(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、PET(ポリエレンテレフタレート)等の樹脂製の容器としては、飲料用の細口容器が一般的であるが、近年、樹脂製容器の多用途化が進み、飲料用の細口容器の他、例えば、食品保存用、あるいは化粧品用として、いわゆるジャータイプの広口容器が存在する。なお広口容器は、飲料用の細口容器に対し、胴部の外径に対する口部(ネック部)の外径の比率が比較的大きい容器をいい、特に、口部の外径が例えば43mm以上の容器が一般的に広口容器と称されている。
【0003】
このような広口容器は、細口容器を製造するためのプリフォームよりも大型のプリフォームを用いて製造される。このため、広口容器を製造するためのプリフォーム(以下、広口プリフォームと称する)は、比較的高重量である。また広口プリフォームの口部に設けられるフランジの大きさ(外径)は比較的小さい。すなわちフランジ部の口部の外径に対する比率が比較的小さい。このため、口部を上向きにして保持した状態では、例えば、結晶化装置や成形装置が備える搬送路に対して広口プリフォームを供給し、また搬送路を搬送するのが難しいという問題があった。
【0004】
また広口容器の分野では、充填容量の増加、すなわち広口容器のさらなる大型化が求められている。広口容器の大型化を図るためには、広口プリフォームについても大型化を図る必要があり、その場合、上述したような供給や搬送の問題が生じやすい。
【0005】
このような問題を解決するために、本件出願人は、口部を下向きにした倒立状態で広口プリフォームを搬送部材で保持し搬送部材を搬送路に沿って搬送する装置を備える口部結晶化装置を開発した(特許文献1参照)。
【0006】
この装置では、搬送部材は、広口プリフォームが倒立した状態で供給される搬送台を有すると共に、昇降ロッドによって昇降可能な押上げ部、コア等を備えている。これら押上げ部及びコアは、昇降ロッドが上昇位置にあると搬送台よりも上方に位置し、昇降ロッドが下降位置にあると搬送台よりも下方に位置する。そして広口プリフォームは、昇降ロッドが下降位置にあるときに搬送台に供給され、その後、昇降ロッドを上昇位置まで上昇させることで搬送部材に保持されるようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示す口部結晶化装置10は、例えば、食品保存用や化粧品用等の広口容器の製造に用いられる広口プリフォーム(成形品)の口部を結晶化させる装置である。口部結晶化装置10は、広口プリフォーム1が載置された搬送部材20(
図2,
図3参照)を連続的に搬送するループ状(無端状)の搬送路31を含む搬送部(搬送装置)30を備え、またこの搬送路31上を搬送される搬送部材20に対して広口プリフォーム1を供給する供給部としての成形品供給装置100を備える。
【0020】
さらに口部結晶化装置10は、搬送部材20によって搬送路31に沿って搬送される広口プリフォーム1を加熱する加熱部40と、加熱部40によって加熱した広口プリフォーム1を冷却する冷却部50と、搬送路31を搬送されている搬送部材20から広口プリフォーム1を取り出す取出し部60と、を備えている。これら加熱部40、冷却部50及び取出し部60は、成形品供給装置100よりも下流側に搬送路31に沿って順に配置されている。
【0021】
本発明は、このような口部結晶化装置10が備える成形品供給装置100の構成に特徴があり、以下では、主に、成形品供給装置100について説明する。搬送部材20、搬送部30、加熱部40及び冷却部50の構成は、既存の構成であるため、以下では簡単に説明する(必要であれば、本件出願人による先願である再公表特許WO2012/029528号公報参照)。
【0022】
搬送部30は、単一の駆動スプロケット32と、第1〜第4の従動スプロケット33〜36と、無端状部材、例えば、駆動チェーン37と、を備える。駆動チェーン37が、駆動スプロケット32及び第1〜第4の従動スプロケット33〜36に水平に掛け渡されて、ループ状の搬送路31が形成されている。本実施形態では、これら駆動スプロケット32及び第1〜第4の従動スプロケット33〜36が所定位置に配置されることで、隣り合う2つの搬送方向が逆となる互いに平行な第1〜第4の直線搬送路31a〜31dを含む搬送路31が形成されている。
【0023】
具体的には、駆動スプロケット32は第1の直線搬送路31aの上流端に配置されている。第1の従動スプロケット33は、第1の直線搬送路31aの下流端(第2の直線搬送路31bの上流端)に配置されている。第2の従動スプロケット34は、第2の直線搬送路31bの下流端(第3の直線搬送路31cの上流端)に配置されている。第3の従動スプロケット35は、第3の直線搬送路31cの下流端(第4の直線搬送路31dの上流端)に配置されている。第4の従動スプロケット36は、第4の直線搬送路31dの下流端に配置されている。
【0024】
本実施形態では、第1〜第3の直線搬送路31a〜31cに加熱部40が設けられ、第4の直線搬送路31dに冷却部50及び取出し部60が設けられている。また成形品供給装置100は、搬送路31の加熱部40よりも上流側に設けられ、本実施形態では、駆動スプロケット32に対応する位置、すなわち搬送部材20を曲線搬送する曲線搬送路31eに対応して設けられている。
【0025】
ここで広口プリフォーム1は、口部2と、口部2に続く胴部3と、口部2と胴部3と仕切るフランジ部4と、胴部3を塞ぐ底部5とを有し、口部2を下向きとする倒立状態にて搬送部材20に供給される(
図3参照)。
【0026】
搬送部材20は、図示は省略するが駆動チェーン37に支持され、倒立状態の広口プリフォーム1が載置される搬送台21を有する。搬送部材20は、昇降可能な昇降ロッド(ロッド部材)22を備えている。昇降ロッド22の上端部には、広口プリフォーム1の底部5の内面に当接して広口プリフォーム1を押し上げる押上部材23が設けられている。昇降ロッド22を所定位置まで上昇させると、押上部材23が広口プリフォーム1の底部5を押し上げて、広口プリフォーム1が搬送台21とは非接触となる。さらに昇降ロッド22にはコア24が固定されており、昇降ロッド22を所定位置まで上昇させることで、広口プリフォーム1の口部2内にコア24が挿入される。
【0027】
次に、このような搬送部材20に対して広口プリフォーム1を供給する成形品供給装置100について説明する。成形品供給装置100は、
図1及び
図2に示すように、駆動スプロケット32に対応する位置、すなわち搬送部材20を曲線搬送する曲線搬送路31eに対応して設けられている。
【0028】
この成形品供給装置100は、搬送路31から所定距離だけ上方に配置され(
図2参照)、成形品である広口プリフォーム1を所定間隔で保持すると共に、広口プリフォーム1を搬送部材20の移動に同期させて搬送しつつ下降させて搬送部材20に供給する供給部110と、広口プリフォーム1を外部から供給部110まで搬送するスライド搬送部150と、を備えている。
【0029】
スライド搬送部150は、本実施形態では、広口プリフォーム1を直線的に搬送する直線搬送部151と、広口プリフォーム1を回転搬送する回転搬送部152と、を備えている。直線搬送部151は、例えば、ベルトコンベア153で構成され、複数の広口プリフォーム1を連続的にスライド搬送する。直線搬送部151の回転搬送部152との境界部分には、広口プリフォーム1が通過する搬送経路の両側に第1の直線ガイド154及び第2の直線ガイド155が設けられている(
図2参照)。言い換えれば、第1の直線ガイド154及び第2の直線ガイド155によって広口プリフォーム1が通過する搬送経路が形成されている。直線搬送部151をスライド搬送された広口プリフォーム1は、第1の直線ガイド154及び第2の直線ガイド155の間を通過することで一列に整列されて回転搬送部152に送られる。
【0030】
回転搬送部152は、搬送経路の第1の直線ガイド154側に設けられるスターホイール156と、搬送経路の第2の直線ガイド155側に設けられる円弧状ガイド157とを備える。すなわち回転搬送部152では、スターホイール156と円弧状ガイド157とによって広口プリフォーム1が通過する搬送経路が形成されている。回転搬送部152をスライド搬送された広口プリフォーム1は、これらスターホイール156と円弧状ガイド157とによって所定間隔(ピッチ)に整列されて供給部110に送られる。
【0031】
本実施形態では、スターホイール156の外周部には、所定個数(例えば6つ)の円弧状の切欠き部158が形成されており、これらの各切欠き部158に広口プリフォーム1を受け入れることで、各広口プリフォーム1が所定間隔に整列される。なおスターホイール156は、図示しない駆動手段によって、搬送部材20の移動に同期して、すなわち駆動スプロケット32の回転に同期して回転駆動される。
【0032】
また本実施形態では、直線搬送部151と回転搬送部152との境界付近に、広口プリフォーム1の移動を制止するためのストッパーピン159が設けられている。ストッパーピン159は、図示しないアクチュエータ装置で駆動され、スライド搬送部150が停止される際等には、ストッパーピン159が、広口プリフォーム1が通過する搬送経路まで押し出される。これにより、広口プリフォーム1がストッパーピン159に当接し、広口プリフォーム1の直線搬送部151から回転搬送部152への供給が停止される。
【0033】
供給部110は、搬送部材20の搬送方向と同一方向に回転しながら、回転搬送部152によって回転搬送される広口プリフォーム1を順次受け取り、その後、広口プリフォーム1を下降させて搬送部材20まで搬送する。この供給部110は、スターホイール156と同様に搬送部材20の移動と同期して回転するように構成されている。
【0034】
本実施形態に係る供給部110は、スライド搬送部150(回転搬送部152)から供給された広口プリフォーム1を保持する保持部111と、保持部111を所定のタイミングで昇降させる第1の昇降部112とを備えている。これら保持部111及び第1の昇降部112は、駆動スプロケット32と同軸に固定された略円形の回転部材113上に設けられている。回転部材113が駆動スプロケット32と共に回転することで、保持部111は曲線搬送路31eにおける搬送部材20の移動に同期して回転移動する。
【0035】
保持部111は、回転部材113の外周部に所定間隔で複数(本実施形態では15個)設けられている。各保持部111は、回転部材113上に立設されたスライド軸114に係合する保持部本体115と、保持部本体115の下端部に取り付けられる第1の支持部材116と、保持部本体115の上端部に取り付けられた第2の支持部材117と、を備える。保持部111は、第1の支持部材116と第2の支持部材117とで上下方向から広口プリフォーム1を挟持する。また本実施形態では、保持部本体115と回転部材113との間に、コイルバネ等で構成される付勢部材118が設けられ、保持部本体115は、付勢部材118によって常に下方に付勢されている。
【0036】
第1の昇降部112は、保持部本体115から回転部材113の半径方向内側に突出する軸部に設けられる第1のカムフォロア119と、回転部材113上に設けられた第1のカム部材120と、を有する。第1のカム部材120は、回転部材113の保持部111の内側に、切り欠き部121を除く略円環状に形成されている(
図2参照)。また第1の昇降部112は、切り欠き部121に対応する位置に、保持部111を上昇させるためのアクチュエータ122を備えている。
【0037】
詳しくは後述するが、保持部111は、通常時は、第1のカムフォロア119が第1のカム部材120上を転動することで所定のタイミングで昇降するようになっている。
【0038】
第1の支持部材116は、広口プリフォーム1のフランジ部4の下側に係合してフランジ部4を下方から支持する。具体的には、第1の支持部材116は、保持部本体115から回転部材113の半径方向外側に向かって突出して設けられ、広口プリフォーム1の口部2の直径よりも若干広い内径を有する円弧状の部材で構成される。
【0039】
第2の支持部材117は、広口プリフォーム1の底部5に上方から係合して広口プリフォーム1を保持する。第2の支持部材117は、下方に開口して広口プリフォーム1の底部5に係合する凹部123を備え、保持部本体115に対して昇降可能に保持されている。より詳細には、
図3(a)に示すように、保持部本体115の上面には、その上部から回転部材113の半径方向外側に向かって延設部124が延設されている。第2の支持部材117の上面には、二本の円柱部材125の一端が固定されている。円柱部材125は、延設部124に設けられた貫通孔(図示なし)にスライド可能に挿入され、その他端には板状部材126が固定されている。このように第2の支持部材117は、延設部124に対して昇降可能に連結されている。
【0040】
また本実施形態では、第2の支持部材117の保持部本体115側には、下方に向かって突出する当接部127が設けられている。当接部127は、第2の支持部材117が広口プリフォーム1の底部5に係合している状態で、第1の支持部材116によって支持された広口プリフォーム1のフランジ部4の上面に当接する。
【0041】
また供給部110は、スライド搬送部150から保持部111に広口プリフォーム1が受け渡される受け渡し領域A1にて第2の支持部材117を広口プリフォーム1の上方、つまり広口プリフォーム1とは干渉しない位置まで、一時的に上昇させる第2の昇降部128を備える。本実施形態に係る第2の昇降部128は、板状部材126の保持部本体115とは反対側の端部から突出する軸部に設けられた第2のカムフォロア129と、受け渡し領域A1における保持部111の外側に配置された第2のカム部材130と、で構成されている。第2のカムフォロア129が第2のカム部材130上で転動することで、受け渡し領域A1にて第2の支持部材117が昇降する。
【0042】
さらに供給部110は、保持部111によって保持された広口プリフォーム1を搬送部材20に供給する供給領域A2にて第2の支持部材117を広口プリフォーム1の上方、つまり回転移動する第2の支持部材117が搬送部材20によって搬送される広口プリフォーム1と干渉しない位置、まで一時的に上昇させる第3の昇降部131を有する(
図4(b)参照)。第3の昇降部131は、板状部材126に設けられた第2のカムフォロア129と、供給領域A2における保持部111の外側に配置された第3のカム部材132とで構成されている。そして第2のカムフォロア129が第3のカム部材132上を転動することで、供給領域A2において第2の支持部材117が昇降動作する。
【0043】
以下、供給部110の動作、特に保持部111の昇降動作について
図2〜
図5を参照して説明する。なお
図3〜
図5は、
図2中のA位置〜G位置における保持部111の状態を説明する図である。
【0044】
供給部110は、広口プリフォーム1を搬送部材20に供給するにあたって、まずは受け渡し領域A1にてスライド搬送部150から保持部111に広口プリフォーム1が受け渡される。すなわち、
図3(a)に示すように、保持部111が
図2中のA位置に移動した際に、スライド搬送部150から保持部111に広口プリフォーム1が受け渡される。なお上述のように保持部111は搬送部材20の移動に同期して回転しており、A位置において保持部111の下方には搬送部材20が位置している。
【0045】
A位置では、
図3(a)に示すように、第1のカムフォロア119は第1のカム部材120の上面を転動し、保持部111は、搬送路31から所定距離だけ上方、つまりスライド搬送部150に対応する高さで回転移動する。また第2のカムフォロア129は、第2のカム部材130の上面を転動し、第2の支持部材117は上限位置まで上昇した状態で回転移動している。すなわち第2の支持部材117は、広口プリフォーム1に干渉しない高さで回転移動している。この状態で、広口プリフォーム1がスライド搬送部150によってスライド搬送されて保持部111に受け渡される。具体的には、スライド搬送部150によってスライド搬送された広口プリフォーム1のフランジ部4が第1の支持部材116によって支持される。
【0046】
保持部111がA位置からB位置まで移動する間、第2のカムフォロア129は、第2のカム部材130の下り傾斜面130a(
図2参照)を転動し、それに伴い第2の支持部材117が下降する。これにより、B位置では第2の支持部材117が広口プリフォーム1の底部5に係合し、当接部127が第1の支持部材116によって支持されている広口プリフォーム1のフランジ部4の上面に当接する(
図3(b)参照)。このように保持部111がB位置にある状態では、広口プリフォーム1は第1の支持部材116と第2の支持部材117及び当接部127とによって上下方向で挟持される。
【0047】
保持部111がB位置からC位置に移動する際、第1のカムフォロア119が、第1のカム部材120の下り傾斜面120aを転動し、それに伴い保持部111が搬送路に対応する高さ(下限位置)まで下降する。上述のように保持部111を構成する保持部本体115は、付勢部材118によって下方に向かって付勢されているため、保持部111はこの付勢力によってスムーズに下限位置まで下降する。
【0048】
これにより、
図4(a)に示すように、保持部111がC位置にある状態では、広口プリフォーム1が搬送部材20上に載置されている。またC位置は、第1のカム部材120の切り欠き部121に対応しており、第1のカムフォロア119は第1のカム部材120から一旦外れて移動する。
【0049】
そして、広口プリフォーム1が搬送部材20上に載置された状態で、保持部111は搬送部材20と共にC位置からD位置まで移動する。その間、第1のカムフォロア119は、第1のカム部材120の下方を通過する。つまり保持部111は、下限位置のまま回転移動する。第2のカムフォロア129は第3のカム部材132の上り傾斜面132aを介して第3のカム部材132の上面を転動する。この第2のカムフォロア129の移動に伴い、第2の支持部材117が上昇し、
図4(b)に示すように、保持部111がD位置にある状態では、第2の支持部材117は、広口プリフォーム1に干渉しない高さ(上限位置)で回転移動する。すなわち保持部111がC位置からD位置に移動する間に、第2の支持部材117の広口プリフォーム1との係合が解除される。そして広口プリフォーム1が搬送部材20に受け渡され、搬送部材20は第1の直線搬送路31aを搬送される。
【0050】
保持部111はD位置からE位置に回転移動するのに対し、搬送部材20はA位置からD位置まで曲線移動した後、第1の直線搬送路31aを直線移動する。これにより、保持部111から搬送部材20に広口プリフォーム1が受け渡される。すなわち保持部111の第1の支持部材116が広口プリフォーム1から引き離され、広口プリフォーム1が搬送部材20に受け渡される。また保持部111がD位置からE位置に回転移動する間に、第2のカムフォロア129は、第3のカム部材の下り傾斜面132bを転動し、それに伴い第2の支持部材117が下限位置まで下降する(
図5(a)参照)。すなわち第2の支持部材117は、板状部材126が延設部124に当接する位置まで下降する。なお第1のカムフォロア119は、この間も第1のカム部材120の下方を通過する。
【0051】
その後、保持部111がE位置からF位置まで回転移動する間に、第1のカムフォロア119が第1のカム部材120の第1の上り傾斜面120bを転動し始め、それに伴い保持部111が上昇する。
図5(b)に示すように、保持部111がF位置にある状態では、第1のカムフォロア119は第1のカム部材120の第1の上り傾斜面120bの中央付近に位置している。さらに保持部111がF位置からG位置まで回転移動する間に、第1のカムフォロア119が第1のカム部材120の上り傾斜面120bを転動し、保持部111が上限位置付近まで上昇する。すなわち保持部111がG位置にある状態では、
図5(c)に示すように、第1のカムフォロア119は第1のカム部材120の上り傾斜面120bを転動しているが、第1のカム部材120のほぼ上面付近に位置している。つまり保持部111がG位置に達すると、保持部111はほぼ上限位置まで上昇する。
【0052】
その後、第1のカムフォロアは第1のカム部材の上面を転動し、保持部111は、スライド搬送部150に対応する高さで上述したA位置まで搬送される。またその間に、第2のカムフォロアが、第2のカム部材130の上り傾斜面130bを介して第2のカム部材130の上面を転動することで、上述したようにA位置では第2の支持部材117が上限位置となる。
【0053】
また本実施形態では、保持部111がC位置にある状態で、例えば、広口プリフォーム1を搬送部材20に適切に載置できていない等の供給不良が検出された場合、アクチュエータ122により保持部111(保持部本体115)を所定位置まで上昇させる。この場合、保持部111がC位置からG位置に移動する間、第1のカムフォロア119は、第1のカム部材120の第2の上り傾斜面120cを介して第1のカム部材120の上面を転動する。つまり保持部111は、広口プリフォーム1を保持したまま上限位置まで上昇し、広口プリフォーム1を搬送部材20に供給することなくG位置まで回転移動する。なお図示は省略するが、G位置にて保持部111が保持している広口プリフォーム1は、G位置からA位置に回転移動する間に、保持部111から取り外されて外部に排出される。
【0054】
上述のように本発明に係る成形品供給装置100では、広口プリフォーム1を所定間隔で保持して搬送部材の移動に同期させて搬送しつつ広口プリフォーム1を下降させて各搬送部材20に供給する。これにより、搬送部材20の昇降ロッド22が搬送台21の上部に突出させた状態であっても、搬送部材20に広口プリフォーム1を良好に供給することができる。
【0055】
このような成形品供給装置100によって搬送部材20に供給された広口プリフォーム1は、搬送部材20によって搬送路31を搬送され、第1〜第3の直線搬送路31a〜31cに設けられた加熱部40に供給される(
図1参照)。
【0056】
加熱部40は、第1〜第3の直線搬送路31a〜31cに沿った方向に所定長さを有するようにユニット化されている。加熱部40は、広口プリフォーム1の口部2を挟んだ両側にヒーター41を備えている。広口プリフォーム1は、このような加熱部40を通過する際に口部2の周辺が
加熱されて結晶化される。
【0057】
加熱部40を通過する際、搬送部材20は、昇降ロッド22を上限位置まで上昇させ、押上部材23によって広口プリフォーム1の底部を押し上げ、
図6に示すように、口部2を搬送台から離間させた状態で広口プリフォーム1を保持している。また昇降ロッド22を上昇させた状態では、広口プリフォーム1の口部2内にはコア24が挿入されている。このコア24によってヒーター41からの熱線(赤外線)を反射させて、あるいはコア24の保有熱により、広口プリフォーム1の口部2を内側から加熱している。また加熱部40では、広口プリフォーム1の口部2を周方向にて均一に加熱するために、広口プリフォーム1が自転駆動されるようになっている。
【0058】
上述のように本発明に係る成形品供給装置100によれば、昇降ロッド22を大きく下降させることなく、搬送部材20に広口プリフォーム1を供給することができる。このため、搬送部材20を構成する昇降ロッド22の昇降距離を比較的短く設定することができる。昇降ロッド22の昇降距離が長いと、加熱部40で昇降ロッドを上昇させて広口プリフォーム1を自転させた場合、広口プリフォーム1の揺動が比較的大きくなってしまう虞がある。しかしながら本発明に係る成形品供給装置100を採用することで、昇降ロッド22の昇降距離を短く抑えることができる。したがって、昇降ロッド22を上昇させた状態で広口プリフォーム1を自転させる場合でも、広口プリフォーム1の揺動が小さく抑えられ、口部をより均一に加熱することができる。さらに、昇降ロッド22の昇降距離が短くなることで、昇降ロッド22やそれに関連する軸受け等の関連部品の損耗度が抑えられ、昇降ロッド22やその関連部品の破損リスクを抑制することができる。
【0059】
冷却部50は、図示は省略するが冷却ファンを有し、結晶化温度で加熱された広口プリフォーム1の口部2を冷却する。この冷却部50を通過する際には、搬送部材20は、加熱部40を通過する際と同様に、口部2を搬送台から離間させ口部2内にコア24を挿入した状態で広口プリフォーム1を保持している。
【0060】
取出し部60は、第4の直線搬送路31dの冷却部50の下流側に配置され、冷却部50で冷却された広口プリフォーム1を口部結晶化装置10の外部に取り出す。本実施形態に係る取出し部60は、
図7及び
図8に示すように、搬送路31の上部に配置され、搬送路31の両側から広口プリフォーム1を把持する一対の把持部材61,62を備えている。把持部材61は、把持部材本体63と各搬送部材20に載置されている広口プリフォーム1の口部2に当接する複数のチャック部64とを有する。チャック部64は、連続する複数(例えば、4つ)の搬送部材20に対応して設けられている。すなわち各把持部材61,62は、搬送路31の外側に配置される把持部材本体63と把持部材本体63から搬送路31側に櫛歯状に形成された複数(例えば、4つ)のチャック部64とで構成されている。把持部材61,62は、アクチュエータ装置等で構成される駆動部65に接続されており、駆動部65によって搬送路31の幅方向(搬送方向とは直交する方向)で移動可能に構成されている。駆動部65の上部には支持軸66の一端が固定され、支持軸66の他端側はフレーム部材67(
図1参照)に連結されている。そして支持軸66は、図示は省略するが昇降可能に構成されている。さらに支持軸66は、フレーム部材67に沿って搬送路31に対向する領域から搬送路31の外側までスライド可能に構成されている。
【0061】
取出し部60に搬送部材20が搬送されると、昇降ロッド22が下限位置まで下降する。すなわち押上部材23を広口プリフォーム1の底部5から離間させると共に、コア24を口部2の下側まで下降させ、広口プリフォーム1が搬送台に載置された状態とする。取出し部60は、この状態で駆動部65を作動させ、把持部材61,62によって4つの広口プリフォーム1を同時に把持する。さらに広口プリフォーム1を把持した把持部材61,62を支持軸66によって上昇させると共に、フレーム部材67に沿って搬送路31の所定位置までスライドさせる。そして、この所定位置で把持部材61,62を開き、把持していた広口プリフォーム1を装置外に取り出す。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の成形品供給装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上述の実施形態では、口部結晶化装置を一例として、本発明の成形品供給装置を説明したが、本発明の成形品供給装置は、例えば、広口プリフォームをブロー成形するブロー成形装置等、広口プリフォームが載置された搬送部材を搬送路に沿って搬送する搬送装置を備えるものであれば、口部結晶化装置以外の装置にも適用することができる。また本発明に係る成形品供給装置は、広口プリフォームの供給に適したものであるが、勿論、広口プリフォーム以外の他の成形品の供給を行うこともできる。