るものであるから、枠組擁壁1の施工において、従来、多大な労力と時間を要していた一本ずつ桁部材を組み付けてゆく枠体形成作業を省略することができ、大幅な省力化が図れ、工期の短縮が実現可能となる。
【0059】
また、この一体成形により枠組擁壁用ブロックが組み付け位により形成した場合よりも安定性が向上しているから、積み上げた枠組擁壁用ブロックを枠組擁壁1の施工時の足場として利用することができ、これにより、施工時の仮設足場の設置が不要となり、枠組擁壁1の施工に際し、仮設足場の設置・撤去にかかる労力と費用が省け、省力化と低コスト化を図ることができる。
【0060】
更に、本実施例の枠組擁壁用ブロックは、上述したように、平面視三角形を呈する形状に成形されているから、外圧からの強度が高く耐久性に優れる。従って、本実施例の枠組擁壁用ブロックにより構築される枠組擁壁1も耐久性に優れたものとなる。
【0061】
また更に、本実施例の枠組擁壁用ブロックは、一段目の基礎段部と最上段部以外の段部を形成する本体ブロック13は、左右方向係合部3と上下方向係合部4とにより左右方向及び上下方向の全ての方向で隣接する他の本体ブロック13または基礎ブロック11と噛み合わせ係合し強固に位置決められて安定状態に設置されるので、擁壁施工時は、連結部材を用いた連結作業の必要が無く、単に左右方向係合部3同士、上下方向係合部4同士の噛み合わせ係合のみで組み付けてゆくこととなり、よって、施工が極めて容易となり、より一層の省力化を図ることができ、より一層の工期短縮を実現可能とすると共に、段部の増設や除去・移設作業も一層容易となる。
【0062】
また、本実施例の枠組擁壁用ブロックを用いて形成された枠組擁壁1は、上述した組み付け構造と、基礎ブロック11および本体ブロック13に設けられた排水口5により、優れた排水性・通水性を発揮し、水圧による負荷が掛からず、安定性に優れたものとなる。
【0063】
このように、本実施例の枠組擁壁用ブロックは、容易に組み付けが可能で枠組擁壁1の施工作業の省力化を実現可能とする実用性に優れた画期的な枠組擁壁用ブロックとなる。
【0064】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0065】
1 枠組擁壁
2 桁部材
2A 等辺位置桁部材
2B 底辺位置桁部材
3 左右方向係合部
4 上下方向係合部
5 排水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図13