特許第6334711号(P6334711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334711
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】電気機械用のロータ組立体
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20180521BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H02K1/28 D
   H02K1/32 B
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-540859(P2016-540859)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公表番号】特表2016-530869(P2016-530869A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2013058424
(87)【国際公開番号】WO2015034514
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】506388923
【氏名又は名称】ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジア,シャオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィシュ,ポール・ジェームズ,ジュニア
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−166139(JP,A)
【文献】 特開2007−189849(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0263019(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0133946(US,A1)
【文献】 米国特許第08018114(US,B2)
【文献】 実開昭57−021240(JP,U)
【文献】 特開昭56−066146(JP,A)
【文献】 特開2009−017776(JP,A)
【文献】 実開昭59−103544(JP,U)
【文献】 特開2004−088876(JP,A)
【文献】 特開2009−136063(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03046230(EP,A1)
【文献】 特開昭55−094549(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0295411(US,A1)
【文献】 特開平06−351203(JP,A)
【文献】 実開昭58−077009(JP,U)
【文献】 実開昭55−173255(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0025160(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0253476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
H02K 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポスト(44、144、244、344)を有し、その周りに電気機械のための磁極(48)を画定するために巻線(46)を巻き付けることができ、前記少なくとも1つのポスト(44、144、244、344)が少なくとも部分的に巻線座部(74)を画定するコア(42、142、242、342)と、
前記ポスト(44、144、244、344)に連結され、軸方向に延在する巻線スロット(56)を前記コア(42、142、242、342)と共同で画定するために巻線(46)に一部が重なるキャップ(52、152、252、352)と、
前記キャップ(52、152、252、352)に隣接してそれと交互に配置されて前記コアに半径方向で連結される追加の半径方向要素(54)であって、前記巻線スロット(56)を前記コア(42、142、242、342)と前記キャップ(52、152、252、352)と共同で画定する前記追加の半径方向要素(54)と、
前記巻線(46)と前記追加の半径方向要素(54)の間に配置され、前記巻線(46)を前記巻線座部(74)の中に付勢するように構成された少なくとも1つの楔(72)と、
を含み、
前記追加の半径方向要素(54)の少なくとも一部が前記少なくとも1つの楔(72)の半径方向外側に位置づけられ、
前記キャップ(52、152、252、352)の少なくとも一部が前記追加の半径方向要素(54)の半径方向外側に位置づけられ、
前記キャップ(52、152、252、352)は、複数の積層体を含み、前記コア(42、142、242、342)は、複数の積層体を含まない、電気機械用のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項2】
前記コア(42、142、242、342)は、固体本体、単一体本体、または付加製造から形成された本体、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項3】
前記キャップ(52、152、252、352)は、前記コア(42、142、242、342)よりも導電性が低い材料から形成される、請求項1または2に記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項4】
前記コア(42、142、242、342)は、前記追加の半径方向要素(54)が連結する、半径方向外側に延びる第2のポストを備える、請求項1乃至3のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項5】
前記コア(42、142、242、342)は、前記キャップ(52、152、252、352)よりも熱伝導性が高い材料から形成され、
前記キャップ(52、152、252、352)は、コバルトから形成され、前記コア(42、142、242、342)は、鋼鉄から形成される、請求項1乃至4のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項6】
前記追加の半径方向要素(54)と前記キャップ(52、152、252、352)は、前記コア(42、142、242、342)に取り外し可能に連結される、請求項1乃至5のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項7】
前記キャップ(52、152、252、352)および前記コア(42、142、242、342)の一方は、突起(58、158)を含み、前記キャップ(52、152、252、352)および前記コア(42、142、242、342)の他方は、凹所(60、160)を含み、前記突起(58、158)は、前記キャップ(52、152、252、352)を前記コア(42、142、242、342)に取り外し可能に連結するために前記凹所(60、160)の中に受容される、請求項6記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項8】
前記突起(58、158)および前記凹所(60、160)は、相補的な断面を有する、請求項7記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項9】
前記追加の半径方向要素(54)および前記コア(42、142、242、342)の一方は、第2の突起(68)を含み、前記追加の半径方向要素(54)および前記コア(42、142、242、342)の他方は、第2の凹所(70)を含み、前記第2の突起(68)は、前記追加の半径方向要素(54)を前記コア(42、142、242、342)に取り外し可能に連結するために前記第2の凹所(70)の中に受容される、請求項6乃至8のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項10】
前記コア(42、142、242、342)は、前記巻線スロット(56)の少なくとも一部に隣接する少なくとも1つの内部冷却材通路(62)を含む、請求項1乃至9のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項11】
前記巻線座部(74)は、前記キャップ(52、152、252、352)が連結する前記ポスト(44、144、244、344)に対して回転方向にずれている、請求項1乃至10のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項12】
前記コア(42、142、242、342)は、前記巻線座部(74)に設けられる熱伝導体をさらに含む、請求項1乃至11のいずれかに記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項13】
前記熱伝導体は、前記巻線座部(74)に付加したコーティングである、請求項12記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの楔(72)は、付勢要素を含む、請求項1乃至13のいずれか記載のロータ組立体(40、140、240、340)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械用のロータ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータおよび/または電気発電機などの電気機械は、エネルギ変換で使用される。航空機産業では、モータおよび発電機のモードの組合せを見かけるのが一般的であり、モータモードの電気機械がエンジンの始動のために使用され、モードに応じて発電機としても機能する。モードにかかわらず、この機械は典型的には、ある種の航空機のためにガスタービンエンジンにすることのできる機械式機械や電気機械などの回転源によって回転駆動される主巻線を有するロータを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/146246A2号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電気機械用のロータ組立体であって、少なくとも1つのポストを有し、その周りに電気機械のための磁極を画定するために巻線を巻き付けることができ、少なくとも1つのポストが少なくとも部分的に巻線座部を画定するコアと、ポストに連結され、軸方向に延在する巻線スロットをコアと共同で画定するために巻線に一部が重なるキャップと、を含み、キャップは、複数の積層体を含み、コアは、複数の積層体を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】発電機組立体の断面図である。
図2】ロータ組立体を示す図1のII−II線に沿う部分断面斜視図である。
図3図2のIII−III線に沿う、ロータ組立体の一部を示す部分断面図である。
図4】ロータ組立体のコアの部分断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るロータ組立体の部分断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係るロータ組立体の部分断面図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係るロータ組立体の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施形態は、同期電気機械または主機を用いる任意の環境で実施することができるが、その具体的な例としては発電機である。発電機は、これまではジェットエンジンの環境で実施することが考えられている。本発明の実施形態は、代替的に始動機/発電機を含むことができ、タービンエンジンの始動性を提供でき、始動機/発電機が、始動方法を介してタービンエンジンを駆動するために機械力を提供する。考えられた発電機の環境の概要は、より完全な理解の助けになるであろう。
【0007】
図1は、ガスタービン航空機エンジン上または内部に実装される電気機械組立体10を示す。ガスタービンエンジンは、現代の商業および軍事の航空機産業で一般的に使用されるGeneral ElectricのGEnxまたはCF6シリーズのエンジンなどのターボファンエンジンにすることができ、あるいは、ターボプロップまたはターボシャフトなどの他の公知の様々なガスタービンエンジンにすることができる。
【0008】
電気機械組立体10は、励磁機ロータ14および励磁機ステータ16を有する第1の機械12と、主機ロータ20および主機ステータ22を有する同期の第2の機械18と、を備える。電気機械組立体10の外側には、電気出力を電気機械組立体10にまたはそこから移動させるために、少なくとも1つの出力接続部が設けられる。電気動力ケーブル30として示されるこの出力接続部によって、出力は直接または間接に電気負荷まで伝送され、電気機械組立体10から接地基準出力を備えた3相を提供することができる。
【0009】
さらに、電気機械組立体10は、回転軸線34を中心とする、ガスタービンエンジンにすることのできる軸方向回転源に機械式に連結される回転軸32を備える。回転軸32は、離間した軸受36によって支持される。励磁機ロータ14および主機ロータ20は、電気機械組立体10の内部に回転可能に固定されるステータ16、22に対して回転するように回転軸32に実装される。ステータ16、22は、電気機械組立体10のハウジング部分の任意の適切な部分に実装することができる。回転軸32は、運転中のタービンエンジンからの機械力によって軸32が回転するように構成される。代替的には、始動機/発電機の例では、始動モード中の電気機械組立体10の回転軸32の回転により、タービンエンジンを回転させるために軸32を介して移される機械力が作り出される。
【0010】
回転軸32は、軸32の内部に沿って軸方向に延在する中央冷却材通路28をさらに備えることができる。中央冷却材通路28によって、冷却材、たとえば、油または空気が回転軸32の内部を貫流することができる。図示実施形態では、第2の機械18は、電気機械組立体10の後部に配置され、第1の機械12は、電気機械組立体10の前部に位置決めされる。第1の機械12および第2の機械18を他の位置にすることが考えられる。
【0011】
図2は、切り取った組立体40の軸方向前端部の少なくとも一部を持った主機ロータ組立体40の斜視図を示す。ロータ組立体40は、コア42から半径方向に延在する少なくとも1つのポスト44を有するコア42を備えて示され、コアの周りには、組立体40の磁極48を画定するために、電気的に相互絶縁され得るロータ巻線46を巻き付けることができる。図示のように、ロータ組立体40の4つの磁極48はそれぞれポスト44の軸方向周りに巻き付けられた1つのロータ巻線46を備える。コア42は、たとえば、積層されないすなわち非積層体、固体または単一体の材料から、型成形、形成、または穿孔加工することができる。このようなコア本体の材料の一例として鋼鉄にすることができる。代替のコア42の本体材料および形成法として、たとえば、付加製造(additive manufacturing)を用いることが考えられる。
【0012】
ロータ組立体40の各磁極48は、キャップ52をさらに備える。ロータ組立体40は、多数のキャップ52に隣接してそれと交互に配置されて組立体40の半径方向周りに離間した追加の半径方向要素54をさらに備える。各キャップ52は、各ポスト44、磁極48およびロータ巻線セット50の上に少なくとも部分的に存在し、半径方向要素54によってそれぞれ隣接するキャップ52から離間し、これにより、キャップ52、半径方向要素54、およびコア42のポスト44を集めたものは、ロータ巻線46を受容するための軸方向に延在する巻線スロット56を少なくとも部分的に画定する。
【0013】
各キャップ52は、複数の積層体、たとえば、コバルト積層体で形成または構成することができる。この場合、コバルト積層体は、その高い磁性および電気抵抗の特性のために、したがって、各磁極48の表面での渦電流を最小化するその能力のために、キャップ52を含めることができる。コバルト積層体は、キャップ52を構成するために用いる材料の単なる一例であり、代替の材料の組成が考えられる。キャップ52をコア42と比べると、キャップ52は、導電性および熱伝導性をコア42より低くすることができる。
【0014】
各キャップ52は、キャップ52のポスト44とのインターロックを介して、コア42のポスト44と取り外し可能に連結される。図示のように、インターロックは、キャップ52の突起58とポスト44の凹所60から構成され、キャップの突起58とポストの凹所60の双方は、部分円形の相補的な断面を有し、したがって、突起58はポストの凹所60の中に受容され、これによりキャップ52はポスト44に取り外し可能に連結される。代替的には、インターロック要素が反対にされる、たとえば、ポスト44の突起58およびキャップ52の凹所60という実施形態が考えられる。
【0015】
コア42はさらに、巻線スロット56に隣接して配置されかつそれに平行に軸方向に延在するポスト44の内部冷却材通路62と、コア42の中央から各内部冷却材通路62に半径方向に延在する半径方向冷却材通路64と、を少なくとも部分的に画定する。内部冷却材通路62は、たとえば、型成形、形成、またはコア42内に穿孔加工することができ、たとえば、ロータ巻線46と冷却材との間の熱移動を可能にするポスト44の薄肉部によって巻線46から少なくとも部分的に分離される。回転軸32は、軸32の周りで半径方向に離間される複数の冷却材通路孔66を追加的に備えることができ、それらは半径方向冷却材通路64と整列して、冷却材が中央冷却材通路28から半径方向冷却材通路64に、また、そこから流れることが可能である。
【0016】
冷却材通路孔66および中央冷却材通路28を持つ回転軸32と、内部冷却材通路62および半径方向冷却材通路64を持つコア42と、の組立てにより、冷却材の通り道が画定され、冷却材は、流動式に横切り、流れ、または冷却材通路孔66から半径方向冷却材通路64を介して内部冷却材通路62まで強制的にポンプ送りして、中央冷却材通路28に戻すことができる。ロータ組立体40の後部の軸方向端部は、二重のセットの冷却材通路孔66および半径方向冷却材通路64を備えることができ、したがって、冷却材は、横切り、流れ、または冷却材のループを形成するために中央冷却材通路28および内部冷却材通路62に沿って軸方向に強制的にポンプ送りすることができる。この例では、冷却材のループは全体をコア42の内部にすることができる。代替的な流れ、通り道、ならびに冷却材通路孔66、半径方向冷却材通路64、内部冷却材通路62、および中央冷却材通路28を介する冷却材のループが考えられる。
【0017】
さて、図3を参照すると、ロータ組立体40は、半径方向要素54の第2の凹所70の中に受容されるためにキー結合されるポスト44の少なくとも一部の第2の突起68をさらに備えて示されている。第2の突起68と第2の凹所70は、同様の断面を有しており、突起68は、半径方向要素54をコア42に取り外し可能に連結するために凹所70の中に受容される。さらに、半径方向要素54は、コア42に対する半径方向要素54の連結によってロータ巻線46が巻線スロット56の中に付勢または固定されるように構成された楔72などの付勢要素にさらに当接して示されている。ロータ巻線46が巻線スロット56の中に付勢されることによって、巻線46とスロット56の間の物理的な接触が確保され、それは伝導による熱移動を高める働きをする。代替的な連結が考えられ、圧縮性の半径方向要素54をコア42に取り外し可能に連結することによって、ロータ巻線46が巻線スロット56の中に付勢される。
【0018】
コア42は、ロータ巻線46およびポスト44の境界に、ロータ巻線46を受容するための巻線座部74をさらに備える。巻線座部74は、ポスト44からロータ巻線46を分離する熱伝導性の電気的に絶縁する層76をさらに備えることができる。この熱伝導性層76は、たとえば、巻線座部74に付加したコーティングによって形成することができる。代替の熱伝導性層76の形成および組立てとしては、接着剤による接着や機械式の締結などが考えられる。また、図示のように、半径方向冷却材通路64は、巻線座部74のチャネル78に沿ってさらに延在することができ、そこではチャネル78が内部冷却材通路62に隣接していない。代替的には、チャネル78は、既存の通路62に平行かまたは交差する回転軸線34に沿って軸方向に走っている追加の内部冷却材通路62をさらに備えることができる。
【0019】
図4は、キャップ52、半径方向要素54、ロータ巻線46、および他の取り外し可能な構成要素が外されているロータ組立体40のコア42の一実施形態を示す。
【0020】
発電する動作中、ロータ組立体40は、回転軸32と連結するタービンエンジンなどの機械力によって回転軸線34の周りを回転する。回転中に、ロータ巻線46は、磁極48、たとえば、励磁機ロータ14の整流したAC動力出力からのDC動力を作り出すために通電される。主機ステータ22に対する磁極48の回転によって、その後に電気動力ケーブル30によって電気系統たとえば動力分布ノードに伝送されるAC動力出力などの動力出力が生成される。
【0021】
巻線46には、通電されたロータ巻線46に伝えられたDC電流によって熱が発生する。コア42がキャップ52よりも熱伝導性を有するので、発生した熱の一部は、ロータ巻線46の遠くから巻線座部74の熱伝導性層76を介してコア42に伝えられる。さらに、楔72は、ロータ巻線46を巻線座部74に向けて付勢して、巻線46と座部74の間の安定した熱伝導の接点を確保する。
【0022】
また、ロータ組立体40は、ロータ巻線46に発生した熱、ならびに、上述した冷却材通路およびループ28、62、64、66、78を介してコア42に移された熱を除去するために構成される。たとえば、ロータ組立体40の中を横切る冷却材は、内部冷却材通路62に直接隣接する熱伝導性層76を介してロータ巻線46によって発生した熱を直接除去することができる。別の場合では、発生した熱は、上述したように最初にコア42に伝えられ、次いで冷却材の通り道およびループ28、62、64、66、78を介して冷却材に伝えられる場合がある。
【0023】
ロータ組立体40が所期の高い毎分回転数(RPMs)で回転するので、遠心力は、ロータ巻線46を半径方向外方に押し進める傾向があり、それにより、熱導電性層76と巻線46の間にはギャップが作り出されることがある。ロータ巻線46と熱導電性層76の間のギャップをまたがって伝導することによるこの熱移動は、効果的ではなく、したがって、好ましくない。ロータ組立体40に対するキャップ52、半径方向要素54、および楔72を集めたものの連結は、ロータ巻線46への遠心力と対立する傾向があり、巻線46を所定位置に留めて巻線座部74の熱伝導性層76と接触するのを確保することにより、巻線46から伝導を介した冷却材への熱移動を改善するのに役立つ。
【0024】
さらに、発電する動作中、主機ステータ22に対してロータ組立体40を回転させることにより、通電した磁極48とステータ22の間のエアギャップ内の磁界および/または磁束の調和が変化するために、渦電流損失が典型的に起きる。これらの渦電流損失が磁極48の表面またはその近辺に主として起きるので、熱伝導性がより低く、したがって、損失による磁気的な影響が少ないキャップ52の積層構造のために、損失は最小化することができる。また、僅かな渦電流損失により、磁極48の表面またはその近辺の損失から生じる熱がより小さくなる。
【0025】
発電する動作中、突起58および凹所60は、ポスト44およびコア42に対するキャップ52の安定したインターロックも提供する。たとえば、回転中、遠心力は、キャップ52をポスト44およびコア42から分離させようとする場合がある。この分離は、インターロックした突起58および凹所60によるポスト44およびコア42に対するキャップ52のインターロックによって阻止または遅延される。また、ポスト44およびコア42に対するキャップ52のインターロックによって、キャップ52およびポスト44の相対回転を遅延させるように構成された回転防止ロックが提供される。半径方向要素54の組立てによって、回転防止ロックの構成がさらに支持される。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る代替のロータ組立体140を示す。第2の実施形態は、第1の実施形態と同様であり、したがって、同じ部品は、同じ数字に100を増やしたもので識別され、別途記載がない限り、第1の実施形態の同じ部品の説明が第2の実施形態に妥当するということが理解されよう。第1の実施形態および第2の実施形態の間の差異は、キャップ152が代替的に少なくとも部分的な台形状の突起158の断面を備えるということである。それに応じて、コア142は、キャップ152をコア142に取り外し可能に連結するため、ポスト144の凹所160の中で相補的な台形状の断面を有することになろう。代替の台形、すなわち、別のインターロックの断面が考えられる。
【0027】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る代替のロータ組立体240を示す。第3の実施形態は、第1および第2の実施形態と同様であり、したがって、同じ部品は、同じ数字に200を増やしたもので識別され、別途記載がない限り、第1および第2の実施形態の同じ部品の説明が第3の実施形態に妥当するということが理解されよう。第3の実施形態と第1および第2の実施形態との間の差異は、キャップ252が、キャップ252から延在しかつコア242のポスト244の対向する角部に当接する、突起158の各側で離間された指状角部(corner finger)290として示された少なくとも第2の突起をさらに含むということである。図示のように、指状角部290は、少なくとも一部が台形断面を有するが、コア242に取り外し可能に連結および/またはコアとインターロック関係を有するために代替の断面を有することができる。それに応じて、コア242は、ポスト244の指状角部チャネル292などの少なくとも第2の凹所に相補的な断面を有することになろう。
【0028】
代替的には、インターロック要素が逆にされて、たとえば、ポスト244上の指状角部290とキャップ252上の指状角部チャネル292といった実施形態が考えられる。さらに、2つの指状角部290と対応する指状角部チャネル292とが示されているが、他に採り得る数の指状角部290と対応する指状角部チャネル292とが考えられる。
【0029】
指状角部290によって、発電する動作中におけるコア242に対するキャップ252のインターロックをさらに安定化することができる。回転中に、遠心力によって、磁極48から最も遠いキャップ252端部がポスト244およびコア242から分離しようとする場合がある。指状角部290と対応する指状角部チャネル292とによるコア242に対するキャップ252の追加のインターロックによって、キャップ252端部がさらに安定化されて分離が阻止される。また、指状角部290と対応する指状角部チャネル292とによるコア242に対するキャップ252の追加のインターロックによって、キャップ252およびポスト244の相対回転を遅延させるように構成される追加の回転防止ロックが提供される。
【0030】
図7は、本発明の第4の実施形態に係る代替のロータ組立体340を示す。第4の実施形態は、第1、第2、および第3の実施形態と同様であり、したがって、同じ部品は、同じ数字に300を増やしたもので識別され、別途記載がない限り、第1、第2、および第3の実施形態の同じ部品の説明が第4の実施形態に妥当するということが理解されよう。第4の実施形態と第1、第2、および第3の実施形態との間の差異は、キャップ352の指状角部390が、キャップ352から延在するがコア342のポスト344の対向する角部に当接せずに、突起158の各側で離間されているということである。図示のように、指状角部390は、少なくとも一部が台形断面を有するが、コア342に取り外し可能に連結および/またはコアとインターロック関係を有するために代替の断面を有することができる。それに応じて、ポスト344の指状角部チャネル392は、相補的な断面を有することになろう。代替的には、インターロック要素が逆にされて、たとえば、ポスト344上の指状角部390とキャップ352上の指状角部チャネル392といった実施形態が考えられる。さらに、2つの指状角部390と対応する指状角部チャネル392とが示されているが、他に採り得る数の指状角部390と対応する指状角部チャネル392とが考えられる。
【0031】
本開示により、上図に示したものに加えて、他の多くの可能な実施形態および構成が予想される。たとえば、本発明の一実施形態では、磁極48、キャップ52、ロータ巻線46などの上述した電気機械組立体10構成要素が多かれ少なかれ予想される。本発明の別の実施形態では、巻線46を巻線座部74の中に付勢するためにロータ巻線46の異なる側に構成された楔72を用いることが予想される。代替的には、2以上の側のロータ巻線46を巻線座部74の中に付勢するために、追加の楔72を含めることができる。本発明の別の実施形態では、追加の冷却材の通り道および/またはループが冷却の改善のために利用できるように、追加の冷却材通路孔66および回転軸32に沿って軸方向に離間した半径方向冷却材通路64が予想される。さらに、様々な構成要素の設計および配設については、いくつかの異なったインライン構成が実現され得るように再編成することができる。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、ロータ巻線セット50および巻線座部74が、図示の例と比較して、たとえば、時計方向および反時計方向に10度(100)回転した構成にすることができる。たとえば、磁極44の一方の側のロータ巻線46が反時計方向であるように構成でき、その一方で磁極の対向側の対応する巻線46が時計方向であるように構成できると考えられる。この例では、各回転したロータ巻線46は、1つまたは複数の楔72によって所定位置に保持でき、これにより巻線46と巻線座部74の間の熱接触を確実にすることができる。また、キャップ52および熱伝導性層76などの追加の構成要素には、回転したロータ巻線46に適合するための僅かに角度付けされた面を設けることができる。反時計方向の10度回転は、構成における一例であり、時計方向および反時計方向の双方について他の角度が考えられる。
【0033】
本明細書に開示された実施形態では、キャップおよびコア組立体を備えた発電機ロータが提供される。上記実施形態で実現され得る1つの利点は、上述した実施形態では、組立体から熱を除去するために熱伝導性がかなり改善されたということである。冷却材の通り道および/またはループに連結され、積層材料を含むコアと比較して、コアの改善された熱導電性によって、はるかに効果的な形式で巻線から冷却材に熱が除去される。上記実施形態の別の利点は、熱導電性層が、改善された熱導電性に加えて改善された機械的な完全性を提供するために、ある意味ではロータ内の典型的なスロットライナに取って代わるということである。また、熱導電性層は、熱導電性もしくは冷却の管および/またはフィンに取って代わり、部品点数を減らし、したがって、ロータ組立体の信頼性を増大させる。ロータ組立体の熱消費が増大することにより、高速回転が可能になり、そうでなければ余分な熱が発生し得る。より高速の回転により、発電機の寸法を増加させることなく、改善された動力発生または改善された発電機効率がもたらされ得る。
【0034】
上記実施形態のさらに別の利点は、実施形態では、コアに代えて、製造するのに通常低価格である非積層材料にすることにより、製造するのに通常費用がかかる積層材料の量が減るために製造費用が著しく低減されるということである。さらに、固体本体のコアを使用することにより、穿孔などの製造工程およびロータ巻線の自動巻線によって費用をさらに低減することが可能である。さらにまた、追加の冷却の管およびフィンは、与えられた組立体に管を溶接する事前工程が費用を増大させるような製作および組立てから排除することができる。
【0035】
航空機の構成要素を設計するとき、取り組むべき重要な要素は、寸法、重量および信頼性である。上述したロータ組立体では、部品点数が減少し、全システムが本質的により信頼性のあるものになる。おそらくこれにより、より軽量化され、小型化され、性能が向上され、信頼性が改善されたシステムがもたらされる。部品点数の減少およびメンテナンスの削減によって、製造費用の低減および運転費用の低減が導かれよう。重量および寸法の削減は、飛行中における価格的優位性のある利点と相互に関連がある。
【0036】
既述ではない範囲内で、様々な実施形態の異なった特徴および構造は、互いに組み合わせて所望に使用することができる。すべての実施形態で1つの特徴が図示されていない場合があることは、そういう場合がないと解釈されるべきことを意図しておらず、説明を簡潔にするためにそうされている。したがって、異なる実施形態の様々な特徴は、新たな実施形態が明白に記載されているか否かにかかわらず、新たな実施形態を形成するために、所望に組合せおよび調和させることができる。本明細書に記載の特徴のすべての結合または置換は、この開示によってカバーされる。
【0037】
この記載した説明は、例を用いて、最良の形態を含む本発明を開示し、また、装置またはシステムを製作して使用することおよび組み込まれた任意の方法を遂行することを含めて、任意の当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が思い付く他の例を含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文字通りの用語とは異ならない構造的構成要素がある場合に、あるいは、特許請求の範囲の文字通りの用語に対する差異の実体がないような等価な構造的構成要素が含まれる場合に、特許請求の範囲の範囲内にあるべきことを目的としている。
【符号の説明】
【0038】
10 電気機械組立体
12 第1の機械
14 励磁機ロータ
16 励磁機ステータ
18 第2の機械
20 主機ロータ
22 主機ステータ
28 中央冷却材通路
30 電気動力ケーブル
32 回転軸
34 回転軸線
40 ロータ組立体
42 コア
44 ポスト
46 ロータ巻線
48 磁極
50 ロータ巻線セット
52 キャップ
54 半径方向要素
56 巻線スロット
58 突起
60 凹所
62 内部冷却材通路
64 半径方向冷却材通路
66 冷却材通路孔
68 突起
70 凹所
72 楔
74 巻線座部
76 熱導電性層
78 チャネル
140 ロータ組立体
142 コア
144 ポスト
152 キャップ
158 突起
160 凹所
240 ロータ組立体
242 コア
244 ポスト
252 キャップ
290 指状角部
292 指状角部チャネル
340 ロータ組立体
342 コア
344 ポスト
352 キャップ
390 指状角部
392 指状角部チャネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7