(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのキャビティまたは開口特徴部が、水活性化接着剤および熱活性化接着剤のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に充填される、請求項1に記載の組立体。
前記少なくとも1つのキャビティまたは開口特徴部が、液体にさらされたときに少なくとも10%膨張する材料、凍結乾燥材料、ヒドロゲル、生体吸収性フェルト、およびフッ素含有ポリマーからなる群から選択される充填材料によって少なくとも部分的に充填される、請求項1に記載の組立体。
【背景技術】
【0002】
[0002]癌の罹病者は、しばしば化学療法および/または放射線療法を使用して治療される。化学療法は、癌細胞を破壊する薬物を使用することによる癌の治療である。放射線療法は、癌細胞を破壊するために、イオン化放射線と呼ばれるある種のエネルギーを使用することである。
【0003】
[0003]近接照射療法は、癌を治療するために使用される一種の放射線療法である。近接照射療法は、少量の放射性物質を身体内に、癌細胞または腫瘍の近くに配置することを必要とする。電子線照射など外部放射線治療とは異なり、近接照射療法は、医師がより高い総放射線量を使用し、小さなエリアをより短い時間で治療することを可能にする。近接照射療法は、一時的でも永続的でもよい。一時的近接照射療法では、放射性物質が癌細胞または腫瘍の近くに所定の期間配置され、そして回収される。永続的近接照射療法では、「シード」の形態にある放射性物質が癌細胞または腫瘍の近くに永続的に配置される。シードは永続的に身体内に残るが、シードの放射線レベルは、シードの放射能が減衰するにつれて経時的に低下する。
【0004】
[0004]高線量率(HDR)近接照射療法では、特定の高い放射線量が、送達デバイスを通じて、コンピュータによって制御された短い期間、患部に送達される。このプロセスは、1日の過程で数回繰り返されてもよい。低線量率(LDR)近接照射療法では、より低い放射線量が送達デバイスを通じて数時間または数日にわたって患部に連続的に送達される。
【0005】
[0005]LDR近接照射療法は、乳房、肺、頭頸部、および前立腺を含む、多くのタイプの癌の治療で使用されている。近接照射療法を必要とする癌患者は、一定の治療方式、すなわち定義された構成で配置される離散的な数の放射線シードを必要とする。例えば、様々な要因、例えば患者のサイズ、シードが埋め込まれることになる体組織の性質、および治療される癌のタイプに依存して、異なる線量レベルまたは数のシードが必要とされうる。
【0006】
[0006]例えば、前立腺癌または他の癌は、パラジウム103またはヨウ素125シードを使用して治療されうる。前立腺サイズおよび癌の攻撃性に応じて、医療提供者は、癌性細胞を殺すのに十分な量の放射線を送達するために必要とされる放射性シードの数および配置を決定することができる。
【0007】
[0007]シードを癌細胞または腫瘍に適用するために、針、カテーテル、またはアプリケータなど中空管の送達デバイスが最初に患部内に挿入されうる。次いで、シードが送達デバイス内に配置され、デバイスを通って適正な位置に押し出されるか、または送達デバイス自体が引き抜かれて適正な位置に着座したシードを残す。あるいは、送達デバイスを身体内に挿入する前に、シードが最初に送達デバイス内に配置されてもよい。例えば、ある近接照射療法送達システムでは、必要な数の放射線シードが近接照射療法針内に装填され、次いで前立腺内に挿入される。針の先端がその適正な位置に配置されると針が回収され、シードおよび/またはスペーサのパターンを定位置に残す。X線、超音波、CT、またはMRI走査は、ストランドをなすシードが適正に配置されることを確実にするために使用されるツールに含まれうる。
【0008】
[0008]埋め込み部位での適正なシード配置およびシード保持は、近接照射療法手順の成否に影響を及ぼす。ある種のシード埋め込みデバイスおよび方法は、埋め込み中または埋め込み後に変化しやすいシード配置および線量パターンをしばしばもたらす。位置の定まらないシード、特に被嚢外の(前立腺の被嚢の外側に位置する)ものは、患者の体内で遊走および/または回転する傾向があり、その結果、必要とされるところで放射線を提供しないことがあり、身体の他の放射線に敏感なエリアに損傷を引き起こすこともある。
【0009】
[0009]シードは、コネクタまたは接続材料によって互いにリンクされ、リンクされたシードの列、またはシードのストランドを形成してもよい。リンクされたシードの特定の列、またはストランドを構成するシードは、所望の線量レベルを生成するように所定の間隔だけ離隔されうる。シードの間隔、およびリンクされたシードの列またはストランドの長さを変えることによって、リンクされたシードまたはストランドを、異なる所望の線量レベルを有するものとして形成することができる。しかしながら、リンクされたシード、またはストランドを構成するシードであっても、体内で遊走および/または回転する可能性がある。
【0010】
[0010]埋め込み時において、近接照射療法シードの移動または遊走は、挿入中に針によって切開された針跡に沿って最も頻繁に発生する。シード配置前に針を(それに続いてシードを)正確に所望の位置に置きたいと望めば、針を刺しなおす数回の試行を必要とし、その試行ごとに新たな針跡が生じる。これらの繰り返される試行は、腺浮腫(gland edema)の原因にもなり、また結果的に線量計測に悪影響をもたらす原因にもなりうる。
【0011】
[0011]理論上、針跡自体がシードの外径よりも大きい断面積を有するために、シードが針跡内で移動することが可能になると考えられている。例えば、近接照射療法シードは、一般に、0.040”(1.02mm)の内径および0.048”(1.22mm)の外径を有する18G針を使用して配置される。体組織は、針とほぼ同じ、またはわずかに小さいサイズに切開され、約0.040”(1.02mm)から0.048”(1.22mm)の断面「切開痕」が生じる。この切開痕または針跡は、0.032”(0.813mm)の外径を有する一般的な近接照射療法シード、および0.038”(0.965mm)の外径を有する、組み立てられたSourceLink(登録商標)トレインよりも大きい。従って、このように跡のサイズが大きいことが、シードが切開痕に沿ってある程度移動することを可能にしていると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0012]本明細書に開示されているシステム、組立体、および/またはデバイスは、埋め込まれたシードを定位置に固定し、また埋め込まれたシードの遊走および/または回転を防止する助けとなる。さらに、本明細書に開示されている送達デバイスは、患者に対する外傷の程度を低減し、針跡に沿った遊走を防止することを助ける。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0013]シードが体組織内で遊走する可能性を少なくする、近接照射療法シードおよびシード送達システムのための改良が本明細書で説明されている。また、同様の改良が、他のインプラントまたはマーカ、例えば金シードのように器官の位置を特定するためのマーカとして用いられる非放射性シードに適用されてもよい。また、これらの改良は、超音波、磁気共鳴、またはCT撮像手順中にシードの可視性を高めてもよい。
【0014】
[0014]一実施形態において、キャビティまたは開口特徴部を有する構成要素が、干渉嵌合(interference fit)で近接照射療法シードに取り付けられる、シードおよび構成要素の組立体が提供される。キャビティまたは開口特徴部は、体組織がキャビティまたは開口特徴部内に少なくとも部分的に押し込まれる、または膨れ出ることを可能にし、シードおよび構成要素の組立体を適正な場所および向きで固定するように体組織と相互作用し、移動または遊走(少なくとも回転運動、横方向運動、および長手方向運動を含む)を防止または抑制する。
【0015】
[0015]一実施形態において、シードおよび構成要素の組立体は、放射性物質を含むシードと、放射性シードを少なくとも部分的に囲む構成要素とを含み、構成要素はその壁の外表面から内向きに延びる少なくとも1つのキャビティまたは開口を含む。
【0016】
[0016]一実施形態において、埋め込み後の近接照射療法シードの遊走を抑制する方法は、構成要素を近接照射療法シードに取り付けてシードおよび構成要素の組立体を形成するステップであって、構成要素が構成要素の壁の外表面から内向きに延びる少なくとも1つのキャビティまたは開口を含むステップと、患者の体組織が少なくとも1つのキャビティまたは開口に少なくとも部分的に押し込まれ、それによってシードおよび構成要素の組立体の回転または遊走を抑制するように、近接照射療法シードをその体組織内に埋め込むステップとを含む。
【0017】
[0017]一実施形態では、水/液体または熱によって活性化される接着剤が、近接照射療法シード、シードおよび構成要素の組立体、またはストランドを構成するシードを覆って被覆され、体組織内に埋め込まれたときにそれを定位置に固定してもよい。さらに、上記で説明したものと同様の構成要素キャビティまたは開口特徴部が、水/液体または熱によって活性化される接着剤で充填され、接着剤のための収納場所として機能してもよい。
【0018】
[0018]一実施形態において、上記で説明したものと同様の構成要素キャビティまたは開口特徴部は、体組織内での固定の改善、可視性の改善、投薬、または他の形での患者の治療のために、様々な有益な材料または材料の組合せで充填されてもよい。
【0019】
[0019]一実施形態では、患者の体組織内で切開される針跡のサイズを最小化することによって、患者に対する外傷の程度を有益に低減する送達デバイスおよび/またはシステムが提供される。生成される「切開」孔がより小さいことは、腺腫脹(gland swelling)を低減し、体組織外傷および神経損傷を低減することを助け、おそらくは改善された線量計測法、より再現可能な埋め込み、より少ない罹病率などをもたらす。このような腫脹の低減は、すべてのシードタイプにとって有益となるはずであるが、パラジウム103またはセシウム131のような短寿命のアイソトープに最も影響を及ぼす。なぜなら、腫脹の程度および腫脹の分解時間の変動は、シードがその治療線量の大部分を送達しているとき発生するからである。
【0020】
[0020]一実施形態では、医療デバイスが、近位端から遠位端まで延びる内側管腔を有するチューブと、チューブの内側管腔を通って延びるようにサイズ設定および構成されたスタイレットとを含む。スタイレットは、チューブの内側管腔直径よりも小さい第1の外径を有する本体部分と、第1の外径よりも小さい第2の外径を有し、本体部分の遠位側にある遠位部分と、本体部分の外径から遠位部分の外径まで滑らかに移行する本体部分と遠位部分との間のテーパー部分と、遠位部分の遠位側にある切開トロカールとを含みうる。
【0021】
[0021]一実施形態では、患者の身体の内部にアクセスする方法が、医療デバイスを用意するステップを含む。提供される医療デバイスは、近位端から遠位端まで延びる内側管腔を有するチューブ、およびチューブの内側管腔を通って延びるスタイレットであって、本体部分、本体部分の遠位側にあって本体部分の外径より小さい外径を有する遠位部分、本体部分の外径から遠位部分の外径まで滑らかに移行する本体部分と遠位部分との間のテーパー部分、ならびに遠位部分の遠位側にある切開トロカールを有するスタイレットを含みうる。また、この方法は、医療デバイスを患者の身体内の所望の位置に挿入するステップと、切開トロカールを用いて患者の身体の体組織内に孔を切開するステップであって、孔が遠位部分の外径とほぼ同じサイズを有するステップとを含みうる。また、この方法は、テーパー部分、本体部分、およびチューブの遠位端を覆うように孔を引き伸ばすステップと、スタイレットを近位側に回収してスタイレットをチューブから取り除くとともに、チューブを体組織内に残すステップとを含みうる。
【0022】
[0022]患者に生成される切開痕がより小径であることは、シードの遊走をより少なくする結果をもたらす可能性がある。なぜならば、切開痕の直径がシード直径より小さくなるため、体組織が埋め込まれたシードをより緊密に保持できるからである。例えば、針跡がより小さく、そして近接照射療法シード上に引き伸ばされるので、針を収納したとき、体組織が近接照射療法シードの周りで収縮することによってシードをより緊密に締め付け、または保持する。これが、近接照射療法シードを定位置に固定し、針跡に沿った移動を防止する助けになる。
【0023】
[0023]本明細書に開示されているデバイスおよび方法は、数多くの異なる種類の癌(本明細書の別の部分で説明されているものを含む)、特に体組織腫瘍を治療するのに適している。例えば、これらのデバイスおよび方法は、前立腺内に挿入し前立腺癌を治療する、または乳房に挿入し乳癌を治療するために使用することができる。
【0024】
[0024]開示されているシステムおよび方法は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも原寸に比例していない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0034]本発明では様々な修正例および代替形態が可能であるが、そのうちのある実施形態が例として図面に示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、具体的な実施形態についての本明細書における説明は、開示されている特定の形態に本発明を限定することを意図されたものではなく、それよりもむしろ、添付の請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲内にある修正例、均等物、および代替例すべてを包含することが意図されていることが理解されるべきである。
【0027】
[0035]ある実施形態について説明し、また示す以下の明細書および添付図面は、本開示の様々な態様および特徴に係る近接照射療法挿入および固定デバイスのいくつかの可能な構成を、非限定的な仕方で説明するためのものである。
【0028】
[0036]
図1は、患者の近接照射療法治療に使用するためのシードおよび構成要素の組立体2の形をとる近接照射療法シード固定デバイスまたは組立体を示す。組立体2は、放射性近接照射療法シード4と、端部構成要素6と、中間コネクタ構成要素28とを含む。
図8および
図9もまた、患者の近接照射療法治療に使用するための(
図1の組立体2と同様の)シードおよび構成要素の組立体102の形をとる近接照射療法シード固定デバイスまたは組立体の一実施形態を示すが、組立体102は、放射性近接照射療法シード104に加えて、2つの端部構成要素106を含む。構成要素6、28、106は、体組織内で「掴む」ことでシード4の動きを防止するように設計されたキャビティまたは開口特徴部を含む。キャビティまたは開口特徴部は、概して、構成要素壁の外表面から内向きに延びるキャビティ、凹部、または開口の形をとる。キャビティまたは開口特徴部は、構成要素の壁を貫通し、構成要素壁の外表面から内表面まで完全に開放されていてもよいし(例えば、その結果、シードが開口を通して見えてもよい)、キャビティが構成要素壁の外表面から内表面に向かって部分的に延びていてもよい。
【0029】
[0037]近接照射療法シード4、104は、限定されるものではないが、BrachySource(登録商標)I
125シード、およびIheraSeed(登録商標)Pd
103シードなどの放射性シードを含みうる。他の放射性材料を含むシードが同様に使用されてもよく、それはCs
13、Au
198、Co
60、Ir
192、およびこれらの任意の組合せを含むが、限定されるものではない。
【0030】
[0038]
図1において、構成要素6、28は、側壁に孔8、構成要素6の端部でカップ10、構成要素6、28の端部で平頭ねじ回しブレードタイプの刻み目と同様に形作られた刻み目12、および構成要素6、28がシードを覆わない組立体の中央で中央帯状領域14の形をとる、キャビティまたは開口特徴部を含む。
図8および
図9において、構成要素106は、構成要素106の端部でカップ110、構成要素106の端部で平頭ねじ回しブレードタイプの刻み目と同様に形作られた刻み目112、および構成要素106がシードを覆わない組立体の中央で中央帯状領域114の形をとる、同様のキャビティまたは開口特徴部を含む。ただし、
図8および
図9における組立体102は、孔8のような側壁孔を含まない。
図1において、孔8は、構成要素6の壁の外表面から内表面まで半径方向内向きに延び、孔8の領域にあるシード4の部分を露出した状態にする。
図1および
図8において、カップ10、110は、構成要素6、106の端部から軸方向内向きに延びる。刻み目12、112は、半径方向内向き、かつ軸方向内向きに延びる。中央帯状領域14、114は、2つの構成要素間の開放空間であるように形成されるが、2つの構成要素の壁の外表面から半径方向内向きに延びると考えることもできる。
【0031】
[0039]生体組織に組立体2を埋め込むとき、体組織は、構成要素6、28、106におけるキャビティまたは開口特徴部(例えば、孔8、カップ10、110、刻み目12、112、中央帯状開放領域14、114)内に、少なくとも部分的に押し込まれる、または膨れ出ることになる。ここで、キャビティまたは開口特徴部は、組立体(例えば、組立体2または102)およびシード(例えば、シード4または104)を適正な場所および向きで固定するように体組織と相互作用し、移動または遊走(少なくとも回転運動、横方向運動、および長手方向運動を含む)を防止または抑制する。
【0032】
[0040]構成要素6、28、106におけるキャビティまたは開口特徴部(例えば、
図1および
図8における孔8、カップ10、110、刻み目12、112、中央帯状開放領域14、114)は、概して突起より好ましい。なぜならば、キャビティまたは開口特徴部は構成要素6、28、または106の直径を増大させず、組立体2または102がアプリケータ針のシャフトを下って滑らかに移動することを可能にするからである。一方、突起は、針の直径の増大を必要とし、患者に対する追加の外傷をもたらす可能性があり、また針に沿ってシードを滑らかに進めるのに邪魔になる可能性がある。
【0033】
[0041]
図1および
図8に示されているキャビティまたは開口特徴部の形状、サイズ、および数の変形例が用いられてもよい。例えば、孔8およびカップ10、110は、異なる形状、例えば六角形、五角形、矩形、正方形、または三角形を画定してもよい。しかし、
図1で使用されている円形が好ましい。なぜなら、そこに角がないことにより、体組織がより均等に孔8に押し込まれ、円に沿ってどの方向にも等しく十分に移動に抵抗することが可能になるからである。また、
図1は、各構成要素6、28のそれぞれに2つの側部孔8を示すが、構成要素6、28は、単一の側部孔だけ、または示されている2つの側部孔の他に、同じもしくは異なる形状の追加の側部孔を含んでもよい。さらに、
図1は、構成要素の壁を貫通し、構成要素壁の外表面から内表面に至るまで開放された(例えば、その結果、シードが開口を通して見えてもよい)孔8を示すが、任意選択で、孔またはキャビティの1つまたは複数が、
図4にキャビティ20で示されているように、構成要素壁の外表面から内表面に向かって部分的に延びるだけであってもよい(例えば、その結果、シードは、構成要素壁の薄い部分によって依然として覆われている)。
【0034】
[0042]あるいは、端部キャップの壁の孔の代わりに、壁をU字形または同様のパターンで切ることによって「フラップ」を作製してもよい。これらのフラップは、いくらかの残留応力を有し、例えば液体または熱にさらされると外向きにしなる性質があり、従って展開された後でアンカとして機能することができる。そのような残留応力は、射出成形プロセスによって与えられてもよい。フラップは、送達針またはカニューレ内では畳まれた位置で保持されうるが、送達針またはカニューレから身体の治療エリアに放出されると、例えば残留応力によって外向きにしなる、または押し出される。同じ構成要素において、孔8と「フラップ」との組合せが用いられてもよい。フラップは、様々な方向に、例えばシードの長手方向軸に対して平行に、直交して、または斜めに向けられうる。フラップ22を含む一実施形態が、
図5に示されている。さらに、端部キャップは、任意選択で、体組織内での定着を高めるために、窪んだ領域の代わりにさかとげ、または尖端を端部に有してもよい。
【0035】
[0043]中央帯状開放領域14、114もまた、様々な形状でありうる。例えば、構成要素6、28、および/または106の内縁は、組み立てられたときに中央帯状開放領域が不均一の形状、ジグザグ形状、または波状を形成するように、刻み目が入った、ジグザグ形状の、または波(例えば、正弦波)形状でありうる。この刻み目が入った、ジグザグ形状の、または波形状の中央帯状領域は、組立体2または102の長手方向運動だけではなく回転運動をも防止する助けになるため、特に有益である。
【0036】
[0044]さらに、刻み目12を形成する対向した壁は、
図1に示されているように平行である必要はなく、互いに対して角度をなしていてもよく、かつ/または(例えば、
図8および
図9に刻み目112で示されているように)湾曲していてもよい。また、例えば刻み目12および/または112が平頭ねじ回しブレードのような形状の刻み目ではなく、十字またはフィリップスねじ回しブレードのような形状の刻み目を形成するように、刻み目12、112は端部キャップの外縁部に沿って追加のスロットを含んでもよい。
【0037】
[0045]
図1および
図8に示されているように、端部構成要素6、106がシード4の端部を覆い、シードが構成要素6、106のカップ端部から滑り出るのを防止するように、カップ10、110の直径はシード4、104の直径よりも幾分小さい。
図1に示されているカップ10は、近接照射療法シードよりも小さい直径を有し、別の近接照射療法シードに接続する(または受容する)ことはできないので、構成要素6、106は、端部キャップとみなされる。端部キャップ構成要素6、106は、
図1に示されているように近接照射療法シードの両端に配置されてもよく、端部キャップ構成要素6または106が1つだけ、シードの一端だけに使用されてもよい。近接照射療法シードの単一の端部だけに使用される端部キャップ構成要素は、金銭(例えば、材料コスト)を節約し、ある種の「制動傘(ドラグシュート)」として機能するように設計することもできる。
【0038】
[0046]端部キャップ構成要素(例えば、端部キャップ構成要素6、106と同様のもの)に加えて、各端部で異なるシードに接続することが可能な中間コネクタ構成要素(例えば、中間コネクタ構成要素28と同様のもの)もまた企図されている。中間コネクタ構成要素は、両端に近接照射療法シードを受容するために十分大きな開口を有し、2つのシードをリンクさせるために使用されうる。実際、
図1の中間コネクタ構成要素28は、シード4の一端を含み、また別の異なる近接照射療法シードの端部を受容できるサイズの開口34を含む。
図1において、シード4は、一端にレセプタクルまたは孔32を、他端に軸方向の円筒形の突起30を有するものとして示されている。これは、一方のシードの突起30を別の異なるシードの孔32に挿入することによって、同様のシードが互いに直接的に接続されることを可能にする。従って、2つのシードは、突起30を孔32に接続することによって、またさらなる安定性のために接続部でこれらのシードを中間コネクタ構成要素にリンクさせることによって、リンクされうる。しかしながら、シードが孔および突起、またはシードを互いに直接的に接続するための別の手段を含まないとしても(例えば、
図8および
図9のシード104と同様)、中間コネクタ構成要素だけでもこれらのシードをリンクさせることができる。一連のシードを接合する中間コネクタ構成要素と、ストランドの、またはリンクされたシードの端部をキャップする端部キャップ構成要素とを用いて、ストランドの、またはリンクされたシードの列を形成し、またカスタマイズすることができる。
【0039】
[0047]中間コネクタは、
図1および
図8に示されている端部キャップ構成要素6、106と同様のキャビティまたは開口特徴部を含んでもよい。例えば、中間コネクタ構成要素は、孔8または刻み目12、112と同様の特徴部を含んでもよく、他の構成要素と組み合わされて中央帯状開放領域14、114と同様の帯状領域を形成する端部を有してもよい。実際、
図1の中間コネクタ構成要素28は、孔8、刻み目12、および端部構成要素6と組み合わされて中央帯状領域14を形成する端部を含む。これらの特徴部においても、上記で端部キャップ構成要素のキャビティおよび開口特徴部に関連して説明された変形例と同様の変形例が可能である。
【0040】
[0048]
図1および
図8に示された、また上記で説明したキャビティまたは開口特徴部の様々な組合せは、様々な実施形態において使用されうることが企図されている。例えば、実施形態は、上記で説明したキャビティまたは開口特徴部のうちの1つだけを含んでもよく、同じまたは異なるタイプの複数のキャビティまたは開口特徴部を含んでもよい。上記で説明した特徴部の任意の組合せ、および/または任意の数の特徴部が、様々な実施形態で使用されうることが企図されている。また、リンクされたシードの単一の列内の各構成要素は同じまたは同様の特徴部を含んでもよく、各構成要素がキャビティもしくは開口特徴部の異なるセットを有してもよく、または列内のいくつかの構成要素が同じ特徴部を有し、他は異なっていてもよい。
【0041】
[0049]本明細書に記載の様々な構成要素は、生体吸収性材料、好ましくは70/30L,D−Lラクチドで作製することができる。使用することができる他の好適な生体吸収性材料は、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、およびポリカプロラクトンを含む。例えば生体適合性テフロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリプロピレンのような生体適合性の非生体吸収性材料が使用されてもよい。これらの構成要素は、射出成形、または当技術分野で使用される他のプロセスによって製造されうる。任意選択で、構成要素(例えば、射出成形構成要素)を作製するために使用されるモールドは、成形された構成要素に斑の表面を生成して体組織内での摩擦を高めるように、粗い表面を有してもよい。構成要素のキャビティまたは開口特徴部は、モールドを使用して形成されてもよく(例えば、構成要素を形成するためのモールドは、モールドの一部として特徴部の逆の形を含んでもよい)、形成された構成要素の側面に例えばレーザカッタを使用して刻まれてもよい。
【0042】
[0050]
図1および
図8は、生体吸収性構成要素6、106のカップ状の受容部分(例えば、カップ10、110の反対側にあるより大きな直径の端部)内に押し込まれたシードを示す。ただし、これらの構成要素は、シードが側部から構成要素内に取り込まれるように「部分的に形成される」、つまり側部に開口を有するように製造されてもよい。一実施形態では、2つの端部キャップ構成要素を、1つのシードを構成要素内に取り込むことができる側部開口を有する単一の構成要素として一体的に成形することができる。
【0043】
[0051]本明細書における様々な実施形態のシードおよび構成要素の組立体は、MickアプリケータおよびMickマガジンを含めて、様々なアプリケータで展開されるように適合させることができる。また、本発明のシードおよび構成要素は、望むなら、例えばSourceLink(登録商標)またはQuickLink(登録商標)ローダに類似したローダを使用することによってエンドカスタマーが組み立てるように適合させることができる。これは、顧客が術中技法を使用しており、リンクされたシードと単一のシードを共に使用する(例えば、リンクされたシードは、被膜外位置で使用される可能性があり、「キャップされた」単一のシードは、尿道近くで使用される可能性がある)場合、有用となりうる。
【0044】
[0052]一実施形態では、ワイヤまたはバンドの構造物が、組立体の上に配置されるか、または組立体の部分もしくはキャップのオーバーモールドプロセスの一部になってもよい。これらの構造物は、配置中にはフラットに畳まれて、それゆえMickカートリッジもしくはMickアプリケータ針、または他のカートリッジもしくは針の中にフィットするが、組織内への配置後には身体の熱または機械的作用に反応して突出する部分またはアームを有しうる。そのような構造物は、ニチノール、または別の好適な生体適合性材料で作製されうる。同様に、体温にさらされたときに(例えばサーモスタットのように)「丸くなる」バイメタル板が、組立体または構造物の一部として組み込まれてもよい。これらの構造物によってもたらされる突起は、体組織内で定着し、シードおよび構成要素の組立体を適正な場所および向きで固定する。
【0045】
[0053]一実施形態において、近接照射療法シード固定デバイスまたは組立体は、埋め込み後、身体内の組織に粘着するように、水/液体または熱によって活性化される接着剤で被覆される、かつ/またはその収納場所を含むシードおよび構成要素の組立体の形をとる。身体内の水分と反応すると、組立体またはストランドを覆って被覆された(および/または収納場所に配置された)水/液体活性化接着剤は、身体の組織に粘着し始め、組立体を定位置に固定する。同様に、熱活性化接着剤で被覆された組立体またはストランドを埋め込むと、組織の自然体熱が粘着を誘引し、それがシードおよび構成要素の組立体を定位置に固定する。
【0046】
[0054]水または熱によって活性化される接着剤は、任意の近接照射療法シード、シードおよび構成要素の組立体、またはストランドを構成するシードと共に使用されてもよいことが企図されている。ただし、水/液体または熱によって活性化される接着剤の使用は、上記で説明し、
図1および
図8に示されているものと同様のキャビティまたは開口特徴部(例えば、孔8、カップ10、110、刻み目12、112、中央帯状開放領域14、114)を含むシードおよび構成要素の組立体と組み合わせて使用されるときに特に効果的である。組立体のキャビティまたは開口特徴部が、水/液体または熱によって活性化される接着剤で充填されてもよい。例えば、
図6は、材料24で充填された孔8を示す。材料24は、ここで説明された水/液体または熱によって活性化される接着剤を含め、構成要素のキャビティまたは開口特徴部内に配置されるものとしてここで説明された有益な材料のいずれかを表す。キャビティまたは開口特徴部を接着剤のための収納場所として使用することは、シードおよび構成要素の組立体の直径を著しく増大させることなく、より多くの接着剤を使用することを可能にするので、特に効果的である。任意選択で、キャビティまたは開口特徴部を接着剤で充填することに加えて、組立体全体が接着剤で被覆されてもよい。あるいは、キャビティまたは開口特徴部だけが接着剤で充填され、構成要素の外表面は被覆されなくてもよい。接着剤をキャビティまたは開口特徴部内だけで使用することは、組立体の直径を最小限に保ち、接着剤がアプリケータの針と相互作用することに伴う問題を回避する助けとなるので有益である。例えば、キャビティまたは開口特徴部の収納場所内だけに配置された接着剤は、組立体またはストランドの外表面上に被覆された接着剤よりも、そこから拭き取られる、または掻き取られる可能性が少ない。さらに、接着剤がキャビティまたは開口特徴部の収納場所内だけに配置される場合、アプリケータの針内で早くも活性化されて固着を引き起こしたり、他の形で組立体またはストランドがアプリケータの針に沿って円滑に通過することを妨げたりする可能性が少ない。
【0047】
[0055]同様に、キャビティまたは開口特徴部は、任意選択で、他の有益な材料(
図6における材料24によって代表される)、例えば組立体の固定、従来の撮像モダリティ(例えば超音波、X線、MRI、CT)を使用したときの組立体の可視性、患者への投薬、または他の形での患者の治療の助けになる材料で充填されるか、または覆われてもよい。例えば、露出された中央帯状開放領域14は、構成要素6、106の間の空間に配置されたチューブ形状の材料(または材料のバンド/リング)の部分で覆われてもよい。また、孔8、カップ10、110、および刻み目12、112は、これらの特徴部によって形成された凹部にフィットするように成形された(例えば、キャビティまたは開口特徴部内にフィットするが、組立体の直径を増大しないように成形された)材料で充填されてもよい。
【0048】
[0056]様々な実施形態のキャビティまたは開口特徴部内に含まれうる有益な材料(
図6における材料24によって代表的される)は、液体にさらされたとき膨張する材料(液体のバイアルを輸送するとき使用される扁平な乾燥スポンジのような)を含む。好ましくは、この材料は、液体にさらされたとき、その未膨張状態(またはその最初に埋め込まれたときの状態)より少なくとも10%大きい、より好ましくは少なくとも25%大きいサイズに膨張する。膨張したとき、この材料は、キャビティまたは開口特徴部から張り出し、アンカとして機能する(例えば、中央帯状開放領域14上の材料のバンドは、埋め込み後に組立体の残りの部分よりも大きい直径に膨張し、組立体の移動を抑制してもよい)。膨張後の材料は、超音波でより見やすいものにもなりうる。実際、超音波またはX線写真での可視性を増大する材料が選択されてもよい。
図7は、液体にさらされた後で、孔8の半径方向外側に張り出すようにより大きなサイズに膨張した、膨張可能な材料26を示す。あるいは、構成要素6、106自体が、液体にさらされたときに、好ましくはその未膨張または挿入時サイズの少なくとも10%だけ膨張または伸張する材料で作製されてもよい(例えば、構成要素の壁が、膨張または伸張する材料で少なくとも部分的に作製されてもよい)。
【0049】
[0057]あるいは、凍結乾燥材料、ヒドロゲル、マトリクスまたは生体吸収性フェルトが、キャビティまたは開口特徴部内に含まれてもよい(やはり、
図6における材料24によって代表される)。凍結乾燥材料、ヒドロゲル、マトリクスまたは生体吸収性フェルトは、乾燥ガドリニウム、常磁性体、または体液内で溶解されたときにシードをMRIで可視にする他の塩もしくは材料を含みうる。この材料は、溶解し、組立体周りにMRIで可視である溶液の膜を形成してもよい。米国特許第8,163,326号(本明細書に組み込まれる)に記載の材料または構成要素がキャビティまたは開口特徴部内で使用され、埋め込み後に組立体の可視性を増大することを助けてもよい。
【0050】
[0058]キャビティまたは開口特徴部内に含まれる材料(例えば材料24)は、任意選択で、フッ素含有材料(例えば、テフロン)、または超短エコー時間19Fイメージングを使用するMRIで可視である他のフッ素含有ポリマーで作製されてもよい。
【0051】
[0059]キャビティまたは開口特徴部内に含まれる材料(例えば材料24)は、上記で説明した材料と同様のものでありうるが、放射線量を増すことになる金またはガドリニウムナノ粒子を含んでもよく、または化学療法剤、抗炎症剤、もしくは鎮痛剤を含む生体活性剤を含んでもよい。これらの薬剤は、製造プロセス中に材料に含められてもよいし、埋め込む直前にエンドカスタマーによって材料に加えられてもよい。
【0052】
[0060]シードおよび構成要素の組立体のキャビティまたは開口特徴部はすべて同じ材料または接着剤(例えば材料24)で充填されてもよく、または材料の様々な組合せがそれぞれ異なるキャビティまたは開口特徴部内で使用されてもよい。例えば、キャビティまたは開口特徴部のいくつか(例えば、孔8)が接着剤を含み、他のキャビティまたは開口特徴部(例えば、中央帯状開放領域14)が液体にさらされたとき膨張する材料を含んでもよい。上記の材料の任意の組合せが使用されうる。さらに、キャビティまたは開口特徴部のいくつかが接着剤または他の材料を含み、他の特徴部が空のままで固定のための特徴部としてのみ機能してもよい。
【0053】
[0061]本発明の別の態様は、改良された挿入もしくはアプリケータ送達デバイス、アクセサリ、および/またはシステムである。
図2は、近接照射療法シード送達デバイス、アクセサリ、またはシステム50の一実施形態を示す。
図3は、送達デバイス/システム50のフロント部分の拡大図を示す。送達デバイス/システム50は、カニューレ、チューブ、または送達針52、およびスタイレット54を含む。針52は、概して管状であり、内部管腔を有する。体組織内に針を挿入している間に、この管腔を通ってスタイレット54が延び、治療用近接照射療法シード、シードおよび構成要素の組立体、ならびに/またはシードストランドが最終的に患者の体組織内に埋め込まれる。内側管腔は、チューブまたは針52の近位端から遠位端まで延びる。針の外径は患者に対する外傷を最小化するために可能な限り小さいことが望ましく、針または針管腔の内径は針52を通って埋め込まれる近接照射療法シード、シードおよび構成要素の組立体、またはシードストランドを収容するのに十分なほど大きいことが望ましい。
図2および
図3は、構成要素を区別することにおいて可視性を増すために針52とスタイレット54の間の開放された空間を示すが、針52およびスタイレット54はこれよりもずっとぴったりと互いにフィットするように、例えばそれらの間に開放された空間を残さない、またはほとんど残さないように設計されうる。一実施形態において、針52は、0.040”(1.02mm)または0.041”(1.04mm)の内径、および0.048”(1.22mm)の外径を有する18G針であるが、針52は任意の他の好都合なサイズ、例えば17G針であってもよい。
【0054】
[0062]針52は、ステンレス綱、ニチノール、プラスチック/ポリマー、または他の材料で作製され、様々な程度の堅さ、靱性、潤滑性などを有する。針52または針先端58の外部は、何らかのタイプのさらなる潤滑性(例えば、シリコン)、もしくは被覆(テフロン、パリレン、クロム、ポリウレタンなど)を有してもよく、かつ/または、針先端58は体組織が引き伸ばされて針先端58上を通過するときに体組織がスタイレット54から針52へと徐々に動くのを助けるようにテーパーをつけられてもよい。針52は、任意選択で、カニューレとして働くプラスチック(例えば、ポリアミドチューブ)製の外側シースまたはチューブであってもよい。このタイプのプラスチック外側シースまたはチューブのサイズは、他の材料の針より小さくてもよく、例えば、このタイプのプラスチック製外側シースまたはチューブの内径は約0.034”(0.864mm)、外径は約0.039”(0.991mm)であってもよい。このタイプのプラスチック製外側シースまたはチューブ針は、透明にすることができ、チューブ内に装填される、またはチューブを通って延びる/通過するスタイレットおよび/またはシードを臨床医が視認することを可能にするために、有益でありうる。
【0055】
[0063]スタイレット54は、送達針52の内側管腔を通って、または通過して延び、体組織を切開して針52の挿入を容易にするように、サイズ設定および構成される。ハンドルまたは把持部68がスタイレットの近位端に形成され、または取り付けられる。ハンドルまたは把持部68は、使用中にスタイレット54を操作し、それを回収するために使用されてもよい。スタイレットの本体部分または領域60は、針52の内側管腔直径とほぼ同じ、または針52の内側管腔直径よりわずかに小さいだけの外径を有し、それによりスタイレットは送達針52の管腔を通って摺動することができるが、引き伸ばされた体組織が針52の遠位端上を通る助けにもなりうる。スタイレットは、より大きな外径の本体部分/領域60からより狭い/小さい外径の遠位部分/領域64へと、滑らかにおよび/または徐々に移行するテーパー部分または領域62で「ネックダウン」を形成する。遠位部分/領域64は、実質的に一様な直径を有してもよい。遠位部分/領域64の遠位端、または遠位部分/領域64のすぐ遠位側において、スタイレット54は切開トロカール66を含む。好ましい実施形態において、遠位領域64は、本体部分/領域60の外径の約半分のサイズの外径を有する。一実施形態において、スタイレット54は直径0.040”(1.02mm)の本体60を有し、これはテーパー領域62で直径0.020”(0.508mm)の遠位部分/領域64へと「ネックダウン」を形成する。切開トロカール66は、遠位部分/領域64の直径に対応する切開サイズを有する。しかし、他のサイズが用いられてもよい。
【0056】
[0064]
図3に示されている切開トロカール66は、フィリップスヘッドねじ回しの先端と同様の形状で、しかし3つの切削端を有して、スタイレット54の遠位端に研削されている(すなわち、長手方向軸に沿って見ると、トロカール66は、Mercedesの星形シンボルに似ている)。しかしながら、切開トロカール66は、様々な構成および形状でスタイレット54の先端領域64に研削されうる。例えば、トロカールは、追加の切削端を含んでもよい。あるいは、切開トロカールは、別途製造され、スタイレットの遠位端に取り付けられてもよい。
【0057】
[0065]スタイレットの切開端は、鉛筆の先端のように成形されたり、針直径からより小さいトロカール直径にネックダウンを形成したり、鏃またはランセットなどのような形状を有したり、または皮下針もしくは他の針で一般的に見られる任意の他の切開端を有したりしうる。スタイレット切開端、切開トロカール66、および/またはスタイレット54は、表面改質を通じてエコー源性にされてもよく、または材料(例えば金、ガドリニウム、または他の放射線不透過性材料)の添加を通じてNMR、CT、または蛍光透視検査による可視性が高められてもよい。
【0058】
[0066]使用時において、送達デバイス/システム50は患者の身体内の所望の場所内に挿入される。切開トロカール66を使用して、患者の身体の組織内に孔が切開される。スタイレット54上の切開トロカール66は、本体領域60および送達針52に対して低減されたサイズまたは直径であり、それによって挿入中に切開される組織の量が低減される。狭い直径のトロカール66は、切開トロカール66のサイズ(これは、好ましい実施形態では、遠位部分/領域64の外径のおおよそのサイズでもある)とほぼ同じサイズを有する小さい孔または狭い跡を切開する。それから、組織内に切開された小さい孔または狭い跡は、「ネックダウン」を形成するテーパー領域/部分62で、本体領域/部分60の少なくとも一部分、および針52の少なくとも遠位端上に引き伸ばされ、それによって体組織は本体60および針52の少なくとも一部分を覆って配置される。体組織は、スタイレット54および針52(スタイレット54の本体60を覆って配置される)が体組織内に挿入されるとき、テーパー領域62によって徐々に引き伸ばされうる。好ましい実施形態では、本体60の外径が遠位領域/部分64の外径の約2倍の大きさであり、孔は、遠位領域部分64の外径とほぼ同じサイズから本体60の外径とほぼ同じサイズに、次いで針52の外径とほぼ同じサイズへと引き伸ばされる。
【0059】
[0067]体組織が送達針52の周りに引き伸ばされると、スタイレット54は、針52を体組織内の定位置に残して、送達針52の管腔から近位側へと回収されてもよい。このようにして、スタイレット54は、体組織内に切開される跡または孔が送達針52より小さい直径であっても、送達針52を容易に挿入することを可能にする。それゆえ、送達デバイスまたはシステム50は、単なる切開器具というよりも、「導入器(イントロデューサ)」として機能する。
【0060】
[0068]針52が体組織内の定位置にあり、スタイレット54が回収されると、針52はさらなる治療または診断に使用されうる。例えば、針52は、材料(例えば、薬剤、近接照射療法シード、診断機器)を身体の組織内に導入するための導管として機能してもよい。さらなる治療または診断を容易にするために、針52は、その近位端に形成された、または取り付けられたハブ56を含んでもよい。針ハブ56は、別のデバイス、例えばMickアプリケータ、内視鏡、膀胱鏡、他のタイプのスコープ、シリンジ、送達デバイスなどと組み合わされるように設計および構成されてもよい。ハブ56は、ルアー状、漏斗状、または別のデバイスと組み合わされるために必要な任意の形状または構成を有してもよい。換言すれば、ハブ56は、診断または治療の目的で針52を通過する、または使用することが要求されるであろう任意のデバイスと組み合わされるように設計することができる。例えば、近接照射療法シード、シードおよび構成要素の組立体、ならびに/またはシードストランドが、針52を通じて体組織内の所望の場所に挿入されてもよい。シードは、任意選択で、生体吸収性スペーサによって分割されてもよい。ハブ56および針52は、一般に、内腔を下ってシードを手動で配置する(例えば、シード、組立体、またはストランドを、ハブ56を通じて管腔内に挿入し、プッシュロッドを用いて内腔を下って所望の送達部位まで押し込むことによる)ことも、管腔を下ってシードをカートリッジまたは機械ベースで送達する(例えば、Mickタイプのアプリケータを使用する)ことも可能であるように設計されうる。あるいは、または追加で、内視鏡、膀胱鏡、または他のタイプのスコープが、さらなる診断または治療のために使用されてもよい。また、針52は、針52を通じて薬剤を送達するためにシリンジまたは他の送達デバイスに接続されてもよい。
【0061】
[0069]送達デバイス/システム50は、患者の体組織内に切開される針跡のサイズを最小化することによって、患者に対する外傷の程度を有益に低減する。生成される「切開」孔がより小さいことは、腺腫脹を低減し、体組織外傷および神経損傷を低減することを助け、おそらくは改善された線量計測法、より再現可能な埋め込み、より少ない罹病率などをもたらしうる。このような腫脹の低減は、すべてのシードタイプにとって有益となるはずであるが、パラジウム103またはセシウム131のような短寿命のアイソトープに最も影響を及ぼす。なぜなら、腫脹の程度および腫脹の分解時間の変動は、シードがその治療線量の大部分を送達しているときに発生するからである。送達デバイス/システム50は、損傷された体組織エリアを約4分の1に低減することができる。例えば、0.040”(1.02mm)の本体直径を有するスタイレット54は、0.020”(0.508mm)の直径を有するスタイレット先端領域64および/または切開トロカール66領域へとテーパー加工されてもよく、これは未改良のスタイレットを用いた場合の直径0.040”(1.02mm)の代わりに直径0.020”(0.508mm)の孔または針跡を切開する。
【0062】
[0070]さらに、患者に生成される切開痕がより小径であることは、シードの遊走をより少なくする結果をもたらす可能性がある。なぜならば、切開痕の直径がシード直径より小さくなるため、体組織が埋め込まれたシードをより緊密に保持できるからである。針跡がより小さく、そして近接照射療法シード上に引き伸ばされるので、針を収納したとき、体組織が近接照射療法シードの周りで収縮することによってシードをより緊密に締め付け、または保持する。これが、近接照射療法シードを定位置に固定し、針跡に沿った移動を防止する助けになる。
【0063】
[0071]任意選択で、スタイレット54は中実であってもよく、または、スタイレット54を通じた材料の投与が可能になるように、もしくはスタイレット54を回収することによって生み出される圧力を均一化するように、その長さに沿う孔またはチャネルを含んでもよい。例えば、スタイレット54は、スタイレットの長さに沿って延びるチャネルまたは管腔、例えばスタイレット54の中央を通ってスタイレット54の遠位先端領域58の1または複数の開口まで延びるチャネルまたは管腔を含んでもよい。このチャネルまたは管腔は、薬剤(例えば、リドカイン、抗炎症剤など)を投与するために用いられてもよい。遠位先端領域58の1または複数の開口は、スタイレットの側部に沿った開口であってもよい。このような開口は、体組織内の針跡に沿って薬剤を投与することができる。さらに、スタイレット54のチャネルまたは管腔は、スタイレット54が針52から回収されたときの圧力を均一化するために用いられてもよい。スタイレットが体組織内に埋め込まれた針から回収されるとき、真空が生み出され、圧力不均衡を引き起こすことがある。スタイレットを通過し、近位端で大気に開放されたチャネルは、圧力を均一化することで真空が形成されるのを防止することができる。
【0064】
[0072]一実施形態において、挿入またはアプリケータデバイスは、剛性の針またはチューブの代わりに、小径の可撓性シースを使用する(例えば、2次元形状に畳むことができたり、ラバーバンドのように引き伸ばしたりすることができる)。上記のスタイレット54と同様のスタイレット、またはその長さを通じて均一な小径のスタイレットおよび切開トロカールが、可撓性のシースと共に用いられうる。最初に、可撓性のシースが小径のスタイレットの周りに配置されるか、または小径のスタイレットが可撓性のシースに通される。次に、スタイレットを使用して体組織を切開し、可撓性のシースを体組織内の所望の場所に挿入する。スタイレットが除去されると、シードがシースを下って通され、(大きなネズミを飲み込むヘビのように)それを必要な外径まで引き伸ばす。さらに、小径のスタイレットおよびトロカールによって体組織内に切開された孔は、シード、シードおよび構成要素の組立体、またはストランドを構成するシードを覆って、それらが可撓性のシースを下って体組織内へと通されるときに引き伸ばされうる。この実施形態は、体組織内に切開される孔を最小限に保つことを助ける。
【0065】
[0073]本発明が特定の変形例および例示的な図面に関して説明されてきたが、当業者は、本発明が説明された変形例または図面に限定されないことを理解するであろう。加えて、上記で説明された方法およびステップが、ある順序で発生するいくつかの事象を示す場合、当業者は、いくつかのステップの順序付けが修正されうること、およびそのような修正例が本発明の変形例によるものであることを理解するであろう。さらに、ステップのうちのあるものは、上記で説明されたように順次実行されるだけではなく、可能なときには並列プロセスで同時に実行されてもよい。それゆえ、開示の精神の中にある、または請求の範囲に見出される発明と均等である本発明の変形例が存在する範囲において、本特許はこれらの変形例をも包含することが意図されている。