特許第6334610号(P6334610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334610
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-124151(P2016-124151)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2012-41627(P2012-41627)の分割
【原出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2016-182374(P2016-182374A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 勇一
(72)【発明者】
【氏名】赤木 裕
【審査官】 進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5960448(JP,B2)
【文献】 特開2012−034756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の契機に基づいて遊技者に有利な遊技状態付与のための抽選を行い、この抽選結果に応じて遊技を進行する主制御基板と、
前記主制御基板の制御指令に基づいて遊技にかかる演出を制御する副制御基板と、
前記主制御基板の制御指令に基づいて遊技者に遊技媒体の払い出しを行う払出制御基板と、
前記払出制御基板から前記遊技媒体の貸出装置への制御信号を中継する貸出装置端子板と、
を備えた遊技機であって、
前記払出制御基板および前記貸出装置端子板には、挿抜方向が基板面と平行となる基板間コネクタの対のそれぞれ一方が固定され、
前記払出制御基板と前記貸出装置端子板とは、前記基板間コネクタの一方が他方に挿入された状態で一体的に基板ケースに収容されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の不正交換や基板間で送受信される制御信号の不正改竄等を防止可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機(パチンコ機)では、遊技者のハンドル操作により遊技盤内の遊技領域に向かって遊技球が発射され、遊技領域を流下した遊技球が始動口に入球したことを条件に特別図柄に係る抽選が実行される。そして、特別図柄表示器において、特別図柄が変動表示され、さらに、電子抽選によって決定された特別図柄が停止表示されることで遊技者に抽選結果が報知される。このとき、特別図柄表示器に大当たりであることを示す特定の図柄が停止表示されると、通常の遊技に比べて遊技者に有利な特別遊技が開始される。この特別遊技では、アタッカー装置が所定の回数開閉し、大入賞口への遊技球の入球が可能となるので、遊技者は多くの賞球の払出を受けることが可能となる。
【0003】
このような遊技機の内部には、上記の各種遊技動作を制御するための複数の制御基板や各制御基板と外部装置とを接続する複数の端子板が設けられ、制御基板で生成された制御信号を他の制御基板に送受信したり、端子板を通じて外部装置に送受信することで遊技が進行する。しかし、第三者が、このような制御基板や端子板を不正に交換したり、その間になりすまし装置を挿入し、制御基板同士や制御基板と端子板とで送受信される制御信号を不正に改竄したりして、多くの賞球を獲得する等、遊技上の利益を不正に受ける場合がある。
【0004】
このような不正行為を抑制すべく、例えば、賞球の払出を制御する払出制御基板と、CRユニットとを連結する貸出装置端子板の前面側を基板ケースで覆う技術が公開されている(例えば、特許文献1)。また、主制御基板の機能と払出制御基板の機能とを同一の(一枚の)基板に集約し、1の基板ケースで覆う技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−207306号公報
【特許文献2】特開平5−277247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術のように貸出装置端子板のみを基板ケースで覆っても、払出制御基板と貸出装置端子板とが所謂ハーネスで接続されている以上、そのハーネスに、なりすまし装置を接続されてしまうと不正を防止できないといった問題があった。また、特許文献2の技術のように、一枚の基板に複数の基板の機能を集約すると、複数の基板のうちの1の基板の機能に相当する部分のみを設計変更したり、交換する場合に、正常に動作している他の基板の機能に相当する部分も同時に交換しなくてはならず、コスト面やメンテナンス面の問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、複数の基板それぞれの独立性を担保しつつ、基板の不正交換や基板間で送受信される制御信号の不正改竄等を防止可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、所定の契機に基づいて遊技者に有利な遊技状態付与のための抽選を行い、この抽選結果に応じて遊技を進行する主制御基板と、主制御基板の制御指令に基づいて遊技にかかる演出を制御する副制御基板と、主制御基板の制御指令に基づいて遊技者に遊技媒体の払い出しを行う払出制御基板と、払出制御基板から遊技媒体の貸出装置への制御信号を中継する貸出装置端子板と、を備えた遊技機であって、払出制御基板および貸出装置端子板には、挿抜方向が基板面と平行となる基板間コネクタの対のそれぞれ一方が固定され、払出制御基板と貸出装置端子板とは、基板間コネクタの一方が他方に挿入された状態で一体的に基板ケースに収容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の基板それぞれの独立性を担保しつつ、基板の不正交換や基板間で送受信される制御信号の不正改竄等を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】遊技機の正面図である。
図3】遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
図4】遊技機の背面図である。
図5】払出制御基板および貸出装置端子板の概略的なコネクタの配置を説明した説明図である。
図6】払出制御基板および貸出装置端子板の実装態様を説明した斜視図である。
図7】払出制御基板および貸出装置端子板の実装態様を説明した斜視図である。
図8】払出制御基板および貸出装置端子板と基板ケースとの位置関係を説明するための説明図である。
図9】払出制御基板および貸出装置端子板と基板ケースとの他の位置関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および制御手段の内部構成を簡単に説明し、その後、払出制御基板と貸出装置端子板との基板構成について具体的に説明する。
【0015】
(遊技機の機械的構成)
図1は、本実施形態の遊技機1の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、この外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、この中枠4と同様に、ヒンジ機構によって外枠2に開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0016】
中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤8が保持されている。また、前枠6には、ガラス製または樹脂製の透過板10が保持されている。そして、これら中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤8と透過板10とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機1の正面側から、透過板10を介して遊技盤8が視認可能となる。
【0017】
図2は、遊技機1の正面図である。この図に示すように、前枠6の下部には、遊技機1の正面側に突出する操作ハンドル12が設けられている。この操作ハンドル12は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル12を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル12の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤8に設けられたレール14a、14b間を上昇して遊技領域16に導かれることとなる。
【0018】
遊技領域16は、遊技盤8と透過板10との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤8には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域16に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようになっている。
【0019】
また、遊技領域16には、遊技球が入球可能な一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22が設けられており、これら一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0020】
なお、第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益(状態)が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0021】
また、第2始動口22には、一対の可動片22bが開閉可能に設けられており、この可動片22bの状態に応じて、第2始動口22への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、第2始動口22の上方には突起部23が設けられており、一対の可動片22bが閉状態にあるときには、この突起部23によって第2始動口22への遊技球の入球が不可能もしくは困難となっている。
【0022】
これに対して、遊技領域16に設けられたゲート24を遊技球が通過すると、後述する普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片22bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片22bが開状態になると、当該可動片22bが遊技球を第2始動口22に導く案内部材として機能し、第2始動口22への遊技球の入球が容易となる。
【0023】
さらに、第1始動口20および第2始動口22よりも下方にはアタッカー装置26が設けられている。このアタッカー装置26は、遊技球が入球可能な大入賞口28と、この大入賞口28を開閉する開閉扉28bと、を備えており、通常、開閉扉28bが大入賞口28を閉扉して、大入賞口28への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の特別遊技が実行されると、開閉扉28bが開扉して、大入賞口28への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口28に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0024】
なお、遊技領域16の最下部には、一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22、大入賞口28のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域16から遊技盤8の背面側に排出する排出口30が設けられている。
【0025】
そして、遊技盤8には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置50と、可動装置からなる演出役物装置52とが設けられている。演出表示装置50は、画像を表示する演出表示部50aを備えており、この演出表示部50aを、遊技盤8の略中央部分において、遊技機1の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部50aには、図示のように演出図柄40a、40b、40cが変動表示され、これら各演出図柄40a、40b、40cの停止表示態様によって大当たりの抽選結果が遊技者に報知されることとなる。
【0026】
また、演出表示部50aの上方に位置する演出役物装置52は、上記の演出図柄40a、40b、40cの変動表示中などに可動して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0027】
また、遊技盤8には、点灯態様や発光色をさまざまに制御して演出を行うためのランプからなる演出照明装置54が設けられている。さらに、遊技機1の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板10よりも下方位置には、遊技者の押下操作を受け付けるボタンからなる演出操作装置56が設けられている。そして、前枠6の上部位置や外枠2の最下部位置には、遊技機1の正面側に向けられたスピーカからなる音声出力装置58が設けられている。
【0028】
なお、図中符号70は、遊技機1から払い出される賞球や、遊技球貸出装置(遊技媒体の貸出装置)から貸し出される遊技球が導かれる上皿であり、この上皿70が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿72に導かれることとなる。また、この下皿72の底面には、当該下皿72から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ72aを図中左右いずれか一方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ72aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿72の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0029】
また、遊技盤8には、遊技領域16の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器80、第2特別図柄表示器82、第1特別図柄保留表示器84、第2特別図柄保留表示器86、普通図柄表示器88、普通図柄保留表示器90が設けられている。これら各表示器80〜90は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0030】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図であり、図4は、遊技機1の背面図である。
【0031】
(主制御基板100)
主制御基板100は遊技の基本動作を制御し、例えば、所定の契機に基づいて遊技者に有利な遊技状態付与のための抽選を行い、この抽選結果に応じて遊技を進行する。この主制御基板100は、メインCPU100a、メインROM100b、メインRAM100cを備えている。メインCPU100aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM100bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンド(制御指令)を送信したりする。メインRAM100cは、メインCPU100aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0032】
上記主制御基板100には、一般入賞口18に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ18a、第1始動口20に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ20a、第2始動口22に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ22a、ゲート24を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ24a、大入賞口28に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ28aが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板100に検出信号が入力されるようになっている。
【0033】
また、主制御基板100には、第2始動口22の可動片22bを作動する始動口開閉ソレノイド22cと、大入賞口28を開閉する開閉扉28bを作動する大入賞口開閉ソレノイド28cと、が接続されており、主制御基板100によって、第2始動口22および大入賞口28の開閉制御がなされるようになっている。
【0034】
さらに、主制御基板100には、第1特別図柄表示器80、第2特別図柄表示器82、第1特別図柄保留表示器84、第2特別図柄保留表示器86、普通図柄表示器88、普通図柄保留表示器90が接続されており、主制御基板100によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0035】
また、本実施形態の遊技機1では、主に第1始動口20または第2始動口22への遊技球の入球によって特別図柄遊技が開始され、ゲート24を遊技球が通過することによって普通図柄遊技が開始される。そして、主制御基板100のメインROM100bには、特別図柄遊技および普通図柄遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0036】
また、主制御基板100には、副制御基板200および払出制御基板120が接続されている。
【0037】
(副制御基板200)
副制御基板200は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板200は、サブCPU200a、サブROM200b、サブRAM200cを備えており、主制御基板100に対して、当該主制御基板100から副制御基板200への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU200aは、主制御基板100から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM200bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行するためのコマンドを、画像制御基板210または電飾制御基板220に送信する。このとき、サブRAM200cは、サブCPU200aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0038】
画像制御基板210は、上記演出表示部50aに画像を表示させる画像表示制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM、VRAM(図示せず)を備えている。この画像制御基板210のROMには、演出表示部50aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、副制御基板200から送信されたコマンドに基づいて、CPUが、画像データをROMからVRAMに読み出して、演出表示部50aの画像表示を制御する。
【0039】
電飾制御基板220は、副制御基板200から送信されたコマンドに基づいて、音声出力装置58から音声を出力させる音声出力制御を行う。また、電飾制御基板220は、副制御基板200から送信されるコマンドに基づいて、演出役物装置52を可動したり演出照明装置54を点灯制御したりする。さらには、演出操作装置56が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ56aから操作検出信号が入力された際に、所定のコマンドを副制御基板200に送信する。
【0040】
(払出制御基板120)
払出制御基板120は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板120も、CPU、ROM、RAMを備えており(図示せず)、主制御基板100に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板120には遊技情報出力端子板110および貸出装置端子板112が接続されており、主制御基板100から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板120および遊技情報出力端子板110を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されるとともに、払出制御基板120および貸出装置端子板112を介して、遊技機1に付設される遊技球貸出装置等に出力されることとなる。遊技情報出力端子板110や貸出装置端子板112には、制御信号を安定的に送信するためのプルアップ抵抗が施され、過負荷電流から各回路を守るための電力ヒューズを備える。また、本実施形態において、払出制御基板120と貸出装置端子板112とは、基板間コネクタによって直接接続され、図4に示すように、1の基板ケース152に収容されている。
【0041】
また、払出制御基板120には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ121が接続されている。払出制御基板120は、主制御基板100から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ121を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ122によって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
【0042】
また、払出制御基板120には、下皿72の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ123が接続されている。この皿満タン検出スイッチ123は、賞球として払い出される遊技球を下皿72に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板120に入力されるようになっている。
【0043】
そして、下皿72に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿72に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ123から払出制御基板120に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板120は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿72が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板100に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板100に送信する。
【0044】
また、払出制御基板120には、発射制御基板130が双方向に通信可能に接続されている。この発射制御基板130は、払出制御基板120から発射制御データを受信すると発射の許可を行う。この発射制御基板130には、操作ハンドル12に設けられ、当該操作ハンドル12に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ12aと、操作ハンドル12の操作角度を検出する操作ボリューム12bと、が接続されている。そして、タッチセンサ12aおよび操作ボリューム12bから信号が入力されると、発射制御基板130において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド131を通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
【0045】
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されている。この電源基板は、コンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御基板100に出力する。そして、主制御基板100は、電断検知信号を受信すると、遊技に係る種々の情報をバックアップデータ記憶領域に記憶させた後に、遊技を中断するための処理を実行する。
【0046】
(払出制御基板120と貸出装置端子板112との基板構成)
このように、遊技機1では、複数の制御基板や端子板を通じて制御信号が送受信されることで遊技が進行する。しかし、各制御基板や端子板が独立して設けられ、比較的容易に加工できるハーネス等で基板間を接続していたため、第三者が、このような制御基板や端子板を不正に交換したり、その間になりすまし装置を挿入して、制御基板同士や制御基板と端子板とで送受信される制御信号を不正に改竄するおそれがあった。
【0047】
上述したように、払出制御基板120は、主制御基板100と直接接続され、遊技球を発射させるための制御や賞球を払い出すための制御等、遊技者の遊技上の利益である賞球を管理する重要な役割を担っている。かかる主制御基板100と払出制御基板120との接続においては、遊技機1下で管理されるため、不正を防止する手段、例えば、第三者は知り得ない認証コード等を双方に新設し、その認証コードを相互に確認するといった手段をとることで、不正を抑制することができる。
【0048】
しかし、払出制御基板120と貸出装置端子板112との接続は、遊技機1下で管理されてはいるものの、貸出装置端子板112がCPUを有さない単なる端子板であることから、不正を防止する制御的な手段を設けることができない。たとえ貸出装置端子板112がCPUを備えていたとしても、払出制御基板120と外部装置との間では規格に準じた制御信号しか送受信できないので、上記の認証コード等を採用することができない。したがって、貸出装置端子板112自体や、払出制御基板120と貸出装置端子板112との間は、払出制御基板120自体や、主制御基板100と払出制御基板120との間と比較して、不正を施す対象となり易かった。
【0049】
そこで、本実施形態では、上述したように、払出制御基板120と貸出装置端子板112とを一体的に設け、基板ケース152に収容(封入)する。
【0050】
図5は、払出制御基板120および貸出装置端子板112の概略的なコネクタの配置を説明した説明図である。払出制御基板120には、主として、貸出装置端子板112との信号線を担う基板間コネクタ150a、電源の給電を受ける基板対電線コネクタ170a、中枠4や前枠6の開放に関する情報を受ける基板対電線コネクタ170b、発射制御基板130との信号線を担う基板対電線コネクタ170c、主制御基板100との信号線を担う基板対電線コネクタ170d、遊技情報出力端子板110との信号線を担う基板対電線コネクタ170e、遊技球の貸出や精算に関する情報を受ける基板対電線コネクタ170fが設けられる。貸出装置端子板112には、払出制御基板120との信号線を担う基板間コネクタ150b、遊技球貸出装置との信号線を担う基板対電線コネクタ160が設けられる。
【0051】
図6および図7は、払出制御基板120および貸出装置端子板112の実装態様を説明した斜視図である。払出制御基板120の基板間コネクタ150aおよび貸出装置端子板112の基板間コネクタ150bはそれぞれハーネスやソケットを介すことなくハンダ付け等により固定されている。そして、基板間コネクタ150aと基板間コネクタ150bとは、図6に示すように対をなし、基板面と平行となる方向(図6で白抜き両矢印で示した挿抜方向)に挿抜できる。
【0052】
かかる払出制御基板120および貸出装置端子板112を遊技機1に組み込む際には、まず、基板間コネクタ150aに基板間コネクタ150bを挿入することで、払出制御基板120と貸出装置端子板112とを結合基板として一体的に形成する。そして、その結合基板を基板ケース152の前面部位152aに収容し、基板ケース152の前面部位152aに払出制御基板120の背面からビス154で固定する。
【0053】
基板ケース152の前面部位152aは、図7に示すように、遊技機1に固定された基板ケース152の背面部位152bと対になっており、基板ケース152の背面部位152bのスライド溝152cに、前面部位152aのスライドレール152dを嵌合し、図7中破線矢印で示すようにスライドさせることで、前面部位152aの背面部位152bに対する正面方向の移動を抑制する。そして、基板ケース152の背面部位152bのストッパ152eに前面部位152aが当接した位置で正面側からビス158でかしめる。こうして、払出制御基板120および貸出装置端子板112が、基板ケース152の前面部位152aと背面部位152bの間に封入されることとなる。
【0054】
払出制御基板120と貸出装置端子板112とは、従来、独立して遊技機1に固定されていたので、それぞれに基板ケースを準備する必要があったが、ここでは、払出制御基板120と貸出装置端子板112とを一体的に形成しているので、1の基板ケース152で両基板を封入することができる。
【0055】
このように構造物やかしめ機構の点数を削減することでコストを低減でき、また、遊技機1の背面において、貸出装置端子板112のみを基板ケースで封入するための占有空間が空くので、設計の自由度を高めることができる。さらに、払出制御基板120と貸出装置端子板112の接続部分を密封することで、基板の不正交換や基板間で送受信される制御信号の不正改竄を防止することが可能となる。
【0056】
また、上述したように、払出制御基板120と貸出装置端子板112とは、基板間コネクタ150aと基板間コネクタ150bとを通じて挿抜可能に基板対基板接続がなされている。したがって、払出制御基板120や貸出装置端子板112にそれぞれ個別に設計変更が生じた場合においても、その対象となる基板のみを変更すれば足り、他の基板は変更しないで済む。
【0057】
また、貸出装置端子板112と遊技球貸出装置とは規格に準じた接続がなされ、貸出装置端子板112には、かかる規格に応じてD−subコネクタを設けなければならない。D−subコネクタは他のコネクタと比べ挿抜において強い押圧力を要し、接続状態の維持にも高いストレスが生じるため、貸出装置端子板112のみが故障する可能性がある。かかる場合においても、基板ケース152を開放できる状態において、貸出装置端子板112のみを交換すれば足りる。このように、両基板を挿抜可能に基板対基板接続することで、基板同士の独立性を担保してコストの低減を図りつつ、メンテナンス性を高めることができる。
【0058】
また、上述したように、払出制御基板120および貸出装置端子板112は、基板間コネクタ150aおよび基板間コネクタ150bによって高い剛性で接続されているので、振動等により接触不良が生じ易いハーネスと比べ制御信号伝達の高い信頼性を維持することができる。また、基板間コネクタ150a、150bは、ハーネスと比較して容易に変形させたり、取り回しを変えたりすることができないので、不正行為がなされ難い。さらに、基板間コネクタ150a、150bは、熱に弱いハーネスに比べ耐熱性が高いので、密封された状態下で、払出制御基板120や貸出装置端子板112が集積回路等の動作により発熱したとしても問題とならない。
【0059】
また、払出制御基板120と貸出装置端子板112とは、基板間コネクタ150a、150bの挿抜構造により、容易に接続を解除することができるので、設計時やデバッグ時に、一方の基板の基板間コネクタから容易に制御信号を抽出することができる。
【0060】
以上の説明では、払出制御基板120と貸出装置端子板112との接続に基づく不正行為の防止やメンテナンス性について述べたが、払出制御基板120および貸出装置端子板112と基板ケース152との位置関係によっても不正行為を防止できる。
【0061】
図8は、払出制御基板120および貸出装置端子板112と基板ケース152との位置関係を説明するための説明図である。特に、図8(c)では、払出制御基板120および貸出装置端子板112と、基板ケース152の縦断面との位置関係を示している。
【0062】
例えば、基板間コネクタ150a、150bが抜けるまでのストロークより、即ち、図8(a)に示した、基板間コネクタ150a、150bの一方が他方に挿入されたとき(通電可能なとき)の払出制御基板120と貸出装置端子板112との挿抜方向の離間距離dと、図8(b)に示した、基板間コネクタ150a、150bの挿入状態(通電状態)を解除して払出制御基板120および貸出装置端子板112のいずれか一方が挿抜方向以外の方向に相対移動可能となる挿抜方向の離間距離dとの差分(d−d)より、図8(c)に示した、基板間コネクタ150a、150bの一方が他方に挿入された場合の、払出制御基板120および貸出装置端子板112それぞれにおける基板間コネクタ150a、150bと反対側の端部(図8中、払出制御基板120の左側または貸出装置端子板112の右側)と基板ケース152との挿抜方向の離間距離dを短くする。
【0063】
こうすることで、払出制御基板120および貸出装置端子板112が基板ケース152に収容されている状態では、各基板の挿抜方向の移動が制限されるので、不正者が、たとえ一方の基板の固定を解除し挿抜方向に移動させることができたとしても、基板が基板ケース152に衝突し、基板間コネクタ150a、150bが挿抜方向以外の方向には移動することができない。そうすると、不正者は、基板間コネクタ150a、150b間になりすまし装置を挿入するどころか、基板間コネクタ150a、150bの端子に接触することもできず、不正を防止することが可能となる。
【0064】
図9は、払出制御基板120および貸出装置端子板112と基板ケース152との他の位置関係を説明するための説明図である。貸出装置端子板112には、基板面から突出する方向(ここでは基板面から垂直方向)に延伸する基板対電線コネクタ160が固定されている。そして、基板対電線コネクタ160は、払出制御基板120と貸出装置端子板112とが基板ケース152に収容された状態で基板ケース152に設けられた貫通孔162を通じて貫通し、その接続部160aが基板ケース152の外側に露出している。
【0065】
例えば、基板間コネクタ150a、150bが抜けるまでのストロークより、即ち、図8(a)に示した、基板間コネクタ150a、150bの一方が他方に挿入されたときの払出制御基板120と貸出装置端子板112との挿抜方向の離間距離dと、図8(b)に示した、基板間コネクタ150a、150bの挿入状態を解除して払出制御基板120および貸出装置端子板112のいずれか一方が挿抜方向以外の方向に相対移動可能となる挿抜方向の離間距離dとの差分(d−d)より、図9に示した、基板間コネクタ150a、150bの一方が他方に挿入された場合の、基板対電線コネクタ160の外周部160bにおける基板間コネクタ150a、150bと反対側の面(図9中、基板対電線コネクタ160の右側)と基板ケース152の貫通孔162の開口縁162aとの挿抜方向の離間距離dを短くする。
【0066】
こうすることで、図8を用いて説明したのと同様、払出制御基板120および貸出装置端子板112が基板ケース152に収容されている状態では、各基板の挿抜方向の移動が制限され、不正者が、基板を移動しようとしても、基板対電線コネクタ160が基板ケース152の貫通孔162の開口縁162aに衝突し基板間コネクタ150a、150bが挿抜方向以外の方向には移動することができない。こうして不正を防止することが可能となる。ここでは、基板対電線コネクタ160について言及しているが、他の基板対電線コネクタ170a、170b、170c、170d、170e、170fに関しても同様な構造とする。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、複数の基板を基板間コネクタ150a、150bで直接接続することで、その基板同士の独立性を担保し、1の基板ケース152で覆うことで基板の不正交換や基板間で送受信される制御信号の不正改竄等を防止することが可能となる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1 …遊技機
100 …主制御基板
112 …貸出装置端子板
120 …払出制御基板
150a、150b …基板間コネクタ
152 …基板ケース
160 …基板対電線コネクタ
160a …接続部
160b …外周部
162 …貫通孔
162a …開口縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9