(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334712
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】速い結晶化速度を有するポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体およびこれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 81/00 20060101AFI20180521BHJP
C08G 63/66 20060101ALI20180521BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20180521BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
C08G81/00
C08G63/66
C08L67/00
C08L101/16
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-541537(P2016-541537)
(86)(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公表番号】特表2017-500415(P2017-500415A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】KR2014005295
(87)【国際公開番号】WO2015108254
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0006233
(32)【優先日】2014年1月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515253049
【氏名又は名称】ハンファ トータル ペトロケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ワン クン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ド ホン
【審査官】
大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−001719(JP,A)
【文献】
特開2006−214012(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/085346(WO,A1)
【文献】
特開2014−074169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 81/00
C08G 63/00
C08L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸および
下記式1で表される一方末端がエポキシに改質されたポリアルキレングリコールの溶融反応から製造され、前記ポリアルキレングリコールが0.05〜25重量%含まれて
おり、熱変形温度が70℃以上であることを特徴とするポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体
:
【化1】
(式中、R1はエポキシであり、R2は水素、C1〜C8アルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、R3はC1〜C8アルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、lは0〜200の整数であり、mは0〜200の整数であり、lとmが同時に0ではない。)。
【請求項2】
前記ポリ乳酸はL−ポリ乳酸またはD−ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体100重量部に対して結晶化核剤0.01〜5重量部を含むことを特徴とするポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物。
【請求項4】
前記結晶化核剤はポリグリコライド、ベンゾヒドラジド誘導体、滑石、ステアリン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、エチレンビス(12−ヒドロキシステアリルアミド)、テレフタルイミド誘導体、1,4−シクロヘキサンジカルボキシリックジアニリド及びジンクフェニルホスフェートからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物。
【請求項5】
ポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物は結晶化度が40%以上であり、110℃にて結晶形成を誘導したとき、結晶化速度(t1/2)が15〜30秒であることを特徴とする請求項3に記載のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体およびこれを含む組成物に関するものであって、より詳しくは、速い結晶化速度と優れた加工性および耐熱性に卓越のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体およびこれを含む組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油由来のプラスチックの相当数は、機械的物性と熱的安定性の制御が容易であり、身の回り品から宇宙航空素材まで適用範囲が相当に多様である。しかし、これらプラスチックが環境の中で廃棄となる時、分解されずに蓄積される。また、プラスチック廃棄物を焼却するときには有害な副産物の排出および大量の二酸化炭素が排出され、環境汚染と地球温暖化を加速化させる。
【0003】
このような環境的問題により、環境にやさしいプラスチック、すなわち植物原料からなるプラスチックあるいは微生物により分解される生分解性プラスチックに対する研究が活発になされている。現在検討されている環境にやさしいプラスチックとしてはポリヒドロキシブチレイト、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステルおよびバイオポリエチレンなどがあるが、これらのうち現在最も多く研究がなされており、商業的に活用価値の高いポリマーはポリ乳酸である。
【0004】
ポリ乳酸は比較的に硬いポリマーであって、屈曲弾性率が汎用プラスチックと同様な水準であるが、耐熱性が足りず、成形が容易ではない。このような短所のため、高耐熱性が求められる分野には適用できない限界がある。結果的に、ポリ乳酸をポリプロピレンあるいはポリカーボネートなどのような石油系プラスチックと混合してポリ乳酸の足りない物性を補完する研究が進められているが、大部分ポリ乳酸の含量が50重量%を超えない場合が多く、真の環境にやさしいプラスチックであると称するには困難がある。
【0005】
ポリ乳酸の高い耐熱性と成形性を確保するためには、高分子の結晶化度を向上させる方法がある。現在ポリ乳酸の結晶化度を高めるためには射出成形時の金型の温度を高くし、金型内における冷却時間を長くする方法が一般的であるが、成形サイクルが長くなる短所がある。冷却時間を減らすためには、結晶核剤を添加してポリ乳酸の結晶化速度(以下、結晶化度と称することもある)を促進させる方法が知られている。結晶核剤とは、結晶性高分子の1次結晶核となって結晶成長を促進し、結晶サイズを微細化すると同時に結晶化速度を高める作用をする。ポリ乳酸樹脂の結晶核剤としては活石および/または窒化ホウ素からなる無機粒子、アミド化合物、ソルビトール誘導体、リン酸エステル金属塩などが知られているが、効果が十分でなかったり、価額が高くて活用価値が下がる。
【0006】
非特許文献1と2によると、ポリ乳酸の結晶化度および結晶化速度を高めるための他方の方法としては結晶核剤と可塑剤を添加する方式を提示している。前記方法は、ポリマーに柔軟性を与えるために可塑剤を過量添加する方法とは違って、可塑剤を一定量添加してポリマーチェーンの運動性を向上させ、結晶化速度を高める方法である(anti−plasticization)。詳しくは、ポリ乳酸、活石とポリエチレングリコールを混合して、ポリ乳酸の結晶化速度を画然と下げたことがあるが、結晶化速度が十分に速くなかった。また、ポリエチレングリコールを5重量%以下用いても、表面流出現象がひどく、射出成形が容易でないという短所がある。
【0007】
ポリエチレングリコールの表面流出現象を減らすためには、韓国公開特許公報第10−2012−0035729号および米国登録特許第7,351,785号などに開示されたとおり、ポリ乳酸の重合時、ポリエチレングリコールを添加してポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体を生成する方法がある。しかし、重合を通じて共重合体を形成する場合、反応時間が長くなり、人体に有害な有機溶媒を多量使用しなければならず、反応条件を細密に調節しなければならない不便がある。また、結晶化度と結晶化速度に対する言及がまったくなく、前記発明の目的はポリ乳酸フィルム製造時、柔軟性を与えるためであり、高含量のポリエチレングリコールを用いて、結晶化度が低くなる問題などがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Polymer, 48, 6855(2007)
【非特許文献2】Society of Plastics Engineers, DOI:10.1002/spepro. 002983
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決しようとしたものであって、本発明の目的はポリ乳酸と、末端がエポキシ基に改質されたポリエチレングリコールを圧出反応機を通じて短い時間内に、人体に有害な有機溶媒の使用なしに得られたポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、前記ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体に結晶化核剤を添加して高い結晶化度と早い結晶化速度を有し、射出成形に優れたポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体はポリ乳酸および末端がエポキシ基に改質されたポリアルキレングリコールの反応から製造され、前記ポリアルキレングリコールが0.05〜25重量%含まれていることを特徴とする。
【0012】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体において、前記ポリ乳酸はL−ポリ乳酸またはD−ポリ乳酸が用いられる。
【0013】
前記ポリ乳酸の重量平均分子量は10,000g/mol以上であるのが好ましく、10,000g/mol未満であると加工性が悪くなり、射出された製品の物性がよくないので好ましくない。
【0014】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体において、前記ポリアルキレングリコールは末端がエポキシに改質されたポリアルキレングリコールであって、下記化式1、2および3で表される群から選択できる。
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R
1はエポキシであり、R
2は水素、C
1〜C
8アルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、R
3はC
1〜C
8アルキル基、アルケン基、アルケニル基、またはアリール基であり、lは0〜200の整数であり、mは0〜200の整数である。また、1とmの位置は互いに変えられる。)
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、R
4およびR
8はエポキシであり、R
5ないしR
7は水素またはC
1〜C
8アルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、xは0〜100の整数であり、yは1〜200の整数であり、zは0〜100の整数である。)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R
9、R
14およびR
17はエポキシであり、R
10〜R
13、R
15およびR
16は水素またはC
1〜C
8アルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、oは1〜200の整数であり、pは1〜200の整数であり、qは1〜200の整数である。)
【0021】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体において、前記ポリアルキレングリコールの含量は、前記共重合体の総重量を基準として0.05〜25重量%、好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜10重量%であるが、0.05重量%未満であれば共重合体の結晶化速度が下がって好ましくなく、25重量%を超えれば結晶化速度が早くなるよりはポリ乳酸の剛性が低下し、未反応ポリアルキレングリコールの表面流出現象が観察され、好ましくない。
【0022】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体は前記ポリ乳酸とポリアルキレングリコールを溶融圧出反応させて得られるが、ポリ乳酸とポリアルキレングリコールの溶融反応時、ポリ乳酸のカルボキシ基あるいはヒドロキシ基とポリアルキレングリコールのエポキシ基の化学的結合を通じて共重合体を製造することができる。
【0023】
前記溶融反応の温度は160〜250℃、好ましくは170〜220℃であり、さらに好ましくは180〜200℃であるが、溶融反応温度が160℃未満であればポリ乳酸樹脂が溶融しないため、流動性が悪くなり、アミド結合反応速度が遅くなって好ましくなく、250℃を超えればポリ乳酸の分解が加速化され、得られた樹脂の結晶化速度が下がり、黄変がひどくなって好ましくない。
【0024】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体は人体に有害な有機溶媒が用いられず、共重合体の90重量%以上が生分解性物質からなっていて、環境に優しい特性を有する。
【0025】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体は射出成形が容易で、射出された製品は優れた耐熱性を有するのが特徴である。さらに詳しくは、射出成形時、サイクルタイムが110℃にて一般ポリ乳酸対比10倍以上早く、射出製品の熱変形温度が70℃以上であり、好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは115℃以上である。
【0026】
前記ポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体は耐熱性が重要視される分野の成形製品、例えば自動車部品、電池電子部品、機械部品、コンピュータなどの事務機器などの用途に用いられる。
【0027】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物は、本発明のポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体100重量部に対して結晶化核剤0.01〜5重量部を含むことを特徴とする。
【0028】
前記結晶化核剤の具体的な例としては、ポリグリコライド、ベンゾヒドラジド誘導体(benzohydrazide derivative)、活石、ステアリン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、エチレンビス(12−ヒドロキシステアリルアミド)、テレフタルイミド誘導体(terephthalimide derivative:NU−100)、1,4−シクロヘキサンジカルボキシリックジアニリド及びジンクフェニルホスフェートからなる群から選ばれる1種以上でありえる。
【0029】
前記結晶化核剤の使用量はポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましいが、0.01重量部未満であれば結晶化速度が速くないため好ましくなく、5重量部を越えれば結晶化核剤が飽和状態となって、結晶化速度がこれ以上早くならないため、経済的に好ましくない。
【0030】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物は、ポリ乳酸とポリアルキレングリコールを溶融反応する際、結晶化核剤をともに配合することにより製造できる。このとき、結晶化核剤以外に通常の添加剤、例えば一般的な活剤、無機粒子、熱安定剤および酸化防止剤などをさらに配合することができる。
【0031】
本発明によるポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物は一般ポリ乳酸より結晶化度が高く、結晶化速度が速いことができる。より具体的に説明すると、結晶化度が40%以上であり、110℃にて結晶形成を誘導したとき、結晶化速度(t
1/2)が15〜30秒であるのが好ましい。前記結晶化度は示差走査熱量計(DSC)を用いて200℃まで10℃/minで昇温しつつ、ピーク融点が150〜180℃にて見つかる熱量であるΔH
mをポリ乳酸の計算値融点熱量であるΔH
0mと比較して得られた値である。また、結晶化速度は偏光顕微鏡を用いて200℃まで30℃/分で昇温して3分間200℃保持後、110℃まで100℃/分で減温して結晶化が始まる時点を基準として結晶化が完了する時間を測定した値である。
【発明の効果】
【0032】
本発明により製造されたポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体およびこれを含む組成物は、速い結晶化速度を有し、高い結晶化度を有し、耐熱性が高く、射出成形に優れていて、多様な用途に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は実施例と比較例の耐加水分解テスト結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を下記の実施例および比較例に基づいてより詳細に説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらのみに制限されるものではない。
【0035】
<実施例および比較例>
実施例および比較例で用いられた物質、製造方法、射出方法および物性測定方法は下記のとおりである。
【0036】
(1)ポリ乳酸樹脂
L−ポリ乳酸樹脂としてはNatureWorks LLCにて製造された4032D、3001D、3251Dを用いた。
【0037】
(2)ポリアルキレングリコール
ポリアルキレングリコールはハジンケムテック、ナガセケムテックス、Aldrichなどで製造された末端がエポキシに改質されたものを用いた。
【0038】
(3)製造方法
ポリ乳酸とポリアルキレングリコール、および選択的に結晶化核剤を二軸圧出機(twin−screw extruder)を用いて溶融混練した。このとき、ポリアルキレングリコールは、液体注入器(liquid feeder)を用いて圧出温度が180〜200℃である圧出器に注入し、溶融混練後、ペレタイザー(pelletizer)を用いてペレット(pellet)を得た。
【0039】
(4)射出方法
前記(3)の製造方法により製造されたペレットを80℃で4時間以上乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダ温度200℃、金型温度110℃、成形サイクルを60秒に設定し、ASTM4号試験片を射出成形して、物性試片を得た。
【0040】
(5)熱変形温度
熱変形温度(HDT)はASTM D648に準じて測定した。
【0041】
(6)射出成形の容易性
圧出反応後、得られたペレットを110℃で2時間以上乾燥時、表面に未反応ポリアルキレングリコールの表面流出現象がなく、射出成形が可能であれば○(優秀)に、表面流出現象がないが射出成形サイクル時間が1分以上であればA(良好)に、表面流出現象がひどく、射出成形が不可能であれば×(不良)に評価した。
【0042】
(7)熱量測定方法
示差走査熱量計(DSC)を用いて樹脂組成物を200℃にて3分間溶融した後、20℃/minで室温(23℃)まで減温してT
cとΔH
cを測定し、再び10℃/minで200℃まで昇温してT
mとΔH
mを測定した。
【0043】
(8)結晶化度が50%に達する時間(t
1/2;結晶化速度)測定方法
樹脂組成物を200℃にて溶融した後、スライドグラス上に薄いフィルムを作り、ガラス蓋をした。スライドグラスを温度が110℃に予熱された加熱板(Linkam Scientific Instruments Ltd.)上に載せた後、偏光顕微鏡(Olympus BX51)で樹脂組成物の結晶化速度を観察した。さらに詳しくは、波長が632.8nmの偏光He−Neレジャーをフィルムに透過させ、樹脂が結晶化するにつれて差し引かれる光の強度(intensity)を用いて結晶化度を測定した(Hamamastu Photonics Co.の38−channel photodiode array)。時間による結晶化度(relative crystallinity χ
c)は、下記数式1により計算してその値をχ
c対比時間(秒)としてグラフに表記しており、χ
cが0.5であるときに該当する時間をt
1/2に定義した。
【0045】
(前記数式1にて、I(t)は時間tにおける光の強度であり、I(0)は樹脂の結晶化が始まる前の光の強度であり、I
∞は結晶化が完了したときの光の強度である。)
【0046】
(9)結晶化度の計算方法
結晶化度は下記数式2を用いて計算した。
【0048】
(前記数式2にて、ΔH
mは樹脂の溶融時の熱量の実験値であり、ΔH
0mはポリ乳酸樹脂の溶融時の熱量の計算値であって、93.1J/gであり、この値は非特許文献3に報告されたものを根拠とした。)
【0049】
非特許文献3:Kolloid Z. Z. Polym. 251, 980(1973)
【0050】
(10)分子量測定方法
ペレットサンプルを2mg/mlの濃度でTHF(テトラヒドロフラン)に完全に溶解させた後、サンプルをMalvern社のViscotek OmniSEC GPCに注入した後、RI detectorに溶出する高分子の濃度を測定し、滞留時間(retention time)による分子量を測定した。
【0051】
(11)加水分解テスト
恒温恒湿機にて温度60℃、相対湿度90%条件で屈曲強度測定試片を保管した後、一定間隔で屈曲強度の変化を測定した。
【0052】
実施例1〜2および比較例1〜3
実施例1〜2および比較例1〜3の各組成物に対する組成および物性は下記表1に示した。
なお、以降の記載において、実施例2は参考例1と読み替えるものとする。
【0053】
下記表1の実施例1〜2および比較例1〜3にて、下記表1の組成による成分および含量で混合した後、二軸圧出機190℃にて溶融混練して圧出加工した。ペレットサンプルは80℃にて4時間以上乾燥後、射出金型の温度を110℃に保持させつつ、射出成形して常温で24時間放置後、試片に対する物性は前記と同様の方法で測定し、その結果を下記表1に示した。
【0055】
注)1)A:ポリ乳酸:商品名:LLC 3251D、 NatureWorks社製
2)B−1:一方末端がエポキシに改質された重量平均分子量1000g/molのポリアルキレングリコール、商品名:EX−171、 Nagase ChemteX Corporation社製
3)B−2:両方末端がエポキシに改質された重量平均分子量600g/molのポリアルキレングリコール、商品名:HJ EPIOL−DE208、ハジンケムテック製
4)B−3:一方末端がアミンに改質された重量平均分子量2000g/molのポリアルキレングリコール、商品名:Jeffamine(登録商標)M−2070、Huntsman Corporation社製
5)B−4:改質されていない、重量平均分子量が1000g/molのポリアルキレングリコール、YAKURI PURE CHEMICALS社製
5)C:結晶化核剤、粒子サイズが5〜6μmである活石、商品名:KR8500、(株)KOCH製
【0056】
前記表1にて、実施例1と実施例2はそれぞれ一方末端がエポキシに改質されたポリアルキレングリコールと、両方末端がエポキシに改質されたポリアルキレングリコールを用いて製造したポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体組成物の組成と物性である。表1に記載されたとおり、実施例1と2の組成物は結晶化度が高く、結晶化速度(t
1/2)が早く、未反応ポリアルキレングリコールの表面流出現象がなく、射出が容易である。実施例1と2の組成物の熱変形温度はそれぞれ138℃と121℃に測定され、これは一般ポリ乳酸の熱変形温度である56℃より大幅に高い数値である。さらに、実施例1と2の共重合体の重量平均分子量を比較例3と比較してみると、表1に記載されたとおり、比較例3の分子量が著しく高いことが確認できる。
【0057】
一方、
図1に示されたとおり、加水分解テスト結果、末端がアミンに改質されたポリアルキレングリコールを用いた比較例2に比べて、末端がエポキシに改質されたポリアルキレングリコールを用いた実施例1の屈曲強度がさらに長時間保持される結果が見られる。これは、圧出加工時に脱水反応による分解がなく、末端がエポキシに改質されることにより、末端の酸基が減る効果によるものと思われる。よって、耐久性および耐熱性を示すポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体の製造のためには、末端作用基の選択において、ポリ乳酸のカルボキシ基またはヒドロキシ基を求核体として作用させて結合反応を可能とするエポキシ作用基を選択するのが有利であることが分かる。