【実施例】
【0153】
[化合物例]
【0154】
[例1.化合物1の合成]
【0155】
【化81】
【0156】
ステップ1
500 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-3-ヨード-4-アミノピリジン(10 g、39 mmol)、4-ブロモチオフェノール(7.0 g, 34 mmol)、CuI(0.4 g, 2.0 mmol)、エチレングリコール(4.9 g, 78 mmol)、炭酸カリウム(10.8 g, 74 mmol)、及び200 mLのイソプロパノールを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。2-クロロ-3-(4-ブロモフェニルチオ)-4-アミノピリジンの収量は7.4 gだった。
【0157】
ステップ2
500 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-3-(4-ブロモフェニルチオ)-4-アミノピリジン(7.0 g、22 mmol)及び400 mLの酢酸を添加した。この透明な溶液に、Bu
tONO(2.3 g, 22 mmol)を一滴ずつ添加した。室温で1時間撹拌後、さらに10 mmolのBu
tONOを添加した。混合物をさらに2時間撹拌を続けた。反応物を水で失活させ、生成物をシリカゲルカラムで精製した。1-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は6.5 gだった。
【0158】
ステップ3
500 mLの丸底フラスコに、1-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(3.6 g, 12 mmol)、カルバゾール(6.0 g, 36 mmol)、Pd
2(dba)
3(1.1 g, 1.2 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos, 2.0 g, 4.8 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(6.9 g, 72 mmol)、及び250 mLのキシレンを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。収量は4.0 gだった。生成物は真空昇華によってさらに精製した。
1H NMRの結果によって、所望の化合物であることを確認した。
【0159】
[例2.化合物2の合成]
【0160】
【化82】
【0161】
ステップ1
500 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-4-アミノ-5-ヨード-ピリジン(11.5 g、45 mmol)、4-ブロモチオフェノール(8.1 g, 42.8 mmol)、CuI(0.4 g, 2.3 mmol)、エチレングリコール(5.6 g, 90.4 mmol)、炭酸カリウム(12.4 g, 90.4 mmol)、及び200 mLのイソプロパノールを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。2-クロロ-5-(4-ブロモフェニルチオ)-4-アミノピリジンの収量は9.2 gだった。
【0162】
ステップ2
500 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-5-(4-ブロモフェニルチオ)-4-アミノピリジン(11 g、35 mmol)及び600 mLの酢酸を添加した。この透明な溶液に、Bu
tONO(3.6 g, 35 mmol)を一滴ずつ添加した。室温で1時間撹拌後、さらに15 mmolのBu
tONOを添加した。混合物をさらに2時間撹拌を続けた。反応物を水で失活させ、生成物をシリカゲルカラムで精製した。3-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は10 gだった。
【0163】
ステップ3
500 mLの丸底フラスコに、3-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(3.0 g, 10 mmol)、カルバゾール(4.2 g, 25 mmol)、Pd(OAc)
2(0.1 g, 0.5 mmol)、P(Bu
t)
3(トルエン中1M、1.5 mL、1.5 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(6.3 g, 66 mmol)、及び250 mLのキシレンを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。収量は4.2 gだった。生成物は真空昇華によってさらに精製した。
1H NMRの結果によって、所望の化合物であることを確認した。
【0164】
[例3.化合物3の合成]
【0165】
【化83】
【0166】
ステップ1
500 mLの丸底フラスコに、2,6-ジクロロ-3-ヨード-4-アミノピリジン(7.0 g、28.8 mmol)、チオフェノール(3.2 g, 34.8 mmol)、CuI(0.2 g, 1.2 mmol)、エチレングリコール(3.0 g, 57.6 mmol)、炭酸カリウム(6.6 g, 57.6 mmol)、及び200 mLのイソプロパノールを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。2,6-ジクロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジンの収量は4.0 gだった。
【0167】
ステップ2
500 mLの丸底フラスコに、2,6-ジクロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジン(4.0 g、14.7 mmol)及び200 mLの酢酸を添加した。この透明な溶液に、Bu
tONO(1.5 g, 15 mmol)を一滴ずつ添加した。室温で1時間撹拌後、さらに8 mmolのBu
tONOを添加した。混合物をさらに2時間撹拌し続けた。反応物を水で失活させ、生成物をシリカゲルカラムで精製した。1,3-ジクロロ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は3.2 gだった。
【0168】
ステップ3
500 mLの丸底フラスコに、1,3-ジクロロ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(2.5 g, 10 mmol)、カルバゾール(4.2 g, 25 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.9 g, 1.0 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos, 1.6 g, 4.0 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(4.8 g, 50 mmol)、及び200 mLのキシレンを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。収量は4.2 gだった。生成物は真空昇華によってさらに精製した。
1H NMRの結果によって、所望の化合物であることを確認した。
【0169】
[例4.化合物4の合成]
【0170】
【化84】
【0171】
ステップ1
500 mLの丸底フラスコに、1-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(5.0 g、16.7 mmol)、カルバゾール(2.8 g, 16.7 mmol)、Pd(OAc)
2(0.1 g, 0.4 mmol)、PBu
t3(トルエン中1.0 M溶液、1.2 mL、1.2 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(4.8 g, 50.1 mmol)、及び400 mLのキシレンを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。1-クロロ-6-(9-カルバゾール)-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は1.9 gだった。
【0172】
ステップ2
500 mLの丸底フラスコに、1-クロロ-6-(9-カルバゾール)-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.3 g、3.4 mmol)、ジフェニルアミン(0.7 g, 4.0 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.09 g, 0.1 mmol)、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.2 g, 0.4 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(0.8 g, 8.0 mmol)、及び100 mLのトルエンを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。化合物4の収量は1.1 gだった。
【0173】
[例5.化合物21の合成]
【0174】
【化85】
【0175】
ステップ1
100 mLの酢酸中の2-アミノ-5-クロロピリジン(10.0 g、77.8 mmol)、酢酸カリウム(7.63 g, 77.8 mmol)の溶液を85℃に加熱し、50 mLの酢酸中のClI(12.6 g, 77.8 mmol)を滴下して添加した。反応混合物をこの温度に2時間保ち、1Lの水で希釈し、NaOHの1N溶液でpH7に中和し、酢酸エチル(4×75 mL)で抽出した。有機画分を一緒にし、NaHCO
3で洗い、セライトを通してろ過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液−ヘキサン/酢酸エチル 1/1)にかけて、黄色固体として5-クロロ-3-ヨードピリジン-2-アミンを得た(11.9 g, 60%)。
【0176】
ステップ2
5-クロロ-2-メトキシフェニルボロン酸(5.0 g, 26.8 mmol)、5-クロロ-3-ヨードピリジン-2-アミン(6.83 g, 26.8 mmol)、炭酸ナトリウム(50 mLの水中に8.53 g, 80.5 mmol)、Pd(PPh
3)
4(621 mg, 2 mol%)、及び100 mLのトルエンの混合物を、N
2下で夜通し還流させた。反応混合物を室温まで冷やし、有機層を分離し、減圧下で濃縮した。残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル傾斜混合物を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにかけて。3.3 g(46%収率)の5-クロロ-3-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)ピリジン-2-アミンを得た。
【0177】
ステップ3
50 mLの氷酢酸及び20 mLのTHF中の5-クロロ-3-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)ピリジン-2-アミン(5.2g, 19.3 mmol)の溶液を-10℃に冷やし、亜硝酸tert-ブチル(4.6 mL)を滴下して添加した。この反応混合物を0℃で夜通し撹拌し、室温に温め、100 mLの水で希釈した。固体物質をろ過し、乾燥して、2.9 gの純粋な3,6-ジクロロベンゾフロ[2,3-b]ピリジンを得た。
【0178】
ステップ4
150 mLの無水キシレン中の、3,6-ジクロロベンゾフロ[2,3-b]ピリジン(2.86 g, 12.01 mmol)、カルバゾール(5.02 g, 30.003 mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(4.62 g, 48.05 mmol)、2-ジシクロヘキシル-ホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos, 430 mg)、及びPd
2(dba)
3(910 mg)の混合物を、N
2下で48時間還流させた。この反応混合物を室温まで冷やし、100 mLのH
2Oで希釈し、酢酸エチル(4×50 mL)で抽出した。有機画分を一緒にし、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液−ヘキサン/ジクロロメタンの傾斜混合物)によって精製し、次にヘキサン/ジクロロメタン混合物から再結晶して、目的物質を白色小針状晶として得た。昇華によるさらなる精製(288℃、10
-5 mmHgにて)によって1.86 gの純粋な目的化合物が得られた。
【0179】
[例6.化合物39の合成]
【0180】
【化86】
【0181】
ステップ1
3-クロロ-6-ブロモ-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.7 g, 5.8 mmol)、トリフェニレン-2-イルボロン酸(1.6 g, 5.8 mmol)、リン酸三カリウム(3.7 g, 17 mmol)、200 mLのトルエン、及び10 mLの水の混合物を調製し、20分間、窒素でバブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(53 mg, 0.060 mmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(96 mg, 0.23 mmol)を添加した。この混合物を窒素でさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷却し、シリカ栓を通してろ過し、ジクロロメタンで洗った。最初のいくつかの部分はそれらが不純物しか含んでいなかったために廃棄した。一緒にしたろ液を濃縮して粗生成物を得て、これを熱ジクロロメタン及びヘキサンから再結晶して、1.8 gの3-クロロ-6-(2-トリフェニレニル)-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンを黄色固体として得た(4.0 mmol, 70%収率)。
【0182】
ステップ2
3-クロロ-6-(2-トリフェニレニル)-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.6 g, 3.6 mmol)、カルバゾール(0.72 g, 4.3 mmol)、Pd(OAc)
2(20 mg, 0.090 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(1.0 g, 11 mmol)、及び300 mLのキシレンの混合物を調製し、窒素で15分間バブリングした。次に、PBu
t3(トルエン中1.0 M溶液, 0.27 mL, 0.27 mmol)を添加し、混合物を窒素で15分間バブリングした。夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷やし、シリカゲル栓を通してろ過し、これを次にジクロロメタンで洗った。キシレン部分は廃棄した。一緒にしたジクロロメタンろ液を濃縮し、粗生成物をヘキサン中20%ジクロロメタンの混合物100mL中で夜通し撹拌した。残留物をろ過によって集めて1.7 gの明るい黄色固体(2.9 mmol, 80%収率)が得られた。
【0183】
[例7.化合物59の合成]
【0184】
【化87】
【0185】
ステップ1
1-クロロ-6-(9-カルバゾール)-[1]ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.0 g, 1.6 mmol)、トリフェニレン-2-イルボロン酸(0.85 g, 3.1 mmol)、リン酸三カリウム(1.7 g, 7.8 mmol)、100 mLのトルエン、及び5 mLの水の混合物を調製し、窒素で20分間バブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(24 mg, 0.030 mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(43 mg, 0.10 mmol)を添加した。この混合物を窒素でさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応物を室温に冷却し、濃縮した。得られた固体を800 mLの還流トルエンに溶かし、薄いセライト栓を通してろ過した。集めたろ液を約100 mLまで濃縮し、次に窒素下で1時間還流させた。室温までゆっくり冷やした後、沈殿物をろ過によって集めた。この残留物を、メタノール中20%ジクロロメタンの熱混合物100 mL中で撹拌し、それが室温まで冷えた後で夜通し撹拌した。残留物をろ過によって集め、真空下で乾燥させ、1.2 gの白色固体が得られた(2.1 mmol, 81%収率)。
【0186】
[例8.化合物66の合成]
【0187】
【化88】
【0188】
ステップ1
250 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-3-ヨード-4-アミノピリジン(5.0 g、19.6 mmol)、チオフェノール(2.16 g, 19.6 mmol)、CuI(0.187 g, 0.98 mmol)、エチレングリコール(2.5 g, 39 mmol)、炭酸カリウム(5.4 g, 39 mmol)、及び150 mLのイソプロパノールを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。2-クロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジンの収量は4.2 g (91%)だった。
【0189】
ステップ2
250 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジン(2.7 g、11.4 mmol)及び60 mLの氷酢酸を添加した。この透明な溶液に、Bu
tONO(1.36 g, 11.45 mmol)を一滴ずつ添加した。室温で1時間撹拌後、さらにBu
tONO(1.36 g, 11.45 mmol)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌し続けた。反応物を水で失活させ、生成物をシリカゲルカラムで精製した。1-クロロ-ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は2.2 g(88%)だった。
【0190】
ステップ3
1-クロロ-ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.5 g, 6.8 mmol)、米国特許仮出願No. 60/963,944にしたがって合成した3-(トリフェニレン-2-イル)フェニルボロン酸(2.5 g, 7.2 mmol)、リン酸三カリウム(4.4 g, 20.4 mmol)、100 mLのトルエン、及び10 mLの水の混合物を調製し、窒素で15分間バブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(63 mg, 0.068 mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(116 mg, 0.28 mmol)を添加した。この混合物を窒素でさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷やした。生成物をシリカゲルカラムで精製した。2.7 g(81%)の化合物66が得られた。
【0191】
[例9.化合物70の合成]
【0192】
【化89】
【0193】
ステップ1
1-クロロ-ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.0 g, 4.5 mmol)、米国特許仮出願No. 60/963,944にしたがって合成した2-トリフェニレンボロン酸(1.25 g, 4.5 mmol)、リン酸三カリウム(3.0 g, 18.0 mmol)、100 mLのトルエン、及び10 mLの水の混合物を調製し、窒素で15分間バブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(42 mg, 0.045 mmol)及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(77mg, 0.18 mmol)を添加した。この混合物を窒素でさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷やした。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーカラムで精製した。約1.5 g(84%)の化合物70が得られた。
【0194】
[例10.化合物71の合成]
【0195】
【化90】
【0196】
ステップ1
100 mLの酢酸中の2-アミノ-5-クロロピリジン(10.0 g、77.8 mmol)、酢酸カリウム(7.63 g, 77.8 mmol)の溶液を85℃に加熱し、50 mLの酢酸中のClI(12.6 g, 77.8 mmol)を滴下して添加した。反応混合物をこの温度に2時間保ち、1Lの水で希釈し、NaOHの1N溶液でpH7に中和し、酢酸エチル(4×75 mL)で抽出した。有機画分を一緒にし、NaHCO
3で洗い、セライトを通してろ過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液−ヘキサン/酢酸エチル 1/1)にかけて、黄色固体として5-クロロ-3-ヨードピリジン-2-アミンを得た(11.9 g, 60%)。
【0197】
ステップ2
2-(メチルチオ)フェニルボロン酸(5.0 g, 29.8 mmol)、5-クロロ-3-ヨードピリジン-2-アミン(7.65 g, 26.8 mmol)、炭酸ナトリウム(50 mLの水中に9.0 g)、Pd(PPh
3)
4(621 mg)、及び100 mLのトルエンの混合物を、N
2下で夜通し還流させた。反応混合物を室温まで冷やし、有機層を分離し、減圧下で濃縮した。残留物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル傾斜混合物を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにかけて、3.5 gの5-クロロ-3-(2-(メチルチオ)フェニル)ピリジン-2-アミンを得た。
【0198】
ステップ3
50 mLの氷酢酸及び20 mLのTHF中の5-クロロ-3-(2-(メチルチオ)フェニル)ピリジン-2-アミン(5.2g, 19.3 mmol)の溶液を-10℃に冷やし、亜硝酸tert-ブチル(4.6 mL)を滴下して添加した。この反応混合物を0℃で夜通し撹拌し、室温に温め、100 mLの水で希釈した。固体物質をろ過し、乾燥して、2.5 gの純粋な3-クロロベンゾチエノ[2,3-b]ピリジンを得た。
【0199】
ステップ4
3-クロロ-[1]ベンゾチエノ[2,3-b]ピリジン(1.3 g, 5.9 mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン(3.1 g, 7.1 mmol)、リン酸三カリウム(3.8 g, 18 mmol)、100 mLのトルエン、及び10 mLの水の混合物を調製し、窒素で15分間バブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(54 mg, 0.060 mmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(97 mg, 0.24 mmol)を添加した。この混合物を窒素でさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷却し、ろ過して沈殿物を集めた。残留物をメタノールで洗い、次に熱トルエン中に再溶解させた。この溶液を硫酸マグネシウム栓を通してろ過し、硫酸マグネシウム栓をジクロロメタンで洗った。一緒にしたろ液を濃縮して700 mgの白色固体を得た(1.4 mmol, 24%収率)。
【0200】
[例11.化合物79の合成]
【0201】
【化91】
【0202】
ステップ1
250 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-5-ヨード-4-アミノピリジン(5.0 g、19.6 mmol)、チオフェノール(2.16 g, 19.6 mmol)、CuI(0.187 g, 0.98 mmol)、エチレングリコール(2.5 g, 39 mmol)、炭酸カリウム(5.4 g, 39 mmol)、及び150 mLのイソプロパノールを添加した。反応物を加熱還流させ、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。冷却後、混合物をシリカゲルカラムで精製した。2-クロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジンの収量は4.5 g(97%)だった。
【0203】
ステップ2
250 mLの丸底フラスコに、2-クロロ-3-フェニルチオ-4-アミノピリジン(3.7 g、16.8 mmol)及び60 mLの氷酢酸を添加した。この透明な溶液に、Bu
tONO(1.8 g, 16.8 mmol)を一滴ずつ添加した。室温で1時間撹拌後、さらなるミリモル(1.8 g, 16.8 mmol)のBu
tONOを添加した。混合物を室温で18時間撹拌し続けた。反応物を水で失活させ、生成物をシリカゲルカラムで精製した。3-クロロ-ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジンの収量は1.2 g(33%)だった。
【0204】
ステップ3
3-クロロ-ベンゾチエノ[2,3-c]ピリジン(1.0 g, 4.5 mmol)、米国仮出願No.60/963,944にしたがって合成した3-(トリフェニレン-2-イル)フェニルボロン酸(2.1 g, 4.8 mmol)、リン酸三カリウム(2.9 g, 13.5 mmol)、100 mLのトリエン、及び10 mLの水の混合物を調製し、窒素を15分間バブリングした。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(63 mg, 0.068 mmol)及び2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(116 mg, 0.28 mmol)を添加した。この混合物に窒素をさらに20分間バブリングした。窒素下で夜通し還流させた後、反応混合物を室温に冷却した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。約1.2 g(55%)の化合物79が得られた。
【0205】
[例12.化合物80の合成]
【0206】
【化92】
【0207】
ステップ1
カルバゾール(7.3 g, 73.7 mmol)、3-ブロモヨードベンゼン(25 g, 87.3 mmol)及びナトリウムt-ブトキシド(8.4 g, 87.3 mmol)を窒素雰囲気下で150 mLの無水キシレンに懸濁させた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(200 mg)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(400 mg)を一度に添加し、反応物を窒素雰囲気下で24時間加熱還流し、撹拌した。冷却後、キシレンを蒸発させ、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにかけて、3-ブロモフェニルカルバゾール(9.5 g, 黄色の固化したオイル)を得た。
【0208】
ステップ2
3-ブロモフェニルカルバゾール(9.5 g, 29.5 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.2g, 44.2 mmol)、酢酸カリウム(8.7 g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(200 mg)、及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(400 mg)を200 mLのジオキサン中に懸濁させ、窒素雰囲気下で夜通し加熱還流させた。冷却し、溶媒を蒸発させた後、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにかけて、9-(3-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール b(6.0 g, 無色結晶)が得られた。
【0209】
ステップ3
1,3-ジブロモベンゼン(16 g, 64.9 mmol)、9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール b(6.0 g, 11.6 mmol)、酢酸カリウム(水中6.6 gの飽和溶液)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(380 mg)を、150 mLのトルエン中、窒素雰囲気下で夜通し加熱還流させた。冷却、溶媒留去、及びカラムクロマトグラフィーの後、9-(3’-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-9H-カルバゾール(5.8 g)を得た。
【0210】
ステップ4
ステップ2と同じ条件で、塩基としての酢酸カリウムとともにトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンで触媒される、ジオキサン中でのビス(ピナコラト)ジボロン及び9-(3’-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-9H-カルバゾールの反応で、9-(3’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-9H-カルバゾールが得られ、これをシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0211】
ステップ5
1-クロロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-c]ピリジン(化合物66のステップ2に記載した)及び9-(3’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-9H-カルバゾールをトルエン(150 mL)に溶かした。触媒〔トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム,400 mg及び2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル, 200 mg)〕及び塩基(リン酸三カリウム)を一度に添加し、反応物を窒素雰囲気下で夜通し加熱還流させた。生成物をシリカゲルカラムで精製し、化合物80を得た。
【0212】
[デバイス例]
【0213】
全てのデバイス例は、高真空(<10
-7 Torr)の熱蒸着によって作製した。アノード電極は800Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAl(アルミニウム)からなる。全てのデバイスは作製後直ちに窒素グローブボックス(< 1 ppmのH
2O及びO
2)中でエポキシ樹脂を用いて封止したガラス蓋で密閉し、吸湿剤をそのパッケージに組み込んだ。
【0214】
P1が発光ドーパントであり、本発明の化合物である化合物1、化合物2、又は化合物3がホストである具体的なデバイスを準備した。デバイス例1〜3の有機積層体は、ITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として100ÅのP1、正孔輸送層(HTL)として300Åの4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(α-NPD)、発光層(EML)として15%のIr燐光化合物P1でドープした本発明の化合物、ETL2として100Åの本発明の化合物、及びETL1として400ÅのAlq
3(トリス-8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなる。
【0215】
EML が10%のP1でドープしたホストとしてCBPを含み、P2を阻止層物質として用いたことを除いて、比較例1を上記デバイス例と同様に作製した。
【0216】
本明細書で用いるとおり、以下の化合物は下記の構造を有する。
【0217】
【化93】
【0218】
OLEDに用いるための具体的な物質を提供し、これは特に良好な特性を有するデバイスをもたらしうる。これらの物質は発光層のホストとして、あるいは増強層(enhancement layer)の材料として用いることができる。デバイス例1〜3の発光層の材料及び阻止層の材料を表2に示している。これらのデバイスの試験を行い、測定結果を表3に示している。化合物1〜3を用いた発光層及び阻止層を有するデバイスは、高いデバイス効率、長寿命、及び低下した作動電圧を示している。
【0219】
【表24】
【0220】
【表25】
【0221】
デバイス例1〜3より、緑色燐光OLEDにおけるホストとしての本発明の化合物は、高いデバイス効率(すなわち、1000 cd/m
2においてLE > 60 cd/A)をもたらし、このことは発色団としてのアザ-ジベンゾチオフェンが効率的な緑色電界燐光発光のために十分高い三重項エネルギーをもっていることを示唆している。さらに、ホストとして化合物1及び2を組み込んだデバイスの高い安定性も注目に値する。寿命T
80%(室温で40 mA/cm
2の一定の電流密度において、初期輝度L
0がその値の80%に低下するのにかかる時間として定義される)は、化合物1及び2それぞれに対して113時間及び85時間であって、比較例1よりも高いL
0を有する。このことは、デバイス安定性の1.5倍の向上と解釈できる。したがって、本発明の化合物は増強層(enhancement layer)としても機能しうる。
【0222】
別の注目すべき特徴は、化合物1及び2の両方とも、1000 cd/m
2にて5.8 VをもつCBPと比較して、それぞれ1000 cd/m
2にて5 V、1000 cd/m
2にて5.2 Vと、より低い作動電圧をもたらすことである。
【0223】
このデータは、アザ-ジベンゾチオフェン類が燐光OLEDのための優れたホスト及び増強層の材料であり、より高い効率、より低い作動電圧、及び従来用いられてきたホストであるCBPよりも何倍か良好なデバイス安定性の向上をもたらすことができることを示唆している。
【0224】
本明細書に記載した様々な態様は例としての目的だけであり、本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した物質及び構造の多くは、別の物質及び構造と、本発明の精神から離れることなく置き換えることができる。特許請求の範囲に係る本発明は、したがって、本明細書に記載した具体例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、このことは当業者には明らかであろう。本発明が何故機能するかについての様々な理論は限定されることを意図していないことが理解される。