(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層及び前記布帛積層体層の合計の厚さの割合が、45〜65%であり、且つ、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層の厚さの割合が、15〜25%である、請求項3に記載のラップドVベルト。
前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層及び前記布帛積層体層の合計の厚さの割合が、45〜55%であり、且つ、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層の厚さの割合が、20〜25%である、請求項3に記載のラップドVベルト。
圧縮ゴム層及びゴム組成物が付着した布帛を複数枚積層して接着させた布帛積層体層を含みベルト内面側に配置される圧縮層、芯体、及び、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層を含むベルト本体と、前記ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布とを有するラップドVベルトを作成する工程と、
前記ラップドVベルトに対して、ベルト厚さ方向において最もベルト外面側に位置する頂点が、前記布帛積層体層に配置され、前記圧縮層のベルト内面側に開口するように、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置されるノッチ部を形成する工程、を含むラップドVベルトの製造方法。
【背景技術】
【0002】
動力を伝達する伝動ベルトとして、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトが知られている。Vベルトは、ベルト周方向に直交する断面がV字状に形成される。VベルトのV字状断面の両側面(ベルト周方向の両側面)は、摩擦力を使って動力を伝達するための摩擦伝動面となる。Vベルトには、摩擦伝動面が露出したゴム層であるローエッジタイプ(ローエッジVベルト)と、摩擦伝動面が外被布(即ちカバー布)で覆われたラップドタイプ(ラップドVベルト)とがある。ローエッジVベルトとラップドVベルトは、摩擦伝動面の表面性状(ゴム層と外被布との摩擦係数)の違いから用途に応じて使い分けられている。
【0003】
コンプレッサーや発電機、ポンプなどの一般産業用機械や農業機械には、ラップドVベルトが広く一般的に用いられている。ラップドVベルトは、ベルト内面側の圧縮ゴム層と、外周側の伸張ゴム層との間に芯体を埋設した無端状のベルト本体の周囲を、ベルト周方向の全長に亘って外被布で被覆している(例えば特許文献1)。
【0004】
ラップドVベルトは、複数のプーリに巻き付けて回転走行し、V字状断面の左右の両側面がプーリのV溝の内壁面と接触する摩擦伝動面となり、この摩擦伝動面での摩擦力を利用して動力を伝達する。
図4に示すように、プーリ21及びプーリ23に巻き付いたラップドVベルト10はプーリ形状に沿ってベルト内面側に屈曲する。また、
図4に示すように、ベルト外面側に配置されたテンションプーリ22により、ラップドVベルト10はプーリ形状に沿ってベルト外面側にも屈曲する。
【0005】
ベルト内面側にベルト幅方向に延びるように形成された複数のノッチ部を、ベルト周方向に等ピッチで配設したラップドVベルトが提案されている(例えば、特許文献2)。これらのラップドVベルトでは、ノッチ部により屈曲性を高めて、屈曲時のベルト周方向の曲げ剛性を低くしている。その結果、ベルト周方向における曲げ応力に起因するエネルギーの損失を抑え、省エネルギーに貢献することができる。
【0006】
特許文献2に記載されたノッチ部を有するラップドVベルトは、伸張ゴム層と圧縮ゴム層と芯体とで構成されたV字状断面のベルト本体の周囲全面を外被布で被覆してラップドVベルトを成形した後に、切削や打ち抜き等の機械加工によりベルト内面側に切り込みや打ち抜きを入れて、ノッチ部を形成する。そのため、ノッチ部内面(切り込みや打ち抜きがされた面)は、圧縮ゴム層のゴム組成物が露出している。
【0007】
ノッチ部を有するラップドVベルトを複数のプーリに巻き付けて回転走行させると、ラップドVベルトが内周側に屈曲したときにはノッチ部が内側に(閉じる向きに)変形するので、ノッチ部頂点に圧縮応力がかかる。一方で、ラップドVベルトが外周側に屈曲したときにはノッチ部が外側に(開く向きに)変形するので、ノッチ部頂点には引張(引裂き)応力がかかる。従って、例えば、
図4に示すように、プーリ21〜23により、ラップドVベルト10がベルト内面側とベルト外面側に屈曲するレイアウトの場合、ラップドVベルトが内周側に屈曲される形状(変形)と、外周側に屈曲される形状(変形)が連続的に繰り返されるため、ノッチ部頂点に局所的に変形応力が集中する。
【0008】
そして、ノッチ部内面(特に、局所的に変形応力が集中するノッチ部頂点)に、ゴム組成物が露出していると、ノッチ部頂点を起点として亀裂が発生し、ラップドVベルトの早期破断に繋がる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、ノッチ部を有するラップドVベルトにおいて、耐亀裂性を向上させることができるラップドVベルト及びラップドVベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るラップドVベルトは、ベルト内面側がプーリに巻回されて走行されるラップドVベルトであって、圧縮ゴム層及びゴム組成物が付着した布帛を複数枚積層して接着させた布帛積層体層を含んでベルト内面側に配置された圧縮層、ベルト外面側に配置された伸張ゴム層、及び、前記圧縮層と前記伸張ゴム層との間に埋設された芯体、を有し、ベルト幅方向の断面においてベルト内面側の幅がベルト外面側の幅より小さいV字状であるベルト本体と、前記ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布と、を備え、前記圧縮層は、ベルト内面側に開口するようにベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置されると共に、前記外被布で被覆されない複数のノッチ部を有し、前記ノッチ部は、ベルト厚さ方向において最もベルト外面側に位置する頂点が、前記布帛積層体層に配置される。
【0012】
本発明に係るラップドVベルトの製造方法は、圧縮ゴム層及びゴム組成物が付着した布帛を複数枚積層して接着させた布帛積層体層を含みベルト内面側に配置される圧縮層、芯体、及び、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層を含むベルト本体と、前記ベルト本体の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布とを有するラップドVベルトを作成する工程と、前記ラップドVベルトに対して、ベルト厚さ方向において最もベルト外面側に位置する頂点が、前記布帛積層体層に配置され、前記圧縮層のベルト内面側に開口するように、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置されるノッチ部を形成する工程、を含む。
【0013】
本発明に係るラップドVベルト及びラップドVベルトの製造方法によれば、ノッチ部を除くベルト本体の周囲を全長に渡って、外被布が被覆される。つまり、ノッチ部は、外被布で被覆されないため、圧縮ゴム層及び布帛積層体層が露出している。ここで、ノッチ部のベルト厚さ方向において最もベルト外面側に位置する頂点は、ベルト屈曲に伴うノッチ部の形状の変形が連続的に繰り返されて局所的にベルト周方向への変形応力が集中する。そして、ノッチ部の頂点が、布帛積層体層に配置される。即ち、ノッチ部の中でも局所的にベルト周方向への変形応力が集中する頂点が布帛積層体層に配置される。従って、ベルト屈曲時に局所的にベルト周方向への変形応力が集中するノッチ部の頂点において、布帛積層体層の布帛が補強層となる。また、布帛積層体層となる布帛積層体は、ゴム組成物が付着した布帛を積層したものである。従って、ラップドVベルトとなる成形体の加硫時に、ゴム組成物の加硫反応に伴い、布帛同士、更には、布帛積層体層と周囲(第1圧縮ゴム層及び第2圧縮ゴム層や外被布)との接着(積層一体化)が容易に、かつ確実に行える。つまり、布帛積層体層の剛性を高めることができる。以上から、ノッチ部において亀裂が発生することを抑制することができる。そして、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
なお、本発明に係るラップドVベルト及びラップドVベルトの製造方法は、前記圧縮層が、前記芯体と前記布帛積層体層との間に前記圧縮ゴム層の少なくとも一部を有してもよい。
【0014】
本発明に係るラップドVベルトは、前記圧縮ゴム層は、第1圧縮ゴム層と第2圧縮ゴム層を含み、前記圧縮層は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、前記第1圧縮ゴム層、前記布帛積層体層、前記第2圧縮ゴム層の順で配置されて良い。
また、本発明に係るラップドVベルトの製造方法は、前記圧縮ゴム層が、第1圧縮ゴム層と第2圧縮ゴム層とを含み、前記ラップドVベルトを作成する工程が、成形ドラムに、前記第1圧縮ゴム層となる未加硫ゴム組成物シート、前記布帛積層体層となるゴム組成物が付着した前記布帛を複数積層した布帛積層体、前記第2圧縮ゴム層となる未加硫ゴム組成物シート、前記芯体を形成する心線、及び、前記伸張ゴム層となる未加硫ゴムシートを、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、この順で巻き付け、成形体を作成する工程、前記成形体を所定幅に切断すると共に、ベルト幅方向の断面においてベルト内面側の幅がベルト外面側の幅より小さいV字状になるように切断して、前記ベルト本体に加工する工程と、前記ベルト本体に対して、前記外被布を巻き付け、加硫する工程、を含んで良い。
【0015】
これによれば、圧縮層は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、第1圧縮ゴム層、布帛積層体層、第2圧縮ゴム層の順に配置される。従って、ノッチ部のベルト厚さ方向の長さ(深さ)に応じて、布帛積層体層を配置することができる。つまり、ノッチ部を、その頂点が布帛積層体層に配置されるように、より確実に形成することができる。以上から、ノッチ部において亀裂が発生することをより確実に抑制することができる。そして、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
【0016】
ここで、前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層及び前記布帛積層体層の合計の厚さの割合が、45〜65%であり、且つ、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層の厚さの割合が、15〜25%であって良い。更に、前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層及び前記布帛積層体層の合計の厚さの割合が、45〜55%であり、且つ、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記第1圧縮ゴム層の厚さの割合が、20〜25%であることが好ましい。
この構成によれば、第1圧縮ゴム層及び布帛積層体層の合計の厚さが、ラップドVベルトの全体の厚さの45〜65%、好ましくは45〜55%で構成される。また、第1圧縮ゴム層の厚さが、ラップドVベルトの全体の厚さの15〜25%、好ましくは20〜25%で構成される。従って、ノッチ部を、その頂点が布帛積層体層に配置されるように、より確実に形成することができる。また、圧縮層の剛性を高めることができる。そして、ノッチ部において亀裂が発生することをより確実に抑制することができる。従って、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係るラップドVベルトは、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、前記布帛積層体層、前記圧縮ゴム層の順で配置されて良い。
また、本発明に係るラップドVベルトの製造方法は、前記ラップドVベルトを作成する工程が、成形ドラムに、前記布帛積層体層となるゴム組成物が付着した前記布帛を複数積層した布帛積層体、前記圧縮ゴム層となる未加硫ゴム組成物シート、前記芯体を形成する心線、及び、前記伸張ゴム層となる未加硫ゴムシートを、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、この順で巻き付け、成形体を作成する工程、前記成形体を所定幅に切断すると共に、ベルト幅方向の断面においてベルト内面側の幅がベルト外面側の幅より小さいV字状になるように切断して、前記ベルト本体に加工する工程、前記ベルト本体に対して、前記外被布を巻き付け、加硫する工程、を含んで良い。
【0018】
ノッチ部の最もベルト外面側に位置する頂点は、ベルト両側面である摩擦伝動面がプーリから受ける側圧によるベルト幅方向への変形応力も集中して受けやすい。これらによれば、ベルト内面側が布帛積層体層で構成される。つまり、圧縮層の剛性が高くなる。従って、プーリに対する耐側圧性に優れ、ベルト幅方向への変形応力を受けにくくなるため、ノッチ部において亀裂が発生することを抑制することができる。
【0019】
ここで、前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記布帛積層体層の厚さの割合が、45〜65%であって良い。更に、前記ラップドVベルトのベルト厚さ方向において、前記ラップドVベルトの全体の厚さに対する前記布帛積層体層の厚さの割合が、45〜55%であることが好ましい。
この構成によれば、布帛積層体層の厚さが、ラップドVベルトの全体の厚さの45〜65%、好ましくは45〜55%で構成される。従って、ノッチ部を、その頂点が布帛積層体層に配置されるように、より確実に形成することができる。また、圧縮層の剛性を高めることができる。そして、ノッチ部において亀裂が発生することをより確実に抑制することができる。従って、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
【0020】
上記ラップドVベルトは、前記ノッチ部は、前記布帛積層体層を形成する積層された前記布帛の内のベルト外面側の少なくとも1層以上には形成されないことが好ましい。
この構成によれば、ノッチ部は、布帛積層体を形成する積層された布帛の少なくとも1層以上が、打ち抜かれずに残るように形成される。従って、ノッチ部の頂点において、補強層となる布帛積層体の布帛を十分に確保することができる。そして、ノッチ部において亀裂が発生することをより確実に抑制することができる。従って、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、ノッチ部を有するラップドVベルトにおいて、耐亀裂性を向上させることができるラップドVベルト及びラップドVベルトの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係るラップドVベルト及びラップドVベルトの製造方法は、コンプレッサーや発電機、ポンプなどの一般産業用機械や農業機械等において、ベルト内面側がプーリに巻回されて走行される。
【0024】
<第1実施形態>
[ラップドVベルト]
まず、
図1に基づいて、第1実施形態に係るラップドVベルトについて説明する。
【0025】
図1に示すように、ラップドVベルト100は、ベルト本体150と、ベルト本体150の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布160とから構成されている。
図1(A)に示すように、ベルト本体150は、ベルト幅方向の断面が、ベルト内面側の幅がベルト外面側の幅より小さいV字状になるように形成される。ラップドVベルト100は、外被布160で被覆された左右のベルト両側面103が、V溝プーリのV溝の内壁面と接触する摩擦伝動面となる。尚、ラップドVベルト100は、JISK6323(2008)に準拠して、ベルト全体の厚さが5〜25mm、ベルトの長さ(ベルト周方向の全長)が20〜400インチ(508〜10,160mm)となるように形成される。
【0026】
ここで、ベルト内面側とは、ラップドVベルト100がプーリに巻き掛けられた際における、ラップドVベルト100の内周側に位置するベルト内面102側のことを意味する。また、ベルト外面側とは、ラップドVベルト100がプーリに巻き掛けられた際における、ラップドVベルト100のプーリと外周側に位置するベルト外面101側のことを意味する。尚、
図1において、ベルト内面側は、紙面の下側となり、ベルト外面側は、紙面の上側となる。また、ベルト両側面103は、
図1(A)における紙面の左右方向にある2つの面であり、ベルト内面102の左右両端部とベルト外面101の左右両端部とで交わる面である。
【0027】
ベルト本体150は、ベルト内面側に配置された圧縮層110とベルト外面側に配置された伸張ゴム層130と、圧縮層110と伸張ゴム層130との間に芯体140が埋設されている。圧縮層110は、圧縮ゴム層113と、布帛積層体層120とを含む。圧縮ゴム層113は、第1圧縮ゴム層111と第2圧縮ゴム層112とを含む。圧縮層110は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、第1圧縮ゴム層111と、ゴム組成物が付着した布帛を複数枚積層して接着させた布帛積層体層120と、第2圧縮ゴム層112と、が積層されて構成される。尚、芯体140と伸張ゴム層130又は圧縮層110との接着性を向上させるため、必要に応じて伸張ゴム層130と圧縮層110との間に接着ゴム層を配置してもよい。
【0028】
圧縮層110の第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112と、伸張ゴム層130とは、ゴム組成物から形成される。圧縮層110の第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112と、伸張ゴム層130とを形成するゴム組成物は、同じものであっても、異なるものであってもよい。これらのゴム組成物を構成するゴム成分としては、加硫または架橋可能なゴム、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム等のジエン系ゴム、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素化ゴム等が挙げられる。これらのゴム成分は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、クロロプレンゴム、及び、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムの組み合わせが好ましく、クロロプレンゴムが最も好ましい。クロロプレンゴムは硫黄変性タイプでも非硫黄変性タイプでもよい。
【0029】
圧縮層110の第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112と、伸張ゴム層130とを形成するゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤または架橋剤、共架橋剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム等)、増強剤(カーボンブラック、含水シリカ等の酸化ケイ素等)、短繊維、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等)、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等)、加工剤または加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン等)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤等)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、帯電防止剤等を配合してもよい。なお、金属酸化物は架橋剤として配合してもよい。
【0030】
布帛積層体層120は、ゴム組成物122が付着した布帛121を複数枚積層して接着させた積層体として形成される。布帛積層体層120に用いる布帛121の積層枚数は、ベルト本体150の全体の厚さに応じて選択されるが、4〜29枚(層)が好ましい。また、ゴム組成物122が付着された布帛121の平均厚みは、ラップドVベルト100の種類などに応じて適宜選択できる。ゴム組成物122が付着された布帛121の平均厚みは、例えば0.3〜2mm、好ましくは0.4〜1.4mm、さらに好ましくは0.5〜1.2mm程度である。布帛121の厚みが薄すぎると耐亀裂性が低下する虞がある。また、布帛121の厚みが厚すぎるとラップドVベルトの屈曲性が低下する虞がある。ここで、布帛121は、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ビニロン等の合成繊維や、綿等の天然繊維の糸、またはこれらの混紡糸とした繊維が用いられる。布帛121に使用する繊維は、用途に応じて選択されるが、コスト、汎用性の面から一般的には綿が最も好ましい。また、布帛121は、経糸と緯糸を、90°または90°を超える交差角度で織製された平織り、綾織り、朱子織り等の織物、経編または緯編等の編物、または、不織布により得られた繊維材料で形成される。ここで、布帛121が織布である場合、布帛121の密度は、経糸が70〜95本/5cm、緯糸が70〜95本/5cmであることが好ましい。尚、布帛121は、後述する外被布160として汎用されている繊維材料を用いてもよい。
【0031】
布帛積層体層120は、下記(1)〜(4)のいずれかの処理を行うことにより、布帛121にゴム組成物122を付着させ、その後、ゴム組成物122が付着した布帛121を前駆体とし、複数の前駆体を積層して形成する。(1)シート状の未加硫ゴム組成物122を、布帛121に積層する。即ち、所定の厚さのシート状の未加硫ゴム組成物122を布帛121に積層して、同じ表面速度で回転するロール間に通して被着する。(2)布帛121に未加硫ゴム組成物の膜を形成する。即ち、未加硫ゴムを溶剤に溶かしたゴム糊を布帛121に塗布後、溶剤を蒸発させ布帛121の表面に未加硫ゴム組成物122の膜を形成する。(3)布帛121にフリクション処理を行う。即ち、カレンダーロールを用い表面速度の異なるロール間に未加硫ゴム組成物122と布帛121を同時に通過させ、布帛121の繊維間にまで未加硫ゴム組成物122を擦り込む。(4)布帛121にソーキング処理を行う。希薄なゴム糊(未加硫ゴム組成物122)を入れた浸せき槽の中に布帛121を通し、2本のロール間に通して過剰ののりを除き、ゴム糊(未加硫ゴム組成物122)を繊維内部に浸透させる。
【0032】
尚、上記(1)〜(4)の処理を行う前に、繊維とゴム組成物との接着性を向上するため、RFL(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス)液に布帛121を浸漬する処理をおこなってもよい。
【0033】
圧縮層110は、
図1(B)に示すように、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1の割合が、45〜65%(好ましくは45〜55%)となるように形成される。また、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111の厚さh2の割合が、15〜25%(好ましくは20〜25%)となるように形成される。このように構成すると、後述するノッチ部170を、その頂点が布帛積層体層120に配置されるように、より確実に形成することができると共に、圧縮層110の剛性を高めることができる。尚、布帛積層体層120の厚さh3は、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1から、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を減算して求められる。第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1は、ベルト内面102から布帛積層体層120(布帛積層体層120のベルト外面側の端部)までの厚さと言い換えることができる。また、上記H、h0〜h2は、ベルト内面側の外被布160を含んだ厚さである。
【0034】
芯体140は、圧縮層110と伸張ゴム層130との間に埋設される。芯体140としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)141から形成される。心線141を構成する繊維としては、高モジュラスの点から、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート等のC2−4アルキレンアリレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維、エチレンナフタレート系繊維等)、アラミド繊維等の合成繊維、炭素繊維等の無機繊維が使用され、ポリエステル繊維やアラミド繊維が好ましい。これらの繊維はマルチフィラメント糸であってもよい。マルチフィラメント糸の繊度は2000〜10000デニールとするとよく、好ましくは4000〜8000デニールとするとよい。
【0035】
心線141としては、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(諸撚り、片撚り、ランク撚り等)を使用することが多く、心線141の平均線径(撚りコードの繊維径)は、0.5〜3mmとするとよく、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mmとするとよい。心線141は、ベルト周方向に延びるように、ベルト幅方向に一定の間隔を開けて埋設される。この実施形態では、1本の心線141をベルト周方向にスパイラル状に複数回(
図1の例では8回)巻き付けて埋設している。
【0036】
心線141は、圧縮層110及び伸張ゴム層130と芯体140との接着性を高める目的で、RFL処理等の接着処理を施してもよい。RFL処理では、心線141を構成する繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥することにより、繊維の表面に接着層を均一に形成することができる。RFL液のラテックスは、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム等)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム等とすることができる。これらのラテックスは、単独または2種以上を組み合わせてもよい。心線141を構成する繊維に対して、RFL処理前にエポキシ化合物、イソシアネート化合物等の反応性化合物による前処理(プレディップ)や、RFL処理後にゴム糊処理(オーバーコーティング)等を行った後で、心線141を圧縮層110及び伸張ゴム層130の間に埋設してもよい。
【0037】
芯体140と伸張ゴム層130及び圧縮層110との接着性を向上させるため、伸張ゴム層130と圧縮層110との間に接着ゴム層を配置してもよい。その場合は、接着ゴム層を形成するゴム組成物に、圧縮層110や伸張ゴム層130のゴム組成物と同様に配合する。具体的には、ゴム成分(クロロプレンゴム等)に、加硫剤または架橋剤(酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、粉末硫黄等の硫黄系加硫剤等)、共架橋剤(N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のマレイミド系架橋剤等)、加硫促進剤(TMTD、DPTT、CBS等)、増強剤(カーボンブラック、酸化ケイ素等)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等)、軟化剤(ナフテン系オイル等のオイル類)、加工剤または加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン等)、老化防止剤、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、帯電防止剤等を配合して、ゴム組成物としてもよく、さらに接着性改良剤を配合して、ゴム組成物としてもよい。なお、接着ゴム層を形成するゴム組成物は、圧縮層110の第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112や伸張ゴム層130を形成するゴム組成物と、同じものであっても、異なるものであってもよい。
【0038】
外被布160は、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ビニロン等の合成繊維や、綿等の天然繊維の糸、またはこれらの混紡糸とした経糸と緯糸を、90°または90°を超える交差角度で平織り、綾織り、朱子織り等によって織製することにより得られた繊維材料で形成される。外被布160に使用する繊維は、用途に応じて選択されるが、コスト、汎用性、吸水性の面から一般的には綿が最も好ましい。
【0039】
圧縮層110は、複数のノッチ部170を有する。ノッチ部170は、圧縮層110のベルト内面側(即ち、ベルト内面102)に開口するように、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置される。ノッチ部170は、ベルト本体150を外被布160で被覆して加硫成形したのちに、圧縮層110の一部を外被布160と一緒に機械加工でベルト幅方向に打ち抜くことにより形成される。これにより、
図1(B)に示すように、ノッチ部170の内表面は、外被布160で被覆されず、第1圧縮ゴム層111と布帛積層体層120とが露出している状態となっている。ここで、ノッチ部170は、その頂点の位置(
図1に一点鎖線で示す「ノッチ頂点位置」)が、圧縮層110の布帛積層体層120に位置するように形成される。ここで、ノッチ部170の頂点とは、ベルト厚さ方向においてノッチ部170の中で最もベルト外面側に位置する部位のことを意味する。
【0040】
ノッチ部170は、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向において、ベルト外面102からノッチ部170の頂点までの高さh0が、第1圧縮ゴム層111の厚さh2より大きく、且つ、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1より小さくなるように形成される。h0、h1、h2の関係は 1.2h2≦h0≦0.95h1がよい。更に、ノッチ部170は、布帛積層体層120を形成する積層された布帛121の内のベルト外面側の少なくとも1層(1枚)以上には形成されない。即ち、ノッチ部170は、布帛積層体層120を形成する積層された布帛121の少なくとも1層(1枚)以上が、打ち抜かれずに残るように形成される。このように構成することにより、ノッチ部170の頂点において、補強層となる布帛積層体層120の布帛121を十分に確保することができる。
【0041】
ノッチ部170は、上述の通りラップドVベルト100の全体の厚さを5〜20mmとし、長さを20〜400インチ(508〜10,160mm)とすると、高さ(ベルト内面側のベルト内面102からノッチ部の頂点の位置までの距離h0)を3.0〜9.0mmとし、間隔(ピッチ)を7〜25mmとし、曲部の曲率半径Rを1.0〜5.0mmとして成形することが好ましい。
【0042】
[ラップドVベルトの製造方法]
次に、第1実施形態に係るラップドVベルト100を製造する製造方法について説明する。第1実施形態に係るラップドVベルト100を製造する製造方法は、以下の工程を有する。
【0043】
まず、所定の寸法に調整した布帛121に前述した(1)〜(4)のいずれかの処理を行い、ゴム組成物122が付着した布帛(前駆体)121を作製する。そして、所定枚数の前駆体を積層し、ロール等で圧着して布帛積層体を成形する。
【0044】
次に、成形ドラムに、第1圧縮ゴム層111となる未加硫ゴム組成物シート、布帛積層体層120となるゴム組成物122が付着した布帛121を複数積層した布帛積層体、第2圧縮ゴム層112となる未加硫ゴム組成物シート、芯体140を形成する心線141、及び、伸張ゴム層130となる未加硫ゴムシートを順に巻き付け、成形体を作成する。
【0045】
次に、成形体を所定幅に切断すると共に、ベルト幅方向の断面がV字状になるように切断して、ベルト本体150に加工する。その後、ベルト本体150に外被布160を巻き付け、加硫して、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、第1圧縮ゴム層111と布帛積層体層120と第2圧縮ゴム層112とが配置された圧縮層110と、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層130と、圧縮層110と伸張ゴム層130との間に配置された芯体140とからなるラップドVベルトを作成する。これにより、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、第1圧縮ゴム層111と布帛積層体層120と第2圧縮ゴム層112とが配置された圧縮層110と、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層130と、圧縮層110と伸張ゴム層130との間に配置された芯体140とからなるベルト本体150と、ベルト本体150の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布160とを有するラップドVベルトが作成される。
【0046】
そして、得られたラップドVベルトに対して、最もベルト外面側に位置する頂点が布帛積層体層120に配置され、圧縮層110のベルト内面側に開口するように、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置されるノッチ部170を形成する。例えば、ノッチ部170は、機械的加工により打ち抜くことにより形成される。以上により、第1実施形態に係るラップドVベルト100が製造される。
【0047】
以上のように、第1実施形態に係るラップドVベルト100及びラップドVベルト100の製造方法によれば、ノッチ部170を除くベルト本体150の周囲を全長に渡って、外被布160が被覆される。つまり、ノッチ部170は、外被布160で被覆されないため、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120が露出している。ここで、ノッチ部170のベルト厚さ方向において最もベルト外面側に位置する頂点は、ベルト屈曲に伴うノッチ部170の形状の変形が連続的に繰り返されて局所的にベルト周方向への変形応力が集中する。そして、ノッチ部170の頂点が、布帛積層体層120に配置される。即ち、ノッチ部170の中でも局所的にベルト周方向への変形応力が集中する頂点が布帛積層体層120に配置される。従って、ベルト屈曲時に局所的にベルト周方向への変形応力が集中するノッチ部170の頂点において、布帛積層体層120の布帛121が補強層となるため、ノッチ部170において亀裂が発生することを抑制することができる。つまり、ノッチ部における耐亀裂性を向上させることができる。
【0048】
また、布帛積層体層120となる布帛積層体は、ゴム組成物122が付着した布帛121を積層したものである。従って、ラップドVベルト100となる成形体の加硫時に、ゴム組成物122の加硫反応に伴い布帛121同士、更には、布帛積層体層120と周囲(第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112や外被布160)との接着(積層一体化)が容易に、かつ確実に行える。つまり、布帛積層体層120の剛性を高めることができる。以上から、ノッチ部170における耐亀裂性を向上させることができる。
【0049】
さらに、圧縮層110は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、第1圧縮ゴム層111、布帛積層体層120、第2圧縮ゴム層112の順に配置される。従って、ノッチ部170のベルト厚さ方向の長さ(深さ)に応じて、布帛積層体層120を配置することができる。つまり、ノッチ部170を、その頂点が布帛積層体層120に配置されるように、より確実に形成することができる。以上から、ノッチ部170において亀裂が発生することをより確実に抑制することができる。そして、ノッチ部170における耐亀裂性を向上させることができる。
【0050】
<第2実施形態>
[ラップドVベルト]
次に、
図2に基づいて、第2実施形態に係るラップドVベルトについて説明する。尚、第1実施形態に係るラップドVベルトと同じ部位については、第1実施形態に係るラップドVベルトと同じ符号を付して、その説明を省略する。具体的には、第2実施形態に係るラップドVベルト200は、圧縮層210及びノッチ部270の構成が、第1実施形態に係るラップドVベルト100の圧縮層110及びノッチ部170の構成と異なるため、これらについて説明する。
【0051】
圧縮層210は、圧縮ゴム層211と、布帛積層体層220とを含む。圧縮層210は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、ゴム組成物222が付着した布帛221を複数枚積層して接着させた布帛積層体層220と、圧縮ゴム層211と、が積層されて構成される。
【0052】
圧縮ゴム層211は、ゴム組成物から形成される。圧縮ゴム層211のゴム組成物は、第1実施形態の第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112のゴム組成物と同様であり、その説明を省略する。
【0053】
布帛積層体層220は、ゴム組成物222が付着した布帛221を複数枚積層して接着させた積層として形成される。布帛221及びゴム組成物222は、第1実施形態に係る布帛積層体層120の布帛121及びゴム組成物122と同様であり、その説明を省略する。
【0054】
圧縮層210は、
図2(B)に示すように、ラップドVベルト200のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト200の全体の厚さHに対する布帛積層体層220の厚さh13の割合が、45〜65%(好ましくは45〜55%)となるように形成される。このように構成すると、後述するノッチ部270を、その頂点が布帛積層体層220に配置されるように、より確実に形成することができると共に、圧縮層210の剛性を高めることができる。尚、布帛積層体層220の厚さh3は、ベルト内面102から布帛積層体層220(布帛積層体層220のベルト外面側の端部)までの厚さh1と同じである。上記H、h0、h3は、ベルト内面側の外被布160を含んだ厚さである。
【0055】
圧縮層210は、複数のノッチ部270を有する。ノッチ部270は、圧縮層210のベルト内面側のベルト内面102に開口するように、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置される。ノッチ部270は、ベルト本体150を外被布160で被覆して加硫成形したのちに、圧縮層210の一部を外被布160と一緒に機械加工でベルト幅方向に打ち抜くことにより形成される。これにより、
図2(B)に示すように、ノッチ部270の内表面は、外被布160で被覆されず、布帛積層体層220が露出している状態となっている。ここで、ノッチ部270は、その頂点の位置(
図2に一点鎖線で示す「ノッチ頂点位置」)が、圧縮層210の布帛積層体層220に位置するように形成される。ここで、ノッチ部270の頂点とは、ベルト厚さ方向においてノッチ部270の中で最もベルト外面側に位置する部位のことを意味する。
【0056】
ノッチ部270は、ラップドVベルト200のベルト厚さ方向において、ノッチ部270の頂点までの高さh0が、布帛積層体層220の厚さh3より小さくなるように形成される。更に、ノッチ部270は、布帛積層体層220を形成する積層された布帛221の内のベルト外面側の少なくとも1層(1枚)以上には形成されない。即ち、ノッチ部270は、布帛積層体層220を形成する積層された布帛221の少なくとも1層(1枚)以上が、打ち抜かれずに残るように形成される。このように構成することにより、ノッチ部270の頂点において、補強層となる布帛積層体層220の布帛221を十分に確保することができる。
【0057】
[ラップドVベルトの製造方法]
次に、第2実施形態に係るラップドVベルト200を製造する製造方法について説明する。第2実施形態に係るラップドVベルト200を製造する製造方法は、以下の工程を有する。
【0058】
まず、所定の寸法に調整した布帛221に前述した(1)〜(4)のいずれかの処理を行い、ゴム組成物222が付着した布帛(前駆体)221を作製する。そして、所定枚数の前駆体を積層し、ロール等で圧着して布帛積層体を成形する。
【0059】
次に、成形ドラムに、布帛積層体層220となるゴム組成物222が付着した布帛221を複数積層した布帛積層体、圧縮ゴム層211となる未加硫ゴム組成物シート、芯体140を形成する心線141、及び、伸張ゴム層130となる未加硫ゴムシートを順に巻き付け、成形体を作成する。
【0060】
次に、成形体を所定幅に切断すると共に、ベルト幅方向の断面がV字状になるように切断して、ベルト本体150に加工する。その後、ベルト本体150に外被布160を巻き付け、加硫して、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、布帛積層体層220と圧縮ゴム層211とが配置された圧縮層210と、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層130と、圧縮層210と伸張ゴム層130との間に配置された芯体140とからなるラップドVベルトを作成する。これにより、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、布帛積層体層220と圧縮ゴム層211とが配置された圧縮層210と、ベルト外面側に配置される伸張ゴム層130と、圧縮層210と伸張ゴム層130との間に配置された芯体140とからなるベルト本体150と、ベルト本体150の周囲をベルト周方向の全長に渡って被覆する外被布160とを有するラップドVベルトが作成される。
【0061】
そして、得られたラップドVベルトに対して、最もベルト外面側に位置する頂点が、布帛積層体層220に配置されるように、圧縮層210のベルト内面側に、ベルト幅方向に延在して形成され、ベルト周方向に並んで配置されるノッチ部270を形成する。例えば、ノッチ部270は、機械的加工により打ち抜くことにより形成される。以上により、第2実施形態に係るラップドVベルト200が製造される。
【0062】
以上のように、第2実施形態に係るラップドVベルト200及びラップドVベルト200の製造方法によれば、ノッチ部270を除くベルト本体150の周囲を全長に渡って、外被布160が被覆される。つまり、ノッチ部270は、外被布160で被覆されないため、布帛積層体層220が露出している。ここで、ノッチ部270の最もベルト外面側に位置する頂点は、ベルト屈曲に伴うノッチ部270の形状の変形が連続的に繰り返されて局所的にベルト周方向への変形応力が集中する。そして、ノッチ部270の頂点が、布帛積層体層220に配置される。即ち、ノッチ部270の中でも局所的にベルト周方向の変形応力が集中する頂点が布帛積層体層220に配置される。従って、ベルト屈曲時に局所的に変形応力が集中するノッチ部270の頂点において、布帛積層体層220の布帛221が補強層となるため、ノッチ部270において亀裂が発生することを抑制することができる。また、ノッチ部270の最もベルト外面側に位置する頂点は、ベルト両側面である摩擦伝動面がプーリから受ける側圧によるベルト幅方向への変形応力も集中して受けやすい。そして、ベルト内面側が布帛積層体層220で構成される。従って、圧縮層210の剛性が高くなり、プーリに対する耐側圧性に優れ、ベルト幅方向への変形応力を受けにくくなるため、ノッチ部270において亀裂が発生することを抑制することができる。従って、ノッチ部270における耐亀裂性を向上させることができる。
【0063】
また、布帛積層体層220となる布帛積層体は、ゴム組成物222が付着した布帛221を積層したものである。従って、ラップドVベルト200となる成形体の加硫時に、ゴム組成物222の加硫反応に伴い布帛221同士、更には、布帛積層体層220と周囲(圧縮ゴム層211や外被布160)との接着(積層一体化)が容易に、かつ確実に行える。つまり、布帛積層体層220の剛性を高めることができる。以上から、ノッチ部270において亀裂が発生することを抑制することができる。そして、ノッチ部270における耐亀裂性を向上させることができる。
【0064】
更に、第2実施形態に係るラップドVベルト200は、第1実施形態に係るラップドVベルト100よりも圧縮ゴム層が1層少なく、第2実施形態に係るラップドVベルト200の製造方法では、第1実施形態に係るラップドVベルト100の製造方法よりも、成形ドラムに巻き付ける未加硫ゴムシートが1層少ない為、ラップドVベルト200の製造が容易である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
例えば、第1実施形態に係るラップドVベルト100の製造方法においては、予め、所定の寸法に調整した布帛121に前述した(1)〜(4)のいずれかの処理を行い、ゴム組成物122が付着した布帛(前駆体)121を作製し、所定枚数の前駆体を積層し、ロール等で圧着して布帛積層体を成形し、その後、成形ドラムに、第1圧縮ゴム層111となる未加硫ゴム組成物シート、布帛積層体層120となるゴム組成物122が付着した布帛121を複数積層した布帛積層体、第2圧縮ゴム層112となる未加硫ゴム組成物シート、芯体140を形成する心線141、及び、伸張ゴム層130となる未加硫ゴムシートを順に巻き付け、成形体を作成しているが、それに限らない。例えば、予め、所定の寸法に調整した布帛121に前述した(1)〜(4)のいずれかの処理を行い、ゴム組成物122が付着した布帛(前駆体)121を作製し、所定枚数の前駆体を積層し、ロール等で圧着して布帛積層体を成形することなく、成形ドラムに、第1圧縮ゴム層111となる未加硫ゴム組成物シート、布帛積層体層120となるゴム組成物122が付着した布帛121を所定回数連続で巻き付けることにより複数積層した布帛積層体、第2圧縮ゴム層112となる未加硫ゴム組成物シート、芯体140を形成する心線141、及び、伸張ゴム層130となる未加硫ゴムシートを順に巻き付け、成形体を作成しても良い。第2実施形態に係るラップドVベルト200の製造方法も同様である。
【0067】
また、第1実施形態に係るラップドVベルト100の圧縮ゴム層113は、2層の圧縮ゴム層(第1圧縮ゴム層111及び第2圧縮ゴム層112)を含む。しかしながら、圧縮ゴム層113は、3層以上の圧縮ゴム層を含んでよい。また、布帛積層体層120も、複数層の布帛積層体層を含んでよい。この場合、圧縮層110は、ベルト内面側からベルト外面側に向かって、圧縮ゴム層と、布帛積層体層とが交互に積層されて構成される。
【実施例】
【0068】
次に、本実施例に係るラップドVベルトについて説明する。本実施例では、実施例1〜5として、第1実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により第1実施形態に係るラップドVベルト100を作成した。実施例6〜10として、第2実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により第2実施形態に係るラップドVベルト200を作成した。また、比較例1、2として、従来のラップドVベルトとして、ベルト本体が圧縮ゴム層と伸張ゴム層と芯体のみからなり、ベルト本体のV字状断面の周囲がベルト周方向の全長に渡って外被布で被覆されたラップドVベルトを作成した。
【0069】
実施例1〜5おける第1圧縮ゴム層111、第2圧縮ゴム層112及び伸張ゴム層130、実施例6〜10における圧縮ゴム層211及び伸張ゴム層130、比較例における圧縮ゴム層及び伸張ゴム層のゴム組成物は、下記の表1の通りのゴム組成物を用いた。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例及び比較例では、心線としてPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維による撚りコードを用いた。
【0072】
実施例及び比較例では、外被布として、RFL処理を施したのち、フリクション処理を施した平織りの織物を用いた。ここで、外被布として用いた平織りの織物において、経糸及び緯糸は、太さ20番手の綿の紡績糸を用い、経糸及び緯糸密度を75本/5cmとした。尚、フリクション処理用のゴム組成物は、下記表2の通りのゴム組成物を用いた。尚、実施例の布帛積層体の前駆体として、外被布と同じものを使用した。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例及び比較例のラップドVベルトの寸法について、説明する。実施例1〜4、6〜9及び比較例1では、ラップドVベルトの全体の厚さ(以下、「ベルト厚さH」と称する。)を10.9mmとし、長さ(ベルト長さ)を60インチ(1,524mm)とした。また、ノッチ部の深さを4.0mmとし、ノッチ部の間隔(ピッチ)を9.0mmとし、ノッチ部の曲部の曲率半径Rを2.0mmとした。
【0075】
そして、実施例1のラップドVベルトでは、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を、2.7mm(ベルト厚さH×25%)とし、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1を、4.9mm(ベルト厚さH×45%)とした。つまり、実施例1のラップドVベルトは、布帛積層体層120の厚さが2.2mmであり、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1とノッチ部の深さの差が0.9mmである。
【0076】
また、実施例2のラップドVベルトでは、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を、2.5mm(ベルト厚さH×23%)とし、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1を、5.5mm(ベルト厚さH×50%)とした。つまり、実施例2のラップドVベルトは、布帛積層体層120の厚さが3.0mmであり、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1とノッチ部の深さの差が1.5mmである。
【0077】
また、実施例3のラップドVベルトでは、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を、2.2mm(ベルト厚さH×20%)とし、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1を、6.0mm(ベルト厚さH×55%)とした。つまり、実施例3のラップドVベルトは、布帛積層体層120の厚さが3.8mmであり、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1とノッチ部の深さの差が2.0mmである。
【0078】
また、実施例4のラップドVベルトでは、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を、2.0mm(ベルト厚さH×18%)とし、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1を、6.5mm(ベルト厚さH×60%)とした。つまり、実施例4のラップドVベルトは、布帛積層体層120の厚さが4.5mmであり、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1とノッチ部の深さの差が2.5mmである。
【0079】
また、実施例6のラップドVベルトでは、布帛積層体層220の厚さh3(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さh1)を、4.9mm(ベルト厚さH×45%)とした。つまり、実施例6のラップドVベルトは、布帛積層体層220の厚さh3とノッチ部の深さの差が0.9mmである。
【0080】
また、実施例7のラップドVベルトでは、布帛積層体層220の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さ)h3を、5.5mm(ベルト厚さH×50%)とした。つまり、実施例7のラップドVベルトは、布帛積層体層220の厚さh3とノッチ部の深さの差が1.5mmである。
【0081】
また、実施例8のラップドVベルトでは、布帛積層体層220の厚さh3(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さh1)を、6.0mm(ベルト厚さH×55%)とした。つまり、実施例8のラップドVベルトは、布帛積層体層220の厚さh3とノッチ部の深さの差が2.0mmである。
【0082】
また、実施例9のラップドVベルトでは、布帛積層体層220の厚さh3(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さh1)を、6.5mm(ベルト厚さH×60%)とした。つまり、実施例9のラップドVベルトは、布帛積層体層220の厚さh3とノッチ部の深さの差が2.5mmである。
【0083】
実施例5、10及び比較例2では、ラップドVベルトの全体の厚さ(ベルト厚さ)を23.0mmとし、長さ(ベルト長さ)を100インチ(2,540mm)とした。また、ノッチ部の深さ(ノッチ深さ)を13.0mmとし、ノッチ部の間隔(ノッチピッチ)を21.0mmとし、ノッチ部の曲部の曲率半径Rを4.0mmとした。尚、ノッチ部の深さとは、ノッチ部のベルト厚さ方向の長さのことを意味する。
【0084】
そして、実施例5のラップドVベルトでは、第1圧縮ゴム層111の厚さh2を、3.5mm(ベルト厚さH×15%)とし、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1を、15.0mm(ベルト厚さH×65%)とした。つまり、実施例5のラップドVベルトは、布帛積層体層120の厚さが11.5mmであり、第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1とノッチ部の深さの差が2.0mmである。
【0085】
また、実施例10のラップドVベルトでは、布帛積層体層220の厚さh3(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さh1)を、15.0mm(ベルト厚さH×65%)とした。つまり、実施例10のラップドVベルトは、布帛積層体層220の厚さh3とノッチ部の深さの差が2.0mmである。
【0086】
[屈曲疲労試験]
実施例及び比較例のラップドVベルトを、
図3に示す走行試験機に取付けて回転させ、屈曲疲労試験(JIS K 6323(2008)「一般用Vベルト」に準ずる)をおこない、それぞれのノッチ部の頂点での亀裂発生までの走行時間を測定した。
【0087】
ここで、屈曲疲労試験は、以下の2種類の屈曲疲労試験条件A、Bで行った。実施例1〜4、6〜9及び比較例1のラップドVベルトに対しては、屈曲疲労試験条件Aとして、
図3(A)に示す走行試験機に取付けて回転させ、屈曲疲労試験を行った。ここで、
図3(A)に示す走行試験機では、駆動プーリDrをプーリ径φ80mmとし、従動プーリDnをプーリ径φ100mmとし、従動プーリDnに取り付けられるデッドウェイトDWを80kgfとした。そして、
図3(A)に示す走行試験機において、駆動プーリDrの回転数を3600rpmとし、雰囲気温度を23℃として、実施例1〜4、6〜9及び比較例1のラップドVベルトの屈曲疲労試験を行った。また、実施例5、10及び比較例2のラップドVベルトに対しては、屈曲疲労試験条件Bとして、
図3(B)に示す走行試験機に取付けて回転させ、屈曲疲労試験を行った。ここで、
図3(B)に示す走行試験機では、駆動プーリDrをプーリ径φ315mmとし、従動プーリDnをプーリ径φ315mmとし、駆動プーリDrの負荷を30psとし、従動プーリDnの軸荷重を500kgfとした。そして、
図3(B)に示す走行試験機において、駆動プーリDrの回転数を1800rpmとし、雰囲気温度を23℃として、実施例5、10及び比較例2のラップドVベルトの屈曲疲労試験を行った。
【0088】
実施例及び比較例のラップドVベルトの寸法、および、屈曲疲労試験の試験結果を、表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
[耐亀裂性の検討]
表3に示す同じ屈曲疲労試験条件で行った屈曲試験の結果に基づいて、耐亀裂性について検討した。その結果、屈曲疲労試験条件Aで屈曲試験を行った実施例1〜4、6〜9のラップドVベルトが、比較例1のラップドVベルトよりも亀裂発生までの時間が大きく延びたことが分かる。また、屈曲疲労試験条件Bで屈曲試験を行った実施例5、10のラップドVベルトが、比較例2のラップドVベルトよりも亀裂発生までの時間が大きく延びたことが分かる。これは、比較例のラップドVベルトが、ノッチ部の内面にゴム組成物が露出しているのに対して、実施例のラップドVベルトが、ノッチ部の頂点付近を布帛積層体層で補強しているからであると考えられる。
【0091】
また、実施例1と実施例6のラップドVベルト、実施例2と実施例7のラップドVベルト、実施例3と実施例8のラップドVベルト、実施例4と実施例9のラップドVベルト、実施例5と実施例10のラップドVベルトは、それぞれ、ベルト長さ、ベルト厚み、ノッチ深さ、ノッチピッチ、ノッチ曲率半径R、ベルト内面から布帛積層体層までの厚さh1が同じであるが、実施例6〜10のラップドVベルトが実施例1〜5のラップドVベルトよりも亀裂発生までの時間が延びたことが分かる。これは、実施例1〜5のラップドVベルトは、圧縮層110のベルト内面側がゴム組成物から形成された第1圧縮ゴム層111であるのに対して、実施例6〜10のラップドVベルトは、圧縮層210のベルト内面側が布帛積層体層220であるため、圧縮層の剛性が高く、プーリに対する耐側圧性に優れ、曲がり変形(ディッシング)を受けにくいことから、亀裂発生までの時間が延びたと考えられる。
【0092】
さらに、実施例1〜3のラップドVベルトが実施例4のラップドVベルトよりも亀裂発生までの時間が延びたことが分かる。これは、実施例1〜3のラップドVベルトは、実施例4のラップドVベルトと比較して、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向におけるラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層120までの厚さ)h1の割合、及び、ラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111の厚さh2の割合が、耐亀裂性の観点からより適切であるためだと考えられる。また、実施例6〜8のラップドVベルトが実施例9のラップドVベルトよりも亀裂発生までの時間が延びたことが分かる。これは、実施例6〜8のラップドVベルトは、実施例9のラップドVベルトと比較して、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向におけるラップドVベルト100の全体の厚さHに対する布帛積層体層220の厚さ(ベルト内面から布帛積層体層220までの厚さ)h3の割合が、耐亀裂性の観点からより適切であるためだと考えられる。
【0093】
[考察]
以上より、第1実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により製造した実施例1〜5のラップドVベルト及び第2実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により製造した実施例6〜10のラップドVベルトによると、ノッチ部において亀裂が発生することを抑制して、耐亀裂性を向上させることができることがわかった。つまり、耐亀裂性を向上させるためには、実施例1〜10のように、圧縮層が圧縮ゴム層と布帛積層体層を含み、且つ、ノッチ部の頂点が布帛積層体層に配置されるように、ラップドVベルトを形成すればよいことが明らかとなった。
【0094】
また、耐亀裂性を向上させるためには、第1実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により製造した実施例1〜5のように、第1実施形態に係るラップドVベルト100では、圧縮層110を、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111及び布帛積層体層120の合計の厚さh1の割合が、45〜65%(好ましくは45〜55%)となるように形成すればよいことがわかった。また、ラップドVベルト100のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト100の全体の厚さHに対する第1圧縮ゴム層111の厚さh2の割合が、15〜25%(好ましくは20〜25%)となるように形成するとよいことがわかった。
【0095】
また、耐亀裂性を向上させるためには、第2実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により製造した実施例6〜10のように、第2実施形態に係るラップドVベルト200では、圧縮層210を、ラップドVベルト200のベルト厚さ方向において、ラップドVベルト200の全体の厚さHに対する布帛積層体層220の厚さh3の割合が、45〜65%(好ましくは45〜55%)となるように形成するとよいことがわかった。
【0096】
さらに、耐亀裂性をより向上させるためには、第2実施形態に係るラップドVベルトの製造方法により製造した実施例6〜10のように、ベルト内面側が布帛積層体層で構成すればよいことがわかった。