(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの調製のための方法であって、反応器の中でヒドロクロロフルオロアルカンを含む試薬流を触媒と接触させて、前記ヒドロクロロフルオロアルカンの少なくとも一部を脱塩化水素化して、前記(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケン及び塩化水素(HCl)を含む生成物流を生成することを含み、前記触媒が、ゼロ価金属触媒から選択され、前記接触ステップが、ガス相でHCl共供給物の存在下で行われ、
前記触媒が、それを前記ヒドロクロロフルオロアルカンを含む前記試薬流と接触させる前に塩素化され、かつ、
前記ゼロ価金属触媒がニッケルを含む、方法。
前記反応器に供給されるHClの量が、ヒドロクロロフルオロアルカンと前記反応器に供給されるHClとを組み合わせた量に基づいて、最大50mol%である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
前記反応器に供給されるHClの量が、ヒドロクロロフルオロアルカンと前記反応器に供給されるHClとを組み合わせた量に基づいて、少なくとも1mol%である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
前記ヒドロクロロフルオロプロパンが、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244bb)である、HFO−1234yfを調製するための、請求項17に記載の方法。
前記ヒドロクロロフルオロプロパンが、3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−244fa)である、HFO−1234zeを調製するための、請求項17に記載の方法。
【発明の開示】
【0004】
しかし、例えば触媒的脱塩化水素化による(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの調製は、競合する脱フッ化水素反応に因り、しばしば問題である。競合する脱フッ化水素反応は、除去されるべきかまたは再循環されるべきである不要な副産物を生成し得る。結果として、脱塩化水素反応は典型的に、目的の(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケン生成物に対して所望されるよりも低い選択性を有する。
【0005】
よって、一切の望ましくない競合する脱フッ化水素反応を抑え、相応して、目的の(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンに対する選択性を増加させる方法が必要とされている。かかる方法は、所望される(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケン生成物の収率及びこの反応の単一通過の生産性の両方を増加させるであろう。
【0006】
本発明は、反応器の中でヒドロクロロフルオロアルカンを含む試薬流を触媒と接触させて、ヒドロクロロフルオロアルカンの少なくとも一部を脱塩化水素化して、(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケン及び塩化水素(HCl)を含む生成物流を生成することによる、(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの調製のための方法の提供により、前述及び他の欠乏に対処し、触媒は、金属酸化物触媒、金属ハロゲン化物触媒、ゼロ価金属触媒、炭素系触媒、及びそれらの混合物からなる群から選択され、(i)触媒は、それをヒドロクロロフルオロアルカンを含む試薬流と接触させる前に塩素化され、かつ/または(ii)接触ステップは、HCl共供給物の存在下で行われる。
【0007】
(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケン及びヒドロクロロフルオロアルカン
好ましくは、本発明の方法は、対応するC
3〜7ヒドロクロロフルオロアルカンを脱塩化水素化することによるC
3〜7(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの調製を対象とする。
【0008】
有利には、本発明の方法により調製されたC
3〜7(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンは、(ヒドロ)(クロロ)フルオロブテンまたは(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンである。それゆえ、一実施形態において、本発明の方法は、対応するヒドロクロロフルオロプロパンを脱塩化水素化することによる(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンの調製を対象とする。
【0009】
明瞭かつ簡潔にするために、別途示さない限り、本明細書の残りは、(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンの調製に関する。当然のように、本発明は、(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンの調製に限定されず、適切な場合、前述の情報の一切が、C
4〜7以上の(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの調製に適用可能であると理解されたい。
【0010】
用語(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンにより、ヒドロクロロフルオロプロペン、ヒドロフルオロプロペン、及びペルフルオロプロペンが含まれる。同様に、用語(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンにより、ヒドロクロロフルオロアルケン、ヒドロフルオロアルケン、及びペルフルオロアルケンが含まれ、用語(ヒドロ)(クロロ)フルオロブテンにより、ヒドロクロロフルオロブテン、ヒドロフルオロブテン、及びペルフルオロブテンが含まれる。
【0011】
本発明の方法により調製され得る好ましいヒドロクロロフルオロプロペンには、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CF
3CH=CHCl、HCFO−1233zd)及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(CF
3CCl=CH
2、HCFO−1233xf)などのトリフルオロクロロプロペンが含まれる。
【0012】
HCFO−1233zdは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CHClCH
2Cl、HCFC−243db)及び/または1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CH
2CHCl
2、HCFC−243fa)を脱塩化水素化することにより、本発明の方法に従って調製され得る。好ましくは、HCFO−1233zdは、HCFC−243faを脱塩化水素化することにより調製される。疑義を避けるために明記すると、本発明の範囲内にHCFO−1233zdのシス及びトランス異性体の両方が含まれる。
【0013】
HCFO−1233xfは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CHClCH
2Cl、HCFC−243db)及び/または2,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CCl
2CH
3、HCFC−243cb)を脱塩化水素化することにより、本発明の方法に従って調製され得る。好ましくは、HCFO−1233xfは、243dbを脱塩化水素化することにより調製される。
【0014】
本発明の方法により調製され得るヒドロフルオロプロペンには、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、及びペンタフルオロプロペン、好ましくはトリフルオロプロペン及びテトラフルオロプロペン、特にテトラフルオロプロペンが含まれる。
【0015】
3,3,3−トリフルオロプロペン(CF
3CH=CH
2、HFO−1243zf)は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CH
2CH
2Cl、HCFC−253fb)及び/または2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(CF
3CHClCH
3、HCFC−253da)の脱塩化水素化により、本発明に従って調製され得る好ましいトリフルオロプロペンである。好ましくは、HCFO−1243zfは、253fbを脱塩化水素化することにより調製される。
【0016】
1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF
3CH=CHF、HFO−1234ze)は、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CF
3CH
2CHClF、HCFC−244fa)及び/または2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CF
3CHClCH
2F、HCFC−244db)の脱塩化水素化により、本発明に従って調製され得る好ましいテトラフルオロプロペンである。好ましくは、HFO−1234zeは、244faを脱塩化水素化することにより調製される。疑義を避けるために明記すると、本発明の範囲内にHFO−1234zeのシス及びトランス異性体の両方が含まれる。
【0017】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CF
3CH=CHF、HFO−1234yf)は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CF
3CHFCH
2Cl、HCFC−244eb)及び/または2−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(CF
3CFClCH
3、HCFC−244bb)の脱塩化水素化により、本発明に従って調製され得る別の好ましいテトラフルオロプロペンである。好ましくは、HFO−1234yfは、244bbを脱塩化水素化することにより調製される。
【0018】
本発明の方法に従って調製され得るペンタフルオロプロペンには、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(CF
3CF=CFH、HFO−1225ye)及び1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(CF
3CH=CF
2、HFO−1225zc)が含まれる。HFO−1225yeは、2−クロロ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CF
3CFClCH
2F、HCFC−235bb)及び/または1−クロロ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CF
3CFHCHFCl、HCFC−235ea)の脱塩化水素化により、調製され得る好ましいペンタフルオロプロペンである。疑義を避けるために明記すると、本発明の範囲内にHFO−1225yeのシス及びトランス異性体の両方が含まれる。
【0019】
ペルフルオロプロペン(CF
3CF=CF
2、1216)は、2−クロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(CF
3CFClCF
2H、HCFC−226ba)及び/または1−クロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(CF
3CFHCF
2Cl、HCFC−226ea)を脱塩化水素化することにより、本発明の方法に従って調製され得る。
【0020】
触媒
本発明の方法で使用される触媒は、(a)金属酸化物、(b)金属ハロゲン化物、(c)ゼロ価金属、または(d)炭素系触媒のうちの1つ以上を含む。本発明の一態様において、触媒は、(a)金属酸化物、(b)金属ハロゲン化物、または(c)ゼロ価金属のうちの1つ以上を含む。実施形態において、触媒は、(a)金属酸化物または(b)金属ハロゲン化物のうちの1つ以上を含む。好ましくは、触媒は、金属酸化物を含む。
【0021】
以下でより詳細に説明されるように、使用に際して、触媒の4つの分類の各々は、少なくとも部分的に塩素化されるであろう。よって、例えば、使用に際して、金属酸化物触媒は、金属(オキシ)塩化物(典型的に、金属オキシ塩化物)と見なされ得、金属ハロゲン化物触媒は、金属(ハロ)塩化物と見なされ得る。任意に、触媒は、使用中の塩素化または予備塩素化の前にフッ素化される。使用に際して、触媒は、ヒドロクロロフルオロアルカンの競合する脱フッ化水素化に因り、存在する任意のHFによりフッ素化もされ得る。それゆえ、使用に際して、触媒の4つの分類の各々は、少なくとも部分的に塩素化され、少なくとも部分的にフッ素化もされ得る。よって、例えば、使用に際して、金属酸化物触媒は、金属(オキシ)(フルオロ)塩化物、典型的に金属オキシフルオロ塩化物と見なされ得る。
【0022】
触媒の形態は、例えば触媒の性質及び/または調製されている特定の(ヒドロ)(クロロ)フルオロプロペンの性質に応じて変化し得る。触媒は、触媒の活性、安定性、及び/または調製の容易性を改善するために添加された構成成分を含有し得る。例えば、金属酸化物触媒中で使用され得る促進剤に関して以下の考察を参照されたい。あるいは/追加で、触媒を所望される形態に成形または顆粒化するとき、触媒は、触媒の物理的一体性を改善するための結合剤及び/または潤滑剤を含有し得る。ステアリン酸マグネシウムは、好適な潤滑剤/結合剤の例である。別の好適な潤滑剤/結合剤は、黒鉛である。存在する場合、結合剤及び/または潤滑剤は典型的に、触媒の約0.1〜約10重量%、触媒の好ましくは約0.2〜約6重量%の量で存在する。
【0023】
本明細書で使用される触媒は、任意の好適な基材上で無担持または担持され得る。例えば「The design and Preparation of Supported Catalysts」,G.J.K.Acresら,Catalysis,1981(RSC)を参照されたく、好適な触媒担持体に関して、参照することにより本明細書に組み込まれる。典型的な触媒担持体には、例えば活性炭素、黒鉛、塩素化黒鉛、及びそれらの組み合わせが含まれる。本明細書の後に記載されるように、活性炭素及び黒鉛は、好適な触媒担持体であることに加えて、本発明の方法にとって正当な理由で好適な触媒でもある。本発明の触媒は、例えば固定床または流動床で使用するのに適切なサイズの小丸または顆粒を含む、任意の好適な形態で提供され得る。
【0024】
本発明の方法で使用するのに好適な触媒の第1の分類は、金属酸化物を含む触媒である。典型的に、金属酸化物触媒中の金属は、ルイス酸の特徴を有する金属(オキシ)塩化物または金属(オキシ)(フルオロ)塩化物を形成する任意の金属のうちの1つ以上である。例は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、Al、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、及びCeから選択される金属である。一実施形態において、金属酸化物中の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、Cr、Al、Zr、Nb、Pd、Ta、Zn、V、Mo、Ni、Co、及びそれらの混合物から選択される。別の実施形態において、金属酸化物中の金属は、Cr、Zr、Nb、Ta、V、Mo、Pd、Ni、Zn、Co(特に、Cr及びZn)、及びそれらの混合物から選択される遷移金属である。さらなる実施形態において、金属酸化物中の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、及びCsから選択されるI族またはII族の金属である。好ましい金属酸化物の例には、Cr
2O
3、ZrO
2、Li
2O、Na
2O、K
2O、CaO、MgO、Cs
2O、及びそれらの混合物が含まれる。Cr
2O
3(クロミア)に基づく触媒が、特定の実施形態において特に好ましい。
【0025】
使用に際して、金属酸化物触媒は典型的に、金属(オキシ)(フルオロ)塩化物である。これは、金属酸化物または金属(オキシ)フッ化物の格子中の少なくともいくつかの酸素が(金属酸化物が、使用に際して予備フッ素化され、かつ/または触媒が、HFによりフッ素化される場合)、本発明の方法に従って、予備塩素化ステップにより及び/またはHClの共供給物により塩素で置き換えられ得るためである。言い換えると、金属酸化物(または、金属酸化物が予備フッ素化される場合は金属(オキシ)フッ化物)は、予備触媒と見なされ得る。
【0026】
本発明の方法で使用される金属酸化物触媒は、少なくとも1つの追加の金属またはそれらの化合物を含有し得る。これは、金属促進剤とも称され得る。一実施形態において、少なくとも1つの追加の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、Sc、Al、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、Ce、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、少なくとも1つの追加の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、Cr、Zr、Nb、Pd、Ta、Zn、V、Mo、Ni、Co、及びそれらの混合物から選択される。
【0027】
疑義を避けるために明記すると、追加の金属(またはそれらの化合物)は、任意の所与の触媒にとって、金属酸化物の同じ酸化状態にある金属と同じであり得ない。例えば、触媒がクロム(III)の酸化物を含む場合、少なくとも1つの追加の金属は、クロム(III)以外の、前の項に列挙された金属を含む任意の好適な金属であり得る。さらに、触媒がクロム(III)の酸化物を含む場合、少なくとも1つの追加の金属(またはそれらの化合物)は、クロム(VI)の化合物であり得る。好ましい態様において、追加の金属の化合物は、追加の金属の酸化物、塩化物、またはオキシ塩化物である。Cr
2O
3系触媒にとって好ましい追加の金属は、亜鉛または亜鉛の化合物である。かかる亜鉛促進クロミア触媒はしばしば、亜鉛/クロミア触媒と称される。
【0028】
存在するとき、本発明の触媒中に存在する追加の金属または追加の金属の化合物の合計量は典型的に、触媒の合計重量に基づいて、約0.01%〜約25重量%である。追加の金属または追加の金属の化合物の好ましい量は、約0.1%〜約20%、便宜的に約0.1%〜約15%である。いくつかの実施形態において、触媒は、触媒の約1〜約8重量%、例えば約1〜約5重量%などの、触媒の約0.5重量%〜約10重量%の量で追加の金属または追加の金属の化合物を含有する。
【0029】
本明細書に引用される追加の金属または追加の金属の化合物の量は、元素金属または金属の化合物として存在するかに関わらず、元素金属の量を指すと理解されたい。
【0030】
本発明で使用される金属酸化物触媒は、市販され得、かつ/または任意の好適な手段により調製され得る。金属酸化物触媒は典型的に、沈殿方法により調製され、それにより目的の金属酸化物が、アルカリまたは塩基で処理されると目的の金属の塩の溶液から沈殿される。例えば、クロム(III)酸化物は、アンモニア水を含む硝酸クロム(III)塩溶液で処理されると沈殿により調製され得る。かかる金属酸化物触媒は、例えばBASF及びJohnson−Mattheyにより、商業的に製造される。
【0031】
ほんの例として、本発明の方法で使用され得る亜鉛/クロミア触媒を調製するための好適な方法が以下に要約される。亜鉛/クロミア触媒及びそれらの調製のさらなる詳細は、例えば欧州第EP−A−0502605号、欧州第EP−A−0773061号、欧州第EP−A−0957074号、国際特許出願第98/10862号、及び国際特許出願第2008/040969号で見られ得、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0032】
亜鉛/クロミア触媒の調製のための好適な方法には、水酸化アンモニウムの添加における硝酸亜鉛及び硝酸クロムの溶液からの共沈殿が含まれる。あるいは、亜鉛またはそれらの化合物の非晶質クロミア触媒上への表面含浸が使用され得る。
【0033】
亜鉛/クロミア触媒を調製するためのさらなる方法には、例えば、亜鉛金属による、クロム(VI)化合物、例えばクロム酸塩、二クロム酸塩、特に二クロム酸アンモニウムのクロム(III)への還元、その後の共沈殿及び洗浄、またはクロム(VI)化合物及び亜鉛の化合物、例えば酢酸亜鉛またはシュウ酸亜鉛を固形物として混合すること、ならびに混合物を高温まで加熱して、クロム(VI)化合物のクロム(III)酸化物への還元を引き起こして、亜鉛の化合物を酸化させて亜鉛酸化物にすることが含まれる。
【0034】
亜鉛は、用いられる触媒調製技術に少なくともある程度応じて、化合物、例えば、硝酸塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、または水酸化物の形態でクロミア触媒中に導入され得、かつ/またはクロミア触媒上に導入され得る。触媒調製がクロミア、ハロゲン化クロミア、またはクロムオキシハロゲン化物の含浸による場合の事例において、化合物は好ましくは、水溶性塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩、または炭酸塩であり、水溶液またはスラリーとして用いられる。あるいは、亜鉛及びクロムの水酸化物が(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、もしくは水酸化アンモニウムなどの塩基、またはかかる塩基の混合物の使用により)共沈殿され、次いで酸化物に変換されて、亜鉛/クロミア触媒が調製され得る。不溶性亜鉛化合物と塩基性クロミア触媒との混合及び粉砕は、触媒前駆体を調製するさらなる方法を提供する。クロムオキシハロゲン化物に基づく亜鉛/クロミア触媒を作製するための方法は、亜鉛の化合物を水和クロムハロゲン化物に添加することを含む。
【0035】
本発明の方法で使用するのに好適な触媒の第2の分類は、金属ハロゲン化物を含む触媒である。金属ハロゲン化物触媒中のハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物、好ましくはフッ化物または塩化物から選択される任意のハロゲン化物であり得る。しかし、使用に際して、金属フッ化物、臭化物、またはヨウ化物は、金属(ハロ)塩化物になるであろう(ハロ=フッ化物、臭化物、またはヨウ化物の場合)。これは、金属ハロゲン化物の格子中の少なくともいくつかのハロゲン化物が、本発明の方法に従って、予備塩素化ステップ及び/またはHClの共供給物により塩素で置き換えられるためである。任意に、触媒は、予備塩素化ステップにおける及び/またはHClの共供給物による塩素化の前に予備フッ素化ステップを行う。かかる事情において、及び/または触媒が、競合するヒドロクロロフルオロアルカンの脱フッ化水素化の結果として、反応器中に存在する任意のHFにより少なくとも部分的にフッ素化されることになり得るため、金属ハロゲン化物触媒は使用に際して、金属(フルオロ)(ハロ)塩化物と見なされ得る(ハロ=臭化物またはヨウ化物である)。
【0036】
典型的に、金属ハロゲン化物触媒中の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Zn、La、Ce、及びそれらの混合物から選択される。一実施形態において、金属ハロゲン化物中の金属は、Li、Na、K、Ca、Mg、Cs、及びそれらの混合物から選択される。別の実施形態において、金属ハロゲン化物中の金属は、Cr、Zr、Nb、Ta、Fe、V、Mo、Pd、Ni、Zn、Co(特に、Cr及びZr)、及びそれらの混合物から選択される遷移金属である。
【0037】
金属ハロゲン化物触媒は、市販され得、かつ/または任意の好適な手段により調製され得る。例えば、好適な金属水酸化物、酸化物、及び/または炭酸塩は、腐食耐性がある容器中でHCl及び/またはHF水溶液中に溶解し得る。蒸発乾燥後、得られた試料は、高温で、好ましくは窒素などの不活性ガスの存在下でか焼され得る。典型的に、得られた材料は、細粉に研削され、好ましくは、小丸または顆粒に形成される。
【0038】
本発明の方法で使用するのに好適な触媒の第3の分類は、ゼロ価金属を含む触媒である。ゼロ価金属触媒は典型的に、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cr、Mn、Pd、Pt、Nb、Rh、及びそれらの混合物から選択されるゼロ価金属を含む。好適な触媒には、(活性)炭素、ニッケル、及び前述の金属の合金上に担持されたパラジウムが含まれる。好適な合金には、ステンレス鋼、Monel(登録商標)、及びInconel(登録商標)が含まれる。ニッケルを含む触媒が、現在、特に好ましい。
【0039】
使用に際して、ゼロ価金属触媒は典型的に、本発明の方法に従って、予備塩素化ステップ及び/またはHClの共供給物により少なくとも部分的に塩素化される。使用に際して、ゼロ価金属触媒は、競合するヒドロクロロフルオロアルカンの脱フッ化水素化により生成された任意のHFにより少なくとも部分的にフッ素化もされ得る。言い換えると、少なくともいくつかのゼロ価金属触媒は、使用に際して、ゼロ価より高い原子価を有し、よって、ゼロ価金属は、予備触媒と見なされ得る。これは、ゼロ価金属触媒再生が典型的に、金属塩化物をゼロ価金属に少なくとも部分的に低減するための還元ステップを必要とする結果を有する。これは、触媒再生と関連して、本明細書の後でより詳細に記載される。
【0040】
本発明の方法で使用され得る触媒の第4の分類は、炭素系触媒である。活性炭素及び黒鉛は、好適な炭素系触媒の例である。一実施形態において、炭素系触媒は、活性炭素を含む。
【0041】
活性炭素により、約50〜約3000m
2または約100〜約2000m
2(例えば、約200〜約1500m
2または約300〜約1000m
2)などの比較的高い表面領域を有する任意の炭素が含まれる。活性炭素は、石炭(例えば、木炭)、木の実の殻(例えば、ココナッツ)、及び木材などの任意の炭素質材料由来であり得る。粉末化された、顆粒化された、押し出しされた、及び小丸化された活性炭素などの活性炭素の任意の形態が使用され得る。
【0042】
使用に際して、炭素系触媒は典型的に、本発明の方法に従って、予備塩素化ステップ及び/またはHClの共供給物により少なくとも部分的に塩素化される。炭素系触媒は、競合するヒドロクロロフルオロアルカンの脱フッ化水素化により生成された任意のHFにより、使用に際して少なくとも部分的にフッ素化もされ得る。
【0043】
本発明で使用される触媒は、非晶質であり得る。これにより、触媒は、例えばX線回折により分析される場合、実質的な結晶性特徴を示さないことを意味する。あるいは、触媒は、アルミナ(担持体)及び/もしくは金属酸化物中、または炭素中で、いくつかの結晶性特徴を示し得る。
【0044】
例えば、金属酸化物及び/または金属ハロゲン化物触媒は、部分的に結晶性であり得る。これにより、触媒の0.1〜50重量%が、触媒中の金属(複数可)の1つ以上の結晶性化合物の形態であることを意味する。部分的に結晶性触媒が使用される場合、それは、触媒中の金属(複数可)の1つ以上の結晶性化合物の形態で、触媒の好ましくは0.2〜25重量%、より好ましくは0.3〜10重量%、さらにより好ましくは0.4〜5重量%を含有する。
【0045】
触媒の予備塩素化及び/またはHClの共供給物
本発明の方法の重要な特徴は、(i)金属系触媒が、触媒をヒドロクロロフルオロアルカンと接触させる前に塩素化されて、脱塩化水素化を触媒するか、または(ii)触媒をヒドロクロロフルオロアルカンと接触させるステップが、HCl共供給物の存在下で行われることである。あるいは、触媒予備塩素化ステップ(i)及びHCl共供給物(ii)の両方が、本発明の方法で使用され得る。理論に束縛されず、ヒドロクロロフルオロアルカン及び反応条件などの組み合わせに応じて、触媒予備塩素化ステップ(i)及びHCl共供給物の使用(ii)のうちの1つまたは両方が驚くべきことに、一切の所望されない脱フッ化水素反応を上回って、所望される脱塩化水素化の選択性を増加させ、かつ/または使用に際して、触媒の安定性を増加させると考えられる。
【0046】
触媒予備塩素化ステップ(i)は、例えば二原子塩素(Cl
2)、ClF(例えば、Cl
2及びフッ化水素の混合物としてその場で形成される)、及び塩化水素(HCl)を含む、任意の好適な塩素化剤により引き起こされ得る。一実施形態において、触媒は、HCl及び/またはまたはCl
2を含む塩素化剤で塩素化される。好ましくは、塩素化剤は、HClを含む。
【0047】
本明細書に記載される触媒(特に、金属酸化物触媒)は典型的に、それらが使用に際して晒される環境条件下で安定するように、使用前に加熱処理することにより安定化される。触媒は好ましくは、窒素または窒素/空気環境下で加熱処理することにより安定化される。当技術分野において、この段階はしばしば、「か焼」と呼ばれる。多くの市販される触媒は、既にか焼されており、一実施形態において、触媒予備塩素化ステップは、予備か焼された触媒上で行われる。
【0048】
あるいは、触媒予備塩素化の前にか焼ステップを組み込むことは、比較的簡単である。例えば、触媒(特に、金属酸化物触媒)は、窒素の大気または窒素中約0.1〜約10%v/vの酸素レベルを有する大気を含む、好適な大気中で加熱処理され得る。あるいは、他の酸化環境が使用され得る。例えば、好適な酸化剤を含有する環境には、硝酸、CrO
3、O
2、またはCl
2(例えば、空気)の源を含有するものが含まれるが、これらに限定されない。使用されるとき、予備か焼ステップは、以下の条件下で行われ得る。
【表1】
【0049】
一実施形態において、触媒予備塩素化ステップは、予備乾燥触媒上で行われる。あるいは/追加で、触媒予備塩素化の開始において乾燥ステップを組み込むことは比較的簡単である。これは便宜的に、後の脱塩化水素反応が実施される反応器中で実施され得る。これは、高温で、不活性ガス(例えば、窒素)を、触媒上を通過させることにより達成され得る。例えば、触媒は、以下の空間速度、乾燥時間、及び温度を以って、不活性ガス下で乾燥し得る。
【表2】
【0050】
一実施形態において、触媒予備塩素化ステップは、予備フッ素化された触媒上で行われる。あるいは/追加で、所望される場合、触媒予備塩素化の開始において触媒フッ素化ステップを組み込むことは比較的簡単である。これは便宜的に、後の脱塩化水素反応が実施される反応器中で実施され得る。これは、高温で、フッ素化剤(例えば、HF)を任意に不活性ガス(例えば、窒素)と組み合わせて、触媒上を通過させることにより達成され得る。例えば、触媒(特に、金属酸化物触媒)は、以下の条件下で(特にHFで)予備フッ素化され得る。
【表3】
【0051】
予備塩素化ステップは典型的に、高温で、塩素化剤を含むガス流を、触媒上を通過させることにより行われる。これは便宜的に、後の脱塩化水素反応が実施される反応器中で実施され得る。ガス流は、実質的に純粋な塩素化剤(例えば、HCl及び/またはCl
2)であり得る。しかし、あるいは、塩素化剤は、不活性ガス(例えば、窒素)の存在下で触媒上を通過させられて、少なくとも初期に塩素化剤を希釈し得る。例えば、触媒(特に、金属酸化物触媒)は、以下の条件下で(特にHClで)予備塩素化され得る。
【表4】
【0052】
触媒乾燥、フッ素化(使用されるとき)、及び塩素化は、単一手順にまとめられ得る。これは、単一ステップ中で触媒活性、選択性、及び安定性を最適化することにより方法の経済性及び単純性の有益性を有する。かかる手順において、触媒は、表2に提示された条件に従って乾燥される。触媒がフッ素化される場合、フッ素化剤(例えば、HF)は、表3に提示された条件に従って、不活性ガスの流れ(例えば、N
2)に加えて、しばしば少なくとも初期に触媒上に流される。次いで、フッ素化剤の流れは停止され、次に典型的に不活性ガスの流れが使用されて、一切の残留フッ素化剤の触媒をパージするであろう。次いで、塩素化剤(例えば、HCl)は、表4に提示された条件に従って、不活性ガスの流れ(例えば、N
2)に加えて、しばしば少なくとも初期に触媒上に流される。
【0053】
上記の触媒塩素化手順において、不活性ガスの流れは典型的に、塩素化剤の流れが作動された後、定義された期間に従って、例えば、塩素化剤の流れが作動された後、約10分〜約20時間、好ましくは約30分〜約20時間、例えば約1時間〜約12時間断たれる。あるいは、塩素化剤が塩素化のオフガス中で検出されると、不活性ガスの流れは断たれ得る。次いで、典型的に、反応器の温度は、増加されて(表3と比較して表2の温度範囲を参照されたい)、触媒塩素化を促進する。任意に、触媒予備塩素化が完了するとき、塩素化剤の流れは断たれ得、不活性ガスの流れは再開されて、任意の残留塩素化剤の触媒をパージし得る。
【0054】
当然のように、触媒塩素化が、触媒乾燥(及び、任意に触媒フッ素化)と単一手順に組み合わせられないときでさえ、すなわち、予備乾燥(及び、任意に予備フッ素化される)触媒が塩素化されるとき、塩素化剤(例えば、HCl)は、触媒塩素化の間、不活性ガス(例えば、窒素)で希釈され得る。塩素化剤及び不活性ガスの希釈剤の比較量は典型的に、上記の表3に定義された範囲にある。
【0055】
触媒予備塩素化の代替としてまたは触媒予備塩素化に加えて、本発明の脱塩化水素化方法は、HClの共供給物の存在下で行われ得る。言い換えると、ヒドロクロロフルオロアルカンを含む試薬流を触媒と接触させて、ヒドロクロロフルオロアルカンの少なくとも一部を脱塩化水素化するステップの間、HClの供給物は、反応器に供給され得る。HClは、反応器に分離して、かつ/または試薬流中でヒドロクロロフルオロアルカンと組み合わせられて供給され得る。
【0056】
疑義を避けるために明記すると、HCl共供給物は使用されるときに、ヒドロクロロフルオロアルカンの脱塩化水素化から、その場の反応器中に存在するHClの量以上に反応器中に存在するHClの量を増加させる。実際に、一実施形態において、ヒドロクロロフルオロアルカンの脱塩化水素化により生成されたHClの少なくとも一部は、脱塩化水素反応器に再循環されて、HCl共供給物の少なくとも一部を形成する。
【0057】
一態様において、HCl共供給物の少なくとも一部が、ヒドロクロロフルオロアルカンを製造する、前の方法ステップに由来する。典型的に、本発明の方法において試薬流の部分を形成するヒドロクロロフルオロアルカンは、(ヒドロ)クロロ(フルオロ)アルカンまたは(ヒドロ)クロロ(フルオロ)アルケン、好ましくはヒドロクロロ(フルオロ)アルカンまたはヒドロクロロ(フルオロ)アルケンのフッ素化により調製される。
【0058】
例えば、HCFC−243fa及びHCFC−244faは、以下の等式に従って、HFを用いた1,1,1,3,3,−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)のフッ素化により調製され得る。
CCl
3CH
2CCl
2H(HCC−240fa)+4HF→CF
3CH
2CClFH(HCFC−244fa)+4HCl
CCl
3CH
2CCl
2H(HCC−240fa)+3HF→CF
3CH
2CCl
2H(HCFC−243fa)+3HCl
【0059】
ヒドロクロロフルオロアルカンの調製で生成されたHClの少なくとも一部は、本発明の方法においてHCl共供給物中で使用され得る。よって、上記の例において、HCFC−244faの調製で生成されたHClの少なくとも一部は、HCFC−244faをHFO−1234zeに脱塩化水素化するための本発明の方法において共供給物中で使用され得る。同様に、HCFC−243faの調製で生成されたHClの少なくとも一部は、HCFC−243faをHCFO−1233zdに脱塩化水素化するための本発明の方法において共供給物中で使用され得る。
【0060】
HCl共供給物が使用されるとき、脱塩化水素反応器に供給されるHClの量は典型的に、ヒドロクロロフルオロアルカンとHClとを組み合わせた量に基づいて、最大約50mol%である。一実施形態において、脱塩化水素反応器に供給されるHClの量は、ヒドロクロロフルオロアルカンとHClとを組み合わせた量に基づいて、最大約40mol%、好ましくは最大約30mol%、または約20mol%、例えば最大約10mol%である。好ましくは、脱塩化水素反応器に供給されるHClの量は、ヒドロクロロフルオロアルカンとHClとを組み合わせた量に基づいて、少なくとも約1%または約2%、例えば少なくとも約5%である。
【0061】
理論に束縛されず、反応器中のHClの濃度を増加させるHClの共供給物の使用は、(i)触媒の安定性、つまり触媒の寿命、及び/または(ii)所望される(ヒドロ)(クロロ)フルオロアルケンの脱塩化水素化生成物に対する選択性を改善すると考えられる。脱塩化水素化を妨害するHClの濃度、及び相応して脱フッ化水素化生成物と比較して脱塩化水素化生成物に対する選択性の増加が予測される可能性があるため、後者は特に驚くべきことである。
【0062】
本発明の方法の正確な好ましい条件は、例えば、使用されている試薬及び生成物及び触媒の性質に依る。好適で好ましい反応条件に関していくつかの指針が、本明細書の以下に含まれる。
【0063】
本発明の脱塩化水素化方法は典型的に、低大気圧〜超大気圧、例えば約0.5〜約20bara、好ましくは約0.5〜約10baraなどの約0.1〜約40baraで行われる。有利には、脱塩化水素化は、約1〜約5baraで行われる。
【0064】
典型的に、本発明の脱塩化水素化方法は、約120℃〜約500℃、好ましくは約150℃〜約450℃などの約100℃〜約600℃の温度で行われる。有利には、脱塩化水素化は、約180℃〜約420℃の温度で行われる。
【0065】
本発明の方法は、ガス相または液体相で行われ得る。概して、特に触媒が金属酸化物を含むとき、ガス相が好ましい。
【0066】
ヒドロクロロフルオロアルカンを含む試薬流及び触媒に関するに関する接触時間は、反応器容積により分割された反応器に入る容積測定の流れである空間速度(SV)により示され得る。触媒の名目上の10ml装填に基づいて、典型的なSVは、約0.1分
−1〜約10分
−1、好ましくは約0.5分
−1〜約7.5分
−1、より好ましくは約1分
−1〜約5分
−1である。
【0067】
本発明の方法は、静的混合器、撹拌タンク反応器、または攪拌気液分離容器などの任意の好適な装置内で行われ得る。本方法は、バッチ式または連続的に行われ得る。バッチ式方法または連続的方法のどちらか一方は、「ワンポット」様式、または2つ以上の離散反応区域及び/もしくは反応容器を使用して行われ得る。好ましくは、反応は、連続的に行われる。しかし、「連続的」方法においてでさえ、本方法は、例えば維持管理及び/または触媒再生のために周期的に一時停止することが必要になるであろう。
【0068】
触媒再生は、任意の好適な手段により行われ得る。例えば、金属酸化物触媒(例えば、クロミア系触媒)は、約300℃〜約500℃の温度で、空気中で加熱することにより周期的に再生され得る。空気は、窒素などの不活性ガスまたは塩素化剤を有する混合物として使用され得る。あるいは、触媒(例えば、金属酸化物触媒)は、酸化ガス、例えば、酸素または塩素を反応器中に導入することにより使用されながら、連続的に再生され得る。上記は、本明細書で後に再生酸化として称され、典型的には、使用されて、コーク化触媒を再生させ、触媒の活性を少なくとも部分的に復活させる。
【0069】
一実施形態において、再生酸化は、酸化ガス(例えば、空気)に加えて、フッ素化剤(例えば、HF)の存在下で行われる。典型的に、これは、触媒予備フッ素化と関連して本明細書で前に定義された条件下で行われる(例えば、表3を参照されたい)。これは、酸化により触媒の活性を復活させることに加えて、触媒(例えば、金属酸化物触媒)を部分的にフッ素化する効果を有する。上記は、本明細書で後に再生オキシフッ素化として称される。
【0070】
酸化剤ガスを用いた再生後、触媒を低減して、触媒及び反応器上または触媒及び反応器中に残っている一切の高酸化状態種を除去することが好ましくもあり得る。これは、本明細書で後に再生還元として称される。触媒がゼロ価金属を含むとき、かかる再生還元ステップが好ましい。再生還元ステップは、必要な還元に影響を与えるのに十分な条件下で、例えば、水素を用いた処理を伴い得る。あるいは、高酸化状態種は、高酸化状態種が分解する温度に触媒を徐冷する、つまり加熱することにより、低酸化状態種に変換され得る。例えば、クロム(VI)種は、この手法でクロム(III)種に変換され得る。
【0071】
再生酸化及び/または再生還元後、触媒(例えば、金属酸化物触媒)を再塩素化することも望ましくあり得る。本発明の方法の予備塩素化ステップ(i)と関連して本明細書で前に記載された条件(例えば、表4を参照されたい)は概して、この再生塩素化にとって好適である。再生塩素化は典型的に、使用されて、触媒(例えば、使用に際して、及び/または再生オキシフッ素化により、部分的にフッ化物であり得る)を再生させ、一切の所望されない脱フッ化水素反応以上に所望される脱塩化水素化に対する選択性を復活させ、かつ/または使用に際して、触媒の安定性を増加させる。
【0072】
一実施形態において、例えば、本発明の方法のための触媒は、金属酸化物を含み、触媒再生は、再生酸化及び再生塩素化の両方を含む。一態様において、かかる触媒再生は、1つの再生オキシ塩素化手順に組み合わされた再生酸化及び再生塩素化を用いて実施される。これは、単一ステップ中で触媒活性、選択性、及び安定性を復活させることにより方法の経済性及び単純性の有益性を有する。
【0073】
再生オキシ塩素化は、酸化剤及び塩素化剤を含むガスの存在下で、触媒を加熱することにより行われ得る。典型的に、これは、約250℃〜約550℃、好ましくは約300℃〜約500℃の温度で実施される。酸化ガスは、酸素または塩素、好ましくは酸素であり得る。塩素化剤は、塩素またはHCl、好ましくはHClであり得る。上記に記載される温度範囲にかけると、本発明の方法の予備塩素化ステップ(i)と関連して本明細書で前に記載された条件(例えば、表4を参照されたい)は概して、この再生オキシ塩素化にとって好適であり、酸化ガスに関する空間速度は、塩素化剤に関して記載される空間速度の範囲内にある。
【0074】
別の実施形態において、例えば、本発明の方法のための触媒が、金属酸化物を含む場合、触媒再生は、再生オキシフッ素化及び再生塩素化の両方を含む。
【0075】
本発明は、以下の非限定的な実施例で例示される。